以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明にかかる電子部品の実装方法及び実装装置は、電子部品の複数の電極を回路基板の複数の電極上に接合材を介在させて当接させ、各接合材を溶融し固化させて、各接合材を介在させて電子部品を回路基板に接合する電子部品の実装方法及び実装装置に関しており、本発明の第1の実施形態にかかる電子部品の実装方法及び実装装置について、図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、電子部品実装装置201において、電子部品の実装を行う部品保持部材の一例であるヘッドツール3は、X方向移動機構22のナット部に固定されており、X方向移動機構22はモータによりボールねじ軸を回転させることにより、ボールねじ軸に螺合したナット部に固定されたヘッドツール3を図示X方向右向きのX1方向又は左向きのX2方向に移動させる。また、ヘッドツール3の模式断面図である図3に示すように、電子部品実装装置201は、ヘッドツール3を下降又は上昇させる昇降機構の一例である昇降部21を備えて構成されている。さらに、ヘッドツール3は、その先端部に電子部品を吸着保持させる吸着保持機構の一例である吸着ノズル11と、この吸着ノズル11を加熱させて吸着ノズル11に吸着保持された電子部品を加熱する加熱機構の一例であるセラミックヒータ12、及び、セラミックヒータ12により加熱された電子部品を冷却する冷却機構の一例である冷却ブローノズル19を備えている。ここで、上記加熱機構は、一例として、ヘッドツール3に備えられたセラミックヒータ12である場合としたが、セラミックヒータ12に代えて、回路基板を配置する架台部が備える加熱部、又は、電子部品及び回路基板に熱風を吹き付けることにより加熱を行うような加熱部を電子部品実装装置が備える場合であってもよい。なお、ヘッドツール3の構造の詳細な説明については後述する。
図1において、スライドベース6はY方向移動機構23のナット部に固定されており、Y方向移動機構23はモータによりボールねじ軸を回転させることにより、ボールねじ軸に螺合したナット部に固定されたスライドベース6を図示Y方向右向きのY1方向又は左向きのY2方向に移動させる。スライドベース6上に固定されたパーツトレー5に、複数の電子部品1が供給されており、回路基板4はスライドベース6上に固定された架台部の一例であるステージ7に位置決めされて固定されている。なお、図1におけるX方向とY方向は直交している。
さらに、電子部品実装装置201は、電子部品実装装置201における各構成部の制御を行う制御部である制御部9を備えており、昇降部21の移動動作、X方向移動機構22の移動動作、Y方向移動機構23の移動動作、ヘッドツール3の吸着ノズル11の吸着保持動作、及びヘッドツール3のセラミックヒータ12の加熱動作は、制御部9により動作制御される。
図2は、上記第1の実施形態にかかる電子部品の実装方法について模式的に示す電子部品1及び回路基板4の断面図である。図2(b)に示すように、四角形プレート状の電子部品1は接合面に多数の電極1aを有しており、その各電極1aには接合材である半田バンプ1bが予め形成されている。また、図2(a)に示すように、四角形プレート状の回路基板4は上面に多数の電極であるパッド4aを有しており、その各パッド4a上に接合材である半田が印刷等により予め供給され半田部2が形成されている。また、電子部品1の各電極1aと回路基板4の各パッド4aが接合可能なように、電子部品1の各電極1aに対応した位置に回路基板4の各パッド4aが配置されている。ここで、電子部品1は、例えば、その各電極1aに形成された各半田バンプ1bの間隔ピッチであるバンプピッチが150μm以下であるようなハイエンドICチップのように高い接合位置精度が要求されるようなハイエンド電子部品である。
次に、電子部品実装装置201を用いて電子部品1を回路基板4上に実装する方法について説明する。
まず、図1において、複数の電子部品1が供給され配置されているパーツトレー5が固定されているスライドベース6をY方向移動機構23により、Y1又はY2方向に移動させるとともに、X方向移動機構22により、ヘッドツール3をX1又はX2方向に移動させ、パーツトレー5の中に配置されている1つの電子部品1が、ヘッドツール3の先端部の吸着ノズル11により吸着可能なように、ヘッドツール3をその電子部品1に対し位置合わせを行う。その後、昇降部21によりヘッドツール3を下降させ、ヘッドツール3の吸着ノズル11により電子部品1の各電極1aを有さない面である背面を吸着保持し、昇降部21によりヘッドツール3を上昇させ、パーツトレー5より電子部品1を取り出す。ここで、電子部品1はパーツトレー5に背面を上にして配置されている場合について説明したが、電子部品1が背面を下にして配置されている場合であっても、電子部品1のヘッドツール3の吸着ノズル11への吸着保持の前に、電子部品1を反転させるような反転機構を設けることにより、吸着ノズル11による電子部品1の背面の吸着保持は可能である。なお、パーツトレー5よりの各電子部品1の供給に代えて、ウェハ供給部を設けることにより、ウェハより各電子部品1を供給する場合であってもよい。
次に、図1において、回路基板4が固定されているステージ7を固定しているスライドベース6を、Y方向移動機構23によりY1又はY2方向に移動させるとともに、電子部品1を吸着保持しているヘッドツール3をX方向移動機構22によりX1又はX2方向に移動させ、図2(b)に示すように、電子部品1の各電極1aに形成されている各半田バンプ1bが回路基板4の各パッド4a上の各半田部2に接合可能なように、電子部品1と回路基板4の位置合わせを行う。
その後、図2(c)に示すように、ヘッドツール3を昇降部21により下降させ、吸着ノズル11に吸着保持されている電子部品1の各半田バンプ1bを、ステージ7に固定されている回路基板4の各半田部2に当接させる。
この当接の後、図2(d)に示すように、ヘッドツール3のセラミックヒータ12により吸着ノズル11への加熱が行われ、吸着ノズル11に吸着保持されている電子部品1の各半田バンプ1bとこの各半田バンプに当接されている回路基板4の各半田部2が加熱される。さらに、セラミックヒータ12による吸着ノズル11への加熱温度が、各半田バンプ1bを形成している半田の融点以上かつ各半田部2を形成している半田の融点以上の温度に昇温され、各半田バンプ1bと各半田部2が溶融される。
その後、図2(e)に示すように、セラミックヒータ12による加熱を停止した後、溶融状態の半田に冷却ブローノズル19からのブローによる冷却を施すことにより、半田が固化され、電子部品1の各電極1aと回路基板4の各パッド4aが半田を介在させて接合される。なお、溶融状態の半田への冷却ブローノズル19による強制的な冷却に代えて、溶融された半田を自然冷却することにより半田を固化させてもよい。
その後、図2(f)に示すように、ヘッドツール3の先端部の吸着ノズル11による電子部品1への吸着保持を解除し、ヘッドツール3を昇降部21により上昇させる。なお、複数の電子部品1を回路基板4に実装する場合には、各電子部品1毎にこれらの作業を繰り返して行い、各電子部品1を回路基板4に個別に実装を行う。
なお、上記においては、接合材が電子部品1の各電極1aに予め形成された各半田バンプ1b、及び回路基板4の各パッド4a上に予め形成された各半田部2である場合について説明したが、接合材が電子部品1の各電極1aに予め形成された各半田バンプ1bのみであってもよい。
さらに、電子部品1の各電極1a上、又は回路基板4の各パッド4a上、又は接合材である各半田バンプ1b若しくは各半田部2に、各接合部分における表面の酸化膜を除去し、溶融半田の濡れ性を良好とさせることができるフラックスを予め塗布により、供給してもよい。なお、塗布供給されたフラックスの種類により、電子部品1を回路基板4に実装後、塗布供給されたフラックスを洗浄による除去を行う場合もある。
次に、電子部品実装装置201におけるヘッドツール3の構造について、ヘッドツール3の構造を模式的に示す断面図である図3を用いて詳細に説明する。
図3において、ヘッドツール3は、電子部品1への吸着保持、加熱等の動作を施すヘッドツール先端部3aと、ヘッドツール先端部3aを支持し、ヘッドツール3に対する昇降動作が施されるヘッドツール本体部3bにより構成されている。
ヘッドツール先端部3aは、その先端側より、電子部品1を吸着保持可能な吸着ノズル11と、この吸着ノズル11に吸着保持された電子部品1を加熱するセラミックヒータ12と、このセラミックヒータ12よりの熱がヘッドツール本体部3bへ伝わらない様に熱遮断を行う冷却部であるウォータージャケット13、、及びこのウォータージャケット13の上部に取り付けられた軸部の一例である軸17により構成され、さらに、セラミックヒータ12により加熱された電子部品1をブローにより冷却する冷却ブローノズル19が軸17の下部周囲に取り付けられている。
また、ヘッドツール本体部3bは、ヘッドツール先端部3aを支える支持部の一例であるフレーム16と、フレーム16に取り付けられた荷重検出部の一例であるロードセル14により構成されている。
フレーム16は剛体により形成された概略コ字状の形状となっており、ロードセル14を支える上部フレーム16aと、ヘッドツール先端部3aの軸17を、その軸17の側部に設けられた円環突起状のスプリング受部18の下部に軸17の外周を巻くように取りつけられた弾性体の一例である自重相殺スプリング15を介して支え、かつ軸17の上下動を案内する下部フレーム16bと、上部フレーム16a及び下部フレーム16bを支える円筒形状の中間フレーム16cにより構成されている。
軸17は、その軸方向における中間付近に段部17cを有しており、この段部17cを境として、軸17の軸下部17bは軸上部17aよりも小径の軸となっている。さらに、この軸下部17bは、軸17を自重相殺スプリング15を介して支えている下部フレーム16bに形成された孔16dを貫通しており、この下部フレーム16bの孔16dが、軸17の上下動を案内可能に、かつ軸17の軸上部17aの径よりも小径となるように形成されている。これにより、軸17は、自重相殺スプリング15を介して下部フレーム16bに支えられながら、下部フレーム16bの孔16dに案内されて上下動が可能であり、また、自重相殺スプリング15が破損等により軸17を支持することができなくなったような場合においても、下部フレーム16bの孔16dの周囲部が軸17の段部17cで軸17を支えることができ、軸17が落下しないようになっている。
さらに、軸下部17bがボールスプラインの外輪と軸を備え、下部フレーム16bが孔16dの内側にベアリングを備え、上記ベアリングの内側に上記ボールスプラインの外輪が取り付けられることにより、軸17は、下部フレーム16bに支持されながら軸を中心として回転可能であり、かつ軸方向に上下動可能とすることもできる。
また、中間フレーム16cは、その円筒形状の両端を昇降部21のナット部21bに固定されており、昇降部21においてナット部21bに螺合したボールねじ軸21aをモータ21mにより回転させることにより、中間フレーム16cが昇降動作され、これによりフレーム16が昇降動作され、ヘッドツール3全体が昇降動作されるように構成されている。
また、吸着ノズル11、セラミックヒータ12、ウォータージャケット13、軸17、及びロードセル14の各中心は同軸上に配置されており、この軸は昇降部21の昇降動作軸と平行となるように配置されているため、昇降部21による昇降動作により、吸着ノズル11、セラミックヒータ12、ウォータージャケット13、軸17、及びロードセル14は、上記同軸上において、昇降動作可能となっている。
さらに、ロードセル14の荷重検出面である下面に、ヘッドツール先端部3aにおける軸17の上端が、下部フレーム16bに取り付けられ軸17をスプリング受部18を介して支えている自重相殺スプリング15により、押圧されて接しており、ロードセル14によりヘッドツール先端部3aの軸17の上方向に働く荷重が検出可能となっている。
また、軸17の下部周囲である軸下部17bの周囲に取り付けられている冷却ブローノズル19は、軸17の下に位置するウォータージャケット13及びセラミックヒータ12の両側を回り込むように形成され、さらに、冷却ブローノズル19の先端は吸着ノズル11の下面である電子部品吸着保持面に向けられており、冷却ブローノズル19よりのブローが吸着ノズル11に吸着保持された電子部品1を冷却可能となっている。
また、制御部9は、吸着ノズル11の吸着動作、セラミックヒータ12の加熱動作、及び昇降部21の移動動作を制御し、ロードセル14にて検出された荷重が制御部9に出力されるように構成されている。
ここで、電子部品実装装置201における制御系統図を図11に示す。電子部品実装装置201において、制御部9は、電子部品実装装置201の各構成部の動作である昇降部21のモータ21mによる昇降動作、セラミックヒータ12の加熱動作、冷却ブローノズル19の冷却動作、吸着ノズル11の吸着動作、X方向移動機構22のモータによる移動動作、及びY方向移動機構23のモータによる移動動作を制御し、さらに、ロードセル14にて検出された荷重が制御部9に出力される。これにより、制御部9の被制御部である上記各構成部が、制御部9により相互に関連されながら制御されることにより、電子部品実装装置201において、電子部品1の回路基板4への実装が施される。
次に、ヘッドツール3におけるロードセル14により、電子部品1と回路基板4の当接時に発生する当接荷重を検出する方法について説明する。
電子部品1と回路基板4の位置合わせの後、電子部品1を吸着ノズル11により吸着保持したままヘッドツール3が昇降部21により下降され、電子部品1の各半田バンプ1bが回路基板4の各半田部2に当接する。このとき、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の間に当接荷重が発生し、この当接荷重により、ヘッドツール3のロードセル14の荷重検出面に接した状態にあるヘッドツール先端部3aの軸17の上端が、ロードセル14の荷重検出面を押し上げ、この当接荷重がロードセル14にて検出される。
このようにしてロードセル14において当接荷重を検出することにより、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接したことを検出するとともに、ロードセル14より検出された当接荷重が制御部9に出力され、制御部9において予め設定された当接荷重となるように、制御部9により昇降部21が制御され、昇降部21によりヘッドツール3を微小量だけ下降させ、ロードセル14により検出される当接荷重が予め設定された当接荷重となるように昇降部21が制御される。
以上のような実装手順により構成され、実施される上記第1の実施形態にかかる電子部品の実装方法(以降、電子部品毎に個別に溶融即ちリフローを行うことから、これを上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法と述べる)について、実装手順を図4に示すフローチャートにまとめる。なお、各ステップにおける動作指示は制御部9にて行われる。
図4におけるステップSP1において、電子部品1がヘッドツール3により吸着保持され、ステップSP2において、電子部品1の各電極1aに形成された各半田バンプ1bと回路基板4の各パッド4a上に形成された各半田部2が接合可能なように電子部品1と回路基板4の位置合わせを行う。その後、ステップSP3において、電子部品1を吸着保持したままヘッドツール3を下降させ、ステップSP4において、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接を、ヘッドツール3のロードセル14にて検出する。さらに、ステップSP5において、ヘッドツール3のセラミックヒータ12による電子部品1の加熱により、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2を溶融させる。その後、ステップSP6において、溶融された半田に冷却ブローノズル19のブローによる冷却を開始し、ステップSP7において、溶融された半田を固化させ、電子部品1の各電極1aを回路基板4の各パッド4bに半田を介在させて接合する。その後、ステップSP8において、ヘッドツール3による電子部品1への吸着保持を解除する。なお、複数の電子部品1を回路基板4に実装する場合は、各電子部品1毎に、これらの上記ステップSP1からSP8までを繰り返して行い、各電子部品1の実装を行う。なお、ステップSP6における溶融された半田の冷却は、冷却ブローノズル19のブローによる冷却に代えて、自然冷却による場合であってもよい。
次に、ヘッドツール3の熱による伸び縮み量の補正を行う場合における、この補正動作について説明する。
電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接された後、ヘッドツール3のセラミックヒータ12により吸着ノズル11が加熱され、各半田バンプ1b及び各半田部2を溶融するとき、ヘッドツール3において、少なくともヘッドツール先端部3aはセラミックヒータ12よりの熱の影響を受け、上下方向に伸び、また、セラミックヒータ12の加熱停止により、熱の影響が無くなり、ヘッドツール先端部3aが上下方向に縮む。このようなヘッドツール先端部3aの上下方向への伸び縮みにより、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接から接合までの間において、回路基板4の各電極4aに各半田部2及び各半田バンプ1bを介在させて各電極1aが当接されている電子部品1の背面高さをほぼ一定に保つことが困難となり、場合によりバンプつぶれ等が発生し、要求される接合精度によっては、電子部品の接合品質を安定化させることが困難となる場合がある。
このように電子部品1の背面高さ管理を確実に行うことを目的として、予めヘッドツール先端部3aの熱による伸び量及び縮み量の変化のデータを制御部9内のメモリに設定し、制御部9により、セラミックヒータ12、昇降部21、及び冷却ブローノズル19が制御され、セラミックヒータ12による加熱中に、加熱によるヘッドツール先端部3aの伸び量の変化のデータに基づき、昇降部21によりヘッドツール3を徐々に上昇させ、セラミックヒータ12による加熱停止後、冷却ブローノズル19による冷却中に、冷却によるヘッドツール先端部3aの縮み量の変化のデータに基づき、昇降部21によりヘッドツール3を徐々に下降させることにより、熱によるヘッドツール先端部3aの伸び量及び縮み量の補正を行う。これにより、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接から接合までの間において、ヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持されている電子部品1の背面高さを一定に保つことができる。なお、このヘッドツール3の熱による伸び量の補正又は縮み量の補正は、要求される電子部品1の回路基板4への接合精度や電子部品1の各電極1aに形成される各半田バンプ1bの数により実施するかしないかを決定し、伸び量の補正又は縮み量の補正のいずれかのみを行う場合であってもよい。
上記のように構成される熱によるヘッドツール3の伸び量及び縮み量の補正動作の手順を、図5に示すようにまとめる。図5は、図4における上記実施形態にかかる電子部品の実装方法の実装手順を示すフローチャートにおいて、ステップSP4からSP7までの間に、熱によるヘッドツール3の伸び量及び縮み量の補正動作に関するステップを追加した補正動作の手順を示すフローチャートである。なお、各ステップにおける動作指示及び判断は制御部9にて行われる。
図5におけるステップSP4において、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2との当接が検出された後、ステップSP10において、セラミックヒータ12の加熱により吸着ノズル11の温度上昇が開始される。次に、ステップSP11において、熱によるヘッドツール3の伸び量補正を実施するかどうかが判断される。伸び量補正を行う場合は、ステップSP12において、ヘッドツール3の伸び量補正開始待ちを行うかどうかが判断され、伸び量補正開始待ちを行う場合は、ステップSP13において、設定時間だけヘッドツール3の伸び量補正開始を待機状態とさせ、また、伸び量補正開始待ちを行わない場合は、ステップSP13を行わず、次に、ステップSP14において、熱によるヘッドツール3の伸び量変化データに基づき、ヘッドツール3を徐々に上昇させながら、ステップSP5において、セラミックヒータ12の加熱により電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2を溶融させる。なお、ステップSP13におけるヘッドツール3の伸び量補正開始の待機動作は、上記のように設定時間だけ待機させる場合に代えて、セラミックヒータ12により加熱されている吸着ノズル11の温度が設定温度を超えるまで待機させる場合であってもよい。
一方、ステップSP11において、伸び量補正を行わない場合は、ステップSP12からSP14までの各ステップを実施することなく、ステップSP5が実施される。
その後、ステップSP6において、溶融された半田の冷却が開始される。次に、ステップSP15において、冷却によるヘッドツール3の縮み量補正を実施するかどうかが判断される。縮み量補正を行う場合は、ステップSP16において、ヘッドツール3の縮み量補正開始待ちを行うかどうかが判断され、縮み量補正開始待ちを行う場合は、ステップSP17において、設定時間だけヘッドツール3の縮み量補正開始を待機状態とさせ、また、縮み量補正開始待ちを行わない場合は、ステップSP17を行わず、次にステップSP18において、冷却によるヘッドツール3の縮み量変化データに基づき、ヘッドツール3を徐々に下降させながら、ステップSP7において、冷却により溶融された半田を固化させる。なお、ステップSP17におけるヘッドツール3の縮み量補正開始の待機動作は、上記のように設定時間だけ待機させる場合に代えて、セラミックヒータ12により加熱されている吸着ノズル11の温度が設定温度より下がるまで待機させる場合であってもよい。
一方、ステップSP15において、縮み量補正を行わない場合は、ステップSP16からSP18までの各ステップを実施することなく、ステップSP7が実施される。
次に、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2との当接検出後にヘッドツール3による当接荷重の一定制御を、また、各半田バンプ1b及び各半田部2の溶融後に吸着ノズル11の先端位置制御を行う場合について説明する。
電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2との当接検出の後、ロードセル14により検出される当接荷重が予め設定された当接荷重となるように昇降部21が制御部9により制御され、ヘッドツール3により電子部品1と回路基板4に一定の荷重がかけられ、ヘッドツール3による一定荷重制御の状態となる。しかし、セラミックヒータ12により吸着ノズル11が加熱され、電子部品1の各半田バンプ1b及び回路基板4の各半田部2が溶融されたとき、上記のようにヘッドツール3が荷重一定制御の状態のままであれば、吸着ノズル11の先端位置が下がり、溶融状態にある各半田バンプ1b及び各半田部2が過度につぶれてしまうという問題が発生する。
このような問題を解決するため、各半田の溶融後の電子部品1の背面高さ管理、つまり、電子部品1の回路基板4への当接高さ位置の管理を確実に行うことを目的として、セラミックヒータ12により加熱されて吸着ノズル11の温度が上昇開始した後、ヘッドツール3による上記荷重一定制御の状態とし、ロードセル14により荷重の検出を行い、この検出荷重の減少を検出したときを各半田の溶融開始と判断して、ヘッドツール3の上記荷重一定制御から、吸着ノズル11の先端高さ位置を一定とする位置制御に切替えることにより、各半田の溶融時においても、吸着ノズル11の先端高さ位置を一定とし、電子部品1の背面高さ管理を確実に行うことができる。
上記のように構成されるヘッドツール3の荷重一定制御及び吸着ノズル11の先端高さ位置制御の動作の手順を図6のようにまとめる。図6は、図4における上記実施形態にかかる電子部品の実装方法の実装手順を示すフローチャートにおいて、ステップSP4からSP6までの間に、ヘッドツール3の荷重一定制御及び吸着ノズル11の先端高さ位置制御の動作の手順を示すフローチャートである。なお、各ステップにおける動作指示及び判断は制御部9にて行われる。
まず、図6におけるステップSP4において、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2との当接が検出された後、ステップSP10において、セラミックヒータ12の加熱により吸着ノズル11の温度上昇が開始される。次に、ステップSP5aにおいて、昇降機部21の下降動作が微小に制御されることにより、ヘッドツール3の荷重一定制御が行われ、ヘッドツール3により電子部品1及び回路基板4に対し、一定の荷重がかけられた状態となる。この荷重一定制御の間、ロードセル14において実際に発生する荷重が検出されることとなるが、ステップSP5bにおいて、ロードセル14において検出される荷重が減少することにより、検出荷重の減少が検出された場合は、各半田の溶融が開始されたものと判断され、ステップSP5cにおいて、ヘッドツール3の上記荷重一定制御から、吸着ノズル11の先端高さ位置の一定制御へと制御方式が切り替えられ、ステップSP5dにおいて、昇降部21の昇降動作を制限することにより、先端高さ位置が一定とされた吸着ノズル11により吸着保持されている電子部品1の背面高さが一定となり、ステップSP5eにおいて、セラミックヒータ12の加熱停止による吸着ノズル11の温度上昇が完了するまで、吸着ノズル11の先端高さ位置の一定制御が行われる。ステップSP5eにおいて、吸着ノズル11の温度上昇が完了した場合、ステップSP6において、溶融された各半田の冷却が開始される。
また、ステップSP5bにおいて、ロードセル14において検出される荷重の減少が検出されない場合は、各半田の溶融がまだ開始されていないものと判断され、ステップSP5fにおいて、セラミックヒータ12の加熱停止による吸着ノズル11の温度上昇が完了したかどうかが判断され、完了していない場合は、再び、ステップSP5aに戻り、ヘッドツール3の上記荷重一定制御が継続される。ステップSP5fにおいて、セラミックヒータ12の加熱停止による吸着ノズル11の温度上昇が完了した場合は、ステップSP5gにおいて、ヘッドツール3の上記荷重一定制御から、吸着ノズル11の先端高さ位置の一定制御へと制御方式が切り替えられ、ステップSP5hにおいて、先端高さ位置が一定とされた吸着ノズル11により吸着保持されている電子部品1の背面高さが一定となり、ステップSP6において、溶融された各半田の冷却が開始される。
なお、ステップSP4において、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部との当接が検出されたとき、各半田バンプ1bと各半田部2の形成高さのばらつきにより、各半田バンプ1bと各半田2の中において、一部当接が行われていないものがある場合がある。例えば、電子部品1が1000バンプ以上の多数のバンプが形成されているような場合である。このような場合、このまま電子部品1が加熱されると、上記当接されていない各半田部2は、各半田バンプ1bより熱伝導されないため、溶融されないという問題が発生する。
このような問題に対して、ステップSP5aにおけるヘッドツール3の荷重一定制御の際に、この一定の荷重を、当接検出時における当接荷重以上の荷重として、この荷重を一定制御して電子部品1と回路基板4にかけることにより、上記のように、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部との当接が検出されたとき、各半田バンプ1bと各半田部2の形成高さのばらつきにより、各半田バンプ1bと各半田2の中において、一部当接が行われていないものがあるような場合であっても、上記一定荷重をかけることにより、各半田バンプ1bと各半田部2の接触性を高めることができ、全ての半田を確実に溶融させることができる。
次に、ヘッドツール3のロードセル14の荷重ゼロ点設定を行う場合について説明する。
ヘッドツール3のセラミックヒータ12の加熱による熱が、ヘッドツール3の各構成部よりの伝熱やヘッドツール3の周囲空気を通じての伝熱により、ヘッドツール先端部3aにおける軸17のスプリング受部18に取り付けられている自重相殺スプリング15が熱の影響を受けてそのばね特性が変化する。これにより、このばね特性が変化した自重相殺スプリング15が軸17をロードセル14の荷重検出面に押圧することにより発生するロードセル14における押圧荷重が変化する。また、ヘッドツール3の使用期間により、自重相殺スプリング15のばね特性が経年変化することによっても、ロードセル14におけるこの自重相殺スプリング15による押圧荷重が変化する。この自重相殺スプリング15のばね特性の変化によるロードセル14における押圧荷重の変化により、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接時における実際の当接荷重と、ロードセル14により検出された当接荷重検出値の間に差異が生じ、予め設定された当接荷重どおりに実際の当接荷重を制御できないという問題点がある。
このような場合、ヘッドツール3により吸着保持された電子部品1を回路基板4に接合可能なように位置合わせした後、電子部品1と回路基板4の非当接状態において、ヘッドツール先端部3aにおける軸17を自重相殺スプリング15によりロードセル14の荷重検出面に押圧している押圧荷重を、ロードセル14により検出し、この検出された押圧荷重を制御部9に出力し、制御部9においてこの押圧荷重をロードセル14における荷重ゼロ点と設定する。その後、ヘッドツール3を下降させ電子部品1の回路基板4への実装を行い、これら全ての動作が制御部9により制御されて行われる。
これにより、自重相殺スプリング15が熱の影響又は経年変化によりそのばね特性が変化することにより、ロードセル14においてヘッドツール先端部3aにおける軸17による押圧荷重が変化する場合であっても、電子部品1と回路基板4の位置合わせを行う度に、制御部9において検出されるこの押圧荷重をロードセル14における荷重ゼロ点と設定することにより、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接時における実際の当接荷重と、ロードセル14により検出される当接荷重検出値の間の差異がなくなり、予め設定された当接荷重どおりに実際の当接荷重を制御することができる。
次に、ヘッドツール3による電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接時における当接荷重をヘッドツール3のロードセル14により検出することにより、ヘッドツール3の昇降動作を制御し、予め設定された当接荷重に制御する方法について、実施例を基として、図7及び図8に示す当接荷重制御動作フローチャートに基づいて説明する。なお、各ステップにおける動作指示及び判断は制御部9にて行われる。
電子部品1と回路基板4の位置合わせ実施後、ステップSP3において、電子部品1を吸着保持しているヘッドツール3が昇降部21により下降動作を開始する。このヘッドツール3の下降中に、ステップSP21において、予め設定された当接荷重が450gを超えるかどうかが判断され、450gを超える場合は、ステップSP22において、当接による初期検出荷重が200gに設定され、450g以下である場合は、ステップSP23において、当接による初期検出荷重が100gに設定される。次に、ステップSP24において、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接し、設定された初期検出荷重がロードセル14により検出されると、ステップSP25において、下降動作を行っていたヘッドツール3が停止され、ヘッドツール3を200ms間動作待機状態とさせ、ヘッドツール3の停止動作後の微小オーバーシュート、つまり、制御部9によるヘッドツール3への下降動作の停止指示後、ヘッドツール3が下降速度を減速されて停止するまでの間に微小量だけ下降することによるロードセル14の検出荷重への影響をなくすために静定状態とさせる。
次に、ステップSP26において、ロードセル14にて検出される現在荷重が、予め設定された当接荷重−100gを超えるかどうかが判断され、現在荷重が予め設定された当接荷重にどの程度近づいているかが判断される。
ステップSP26において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−100gを超えていた場合は、ステップSP27において、200ms間のヘッドツール3の静定状態を経た後、さらに、ステップSP28において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−50g以上かどうかが判断され、現在荷重が予め設定された当接荷重−50g未満であった場合には、ステップ29において、ヘッドツール3を昇降部21により1μm下降させた後、ステップSP27において、200ms間のヘッドツール3の静定状態を経た後、再び、ステップSP28において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−50g以上かどうかが判断され、現在荷重が、予め設定された当接荷重−50g以上となるまで、この動作ループが繰り返して行われる。
ステップSP28において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−50g以上であった場合には、ステップSP30において、予め設定された時間だけヘッドツール3の静定状態が保持され、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の間の当接荷重の予め設定された当接荷重への制御が完了し、ステップSP4において、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2との当接が検出されたこととなる。ここで、ステップSP28においての判断基準である予め設定された当接荷重−50gは、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2との当接時において発生することが予測される当接荷重であり、上記当接時に実際に発生する荷重である現在荷重が、上記当接時において発生することが予測される当接荷重以上となることにより、電子部品1の略全ての半田バンプ1bと回路基板4の略全ての半田部2が当接状態となり、上記当接が検出されることとなる。
また、ステップSP26において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−100g以下であった場合には、さらに、ステップSP31において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−500gを超えているかどうかが判断され、超えていない場合には、さらに、ステップSP32において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−1000gを超えているかどうかが段階的に判断される。ステップSP32において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−1000g以下であった場合には、ステップSP33において、現在荷重と、予め設定された当接荷重との荷重差分をヘッドツール3の移動距離に変換される。また、現在荷重がステップSP31における条件を満たしていた場合は、ステップSP34において、ヘッドツール3の移動距離が1μm、現在荷重がステップSP32における条件を満たしていた場合は、ステップSP35において、ヘッドツール3の移動距離が2μmとそれぞれ設定される。その後、ステップSP36において、上記それぞれの場合においてのヘッドツール3の移動距離分だけ、ヘッドツール3が昇降部21により下降され、ステップSP37において、ヘッドツール3が停止され、50ms間の静定状態が保たれる。その後、再びステップSP26において、現在荷重が、予め設定された当接荷重−100gを超えるかどうかが判断され、このステップSP26の条件を満たすまで、これらの動作ループが繰り返して行われる。
以上のような各動作により実施される当接荷重制御方法において、ヘッドツール3は微小な下降動作の制御が行われることとなるが、各動作条件におけるヘッドツール3の各移動距離は、ヘッドツール3の昇降部21による上下方向における最小移動可能距離と、この最小移動可能距離により発生可能なヘッドツール単位移動当り荷重の関係によって設定されている。上記実施例の場合、最小移動可能距離が1μmであり、ヘッドツール単位移動当り荷重が100g/μmである。従って、例えば、ステップSP26における条件である予め設定された当接荷重と現在荷重の差である100gは、ヘッドツール単位移動当り荷重より設定されている。また、ステップSP29、ステップSP34及びステップSP35においても、ヘッドツール3の移動距離である1μm及び2μmは、それぞれ、最小移動可能距離より設定されている。
なお、上記における、荷重、時間、及び距離等の各数値は本実施形態における一例としての数値であり、本実施形態はこれらの各数値に限定されるものではない。
次に、ヘッドツール3による電子部品1の各半田バンプ1bの整形動作を行う場合について説明する。
電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接された後、ヘッドツール3のセラミックヒータ12により吸着ノズル11が加熱され、各半田バンプ1b及び各半田部2を溶融させたとき、電子部品1を吸着保持しているヘッドツール3を上下方向又は横方向に微小に振動動作をさせることにより、この溶融させられた各半田バンプ1bと各半田部2の互いの半田の濡れ性を向上させ、電子部品1と回路基板4の接合品質を良好とさせることができる。このヘッドツール3による整形動作の振動動作パターンには、図9に示すように、従来の電子部品の実装方法に用いられているような十字型、O型、及び8字型等のパターンがある。さらに、このヘッドツール3による整形動作における各振動動作のパラメータとしては、整形動作でヘッドツール3を上下させる整形動作上下回数が一例として0〜20回、整形動作でヘッドツール3を上下させるときの動作速度が一例として0.1〜9.9sec、整形動作でヘッドツール3を上下させる移動量である動作量が一例として−99〜99μm、整形動作でヘッドツール3をXY方向に振動させる整形振動動作回数が一例として0〜200回が用いられる。
次に、以上のように説明したヘッドツール3の各動作を複合的に行い電子部品を回路基板に実装する場合において、図10(a)にヘッドツール3の制御高さ、図10(b)にヘッドツール3の吸着ノズル11の先端高さ、及び図10(c)にヘッドツール3の吸着ノズル11の温度のそれぞれの時間による変化状態を示すタイムチャートを示す。ここで、ヘッドツール3の制御高さとは、昇降部21によるヘッドツール3の相対的な昇降制御高さ位置であり、ヘッドツール3の吸着ノズル11の先端高さは、吸着ノズル11の相対的な先端高さ位置を示している。また、図10(a)〜(c)における各横軸である時間軸は上記各変化状態を比較可能なように同一の時間軸となっている。
まず、図10(a)〜(c)における時間起点t0からt1において、昇降部21によるヘッドツール3の下降により、ヘッドツール3の制御高さ、及び吸着
ノズル11の先端高さは、同様な変化状態で下降する。このとき、セラミックヒータ12による加熱はまだ開始されていないため、吸着ノズル11の温度は一定状態を保っている。
次に、時間t1からt2において、時間t1にて電子部品1と回路基板4が当接するとともに、セラミックヒータ12により吸着ノズル11の加熱が開始され、吸着ノズル11の温度が昇温される。この昇温によるヘッドツール3の伸び量の補正動作が行われるため、ヘッドツール3の制御高さは予め設定された通り上昇され、伸び量の補正動作を施されたヘッドツール3は吸着ノズル11の先端高さが一定となる。この時間t1からt2の区間に半田の溶融が開始されることとなる。
次に、時間t2からt4において、吸着ノズル11の温度は、セラミックヒータ12の加熱により制御され、一定の温度に保たれる。また、ヘッドツール3の制御高さ、及び吸着ノズル11の先端高さはともに一定の高さに保たれる。ただし、時間t2からt3において、ヘッドツール3による電子部品1の各半田バンプ1bの整形動作が行われるため、ヘッドツール3は微小な振動動作を行い、ヘッドツール3の制御高さ、及びヘッドツール3の吸着ノズル11の先端高さはともに微小に昇降する。
次に、時間t4からt5において、溶融半田の冷却が開始され、吸着ノズル11の温度が下降する。この冷却によるヘッドツール3の縮み量の補正動作が行われるため、ヘッドツール3の制御高さは予め設定された通り下降され、縮み量の補正動作を施されたヘッドツール3は吸着ノズル11の先端高さが一定となる。この時間t4からt5の区間に溶融半田が固化されることとなる。
最後に、時間t5において、ヘッドツール3の吸着ノズル11による電子部品1への吸着保持が解除され、その後、ヘッドツール3が昇降部21により上昇されるため、ヘッドツール3の制御高さ、及び吸着ノズル11の先端高さは、同様な変化状態で上昇する。
次に、電子部品1を回路基板4に当接させる前に、電子部品1の各半田バンプ1bの高さを揃えるレベリング動作を行う場合について説明する。
電子部品1の各電極1aに接合された各半田バンプ1bの高さにばらつきがあると、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2を当接させるとき、各半田バンプ1bの高さのばらつきにより、当接荷重制御が影響を受け、ヘッドツール3により予め決められている電子部品1の背面高さに吸着保持することができず、そのままの状態で半田を溶融させ、電子部品1を回路基板4に接合すると、各回路基板4の各電子部品1の背面高さを一定とすることができないという問題点がある。
このような問題に対応するために、ヘッドツール3による電子部品1の回路基板4への実装作業の前に、電子部品1の各半田バンプ1bの高さを揃えるレベリング動作を実施し、その後、電子部品1の回路基板4への実装作業を行う。
図1における電子部品実装装置201において、Y方向移動機構23によって図示Y1又はY2方向に移動可能なスライドベース6には、レベリングステージ8が固定されている。電子部品1をヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持した後、電子部品1の各半田バンプ1bを回路基板4の各半田部2に接合可能なように位置合わせする前に、レベリングステージ8が固定されているスライドベース6をY方向移動機構23によりY1又はY2方向に移動させるとともに、X方向移動機構22によりヘッドツール3をX1又はX2方向に移動させ、ヘッドツール3の吸着ノズル11に吸着保持されている電子部品1をレベリングステージ8の上面に位置合わせを行う。その後、昇降部21によりヘッドツール3を下降させ、ヘッドツール3の吸着ノズル11に吸着保持されている電子部品1の各半田バンプ1bをレベリングステージ8の上面に当接させる。なお、このレベリングステージ8の上面は、滑らかな平面を有するガラス板等で構成されている。このとき、この当接により発生する当接荷重をヘッドツール3のロードセル14により検出するとともに、検出された当接荷重により、昇降部21が制御され、昇降部21によりヘッドツール3を微小に下降させ、予め設定されている当接荷重となるように当接荷重が制御される。この制御された当接荷重にてレベリングステージ8の上面に電子部品1の各半田バンプ1bが押圧されることにより、各半田バンプ1bの高さが一定とされる。その後、昇降部21によりヘッドツール3を上昇させ、ヘッドツール3の吸着ノズル11に吸着保持されている電子部品1の各半田バンプ1bを回路基板4の各半田部2に接合可能なように電子部品1と回路基板4の位置合わせを行い、電子部品1の回路基板4への実装動作が行われる。
上記第1の実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
まず、上記第1の実施形態によれば、電子部品1の各半田バンプ1bを回路基板4の各半田部2に当接させた後、その当接させたままの状態で各半田バンプ1b及び各半田部2を加熱により溶融し、その後、冷却により固化させて電子部品1の各電極1aと回路基板4の各パッド4aを半田を介在させて接合を行う。つまり、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接から接合までを同じ場所で作業が施されることとなり、従来の一括リフロー実装方法のように、回路基板に電子部品を仮接合してから、一括して各半田バンプ及び各半田部を溶融し、電子部品を回路基板に本接合を施すまでの間に施されていた工程である、電子部品を仮接合した状態での回路基板の半田リフロー作業部までの搬送工程を不要とすることができる。よって、この搬送中に発生していた電子部品の回路基板への接合位置ずれの発生をなくすことができ、電子部品の回路基板への接合品質を高めることが可能となる。
また、ヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持された電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2を当接させた後、各半田バンプ1b及び各半田部2を加熱により溶融させ、ヘッドツール3の吸着ノズル11による電子部品1への吸着保持の解除のタイミングを、従来のローカルリフロー実装方法のように半田の溶融中に解除するのではなく、半田が溶融後、冷却されて固化した後に解除を行う。つまり、従来のローカルリフロー実装方法のように溶融半田の表面張力によるセルフアライメント効果を得て電子部品を実装するのではなく、ヘッドツール3により位置決めされた当接位置にて電子部品1の回路基板4への実装を行う。これにより、ヘッドツール3の吸着ノズル11による電子部品1への吸着保持の解除を行なう際に吸着ノズル11において発生する真空破壊ブローにより、電子部品1の接合位置ずれをなくすことができる。従って、セルフアライメント効果を得ることよりも、吸着ノズルにおける真空破壊ブローによる電子部品の接合位置ずれが問題となるような、例えばバンプピッチが150μm以下と狭ピッチ化したハイエンドICチップのような電子部品の回路基板への実装を行なうことが可能となる。
また、ヘッドツール3において、ロードセル14の荷重検出面である下面に、ヘッドツール先端部3aにおける軸17の上端が、下部フレーム16bと軸17のスプリング受部18に取り付けられて軸17を支えている自重相殺スプリング15により、押圧されて接していることにより、ロードセル14においてヘッドツール先端部3aの上方向に働く荷重を検出することが可能となっている。
これにより、ヘッドツール3に吸着保持された電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接したときに両者の間に発生する当接荷重により、ヘッドツール先端部3aの軸17の上端がロードセル14の荷重検出面を押し上げることにより、この当接荷重をロードセル14にて確実に検出することが可能となる。
従って、この当接荷重の検出により、制御部9において、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接したことを検出することができるとともに、検出された当接荷重により、昇降部21が制御され、昇降部21によりヘッドツール3が微小に下降され、予め設定された当接荷重となるように実際の当接荷重をより正確に制御することができる。よって、複数の電子部品に対し繰り返し回路基板への実装を行う際に、常に予め設定された当接荷重において各電子部品を回路基板に当接させることができ、電子部品の回路基板への接合品質を安定化させることが可能となる。
また、ここでヘッドツール3の伸び量及び縮み量の補正を共に実施する場合、伸び量又は縮み量の補正のいずれか一方のみを実施する場合、さらに、伸び量及び縮み量の補正を共に実施しない場合の実施形態に基づく効果について説明する。
電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接された後、ヘッドツール先端部3aがセラミックヒータ12よりの熱の影響を受け、上下方向に伸ばされることにより、電子部品1と回路基板4の間に発生する当接荷重が影響を受ける。このヘッドツール先端部3aの伸びによる当接荷重への影響荷重は約3kg程度である。この影響荷重をもとにしてヘッドツール先端部3aの伸び及び縮み量それぞれの補正の上記の様々な組み合わせによる効果を以下に説明する。
まず、電子部品1が1000バンプ以上の各電極1aを有するICチップであり、ヘッドツール3の伸び量補正及び縮み量補正を行わない場合において、例えば、電子部品1が2000バンプの電極1aを有するICチップであれば、ヘッドツール先端部3aの伸びによる影響荷重約3kgは1バンプあたり約1.5gとなる。電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接後、ヘッドツール先端部3aの伸び量を利用して、ヘッドツール先端部3aの伸びによる影響荷重を当接荷重とすることにより、1バンプあたり約1.5gの適切な当接荷重を発生させることができ、各半田バンプ1b及び各半田部2の溶融高さのばらつきを少なくさせることが可能となる。
次に、電子部品1が各電極1aに形成された隣接する各半田バンプ1b間の空隙幅が50μm以下と狭いようなICチップであり、ヘッドツール先端部3aの伸び量補正のみを行い、縮み量補正は行わない場合において、ヘッドツール先端部3aの伸び量が補正され、予め設定された適切な当接荷重にて押圧された状態で互いに当接している電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2は溶融された後、冷却によりヘッドツール3が縮みながらこれら溶融された半田が固化される。つまり、溶融された半田が、冷却によるヘッドツール先端部3aの縮み量分だけ引き伸ばされて固化されることとなる。このため、溶融固化後の各半田バンプ1b及び各半田部2は、その形状を鼓形状とすることができ、これにより隣接する各半田バンプ同士の接触を防止することが可能となる。
次に、電子部品1が1000バンプ以上の各電極1aを有するICチップであり、ヘッドツール先端部3aの伸び量補正を行わず、縮み量補正のみを行う場合において、例えば、電子部品1が2000バンプの電極1aを有するICチップであれば、ヘッドツール先端部3aの伸びによる影響荷重約3kgは1バンプあたり約1.5gとなり、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接後、ヘッドツール先端部3aの伸び量を利用して、ヘッドツール先端部3aの伸びによる影響荷重を当接荷重とすることにより、1バンプあたり約1.5gの適切な当接荷重を発生させることができる。この当接荷重によりICチップを所定量押し込み、さらに、ヘッドツール3の縮み量補正を行うことで、ヘッドツール3の吸着ノズル11の先端位置を一定とさせた状態でICチップの半田を固化させることができ、半田冷却後の最終ICチップ背面高さの管理精度を高めることが可能となる。
さらに、電子部品1が1000バンプ未満の各電極1aを有するICチップであり、ヘッドツール先端部3aの伸び量及び縮み量補正をともに行う場合において、例えば、電子部品1が100バンプの電極1aを有するICチップであれば、ヘッドツール先端部3aの伸びによる影響荷重約3kgは1バンプあたり約30gとなり、伸び量補正を行わないと、過剰な荷重が各半田バンプ1bにかかりバンプつぶれが発生するため、ヘッドツール先端部3aの伸び量及び縮み量補正を行い、バンプつぶれのない接合を可能とする。
従って、これらの上記各ケースより、実装される電子部品1の各電極1aに形成される各半田バンプ1b数や、電子部品1に要求される接合精度に応じて、ヘッドツール先端部3aの伸び量及び縮み量の補正を共に実施するか、伸び量又は縮み量の補正のいずれか一方のみを実施するか、又は伸び量及び縮み量の補正をいずれも実施しないかにより、要求される電子部品の接合品質を得ることが可能となる。
また、ステップSP10における吸着ノズル11の温度上昇開始から、ステップSP14におけるヘッドツール3の伸び量補正の動作開始までの間において、
伸び量補正の動作開始の待機動作を行うことにより、例えば、吸着ノズル11への加熱開始初期における不均一な熱伝達又は熱的な外乱等により、ヘッドツール3の伸び量が影響を受けるような場合であっても、上記待機動作により、加熱開始初期における上記影響を排除し、その後、ヘッドツール3の伸び量補正の動作を行うことが可能となる。なお、ヘッドツール3の縮み量補正についても、上記同様な効果を得ることができる。
なお、上記における各荷重の数値は本実施形態における一例としての数値であり、本実施形態はこれらの各数値に限定されるものではない。
また、セラミックヒータ12により加熱されて吸着ノズル11の温度が上昇開始した後、ヘッドツール3による荷重一定制御の状態として、ロードセル14により荷重の検出を行い、この検出荷重の減少を検出したときを各半田の溶融開始と判断して、ヘッドツール3の上記荷重一定制御から、吸着ノズル11の先端高さ位置を一定とする位置制御に切替えることにより、各半田の溶融時においても、吸着ノズル11の先端高さ位置を一定とすることができる。これにより、電子部品1の各半田バンプ1b及び回路基板4の各半田部2が溶融されたとき、吸着ノズル11の先端位置が下がることにより、溶融状態にある各半田バンプ1b及び各半田部2がつぶれてしまうことを防止することができ、各半田の溶融中においても電子部品の背面高さ管理を確実に行うことが可能となる。
さらに、上記におけるヘッドツール3の荷重一定制御の際に、この一定の荷重を、当接検出時における当接荷重以上の荷重として、この荷重を一定制御して電子部品1と回路基板4にかけることにより、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部との当接が検出されたとき、各半田バンプ1bと各半田部2の形成高さのばらつきにより、各半田バンプ1bと各半田2の中において、一部当接が行われていないものがあるような場合であっても、上記一定荷重をかけることにより、各半田バンプ1bと各半田部2の接触性を高めることができ、全ての半田を確実に溶融させることができ、電子部品と回路基板の接合の信頼性を高めることが可能となる。
また、ヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持された電子部品1を回路基板4に接合可能なように位置合わせした後、ヘッドツール先端部3aの軸17を自重相殺スプリング15によりロードセル14の荷重検出面に押圧している押圧荷重を、ロードセル14において検出し、この検出された押圧荷重を制御部9に出力し、制御部9においてこの押圧荷重をロードセル14における荷重ゼロ点と設定することにより、自重相殺スプリング15が熱などの影響を受けそのばね特性が変化し、ロードセル14においてヘッドツール先端部3aによる押圧荷重が変化する場合であっても、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接時における実際の当接荷重と、ロードセル14において検出される当接荷重検出値の間の差異がなくなり、予め設定された当接荷重どおりに実際の当接荷重を制御することができる。よって、複数の電子部品に対し繰り返し回路基板への実装を行う際に、常に予め設定された当接荷重において各電子部品を回路基板に当接させることができ、電子部品の回路基板への接合品質を安定化させることが可能となる。
さらに、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接後、各半田バンプ1bと各半田部2の溶融中に、ヘッドツール3が電子部品1の各半田バンプ1bの整形動作を行うことにより、溶融状態にある電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の互いの濡れ性を向上させることができる。従って、電子部品1の各電極1a上と回路基板4の各パッド4a上への半田の付着性を良好なものとすることができ、電子部品と回路基板の接合の信頼性を高めることが可能となる。
また、電子部品1を回路基板4に当接させる前に、電子部品1の各半田バンプ1bの高さを揃えるレベリング動作を行うことにより、電子部品1の各半田バンプ1bの形成高さにばらつきがあった場合でも、このばらつきをなくし、各半田バンプ1bの高さを均一化することができる。これにより、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2の当接時において、各半田バンプ1bの形成高さのばらつきによる当接荷重制御への影響を無くすことができ、当接荷重の制御性を良好とすることができ、各半田バンプ1bに当接荷重をより均等にかけることができる。よって、電子部品1の各電極1aと回路基板4の各パッド4aを半田を介在させて、より均一な当接荷重で確実に接合することができ、電子部品と回路基板の接合品質を安定化させることが可能となる。
また、電子部品1の回路基板4への接合後の電子部品1の背面高さ精度が要求されるような場合において、レベリング動作を行い、電子部品1の各半田バンプ1bの形成高さを均一化することにより、回路基板4へ実装後の電子部品1の背面高さを安定化させることが可能となる。なお、このレベリング動作は、例えば各半田バンプ1bを1000バンプ以上有する電子部品1に対して施すことにより、より接合品質を安定化させることができ効果的である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる電子部品の実装方法は、複数の種類の電子部品を回路基板に異なる方法で混載実装する電子部品の実装方法である。
これら複数の種類の電子部品のうちの1つの種類の電子部品である第1電子部品は、従来の一括リフロー実装方法において、電子部品が仮接合された回路基板を半田リフロー作業部に搬送する際に回路基板に対する電子部品の接合位置ずれが発生した場合であっても、電子部品の各電極に形成された各半田バンプはバンプピッチが大きく形成されているため、この接合位置ずれが電子部品の回路基板への接合不良となり難いような汎用電子部品であり、例えば、汎用電子部品の各電極に形成されたバンプのバンプピッチが150μmより大きいような汎用電子部品31である。さらに、別の種類の電子部品である第2電子部品は、上記従来の一括リフロー実装方法においては、上記接合位置ずれが電子部品の回路基板への接合不良となるような高い接合位置精度が要求されるハイエンド電子部品であり、例えば、±5μm以下といった接合位置精度が要求されるようなバンプピッチが150μm以下のハイエンドICチップのようなハイエンド電子部品41である。これら各電子部品に対して、従来の一括リフロー実装方法により、複数の汎用電子部品31を回路基板上に実装し、その後、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により、ハイエンド電子部品41を回路基板上に実装する。
以下に、本発明の第2の実施形態にかかる電子部品の実装方法について、図12及び図13を用いて詳細に説明する。
図12(a)に示すように、四角形プレート状の回路基板34は上面に複数の電極であるパッド34a及び34bを有しており、各パッド34aは各汎用電子部品31に接合可能であり、各パッド34bはハイエンド電子部品41に接合可能となっている。各汎用電子部品31に接合可能な回路基板34の各パッド34a上にフラックスを供給ノズル35より供給し、フラックス部32を各パッド34a上に形成する。
次に、図12(b)において、四角形プレート状の汎用電子部品31の複数の電極31a上に接合材である半田バンプ31bが形成されており、汎用電子部品31の各電極を有さない面である背面を、部品保持部材の一例であるツール33により吸着保持し、汎用電子部品31の各半田バンプ31bを回路基板34の各パッド34a上に形成された各フラックス部32に接合可能なように、汎用電子部品31を回路基板34に対して位置合わせする。その後、汎用電子部品31を吸着保持しているツール33を下降させ、汎用電子部品31の各半田バンプ31bを回路基板34の各パッド34aに各フラックス部32を介して押圧し、仮接合する。各汎用電子部品31に対して、これら上記の作業を繰り返して行い、各汎用電子部品31を回路基板34に仮接合する。
次に、各汎用電子部品31が仮接合された回路基板34を、半田リフロー作業部に搬送し、図12(c)に示すように、半田リフロー作業部において各汎用電子部品31と回路基板34が熱源により加熱され、各汎用電子部品31の各半田バンプ31bが溶融される。
その後、図12(d)に示すように、加熱された各汎用電子部品31及び回路基板34が冷却され、溶融された各汎用電子部品31の各半田バンプ31bが固化し、各汎用電子部品31の各電極31aを回路基板34の各パッド34aに各半田バンプ31bを介在させて本接合され、一括して各汎用電子部品31が回路基板34に実装される。
次に、図13(e)に示すように、各汎用電子部品31が実装された回路基板34におけるハイエンド電子部品41に接合可能な各パッド34b上に、フラックスを供給ノズル45より供給し、フラックス部42を各パッド34b上に形成する。
次に、図13(f)において、四角形プレート状のハイエンド電子部品41の複数の電極41a上に半田バンプ41bが形成されており、ハイエンド電子部品41の各電極41aを有さない面である背面を、ヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持し、ハイエンド電子部品41の各半田バンプ41bを回路基板34の各パッド34b上に各フラックス部42を介して接合可能なように、ハイエンド電子部品41を回路基板34に対して位置合わせする。
その後、図13(g)に示すように、ハイエンド電子部品41を吸着保持しているヘッドツール3の吸着ノズル11を下降させながら、ハイエンド電子部品41の各半田バンプ41bを回路基板34の各パッド34bに各フラックス部42を介して当接させる。この当接の後、ヘッドツール3のセラミックヒータ12により回路基板34の各フラックス部42に当接しているハイエンド電子部品41の各半田バンプ41bが加熱されて溶融する。その後、セラミックヒータ12による加熱を停止した後、溶融状態の半田に冷却ブローノズル19からのブローによる冷却を施すことにより、溶融された各半田バンプ41bが固化され、ハイエンド電子部品41の各電極41aと回路基板34の各パッド34bが、各半田バンプ41bに接合される。なお、溶融状態の半田への冷却ブローノズル19による強制的な冷却に代えて、溶融された半田を自然冷却することにより半田を固化させてもよい。
その後、図13(h)に示すように、ヘッドツール3の吸着ノズル11によるハイエンド電子部品41への吸着保持を解除し、ヘッドツール3を上昇させる。
以上のような電子部品の実装方法により、各汎用電子部品31とハイエンド電子部品41は、回路基板34に混載して実装されることとなる。
なお、上記においては、接合材が汎用電子部品31の各電極31aに予め形成された各半田バンプ31b、及びハイエンド電子部品41の各電極41aに予め形成された各半田バンプ41bである場合について説明したが、接合材が汎用電子部品31の各電極31aに予め形成された各半田バンプ及びハイエンド電子部品41の各電極41aに予め形成された各半田バンプ及び回路基板34の各パッド34a及び34b上に予め形成された各半田部であってもよい。
さらに、フラックスの供給場所は汎用電子部品31の各電極31a上、ハイエンド電子部品41の各電極41a上、回路基板34の各パッド34a及び34b上、又は接合材である各半田バンプ若しくは各半田部のいずれの場合であってもよいし、フラックスを供給しない場合であってもよい。なお、塗布供給されたフラックスの種類により、汎用電子部品31及びハイエンド電子部品41を回路基板34に実装後、塗布供給されたフラックスを洗浄による除去を行う場合もある。
上記第2の実施形態によれば、電子部品の各電極に形成されたバンプのバンプピッチが150μmより大きいような汎用電子部品31と、バンプのピッチが150μm以下のハイエンドICチップのようなハイエンド電子部品41を混載して回路基板34上に実装するような場合において、高い接合位置精度が要求されない各汎用電子部品31を従来の一括リフロー実装方法により回路基板34に実装した後、高い接合位置精度が要求されるハイエンド電子部品41を上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により、汎用電子部品31が実装されている回路基板34上に実装する。
各汎用電子部品31の回路基板34への実装方法において、各汎用電子部品31が仮接合された回路基板34を半田リフロー作業部に搬送する際に回路基板34に対する各汎用電子部品31の接合位置ずれが発生した場合であっても、汎用電子部品31の各電極31aに形成された各半田バンプ31bはバンプピッチが150μmより大きく形成されているため、この接合位置ずれが各汎用電子部品31の回路基板34への接合不良となり難く、また、各汎用電子部品31の回路基板34への実装方法においては、接合位置精度を高めることではなく、実装コストを抑えることが要求されている。
よって、各汎用電子部品31は、回路基板34上に個別に仮接合された後、一括して半田を溶融して各汎用電子部品31を回路基板34に本接合して実装することができ、実装作業を効率的に行うことができるため、各汎用電子部品31の回路基板34への実装コストを抑えることができる。
一方、ハイエンド電子部品41は、ハイエンド電子部品41の各半田バンプ41bと回路基板34の各フラックス部42の当接から、半田溶融後の固化まで、ハイエンド電子部品41をヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持することにより、接合位置ずれが発生せず、ハイエンド電子部品41を回路基板34に高い接合位置精度を持って実装することができる。
従って、汎用電子部品31とハイエンド電子部品41を混載して回路基板34に実装する場合における電子部品の実装方法において、要求される各電子部品の接合位置精度に応じて、各電子部品の実装方法を使い分けることにより、生産性と接合品質を両立させることが可能となる。
さらに、本発明の第3の実施形態にかかる電子部品の実装方法に用いられる実装装置は、電子部品を回路基板に加圧する加圧機構をヘッドツールがさらに備え、この加圧機構の一例である大小2つの空圧シリンダをヘッドツールが有するようなローカルリフロー実装装置にも使用可能なヘッドツールを用い、このヘッドツールを有する電子部品の実装装置にて上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により電子部品の実装が行なえ、かつローカルリフロー実装方法にも対応可能な電子部品の実装装置である。
このヘッドツールの構造を詳細に説明すると、図14において、ヘッドツール50は、電子部品1への吸着保持、加熱等の動作を施すヘッドツール先端部50aと、ヘッドツール先端部50aを支持し、ヘッドツール50に対する昇降動作が施されるヘッドツール本体部50bにより構成され、ヘッドツール先端部50aは小シリンダ58、ヘッドツール本体部50bは大シリンダ61をそれぞれ同軸上に有している。
図14において、ヘッドツール先端部50aは、先端側より、電子部品1を吸着保持可能な吸着ノズル51と、この吸着ノズル51に吸着保持された電子部品1を加熱するセラミックヒータ52と、このセラミックヒータ52よりの熱がヘッドツール本体部50bへ伝わらない様に熱遮断を行うウォータージャケット53と、このウォータージャケット53の上端に取り付けられた軸57、及び軸57の上部に設けられた小シリンダ58とにより構成され、さらに、セラミックヒータ52により加熱された電子部品1をブローにより冷却する冷却ブローノズル70が軸57の下部周囲に取り付けられている。
また、図14において、ヘッドツール本体部50bは、ヘッドツール先端部50aを支えるフレーム56と、フレーム56の上部に設けられた大シリンダ61と、大シリンダ61の下部に取り付けられたロードセル54とにより構成されている。
フレーム56は剛体により形成された概略コ字状の形状となっており、大シリンダ61が設けられた上部フレーム56aと、ヘッドツール先端部50aの軸57を、その軸57の側部に設けられた円環突起状のスプリング受部68の下部に軸57の外周を巻くように取り付けられた弾性体である自重相殺スプリング55を介して支え、かつ軸57の上下動を案内する下部フレーム56bと、上部フレーム56a及び下部フレーム56bを支える円筒形状の中間フレーム56cにより構成されている。
軸57は、その軸方向における中間付近に段部57cを有しており、この段部57cを境として、軸57の軸下部57bは軸上部57aよりも小径の軸となっている。さらに、この軸下部57bは、軸57を自重相殺スプリング55を介して支えている下部フレーム56bに形成された孔56dを貫通しており、この下部フレーム56bの孔56dが、軸57の上下動を案内可能に、かつ軸57の軸上部57aの径よりも小径となるように形成されている。これにより、軸57は、自重相殺スプリング55を介して下部フレーム56bの孔56dに案内されて上下動が可能であり、また、自重相殺スプリング55が破損等により軸57を支持することができなくなったような場合においても、下部フレーム56bの孔56dの周囲部が軸57の段部57cで軸57を支えることができ、軸57が落下しないようになっている。
さらに、軸下部57bがボールスプラインの外輪と軸を備え、下部フレーム56bが孔56dの内側にベアリングを備え、上記ベアリングの内側に上記ボールスプラインの外輪が取り付けられていることにより、軸57は、下部フレーム56bに支持されながら軸を中心として回転可能であり、かつ軸方向に上下動可能とすることもできる。
また、中間フレーム56cは、その円筒形状の両端を昇降部21のナット部21bに固定されており、昇降部21においてナット部21bに螺合したボールねじ軸21aをモータ21mにより回転させることにより、中間フレーム56cが昇降動作され、これによりフレーム56が昇降動作され、ヘッドツール50全体が昇降動作されるように構成されている。
また、小シリンダ58は、軸57の軸上部57aに形成されている小シリンダ58の円筒状のガイド60と、このガイド60の内側に配置されかつガイド60の内側に案内されてガイド60内で上下に動く円柱状のロッド59を備えており、ガイド60の内面とロッド59の下面で囲まれた加圧空気供給室65に対して圧縮空気が給排気可能に構成されている。
また、大シリンダ61は、上部フレーム56aの端部に形成されている大シリンダ61の円筒状のガイド63と、このガイド63の内側に配置されかつガイド63の内側に案内されてガイド63内で上下に動く円柱状のロッド62を備えており、さらに、ロッド62はその下部である細首部62bの下端をロードセル54の上面に取り付けられている。さらに、大シリンダ61はガイド63の内面とロッド62の上面で囲まれた加圧空気供給室66を備えており、この加圧空気供給室66に対して圧縮空気が給排気可能と構成されている。
また、吸着ノズル51、セラミックヒータ52、ウォータージャケット53、軸57、小シリンダ58のガイド60、ロッド59、ロードセル54、大シリンダ61のガイド63、及びロッド62は同軸上に配置されており、この同軸上にて大シリンダ61のロッド62及び小シリンダ58のロッド59は上下動を行い、さらに、この軸は、昇降部21の昇降動作軸と平行となるように配置されているため、昇降部21による昇降動作により、上記同軸上に配置されているヘッドツール50を構成する各部は、上記同軸上において、昇降動作可能となっている。
また、下部フレーム56bに自重相殺スプリング55を介して支えられているヘッドツール先端部3aにおいて、小シリンダ58のロッド59がその上端をロードセル54の荷重検出面である下面に当接可能となっており、小シリンダ58のロッド59の上端がロードセル54に当接することにより、ロードセル54において、ロードセル54の荷重検出面である下面に上方向に働く荷重が検出可能となっている。
さらに、大シリンダ61において、ロッド62は、軸方向の中央部である円柱状の側面の外周に溝状の凹部62aを有しており、ガイド63は、その円筒状の側面にロッド62の凹部62aと合致可能な位置に孔63aを有している。さらに、このガイド63の孔63aを貫通可能な棒体の一例である棒状のストッパー64が、ガイド63の外側に設けられた棒体駆動機構の一例であるストッパー駆動シリンダ67により、ガイド63の外側からガイド63の孔63aを貫通し、ロッド62の凹部62aにはめ込み可能に形成されており、ストッパー駆動シリンダ67によりストッパー64をガイド63の孔63aを貫通させてロッド62の凹部62aの内側にはめ込むことにより、大シリンダ61のロッド62の上下動を制限可能としており、大シリンダ61のロッド62の動作の制限を行う制限機構の一例が上記の様に構成されている。なお、ロッド62の凹部62aの内側の軸方向の幅は、ストッパー64の上記軸方向の幅よりも少し大きくなっており、この凹部62aの内側にストッパー64がはめ込まれた状態、つまり、ロッド62の上下動が制限された状態において、凹部62aの内側の幅が大きい分だけ、凹部62aを有するロッド62は多少上下動可能となっている。
また、大シリンダ61、小シリンダ58、及びストッパー駆動シリンダ67はそれぞれ圧縮空気給排気機構の一例である圧縮空気給排気部69A、69B、及び69Cに接続されており、各圧縮空気給排気部69A、69B、及び69Cは、圧縮空気の給気を行う給気部と、圧縮空気の排気を行う排気部と、上記給気部よりの給気と上記排気部よりの排気を切り替える切替弁、及び上記切替弁より各シリンダに接続されている圧縮空気の給排気ラインとにより構成されている。
また、軸57の下部周囲である軸下部57bの周囲に取り付けられている冷却ブローノズル70は、軸57の下に位置するウォータージャケット53及びセラミックヒータ52の両側を回り込むように形成され、さらに、冷却ブローノズル70の先端は吸着ノズル51の下面である電子部品吸着保持面に向けられており、冷却ブローノズル70よりのブローが吸着ノズル51に吸着保持された電子部品1を冷却可能となっている。
また、制御部9は、吸着ノズル51の吸着動作、セラミックヒータ52の加熱動作、大シリンダ61及び小シリンダ58及びストッパー駆動シリンダ67に接続されている各圧縮空気給排気部69Aから69Cの給排気動作、及び昇降部21の移動動作を制御し、また、ロードセル54にて検出された荷重が制御部9に出力されるように構成されている。
次に、上記第3の実施形態におけるヘッドツール3の動作について、図14及び図15を用いて説明する。
まず、ヘッドツール3を上記第1の実施形態におけるローカルリフロー実装方法において用いる場合は、図14において、小シリンダ58における加圧空気供給室65に圧縮空気給排気部69Aにより圧縮空気を給気して、この給気された圧縮空気の圧力によりガイド60内でロッド59をガイド60の内面に沿って上方向に移動させ、ロッド59の上端をロードセル54の下面に当接させ、さらに、ロードセル54を介して大シリンダ61におけるロッド62を押し上げ、ガイド63内でロッド62をガイド63の内面に沿って上方向に移動させる。このとき、大シリンダ61のロッド62の上下動制限用のストッパー64は、ロッド62の凹部62aの内側にはめ込まれておらず、ストッパー64がオフの状態となっており、ロッド62はガイド63の内面に沿ってガイド63内で自由に上下動可能な状態となっている。
次に、押し上げられ上方向に移動させられた大シリンダ61のロッド62の上面がガイド63の内側上面に当接し、ロッド62がガイド63の内面に沿ったロッド62の上下動の上端まで到達した後、図15に示すように、オフ状態となっている大シリンダ61のロッド62の上下動制限用のストッパー64を、圧縮空気給排気部69Cによりストッパー駆動シリンダ67に圧縮空気を供給することにより、ガイド63の孔63aを貫通させながらロッド62の凹部62aの内側にはめ込み、ストッパー64をオンの状態とさせる。
その後、小シリンダ58における加圧空気供給室65への圧縮空気給排気部69Aによる圧縮空気の給気を停止し、大シリンダ61における加圧空気供給室66に圧縮空気給排気部69Bにより圧縮空気を給気しながら、小シリンダ58における加圧空気供給室65から圧縮空気給排気部69Aにより圧縮空気を排気し、加圧空気供給室66に給気された圧縮空気の圧力により、大シリンダ61のロッド62が押し下げられ、ロッド62の下部である細首部62bの下端に取り付けられたロードセル54が下方へ移動され、これによりロードセル54の下面に上端を当接している小シリンダ58のロッド59がロードセル54を介して押し下げられ、下方に移動される。
その後、小シリンダ58のロッド59の下端が、ガイド60の内側下端に当接し、この当接によりロッド59はガイド60を形成している軸57と一体構造となる。さらに、ロッド59が下方に押圧されることで、自重相殺スプリング55を介して下部フレーム56bに支えられているヘッドツール先端部50a全体が押し下げられ、自重相殺スプリング55がこの押し下げられる荷重により縮んだ状態となる。その後、大シリンダ61において、押し下げられたロッド62の凹部62aの内側上面が、ストッパー64の上部に当接し、この当接した位置にて、加圧空気供給室66に給気された圧縮空気の圧力により、ロッド62は下方へ押圧され固定された状態となる。なお、ロッド62とストッパー64の当接時の衝撃緩和のために、ロードセル54にて検出される荷重により、圧縮空気給排気部69Bにおいて加圧空気供給室66への圧縮空気の給気量が段階的に制御される。
なお、ここで、ロッド62の凹部62aの内側の軸方向の幅と、ストッパー64の上記軸方向の幅の関係をさらに詳細に説明すると、両者の幅の関係は、小シリンダ58のロッド59が押し上げられ、ロッド59がガイド60の内面に沿ってガイド60内で上方向に移動され、これにより大シリンダ61のロッド62がロードセル54を介して押し上げられ、ガイド63の内面に沿ってガイド63内で上方向に移動された後、ロッド62がロッド62の上面をガイド63の内側上面に当接するまで移動されたときに、ロッド62の凹部62aの内側にストッパー64をはめ込むことが可能であり、かつ、その後、大シリンダ61のロッド62が押し下げられ、ガイド63の内面に沿ってガイド63内で下方へ移動され、これにより小シリンダ58のロッド59がロードセル54を介して押し下げられ、ガイド60の内面に沿ってガイド60内で下方に移動され、ロッド59の下端がガイド60の内側下端に当接し、さらにロッド59が押圧されることにより、自重相殺スプリング55がこの押圧される力で縮められた状態とすることができ、この状態において、ロッド62の凹部62aの内側上面がストッパー64の上部に当接するように構成されている。
上記のような状態におけるヘッドツール50において、吸着ノズル51に電子部品1を吸着保持し、電子部品1と回路基板4の位置合わせの後、電子部品1を吸着ノズル51により吸着保持したままヘッドツール50が昇降部21により下降され、電子部品1の各半田バンプ1bが回路基板4の各半田部2に当接する。このとき、発生する当接荷重により、ヘッドツール先端部50aの上部における軸57と一体構造となっている小シリンダ58のロッド59の上端が、ロードセル54の荷重検出面を押圧することにより、ロードセル54において当接荷重が検出可能となる。
このようにしてロードセル54において当接荷重を検出することにより、電子部品1の各半田バンプ1bと回路基板4の各半田部2が当接したことを検出するとともに、ロードセル54より検出された当接荷重が制御部9に出力され、制御部9において予め設定された当接荷重となるように、制御部9により昇降部21が制御され、ロードセル54により検出される当接荷重が予め設定された当接荷重となるように昇降部21が制御される。
次に、ヘッドツール50を従来のローカルリフロー実装方法において用いる場合は、図15において、上記第1の実施形態におけるローカルリフロー実装方法において用いられていた状態にあるヘッドツール50は、ストッパー64がオンされており、大シリンダ61における加圧空気供給室66に圧縮空気給排気部69Bにより圧縮空気が給気されている。
まず、この加圧空気供給室66への圧縮空気給気量を圧縮空気給排気部69Bにより段階的に減らして圧縮空気の給気を停止させた後、小シリンダ58における加圧空気供給室65に圧縮空気給排気部69Aにより圧縮空気の給気を開始する。これにより、図14に示すように、小シリンダ58のロッド59が押し上げられ、ガイド60内でロッド59がガイド60の内面に沿って上方向に移動され、ロッド59の上端がロードセル54の下面に当接し、さらに、ロードセル54を介して大シリンダ61におけるロッド62が押し上げられ、ガイド63内でロッド62がガイド63の内面に沿って上方向に移動する。
その後、ロッド62の凹部62aの内側にはめ込まれているストッパー64を、圧縮空気給排気部69Cによりストッパー駆動シリンダ67に供給されていた圧縮空気を排気することにより、ロッド62の凹部62aの内側から抜き取り、オンされているストッパー64をオフとする。
上記のような状態におけるヘッドツール50において、吸着ノズル51に電子部品1を吸着保持し、電子部品1と回路基板4の位置合わせの後、電子部品1を吸着ノズル51により吸着保持したままヘッドツール50が昇降部21により下降され、大シリンダ61の加圧空気供給室66、又は小シリンダ58の加圧空気供給室65に圧縮空気給排気部69A又は69Bにより圧縮空気が給気されることにより、ヘッドツール先端部50aが押し下げられ、電子部品1の各半田バンプ1bが回路基板4の各半田部2に押圧される。このとき、電子部品1を吸着保持している吸着ノズル51が回路基板4を押圧する荷重は、大シリンダ61における加圧用空気供給室66、又は小シリンダ58における加圧用空気供給室65に圧縮空気給排気部69A又は69Bにより給気された圧縮空気の圧力により、ロッド62、又はロッド59を介してロードセル54によって検出される押圧荷重が軸57を介して吸着ノズル51に伝わることにより発生される。なお、この場合、圧縮空気の圧力とロッド62、又はロッド59の上面の面積の積が押圧荷重となる。大きな押圧荷重を必要とする場合は大シリンダ61を用い、小さな押圧荷重を必要とする場合は小シリンダ58を用いる。
また、上記においてはヘッドツール50が大小2つのシリンダを有する場合について説明したが、要求される押圧荷重がある程度の範囲に限定される場合は、1つのシリンダのみを有するヘッドツールにより、上記同様に電子部品の実装を行うことができる。
上記第3の実施形態によれば、ローカルリフロー実装装置にて用いられているタイプの空圧シリンダを有するヘッドツール3が、空圧シリンダを固定するための手段、例えば上記のように大シリンダ61のロッド62の凹部62aとストッパー64を有し、電子部品の実装装置がこのようなヘッドツール3を備えることにより、従来のローカルリフロー実装方法、及び上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法の両方の実装方法により、電子部品1を回路基板4に実装することが可能となる。
これにより、例えば、電子部品1が高い接合精度が要求されないような汎用電子部品であり、この汎用電子部品を回路基板4へ実装する場合は、大シリンダ61のロッド62にストッパー64をオフとし、ガイド63内でロッド62が自由に上下動可能な状態とさせる。その後、大シリンダ61の加圧空気供給室66、又は小シリンダ58の加圧空気供給室65に圧縮空気を給気することにより、給気された圧縮空気の圧力を利用して、ロッド62、又はロッド59を介してロードセル54によって検出される押圧荷重が軸57を介して吸着ノズル51に伝わり、吸着ノズル51が押し下げられることにより、高い実装速度でもって、従来のローカルリフロー実装方法により、電子部品を実装することが可能となる。
それとともに、例えば、電子部品1が高い接合精度が要求されるようなハイエンド電子部品であり、このハイエンド電子部品を回路基板4へ実装する場合は、大シリンダ61におけるロッド62の凹部62aの内側にストッパー64をオンさせ、大シリンダ61の加圧空気供給室66に圧縮空気を供給することにより、ロッド62を下方に押し下げ、押し下げられたロッド62の凹部62aの内側上面を、ストッパー64の上部に当接させることにより、ロードセル54、ロッド62、ガイド63、及び上部フレーム56aを一体構造の状態とさせるとともに、大シリンダ61のロッド62によりロードセル54を介して小シリンダ58のロッド59が押し下げられることにより、ロッド59の下端がガイド60の内側下端に当接され、ヘッドツール先端部50a全体が一体構造の状態とされ、さらに押し下げられることで、自重相殺スプリング55を介して、ヘッドツール先端部50a全体が押し下げられた状態とさせることにより、上記ヘッドツール50を上記第1の実施形態におけるヘッドツール3と同様な構造状態のヘッドツールとさせることができる。このような状態のヘッドツール50において、昇降部21によるヘッドツール50の下降動作により、電子部品と回路基板の当接をロードセル54にて検出し、検出された当接荷重が予め設定された当接荷重となるように制御部9にて昇降部21が制御されることにより、高い接合精度でもって、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により、電子部品を実装することが可能となる。従って、電子部品に要求される回路基板への接合精度により実装方法を使い分けることができ、生産性と接合品質を両立させることが可能となる。
さらに、ヘッドツール50を上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法に対応可能な状態にあるストッパー64がオンされたヘッドツール50において、自重相殺スプリング55の縮み高さを一定の高さに管理することにより、吸着ノズル51の先端高さを一定に保つことができ、これにより電子部品1を回路基板4に当接させる際に、当接荷重制御を安定して行うことができ、電子部品の接合品質を安定させることが可能となる。
このため、上記第3の実施形態においては、ヘッドツール50において、大シリンダ61を構成している各構成部品の寸法精度とは別に、大シリンダ61のロッド62に設けた凹部62aとストッパー64の寸法精度を高め、さらに、ストッパー64のロッド62の凹部62aの内側へのはめ込み位置を大シリンダ61のガイド63の外側にて調整可能とすることにより、上記の自重スプリング55の縮み高さを一定の高さに管理することを可能としている。
さらに、本発明の第4の実施形態にかかる電子部品の実装方法に用いられる実装装置は、図16に示すように、電子部品を吸着保持し回路基板上に実装する上記第3の実施形態におけるヘッドツール50を備え、上記第1の実施形態の電子部品実装装置201における電子部品が実装される回路基板を固定するステージ7を2つ備えるデュアルステージ仕様の電子部品実装装置202である。
図16に示すように、電子部品実装装置202において、ウェハに格子状に形成された複数のICチップ73がICチップ供給部73に、複数のハイエンド電子部品71がパーツトレー5Aに、複数の汎用電子部品72がパーツトレー5Bにそれぞれ供給されて配置されている。また、パーツトレー5A及びパーツトレー5Bは、ステージ7A及びステージ7Bが固定されているスライドベース6A及び6B上に固定されている。なお、ハイエンド電子部品71及び汎用電子部品72は、上記第2の実施形態におけるハイエンド電子部品41及び汎用電子部品31と同様であり、ICチップ73は、ハイエンド電子部品71と同様に高い接合位置精度が要求される電子部品の一例である。
また、ICチップ73、ハイエンド電子部品71、及び汎用電子部品72が実装される複数の回路基板4Aが、回路基板供給部76に供給されており、回路基板4Aの吸着保持による移動動作を行うローダー77により、この回路基板供給部76からの回路基板4Aの取出し及び各ステージ7A及び7Bへの回路基板4Aの供給が可能となっており、さらに、各電子部品が実装された回路基板4Aの各ステージ7A及び7Bからの取出し及び回路基板排出部78への回路基板4Aの排出も可能となっている。
また、上記第1の実施形態における電子部品実装装置201と同様に、ヘッドツール50はX方向移動機構22及び昇降部21により、各スライドベース6A及び6Bは各Y方向移動機構23により、それぞれ移動動作が可能となっている。
また、ICチップ供給部74に供給されているICチップ73は、各電極を有する面を上面に配置されており、反転機構の一例である吸着反転部75により各電極を有する面が吸着保持され、ICチップ73を吸着保持したままの状態で吸着反転部75が回転され、ICチップ73の各電極を有さない面である背面を上面とすることにより、このICチップ73の背面をヘッドツール50により吸着保持可能となる。
次に、このような構成の電子部品実装装置202において、ICチップ73、ハイエンド電子部品71、及び汎用電子部品72を回路基板4Aに実装する場合について説明する。
まず、回路基板供給部76より、ローダー77により回路基板4Aを吸着保持して取り出し、各回路基板4Aを各ステージ7A及び7Bに供給し、固定する。次に、吸着反転部75を移動させ、ICチップ供給部74の中に配置されている1つのICチップ73を、吸着反転部75により吸着保持可能なように、吸着反転部75をそのICチップ73に対し位置合わせを行い、吸着反転部75を下降させ、ICチップ73を吸着保持し、上昇させて、ICチップ供給部74よりICチップ73を取り出す。それとともに、ヘッドツール50によりパーツトレー5Aにてハイエンド電子部品71を吸着保持して取り出し、ステージ7Aに固定されている回路基板4A上にハイエンド電子部品71を実装する。このとき、ヘッドツール50の大シリンダ61におけるロッド62の凹部62aの内側にストッパー64がオンされており、ヘッドツール本対部50b及びヘッドツール先端部50aがそれぞれ一体構造の状態となっており、ヘッドツール50は上記第3の実施形態における上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法に対応可能な状態となっている。
その後、吸着反転部75により吸着保持されているICチップ73を、吸着反転部75を回転させることにより、ICチップ73の背面を上面とさせる。それとともに、ヘッドツール50によりパーツトレー5Aにてハイエンド電子部品71を吸着保持して取り出し、ステージ7Bに固定されている回路基板4A上にハイエンド電子部品71を実装する。その後、ヘッドツール50を吸着反転部75の上方に移動させ、吸着反転部75により吸着保持されているICチップ73の背面をヘッドツール50により吸着保持するとともに、吸着反転部75によるICチップ73への吸着保持を解除し、ICチップ73の吸着反転部75からヘッドツール50への受け渡しを行う。その後、ヘッドツール50により、ステージ7Aに固定されている回路基板4AにICチップを実装する。
さらに、その後、ヘッドツール50によりパーツトレー5Bにて汎用電子部品72を吸着保持して取り出し、ステージ7Aに固定されている回路基板4A上に汎用電子部品72を実装する。それとともに、ICチップ供給部73から吸着反転部75によりICチップ73を吸着保持して取り出す。このとき、ヘッドツール50の大シリンダ61におけるロッド62の凹部62aの内側にはストッパー64がオフの状態となっており、ヘッドツール50は上記第3の実施形態における従来のローカルリフロー実装方法に対応可能な状態となっている。
その後、ヘッドツール50によりパーツトレー5Bにて汎用電子部品72を吸着保持して取り出し、ステージ7Bに固定されている回路基板4A上に汎用電子部品72を実装する。それとともに、吸着反転部75により吸着保持されているICチップ73を、吸着反転部75を回転させることにより、ICチップ73の背面を上面とさせる。その後、上記と同様に、ヘッドツール50を吸着反転部75の上方に移動させ、吸着反転部75により吸着保持されているICチップ73の背面をヘッドツール50により吸着保持するとともに、吸着反転部75によるICチップ73への吸着保持を解除し、ICチップ73の吸着反転部75からヘッドツール50への受け渡しを行う。その後、ヘッドツール50により、ステージ7Bに固定されている回路基板4AにICチップを実装する。このヘッドツール50によるICチップ73の回路基板4Aへの実装とき、ヘッドツール50の大シリンダ61におけるロッド62の凹部62aの内側にストッパー64が再びオンされた状態となり、ヘッドツール50は上記第3の実施形態における上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法に対応可能な状態となっている。
さらに、その後、各ICチップ73、各ハイエンド電子部品71、及び各汎用電子部品72が実装された各回路基板4Aを、ローダー77により、各ステージ7A及び7Bより取り出し、回路基板排出部78へ排出する。
複数の回路基板4Aに対して、各回路基板4A毎に、これら上記の作業を繰り返して行い、各回路基板4A上に、ICチップ73、ハイエンド電子部品71、及び汎用電子部品72が実装される。
上記第4の実施形態によれば、回路基板4Aに実装される電子部品が、例えば、ICチップ73、ハイエンド電子部品71、及び汎用電子部品72のように、多種の電子部品である場合においても、電子部品実装装置202が上記第3の実施形態のヘッドツール50を備えていることにより、この電子部品実装装置202のみで、従来のローカルリフロー実装方法、及び上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法の両方に対応することができるため、高い接合精度が要求されるハイエンド電子部品71及びICチップ73に対しては、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により高い接合精度をもって、また、高い接合精度が要求されない汎用電子部品72に対しては、従来のローカルリフロー実装方法により高い実装速度でもって、各電子部品を回路基板4Aに実装することができる。従って、要求される各電子部品の接合精度に応じて、各電子部品の実装方法を使い分け、生産性と接合品質を両立可能な電子部品の実装装置を提供することが可能となる。
さらに、電子部品実装装置202が各回路基板4Aを固定するステージを複数、例えば、2つのステージ7A及び7Bを備えることにより、同じ実装方法が要求される各電子部品に対して、各回路基板4A上へ上記各電子部品を実装した後、別の実装方法が要求される別の各電子部品に対して、各回路基板4A上へ上記別の各電子部品を実装することができるため、各電子部品に要求される実装方法を切替えるために必要な動作であるヘッドツール50のロッド62の凹部62aへのストッパー64のオン及びオフの動作回数を少なくすることができ、このストッパー64のオン及びオフの動作による電子部品の実装作業に対する時間ロスを少なくすることができ、電子部品の実装作業に要する時間を短縮化することが可能となる。
次に、本発明の第5の実施形態は、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法と従来の電子部品の実装方法である超音波実装方法を様々な順序で混在させることにより、様々な種類の電子部品の実装を行うものである。ここで超音波実装方法とは、接合母材の表面、つまり電子部品の各電極や回路基板の各電極等の各表面に超音波振動を付与することによって、電子部品の各電極と回路基板の各電極との接触面に摩擦を起こさせ、その摩擦熱で接合する電子部品の実装方法である。上記本発明の第5の実施形態について、以下の各実施例をもとに説明する。
まず、本発明の第5の実施形態における第1の実施例は、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により回路基板上にハイエンド電子部品の実装を行った後、上記ハイエンド電子部品が実装された上記回路基板に超音波実装方法により、電子部品の実装を行うものである。
まず、上記第1の実施例における電子部品の実装方法を行う電子部品実装装置203について説明する。
図17に示すように、電子部品実装装置203は、ハイエンド電子部品を吸着保持し回路基板に実装する上記第1の実施形態におけるヘッドツール3と、超音波実装方法により電子部品を実装する超音波ツール113を備え、回路基板104はスライドベース6上に固定されたステージ7に固定されている。また、ハイエンド電子部品の一例であるウェハに格子状に形成された複数のICチップ101がICチップ供給部73に供給されており、超音波実装方法により回路基板104に実装される複数の電子部品111がパーツトレー5に供給されて配置されている。
また、ICチップ101、及び電子部品111が実装される複数の回路基板104が、回路基板供給部76に供給されており、回路基板104の吸着保持による移動動作を行うローダー77によりこの回路基板供給部76からの回路基板104の取出し及びステージ7への回路基板104の供給が可能となっており、さらに、各電子部品が実装された回路基板104のステージ7からの取出し及び回路基板排出部78への回路基板104の排出も可能となっている。
また、上記第1の実施形態における電子部品実装装置201と同様に、ヘッドツール3はX方向移動機構22及び昇降部21により、超音波ツール113もこのX方向移動機構22及び昇降部21Aにより、さらに、各スライドベース6はY方向移動機構23により、それぞれ移動動作が可能となっている。
また、ICチップ供給部74に供給されているICチップ101は、各電極を有する面を上面に配置されており、吸着反転部75により各電極を有する面が吸着保持され、ICチップ101を吸着保持したままの状態で吸着反転部75が回転され、ICチップ101の各電極を有さない面である背面を上面とすることにより、このICチップ101の背面をヘッドツール3により吸着保持可能となる。
次に、このような構成の電子部品実装装置203において、ICチップ101、及び電子部品111を回路基板104に実装する場合における上記第1実施例の電子部品の実装方法について、詳細に説明する。
図18(a)に示すように、四角形プレート状の回路基板104は上面に複数の電極であるパッド104a及び104bを有しており、各パッド104aはICチップ101の複数の電極101aに接合可能であり、各パッド104bは電子部品111の複数の電極111aに接合可能となっている。
図17において、このような回路基板104が複数供給されている回路基板供給部76より、ローダー77により回路基板104を吸着保持により取り出し、ステージ7に供給し、固定する。
次に、図17において、吸着反転部75を移動させ、ICチップ供給部74の中に配置されている四角形プレート状の1つのICチップ101を、吸着反転部75により吸着保持可能なように、吸着反転部75をそのICチップ73に対し位置合わせを行い、吸着反転部75を下降させ、ICチップ101を吸着保持した後、上昇させて、ICチップ供給部よりICチップ101を取り出す。その後、吸着反転部75により吸着保持されているICチップ101を、吸着反転部75を回転させることにより、ICチップ101の背面を上面とさせ、ヘッドツール3を吸着反転部75の上方に移動させ、吸着反転部75に吸着保持されているICチップ101の背面をヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持するとともに、吸着反転部75によるICチップ101への吸着保持を解除し、ICチップ101の吸着反転部75からヘッドツール3への受け渡しを行う。
次に、図18(b)において、ヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持されているICチップ101の各電極101a上に半田バンプ101bが形成されており、ICチップ101の各半田バンプ101bを回路基板104の各パッド104aに接合可能なように、ICチップ101を回路基板104に対して位置合わせする。
その後、図18(c)に示すように、ICチップ101を吸着保持しているヘッドツール3の吸着ノズル11を下降させながら、ICチップ101の各半田バンプ101bを回路基板104の各パッド104aに当接させる。この当接の後、ヘッドツール3のセラミックヒータ12により回路基板104の各パッド104aに当接しているICチップ101の各半田バンプ101bが加熱されて溶融する。その後、セラミックヒータ12による加熱を停止し、溶融状態の半田に冷却ブローノズル19からのブローによる冷却を施すことにより、溶融された各半田バンプ101bが固化され、ICチップ101の各電極101aと回路基板104の各パッド104aが、各半田バンプ101bを介在させて接合される。なお、溶融状態の半田への冷却ブローノズル19による強制的な冷却に代えて、溶融された半田を自然冷却することにより半田を固化させてもよい。
その後、図18(d)に示すように、ヘッドツール3の吸着ノズル11によるICチップ101への吸着保持を解除し、ヘッドツール3を上昇させ、ICチップ101が回路基板104に実装される。
ここで、例えば、ICチップ101の各半田バンプ101bの表面、又は回路基板104の各パッド104a上にフラックスが供給されている場合には、フラックスを除去するためのフラックス洗浄を施す。このフラックス洗浄は、供給されたフラックスの種類により、必要ない場合もある。
次に、図17において、超音波ツール113を移動させ、パーツトレー5の中に配置されている四角形プレート状の1つの電子部品111を、超音波ツール113により吸着保持可能なように、超音波ツール113をその電子部品111に対して位置合わせを行い、超音波ツール113を下降させ、電子部品111を吸着保持した後、上昇させて、パーツトレー5より電子部品111を取り出す。
次に、図19(e)に示すように、超音波ツール113により吸着保持されている電子部品111の各電極111a上に半田バンプ111bが形成されており、電子部品111の各半田バンプ111bを、ICチップ101が実装された回路基板104の各パッド104bに接合可能なように、電子部品111を回路基板104に対して位置合わせする。
その後、図19(f)に示すように、電子部品111を吸着保持している超音波ツール113を下降させながら、電子部品111の各半田バンプ111bを回路基板104の各パッド104bに押圧しながら、互いに当接状態となっている電子部品111の各半田バンプ111bの表面と回路基板104の各パッド104bの表面に、超音波ツール113により、超音波振動を付与し、これらの各当接表面に摩擦を起こさせる。この摩擦により発生する摩擦熱により、電子部品111の各半田バンプ111bと回路基板104の各パッド104bが接合される。
その後、図19(g)に示すように、超音波ツール113による電子部品111への吸着保持を解除し、超音波ツール113を上昇させ、電子部品111が回路基板104に実装される。
以上のような電子部品の実装方法により、ICチップ101と電子部品111は、回路基板104に実装されることとなる。
さらに、その後、ICチップ101、及び電子部品111が実装された回路基板104を、ローダー77により吸着保持することにより、回路基板104をステージ7より取り出し、回路基板排出部78へ排出する。
複数の回路基板104に対して、各回路基板104毎に、これら上記の作業を繰り返して行い、各回路基板104上に、ICチップ101及び電子部品111が実装される。
上記第5の実施形態における上記第1実施例によれば、電子部品実装装置203が上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法を実施可能なヘッドツール3と、超音波実装方法を実施可能な超音波ツール113を備えていることにより、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により回路基板104上にICチップ101の実装を行った後、超音波実装方法により電子部品111の実装を行うことができるため、例えば、電子部品111が熱による影響を防止することが要求されるような電子部品である場合に、ICチップ101の実装時における半田溶融加熱による影響を電子部品111に対して与えることがないため、熱による影響を受けることなく電子部品111を回路基板104に実装することができる。また、例えば、ICチップ101の各半田バンプ101b上、又は回路基板104の各パッド104a上に、フラックスを供給する場合であり、かつそのフラックスをICチップ101実装後に除去する必要がある場合は、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により回路基板104上にICチップ101の実装を行った後、フラックス洗浄により供給されたフラックスを除去し、その後、超音波実装方法により電子部品111の実装を行うことができるため、フラックス洗浄時において、超音波実装方法により実装される電子部品111に対するフラックス洗浄液による影響、又はフラックス洗浄時に洗い落とされる微細な破片等の電子部品111への再付着等による影響を考慮する必要をなくすことができる。従って、上記のような影響の考慮を行う必要がある電子部品111、例えば、その実装時に防熱環境又は防水環境等が要求されるような電子部品を超音波実装方法により、高い接合位置精度が要求されるICチップのようなハイエンド電子部品とともに、回路基板へ混載して実装することが可能となる。
次に、本発明の第5の実施形態における第2実施例は、まず、超音波実装方法により回路基板104上に電子部品111の実装を行った後に、電子部品111が実装された回路基板104に上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により、ハイエンド電子部品の一例であるICチップ101の実装を行うものである。つまり、超音波実装方法と上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法の順序を上記第5の実施形態における第1実施例に対して逆の順序とさせたものである。
上記第5の実施形態における上記第2実施例によれば、超音波実装方法により回路基板上104に電子部品111の実装を行った後に、電子部品111が実装された回路基板104に上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により、ICチップ101の実装を行うため、超音波実装時に発生する超音波振動によるICチップ101に対する影響を考慮する必要をなくすことができる。従って、高い接合位置精度が要求されるICチップのようなハイエンド電子部品が、さらに振動に対する影響を考慮する必要があるような電子部品である場合に、超音波実装方法により実装される電子部品とともに、混載して回路基板への実装を行うことが可能となる。
さらに、本発明の第5の実施形態における第3実施例は、まず、超音波実装方法により、電子部品と回路基板の接合部分の封止のための封止材を介して、上記回路基板上に上記電子部品を実装した後、一括リフロー実装方法により、上記電子部品が実装された上記回路基板上に汎用電子部品を半田を介しての仮接合を行い、その後、上記電子部品、上記汎用電子部品、及び上記回路基板に一括して熱を加えることにより、上記電子部品と上記回路基板の接合部分の上記封止材による封止を行うとともに、上記半田を介して仮接合されている上記汎用電子部品の上記半田を溶融することによる本接合が行われ実装される。その後、上記第1の実施形態のローカルリフロー実装方法により、上記電子部品と上記汎用電子部品が実装された上記回路基板に、ハイエンド電子部品の実装を行うものである。以下に、上記第3実施例の電子部品の実装方法について、詳細に説明する。
図20(a)に示すように、四角形プレート状の回路基板124は上面に複数の電極であるパッド124a、124b及び124cを有しており、各パッド124aは超音波実装方法により回路基板124に実装される電子部品121の複数の電極121aに接合可能であり、各パッド124bは汎用電子部品131の複数の電極131aに接合可能であり、各パッド124cはハイエンド電子部品141の複数の電極141aに接合可能となっている。回路基板124の各パッド124a上及びその近傍を含む、回路基板124上の四角形プレート状の電子部品121が実装される部分に、非導電性の樹脂材料である封止材122が供給されており、また、電子部品121の各電極121a上にはAuバンプ121bが形成されている。まず、電子部品121の各電極121aを有さない面である背面を、超音波ツール123により吸着保持し、電子部品121の各Auバンプ121bを回路基板124の各パッド124aに接合可能なように、電子部品121を回路基板124に対して位置合わせする。
その後、図20(b)に示すように、電子部品121を吸着保持している超音波ツール123を下降させながら、電子部品121の各Auバンプ121bを回路基板124の各パッド124aに封止材122を介して押圧する。これにより、電子部品121の各Auバンプ121bと回路基板124の各パッド124aの間の封止材122が押し退けられ、電子部品121の各Auバンプ121bを回路基板124の各パッド124aに当接させて押圧し、互いに当接状態となっている電子部品121の各Auバンプ121bの表面と回路基板124の各パッド124aの表面に、超音波ツール123により、超音波振動を付与し、これらの各当接表面に摩擦を起こさせる。この摩擦により発生する摩擦熱により、電子部品121の各Auバンプ121bと回路基板124の各パッド124aが接合され、これらの接合部分は電子部品121と回路基板124の間に供給されている封止材122で覆われた状態となる。
その後、超音波ツール123による電子部品121への吸着保持を解除し、超音波ツール123を上昇させ、電子部品121が回路基板124に実装される。
次に、図20(c)に示すように、四角形プレート状の汎用電子部品131の各電極131a上に半田バンプ131bが形成されており、汎用電子部品131の各電極131aを有さない面である背面を、ツール133により吸着保持し、汎用電子部品131の各半田バンプ131bを回路基板124の各パッド124bに接合可能なように、汎用電子部品131を回路基板124に対して位置合わせする。
その後、図20(d)に示すように、汎用電子部品131を吸着保持しているツール133を下降させ、汎用電子部品131の各半田バンプ131bを回路基板124の各パッド124bに押圧して仮接合を行う。回路基板124に複数の汎用電子部品131を実装する場合は、各汎用電子部品131に対して、各汎用電子部品131ごとに上記の作業を繰り返して行い、各汎用電子部品131を回路基板124に仮接合する。
次に、図21(e)に示すように、接合部分が封止材122で覆われた状態で電子部品121が実装され、かつ汎用電子部品131が仮接合された回路基板124を、半田リフロー作業部に搬送し、半田リフロー作業部において、電子部品121、汎用電子部品131及び回路基板124が熱源により加熱され、汎用電子部品131の各半田バンプ131bが溶融されるとともに、電子部品121の封止材料122も加熱される。その後、加熱された電子部品121、汎用電子部品131及び回路基板124が冷却され、溶融された汎用電子部品131の各半田バンプ131bが固化し、汎用電子部品131の各電極131aを回路基板124の各パッド124bに各半田バンプ131bを介して本接合され、実装されるとともに、加熱された電子部品121の封止材122が固化し、電子部品121と回路基板124の接合部分である電子部品121の各Auバンプ121bと回路基板124の各パッド124aが封止材122により封止される。
次に、図21(f)において、四角形プレート状のハイエンド電子部品141の各電極141a上に半田バンプ141bが形成されており、ハイエンド電子部品141の各電極141aを有さない面である背面を、ヘッドツール3の吸着ノズル11により吸着保持し、ハイエンド電子部品141の各半田バンプ141bを、電子部品121と汎用電子部品131が実装された回路基板124の各パッド124cに接合可能なように、ハイエンド電子部品141を回路基板124に対して位置合わせする。
その後、図21(g)に示すように、ハイエンド電子部品141を吸着保持しているヘッドツール3の吸着ノズル11を下降させながら、ハイエンド電子部品141の各半田バンプ141bを回路基板124の各パッド124cに当接させる。この当接の後、ヘッドツール3のセラミックヒータ12により回路基板124の各パッド124cに当接しているハイエンド電子部品141の各半田バンプ141bが加熱されて溶融する。その後、セラミックヒータ12による加熱を停止した後、溶融状態の各半田バンプ141bに冷却ブローノズル19からのブローによる冷却を施すことにより、溶融された各半田バンプ141bが固化され、ハイエンド電子部品141の各電極141aと回路基板124の各パッド124cが、各半田バンプ141bを介在させて接合される。なお、溶融状態の各半田バンプ141bへの冷却ブローノズル19による強制的な冷却に代えて、溶融された各半田バンプ141bを自然冷却することにより固化させてもよい。
その後、図21(h)に示すように、ヘッドツール3の吸着ノズル11によるハイエンド電子部品141への吸着保持を解除し、ヘッドツール3を上昇させ、ハイエンド電子部品141が回路基板124に実装される。
以上のような電子部品の実装方法により、電子部品121と汎用電子部品131及びハイエンド電子部品141は、回路基板124に実装されることとなる。
上記第5の実施形態における上記第3実施例によれば、上記第2実施例による効果に加えて、さらに、超音波実装方法により回路基板124に接合された電子部品121の接合部分への封止材122による封止と、回路基板124へ仮接合された汎用電子部品131の一括リフローによる本接合を、一括して各電子部品と回路基板を熱源により加熱することにより、同時的に行うことができるため、回路基板に混載される各電子部品が、汎用電子部品、超音波実装方法により実装されかつ接合部分の封止が必要な電子部品、及び高い接合位置精度が要求されるハイエンド電子部品である場合に、各電子部品の回路基板への実装時間を短縮化することが可能となる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。