JP4522755B2 - 入浴ナビゲーションシステム - Google Patents
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Description
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、通常通りに何も装着せずに入浴でき、しかも入浴状態の検出結果に基づいて入浴者の核心温を推定して安全かつ快適な入浴法を提示する入浴ナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
入浴者の核心温を上昇させる入浴環境データとして、入浴時間(t)、湯温(Tw)、水没体表面積(Sw)、非水没体表面積(Sr)、浴室温度(Tr)を取得する入浴環境データ取得手段と、
入浴開始時核心温検出手段により検出された核心温(T0)、及び入浴環境データ取得手段により取得された入浴環境データから、入浴中の入浴者の核心温(T)又は核心温変化量(ΔT)を次式により推定する核心温推定手段と、
核心温推定手段により推定される核心温又は核心温変化量に基づき、
前記核心温変化量(ΔT)が所定量に達するタイミングを予測し、当該予測したタイミングから一定時間前、
または
前記核心温変化量(ΔT)が入浴者が入浴を始めてから発汗を感じるまでに変化したこと
の提示条件を満たしたとき、入浴者に出浴を促す、若しくは入浴環境を変化するよう促す提示手段と、
を有する入浴ナビゲーションシステムである。
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・〔{2/(1+ε-et)}−1〕
または
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・(1−ε-dt)
T=T0+ΔT
ただし、εは自然対数の底(ネピア数)であり、p,q,a,b,c,d,eは定数で
あってp,q,c≧0とする。
の後は入浴時間が長くなるにつれて上昇し、外部からの熱流入と体からの熱放散がバラン
スすると、次第に穏やかになることが実験によって明らかになっている。解決手段1によ
れば、各与式の第1項が入浴初期の核心温変化量を表し、各与式の第2項が入浴初期を経
過した後の核心温変化量を表す。よって入浴者の核心温を正確に推定することができるの
で、入浴実態に見合う入浴法を提示することができる。
につれて増え、外部からの熱流入と体からの熱放散がバランスすると次第に穏やかになる
ので、ロジスティック曲線の軌跡を描く。解決手段1によれば、この曲線近似を利用する
ことにより、核心温変化量(ΔT)が所定量(例えば0.5度)変化するタイミングを予
測する。予測したタイミングから一定時間(例えば3分)前に安全かつ快適な入浴法が提
示されると、入浴者は提示された入浴法に対する準備を行える。
(3)解決手段3は、入浴者が入浴を開始する際の核心温を検出する入浴開始時核心温検出手段と、
入浴者の核心温を上昇させる入浴環境データとして、入浴時間(t)、湯温(Tw)、水没体表面積(Sw)、非水没体表面積(Sr)、浴室温度(Tr)を取得する入浴環境データ取得手段と、
入浴開始時核心温検出手段により検出された核心温(T0)、及び入浴環境データ取得手段により取得された入浴環境データから、入浴中の入浴者の核心温(T)又は核心温変化量(ΔT)を次式により推定する核心温推定手段と、
核心温推定手段により推定される核心温又は核心温変化量に基づき、
前記核心温変化量(ΔT)が所定量に達するタイミングを予測し、当該予測したタイミングから一定時間前、
または
前記核心温変化量(ΔT)が入浴者が入浴を始めてから発汗を感じるまでに変化したこと
の制御条件を満たしたとき、入浴者の核心温の上昇を抑制するように入浴環境を変化させる制御手段と、
を備える入浴ナビゲーションシステムである。
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・〔{2/(1+ε-et)}−1〕
または
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・(1−ε-dt)
T=T0+ΔT
ただし、εは自然対数の底(ネピア数)であり、p,q,a,b,c,d,eは定数で
あってp,q,c≧0とする。
解決手段3によれば、解決手段1と同様に正確に入浴者の核心温又は核心温変化量を推定することができ、それに基づいて入浴者の核心温の上昇を抑制するように入浴環境を変化させるので、核心温の上昇が、入浴者が快適と感じる範囲を超えるまでの時間が延長され、入浴者は何もせずに、延長された時間まで入浴を継続できる。
まず入浴者の現在の核心温を推定する推定式について、導出過程を説明する。以下では核心温として鼓膜温を適用する。入浴者が入浴を行うとき、入浴時間が増えるにつれて鼓膜温がどのように変化するのかを実験した。この実験では、14種の入浴環境の下で被験者が入浴したときの鼓膜温を測定した。入浴環境ごとに鼓膜温の平均値を求め、グラフ化した結果の一例を図1に示す。グラフの右側に示す凡例は、入浴環境を6桁の符号(具体的には湯温,全身浴/半身浴,浴室温をそれぞれ2桁で表す)で表す。湯温と浴室温は温度を表す。全身浴はWB(Whole-body Bathingの略)で表し、半身浴はHB(Half-body Bathingの略)で表す。6桁の符号は、例えば湯温が38℃の全身浴であり浴室温が22℃ならば「38WB22」と表し、湯温が39℃の半身浴であり浴室温が14℃ならば「39HB14」と表し、以下同様である。なお本実験の被験者は、健康な成人男性延べ46名であり、年齢が24±4歳、身長が170±6cm、体重が62.4±7.7kg、体表面積が1.74±0.11m2であった。
┃変数 │積率相関係数┃
┠──────┼──────┨
┃入浴時間 │0.555 ┃
┃湯温 │0.494 ┃
┃浴室温 │0.192 ┃
┃水没体表面積│0.012 ┃
┗━━━━━━┷━━━━━━┛
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・〔{2/(1+ε-et)}−1〕…(式1)
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・(1−ε-dt)…(式2)
ただし、εは自然対数の底(ネピア数)であり、p,q,a,b,c,d,eは定数であってp,q,c≧0とする。
┃定数│ 式1における数値 │ 式2における数値 ┃
┠──┼─────────────┼─────────────┨
┃p │ 27.219516837│ 1.04E−05 ┃
┃q │ 0.000117444│ 397.3779 ┃
┃a │225.76381564 │ 1494.519 ┃
┃b │ 18.680457527│ 148.9467 ┃
┃c │ 0 │13503.31 ┃
┃d │ 0.060261575│ 1.08E−05 ┃
┃e │ 0.000077243│ (定数なし) ┃
┗━━┷━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━┛
T=T0+ΔT…(式3)
入浴者が入浴し続けるにつれて核心温が変化するが、当該核心温の変化に伴って入浴者の感じ方がどのように変化するのかを調査した。上述した実験の被験者に対して、快適側・中立・不快側のいずれであるかを申告してもらった。こうして得られた被験者の申告結果を図3に表す。当該図3では、横軸を申告割合(単位は%)とし、縦軸を6段階の鼓膜温変化量で表した。鼓膜温変化量が1度を境に心理が大きく変化しているので、快適な入浴を行うには鼓膜温変化量が1度未満となるようにする必要がある。
入浴中に汗を流した分だけ身体の水分が失われるので、身体に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、核心温の変化に伴って入浴者の発汗量がどのように変化するのかを調査した。上記快適さの申告と同様に、被験者に対して発汗が多いか少ないかを申告してもらった。こうして得られた被験者の申告結果を、図3と同様な形式で図4に表す。鼓膜温変化量が0.5度を境に発汗の感じ方が大きく変化しているので、生理的に安全な入浴を行うには鼓膜温変化量が0.5度未満となるようにする必要がある。
入浴ナビゲーションシステムの構成例について、図5を参照しながら説明する。図5に示す入浴ナビゲーションシステムは、水位センサ14,湯温センサ16,浴室温センサ18,操作パネル20,制御装置30などを有する。本例では、水位センサ14,湯温センサ16,浴室温センサ18,操作パネル20などを浴室10に備える。
なお、以下に示す例では核心温(T)に対応する鼓膜温(Tty)を用いる。よって、鼓膜温を計測するための鼓膜温センサ28を別個に備える構成としてもよい。
S=(7.246×10-3)×W0.425×H0.725…(式4;高比良の式)
S=(100.315×10-4)×W0.383×H0.693…(式5;蔵澄の式)
ただし、Sは体表面積(m2),Wは体重(kg),Hは身長(cm)を表す。
入浴法の提示例について、図6,図7を参照しながら説明する。図6には制御装置30において実行される手続きの例をフローチャートで表し、図7には表示器22に表示する内容の一例を示す。
る。すなわち鼓膜温変化量が所定量に達したこと(鼓膜温変化量≧所定量)や、当該鼓膜
温変化量の変化率が所定の変化率に達したこと、鼓膜温変化量が所定量に達するタイミン
グを予測して当該予測したタイミングから一定時間(例えば3分)前に達したことなどが
該当する。鼓膜温変化量が所定量に達するタイミングは、式1の第2項における曲線近似
を利用して予測する。
出浴の場合は、出浴までの残り時間や、出浴のタイミングなどを提示する。例えば図7(E)に示すように出浴までの残り時間を表示したり、図7(F)に示すように「出浴して下さい」などのメッセージを表示したり、スピーカ26から音声で案内する。
(1)入浴状態を検出する検出手段(水位センサ14,湯温センサ16,浴室温センサ18,タイマー34)と、この検出手段によって検出した入浴状態のデータ(水位データ,湯温データ,浴室温データ,入浴時間データ)に基づいて、入浴者の現在の鼓膜温変化量(ΔTty)または鼓膜温(Tty)を推定した(核心温推定手段32;図6のステップS24を参照)。そして、推定した鼓膜温変化量または鼓膜温に基づいて、安全かつ快適な入浴法を入浴者に提示した{提示手段;図6のステップS28を参照}。よって通常通りに何も装着せずに入浴でき、しかも入浴者は提示された入浴法に従うだけでよいので安全かつ快適な入浴を楽しむことができる。
浴環境を変化させることを提示するか、出浴することを提示した(提示手段;図6のステ
ップS28を参照)。鼓膜温変化量(ΔTty)が所定量に達した時点で、入浴環境を変化
させるか出浴を提示するので、入浴者はこれ以上入浴を続けると心理的に不快になること
が分かる。よって、入浴者は心理的に不快になる前に安全かつ快適な入浴を続けるための
対処を行える。
本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は上述した形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することが可能である。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
12 浴槽
14 水位センサ(検出手段)
16 湯温センサ(検出手段)
18 浴室温センサ(検出手段)
20 操作パネル
22 表示器
24 操作キー
26 スピーカ
28 核心温センサ(検出手段)
30 制御装置
32 核心温推定手段
34 タイマー
36 提示手段
Claims (3)
- 入浴者が入浴を開始する際の核心温を検出する入浴開始時核心温検出手段と、
入浴者の核心温を上昇させる入浴環境データとして、入浴時間(t)、湯温(Tw)、水没体表面積(Sw)、非水没体表面積(Sr)、浴室温度(Tr)を取得する入浴環境データ取得手段と、
入浴開始時核心温検出手段により検出された核心温(T0)、及び入浴環境データ取得手段により取得された入浴環境データから、入浴中の入浴者の核心温(T)又は核心温変化量(ΔT)を次式により推定する核心温推定手段と、
核心温推定手段により推定される核心温又は核心温変化量に基づき、
前記核心温変化量(ΔT)が所定量に達するタイミングを予測し、当該予測したタイミングから一定時間前、
または
前記核心温変化量(ΔT)が入浴者が入浴を始めてから発汗を感じるまでに変化したこと
の提示条件を満たしたとき、入浴者に出浴を促す、若しくは入浴環境を変化するよう促す提示手段と、
を有する入浴ナビゲーションシステム。
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・〔{2/(1+ε-et)}−1〕
または
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・(1−ε-dt)
T=T0+ΔT
ただし、εは自然対数の底(ネピア数)であり、p,q,a,b,c,d,eは定数で
あってp,q,c≧0とする。 - 請求項1に記載した入浴ナビゲーションシステムであって、
提示手段は、入浴者が提示条件である核心温変化量の所定量を設定する温度設定部を有する入浴ナビゲーションシステム。 - 入浴者が入浴を開始する際の核心温を検出する入浴開始時核心温検出手段と、
入浴者の核心温を上昇させる入浴環境データとして、入浴時間(t)、湯温(Tw)、水没体表面積(Sw)、非水没体表面積(Sr)、浴室温度(Tr)を取得する入浴環境データ取得手段と、
入浴開始時核心温検出手段により検出された核心温(T0)、及び入浴環境データ取得手段により取得された入浴環境データから、入浴中の入浴者の核心温(T)又は核心温変化量(ΔT)を次式により推定する核心温推定手段と、
核心温推定手段により推定される核心温又は核心温変化量に基づき、
前記核心温変化量(ΔT)が所定量に達するタイミングを予測し、当該予測したタイミングから一定時間前、
または
前記核心温変化量(ΔT)が入浴者が入浴を始めてから発汗を感じるまでに変化したこと
の制御条件を満たしたとき、入浴者の核心温の上昇を抑制するように入浴環境を変化させる制御手段と、
を備える入浴ナビゲーションシステム。
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・〔{2/(1+ε-et)}−1〕
または
ΔT=pTwt(t−q)・ε-dt+{a(Tw−T0)Sw+b(Tr−T0)Sr+c}・(1−ε-dt)
T=T0+ΔT
ただし、εは自然対数の底(ネピア数)であり、p,q,a,b,c,d,eは定数で
あってp,q,c≧0とする。
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