JP4521639B2 - 円形断面部材用プロジェクションボルトとその溶接方法 - Google Patents

円形断面部材用プロジェクションボルトとその溶接方法 Download PDF

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Description

この発明は、円形断面部材用プロジェクションボルトとその溶接方法に関している。
雄ねじが設けられた軸部と、この軸部と一体的に設けられたフランジ部と、このフランジ部の中央に設けた円形の溶着用突起とから構成されたプロジェクションボルトを、平坦な鋼板部品に電気抵抗溶接で溶着することが知られている。
特開平7−223078号公報
上述のような溶接においては、溶着用突起の溶融領域が平坦な鋼板部品の表面に沿って拡大して行くので、所定の加圧と溶融を付与することによって、フランジ部と鋼板部品との間に空隙が発生することがなく、所定の溶融範囲が確保さる。
しかしながら、円形断面とされた鉄製のパイプ材や中実の丸棒材の外筒面に、上述の構成とされたプロジェクションボルトを溶接する場合には、つぎのような問題がある。この点を図8にしたがって説明する。プロジェクションボルト1は、前記のように雄ねじが設けられた軸部2と、この軸部2と一体的に設けられたフランジ部3と、このフランジ部3の中央に設けた円形の溶着用突起4から構成されている。同図(A)の溶着用突起4は、その直径が軸部2の直径とほぼ同じであり、また、その厚さtはフランジ部3の厚さとほぼ同じかあるいはそれよりも薄く設定されている。
このような溶着用突起4を有するプロジェクションボルト1を(C)図に示すように、パイプ材5の外筒面6に電気抵抗溶接をすると、中央部分が正常に溶着する。符号7は、黒く塗りつぶして(同図(D)ではハッチング)図示した溶着部を示している。このような正常な溶着は、溶着用突起4の直径が軸部2の直径とほぼ同じであるために、円筒状の外筒面6に溶接しても溶着用突起4全体が溶着する。
ところが、同図(A)のようなプロジェクションボルト1であると、同図(D)に示すように、溶着部7の範囲が、パイプ材5の円周方向における幅S1およびパイプ材5の軸線方向における長さS2のいずれにおいても、十分な値でない。したがって、所定の溶接強度が確保できないという問題がある。このような問題は、円筒面に対して小さな円形の溶着用突起4を溶着することが原因になっている。
さらに、溶着部7から円周方向に向かって空隙8が形成されという問題がある。この空隙8は、溶着部7から円周方向に離れるにしたがって空隙寸法が次第に大きくなっている。また、同図(B)に示すプロジェクションボルト1の溶着用突起4は、(A)図に示す溶着用突起4をさらに扁平にして表面をなだらかな球面にしたものであるが、このような溶着用突起4をパイプ材5に溶接すると、円筒状の表面であるから溶融部分は中央部に限られて、やはり(C)図や(D)図に示すように、中央部分だけが溶着して空隙8ができてしまう。
このような空隙8ができると、図8(C)の左右方向の力が軸部2に作用すると、軸部2は左右に傾くこととなる。したがって、このような外力に対して十分な溶接強度を確保することができない。さらに、空隙8が存在すると、溶融熱によって空隙部分の不純物が炭化したりして空隙8内に残留し、洗浄工程においても炭化物などが除去しきれず、そのためにこの部分から錆びが発生しやすくなるという問題がある。このような空隙部分を塩水に浸けて発錆テストを行うと、早期の内に発錆することが確認されている。また、電着塗装のような下塗り塗装においては、空隙8に封じ込まれた空気によって、空隙8の奥まで塗料が入りきらないので、上塗り塗装後に封入された空気が膨張して、いわゆる塗装膨れが発生しこの部分の塗装膜が剥離するという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、円筒面に適した溶着用突起を確保するとともに、溶融過程において円筒面にとって最適の溶融現象をえることができ、さらにフランジ部と外筒面との間の空隙発生を防止できる円形断面部材用プロジェクションボルトとその溶接方法の提供を目的とする。
問題を解決するための手段
請求項1記載の発明は、雄ねじが設けられた軸部と、この軸部と一体的に設けられたフランジ部と、このフランジ部の中央に設けた溶着用突起とを有しているとともに、円形断面部材の外筒面に溶接されるプロジェクションボルトであって、前記溶着用突起は前記円形断面部材の軸線方向に沿って溶着されるように細長い形状とされ、溶着用突起の中央部に前記外筒面に対して点接触をするかまたはほぼ点接触に近い小さな面接触をする頂点部分が設けられ、この頂点部分はテーパ面の頂部または球面の頂部によって形成され、細長い溶着用突起の長手方向端部の角部と前記外筒面との間の間隙と、溶着用突起の円形断面部材の円周方向端部の角部との間の間隙とがほぼ同一となるように、溶着用突起の幅寸法を選定したことを特徴とする円形断面部材用プロジェクションボルトである。
発明の効果
前記頂点部分が外筒面に加圧接触したとき、この接触部分における溶接電流の電流密度が高く設定できるので、この部分からの溶融開始が確実に行われ、それに引き続いて、通電初期の段階でテーパ面や球面とされた円錐部分や球形部分が確実に溶融する。この円錐部分や球形部分が溶融を完了する段階では、前記長手方向端角部と円周方向端角部の各々における前記間隙がほぼ同じに設定されているので、溶融開始と同時に所定量の押し付けがなされると、上記円錐部分や球形部分すなわち溶着用突起の頂面全体が外筒面に均一に溶着する。このような溶着用突起頂面の全域溶着に引き続いて、溶着用突起の厚さ方向に溶融が進行して溶着用突起全体が完全に外筒面に溶着する。そして、この溶着は、細長い形状の前記溶着用突起が円形断面部材の軸線方向に沿って溶着されるので、溶融範囲が前記軸線方向に延びた形態で確保されるので、溶着面積を大きくすることができて、溶接強度の向上に効果的である。
上述のように、円錐部分や球形部分が通電初期の段階で外筒面に対して均一に溶着するので、それに引き続く溶着用突起の外筒面に対する溶融が確実に進行し、円筒型の表面に対して溶着用突起の溶着が確実になされ、同時に溶着用突起が円形断面部材の軸線に沿って細長く形成されるので、円筒面に対する溶着範囲が大きく形成され、溶接強度の向上にとって効果的である。
請求項2記載の発明は、前記溶着用突起の幅寸法は、前記外筒面の直径と、前記テーパ面の傾斜角度または前記球面の直径あるいはこれらのいずれかに相関させて選定されている請求項1記載の円形断面部材用プロジェクションボルトである。
前記円形断面部材の直径すなわち外筒面の直径が大きくなると、溶着用突起の円周方向端角部における外筒面との間の間隙が小さくてすむ。このために溶着用突起の幅寸法を大きく設定しても、間隙が大きくなる度合いが小さくなる。したがって、直径の大きな円形断面部材に対しては、その直径に相関させて溶着用突起の幅寸法を大きく設定して溶融幅を拡大し、溶着面積を大きくすることができ、溶接強度の向上が達成される。
また、前記テーパ面の傾斜角度を小さくしたり、あるいは前記球面の直径を大きくしたりして、円錐部分や球面部分をフラットな状態に近づけることにより、溶着用突起の円周方向端角部における外筒面との間の間隙が小さくてすむ。このために溶着用突起の幅寸法を大きく設定しても、間隙が大きくなる度合いが小さくなる。したがって、直径の大きな円形断面部材に対しては、テーパ面の傾斜角度または前記球面の直径に相関させて溶着用突起の幅寸法を大きく設定して溶融幅を拡大し、溶着面積を大きくすることができ、溶接強度の向上が達成される。
さらに、溶着用突起の幅寸法を、外筒面の直径と、テーパ面の傾斜角度または球面の直径の双方に相関させて設定することも可能である。このように双方に相関させることにより、各部寸法を最適化することが行いやすくなる。
請求項3記載の発明は、前記溶着用突起の高さは、溶着用突起が円形断面部材に加圧されるとともに溶接電流が通電されたときに、外筒面を窪ませることができるように設定されている請求項1または請求項2記載の円形断面部材用プロジェクションボルトである。
前記溶着用突起を外筒面に加圧後、所定時間が経過すると溶接電流の初期通電がなされることにより、溶着用突起が初期溶融を果たしながら外筒面に窪み込むので、フランジ部の表面と前記外筒面との間の空隙を縮めることができる。すなわち、溶着用突起が外筒面に押し付けられることにより、外筒部に窪みが形成される。このような窪み込み現象と溶着用突起の溶融とが同時に進行することによりさらに空隙が縮まり、ついで溶着用突起が最終的に溶融し切ると、空隙が消滅してフランジ部の表面が外筒面に圧接されて密着状態となる。したがって、円形断面部材の円周方向におけるフランジ部と外筒面との間の空隙が消去されることとなり、軸部に円周方向の外力が作用しても容易に傾かない溶接状態がえられる。同時に、前述のような発錆や塗膜剥離などが防止できる。溶着用突起の高さすなわち厚さは、外筒面に窪み込みの塑性変形が付与されるとともに、所定の溶融量によって適正な溶着深さがえられるように設定されている。
請求項4記載の発明は、前記溶着用突起の長さとこの長さ方向におけるフランジ部の寸法とがほぼ同じである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の円形断面部材用プロジェクションボルトである。
前記溶着用突起の長さとこの長さ方向におけるフランジ部の寸法とをほぼ同じにすることによって、溶着用突起の長さを最大限に設定することができる。そのために、溶着部の長さを十分な値にすることができて、溶着面積を大きくすることができる。
請求項5記載の発明は、前記溶着用突起の幅方向のフランジ部寸法が、溶着用突起の長さ方向のフランジ部寸法よりも短く設定されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の円形断面部材用プロジェクションボルトである。
フランジ部の寸法を上述のように設定することにより、溶着用突起の幅方向におけるフランジ部と外筒面との間の空隙を小さくすることができ、したがってこの空隙を溶着過程において消滅させることが容易になる。
請求項6記載の発明は、電極端面に密着するフランジ部の通電面は、円形断面部材の軸線方向の寸法に対する円形断面部材の円周方向の寸法の比が0.7〜0.4に設定されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の円形断面部材用プロジェクションボルトである。
溶着用突起とは反対側のフランジ面に対して電極の端面が密着して溶接電流の通電を行うようになっている。この通電面が正常に確保されていることが、良好な溶着にとって重要である。前記比が0.7〜0.4に設定されているので、通電面の幅方向(円形断面部材の円周方向)における導通面積が十分に確保できて、溶着用突起の長手方向および幅方向全域にわたる溶接電流の電流密度を均一に確保することができる。もし、通電面の幅方向(円形断面部材の円周方向)における導通面積が十分に確保できない場合には、この部分の通電面積の不足によりこの部分における電流密度が適正に確保できなくなり、溶着用突起の全域にわたる発熱分布にばらつきが発生し、正常な初期溶融が形成されないことになる。また、電極からフランジ部への加圧力が確実に作用し、加圧や溶融過程において偏荷重が作用したりすることがない。
請求項7記載の発明は、雄ねじが設けられた軸部と、この軸部と一体的に設けられたフランジ部と、このフランジ部の中央に設けた溶着用突起とを有しているとともに、円形断面部材の外筒面に溶接されるプロジェクションボルトを準備し、前記溶着用突起は前記円形断面部材の軸線方向に沿って溶着されるように細長い形状とされ、溶着用突起の中央部に前記外筒面に対して点接触をするかまたはほぼ点接触に近い小さな面接触をする頂点部分が設けられ、この頂点部分はテーパ面の頂部または球面の頂部によって形成され、細長い溶着用突起の長手方向端部の角部と前記外筒面との間の間隙と、溶着用突起の円形断面部材の円周方向端部の角部との間の間隙とがほぼ同一となるように、溶着用突起の幅寸法を選定し、前記頂点部分を外筒面に押し付けて溶接電流を通電することにより、通電初期の段階で前記テーパ面または球面の部分をほぼ均一に溶融させ、その後、溶着用突起全体が円形断面部材に溶着されることを特徴とする円形断面部材用プロジェクションボルトの溶接方法である。
本溶接方法の発明の作用効果は、請求項1記載のプロジェクションボルトの発明の作用効果と同じである。
つぎに、本発明の円形断面部材用プロジェクションボルトとその溶接方法を実施するための最良の形態を説明する。
プロジェクションボルト10の形状を、図3にしたがって説明する。
鉄製のプロジェクションボルト10は、雄ねじが設けられた軸部11と、この軸部11と一体に設けられたフランジ部12と、軸部11とは反対側のフランジ面に一体に設けられた溶着用突起13を有している。この溶着用突起13は、同図(C)や(D)に示すように真っ直ぐな細長い形状であり、その幅はW1、長さはW2で示されている。
前記溶着用突起13に、相手方部材に対して点接触をするかまたはほぼ点接触に近い小さな面接触をする頂点部分24が、溶着用突起13の中央部に形成されている。このような頂点部分を形成するために、溶着用突起13の頂面に円錐部分25が設けてある。この円錐部分25の尖った部分が頂点分部を形成している。この尖った部分に小さな平面部や曲面部を設けて、点接触に近い小さな面接触を行わせることも可能である。そして、この円錐部分25を球面部分に換えることも可能である。
図3(A)は正面図である。また、同図(B)は(A)図のB矢視図である。
この実施例における溶着用突起13は、図3(C)に鎖線で示すように、同図の左右に細長く延びている小判型の形状である。そして、図3(D)に示すように、溶着用突起13の中央部に尖った形状の頂点部分24が形成されている。この頂点部分24が頂点になってなだらかな円錐部分25が形成されている。この円錐部分25のフランジ部12側に基台部26が設けられている。換言すると、円形の基台部26上に円形の円錐部分25(テーパ面)が形成され、その両側を切除して(C)図や(D)図に示す細長い溶着用突起13が形成されている。この切除された部分は(B)や(D)図の符号27で示した平端面となっている。
実際には、金型を用いて細長い溶着用突起13を塑性加工によって成型するものであり、それによって(D)図のような形状が求められる。また、ボルト10はM6サイズのものであり、図3には理解しやすくするために、各部の寸法(単位:mm)が記入されている。
円形断面部材は、断面円形の中空のパイプ材18や、断面円形の中実の丸棒材48(図1(C)参照)であり、その長手方向に軸線O−Oを有している。円形断面部材の外筒面は符号21で示されている。
図3(C)において同図の左右方向が円形断面部材の長手方向すなわち軸線O−O方向であり、同図の上下方向が円形断面部材の円周方向である。そして、ボルト10の軸線すなわち可動電極の軸線X−Xは、パイプ材18の軸線O−Oに直交している。
フランジ部12は円形であり、その両側を直線状に切除して小判型の形状とされている。切除部は符号15で示されている。このように切除することによって幅狭部16が形成され、直線状の切除部15は円形断面部材の軸線O−O方向と同方向とされている。フランジ部12の円形部分すなわちL3の寸法は13mm、幅狭部16の幅(円形断面部材の円周方向)の寸法W3は10mmである。つまり、前記溶着用突起13の幅方向のフランジ部寸法W3が、溶着用突起13の長さ方向のフランジ部寸法L3よりも短く設定されている。このようにフランジ部12も小判型であり、これも溶着用突起13と同様に金型で成型される。
つぎに、円錐部分の均一な溶着に関して説明する。
溶着用突起13の頂面すなわち円錐部分25全体が、パイプ材18の外筒面21に均一に溶着されるようにするために、頂点部分24から溶融が開始されてボルト1全体が所定量パイプ材18側に押し込まれると、円錐部分25の周縁全体が外筒面21に到達できるように各部の寸法が設定されている。
図3(A)に示すように、パイプ材18の直径は16mm、基台部26の先端の角部28の間隔寸法すなわち溶着用突起4の先端部の幅寸法W1は4mm、基台部26の厚さ寸法は1.5mm、平端面27の傾斜角度θ1は5度、円錐部分25の傾斜角度θ2(テーパ角度)は9度である。このような寸法において、角部28とそれに対向する外筒面21の箇所までの間隙L1が0.7mmに設定される。さらに、図3(B)においては、基台部26の先端の角部29とそれに対向する外筒面21の箇所までの間隙L2が0.7mmに設定される。このようにL1とL2とを同じかあるいは近似した寸法に設定するために、図3(A)における溶着用突起13の先端部の幅W1が傾斜角度9度に対応させて選定されるのであり、ここでは前述のように、4mmである。つまり、図3(A)においては、角部28に対向する箇所が円筒面であるので、前記W1を狭くしないとL1が大きくなりすぎるのである。
なお、前記L2が、溶着用突起13の長手方向端部の角部29と外筒面21との間の間隙である。また、前記L1が、溶着用突起13の円形断面部材の円周方向端部の角部28との間の間隙である。
したがって、ボルト1全体が溶融にともなって軸線X−X方向に押し付けられると、円錐部分25が領域全体にわたって均一に溶着する。すなわち、図示の例では0.7mmもしくはそれを上回る間隙寸法が押し付けられると、円錐部分25全体が円筒面に溶着する。
前記頂点部分24が溶融を開始し扁平な円錐部分25全域に溶融域が拡大してゆく。このとき円錐部分25は扁平なテーパ形状部分であるから、その体積は5.6mmであり、このようなわずかな体積部分は溶接電流の通電初期の段階で溶融する。また、円錐部分25の溶融完了に引き続いて基台部26が厚さ方向に溶融してゆくことになる。この場合、溶着用突起13がパイプ材18の外筒面21に押し付けられるので、溶融部分は外筒面21の円周方向に拡大してゆくことになる。基台部26の体積は48mmであるから、円周方向への溶融拡大が十分に達成される。
なお、前記のように、円錐部分25の傾斜角度θ2(テーパ角度)は9度であるが、これは7〜13度の範囲内で選定することができる。傾斜角度が7度未満であると、角度が緩慢になりすぎて頂点部分24がパイプ材18に食い込む量が不足し、電流密度が所定値に達しないことになる。また、13度を超えると、円錐部分25の体積が大きくなりすぎて、円錐部分25の溶融が促進されにくくなる。
前記円形断面部材の直径すなわち外筒面21の直径が大きくなると、溶着用突起13の円周方向端角部28における間隙L1の拡大が少なくてすむ。このために溶着用突起13の幅寸法W1を大きく設定しても、間隙L1の大きくなる度合いが小さくなる。したがって、直径の大きな円形断面部材に対しては、その直径に相関させて溶着用突起13の幅寸法W1を大きく設定して溶融幅を拡大し、溶着面積を大きくすることができ、溶接強度の向上が達成される。
また、前記テーパ面の傾斜角度θ2を小さくしたり、あるいは前記球面の直径を大きくしたりして、円錐部分25や球面部分をフラットな状態に近づけることにより、溶着用突起13の円周方向端角部28における間隙L1の拡大が少なくてすむ。このために溶着用突起13の幅寸法W1を大きく設定しても、間隙L1が大きくなる度合いが小さくなる。したがって、直径の大きな円形断面部材に対しては、テーパ面の傾斜角度θ2または前記球面の直径に相関させて溶着用突起の幅寸法W1を大きく設定して溶融幅を拡大し、溶着面積を大きくすることができ、溶接強度の向上が達成される。
さらに、溶着用突起13の幅寸法W1を、外筒面21の直径と、テーパ面の傾斜角度θ2または球面の直径の双方に相関させて設定することも可能である。このように双方に相関させることにより、各部寸法を最適化することが行いやすくなる。
さらに、溶着用突起13が形成されている側とは反対側のフランジ面が電極端面に密着する通電面17とされている。図3(C)に示すように、この通電面17は、円形断面部材の軸線O−O方向の寸法L4に対する円形断面部材の円周方向の寸法W4の比が0.57に設定されている。つまり、W4/L4=2.0mm/3.5mmによって、上記比0.57が設定されている。
前記の比は0.7〜0.4の間に設定されるのが好ましい。この比が0.7を超えると、円周方向のフランジ部長さ(W4)が過大になって、外筒面21との間の空隙C1が広くなりすぎ、空隙C1を消去することが困難になる。また、この比が0.4未満になると、導通面17の円周方向における寸法(W4)が過小となるので、溶接電流の正常な通電面積を確保することが困難となる。
なお、ボルト10は上述のように幅狭部16が切除部15によって形成されているが、これは説明上の表現であって、実際には前述のように、金型に小判型の雌型形状を形成して塑性加工で製作される。
パイプ材へのボルト溶接について説明する。
図1に基づき、上記寸法のボルト10をパイプ材18に溶接する状態を説明する。ここで使用されているパイプ材18は、自動車車体の左右のフロントピラー間に架設されるピラー・ツー・ピラーメンバーと称されているもので、ボディ剛性強化用のメンバーである。
ここでの円形断面部材は鉄鋼製とされた中空のパイプ材18であり、その外径は60mm、板材の肉厚は2mmである。図1に示すように、プロジェクションボルト1は、鋼鉄製の真っ直ぐなパイプ部材18に溶接される。このパイプ部材18の軸線は符号O−Oで示されている。図1(D)に示すように、パイプ部材18の軸線O−Oと前記幅狭部16の幅方向(パイプ材18の円周方向)とが直交するように相互の位置決めを行い、溶着用突起13をパイプ部材18の外筒面21に加圧し通電することによって、溶着用突起13とパイプ部材18の一部がジュール熱で溶融し溶着がなされる。
溶着用突起13の円錐部分25あるいは球面部分のいずれであっても、外筒面21に対しては点接触をすることになる。溶着用突起13が外筒面21に対して押し付けられると、外筒面21と頂点部分24の弾性変形により前記点接触は点接触に近い面接触を呈することになる。また、図3(D)に示す円錐部分25の尖った頂点部分24にわずかな丸い平面部を形成することによって、金型成型を行いやすくでき、溶接電流の電流密度を低下させることがないようにすることができる。
このような加圧と溶接電流の通電を行うために、進退動作をする棒状の可動電極22の中心部に受入孔23が設けられ、その奥部にボルト1を保持する永久磁石19が固定されている。この受入孔23内に軸部11が挿入され、さらに永久磁石19で吸引されて、ボルト10はその通電面17が可動電極22の端面に密着した状態で、可動電極22に保持される。固定電極32は、パイプ材18を安定した状態で支持できるVブロック型であり、左右対称の傾斜面33,33によって構成されたV溝部34上にパイプ材18が載置されるようになっている。また、可動電極22の軸線X−Xすなわち軸部11の軸線がパイプ材18の軸線O−Oと直交するように、可動電極22とパイプ材18との相対位置が設定されている。
なお、図1に示したパイプ材18は真っ直ぐな形状であるが、パイプ材18の用途によっては湾曲していることもある。
図1(A)は、固定電極32上に載置されたパイプ材18に対して、ボルト10を保持した可動電極22が進出してきて、溶着用突起13の円錐部分25が外筒面21に押し付けられている状態である。この状態では、円錐部分25の頂点部分24が外筒面21に対して点接触かまたはそれに近い面接触をしている。その後、加圧と溶接電流の通電が進行すると、(B)図や(C)図に示すように、溶着がなされる。
なお、図1(C)は円形断面部材が中実の丸棒48で形成されている場合であり、外筒部21に変形が形成されて溶接されてゆく過程は、図2にしたがって説明するものと同様である。
溶着過程を、図2にしたがって説明する。
図2は、例えば、(A)図においては、左側にパイプ材18をその軸線O−Oに直交する面で切断した断面図を図示し、その右側に溶着箇所を観察する縮小した平面図を並べて図示してある。(B)図〜(D)図も同様に並べて図示してある。
使用したボルト10の各部寸法は図3に示す前述のものであり、パイプ材18は図1において説明した寸法のものである。そして、可動電極22から付与される加圧力は200Kgf、電流値は9200アンペア、通電時間は15サイクル(1サイクル=1/60秒)である。これらの各値を280〜300Kgf、11000A、10サイクルにして、より良好な溶着をえることができる。つまり、加圧力と電流値を高くして溶融性を向上させ、その換わりに通電時間を短くして溶融範囲の領域の均一性を向上させている。
図2(A)は、可動電極22が進出してきて溶着用突起13の頂点部分24が外筒面21に加圧接触をしている状態である。
ついで、(B)図は、可動電極22がさらに進出して頂点部分24が外筒面21に加圧された状態であり、同時に溶接電流の通電初期の段階である。この段階では、溶着用突起13からの加圧力によって溶着用突起13の部分が外筒面21に食い込み始める。すなわち、パイプ材18の板材が溶着用突起13によって押し込まれる。この段階では、外筒面21の板材の膨出量I1はわずかな量として現れている。このような溶着用突起13による窪み込みが開始されるときには、溶着用突起13の頂点部分24から軸線O−O方向にわたってわずかに溶融が開始されているので、パイプ材18の鋼板は軟化しやすくなっていて、前記食い込みが促進される。この段階での溶着部20は、(B)図に示すように、細長い形状となっている。なお、中央部の拡幅部分35は、頂点部分24が先行して溶融するために形成されたものである。この段階においてフランジ部12の表面36と外筒面21との間の空隙C1は、大きな値として残存し、具体的には約1.0mmであると観察される。
このようにして形成された溶着部20は、左側の図では黒く塗りつぶして図示してあり、右側の図ではハッチングが付されている。
つぎに、(C)図に示すように、さらに加圧と通電が進行すると、すなわち通電初期の段階が終了する時期に達すると、溶着用突起13の頂面すなわち円錐部分25の薄い肉厚部分が全面的に溶融を完了している。この段階では、外筒面21の板材はさらに窪み込んでおり、それによって前記空隙C1はC2のように縮小されている。これに伴って右図に示すように、溶着部20は溶着用突起1の頂面全域にわたっている。
(C)図において、引き続いてさらに加圧と通電が進行すると、すなわち通電初期の段階が終了する時期に達すると、溶着用突起13の頂面すなわち円錐部分25の薄い肉厚部分が全面的に溶融を完了している。この段階では、外筒面21の板材はさらに窪み込んで膨出量I2が大きくなっており、それによって前記空隙C1はC2のように縮小されている。これに伴って右図に示すように、溶着部20は溶着用突起1の頂面全域にわたっている。このときにはパイプ材18側にも溶融が進行しているが、溶着用突起13はその高さの約1/2が溶融金属となり、溶融範囲が広さと深さの両方にわたって大きくなっていく。このように食い込み量が大きくなると、前記空隙C1は(C)図に示すように(前述のように)、縮小されたわずかな空隙C2に変化している。溶着用突起13の窪み込みが大きくなるので、膨出部37の膨出量I2は(B)図よりも大きくなっている。(C)図における膨出量I2は、溶着用突起13の溶融金属やパイプ材18の溶融金属が面方向に拡大してゆく状態および残存している空隙C2の大きさ等が主たる要因になって決まるのであるが、(C)図の段階では膨出量I2は約0.7mm〜1.0mmの範囲であると観察される。
つぎに、(D)図の段階になると、加圧と溶融が最終段階に達するので、溶着部20の面方向への溶融広さと厚さ方向の溶融深さがさらに拡大され、それとともに膨出部37の膨出量I3も最大値になる。このような加圧と溶融によって、(C)図の空隙C2は(D)図に示すように、消滅している。すなわち、フランジ部12の表面36が外筒面21に密着している。ここでは前述のように、十分な加圧力を長時間にわたって付与しているので、符号38で示すように、切除部15の角部が外筒面21に食い込んだ状態になっている。したがって、溶着部20はフランジ部12の中央部において確実に形成され、空隙C2は圧接状態で消去されている。
(D)図のような最終段階においては、(C)図と(D)図との比較から明らかなように、溶融面積は溶着用突起13の面積よりも大きくなっており、安定した溶着が形成されていることが認められる。すなわち、溶着部20が(D)図に示すように、溶着用突起13の広さを上回る状態になっている。また、(D)図における膨出部37の膨出量I3は、約0.9mm〜1.2mmの範囲であった。
なお、以上の説明における用語として、「食い込み」と「窪み込み」が用いられているが、両者は同義語であり、溶着用突起13の進出によってパイプ材18の板材がへこまされることを意味している。このような窪み込みによって、パイプ材18の内側には空隙C1,C2が消滅するに足る膨出部37形成されている。
図4は、溶着用突起13の変形例である。ここでは、溶着用突起13の長さW2がフランジ部12の長手方向の長さL3と同じになっている。それ以外の構成は先の例と同じなので、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。したがって、溶着部20はフランジ部12の長手方向全長にわたる長さとなって、溶接強度の向上ができる。
また、図5は、溶着用突起13の他の変形例である。この溶着用突起13は前述のように、頂面が球面部分39とされている。なお、同図(B)における球面部分39は、理解しやすくするために球面の半径を小さくして図示してある。それ以外の構成は先の各例と同じなので、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。この球面部分39の溶着過程は、先の各例と同じである。
上述の実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
前記頂点部分24が外筒面21に加圧接触したとき、この接触部分における溶接電流の電流密度が高く設定できるので、この部分からの溶融開始が確実に行われ、それに引き続いて、通電初期の段階でテーパ面や球面とされた円錐部分25や球形部分39が確実に溶融する。この円錐部分25や球形部分39が溶融を完了する段階では、前記長手方向端角部29と円周方向端角部28の各々における前記間隙L1,L2がほぼ同じに設定されているので、溶融開始と同時に所定量の約0.7mmの押し付けがなされると、上記円錐部分25や球形部分39すなわち溶着用突起13の頂面全体がパイプ材18の円筒面(外筒面21)に均一に溶着する。このような溶着用突起頂面の全域溶着に引き続いて、溶着用突起13の厚さ方向に溶融が進行して溶着用突起13全体が完全に外筒面21に溶着する。そして、この溶着は、細長い形状の前記溶着用突起13が円形断面部材の軸線O−O方向に沿って溶着されるので、溶融範囲が前記軸線O−O方向に延びた形態で確保されるので、溶着面積を大きくすることができて、溶接強度の向上に効果的である。
上述のように、円錐部分25や球形部分39が通電初期の段階で外筒面21に対して均一に溶着するので、それに引き続く溶着用突起13の外筒面21に対する溶融が確実に進行し、円筒型の表面に対して溶着用突起13の溶着が確実になされ、同時に溶着用突起13が円形断面部材の軸線O−Oに沿って細長く形成されるので、円筒面に対する溶着範囲が大きく形成され、溶接強度の向上にとって効果的である。
前記溶着用突起13の幅寸法W1は、前記外筒面21の直径と、前記テーパ面の傾斜角度θ2または前記球面の直径あるいはこれらのいずれかに相関させて選定されている。
前記円形断面部材の直径すなわち外筒面21の直径が大きくなると、溶着用突起13の円周方向端角部28における外筒面21との間の間隙L1の拡大が小さくてすむ。このために溶着用突起13の幅寸法W1を大きく設定しても、間隙L1が大きくなる度合いが小さくなる。したがって、直径の大きな円形断面部材に対しては、その直径に相関させて溶着用突起13の幅寸法W1を大きく設定して溶融幅を拡大し、溶着面積を大きくすることができ、溶接強度の向上が達成される。つまり、図2(D)の右図に示すように、溶着部20の円周方向の幅が大きくなって溶着面積が拡大されるのである。
また、前記テーパ面の傾斜角度θ2を小さくしたり、あるいは前記球面の直径を大きくしたりして、円錐部分25や球面部分39をフラットな状態に近づけることにより、溶着用突起13の円周方向端角部28における外筒面21との間の間隙L1の拡大が小さくてすむ。このために溶着用突起13の幅寸法W1を大きく設定しても、間隙L1が大きくなる度合いが小さくなる。したがって、直径の大きな円形断面部材に対しては、テーパ面の傾斜角度θ2または前記球面の直径に相関させて溶着用突起13の幅寸法W1を大きく設定して溶融幅を拡大し、溶着面積を大きくすることができ、溶接強度の向上が達成される。つまり、図2(D)の右図に示すように、溶着部20の円周方向の幅が大きくなって溶着面積が拡大されるのである。
さらに、溶着用突起13の幅寸法W1を、外筒面21の直径と、テーパ面の傾斜角度θ2または球面の直径の双方に相関させて設定することも可能である。このように双方に相関させることにより、各部寸法を最適化することが行いやすくなる。
前記溶着用突起13の高さは、溶着用突起13がパイプ材18に加圧されるとともに溶接電流が通電されたときに、パイプの板材(外筒面21)を窪ませることができるように設定されている。
前記溶着用突起13をパイプ材18の円筒面に加圧後、所定時間が経過すると溶接電流の初期通電がなされることにより、溶着用突起13が初期溶融を果たしながらパイプの板材(外筒面21)に窪み込むので、フランジ部12の表面36と前記外筒面21との間の空隙C1,C2を縮めることができる。すなわち、溶着用突起13がパイプ材18に押し付けられることにより、板材に窪みが形成される。このような窪み込み現象と溶着用突起13の溶融とが同時に進行することによりさらに空隙C2が縮まり、ついで溶着用突起13が最終的に溶融し切ると、空隙C2が消滅してフランジ部12の表面36が外筒面21に圧接されて密着状態となる。したがって、円形断面部材の円周方向におけるフランジ部12と外筒面21との間の空隙C2が消去されることとなり、前述のような発錆や塗膜剥離などが防止できる。溶着用突起13の高さすなわち厚さは、パイプ材18の板材に窪み込みの塑性変形が付与されるとともに、所定の溶融量によって適正な溶着深さがえられるように設定されている。
したがって、溶接されたプロジェクションボルト10の軸部11にパイプ材18の円周方向の外力が作用しても前記空隙C2がないので、軸部11が傾斜するようなことがなく十分な溶接強度が確保できる。また、空隙C2の消去によって、前述のような錆びの発生や塗装膜の剥離を防止することができる。
さらに、溶着用突起13を円筒面に溶接するに際しては、加圧にともなって溶着用突起13が円周方向にずれるおそれがある。しかし、前記窪み込みがえられることにより、溶着用突起13のずれが抑制されてボルト1の溶接位置を正確に求めることが可能となる。
そして、このように空隙C2のないテストピースを洗浄した結果、フランジ部12の周囲部分には不純物が残存していないことが確認された。ここで使用した洗浄液は、自動車のホワイトボディの洗浄工程で用いる洗浄液である。また、このようにして洗浄された未塗装のパイプ材18のボルト溶着部に、塩水をかけて発錆テストを24時間行った結果、発錆は認められなかった。さらに、ボルト溶接部における電着塗装の付き回り性は良好で、空気膨隆や剥離するようなことのない上塗り塗装ができた。
図7に示すような引っ張り試験機を準備して、引っ張り試験を行った。この試験機42は、左右の静止部材43に支持片44をそれぞれ強固に取付け、その受け面45にパイプ材18の外筒面21を密着させる。この状態で軸部11がねじ込まれた牽引片46を矢線47の方へ引き上げてテストを行う。その結果、1.4トンの引き上げ荷重で軸部2の谷径の箇所が破断した。このことは、M6ボルトが破断する以上の引っ張り方向の溶接強度を有していることが確認されたことになる。
また、溶接されたボルト10の軸部11の先端部を、ハンマーでパイプ材18の軸線方向と円周方向にわたって強打した結果、軸部11が耐えきれずに曲がったが、フランジ部12のパイプ材18に対する相対位置に変化は認められなかった。
さらに、パイプ材18の板材を窪ませることを利用して空隙除去を行うものであるから、肉厚の薄いパイプ材18や硬度の低い中実丸棒材などを対象にして、良好な空隙除去を行うことができる。
前記溶着用突起13の長さW2とこの長さ方向におけるフランジ部12の寸法L3とがほぼ同じである。
前記溶着用突起13の長さW2とこの長さ方向におけるフランジ部12の寸法L3とをほぼ同じにすることによって、溶着用突起13の長さを最大限に設定することができる。そのために、溶着部20の長さを十分な値にすることができて、溶着面積を大きくすることができる。
前記溶着用突起13の幅方向のフランジ部寸法W3が、溶着用突起13の長さ方向のフランジ部寸法L3よりも短く設定されている。
フランジ部の寸法を上述のように設定することにより、溶着用突起13の幅方向におけるフランジ部12と外筒面21との間の空隙C1,C2等を小さくすることができ、したがってこの空隙C1,C2等を溶着過程において消滅させることが容易になる。
可動電極22の端面に密着するフランジ部12の通電面17は、円形断面部材の軸線O−O方向の寸法L4に対する円形断面部材の円周方向の寸法W4の比が0.7〜0.4に設定されている。
溶着用突起13とは反対側のフランジ面に対して可動電極22の端面が密着して溶接電流の通電を行うようになっている。この通電面17が正常に確保されていることが、良好な溶着にとって重要である。前記比が0.7〜0.4に設定されているので、通電面17の幅方向(円形断面部材の円周方向)における導通面積が十分に確保できて、溶着用突起13の長手方向および幅方向全域にわたる溶接電流の電流密度を均一に確保することができる。もし、通電面17の幅方向(円形断面部材の円周方向)における導通面積が十分に確保できない場合には、この部分の通電面積の不足によりこの部分における電流密度が適正に確保できなくなり、溶着用突起13の全域にわたる発熱分布にばらつきが発生し、正常な初期溶融が形成されないことになる。また、可動電極22からフランジ部12への加圧力が確実に作用し、加圧や溶融過程において偏荷重が作用したりすることがない。
請求項7記載の発明は、雄ねじが設けられた軸部と、この軸部と一体的に設けられたフランジ部と、このフランジ部の中央に設けた溶着用突起とを有しているとともに、円形断面部材の外筒面に溶接されるプロジェクションボルトを準備し、前記溶着用突起は前記円形断面部材の軸線方向に沿って溶着されるように細長い形状とされ、溶着用突起の中央部に前記外筒面に対して点接触をするかまたはほぼ点接触に近い小さな面接触をする頂点部分が設けられ、この頂点部分はテーパ面の頂部または球面の頂部によって形成され、細長い溶着用突起の長手方向端部の角部と前記外筒面との間の間隙と、溶着用突起の円形断面部材の円周方向端部の角部との間の間隙とがほぼ同一となるように、溶着用突起の幅寸法を選定し、前記頂点部分を外筒面に押し付けて溶接電流を通電することにより、通電初期の段階で前記テーパ面または球面の部分をほぼ均一に溶融させ、その後、溶着用突起全体が円形断面部材に溶着されることを特徴とする円形断面部材用プロジェクションボルトの溶接方法である。
本溶接方法の発明の作用効果は、請求項1記載のプロジェクションボルトの発明の作用効果と同じである。
図6は、実施例2を示す。
実施例1は、パイプ材18の板材が溶着用突起13によって押し込まれて塑性変形をするものであるが、実施例2は、このような塑性変形がなく、その換わりに加圧・通電に伴う溶着用突起13の溶融変形状態が異なっている。
図6に示されたパイプ材18は、その肉厚寸法が4mmとされ、通常の溶着用突起13の加圧では窪まないものである。また、パイプ材18に、溶着用突起13の加圧で塑性変形が発生するおそれがある場合には、パイプ材18内にバックアップ部材(図示していない)を挿入して、前記塑性変形を防止することもできる。それ以外のボルト10の各部寸法やパイプ材18の外径、可動電極22の構造や加圧通電条件は先の実施例と同じである。
図6(A)は、円錐部分25が外筒面21に押し付けられて、その頂点部分24が外筒面21に対して、点接触またはそれに近い面接触をしている。ここで加圧と通電がなされると、円錐部分25の中心部すなわち頂点部分24から溶融が開始され、(B)図に示すように、円錐部分25は通電初期の段階で溶融する。この溶融にともなって液状となった金属や高熱で軟化した流動金属が符号41で示すように、円周方向に移動する。この段階では、空隙C1はC2のように縮小されている。
さらに、加圧と通電が継続されると、(C)図に示すように、溶着用突起13が完全に溶融し切ることによって前記流動金属41が増量されるのと同時に、空隙C2がC3のように縮小するので、流動金属41は空隙C3を内側から埋め尽くすような挙動となる。
そして、さらに加圧と通電が最終段階に達すると、(D)図に示すように、流動金属41がフランジ部12と外筒面21との間で強く挟み付けられるので、流動金属41はフランジ部12の端部まで押し出された状態になり、空隙C3が埋め尽くされる。
図6(E)は、パイプ材18の軸線O−O方向に切断した状態の断面図であり、この方向では溶着部20がフランジ部12の全長にわたって形成されている。
この実施例2では、溶融金属の流動を利用して空隙除去を行うものであるから、肉厚の厚いパイプ材や硬度の高い中実丸棒材などを対象にして、良好な空隙除去を行うことができる。
それ以外の作用効果は、先の実施例1と同じである。
上述のように、本発明によれば、十分な溶接強度が確保され、しかも発錆のない溶接ができる円形断面部材用プロジェクションボルトとその溶接方法であるから、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
ボルトが溶接される状態を示す断面図や平面図である。 溶着過程を示す断面図と縮小した平面図である。 実施例におけるボルトの各部外観図である。 ボルトの変形例を示す側面図と平面図である。 ボルトの他の変形例を示す側面図と平面図である。 他の実施例における溶着過程を示す断面図である。 引っ張りテストの試験機を示す側面図である。 従来技術を示す図である。
符号の説明
10 プロジェクションボルト
11 軸部
12 フランジ部
13 溶着用突起
W1 溶着用突起の幅
W2 溶着用突起の長さ
15 切除部
16 幅狭部
17 通電面
18 パイプ材
20 溶着部
C1 空隙
C2 空隙
C3 空隙
O−O パイプ材の軸線
X−X 可動電極の軸線、軸部の軸線
21 外筒面
22 可動電極
24 頂点部分
25 円錐部分
28 円周方向端部の角部
29 長手方向端部の角部
36 フランジ部の表面
39 球面部分
41 流動金属

Claims (7)

  1. 雄ねじが設けられた軸部と、この軸部と一体的に設けられたフランジ部と、このフランジ部の中央に設けた溶着用突起とを有しているとともに、円形断面部材の外筒面に溶接されるプロジェクションボルトであって、前記溶着用突起は前記円形断面部材の軸線方向に沿って溶着されるように細長い形状とされ、溶着用突起の中央部に前記外筒面に対して点接触をするかまたはほぼ点接触に近い小さな面接触をする頂点部分が設けられ、この頂点部分はテーパ面の頂部または球面の頂部によって形成され、細長い溶着用突起の長手方向端部の角部と前記外筒面との間の間隙と、溶着用突起の円形断面部材の円周方向端部の角部との間の間隙とがほぼ同一となるように、溶着用突起の幅寸法を選定したことを特徴とする円形断面部材用プロジェクションボルト。
  2. 前記溶着用突起の幅寸法は、前記外筒面の直径と、前記テーパ面の傾斜角度または前記球面の直径あるいはこれらのいずれかに相関させて選定されている請求項1記載の円形断面部材用プロジェクションボルト。
  3. 前記溶着用突起の高さは、溶着用突起が円形断面部材に加圧されるとともに溶接電流が通電されたときに、外筒面を窪ませることができるように設定されている請求項1または請求項2記載の円形断面部材用プロジェクションボルト。
  4. 前記溶着用突起の長さとこの長さ方向におけるフランジ部の寸法とがほぼ同じである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の円形断面部材用プロジェクションボルト。
  5. 前記溶着用突起の幅方向のフランジ部寸法が、溶着用突起の長さ方向のフランジ部寸法よりも短く設定されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の円形断面部材用プロジェクションボルト。
  6. 電極端面に密着するフランジ部の通電面は、円形断面部材の軸線方向の寸法に対する円形断面部材の円周方向の寸法の比が0.7〜0.4に設定されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の円形断面部材用プロジェクションボルト。
  7. 雄ねじが設けられた軸部と、この軸部と一体的に設けられたフランジ部と、このフランジ部の中央に設けた溶着用突起とを有しているとともに、円形断面部材の外筒面に溶接されるプロジェクションボルトを準備し、前記溶着用突起は前記円形断面部材の軸線方向に沿って溶着されるように細長い形状とされ、溶着用突起の中央部に前記外筒面に対して点接触をするかまたはほぼ点接触に近い小さな面接触をする頂点部分が設けられ、この頂点部分はテーパ面の頂部または球面の頂部によって形成され、細長い溶着用突起の長手方向端部の角部と前記外筒面との間の間隙と、溶着用突起の円形断面部材の円周方向端部の角部との間の間隙とがほぼ同一となるように、溶着用突起の幅寸法を選定し、前記頂点部分を外筒面に押し付けて溶接電流を通電することにより、通電初期の段階で前記テーパ面または球面の部分をほぼ均一に溶融させ、その後、溶着用突起全体が円形断面部材に溶着されることを特徴とする円形断面部材用プロジェクションボルトの溶接方法。
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