JP4520393B2 - トナー用ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕 工程(A)〜(C):
(A):式(I):
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有した2価のアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物とを有機スズ系エステル化触媒の存在下で縮重合させる工程、
(B):工程(A)における重合反応の反応率が90%以上の時点で、脂肪族ジカルボン酸化合物を反応系に添加して縮重合させる工程、及び
(C):工程(A)と工程(B)を合わせた全重合反応の反応率が90%以上の時点で、3価以上の多価カルボン酸化合物及び/又は3価以上の多価アルコールを反応系に添加して縮重合させる工程
を有するトナー用ポリエステルの製造方法であって、工程(A)における芳香族ジカルボン酸化合物の使用量が、式(II):
80-0.15B≦A≦100-0.2B (II)
〔式中、Aは、2価のアルコール成分100モルに対する芳香族ジカルボン酸化合物の使用量(モル)、Bは、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物中のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物の含有量(モル%)である〕
を満足する、トナー用ポリエステルの製造方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られるポリエステルを含有してなる電子写真用トナー
に関する。
で表されるビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有した2価のアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物とを、有機スズ系エステル化触媒の存在下で、縮重合させる工程である。
80-0.15B≦A≦100-0.2B (II)
〔式中、Aは、2価のアルコール成分100モルに対する芳香族ジカルボン酸化合物の使用量(モル)、Bは、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物中のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物の含有量(モル%)である〕
を満足する量で使用する。本発明は、帯電特性に優れた芳香族ジカルボン酸化合物を他の物性を損なうことなく多く使用することを課題の一つとし、必要な帯電量を樹脂が保持するためには、2価のアルコール成分100モルに対する芳香族ジカルボン酸化合物の使用量のモル比(A)が、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物中のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物の含有量(モル%)をBとするとき、80-0.15B以上であることが必要である。一方、100-0.2Bを超えると、縮重合反応時間が長くなり臭気が発生し、また芳香族ジカルボン酸化合物の残留物が樹脂に残存して透過率が低減することが確認された。従って、本発明の製造方法においては、芳香族ジカルボン酸化合物は、前記式(II)を満足する量で使用する必要があるが、帯電性を高め、かつより高い透過率を有し、より臭気の少ない樹脂とするためには、
85-0.15B≦A≦100-0.2B
であることが好ましい。
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて昇温速度10℃/minで100℃まで昇温し、降温速度100℃/minで−10℃まで冷却した試料を3分間放置し、その後、昇温速度60℃/minで25℃まで昇温し2分間保持して、昇温速度10℃/minで測定を開始する。ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間の最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移点とする。
表1に示す使用量のBPA-PO、BPA-EO、テレフタル酸及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、反応温度を180℃に下げ、フマル酸を添加した。10℃/hの割合で210℃まで温度を上げ、反応率が90%に達するまで反応させた後、無水トリメリット酸を添加し、210℃で1時間常圧で反応させた後、8.3kPaで所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルを得た。
表1に示す使用量のBPA-PO、BPA-EO、テレフタル酸及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、反応温度を210℃に下げ、ドデセニル無水コハク酸を添加した。反応率が90%に達するまで反応させた後、無水トリメリット酸を添加し、210℃で1時間常圧で反応させた後、8.3kPaで所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルを得た。
実施例2において使用したのと同量のBPA-PO、BPA-EO、テレフタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水トリメリット酸及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃にて7時間常圧で反応させた後、8.3kPaで所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルを得た。得られたポリエステルの軟化点は113℃、ガラス転移点は60℃であった。
実施例2において使用したのと同量のBPA-PO、BPA-EO、テレフタル酸、ドデセニル無水コハク酸及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、無水トリメリット酸を添加し、1時間常圧で反応させた後、8.3kPaで所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルを得た。得られたポリエステル中には、テレフタル酸の未反応物と思われる白い粒が観測された。得られたポリエステルの軟化点は113℃、ガラス転移点は61℃であった。
実施例又は比較例で得られたポリエステル5gを200℃のホットプレートで5分間加熱し、その臭気を10人により、ランク1〜4(1:非常に臭い、2:臭い、3:ほとんど臭わない、4:臭わない)で評価した。10人の評価結果の平均値を表2に示す。
実施例又は比較例で得られたポリエステルを180℃にて1mmの厚さにフィルム化した。OHP(オーバーヘッド・プロジェクター)上で分光式色差計「SE 2000」(日本電色工業社製)にて、700nmにおける透過率を測定し、以下の評価基準に従って透明性を評価した。結果を表2に示す。
○:透過率が60%以上
△:透過率が40%以上60%未満
×:透過率が40%未満
Claims (2)
- アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させるトナー用ポリエステルの製造方法であって、工程(A)〜(C):
(A):式(I):
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を90モル%以上含有した2価のアルコール成分とテレフタル酸及び/又はイソフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸化合物とを有機スズ系エステル化触媒の存在下で縮重合させる工程、
(B):工程(A)における重合反応の反応率が90%以上の時点で、脂肪族ジカルボン酸化合物を反応系に添加して縮重合させる工程、及び
(C):工程(A)と工程(B)を合わせた全重合反応の反応率が90%以上の時点で、3価以上の多価カルボン酸化合物及び/又は3価以上の多価アルコールを反応系に添加して縮重合させる工程
を有するトナー用ポリエステルの製造方法であり、前記カルボン酸成分が、前記テレフタル酸及び/又はイソフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸化合物を60〜90モル%含有し、工程(A)における芳香族ジカルボン酸化合物の使用量が、式(II):
80-0.15B≦A≦100-0.2B (II)
〔式中、Aは、2価のアルコール成分100モルに対する芳香族ジカルボン酸化合物の使用量(モル)、Bは、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物中のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物の含有量(モル%)である〕
を満足する、トナー用ポリエステルの製造方法。 - 請求項1記載の製造方法により得られるポリエステルを含有してなる電子写真用トナー。
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