JP4818294B2 - 縮重合反応用触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム、シート、繊維、電子写真用トナー材料等の各種用途に用いられる縮重合系樹脂の製造に用いられる縮重合反応用触媒及びその製造方法、並びに該触媒を用いて得られる縮重合系樹脂及びその製造方法に関する。
ポリエステル、ポリアミド等の縮重合系樹脂は、その化学的、物理的性質を利用して、フィルム、シート、繊維等の各種用途に用いられており、得られる樹脂の用途に応じて、縮重合反応を促進する触媒が各種検討されている。
例えば、トナーの結着樹脂に用いられるポリエステルの製造に用いられる触媒としては、触媒活性のみならず、帯電性等のトナー性能に与える影響を考慮して、各種錫化合物が検討されている(特許文献1参照)。
特開2003−186250号公報
本発明の課題は、活性が高く、反応時間の短縮化に有効な縮重合反応用触媒及びその製造方法、並びに該触媒を用いて得られる縮重合系樹脂であって、トナー用結着樹脂としても好適に用いられる縮重合系樹脂及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 錫と、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環からなるピロガロール骨格とを含む化合物からなる、縮重合反応用触媒、
〔2〕 錫化合物と、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するピロガロール化合物とを反応させて得られる化合物からなる、縮重合反応用触媒、
〔3〕 錫化合物と、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するピロガロール化合物とを反応させる工程を含む、縮重合反応用触媒の製造方法、
〔4〕 前記〔1〕又は〔2〕記載の縮重合反応用触媒の存在下、原料モノマーを縮重合させて得られる、縮重合系樹脂、
〔5〕 テトラヒドロフラン不溶分のa*値が5〜60であり、前記〔1〕又は〔2〕記載の縮重合反応用触媒を含有してなる、縮重合系樹脂、並びに
〔6〕 前記〔1〕又は〔2〕記載の縮重合反応用触媒の存在下、原料モノマーを縮重合させる工程を含む、縮重合系樹脂の製造方法
に関する。
本発明の縮重合反応用触媒は、活性が高く、縮重合系樹脂の製造において、反応時間を短縮することができるという優れた効果を奏するものである。また、本発明の縮重合反応用触媒を用いて得られた本発明の縮重合系樹脂は、トナー用結着樹脂としても好適に用いることができる。
本発明の縮重合反応用触媒は、錫と、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環からなるピロガロール骨格とを含むものであり、触媒活性が極めて高く、縮重合系樹脂の製造において、反応時間の短縮化に極めて有効である。なお、本発明の触媒において、錫は、ピロガロール骨格の水酸基に配位又は結合していてもよい。従って、ピロガロール骨格には、錫が配位又は結合することで水酸基の水素の一部が錫に置換された構造も含まれる。本発明の触媒は、NMR、IR、ESCA等による構造解析により、錫と、互いに隣接する3個の水酸基の水素原子の一部が錫で置換された構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の触媒は、例えば、錫化合物と互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するピロガロール化合物とを反応させて得られるものである。
錫化合物としては、酸化ジブチル錫等のSn-C結合を有する錫化合物のほか、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物等が挙げられる。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ラウリル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)、オレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);オクチロキシ錫(II)、ラウロキシ錫(II)、ステアロキシ錫(II)、オレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでRは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましく、オクタン酸錫(II)及び2-エチルヘキサン酸錫(II)がさらに好ましい。
前記ピロガロール化合物としては、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のカテキン誘導体等が挙げられ、これらの中では、得られる樹脂の透明性の観点から、式(I):
Figure 0004818294
(式中、R3〜R5はそれぞれ独立して、水素原子又は−COOR6(R6は水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基を示す)を示す)
で表される化合物が好ましい。式中、R6の炭化水素基の炭素数は、1〜8が好ましく、反応活性の観点から、炭素数1〜4がより好ましい。式(I)で表される化合物のなかでは、R3及びR5が水素原子、R4が水素原子又は−COOR6である化合物がより好ましい。具体例としては、ピロガロール(R3〜R5:水素原子)、没食子酸(R3及びR5:水素原子、R4:−COOH)、没食子酸エチル(R3及びR5:水素原子、R4:−COOC25)、没食子酸プロピル(R3及びR5:水素原子、R4:−COOC37)、没食子酸ブチル(R3及びR5:水素原子、R4:−COOC49)、没食子酸オクチル(R3及びR5:水素原子、R4:−COOC817)、没食子酸ラウリル(R3及びR5:水素原子、R4:−COOC1225)等の没食子酸エステル等が挙げられる。樹脂の透明性の観点からは、没食子酸及び没食子酸エステルが好ましい。
反応に供するピロガロール化合物と錫化合物との使用量比は、モル比(ピロガロール化合物/錫化合物)で、触媒活性の観点から、0.05〜4が好ましく、0.1〜1.5がより好ましく、0.15〜0.8がさらに好ましい。
錫化合物とピロガロール化合物との反応は、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.0〜4.0)等のアルコール系溶媒中、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜250℃で、さらに好ましくは200〜250℃で、行うことが好ましい。
本発明の触媒は、赤みを帯びた色相であることが好ましく、a*値が好ましくは5〜60、より好ましくは20〜55、さらに好ましくは30〜52である。錫化合物とピロガロール化合物の混合物の色相は通常白色(a*値は1未満)である。
ピロガロール化合物が没食子酸等の水酸基とカルボキシル基とを有する化合物である場合、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物とピロガロール化合物の反応生成物には、黄み(a*値は1未満)を帯びた色相を有するものもあるが、赤みを帯びた色相の反応生成物は、黄みを帯びた色相の反応生成物と比べて、反応時間の短縮化においてより高い効果が得られる。通常は、錫化合物と水酸基とカルボキシル基を有するピロガロール化合物とを反応させると、錫は水酸基よりもカルボキシル基に優先的に結合する。これに対し、錫が水酸基に結合すると反応生成物が赤みを帯びた色相を有しているものと推定される。このような反応生成物の色相の相違は、錫化合物とピロガロール化合物の結合状態の違いによるものと考えられる。本発明の触媒では、錫化合物とピロガロール化合物との反応により、錫を介してピロガロールが連結したピロガロールの多量体が生成していると推定している。従って、赤みを帯びた色相を有する本発明の触媒を得るためには、例えば、予め、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物をテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸化合物と反応させることにより、テレフタル酸錫等の芳香族ジカルボン酸錫を形成させた後、ピロガロール化合物と反応させることが好ましい。
本発明の触媒における錫は2価であることが好ましい。従来の錫触媒の活性低下は、SnOからSnO2への変化、すなわち、錫が2価から4価に変化することが原因と考えられ、本発明の触媒の高活性は、詳細な理由は不明であるが、錫がピロガロール化合物中の2個の水酸基の酸素原子と結合することによって、2価の錫が安定化されるためと考えられる。
本発明の触媒を用いることができる縮重合反応として、カルボキシル基と水酸基の脱水縮合によりエステル結合(-COO-)を有するポリエステルユニット、カルボキシル基とアミノ基の脱水縮合によりアミド結合(-CONH-)を有するポリアミドユニット、エステル結合とアミド結合の両方を有するポリエステルポリアミドユニット等の縮重合系樹脂ユニットを形成する反応等が挙げられ、エステル結合を有する縮重合系樹脂ユニットの形成において、本発明の触媒の効果がより顕著に発揮される。なお、本発明においては、異なる原料モノマー間の反応に限らず、異種官能基を1分子内にもつモノマー、例えば、水酸基とカルボキシル基を有する乳酸から、脱水縮合によりポリ乳酸を生成させる反応も縮重合反応に含まれる。
ポリエステルユニットの原料モノマーとしては、通常、アルコール成分とカルボン酸成分とが用いられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の、式(II):
Figure 0004818294
(式中、R7O及びOR7はオキシアルキレン基であり、R7はエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル;ロジン;フマル酸、マレイン酸、アクリル酸等で変性されたロジン等が挙げられる。上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、縮重合反応で得られる樹脂の分子量調整や、該樹脂を含有する電子写真用トナーの耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
さらに、ポリエステルポリアミドユニットやポリアミドユニットにおけるアミド結合を形成するための原料モノマーとしては、公知の各種ポリアミン、アミノカルボン酸類、アミノアルコール等が挙げられ、好ましくはヘキサメチレンジアミン及びε-カプロラクタムである。
なお、以上の原料モノマーには、通常開環重合モノマーに分類されるものも含まれているが、これらは、他のモノマーの縮重合反応で生成する水等の存在により加水分解して縮重合に供されるため、広義には縮重合系樹脂の原料モノマーに含まれると考えられる。
縮重合反応における本発明の触媒の存在量は、触媒活性の観点から、縮重合反応に供される原料モノマー100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部がより好ましく、0.2〜1重量部がさらに好ましく、0.3〜1重量部がさらに好ましい。ここで、触媒の存在量とは、縮重合反応に供した触媒の全配合量を意味する。
縮重合反応は、本発明の触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことが好ましい。触媒は、カルボン酸成分やアルコール成分と混合して添加してもよい。触媒を反応系に添加する時期は、反応開始前及び反応途中のいずれであってもよく、2段反応等においては、1段目、2段目等での添加も可能であり、また、常圧反応、真空反応による2段以上の反応において真空反応前に添加してもよい。本発明では、縮重合反応の促進に対してより高い効果が得られる観点から、反応温度に達するより前の時点であることが好ましく、反応開始前であることがより好ましい。なお、本発明において、反応開始前とは、縮重合反応に伴う水又は溶液が生成されていない状態を意味する。
本発明の縮重合系樹脂は、前記縮重合反応用触媒を含むものであり、本発明の縮重合反応用触媒の存在下、原料モノマーを縮重合させることにより、本発明の縮重合系樹脂が得られる。活性の高い本発明の縮重合反応用触媒を用いることにより、反応時間を短縮することができるため、熱履歴の少ない縮重合系樹脂が得られ、低分子量成分や揮発性有機成分の増大を防止することができる。
本発明において、縮重合系樹脂とは、縮重合系樹脂ユニットを含む樹脂をいい、前記縮重合反応により得られるポリエステル、ポリエステルポリアミド、ポリアミド等の縮重合系樹脂ユニットからなる樹脂だけでなく、前記縮重合系樹脂ユニットを含む、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂、例えば、縮重合系樹脂ユニットと付加重合系樹脂ユニットとが部分的に化学結合したハイブリッド樹脂も含まれる。
また、縮重合系樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されていてもよい。例えば、変性されたポリエステルとしては、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
また、本発明の縮重合系樹脂は、テトラヒドロフラン不溶分を有することが好ましく、テトラヒドロフラン不溶分は、酸性溶液に溶解させると、溶液が透明になることが好ましい。テトラヒドロフラン不溶分は錫とピロガロール化合物との化合物を含むものであり、酸性にすると、錫とピロガロール化合物との化合物から、錫がピロガロール化合物から外れるため、溶液は透明となる。なお、テトラヒドロ不溶分とは、本発明の縮重合系樹脂をテトラヒドロフラン200gを500ml容のスクリュー管に入れ、ボールミルボールミルで4時間した後、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で吸引濾過、不溶分を乾燥機で100トール、40℃で乾燥して不溶分として得られるものである。
また、テトラヒドロフラン不溶分は赤みを帯びた色相であることが好ましく、a*値が好ましくは5〜60、より好ましくは20〜55、さらに好ましくは30〜52である。テトラヒドロフラン不溶分は、前記のように、錫とピロガロール化合物との化合物を含むものであり、赤みを帯びるのは錫とピロガロール化合物の少なくとも水酸基が反応して多量体を形成しているためと考えられる。その理由等については、本発明の触媒について述べたとおりである。
また、使用した触媒が、式(I)においてR3、R5が水素原子であるピロガロール化合物を用いて得られたものである場合、得られた樹脂のテトラヒドロフラン不溶分をアルカリ水溶液に溶解した後、NMR測定を行うと、ピロガロール化合物では、等価位置に出ていたR3、R5の水素原子のピークが2つにスプリット(分裂)するという特徴を有する。これは、アルカリ水溶液中では錫がピロガロール化合物の隣接した2つの水酸基の酸素原子と配位した状態を維持することができるためであり、錫が結合しないとR3、R5の水素原子は等価になるため、1本のピークとなるが、錫が結合すると不等価になるためピークが2本になることを意味している。
活性の高い本発明の縮重合反応用触媒を用いることにより、反応時間を短縮することができ、熱履歴が少ない縮重合系樹脂が得られる。従って、本発明の縮重合系樹脂を、電子写真用トナーの結着樹脂として含有するトナーは良好な流動性や帯電性を発揮する。
結着樹脂の軟化点としては、トナーの定着性、保存性及び耐久性の観点から、90〜160℃が好ましく、95〜155℃がより好ましく、98〜150℃がさらに好ましい。ガラス転移点は、同様の観点から、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。帯電性と環境安定性の観点から、酸価は、1〜90mgKOH/gが好ましく、5〜90mgKOH/gがより好ましく、5〜88mgKOH/gがさらに好ましい。
トナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されていてもよいが、本発明の縮重合系樹脂の含有量は、結着樹脂中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
トナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
電子写真用トナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。一方、トナーの小粒径化の観点からは、重合法によるトナーが好ましい。トナーの表面には、疎水性シリカ等の外添剤が添加されていてもよい。
トナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
得られたトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
[触媒の調製]
比較例A−1
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容の四つ口フラスコ中、窒素雰囲気下、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.05)1000gに、2-エチルへキサン酸錫(II)(アルドリッチ社製、以下、触媒Aとする)400g及びテレフタル酸100gを添加し、230℃で4時間攪拌した。
得られた溶液を、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で濾過し、白色沈殿を得た。得られた白色沈殿を触媒Bとする。触媒BをNMR、IR、ESCAで分析し、テレフタル酸の水酸基の一部の水素原子と錫が結合した化合物であることを確認した。
比較例A−2
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容の四つ口フラスコ中、窒素雰囲気下、1,6-ヘキサンジオール1000gに、触媒A 400gを添加し、160℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で濾過し、白色沈殿を得た。得られた白色沈殿を触媒Cとする。触媒CをNMR、IR、ESCAで分析し、1,6-ヘキサンジオールの水酸基の一部の水素原子と錫が結合した化合物であることを確認した。
実施例A−1(参考例)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容の四つ口フラスコ中、窒素雰囲気下、ポリプロピレングリコール(分子量700、ジオール型、試薬、和光純薬社製)1000gに、触媒A 400g(0.98モル)及び没食子酸50g(0.266モル)を添加し、230℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で濾過し、淡黄色沈殿を得た。得られた淡黄色沈殿を触媒Dとする。触媒DをNMR、IR、ESCAで分析し、没食子酸の水酸基の一部の水素原子と錫が結合した化合物であることを確認した。
実施例A−2
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容の四つ口フラスコ中、窒素雰囲気下、ポリプロピレングリコール(分子量700、ジオール型、試薬、和光純薬社製)1000gに、錫化合物B 400g(1.408モル)及び没食子酸40g(0.213モル)を添加し、230℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で濾過し、赤褐色沈殿を得た。得られた赤褐色沈殿を触媒Eとする。触媒EをNMR、IR、ESCAで分析し、没食子酸の水酸基の一部の水素原子と錫が結合した化合物であることを確認した。
実施例A−3
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容の四つ口フラスコ中、窒素雰囲気下、ポリプロピレングリコール(分子量700、ジオール型、試薬、和光純薬社製)1000gに、錫化合物B 400g(1.408モル)及びピロガロール40g(0.317モル)を添加し、230℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で濾過し、赤褐色沈殿を得た。得られた赤褐色沈殿を触媒Fとする。触媒FをNMR、IR、ESCAで分析し、ピロガロールの水酸基の一部の水素原子と錫が結合した化合物であることを確認した。
実施例A−4
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容の四つ口フラスコ中、窒素雰囲気下、ポリプロピレングリコール(分子量700、ジオール型、試薬、和光純薬社製)1000gに、錫化合物B 400g(1.408モル)及び没食子酸80g(0.426モル)を添加し、230℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で濾過し、赤褐色沈殿を得た。得られた赤褐色沈殿を触媒Gとする。触媒GをNMR、IR、ESCAで分析し、没食子酸の水酸基の一部の水素原子と錫が結合した化合物であることを確認した。
〔触媒の分析〕
触媒B〜Gの分析に用いたNMR、IR、ESCAの測定条件を下記に示す。
〔NMR〕
機器:Mercury-400 (VARIAN社製)
観測核:1H
観測範囲:6410.3Hz
データポイント数:65536
パルス幅:45°(4.5μs)
待ち時間:10s
積算回数:128回
測定温度:室温
測定溶媒:0.1N DCl/D2O溶液
0.1N NaOD/D2O溶液
試料濃度:1%
没食子酸のNMRチャートを図1に、実施例A−2で得られた触媒EのNMRチャートを図2に示す。没食子酸では、6.9ppmで1本に出ている水酸基の隣の2個の水素原子のピークが、樹脂Eでは2本に分かれており、2個の水素原子が等価ではなくなったことを示している。
〔IR〕
機器:FT-710(HORIBA社製)
測定法:ATR法
積算回数:10回
測定範囲:600-4000cm-1
没食子酸のIRチャートを図3に、実施例A−1で得られた触媒DのIRチャートを図4に、実施例A−2で得られた触媒EのIRチャートを図5に、それぞれ示す。触媒Dのチャートでは、没食子酸で1700cm-1付近に現れているカルボキシル基に帰属するピークが消失し、没食子酸で3400cm-1付近に現れている水酸基のピークが減少している。また、触媒Eのチャートでは、没食子酸と同様にカルボキシル基のピークが現れているが、水酸基のピークは樹脂Dのチャートよりもさらに減少している。
〔ESCA〕
・試料作製
触媒粉末をカーボン製両面テープ上に乗せ、ミクロスパーテルを用いて押さえつけて固定する。余剰粉末をブローしたのち、ESCA測定を実施。
・測定
機器:アルバックファイ製 PHI Qantera SMX
X線源:monochromated Al Kα線、1486.6eV、25W
ビーム径:100μm
X線入射角:45°
測定範囲:1000×500μm2
Pass energy:112eV
Step size:0.2eV
中和銃:1.0V, 20.0μA
測定元素:C1s、O1s、Sn3d5
スキャン回数(回):10、10、15
酸化錫(II)(アルドリッチ社製、純度99.99%)のピーク±0.5に錫のピークが観測された場合は、錫が2価であると判断できる。錫が2価であると判断できる触媒Dと、酸化錫(II)[SnO]、酸化錫(IV)[SnO2]及び2-エチルヘキサン酸錫(II)とのピークを対比したESCAチャートを図6に示す。
比較例A−1、A−2及び実施例A−1〜A−4で得られた触媒B〜Gの色目(a*値)を、以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
〔触媒のa*値〕
・試料作製方法
錫化合物触媒1gを内径59mmの打錠用プレス金型に表面が均一になるように投入し、かかる金型を電動式試料成形機(C/N:9302/30、前川試験器社製)にセットし、付属のブルドン管荷重計の目盛りで10トンの加圧を10秒間行うことにより、直径59mm、厚さ約1.7mmのペレットを得る。
・測定方法
ペレットを、A4コピー用紙(RPCA4R)20枚重ね合わせた上におき、日本電色工業社製の色差計「SZ-Σ90」によりL***を測定し、別途、リファレンスとして測定した、A4コピー用紙(RPCA4R)20枚重ね合わせた上のL***から、ペレットのa*値との差(Δa*)を算出する。
Figure 0004818294
[ポリエステルの調製]
実施例B−1〜B−6及び比較例B−1〜B−3(実施例B−6は参考例である)
ポリオキシプロピレン(2.05)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA-PO)6760g、テレフタル酸2888g(BPA-PO 100モルに対して87モル)、表3に示す触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃で酸価が15mgKOH/gに達するまで縮重合反応させた後、さらに8kPaにて軟化点が107℃に達するまで反応させて、ポリエステルを得た。かかった反応時間を表3に示す。なお、比較例B−3では反応が終了しなかった。
実施例B−1〜B−6及び比較例B−1、B−2のポリエステルについて、各ポリエステルごとに40g計量したものを5個用意した。計量したポリエステルごとに、テトラヒドロフラン200gを500ml容のスクリュー管に入れ、ボールミルボールミルで4時間した後、アドバンテック社製の濾紙 No2(JIS P3801に規定)で吸引濾過、不溶分を乾燥機で100トール、40℃で乾燥して不溶分を得た。得られた不溶分を、対応するポリエステルの種類ごとに合わせて、各ポリエステルのテトラヒドロフラン不溶分(THF)を得た。得られたTHF不溶分について、下記分析を行った。結果を表2に示す。
〔THF不溶分に含まれる錫の有無の測定〕
IRによる測定を行う。測定条件は、〔触媒の分析〕におけるIRの測定条件と同じである。
〔THF不溶分のa*値の測定〕
〔触媒の色目〕の測定において、試料として、錫化合物触媒の代わりに、THF不溶分を使用することにより測定する。
〔THF不溶分を酸性溶液に溶解したときの色目の測定〕
20ml容のスクリュー管中で、THF不溶分0.1gを0.1N DCl/D2O溶液10mlに溶解させた。
、0.1gの沈殿物を溶解させた。得られた溶液5mlを、分光光度計用セル(パイレックス(登録商標)製、光路幅20mm、光路長10mm、容量6ml、株式会社相互理化学硝子製作所製)に入れ、セルを縦置きにし、溶液が光路を満たしている部分について、色彩色差系「CR-321」(コニカミノルタ社製)を押し当てて、a*値を測定した。a*値が-2.0〜+1.0である場合に、溶液は透明であるものとする。
〔THF不溶分をアルカリ水溶液に溶解したときのNMR測定〕
NMRによる測定を行い、触媒の製造に使用した没食子酸又はピロガロールのNMRチャートと比較する。没食子酸及びピロガロールのNMRチャートでは、等価位置に出ていた水酸基の隣の水素原子のピークが、2つに分裂しているか否かを判断する。測定条件は、〔触媒の分析〕におけるNMRの測定条件と同じである。
Figure 0004818294
実施例B−7及び比較例B−4
ポリオキシエチレン(2.05)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA-EO)6360
g、フマル酸2320g(BPA-EO 100モルに対して100モル)、表3に示す触媒及びt-ブチルカテコール2gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で酸価が20mgKOH/gに達するまで縮重合反応させた後、さらに8kPaにて軟化点が110℃に達するまで反応させて、ポリエステルを得た。かかった反応時間を表3に示す。
実施例B−8及び比較例B−5
ビニル系樹脂の原料モノマーであるスチレン1146g、アクリル酸ブチル491g(スチレン/アクリル酸ブチルの重量比は70/30)、アクリル酸65g及び重合開始剤であるジクミルパーオキサイド98gを滴下ロートに入れ、ポリエステルの原料モノマーであるポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA-PO)4200g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA-EO)975g(BPA-PO/BPA-POのモル比は80/20)、テレフタル酸1743g(BPA-POとBPA-EOの総量100モルに対して70モル)、及び無水トリメリット酸12g(BPA-POとBPA-EOの総量100モルに対して12モル)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃で攪拌しつつ、滴下ロートよりビニル系樹脂の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、160℃、8kPaにて30分間保持し、重合開始剤及びビニル系樹脂の原料モノマーの残留物を取り除いた。その後、表3に示す触媒を加え、235℃に昇温して酸価が15mgKOH/gに達するまで縮重合反応させた後、さらに8kPaにて軟化点が115℃に達するまで反応させて、ポリエステルユニットと付加重合系樹脂ユニットとが部分的に化学結合したハイブリッド樹脂を得た。かかった反応時間を表3に示す。
[トナーの製造例1]
表3に示す結着樹脂100重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製、融点140℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/hr、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が7.5μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に、外添剤として疎水性シリカ「アエロジル R-972」(日本アエロジル(株)製)0.1重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナー1〜12を得た。
[トナーの製造例2]
表3に示す結着樹脂100重量部、ブルー顔料「ECB-301」(大日精化社製)6重量部、負帯電性荷電制御剤「E-84」(オリエント化学社製)0.5重量部及びカルナウバワックス「カルナウバワックスNo.1」(加藤洋行社製)2重量部を、トナー製造例1と同様にして、ヘンシェルミキサーで混合し、溶融混練、粉砕、分級をして体積中位粒径(D50)が7.5μmの粉体を得、その後、同様に外添剤を添加し混合することによりトナー13、14を得た。
試験例1〔流動性〕
トナー1〜14の凝集度を、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を使用した以下の方法により測定し、評価基準に従って流動性を評価した。結果を表3に示す。なお、凝集度とは、粉体流動性を表す指標であり、数値が低いほど粉体の流動性が高いことを示すものである。
〔凝集度の測定方法〕
パウダーテスターの振動台に、3種の異なる目開き(250μm、149μm、74μm)の篩を、上段250μm、中段149μm、下段74μmの順でセットし、上段の篩にトナー2gを乗せ、1mmの振動幅で60秒間振動させて、各篩上に残存したトナーの重量(g)を測定する。
測定したトナー重量を次式に当てはめて計算し、凝集度(重量%)を求める。
凝集度(重量%)=a+b+c
a=(上段に篩に残存したトナーの重量)/2×100
b=(中段に篩に残存したトナーの重量)/2×100×(3/5)
c=(下段に篩に残存したトナーの重量)/2×100×(1/5)
〔流動性の評価基準〕
A:凝集度が30重量%未満
B:凝集度が30重量%以上、50重量%未満
C:凝集度が50重量%以上
Figure 0004818294
試験例2〔帯電性〕
トナー1〜8、11、12を用い、トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、体積平均粒子径90μm)19.4gを50ml容のポリ瓶に入れ、ボールミルを用いて400r/minで混合し、帯電量をq/mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。混合時間60秒後の帯電量と混合時間600秒後の帯電量の比率(混合時間600秒後の帯電量/混合時間60秒後の帯電量)を計算し、帯電性を評価した。結果を表4に示す。帯電量の比率が1に近いほど、良好な帯電性であることを示す。
Figure 0004818294
以上の結果より、実施例の触媒を用いて縮重合系樹脂を製造する際には、反応時間を短縮することができ、得られた樹脂を含有するトナーは、流動性及び帯電性に優れるものであることが分かる。
本発明の縮重合反応用触媒は、フィルム、シート、繊維、電子写真用トナー材料等の各種用途に用いられる縮重合系樹脂の製造に好適に用いられる。
没食子酸のNMRチャートである。 実施例A−2で得られた触媒EのNMRチャートである。 没食子酸のIRチャートである。 実施例A−1で得られた触媒DのIRチャートである。 実施例A−2で得られた触媒EのIRチャートである。 実施例A−1で得られた触媒Dと、酸化錫(II)[SnO]、酸化錫(IV)[SnO2]及び2-エチルヘキサン酸錫(II)とのピークを対比したESCAチャートである。

Claims (5)

  1. 錫化合物と、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するピロガロール化合物とを反応させて得られる化合物からなり、a * 値が5〜60である、縮重合反応用触媒。
  2. 錫化合物と、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するピロガロール化合物とを反応させる工程を含む、縮重合反応用触媒の製造方法であり、得られる縮重合反応用触媒のa * 値が5〜60である縮重合反応用触媒の製造方法
  3. 請求項1記載の縮重合反応用触媒の存在下、原料モノマーを縮重合させて得られる、縮重合系樹脂。
  4. テトラヒドロフラン不溶分のa*値が5〜60であり、請求項1記載の縮重合反応用触媒を含有してなる、縮重合系樹脂。
  5. 請求項1記載の縮重合反応用触媒の存在下、原料モノマーを縮重合させる工程を含む、縮重合系樹脂の製造方法。
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