JP4519276B2 - 分極反転結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学結晶の技術分野に属し、特に、分極反転結晶(即ち、分極反転構造が形成された強誘電体結晶)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LiNbO3、LiTaO3などの強誘電体結晶は、第2高調波発生、光パラメトリック発振・増幅、差周波発生、和周波発生などの波長変換を行う素子の材料として好ましく用いられている。
近年、位相整合条件を満たすための手法として、強誘電体結晶に周期的分極反転構造を形成してなる分極反転結晶を用いて行う擬似位相整合法が盛んに行われている。
【0003】
周期的分極反転構造は、図4(a)、(b)に示すように、強誘電体結晶21中に、非反転領域(分極方向を反転しない、もとの結晶のままの領域)22aと、反転領域(分極方向を反転した領域)22bとを、所定の周期にて交互の配置パターンとなるように形成した構造である。波長変換すべき入力光L21は、非反転領域22aと反転領域22bとを交互に通過するように入射され、擬似位相整合法に従って波長変換された出力光L22が出射される。
【0004】
分極方向の反転は、強誘電体結晶板を挟んで電極を設け、その電極間に分極反転電圧を印加することによって行う。従って、反転領域を周期的に配置するには、一方の電極を、目的の周期的分極反転構造に合致したパターンとして形成する。電極をこのような周期的なパターンとして結晶面に接続するには、大きく分けて次の▲1▼▲2▼の方法が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼の方法は、図5(a)に示すように、強誘電体結晶21の結晶面上に、帯状の電極31を、反転領域の配置パターンに合致したパターンとしてストライプ状に形成する方法である。通常では、各帯状電極31は、ストライプの一端または両端で共通の電極パターン32に接続され、全体としては、くし型のパターン等とされる。
【0006】
しかし、上記▲1▼の方法では、図5(b)に示すように、各反転領域22bが電極31の幅以上に広がってしまい、図5(b)にAの円で囲んで示すように、隣り合った反転領域同士が部分的に癒着したものとなり易く、また、深さ方向についても、結晶表面に現れている反転領域をそのまま結晶面に垂直に裏面まで均一に到達させることは困難である。これは、電極形成部と非形成部との間に生じる強い電界傾斜が原因と考えられる。
【0007】
上記の反転領域の意図せぬ広がりを解消すべく、該広がりを見込んで予め電極幅を狭くしておくと、電極全体の電気抵抗が大きくなり、かつ電源からの配線33との接続部の近傍と電極末端とでの抵抗値の差異はより大きくなり、抵抗値の不均一性が顕著となる。また、電極幅が狭いために、電極の一部に電極パッドを設けて電源からの配線33を接続することになるが、電極パッドと配線33との接続部分も、電極パターン全体から見れば点接触に近く、高抵抗化の一因となる。電極の抵抗が不均一で高くなると、分極反転に必要な電荷供給や印加される電圧の不均一さが顕著となり、結果、分極反転構造も不均一となる。
【0008】
一方、▲2▼の方法は、図6(a)に示すように、先ず、結晶21の面上に反転領域22bの配置パターンを残して(即ち、非反転領域22aの配置パターンに合致したパターンとして)絶縁層42を形成し、その上から該面全体を一様の厚さで覆う電極層43を形成し、結果として、電極層43を目的の周期的分極反転構造のパターンに合致させて結晶面に接続する方法である。
【0009】
上記▲2▼の方法では、上記▲1▼の方法に比べて、電極層43に液体電極(液状電解質)を全面に接触させるので、抵抗値の不均一性は低減され、また、結晶に加わる電界が、反転領域だけでなく、分極反転させない領域(絶縁層直下の領域)にも加わるため、これらの領域の境界における電界傾斜が、上記▲1▼の方法の場合とは異なり、急峻にはならない。しかし、上記▲2▼の方法では、分極反転を行う際に電界を結晶に加えることで結晶自身に大きな伸縮や湾曲等が発生し、図6(b)に示すように、電極層43が絶縁層42と共に結晶21から剥離したり、電極が結晶に密着したまま切れるなどの問題が生じる。この剥離は、電極が厚いほど顕著であり、これを抑制するために電極層を薄くして結晶の伸縮に追従させようとすると、電極層の抵抗値が大きくなり、また薄くすることで絶縁層を完全に覆うことができなくなり、露出した絶縁層に液状電解質が浸透するなどの問題も生じ、分極反転のための電極として好ましいものではなくなる。
【0010】
本発明の課題は、上記問題を解決し、結晶の表面・内部における分極反転の品質を改善でき、しかも加工中の電極の剥離を抑制し得る、分極反転結晶の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の特徴を有するものである。
(1)強誘電体結晶板の一方の板面に、反転領域を残して絶縁層を形成し、その上から反転領域および絶縁層を覆う電極層を形成し、該電極層は、強誘電体に対し高密着性を示す金属材料からなり、電極層全体を覆う次層として、および/または、電極層自体の表層として、抵抗低減層を形成し、該抵抗低減層は、電極層と後記の電圧印加用媒体との間に介在して両者間の電気的接続に係る抵抗を低減する層であり、抵抗低減層の上面に一方の極の電圧印加用媒体を接触させ、強誘電体結晶板の他方の板面に配した電極とによって、強誘電体結晶板に分極反転電圧を印加する工程を有することを特徴とする、分極反転結晶の製造方法。
【0012】
(2)抵抗低減層を、電極層の材料よりも低抵抗の金属を用いて形成し、少なくとも、抵抗低減層に接する方の電圧印加用媒体を液状電解質とする上記(1)記載の製造方法。
【0013】
(3)抵抗低減層を、表面に凹凸を有する層として形成し、少なくとも、抵抗低減層に接する方の電圧印加用媒体を液状電解質とする上記(1)または(2)記載の製造方法。
【0014】
(4)抵抗低減層を、電極層自体の表層として該電極層の表面全体にわたる凹凸層として形成し、少なくとも、抵抗低減層に接する方の電圧印加用媒体を液状電解質とする上記(1)記載の製造方法。
【0015】
(5)さらに電極層全体を覆う第2番目の抵抗低減層として、電極層の材料よりも低抵抗の金属からなり表面に凹凸を有する層を形成する上記(4)記載の製造方法。
【0016】
(6)強誘電体結晶板の一方の板面に凹凸を形成し、該凹凸の影響によって抵抗低減層の表面を凹凸とするものである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
(7)電極層の材料よりも低抵抗のペースト状材料を電極層上に塗布し、表面を平坦に形成して抵抗低減層とし、これに、電圧印加用媒体として固体の導電体を接触させるものである上記(1)記載の製造方法。
【0018】
(8)強誘電体結晶板の他方の板面に配する電極が、液状電解質であるか、または、導電性を有するペースト状材料を介して接触する固体の導電体である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に電圧印加状態として一態様例を示すように、本発明の製造方法は次の(イ)〜(ニ)の工程を少なくとも有するものである。
(イ)強誘電体結晶板1の一方の板面に、反転領域bを残して絶縁層2を形成する工程。即ち、非反転領域aの配置パターンに合致したパターンとして絶縁層2を形成する工程。
(ロ)絶縁層2の上から、強誘電体結晶に対して高い密着性を示す電極材料を用いて、該板面全体を覆う電極層3を形成する工程。
(ハ)電極層3全体を覆う次層として、抵抗低減層4を形成する工程。該抵抗低減層4は、後述するように、電極層自体の表層として形成してもよく、また、電極層の表層と次層との組み合せとして形成してもよい。
(ニ)抵抗低減層4の上面には一方の極の電圧印加用媒体(図1では、液状電解質)5を接触させ、強誘電体結晶板1の他方の板面には、少なくとも分極反転すべき領域に電界が作用するように他方の電極(図1では、液状電解質)6を配置して、強誘電体結晶板1に分極反転電圧を印加し、反転領域を形成する工程。
【0020】
上記のように、本発明の製造方法の重要な特徴は、電極層の材料として強誘電体結晶に高い密着性を示すものを用いると共に、抵抗低減層を設けたことにある。電極層の高密着化によって抵抗低減層を設けても剥離が抑制され、また、抵抗低減層が電極層と電圧印加用媒体との間に介在することによって、両者間の電気的接続に係る抵抗が低減される。
【0021】
強誘電体結晶板の材料としては、公知のものを用いてよく、例えば、LiNbO3、LiTaO3、XATiOXB4(XA=K、Rb、Tl、Cs、XB=P、As)などの代表的なものや、これらにMgなどの種々の元素をドープしたものが挙げられる。なかでも特に、耐光損傷性に優れている点で、MgOドープLiNbO3が好ましい。
【0022】
強誘電体結晶板の寸法は限定されないが、一般的に用いられている裁断前の母材の寸法では、厚さ0.5mm〜5mm程度、板面の広さは1mm×1mm〜50mm×50mm程度である。
【0023】
絶縁層の材料としては、ポリイミド系樹脂、誘電体膜、フォトレジスト膜などが挙げられる。絶縁層の厚さは、0.1μm〜30μm程度が好ましい。絶縁層のパターン形成法は、フォトリソグラフィー、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など、公知の方法を用いてよい。
【0024】
電極層の材料は、強誘電体結晶に対して高密着性を示すCr、Alなどが挙げられる。電極層の厚さは、0.01μm〜1μm程度、特に、結晶の延伸によく追従させ、剥離を十分に抑制する点からは、0.02μm〜0.1μm程度が好ましい。電極層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など、公知の成膜法を用いてよい。
【0025】
抵抗低減層と電圧印加用媒体との接続に関する抵抗を低減するには、抵抗低減層の態様のみならず、相手の電圧印加用媒体との組み合せも重要である。
先ず、抵抗低減層には、大きく、次の(I)〜(III)の態様が挙げられる。
【0026】
(I)図1に示すように、電極層3の材料よりも低抵抗の金属材料を用い、抵抗低減層4を形成する態様。この場合、抵抗低減層は、同図に示すように、絶縁層の有無によって大きく振幅するので、全面で接触するためには、相手の電圧印加用媒体には液状電解質を用いる。
【0027】
(II)図3に示すように、電極層3の材料よりも低抵抗のペースト状材料を用い、抵抗低減層4を形成する態様。この場合、電極層3の凹凸をフラットに埋めながら、しかも接触相手に柔軟にトレースしてよく密着するという、ペースト状材料独特の特徴が示される。相手の電圧印加用媒体5には、固体の導電体を用いることが好ましい。この場合、下記(III) と同様に、電極層3の表面にさらに微小な凹凸を形成してもよい。また、ペースト状材料の流動性を生かして、相手の導電体の面に凹凸を設けてもよい。
【0028】
(III) 図2(a)〜(c)に示すように、抵抗低減層の表面に微小な凹凸を設け、電圧印加用媒体との接触面積を増大させることによってトータルの接触抵抗を低抵抗化する態様。材料は上記(I)で用いるような低抵抗の金属材料の方がより好ましい。この場合の抵抗低減層は表面に微小な凹凸を有するので、それと全面的に接触するためには、相手の電圧印加用媒体に液状電解質を用いるのが好ましい。
【0029】
上記(I)における、低抵抗の金属材料としては、10×10-8Ω・m以下の良導体であればよく、Au、Ag、Cuなどが挙げられる。この場合、抵抗低減層の厚さは、0.1μm〜10μm程度、特に、0.4μm〜2μm程度が好ましい。抵抗低減層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などが挙げられる。
【0030】
上記(II)における、低抵抗のペースト状材料としては、ペースト状の高分子材料を基材として、これに、Au、Ag、Al、カーボンなどの導電性微粒子を分散させ、材料全体としての比抵抗を10-5Ω/cm以下としたものが挙げられる。
【0031】
固体の導電体としては、固体電解質(例えば、導電性ポリマー、金属酸化物など)や、良導体金属(例えば、Ag、Au、Cuなど)が挙げられる。
【0032】
上記(III) の態様では、抵抗低減層は微小な凹凸層であることに特徴がある。従って、抵抗低減層は、図2(b)に示すように、電極層3自体の表層3aとして形成された微小な凹凸であっても、図2(a)に示すように、電極層3の上にさらに別の材料にて次層4として形成された微小な凹凸であってもよい。
【0033】
上記(III) の態様における凹凸は、所謂「粗面」としての凹凸であっても、基準面と見なすことができる平面から突起や窪みが多数形成された凹凸であっても、多孔質の素材を用いることによる凹凸であってもよい。
【0034】
凹凸は、単発的な穴や突起の集合による凹凸であっても、山脈状に連なった凸部と谷とが交互に並んだ凹凸であってもよい。結晶表面の段階で機械的研磨で粗面化する場合には、後者のような凹凸となる。
凹凸の程度は、電極層自体が、絶縁層によって分極反転の周期で凹凸状に振幅しているので、それよりも微小な凹凸であればよく、電圧印加用媒体との接触面積をさらに増大させることができればよい。例えば、平均のピッチは0.1μm〜1.0μm程度、凸のピークと凹の底との差は0.1μm〜1.0μm程度が好ましい凹凸の程度として挙げられる。
【0035】
抵抗低減層の表面を凹凸とする方法として、その層よりも下にある層の表面に凹凸を形成することによって、その影響で上層である抵抗低減層の表面を凹凸とする方法が挙げられる。例えば、図2(b)に示す電極層3の表層3a上に、抵抗低減層を形成すれば、その表面も凹凸となる。さらに、図2(c)に示すように、最も基礎面である強誘電体結晶1の表面に凹凸を形成すれば、その影響で、絶縁層2、電極層3、抵抗低減層4の全ての表面が凹凸となる。強誘電体結晶の表面に凹凸を形成しても、波長変換すべき光の光路を結晶内部に取れば、波長変換素子としての特性に影響は無い。
【0036】
抵抗低減層の表面に凹凸を新たに発生させる方法としては、例えば、金属表面に凸部をアディティブに形成するにはメッキ法が挙げられ、メッキ条件によって、微小な凸部が成長する。また、結晶表面に凹部を形成するには、機械研磨、サンドブラスト、エッチング(ドライエッチング、ウエットエッチング)、レーザーアブレーションなどが挙げられ、金属表面に凹部を形成するには、エッチング法(ドライエッチング、ウエットエッチング、電界エッチング法)、レーザーアブレーションなどが挙げられる。
【0037】
強誘電体結晶板の他方の板面(結晶裏面)に配する電極は、分極反転電圧を印加し得るように上記電極層に対向して結晶裏面に密着するものであればよい。例えば、上記の液状電解質や固体の導電体などを結晶裏面に直接接触させる態様、図3に示すように、ペースト状材料からなる層6aを介して固体の導電体6を接触させる態様などが挙げられる他、公知の電極の態様を用いてよい。
【0038】
結晶の裏面に導電性のペースト状材料を塗布する態様の場合、該ペースト状材料に接する結晶の裏面や固体の導電体の表面には、凹凸を形成して、接触面積を増大させるなど、上記で説明した抵抗低減層の構成を、結晶裏面の電極に適用してもよい。
【0039】
分極反転を行う際の温度や電圧、その他の周囲の条件、付帯装置等は、公知技術を参照してよい。
【0040】
【実施例】
実施例1
本実施例では、図1に示す態様に従って、周期的分極反転構造を有するLiNbO3結晶を実際に製造した。
図1に示すように、材料の強誘電体結晶板1として、単分極化処理がなされた+zカットのLiNbO3結晶基板を用いた。該結晶基板の寸法は、板厚が1.0mm、板面が(幅)40mm×(光路方向)40mmである。該結晶基板1の+z面、−z面は、光学研磨されている。
【0041】
この結晶基板1の+z面に、フォトリソグラフィーにより周期的な縞状のマスクパターン(グレーティングパターン)を有するレジスト膜を絶縁層2として形成した。縞状のマスクパターンは、帯状のマスク部分と帯状の露出部分とが交互に配置されたパターンであって、周期長29μm米帯状のマスク部分の幅を17μm、帯状の露出部分の幅を12μm、厚さを1.0μmとした。
【0042】
その上に、電極層3としてCrをスパッタにより0.02μmの厚さで覆った。さらにその上に、抵抗低減層4として、Auをスパッタにより0.4μmの厚さで覆った。
【0043】
次に、結晶基板1の+z面にプラス側の液体電極(電圧印加用媒体)5を接触させ、−z面にマイナス側の液体電極(電圧印加用媒体)6を接触させた。液体電極としては、水を溶媒としこれにLiClを溶かした電解液を用い、液体電極用の容器に入れて基板面に取付け、液体電極と基板面とを接触させた。
【0044】
分極反転電圧を21kVとし、30秒間印加して分極反転を完了し、周期的分極反転構造を有するLiNbO3結晶を得た。
また、比較用の試料として、電極層を、材料Au、厚さ0.4μmにて形成し、抵抗低減層を形成せず、従来どおりの電極構造としたこと以外は本実施例1と同様の条件にて分極反転を行った。
【0045】
〔評価〕
分極反転直後、結晶に対する電極層の密着状態を外部から観察したところ、本実施例の試料では、電極は全面にわたって良好に密着しており、剥離している部分は見られなかった。一方、比較用の試料では、電極層が周辺において部分的に剥離し、結晶との間に隙間が生じていた。
また、電極層を除去し、形成された周期的分極反転構造を直接観察することによって、分極反転の品質を評価し、そのことから電極層の剥離の有無をも考察した。周期的分極反転構造の観察は、フッ酸と硝酸との混合液(比率1:3)を用いた化学エッチングによって反転模様を現出させて行った。
【0046】
観察の結果、本実施例で得た分極反転結晶は、分極反転構造の全域にわたって完全に周期的な分極反転が完成しており、このことから、分極反転工程での電極層の剥離は起こらず、安定して反転の加工ができることがわかった。これに対して、比較用試料の分極反転結晶では、分極反転工程での電極層の剥離が原因で、特に分極反転構造の周辺部分での反転が完全に形成されてはおらず、また、再現性も悪かった。
【0047】
実施例2
本実施例では、図2(a)に示す態様に従って、周期的分極反転構造を有するLiNbO3結晶を実際に製造した。抵抗低減層以外については、上記実施例と同様である。
電極層3上に電解メッキ法を用いて厚さ5μmのAu層を抵抗低減層4として形成し、メッキ条件を調整して該層の表面には微小な凹凸を形成した。凹凸の仕様は、谷底から山のピークまでの高さの平均、および山のピーク間のピッチが、共に約1μmである。
【0048】
〔評価〕
実施例1と同様の評価を行ったところ、電極層の剥離は見られず、また、深さ方向について、結晶表面に現れている反転領域がそのまま結晶裏面まで、従来より均一に到達していることがわかった。これは、結晶表面において電化注入が均一に起こり、分極反転が完了するのに必要な時間に差が無くなったためと考えられる。
【0049】
実施例3
本実施例では、図2(c)に示す態様に従って、周期的分極反転構造を有するLiNbO3結晶を実際に製造した。
LiNbO3結晶の表面を粗さ♯8000番の研磨材で研磨して結晶表面を意図的に粗面化したこと以外は、実施例1と同様に電極層3と抵抗低減層4を形成した。抵抗低減層の表面には、結晶表面の凹凸を反映して、実施例2と同程度の凹凸が形成されていた。
実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例2と同様の結果が得られた。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の製造方法では、強誘電体結晶に対して高い密着性を示す材料を用いて電極層を形成し、その上に抵抗低減層を加えたので、これらの2層の作用により、加工中の電極層の剥離が解消され、しかも、結晶の表面・内部における分極反転の品質を改善できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一例を示す断面図である。同図では、分極反転を行う際の電圧印加のためのセッティング状態を示している。図中の各絶縁層2は縞状に紙面に垂直に延びており、周期的分極反転構造のパターンに対応している。図2、図3、図6でも同様である。
【図2】本発明の製造方法の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の製造方法の他の例を示す断面図である。
【図4】従来の一般的な分極反転結晶の態様を示した図である。図4(a)は、結晶の分極が現れる面を見たときの図であり、図4(b)は、図4(a)のX−X断面を示す図である。図4(b)では、+−の記号によって分極方向を示している。
【図5】従来の分極反転結晶の製造方法の一例を示す図である。図5(a)は、結晶板面に形成された電極パターンを見た図であり、図5(b)は、図5(a)のY−Y断面を示す図である。
【図6】従来の分極反転結晶の製造方法の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 強誘電体結晶板
2 絶縁層
3 電極層
4 抵抗低減層
5 電圧印加用媒体
6 電圧印加用媒体

Claims (8)

  1. 強誘電体結晶板の一方の板面に、反転領域を残して絶縁層を形成し、その上から反転領域および絶縁層を覆う電極層を形成し、該電極層は、強誘電体に対し高密着性を示す金属材料からなり、
    電極層全体を覆う次層として、および/または、電極層自体の表層として、抵抗低減層を形成し、該抵抗低減層は、電極層と後記の電圧印加用媒体との間に介在して両者間の電気的接続に係る抵抗を低減する層であり、
    抵抗低減層の上面に一方の極の電圧印加用媒体を接触させ、強誘電体結晶板の他方の板面に配した電極とによって、強誘電体結晶板に分極反転電圧を印加する工程を有することを特徴とする、分極反転結晶の製造方法。
  2. 抵抗低減層を、電極層の材料よりも低抵抗の金属を用いて形成し、少なくとも、抵抗低減層に接する方の電圧印加用媒体を液状電解質とする請求項1記載の製造方法。
  3. 抵抗低減層を、表面に凹凸を有する層として形成し、該凹凸を、平均のピッチが0.1μm〜1.0μm、凸のピークと凹の底との差が0.1μm〜1.0μmである凹凸とし、少なくとも、抵抗低減層に接する方の電圧印加用媒体を液状電解質とする請求項1または2記載の製造方法。
  4. 抵抗低減層を、電極層自体の表層として該電極層の表面全体にわたる凹凸層として形成し、該凹凸層の凹凸を、平均のピッチが0.1μm〜1.0μm、凸のピークと凹の底との差が0.1μm〜1.0μmである凹凸とし、少なくとも、抵抗低減層に接する方の電圧印加用媒体を液状電解質とする請求項1記載の製造方法。
  5. さらに電極層全体を覆う第2番目の抵抗低減層として、電極層の材料よりも低抵抗の金属からなり表面に上記凹凸を有する層を形成する請求項4記載の製造方法。
  6. 強誘電体結晶板の一方の板面に凹凸を形成し、該凹凸の影響によって抵抗低減層の表面を上記凹凸とするものである請求項〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 電極層の材料よりも低抵抗のペースト状材料を電極層上に塗布し、表面を平坦に形成して抵抗低減層とし、これに、電圧印加用媒体として固体の導電体を接触させるものである請求項1記載の製造方法。
  8. 強誘電体結晶板の他方の板面に配する電極が、液状電解質であるか、または、導電性を有するペースト状材料を介して接触する固体の導電体である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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