JPH06194708A - Shg素子、shg装置およびshg素子の実効屈折率決定方法 - Google Patents

Shg素子、shg装置およびshg素子の実効屈折率決定方法

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JPH06194708A
JPH06194708A JP5209239A JP20923993A JPH06194708A JP H06194708 A JPH06194708 A JP H06194708A JP 5209239 A JP5209239 A JP 5209239A JP 20923993 A JP20923993 A JP 20923993A JP H06194708 A JPH06194708 A JP H06194708A
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shg
optical waveguide
dbr
shg element
qpm
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JP5209239A
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Keisuke Shinozaki
啓助 篠崎
Yasuhiro Matsui
康浩 松井
Takeshi Kamijo
健 上條
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Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 SHG素子の基本波長に対する実効屈折率N
を正確に決定し、それに基づき任意の基本波長に対応す
るSHG素子およびこのSHG素子を用いたSHG変換
効率の高いSHG装置を提供する。 【構成】 SHG素子の光導波路に可変波長レーザを入
射させてSHG変換効率が最大と成る基本波の波長λ
SHG およびこの波長の近傍の波長で最大の反射を起こす
波長λDBR を求め、計算により実効屈折率および固有屈
折率の差△n、従って、Nを求める。SHG素子の光導
波路に、DBR部分とQPM SHG部分とを個別に設
ける。DBR部分は△nを用いて設計出来る。従って、
任意の基本波長に対してDBRを設計でき、よって、S
HG素子を設計できる。このSHG素子をLDと光学手
段を用いて光結合させて、SHG変換効率の高いSHG
装置を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、SHG素子、SHG
装置およびSHG素子の実効屈折率決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体レーザを基本波光源とする
光第2高調波発生素子および装置が知られている。この
種の装置は、SHG装置と称せられ、光源(基本波光源
ともいう。)として主として半導体レーザ(LDともい
う。)を用い、この光源からの出射光の波長を1/2に
変換して短波長化を図る装置である。このSHG装置に
使用される第2高調波発生素子(SHG素子という。)
の一例が文献I:「エレクトロニクス レターズ(El
ectronics Letters),Vol.2
5,(1989),pp.731−732」に開示され
ている。
【0003】先ず、この従来のSHG素子の動作原理で
ある擬似位相整合法につき、図5を参照して説明する。
図5はこの動作原理を説明するための模式図である。
【0004】このSHG素子10では、LiNbO3
板12の+c面にTi(チタン)を周期Λで周期的に熱
拡散して分極反転(ドメイン反転ともいう。)構造14
を形成してある。この形成のときの拡散温度を約110
0℃とし拡散時間を約1時間とした例である。この分極
反転の格子構造14に直交するように、プロトン交換法
(Li+ −H+ 交換法またはイオン交換法ともいう。)
により、光導波路16が形成してある。
【0005】このSHG素子10の光導波路16に、角
振動数ω、波長λの基本波が図中左側の端面から入射す
るとする。入射光はあるm次(但し、m=0,1,2,
3・・・m)の伝播モード(伝播横モード)で光導波路
中を実効屈折率Nm(λ)で伝播する。周知の通り、こ
の伝播の間に第2高調波(角振動数:2ω;波長:λ/
2)が発生する。この第2高調波の発生をSHG(Se
cond−Harmonic Generation)
といい、この第2高調波をSH(Second−Har
monic)波と称する。このように、このSHG素子
10では、基本波のエネルギーの一部分が第2高調波に
移る。
【0006】今、仮に分極反転構造が形成されていない
とすると、次式で与えられるコヒーレント長(コヒーレ
ンス長ともいう。)Lcだけ基本波が光導波路16中を
伝播すると、基本波からSH波へのエネルギーの変換量
が最大となる。
【0007】 Lc=λ/{4[Nn(λ/2)−Nm(λ)]} ・・・(1) 但し、Nn(λ/2)はSH波のn次(n=1,2,・
・・・n)の伝播モードに対する実効屈折率であり、N
m(λ)は基本波のm次の伝播モードに対する実効屈折
率である。
【0008】以下、説明を簡単にするために、光導波路
16中を基本波もSH波も0次モードで伝播する場合を
例に上げて説明する(すなわち、m=n=0)。以後、
ここでは、この場合の実効屈折率を単にN(λ/2)お
よびN(λ)と書く。ここで、Lcは、(1)式から明
らかなように、λや光導波路の寸法に依存する。N
(λ)は、非線形媒質(LiNbO3 や、KTiOPO
4 :KTP等)の固有屈折率n(λ)にほぼ等しいが、
光導波路の形状や伝播モードにも依存する。Lcの物理
的な意味を説明すると、以下のようになる。
【0009】基本波が、光導波路16中をコヒーレント
長Lcだけ伝播すれば、SH波の強度は極大となり、そ
れからさらにLcだけ進めば、SH波は強度は0となる
ことを意味する。コヒーレント長Lcが無限大でなく有
限な値であるということは、基本波とSH波との位相整
合がとれておらず、位相不整合が存在する。位相不整合
が存在すると、コヒーレント長Lc以上の長い距離にわ
たり光導波路を基本波が伝播してもSH波の強度はある
一定値以上の大きさにはならないことを示している。コ
ヒーレント長は数μm程度であるので、この程度の短い
距離の基本波の伝播では非常に弱いSH波しか得られな
い。すなわち、充分な強度のSH波を得ようとすると、
位相不整合を0にしなければならない。
【0010】位相不整合を△kとすると、この△kは次
式(2)で与えられる。
【0011】 △k=(4π/λ)[N(λ/2)−n(λ)] ・・・(2) この式からわかるように、位相不整合を0とするために
は、N(λ/2)−n(λ)=0であることが必要であ
る。しかしながら、一般的に、屈折率は波長に依存する
ので、このようなことは起こらない。
【0012】そこで、従来は、図5に示すように、コヒ
ーレント長Lc毎に分極反転領域14を設けて周期Λ
(=2Lc)の分極反転構造を形成して、位相不整合△
kを補完し、それにより基本波の伝播距離のほぼ2乗に
比例した強度のSH波を取り出すようにしている。この
位相不整合△kを完全に補完するための条件は N(λ/2)−N(λ)−λ/Λ=0 ・・・(3) で与えられる。この条件のことを擬似位相整合条件また
はQPM条件ともいう。尚、この(3)式についての参
考文献として、文献II:「オプティックス コミュニ
ケーションズ(Optics Communicati
ons),Vol.6,(1972),pp301−3
04」と、文献III:「ジャーナル・オブ・ライトウ
エーブ・テクノロジー(Journal of lig
htwave Technology),vol.7,
No.10,(1989),pp.1597−160
0」を挙げておく。
【0013】位相不整合が存在する場合でも、(3)式
を満足するように周期的分極構造を形成すれば、基本波
の伝播距離、従って、SHG素子の長さの2乗に比例す
るSH波を取り出すことが出来る。
【0014】しかし、(2)式で与えられる条件は、次
の2点において技術的に満足させることが難しい。
【0015】[1]実効屈折率N(λ),N(λ/2)
が光導波路の寸法等に依存し、これを素子の設計(例え
ばΛを幾らにしたら(3)式を満足させることが出来る
か等)の段階で把握することが出来ない。
【0016】[2]基本波光源たる半導体レーザ(L
D)の発振波長を必要とされる精度で確定出来ない。す
なわち、最適のLDを選択出来ない。(3)式を満足さ
せるために要求されるLDの発振波長の精度は、数nm
程度である(例えば、文献IV:「ジャーナル・オブ・
アプライド・フィジクス(Journal of Ap
llied physics),Vol.71,(19
92),pp.22−27」参照。)。
【0017】[3]仮に、上記条件を満たすLDとSH
G素子との組み合わせが実現しても、SHG素子からの
戻り光のためにLDの発振が安定せず、従って、安定し
たSHGを実現することが困難であった。
【0018】そこで、従来から、基本波光源として波長
を可変出来る色素レーザ(或いは、Ti:サファイヤレ
ーザ等の波長可変レーザ)を用いて、(3)式の条件を
満足させ、変換効率を大きくする方式をとっている。こ
うすることにより、充分な変換効率が達成されるように
なった。
【0019】次の課題は、基本波光源として色素レーザ
を用いるとSHG装置が大型化してしまうこと、およ
び、既に気体レーザ等で短波長レーザ光が得られる現
在、色素レーザを基本光源として用いるSHG装置は実
用的価値がほとんどないという問題を解決することにあ
る。すなわち、あくまで、基本波光源としては、LDを
利用しなければならないということである。
【0020】そこで、この出願の発明者らは、上述した
課題の解決を図るため、先の特願平3−051930号
において、SHG素子からの帰還によってLDの発振を
擬似位相整合条件を満足する波長で安定的に規定する方
法(以後、この方法を自己擬位相整合法またはS−QP
M法とも言う)を提案している。この発明の理解を容易
にするために、ここでは、先ず、先に提案された技術に
つき、以下、簡単に説明する。
【0021】図6は、先に提案されている方法の説明に
供する、SHG装置20を拡大して模式的に示した斜視
図である。22は半導体レーザ(LD)、24はレンズ
等の光学的手段である。この装置20では、SHG素子
10からの帰還によりLD22が発振する配置関係と成
っている。この発振光が以下述べるように、QPM条件
を満足するようになっている。
【0022】周期的分極反転格子はブラッグ反射器(D
istributed BraggReflecto
r:DBRと略称する。)としても機能する。この周期
ΛがQPM条件を満足し、かつ、基本波の波長に対して
光反射条件を満足するようになっていれば、光導波路か
らの帰還光(DBRからの帰還光)によりQPM条件を
満足する波長でLDが発振することになる。すなわち、
S−QPMが実現することを意味する。ここで用いるL
D22は、端面が低反射コーティング(以後、ARコー
ティングと称する。)されており、それ自身では通常の
注入電流値では発振せず、あるバイアス電流を流した状
態で分極反転格子からの帰還光を得て初めて発振するよ
うにしておく。すなわち、次式(4)を満足するよう
に、Λが形成されていれば、S−QPMが実現すること
となる。尚、この式(4)でpを正の整数とする。
【0023】 Λ=2(2m−1)Lc=pλ/2N(λ) ・・・(4) この条件を具体的にLiNbO3 を例にして説明する。
また、基本波の波長は、1.3μm近傍である場合を想
定する。すなわち、LD22は、InP/InGaAs
P系である。光導波路16は前述したイオン交換法で形
成する。また、周期的分極反転構造14は、Ti熱拡散
法で形成する。
【0024】一方、LiNbO3 の屈折率n(λ)の波
長依存性は次式(5)の実験式で与えられる。
【0025】 n2 (λ)−1=3.5567−2.605x10-72 +(0.970x105 +2.70x10-22 ) x[λ2 −(2.01x102 +5.4x10-52 2 -1 −2.24x10-8λ2 ・・・(5) 但し、Tは雰囲気温度、およびλは波長である。ここ
で、光導波路の実効屈折率N(λ)が(5)式で近似出
来るものとして、(4)式の条件をグラフにしたのが図
7である。
【0026】図7は、横軸には基本波の波長(nm)お
よび縦軸にコヒーレント長Lc(nm)および40次か
ら45次までのブラック反射率を満足する分極反転領域
の寸法Lw(nm)をとって示した図である。同図にお
いて、コヒーレント長Lcをパラメータとしたときの、
曲線の交点が(4)式の条件を満足する。しかし、Li
NbO3 の固有の屈折率は光導波路の実効屈折率とは僅
かではあるが異なるはずである。そこで、とりあえず、
この近似に基づいて、分極反転周期を求めて、これを第
一近似として話を進めることにする。先の出願で発明者
らが提案している方法に従って以下の作業を説明する。
【0027】LD22の利得が最大となる波長は、1.
3μm程度であったので、S−QPM SHGが実現す
る周期Λは、上述した(4)式でp=40〜45とする
と、波長1200〜1400nmの範囲でΛは約560
0〜約7400nmの範囲と成る。従って、Lcとの交
点は、上記第一近似により、ほぼ6.0〜7.0μmの
範囲内に数点あると推定できる。すなわち、図7によれ
ば、S−QPM SHGが実現するのはほぼ0.6,
6.25,6.5,6.75μmと推定される。そこ
で、この程度の周期のものをいくつか作り実験的に最適
な周期を知った。実験によれば、分極反転構造の周期が
6.5μmのものが適していることがわかった。この周
期を図7中に、直線LR で示す。
【0028】図8により、この実験の概要を説明する。
図8の構成は、SHG素子10を例えば光ファイバ等の
光学的手段30を介して基本波光源32に結合してあ
り、34、36は例えばレンズ等の光学系であり、38
はLDである。尚、光学系36は基本波のモニタに用い
るものであり、所要に応じて設ければ良い。また、40
は、フィルタである。基本波光源32として用いたLD
38の両端面は低反射コーティング(AR)してある。
入射端面の一方を予め光導波路の入射端面に位置合わせ
しておいた光ファイバ30に接続する。このようにして
おいて、LD38に電流を注入すれば発振してS−QP
M SHGが実現し、フィルタ40からSH波が出力す
る。
【0029】図9にこのLD38の発振スペクトルを、
図10にSHGスペクトルをそれぞれ示す。これらの図
は、いずれも横軸(μm)に波長を取り、縦軸に光強度
(任意の単位)をとって示してある。これらの図から、
基本波光源の波長は、1.327μm、SH波の波長は
662.4μmであることがわかる。ちなみに、LD3
8とSHG素子10との光学的結合をといてLD38の
発振スペクトルを調べたところ、図11に示すスペクト
ル分布を得た。この実験結果からも理解出来るように、
図9のスペクトル中に生じていた発振ピーク(1.32
7μm)がなくなって、なだらかなスペクトルとなって
いるので、LD38の発振が停止したことが理解出来
る。この実験から、分極反転構造の周期は6.5μmで
あることが図7から推定される。
【0030】次に考察すべきことは、分極反転構造の周
期の最適性についてである。すなわち、式(4)を完全
に満足させる周期を求めるには光導波路の実効屈折率N
(λ)を知る必要がある。このN(λ)はLiNbO3
の固有の屈折率n(λ)すなわち式(5)で与えられる
屈折率よりも僅かに大きくなっているはずである。これ
を式で表現すれば、次式の通りとなる。
【0031】 N(λ)=n(λ)+△n ・・・(6) ここで、△nは、経験的に波長λにほとんど依存しな
い。この△nは、この出願の発明者らが既に文献V:
「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィ
ジックス(Japanese Journal App
lied Physics),Vol.31,(199
2),pp.2104−2108」で報告しているよう
に、実験的にはほぼ0.05であることが知られてい
る。勿論、この値は、LiNbO3 についてであり、物
質が異なれば、当然この値も変わってくるし、厳密には
光導波路の形状、形成方法にも依存する。従って、ここ
で基本的な問題は、次の3点となる。
【0032】SHG素子の設計の時点でこの△nを正
確に知らなければ、S−QPM SHGを効率よく実現
出来ないこと。従来は、この△nを求めること自体行な
われていなかった。
【0033】また、さきの出願に係るS−QPM S
HGにおいては、(4)式を満足する分極反転構造の周
期は離散的にしか存在しないので、任意の波長に対して
SH波を発生するSHG素子を設計することができない
こと。
【0034】また、さきの出願に係るS−QPM S
HGにおいては、LDからの出射光がSHG素子の光導
波路に入射するのは、この出射光の半分程度であり、従
って、出射光を基本波光として有効的に利用出来ないこ
と。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】従って、これまでに提
案されているSHG技術においては、下記のような解決
すべき課題がある。
【0036】上記について:一般に、LiNbO3
LiTaO3 ,KTP等に光導波路を形成する場合、光
導波路の部分を周期的にイオン交換法を用いて屈折率を
変える。具体的に説明すると、LiNbO3 ,LiTa
3 に対してはLi+ イオンをH+ イオンと交換する。
このイオン交換には安息香酸やピロリン酸が使われる。
交換された部分はそれぞれLiX 1-X NbO3 ,Li
X 1-X TaO3 (xは組成比を表す値であって、0<
x<1)となり、非交換部分よりも屈折率が高くなる。
【0037】KTPについては、K+ イオンをRb+
オンと交換し、KX Rb1-X TiOPO4 にする。
【0038】イオン交換には、RbNO3 ,Ba(NO
3 2 の混合融液が使われる。交換された部分が非交換
部分に比べてやはり屈折率が高くなり、また、分極方向
が反転する。これらの屈折率変化量は、交換されたイオ
ン濃度に比例する。イオン濃度は基板表面が一番高く、
基板内部に進むにつれて低くなるように分布する。この
ような複雑な屈折率分布形状をした光導波路中を伝播す
る光に対する実効屈折率を解析的に求めることは事実上
困難である。そこで、実験的にこの実効屈折率を求める
必要があるが、従来は、この実効屈折率を求めることは
行なわれていなかったし、また、これを求める方法も提
案されていなかった。
【0039】ところで、仮に実効屈折率を求めることが
できたとしても、光導波路の周期的分極反転構造の周期
を正確に形成することは、例えばフォトリソグラフィー
及び熱拡散の技術では制約があり、また、SHG素子の
温度変化によっても実効屈折率は変化してしまう。
【0040】上記について:図7に示したように、交
点は波長にして、ほぼ0.25μm間隔に飛び飛びに存
在する。すなわち、この間の波長に対してはSHGを実
現することが出来ない。
【0041】上記について:図8に示した実験に用い
たSHG装置の構成では、LDの出射光のうち、一方の
端面からの出射光のみがSHG素子の光導波路に入射す
る構成となっている。他方の端面からの出射光はこの構
成ではスペクトルアナライザに導いているので、事実上
SHGに寄与していない。この実験では基本波光の波長
をモニタするためにこのような配置を取っているが、実
用上はこのスペクトルアナライザに導かれている基本波
も有効に使われるようにするのが望ましい。このように
有効に使われるようになれば、光導波路中の基本波のエ
ネルギー密度は2倍にすることができ、SH波の出力強
度を4倍にすることが出来る。
【0042】この発明は、上述した諸課題に鑑みなされ
たものであり、従って、この発明はSHG素子及びSH
G装置の設計に必要な実効屈折率を決定する方法、およ
び任意の基本波長に対して、エネルギーの有効利用が図
れるSHG素子およびSHG装置を提供することにあ
る。
【0043】
【課題を解決するための手段】この目的の達成を図るた
め、この発明のSHGの実効屈折率決定方法によれば、
周期的分極反転構造を利用した光導波路を有し、擬似位
相整合条件を満足するタイプのSHG素子を用い、該S
HG素子の光導波路に基本波を導波させて該SHG素子
のSHG変換効率が極大となる、基本波に対する波長λ
SHG を測定し、該SHG素子の光導波路に基本波を導波
させて該光導波路の基本波に対する反射率が極大となる
波長λDBR を測定し、これら波長λSHG およびλDBR
ら次の3つの式(a),(b),および(c)を用いて
前記SHG素子を構成している光導波路の基本波に対す
る実効屈折率Nを決定することを特徴とする。
【0044】 L =λSHG /{4[n(λSHG /2)−n(λSHG )]}・・・・(a) △n=[pλDBR /4L]−n(λDBR ) ・・・・・・・・・・・(b) N =n+△n ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(c) 但し、n(λ)は波長λの光に対するSHG素子を構成
している材料の固有の屈折率、Lは分極反転構造の実効
的な周期の1/2、およびpは、正の整数であって、△
nが0<△n<0.1の範囲に収まるように設定する。
【0045】また、この発明のSHG素子によれば、擬
似位相整合条件を満足することでSHGを実現するタイ
プのSHG素子であって、上述のSHG素子の実効屈折
率決定方法を用いて決定した実効屈折率に基づいて設計
された周期的分極反転構造を具えた光導波路の基板に設
けたことを特徴とする。
【0046】また、好ましくは、上述のSHG素子にお
いて、光導波路の温度を制御する温度制御手段と、光導
波路に電界を印加する電界制御手段とを具えることが望
ましい。
【0047】また、好ましくは、温度制御手段が、基板
の前記光導波路が設けられた面の裏面に設けたペルチェ
素子からなることが望ましい。
【0048】また、好ましくは、電界制御手段が、光導
波路上に設けた電極を以って構成されてなることが望ま
しい。
【0049】また、上述したSHG素子の実施例として
は、基板をLiNbO3 基板とし、このLiNbO3
板の+C面に周期的分極反転構造及び光導波路を設け、
電極は、前記光導波路上に設けられた第1の電極と、L
iNbO3 基板の、第1の電極の両側の部分にこの第1
の電極に沿ってそれぞれ設けられた第2の電極とで構成
してあることが望ましい。
【0050】また、上述したSHG素子の他の実施例と
しては、基板をLiTaO3 基板とし、このLiTaO
3 基板の−C面に周期的分極反転構造及び光導波路を設
け、電極は、光導波路上に設けられた第1の電極と、L
iNbO3 基板の、第1の電極の両側の部分にこの第1
の電極に沿ってそれぞれ設けられた第2の電極とで構成
してあることが望ましい。
【0051】また、好ましくは、光導波路と前記第1の
電極との間に光導波路の屈折率より小さな屈折率を有し
かつ基本波及び第2高調波を実質的に吸収しない誘電体
膜を具えると良い。
【0052】また、この発明のSHG素子によれば、基
板に設けた光導波路に周期的分極反転構造を利用したS
HG素子であって、該光導波路は、周期的分極反転構造
の周期がブラック反射条件を満たす部分(DBR部と称
する。)と擬似位相整合条件を満たす部分(QPM部と
称する。)とを個別に具えていることを特徴とする。
【0053】この場合、好ましくは、DBR部とQPM
部とを同一の基板上に設けるのが良い。
【0054】また、別の実施例では、好ましくは、DB
R部とQPM部とを個別の基板にそれぞれ設けるが良
い。
【0055】また、この発明のSHG装置によれば、上
述したSHG素子と、半導体レーザと、両者を光学的に
結合する光学手段とを具えることを特徴とする。
【0056】また、この発明の好適実施例のSHG装置
においては、上述したSHG素子のDBR部とQPM部
と、該DBR部およびQPM部間に配設されている半導
体レーザと、前記DBR部およびQPM部のそれぞれと
前記半導体レーザとを光学的に結合する光学手段を具
え、前記半導体レーザの両端面を低反射面としてあるの
が良い。
【0057】また、この発明の他の好適実施例のSHG
装置において、前記SHG素子を2個用い、それぞれの
SHG素子を前記半導体レーザの入射端および出射端の
双方に個別に配設し、これらSHG素子と前記半導体レ
ーザとを光学的手段を用いて結合させてあるのが良い。
【0058】また、この発明の他の好適実施例のSHG
装置において、前記2つのSHG素子からのSHG波を
合成する光結合手段を具えるのが良い。
【0059】
【作用】上述したSHG素子の実効屈折率の決定方法に
よれば、周期的分極反転構造を利用した光導波路を有す
る擬似位相整合条件を満足するタイプのSHG素子を用
意する。このため、SHG素子を非線形光学材料の固有
の屈折率の波長依存性に関するデータを用いて、予定さ
れている基本波の波長に対するコヒーレンス長を求め
る。そして、このコヒーレンス長の2倍あるいはこのコ
ヒーレンス長さの奇数倍の長さの周期の分極反転構造の
光導波路を基板に形成する。
【0060】次に、このSHG素子の光導波路に、可変
波長レーザを入射させてSHG変換効率が最大となる基
本波の波長λSHG を測定により求める。この値を用いて
次式(7)で与えられるLを求める。
【0061】 L =λSHG /{4[n(λSHG /2)−n(λSHG )]}・・・・(7) 但し、n(λSHG /2)およびn(λSHG )はSHG素
子の非線形光学材料の固有の屈折率である。Lは分極反
転構造の実効的な周期の1/2に相当する。
【0062】次に、この光導波路に再びSHG変換効率
が最大となった近傍の基本波の波長の光を入射させて、
光導波路からの反射が最大となる波長λDBR を求める。
この波長λDBR および前述のLから次式(8)から△n
を求める。この後者の実験では、光源として必ずしもレ
ーザを用いる必要はない。 △n=pλDBR /[4L−n(λDBR )] ・・・・・・・・・・・(8) 但し、n(λDBR )は、λDBR に対する非線形光学材料
の固有の屈折率、pは、正の整数であって、△nが0<
△n<0.1の範囲に収まるように設定する。
【0063】基本波の波長や非線形光学材料により、式
(8)のLは、この値そのものでなく、その奇数倍をと
るべきこともある(基本波の波長が短い場合、あるい
は、コヒーレンス長が短く、1μm程度以下である場合
等がこれに該当する。)。式(8)は波長にほとんど依
存しないことが経験的にわかっているので、λDBR の代
わりに一般的にλと表すことが出来る。
【0064】これらの両者から式(9)を用いて N =n+△n ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9) を決定することが出来る。このような決定方法である
と、任意の基本波の波長に対して、波長の実測値より正
確に△n、従って、実効屈折率Nを求めることが出来
る。
【0065】また、実効屈折率Nを正確に把握した上
で、QPM構造を有するSHG素子を作り、さらに温度
制御及び電界印加によるポケッルス効果を用いて光導波
路の屈折率を制御すれば、SHGへの変換効率を理想的
な値に近づけることができる。その結果、エネルギーの
より有効な利用を図ることができる。
【0066】次に、この発明の上述したSHG素子によ
れば、SHG素子の光導波路の一部分をDBR構造と
し、QPM構造である周期的反転構造とは分離して構成
する。このDBR構造の周期および分極反転構造の周期
を求めるには上述した実験より求めた△nを用いる。従
って、このSHG素子の光導波路は、この△nを求めた
ときに使用した光導波路の形成条件と実質的に同一の条
件で形成する。このように、DBR部分とQPM−SH
Gの機能を有する部分とを分離してSHG素子を形成し
ているので、このDBR部分を任意の基本波に対して独
立して設計出来る。従って、SHG素子自体を、一定の
離散的な基本波の波長に対してのみならず、基本波のい
ずれかの任意の波長に対応して設計出来る。
【0067】さらに、この発明の上述した構成のSHG
装置によれば、上述したこの発明のSHG素子を半導体
レーザとを光学的手段を用いて光結合させれば構成する
ことが出来る。このSHG装置によれば、SHG素子自
体が所要の波長の基本波に対応して形成されたものであ
るから、この装置自体も基本波光源の対応する波長に対
して適応して動作する。そして、SHG素子を光源に対
して適当に組み合わせ配設することにより、程度の差は
あるかもしれないが、半導体レーザ(LD)からの基本
波を効率良くSH変換させること、従って、SHG効率
を向上させることが可能となる。
【0068】例えば、LDの一方の端面を光反射率コー
ティング(HR)とする代わりにARコーティングす
る。そして、このLDをDBR構造を有する光導波路と
光学的に結合する。このDBRの周期は上述したSHG
素子の基本波光源の波長に対して有効に機能するように
設定する。このとき、上述したようにして求めた△nを
用いる。具体的には、この周期2LDBR (=ΛDBR )は
次式(10)を満足するように設定する。
【0069】 LDBR =qλ/4[n(λ)+△n] ・・・(10) 但し、λは基本波の波長、qは正の整数であって、素子
の製作が可能な範囲で出来るかぎり小さいことが望まし
い。
【0070】
【実施例】以下、図を参照して、この発明の実施例につ
き説明する。尚、この発明のSHG素子及びSHG装置
の構成を示す図は、この発明が理解出来る程度の、その
構成成分の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示し
てあるにすぎない。
【0071】<SHG素子の実効屈折率の決定方法の説
明>これは、光導波路の実効屈折率を実際に測定して求
める。非線形光学材料(LiNbO3 ,LiTaO3
KTP等)の固有の屈折率の波長依存性に関するデータ
をもとに、S−QPM SHGが実現すると予想される
周期で分極反転構造を持つ光導波路を形成する。そし
て、波長可変レーザによりこの光導波路に対してSHG
変換効率が最大となる基本波の波長を先ず求める。この
データをもとにコヒーレンス長を求め、この結果から光
導波路中を伝播する基本波の実効屈折率を数値解析によ
り求める。これらの手続きにより△nを求める。
【0072】SHG素子の基板をLiNbO3 で形成し
た場合につき説明する。また、基本波光源として、In
P/InGaAsP半導体レーザを使用する場合を想定
して説明する。
【0073】先ず、InP/InGaAsP LDで、
レーザ発振を起こす前は図11に示すようなスペクトル
を示すものを用いる場合を例に挙げて説明する。この図
11から明らかなように、このLDの利得の最大は1.
32μmである。基本波の波長がこの近傍である場合の
コヒーレンス長とLc、DBR条件(第40次から第4
5次)とを示したのが、既に説明した図7である。この
図7は、周期的分極反転構造が擬似位相整合としての機
能とDBRとしての機能とを兼ねるための条件を与えて
いる。
【0074】S−QPM SHGの原理に立ち返って考
えると、SHG素子からの帰還によりLDが発振し、こ
の発振光がQPM条件を満足することが要点である。す
なわち、このS−QPM SHGでは、QPMを実現す
るための分極反転構造部分とDBR部分を兼用すること
が必須要件ではない。素子の設計の時点で、光導波路の
実効屈折率が分かっていれば、DBR機能を具える部分
とQPMを実現するための部分とを分離して構成するこ
とが出来る。
【0075】そこで、ここでは先ず、既に説明した
(8)式に従って、△nを求める。以下、基本波光源と
して1.3μm帯のLDを予定して行なった試作実験を
例に挙げて、具体的な方法を説明する。
【0076】先ず、フォトリソグラフィ等の一般的な技
術を用いて周期が6.5μmの分極反転構造をLiNb
3 基板のz面(c面でもある)にTi熱拡散法で形成
する。その後、安息香酸を用いて光導波路を形成する。
この段階では実効的に分極反転構造の周期は6.5μm
に形成されている保証はない。そこで、Ti:サファイ
ヤレーザをこの光導波路に導いてλSHG を求める。図1
2がその結果である。図12は、横軸の基本波の波長
(nm)を取り、縦軸にSHの光強度を任意の単位でと
って示したTi:サファイヤレーザのスペクトル分布図
である。Ti:サファイヤレーザの利得範囲が920か
ら930nm程度に限られている関係で、3次のQPM
条件から分極反転構造の周期2Lを求めることになる。
このとき、式(4)において、実用性を考慮したmの最
大値からm=2と設定した。すなわち、 L=3λSHG /{4[n(λSHG /2)−n(λSHG )]} ・・・(11) を満足するLの値を求める。実験によれば、図12から
分かるように、λSHG はほぼ924nmである。この波
長の固有屈折率n(λSHG =924nm)=2.164
であり、また,n(λSHG /2=462nm)=2.2
71であるので、既に説明した(5)式にこれらの値を
代入して計算すると、L=6.498μmとなる。
【0077】次に、1.3μmの近傍の光をだす発光ダ
イオード(LED)をもちいてこの光導波路からの反射
特性を調べた。これによると、1.327μmにおい
て、反射率の極大を観測した。この結果を既に説明した
(10)式に代入すると以下の結果となる。但し、ここ
では、p=43とする。
【0078】△n=px1.327/4x6.498−
n(1.327) =43x1.327/4x6.498−2.144 =0.0513 このようにして、△nを求めることが出来た。実験精度
等から△n=0.05としてよい。この値△nは基本波
光源の波長が数十nm変わってもほとんど変化しないの
で、以下説明するSHG素子の設計に有効な値として用
いることが出来る。
【0079】もう少し△nを精度良く求めるためには、
製作条件を同一とした光導波路であって、分極反転構造
の周期を数種類変えたものを用意して、それぞれにつき
△nを求めてそれらの平均値を求めれば良い。
【0080】また、この実施例では、LiNbO3 を例
にとって説明したが、他の材料であっても上述した実施
例と同様にして△nを求めることにより、光導波路の実
効屈折率を知ることが出来る。
【0081】<変換効率を向上させるための温度及び電
界制御手段の説明>次に、上述の方法を用いて求めた実
効屈折率に基づき、基板に設けた光導波路の周期分極反
転構造の周期を決定したSHG素子の例について説明す
る。
【0082】図13に示すSHG素子は、より理想的な
変換効率の達成を図るために、温度制御手段300と、
電界制御手段302とを具えている。このSHG素子
は、LiNbO3 の基板304とこの基板304の+C
面に設けられた周期的分極反転構造306及び光導波路
308とを具え、さらに周期的分極反転構造306の光
導波路中に当たる部分に電界を加えるための電極とし
て、光導波路上に誘電体膜310を介して設けられた第
1の電極302aと、基板304の第1の電極302a
の両側の部分にこの第1の電極302aに沿ってそれぞ
れ設けられた第2の電極302bとで構成した電極30
2を具えている。
【0083】また、基板304の電極302を設けた面
の反対側の面には、温度制御手段としてのペルチェ素子
300を具えている。
【0084】誘電体膜310は、光導波路308の屈折
率よりもできるだけ小さな屈折率を有し、かつ、基本波
及びSHはを実質的に吸収失い材料で構成するのが望ま
しい。この実施例の場合は、この誘電体膜310を厚さ
が1〜2μm程度のSiO2膜310で構成している。
このSiO2 膜310の形成は例えば電子線加熱による
真空蒸着法を用いることができる。
【0085】電極302は、この実施例の場合は、薄膜
で基板304側からクロムおよび金を積層した2層膜で
構成する。金薄膜はこの種の素子の電極として用いられ
ている実績があり、また、金薄膜のみでは基板304に
対する実用的な密着度が得られない。このため、クロム
を介することによって基板304との密着度が実用的な
強度にしている。第1の電極302aと第2の電極30
2bとの間隔Gは大きすぎると光導波路308へ所望の
電界を加えるのに要する電圧が高くなる。このため、現
行の製造技術で安定に製造できる範囲を考慮してこの間
隔Gを決定しなければならない。この実施例では、この
間隔Gを1μm程度とする。この電極302には、ワイ
ヤボンディング法により引き出し配線(図示せず)が接
続されており、この引き出し配線を介して電極302に
電圧を印加することができる。
【0086】次に、電極302により電界制御した場合
の光導波路308中の分極反転領域および非反転領域の
屈折率の変化について説明する。ここで、この屈折率の
変化をΔn(λ)とし、基板304のZ軸方向(C面に
垂直な方向)の電場成分の大きさをEZ とすると、屈折
率の変化は次式(14)で与えられる。
【0087】 Δn(λ)=−(1/2)・n3 (λ)・γ33(λ)・EZ ・・・・(12) 但し、γ33(λ)は一次電気光学係数であり、LiNb
3 では32×10-12m/Vである。尚、この値のλ
依存性は厳密には測定されてないが、可視領域から近赤
外領域にわたりほとんど依存しないことが知られてい
る。従って、電極302に印加する電圧を制御すること
により、屈折率n(λ)の関数であるコヒーレンス長L
C の値とブラッグ反射条件λ/{2n(λ)}を制御す
ることができる。その結果、コヒーレンス長を与える曲
線とブラッグ反射条件を与える曲線との交点を制御する
ことができる。このようにして、この交点の位置を周期
的分極反転構造の周期に合わせることにより、より厳密
なQPM構造を有するSHG素子を実現することができ
ることになる。特に、この実施例の場合は、S−QPM
SHG素子を実現することができることになる。
【0088】次に、電極302に電圧Vを印加した場合
の制御について考察する。この電圧Vを印加した場合の
光導波路308のZ方向の電場成分の大きさEZ は第1
および第2の電極302aおよび302bの間隔がGで
ある場合、ほぼ次の式(15)で与えられることが知ら
れている。
【0089】 EZ =V/(2G)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(13) (15)式を(14)式に代入すると、(16)式が得
られる。
【0090】 Δn(λ)=−(1/2)・n3 (λ)・γ33(λ)・(2G)・・(14) ここで、例えば、SーQPM条件について考察すると、
S−QPM条件(1次のQPM条件を利用すると仮定し
て)は、以下の(17)式のように表せる。
【0091】 (分極反転構造の半周期,Λ/2)=(QPM条件) =(DBR条件)・・・・・・・(15) ここで、 (QPM条件)=λ/[4{n(λ/2)−n
(λ)}] (DBR条件)=pλ/4n(λ) である。
【0092】上述した(17)式はSHG素子の作製誤
差および動作時の温度により厳密に満たすことは困難で
ある。そこで、この実施例では、電界制御および温度制
御により厳密な値からのずれを補償する。
【0093】ここで、電極に電圧Vを印加すると屈折率
n(λ)が変化する。このため、QPM条件は以下の
(18)式のように変化する。 (QPM条件)=λ/[4{n(λ/2)+Δn(λ/
2)−n(λ)−Δn(λ)}] =λ/[4{n(λ/2)−(1/2)・n3 ・(λ/
2)・γ33・(V/2G)−n(λ)+(1/2)・n
3 (λ)・γ33・(V/2G)}]・・・・・(18) 一方、このときのDBR条件は、以下の(19)式のよ
うに表せる。
【0094】 (DBR条件)=pλ/4[n(λ)+Δn(λ)] =pλ/4[n(λ)−(1/2)・n3 (λ)・γ33
・(V/2G)]・・・・(19) ここで、SーQPM条件からのずれを以下のように定義
する。実際に作製されたQPM SHG素子の分極反転
構造の周期がΛ’であったとすると、 δ1 =(Λ’/2)−(QPM条件) δ2 =(Λ’/2)−(DBR条件) SHG素子の温度変化や素子製造に基づくS−QPM条
件からの条件が発生し、δ1 ≠0、δ2 ≠0となった場
合、上述したように電圧Vを調整することで、δ1 =δ
2 =0とすることができる。
【0095】次に、電圧を印加した場合のQPM条件お
よびDBR条件の変化の様子の計算結果を示す。図14
は、SHG素子の光導波路に印加された電界とQPM条
件及びDBR条件との関係を示す図である。横軸は、基
本波の波長(nm)を表し、縦軸は、反転分極構造の周
期を表している。図中、コヒーレンス長(QPM条件)
を満足する条件を曲線Iおよび破線IIを示してある。
曲線Iは、電極に電圧を印加していないときのQPM条
件を示し、破線IIは、電極に10Vの電圧を印加した
場合のQPM条件を示している。一方、図中、(DBR
条件)を曲線IIIおよび破線IVで示してある。曲線
IIIは、電極に電圧を印加していない時のDBR条件
を示し、破線IVは、電極に10Vの電圧を印加した場
合のDBR条件を示している。図14に示すように、破
線IIおよびIVの交点の周期は、電圧を印加しない場
合に比べて2nm短くなっている。従って、SHG素子
の設計上の分極反転構造の周期と実際のSHG素子の周
期との間に実効的にこの程度の差であれば、電圧を印加
することによって補正をすることができ、SHG素子の
変換効率を最大にすることができることになる。
【0096】次に、温度制御とQPM条件およびDBR
条件との関係について説明する。一般に、SHG素子の
温度を変化させることによって光導波路の屈折率が変化
することが知られている。
【0097】次に、温度を制御した場合のQPM条件お
よびDBR条件の変化の様子の計算結果を示す。図15
は、SHG素子の光導波路の温度とQPM条件及びDB
R条件との関係を示す図である。横軸は、基本波の波長
(nm)を表し、縦軸は、反転分極構造の周期を表して
いる。図中、コヒーレンス長(QPM条件)を満足する
条件を曲線Vおよび破線VIを示してある。曲線Vは、
300Kの温度下の場合のQPM条件を示し、破線VI
は、350Kの温度下のQPM条件を示している。一
方、図中、(DBR条件)を曲線VIIおよび破線VI
IIで示してある。曲線VIIは、300Kの温度下の
DBR条件を示し、破線IVは、350KのDBR条件
を示している。図15に示すように、破線VIおよびV
IIIの交点の周期は、300Kの場合に比べて40n
m長くなっている。従って、SHG素子の設計上の分極
反転構造の周期と実際のSHG素子の周期との間に実効
的にこの程度の差であれば、温度を制御することによっ
て補正をすることができ、SHG素子の変換効率を最大
にすることができることになる。
【0098】一般に、温度制御の方が、電界制御に比べ
て時間的な応答速度が遅いので、温度制御によりおおよ
その補正を行っておいて、微調整を電圧の印加による電
界制御によって行うことが望ましい。
【0099】また、現在のフォトリソグラフィの技術を
用いれば、数十nmの精度でパターンを描画することが
できる。従って、現在のSHG素子の作製における作製
誤差は、温度および電界制御により十分に補正すること
ができる。
【0100】尚、図14および図15に示した電界制御
および温度制御の計算に当たっては、SHG素子の各パ
ラメータとして以下の値を代入した。 G=1μm=1×10-6m γ33=32.2×10-12 m/V n(1.3μm)=2.14538 n(0.65μm)=2.198824 p=43 このように、SHG素子の製造誤差や動作時点での素子
の温度により、分極反転構造の周期が理想的な条件から
ずれた場合も、このずれを補償して理想的な値に近い変
換効率の達成を図ることができる。
【0101】尚、上述した温度御及び電界制御手段は、
S−QPM SHG素子のみならず、DBR部分とQP
M部分とを個別に具えたSHG素子に用いることもでき
る。
【0102】<SHG素子の説明>次に、SHG素子に
つき説明する。先ず、従来の問題を解決するための手法
を説明する。上述した式(4)の2つのパラメータm,
pのうちmの値は実用的には1または2である。従っ
て、LiNbO3 を例に挙げて説明すると、コヒーレン
ス長Lcは基本波光源の波長が1.3μm程度であれば
6μm程度である。この程度の寸法であれば、現在の技
術をもってすれば、周期的分極反転構造を形成すること
は容易である。従って、m=1について考察すると、こ
れに対するpの値は40程度である。これらのことと、
LiNbO3 の屈折率を考慮すると、pの値が1異なれ
ば(4)式で与えられる条件は0.25μm程度変化す
る。これは、コヒーレンス長が0.25μmに対応する
基本波の変化分に相当する波長分以上細かくSHG波長
を選択出来ないことを意味している。そこで、この発明
では、DBR構造の部分とSHG素子としての部分とを
同一の光導波路(一体的であってもまたは個別的であっ
てもよい。)において分離することによりこの問題を解
決する。この時、上述した式(1)で求めた△nを用い
る。
【0103】そこで、この発明のSHG素子は、SHG
部分とDBR部分とは兼用せずに、光導波路に個別に設
けてある。その一実施例を図1に示す。図1に示すSH
G素子100の構造では、例えばLiNbO3 の基板1
02に、既に説明したと同様な方法によって光導波路1
04を形成する。そして、この光導波路104には、屈
折率n1 ,n2 が交互に異なるように、周期的分極反転
領域(ドメイン反転領域)106を設け、その周期を部
分的に変えた領域を設けることによって、QPM SH
G部分110とDBR部分120とを構成する。この構
成の仕方は種々あるが、この実施例では、QPM SH
GB部分110の左右両側にDBR部分120を設けて
あり、しかも、これらDBR部分120にSHG素子1
00の入射端および出射端を形成した例である。この両
部分110および120の形成方法自体は同じである
が、それぞれの部分の分極反転周期が異なっている。D
BR部分120は基本波の波長に対しては反射条件を満
足するように、また、出来るだけ低次のブラック条件を
満足するようにその周期ΛDBR を決定するのが良い。こ
のとき、上述した実験により求めた△nを用いることは
言うまでもない。
【0104】ここで、SHG素子を一例として、図1に
示した構造とは異なり、SHG素子の出射端側に設けた
1つのSHG部分と、入射端側に設けた1つのDBR部
分とをで構成した構造とする。そして、LiNbO3
例にとり、かつ、基本波の波長を1.327μm程度と
して、具体的に説明する。DBR部分の周期ΛDBR は次
式(12)で与えられる。
【0105】 ΛDBR /2=pλ/4[n(λ)+0.0531] ・・・(16) ここで、n(1.327)であるから、1.327/4
(2.144+0.0531)=0.151となる。半
導体レーザ(LD)への帰還効率は、pが奇数であるほ
うが大きいこと、およびフォトリソグラフィ等の都合を
考えると、p=7程度が望ましい。そうすると、ΛDBR
/2=1.06μmとなる。
【0106】一方、QPM SHG部分の半周期ΛSHG
は既に説明したように、ほぼ6.5μmとすれば良い。
従って、分極反転部分と非反転部分との屈折率差はほぼ
10-3程度である。このため、DBR部分の周期の数す
なわちDBR部分の寸法は、反射率を40%程度に出来
れば良いことを根拠に見積もれば、以下のようになる。
【0107】周期の数をXとし、分極反転部分の屈折率
をn1 、非反転部分の屈折率をn2とすると、DBR部
分の反射率Rは次式(13)のように与えられる。
【0108】 R={[1−(n2 /n1 )n2 (n2 /n1 2X] ÷[1+(n2 /n1 )n2 (n2 /n1 2X]}2 ・・・(17) n1 =n(1.327)+0.0513=2.1953
であり、また、 n2 =n(1.327)+0.0513+0.001=
2.1963 であるから、750周期(2X=1500)とすれば、
R=0.3922となり、ほぼ40%の反射率が得られ
る。DBR部分の寸法は、1.06x1500=159
0μm、すなわち、1.6mm程度である。
【0109】また、QPM SHG部分は5から10m
mとすれば充分なSHG変換効率が得られるので、素子
全体の寸法は6.6から11.6mm程度で充分である
ことになる。すなわち、従来のSHG素子に比べて10
%程度(数mm程度)大きくなるにすぎない。
【0110】上述した実施例では、DBR部分をSHG
部分の入射端側に1つだけ設けた例であるが、図1に示
すように、SHG素子100の入出力端にDBR構造1
20をそれぞれ設け、このDBR部分120でSHG部
分110を挟んだ構造としてもよい。このように構成す
ると、SHG素子100のSHG効率を高くすることが
出来る。DBR構造120を入射端側のみの設けたSH
G素子構造の場合と、入出力の両端側にDBR構造12
0をそれぞれ設けたSHG素子構造100とでは、SH
G変換効率はDBRの反射率をrとして表すと、(1−
r)-1倍になることが知られているので、この2つのD
BR構造120を両側に設けたSHG素子構造は、1つ
のDBR構造を具えたSHG素子構造の場合に比べて、
(1−0.4)-1=1.67倍となる。従って、このS
HG素子100の長さはさらに1.6mm長くなるにす
ぎない。
【0111】このDBR部分およびQPM SHG部分
は、光導波路が具えていればよいので、これらの配列順
序や個数はこの発明では何ら限定されるものではない。
【0112】また、上述した実施例のSHG素子では、
同一の基板の光導波路104がQPM SHG部分11
0とDBR部分120とを有した構造となっている。し
かしながら、これに何ら限定されるものではなく、後述
する図2に示す構造のように、このQPM SHG部分
とDBR部分とを別の基板に設けて、それぞれを個別の
素子部分として形成してもよい。勿論、その場合には、
基板、光導波路の条件は両者とも同一とする。両者の相
違は、単に、周期ΛSHG およびΛDBR の値が異なるだけ
である。
【0113】<SHG装置の説明>次に、図2、図3お
よび図4を参照して、この発明のSHG装置の実施例を
説明する。
【0114】このSHG装置を設計するに当たり、従来
の問題点を解決するためには、LDの片端面を高反射
(HR)コーティングすれば良いと思われるが、現実に
は困難である。反対側の端面(SHG素子に接続する
側)を反射率0に形成出来れば問題ないのであるが、現
実には不可能であるため、僅かな残留反射によりファブ
リ・ペロ モードによる発振を起こし、当初のS−QP
M SHGの実現という目的を果たせない。そこで、こ
の発明では、例えば、この反対側端面をHRコーティン
グする代わりにDBR構造を用いる。このDBRの設計
に上述した△nを用いる。
【0115】そこで、図2は、SHG素子をQPM S
HG部分とDBR部分を個別の基板に設け、それぞれQ
PM SHG部分の素子210およびDBR部分の素子
として構成する。これら素子をそれぞれQPM SHG
構造素子およびDBR構造素子と称する。これらを素子
210および220を、入出射端面の両端面を高反射コ
ーティングする代わりに低反射コーティングしてある半
導体レーザ(LD)230と、光学手段240例えばレ
ンズ系を用いて、光学結合させて、SHG装置を構成し
た例である。この場合、QPM SHG部分の素子21
0およびDBR部分の素子220は、上述した実施例の
SHG素子の場合と同様に、各基板200および202
に設けた光導波路204および206が周期的分極反転
領域(ドメイン反転領域)を互いに周期ΛSHG およびΛ
DBR のみを変えて有した構造と成っている。好ましく
は、DBR構造素子220は反射率を大きくするため、
十分な長さとするのが良い。例えば、DBR構造素子2
20の寸法を10mmとすると、反射率Rを98%以上
にすることが出来る。
【0116】図3は、SHG装置の他の実施例を示す図
である。この実施例では、LD230の両端面側に図1
に示したと同様な構造のSHG素子100を配設して、
レンズ系240を用いて、これらSHG素子とLD23
0とを光学的に結合させた構造と成っている。この構造
では、第2高調波であるSH波(2ω)は、変換されな
かった基本波(ω)と一緒に両素子から互いに反対な2
方向に出射する。
【0117】図4に示す別の実施例のSHG装置の構造
では、SHG効率を高めた構造であり、図3で示したS
HG装置の構造の両出射端面に、所要に応じてレンズ系
その他の光学的手段(図示せず)を介して、光ファイバ
250および252を光学的に結合し、これら光ファイ
バ250および252を例えば光カプラー等の光合成手
段260に結合して、第2高調波を効率よく取り出すこ
とも出来る。
【0118】この発明は、上述した実施例にのみ限定さ
れるものではなく多くの変更および変形を行ない得るこ
とは当業者に明らかである。例えば、上述した実施例で
は、LiNbO3 を基板の材料として用いたが、この発
明では、例えばLiTaO3またはKTPを用いても良
い。
【0119】
【発明の効果】この発明によれば、SHG素子の光導波
路の実効屈折率をSHG変換効率とDBR反射率の実測
値から求め、SHG素子の設計にこの結果をフィードバ
ックさせてある。従って、SHG素子の設計の段階で正
確に光導波路の実効屈折率を知ることができ、分極反転
構造の周期等を一層理想的に設定出来る。
【0120】また、例えば、この発明の方法で決定した
実効屈折率に基づいて設計されたSHG素子において、
温度制御および電界制御により補正を行えば、ほぼ理想
に近いSHG変換効率の実現を図ることができる。すな
わち、LDを基本波光源としたQPM SHG素子をS
HG変換効率を理想限界に近い高い状態で利用すること
が可能となる。
【0121】そして、先に提案したSHG素子ではS−
QPM SHGにおいては分極反転構造の部分にDBR
としての機能も兼ねさせる必要があったが、この発明の
SHG素子によれば、分極反転構造部分をDBRとして
の機能を持たせる部分とQPMの機能を持たせる部分と
に分離している。これにより、先に提案したS−QPM
SHGにおいては離散的波長のみにSHG素子を設計
して構成することが出来なかったが、この発明によれ
ば、上述したように基本波としての任意の波長に対する
SHG素子の実効屈折率を正確に求めることが出来るの
で、この実効屈折率を用いて、DBR部分の周期ΛDBR
を知ることが出来、あらゆる波長に対応してSHG素子
を設計して構成することが出来る。
【0122】この発明のSHG素子を用いてSHG装置
を構成すると、SHG素子が光導波路中にQPM SH
G部分とDBR部分とを順次に具えるか、LDの一方の
側にQPM SHG部分を他方の側にDBR部分を設置
することになるので、SHG効率を従来のSHG装置と
比べて向上させることが出来る。また、SHG装置から
2方向に出るSHG波を光合成器で合成すれば、基本波
光源としてのLDの出力エネルギーを全て有効に使用出
来る。このように、この発明のSHG装置によれば、S
HG効率を実質的に向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のSHG素子の構造の一実施例を概略
的に示す斜視図である。
【図2】この発明のSHG装置の一実施例を概略的に示
す斜視図である。
【図3】この発明のSHG装置の他の実施例を概略的に
示す斜視図である。
【図4】SHG装置の2つのSHG出力を光合成手段を
用いて合成する例を示す構成図である。
【図5】従来のSHG素子の構造の説明のための斜視図
である。
【図6】従来のSHG装置の構造の説明のための斜視図
である。
【図7】SHG素子の設計の説明に供する、基本波の波
長に対するコヒーレンス長LcおよびLwの関係を示す
図である。
【図8】SHG装置の設計の説明のためのSHG装置の
斜視図である。
【図9】SHG装置の設計の説明に供する、LDの発振
スペクトル図である。
【図10】SHG装置の設計の説明に供する、SHGの
スペクトル図である。
【図11】SHG装置の設計の説明に供する、LDのス
ペクトル図である。
【図12】この発明の実効屈折率決定方法の説明に供す
る、Ti:サファイヤレーザのスペクトル分布図であ
る。
【図13】SHG素子の温度及び電界制御手段の説明に
供する斜視図である。
【図14】SHG素子の光導波路に印加された電界とQ
PM条件及びDBR条件との関係を示す図である。
【図15】SHG素子の光導波路の温度とQPM条件及
びDBR条件との関係を示す図である。
【符号の説明】
100:SHG素子 102,200,202,304:基板 104,206,208,308:光導波路 106,218,219:周期的分極反転領域 110:QPM SHG部分 120:DBR部分 210:QPM SHG構造素子 220:DBR構造素子 230:半導体レーザ 240:光学的手段 250,252:光ファイバー 260:光合成手段 300:ペルチェ素子 306:周期的分極反転構造 310:誘電体膜

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に設けた光導波路に周期的分極反転
    構造を利用したSHG素子において、該光導波路は、周
    期的分極反転構造の周期がブラック反射条件を満たす部
    分(DBR部と称する。)と擬似位相整合条件を満たす
    部分(QPM部と称する。)とを個別に具えていること
    を特徴とするSHG素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のDBR部とQPM部と
    を同一の基板上に設けたことを特徴とするSHG素子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のDBR部とQPM部と
    を個別の基板にそれぞれ設けたことを特徴とするSHG
    素子。
  4. 【請求項4】 請求項1のSHG素子と、半導体レーザ
    と、両者を光学的に結合する光学手段とを具えることを
    特徴とするSHG装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のSHG素子のDBR部
    とQPM部と、該DBR部およびQPM部間にこれらか
    ら等距離をもって配設されている半導体レーザと、前記
    DBR部およびQPM部のそれぞれと前記半導体レーザ
    とを光学的に結合する光学手段を具え、前記半導体レー
    ザの両端面を低反射面としてあることを特徴とするSH
    G装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のSHG装置において、
    前記SHG素子を2個用い、それぞれのSHG素子を前
    記半導体レーザの入射端および出射端の双方に個別に配
    設し、これらSHG素子と前記半導体レーザとを光学的
    手段を用いて結合させてあることを特徴とするSHG装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のSHG装置において、
    前記2つのSHG素子からのSHG波を合成する光結合
    手段を具えることを特徴とするSHG装置。
  8. 【請求項8】 周期分極反転構造を利用した光導波路を
    有し、擬似位相整合条件を満足するタイプのSHG素子
    を用い、 該SHG素子の光導波路に基本波を導波させて該SHG
    素子のSHG変換効率が極大となる、基本波に対する波
    長λSHG を測定し、 該SHG素子の光導波路に基本波を導波させて該光導波
    路の基本波に対する反射率が極大となる波長λDBR を測
    定し、 これら波長λSHG およびλDBR から次の3つの式
    (a),(b),および(c)を用いて前記SHG素子
    を構成している光導波路の基本波に対する実効屈折率N
    を決定することを特徴とするSHG素子の実効屈折率決
    定方法。 L =λSHG /{4[n(λSHG /2)−n(λSHG )]}・・・・(a) △n=[pλDBR /4L]−n(λDBR ) ・・・・・・・・・・・(b) N =n+△n ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(c) 但し、n(λ)は波長λの光に対するSHG素子を構成
    している材料の固有の屈折率、 Lは分極反転構造の実効的な周期の1/2、およびp
    は、正の整数であって、△nが0<△n<0.1の範囲
    に収まるように設定する。
  9. 【請求項9】 擬似位相整合条件を満足することでSH
    Gを実現するタイプのSHG素子であって、請求項8に
    記載のSHG素子の実効屈折率決定方法を用いて決定し
    た実効屈折率に基づいて設計された基板に設けた光導波
    路の周期的分極反転構造を具えた光導波路を基板に設け
    たことを特徴とするSHG素子。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のSHG素子におい
    て、 前記光導波路の温度を制御する温度制御手段と、 前記光導波路の電界を制御する電界制御手段とを具えた
    ことを特徴とするSHG素子。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のSHG素子におい
    て、 前記温度制御手段が、前記基板の前記光導波路が設けら
    れた面の裏面に設けたペルチェ素子からなることを特徴
    とするSHG素子。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載のSHG素子におい
    て、 前記電界制御手段が、前記光導波路上に設けた電極から
    なることを特徴とするSHG素子。
JP5209239A 1992-11-04 1993-08-24 Shg素子、shg装置およびshg素子の実効屈折率決定方法 Withdrawn JPH06194708A (ja)

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