しかしながら、特許文献1の画像形成装置にあっては、記録紙に挿入する挿入紙に重送が発生した場合、重送に係る用紙束を別のトレイに排出して正常に作成された用紙束と区別することが可能であるが、搬送される原稿に重送が発生したときの処理については記載がない。このため、大量の原稿を高速に処理する場合に、重送が発生したときでも、装置全体のジョブ効率を低下させることなく、ユーザの負担を軽減することができる原稿読取装置及び該原稿読取装置を備えた画像形成装置が望まれていた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、搬送された原稿の重送が検出された場合、重送した重送原稿上の画像を再度読み取るため原稿の搬送を制御する制御手段を備え、制御手段は、重送が検出された場合、重送が検出される前に画像を読み取った原稿を第1のトレイに搬送し、重送原稿を第2のトレイに搬送し、重送原稿の後に搬送され、画像を読み取った原稿を第3のトレイに搬送することにより、重送が検出された場合であっても、原稿の読取処理を継続して装置全体のジョブ効率の低下を防止することができ、ユーザが排出されたすべての原稿を確認し、排出された原稿の中から重送原稿を見つけるなどの余分な作業を行う必要がなく、ユーザの負担を軽減することができる原稿読取装置及び該原稿読取装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、載置トレイに載置された原稿の搬送が終了した場合、第2のトレイに搬送された重送原稿を再度読み取るために搬送する搬送手段を備えることにより、重送原稿に対する原稿読取処理を継続し、原稿読取に要する時間を短縮して装置全体のジョブ効率の低下を防止するとともに、ユーザの負担を軽減することができる原稿読取装置及び該原稿読取装置を備える画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、搬送手段は、重送原稿を前記載置トレイに戻すように構成してあることにより、重送原稿を再度読み取るための余分な構成を設けることなく、簡便な構成で重送原稿を再度読み取ることができる原稿読取装置及び該原稿読取装置を備える画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、載置トレイと搬送手段との間の原稿の搬送路に、前記載置トレイから搬送手段の方向に沿って、原稿を捌く捌きローラ、及び前記検出手段をこの順に備えることにより、重送原稿の分離を確実に行うことができる原稿読取装置及び該原稿読取装置を備える画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、制御手段は、再度画像を読み取った重送原稿を前記第1のトレイに搬送するように構成してあることにより、重送が検出された場合であっても、ユーザが排出されたすべての原稿を確認し、原稿を元のページ順に並べ替えるなど余分な作業を行う必要がなく、ユーザの負担を軽減することができる原稿読取装置及び該原稿読取装置を備える画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、第3のトレイを第1のトレイの上側に配置し、前記第2のトレイは、相互に対向し、離隔寸法が可変に構成された1対の載置板を所定寸法離隔させ、該載置板上に搬送された原稿を前記第1のトレイに落下させることにより、重送が検出された場合であっても、原稿を元のページ順に並べるために搬送ローラなどの搬送が不要であり、搬送時間を短縮することができるとともに、ユーザの負担を軽減することができる原稿読取装置及び該原稿読取装置を備える画像形成装置を提供することにある。
本発明に係る原稿読取装置は、複数の原稿を搬送して原稿上に記録された画像を読み取る原稿読取装置において、原稿の重送を検出する検出手段と、該検出手段で重送が検出された場合、重送した重送原稿上の画像を再度読み取るため原稿の搬送を制御する制御手段と、原稿を排出するための複数のトレイとを備え、前記制御手段は、前記検出手段で重送が検出された場合、重送が検出される前に画像を読み取った原稿を第1のトレイに搬送し、重送原稿を第2のトレイに搬送し、重送原稿の後に搬送され、画像を読み取った原稿を第3のトレイに搬送するようにしてあり、前記検出手段で再度の重送が検出された場合、原稿の搬送を停止するように構成してあることを特徴とする。
本発明に係る原稿読取装置は、原稿を載置する載置トレイと、該載置トレイに載置された原稿の搬送が終了したか否かを判定する判定手段と、前記第2のトレイに搬送された重送原稿上の画像を再度読み取るため、重送原稿を搬送する搬送手段とを備え、前記制御手段は、前記判定手段で原稿の搬送が終了したと判定した場合、前記搬送手段により前記第2のトレイに搬送された重送原稿を搬送するように構成してあることを特徴とする。
本発明に係る原稿読取装置は、前記搬送手段は、重送原稿を前記載置トレイに戻すように構成してあることを特徴とする。
本発明に係る原稿読取装置は、前記載置トレイと搬送手段との間の原稿の搬送路に、前記載置トレイから搬送手段の方向に沿って、原稿を捌く捌きローラ、及び前記検出手段をこの順に備えることを特徴とする。
本発明に係る原稿読取装置は、前記制御手段は、再度画像を読み取った重送原稿を前記第1のトレイに搬送するように構成してあることを特徴とする。
本発明に係る原稿読取装置は、前記第3のトレイは、前記第1のトレイの上側に配置してあり、相互に対向し、離隔寸法が可変に構成された1対の載置板を備え、該1対の載置板を所定寸法離隔させることにより、該載置板上に搬送された原稿を前記第1のトレイに落下させるように構成してあることを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、複数の原稿を搬送して原稿上に記録された画像を読み取る原稿読取装置を備え、読み取られた画像に基づいてシート上に出力画像を形成する画像形成装置において、前記原稿読取装置は、前述の本発明のいずれか1つに係る原稿読取装置であることを特徴とする。
本発明にあっては、検出手段は、搬送された原稿上の画像が読み取られる前に、原稿の重送(すなわち、2枚以上の原稿が重なった状態で搬送される)を検出する。検出手段は、例えば、超音波センサが利用され、搬送される原稿の両側に超音波を発信する発信部と発信された超音波を受信する受信部とを設け、受信した超音波の透過エネルギの大小に応じて、原稿の重送を検出する。前記検出手段で重送が検出された場合、制御手段は、重送した重送原稿上の画像を再度読み取るため原稿の搬送を制御する。これにより、重送が検出された場合であっても、原稿の読取処理を停止させることなく継続して装置全体のジョブ効率の低下を防止する。
また、重送が検出された場合、制御手段は、重送が検出される前に画像を読み取った原稿を第1のトレイに搬送し、重送原稿を第2のトレイに搬送し、重送原稿の後に搬送され、画像を読み取った原稿を第3のトレイに搬送する。これにより、重送が検出された場合であっても、原稿上の画像の読取処理を停止させず、原稿の読取処理を継続する。また、重送原稿と重送原稿以外の原稿を区別して排出するとともに、重送の検出前後で読み取られた原稿を異なるトレイに排出する。また、再度の重送が検出された場合、原稿の搬送を停止する。
また、本発明にあっては、載置トレイに載置された原稿の搬送が終了した場合、重送原稿があるときは、搬送手段は、第2のトレイに搬送された重送原稿を再度読み取るために搬送する。これにより、重送原稿に対する原稿読取処理を再度行い、ユーザが重送原稿を取り出して、再度読取処理を行う手間を省く。
また、本発明にあっては、搬送手段は、重送原稿を載置トレイに戻す。これにより、重送原稿を再び読み取る。
また、本発明にあっては、載置トレイに戻された重送原稿上の画像を再度読み取るため搬送する場合、捌きローラで重送原稿を分離する。これにより、再度重送が検出されることを防止する。
また、本発明にあっては、再度画像を読み取った重送原稿を第1のトレイに搬送する。これにより、重送検出前に画像が読み取られ搬送された原稿の上に重送した原稿を搬送し、第1のトレイに搬送された原稿を元の原稿順にする。
また、本発明にあっては、第3のトレイには、重送検出後に画像が読み取られた原稿が搬送されている。前記第2のトレイの1対の載置板を所定寸法離隔させて原稿を第1のトレイに搬送された原稿の上に落下させることにより、第1のトレイには、読取処理が完了したすべての原稿が元の原稿順に載置される。
本発明にあっては、搬送された原稿の重送が検出された場合、重送した重送原稿上の画像を再度読み取るため原稿の搬送を制御する制御手段を備えることにより、重送が検出された場合であっても、原稿の読取処理を継続して装置全体のジョブ効率の低下を防止することができる。
また、制御手段は、重送が検出された場合、重送が検出される前に画像を読み取った原稿を第1のトレイに搬送し、重送原稿を第2のトレイに搬送し、重送原稿の後に搬送され、画像を読み取った原稿を第3のトレイに搬送することにより、重送が検出された場合であっても、ユーザが排出されたすべての原稿を確認し、排出された原稿の中から重送原稿を見つけるなどの余分な作業を行う必要がなく、ユーザの負担を軽減することができる。
また、本発明にあっては、載置トレイに載置された原稿の搬送が終了した場合、第2のトレイに搬送された重送原稿を再度読み取るために搬送する搬送手段を備えることにより、重送原稿に対する原稿読取処理を継続し、原稿読取に要する時間を短縮して装置全体のジョブ効率の低下を防止するとともに、ユーザの負担を軽減することができる。
また、本発明にあっては、搬送手段は、重送原稿を前記載置トレイに戻すように構成してあることにより、重送原稿を再度読み取るための余分な構成を設けることなく、簡便な構成で重送原稿を再度読み取ることができる。
また、本発明にあっては、載置トレイと搬送手段との間の原稿の搬送路に、前記載置トレイから搬送手段の方向に沿って、原稿を捌く捌きローラ、及び前記検出手段をこの順に備えることにより、重送原稿の分離を確実に行うことができる。
また、本発明にあっては、制御手段は、再度画像を読み取った重送原稿を前記第1のトレイに搬送するように構成してあることにより、重送が検出された場合であっても、ユーザが排出されたすべての原稿を確認し、原稿を元のページ順に並べ替えるなど余分な作業を行う必要がなく、ユーザの負担を軽減することができる。
また、本発明にあっては、第3のトレイを第1のトレイの上側に配置し、前記第2のトレイは、相互に対向し、離隔寸法が可変に構成された1対の載置板を所定寸法離隔させ、該載置板上に搬送された原稿を前記第1のトレイに落下させることにより、重送が検出された場合でも、原稿を元のページ順に並べるために搬送ローラなどの搬送手段が不要であり、搬送時間を短縮することができるとともに、ユーザの負担を軽減することができる。
実施の形態1
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る原稿読取装置を備える画像形成装置100の正面側模式図である。図において、1はガラス製であって原稿を載置する載置台である。載置台1の上側には、給送トレイ20(載置トレイ)、後述する画像読取部などを有する自動原稿搬送部2を装着してある。載置台1の下側には、後述する画像読取部を有するスキャナ部3を配置している。本発明に係る原稿読取装置は、自動原稿搬送部2及びスキャナ部3などを備えている。
スキャナ部3の下側には、出力画像が形成された記録紙(シート)を排出するための搬送経路を間にして、画像形成部4を配置している。画像形成部4は、電子写真プロセス部40、定着装置41、光書込みユニット42、プロセス制御部43、記録紙を収容するための記録紙収容部44などを備えている。
電子写真プロセス部40は、回転駆動される感光体ドラム、該感光体ドラムの表面に形成された静電潜像を現像する現像装置、及び感光体ドラム表面のトナー像を記録紙に転写する転写装置などを備えている。
定着装置41は、定着ローラを有し、記録紙に転写形成されたトナー像を高温加圧することにより、トナー像を記録紙に定着させる。
光書込みユニット42は、画像データに応じて変調されたドット光を発する半導体レーザ素子、該半導体レーザ素子から発せられるレーザ光を主走査方向に偏向させるためのポリゴンミラー、該ポリゴンミラーにより偏向されたレーザ光を感光体ドラムの表面に結像させるためのレンズ及びミラー(いずれも不図示)などを備えている。
プロセス制御部43は、後述する各種の演算処理を行うCPUからなる制御部、ROM、RAM、HDDなどにより構成される記憶部、及び画像メモリなどを備え、画像形成装置全体の制御を行う。
画像形成部4の下側には、記録紙を収容する記録紙収容部61、…を3段に亘って上下方向に配置した多段給紙ユニット6を配置している。出力画像を形成する際、所望のサイズの記録紙が選択され、選択された記録紙は、電子写真プロセス部40へ供給される。
スキャナ部3と多段給紙ユニット6との間であって、電子写真プロセス部4の側面には、記録紙の後処理(例えば、ソート処理、ステープル処理など)を行う後処理部5を配置している。後処理部5は、出力画像が形成された記録紙を排出するための排出用のトレイ50、…などを備えている。
図2は本発明に係る原稿読取装置の構成を示す模式図である。自動原稿搬送部2は、給送トレイ20、回動可能であって給送トレイ20に積層して載置された原稿を1枚ずつ搬送するための呼込みローラ21a及び捌きローラ21b、搬送された原稿を排出トレイ28a(第1のトレイ)まで搬送するための搬送路29a、搬送路29aの中途に適宜設けられたレジストローラ25、搬送ローラ26a、及び排出ローラ26b、並びに捌きローラ21bの近傍であって、搬送路29aを挟んで対置され、超音波を発信する発信部22a及び発信部22aで発信された超音波を受信する受信部22bを有する超音波センサ22などを備える。
給送トレイ20の原稿載置面には、原稿の有無を検出する原稿センサ20aを設けている。原稿センサ20aは、給送トレイ20に載置された原稿がすべて搬送された場合、原稿が存在しないことを示す信号を後述する制御部10へ出力する。これにより、原稿の搬送がすべて終了したか否かを判定することができる。
搬送路29aのレジストローラ25から上流側には、原稿上に記録された画像(例えば、原稿の裏面上の画像)を読み取る画像読取部24を配置している。超音波センサ22の下流側には、搬送路29aと分離され、略180度湾曲した重送原稿搬送路27を設けている。重送原稿搬送路27の中途には、回動可能な重送原稿ローラ26cを設けてあり、重送原稿搬送路27に繋がるように重送原稿トレイ28b(第2のトレイ)が取付けられている。呼込みローラ21a、捌きローラ21b、及び重送原稿ローラ26cは、後述するローラ駆動部により、正回転及び反転回転する。
搬送路29aと重送原稿搬送路27との分岐点には、後述するゲート駆動部により揺動可能なゲート23aが配置され、ゲート23aが下方向に駆動されることにより、給送トレイ20に載置された原稿は、搬送路29a側に搬送される。一方、ゲート23aが上方向に駆動されることにより、給送トレイ20に載置された原稿は、重送原稿搬送路27側に搬送される。超音波センサ22で原稿の重送が検出された場合、ゲート23aが上方向に駆動され、重送原稿が重送原稿トレイ28bに搬送される。
また、重送が検出された場合、重送原稿ローラ26cは、重送検出後所定の時間正回転して停止する。これにより、重送原稿ローラ26cは、重送が検出された場合、重送原稿搬送路27を搬送した重送原稿の後端部を挟持した状態で停止する。なお、重送原稿ローラ26cの回転時間は、原稿の搬送速度、搬送距離などに応じて適宜設定することができ、原稿の先端部が重なった場合又はずれた場合であっても、重送原稿の後端部を挟持できるようにしている。重送原稿トレイ28bに搬送された重送原稿上の画像を再度読み取る場合、重送原稿ローラ26c、呼込みローラ21a及び捌きローラ21bを反転回転させることにより、重送原稿搬送路27を介して重送原稿を給送トレイ20に戻すように搬送する。
排出トレイ28aの上側には、重送後原稿トレイ28c(第3のトレイ)を配置してある。排出ローラ26bの下流側近傍には、搬送された原稿を排出トレイ28a又は重送後原稿トレイ28cのいずれに搬送するかを切り替える揺動可能なゲート23bを配置している。ゲート23bが上方向に駆動されることにより、原稿は、排出トレイ28aに搬送される。一方、ゲート23bが下方向に駆動されることにより、原稿は、重送後原稿トレイ28cに搬送される。超音波センサ22で原稿の重送が検出された場合、ゲート23bが下方向に駆動され、重送が検出された後に搬送される原稿は、重送後原稿トレイ28cに搬送される。
図3は重送後原稿トレイ28cの原稿の搬送方向から見た模式図である。重送後原稿トレイ28cは、相互に対向し、原稿の幅方向の離隔寸法を変更することができる1対の載置板281、282を有する。例えば、載置板281、282夫々は、ピニオンを挟んで平行に設けられた1対のラック(いずれも不図示)に固定され、後述するトレイ駆動部によりピニオンを回動することにより、1対のラックが重なる方向に並行移動した場合、載置板281、282の離隔寸法を小さくし原稿Pを載置できるようにする。また、1対のラックが離れる方向に並行移動した場合、載置板281、282の離隔寸法を大きくして載置した原稿Pが落下するようにしてある。
画像読取部24は、原稿から読み取ったカラー画像に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したデータをプロセス制御部43へ出力する。プロセス制御部43へ出力されたデータは、所定の画像データ処理が施される。
スキャナ部3は、画像読取部30を備える。画像読取部30は、載置台1の下面に沿って平行に往復移動する走査ユニット31、32、結像レンズ33、及び光電変換素子であるCCDラインセンサ34などを有する。走査ユニット31は、載置台1に載置された原稿又は搬送路29aに沿って搬送される原稿にレーザ光を照射するための光源31a、原稿で反射されたレーザ光を所定の光路に導くためのミラー31bなどを備えている。また、走査ユニット32は、原稿で反射されたレーザ光を所定の光路に導くためのミラー32a、32bなどを備えている。
結像レンズ33は、走査ユニット32から導かれたレーザ光をCCDラインセンサ34上の所定の位置に結像させる。CCDラインセンサ34は、結像された光像を光電変換して電気信号を出力する。画像読取部30は、原稿(例えば、原稿の表面)から読み取ったカラー画像に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したデータをプロセス制御部43へ出力する。プロセス制御部43へ出力されたデータは、所定の画像データ処理が施される。
原稿に記録された画像を読み取る場合、原稿の両面から読み取るか、又は片面から読み取るかは、後述する操作部18でのユーザによる操作で切り換えることができる。例えば、原稿の両面に画像が記録されている場合、操作部18で両面読み取りを設定することにより、給送トレイ20に原稿の表面を上側にして積層して載置された原稿は、1枚ずつ搬送路29aを搬送され、原稿の表面に記録された画像は画像読取部30で読み取り、原稿の裏面に記録された画像は画像読取部24で読み取ることができる。また、原稿の表面のみに画像が記録されている場合、操作部18で片面読み取りを設定することにより、給送トレイ20に原稿の表面を上側にして積層して載置された原稿は、1枚ずつ搬送路29aを搬送され、原稿の表面に記録された画像は、画像読取部30で読み取ることができる。この場合には、画像読取部24での画像読取は行わない。
図4は本発明に係る画像形成装置100の内部構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、各種の演算処理を行うCPUからなる制御部10を備える。制御部10には、内部バスを介して画像読取部24、画像読取部30、画像メモリ11、記憶部12、ROM13、RAM14、超音波センサ22、画像形成部4、ゲート駆動部15、ローラ駆動部16、トレイ駆動部17、操作部18などが接続されており、制御部10は、これらのハードウエア各部の動作を制御する。
ROM13は、制御部10の制御手順を示す制御プログラムを予め記憶している。制御部10のCPUがROM13に記憶されている制御プログラムをRAM14にロードすることにより、制御部10は制御プログラムで示された制御手順に従って画像形成装置100の動作を制御する。
画像読取部24は、原稿上の画像をCCDセンサ(不図示)で光電変換してアナログ信号に変換し、得られたアナログ信号をA/D変換器(不図示)でデジタル信号に変換する。画像読取部24は、変換して得られたデジタル信号に対して原稿読取時の光源の配向特性、イメージセンサの感度ムラなどの補正を行い、制御部10の制御の下、得られた画像データを画像メモリ11に記憶する。
画像読取部30は、原稿上の画像をCCDラインセンサ34で光電変換してアナログ信号に変換し、得られたアナログ信号をA/D変換器(不図示)でデジタル信号に変換する。画像読取部30は、変換して得られたデジタル信号に対して原稿読取時の光源の配向特性、イメージセンサの感度ムラなどの補正を行い、制御部10の制御の下、得られた画像データを画像メモリ11に記憶する。
画像形成部4は、画像メモリ11に記憶された画像データに基づいて、記録紙上に画像を形成する。なお、画像形成部4は、電子写真方式に限定されるものではなく、インクジェット方式、熱転写方式などいずれのものでもよい。
超音波センサ22は、自動原稿搬送部2で搬送される原稿をゲート23aの上流側、すなわち、原稿が搬送路29aに搬送される前に、原稿の重送を検出し、検出結果を制御部10へ出力する。原稿の重送は、本来原稿が1枚ずつ分離されて搬送されるべきところ、2枚の原稿が重なり合って搬送される状態をいう。なお、重送の詳細は、後述の図6で説明する。
図5は超音波センサ22の構成を示すブロック図である。超音波センサ22は、例えば、発振周波数が約220kHzの駆動波形を発生する発振回路22c、発振回路22cが発生した駆動波形を増幅する増幅回路22d、駆動波形を発信する発信部22a、発信部22aが発信した信号を受信する受信部22b、受信部22bで受信した信号を広帯域(例えば、220kHz±20kHz)にわたって検出する共振回路22e、受信した信号を増幅する増幅回路22f、及び増幅された信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路22gなどを備える。
超音波センサ22は、搬送される原稿に対して発信部22aから信号を発信し、発信された信号を受信部22bで受信し、受信した信号を制御部10へ出力することで、信号のエネルギの大小に基づいて、搬送される原稿の枚数、すなわち、重送を検出する。なお、重送を検出する手段としては、超音波センサに限定されるものではなく、他のセンサを用いることもできる。
ゲート駆動部15は、制御部10の制御のもと、ゲート23a、23bの切り替えを行う。例えば、ゲート駆動部15は、原稿の読取処理を行う場合、ゲート23a、23b夫々を下方向、上方向に切り替え、搬送路29aを介して原稿を排出トレイ28aに搬送する。また、重送が検出された場合、制御部10の制御のもと、ゲート駆動部15は、ゲート23aを上方向に切り替え、重送原稿搬送路27を介して重送原稿を重送原稿トレイ28bに搬送する。また、ゲート駆動部15は、重送原稿を重送原稿トレイ28bに搬送した後、ゲート23a、23b夫々を下方向に切り替え、重送原稿の後に搬送される原稿を重送後原稿トレイ28cに搬送する。さらに、ゲート駆動部15は、重送原稿の読取処理を再度行う場合、ゲート23aを上方向に切り替え、重送原稿を給送トレイ20に搬送した後、ゲート23a、23b夫々を下方向、上方向に切り替え、再度読み取られた原稿を排出トレイ28aに搬送する。
ローラ駆動部16は、制御部10の制御のもと、呼込みローラ21a、捌きローラ21b、重送原稿ローラ26cの回転制御(正回転、反転回転)を行う。例えば、ローラ駆動部16は、原稿の読取処理を行う場合、呼込みローラ21a、捌きローラ21bを正回転させることにより、原稿を1枚ずつ搬送する。また、重送が検出された場合、ローラ駆動部16は、重送検出後所定の時間重送原稿ローラ26cを正回転させ、重送原稿の後端部を挟持する状態で回転を停止する。さらに、ローラ駆動部16は、重送原稿の読取処理を再度行う場合、呼込みローラ21a、捌きローラ21b、及び重送原稿ローラ26cを反転回転させ、重送原稿を給送トレイ20に搬送する。
トレイ駆動部17は、制御部10の制御のもと、重送後原稿トレイ28cの載置板281、282の原稿の幅方向の離隔寸法を変更すべく載置板281、282夫々を水平移動させる。
操作部18は、タッチパネル方式の操作パネルであり、利用者の操作指示を受け付ける各種キー及びスイッチと、利用者に対して報知する情報(例えば、重送報知)を表示する液晶ディスプレイとを備えている。また、操作部18は、例えば、片面原稿又は両面原稿のいずれの原稿を読み取るかを設定することができる。
記憶部12には、読み込まれた画像データなどが必要に応じて圧縮処理され記憶されている。
図6は原稿の重送の例を示す説明図である。図中矢印は原稿の搬送方向を示す。図6(a)は、原稿が1枚ずつ所定の離隔寸法を有して正常に搬送されている場合を示す。図6(b)は、原稿載置トレイに積層された原稿の最上部から1枚ずつ取り出す、いわゆる上取りの場合に、1枚目の重送原稿の先端部と、2枚目の重送原稿の先端部とがずれた状態で重なった場合を示す。図6(c)は、1枚目の重送原稿の先端部と、2枚目の重送原稿の先端部とが重なった場合を示す。
図7は重送原稿の先端部同士がずれた場合の重送検出信号のレベルを示すタイムチャートである。超音波センサ22の受信部22bで受信する信号のエネルギ(例えば、透過エネルギ)は、信号が透過する原稿の枚数に応じて変化する。例えば、原稿がない場合は、受信する信号のエネルギはE0、原稿が1枚の場合は、受信する信号のエネルギはE1(E0>E1)、原稿が2枚の場合は、受信する信号のエネルギはE2(E1>E2)である。時刻t1において、信号のエネルギがE0からE1に変化したことにより、次の原稿が搬送されたことを検出する。原稿の重送が生じた場合、例えば、時刻t2において、信号のエネルギがE1からE2に変化する。受信した信号のエネルギのレベル差により、2枚の原稿が、その先端部がずれた状態で重送されたことを検出することができる。時刻t3において、信号のエネルギはE2からE1に変化する。
原稿の搬送速度、及び時刻t2とt1との時間差により、原稿がどの程度の長さずれて重送したかを算出することもできる。
図8は重送原稿の先端部同士が重なった場合の重送検出信号のレベルを示すタイムチャートである。時刻t4において、信号のエネルギがE0からE2に変化する。受信した信号のエネルギのレベル差により、次の原稿がその先端部同士が重なった状態で2枚の原稿が重送されたことを検出することができる。時刻t5において、信号のエネルギはE2からE0に変化する。
次に本発明に係る原稿読取装置の動作について説明する。図9乃至図15は原稿の搬送制御を示す説明図である。図9に示すように、原稿の読取処理を行う場合、ゲート23a、23b夫々は下方向、上方向に切り替えられている。給送トレイ20に載置された原稿P(例えば、20枚)は、正回転する呼込みローラ21a、捌きローラ21bにより捌かれ、搬送路29aを通じて、レジストローラ25、搬送ローラ26a、排出ローラ26bにより搬送され、排出トレイ28aに搬送される。
図10に示すように、超音波センサ22で原稿の重送が検出された場合(例えば、11枚目及び12枚目が重送)、ゲート23aは上方向に切り替えられ、原稿の搬送先を搬送路29aから重送原稿搬送路27へ変更するとともに、重送原稿ローラ26cを所定時間正回転して、重送原稿P11、P12(11枚目、12枚目)の後端部が挟持された状態で重送原稿ローラ26cを停止する。これにより、重送原稿P11、P12は、重送原稿トレイ28bに搬送される。なお、重送を検出する前に画像が読み込まれた原稿P1、P2、…、P10(1枚目…10枚目)は排出トレイ28aに搬送されている。
図11に示すように、重送が検出された後においても、給送トレイ20に載置された原稿の読み取り処理は継続される。重送検出後、ゲート23a、23b夫々は下方向に切り替えられる。給送トレイ20に載置された原稿P(13枚目から20枚目)は、正回転する呼込みローラ21a、捌きローラ21bにより捌かれ、搬送路29aを通じて、レジストローラ25、搬送ローラ26a、排出ローラ26bにより搬送され、13枚目の原稿P13から重送後原稿トレイ28cに搬送される。
図12に示すように、13枚目から20枚目までの原稿が読み取られ重送後原稿トレイ28cに搬送され、給送トレイ20に載置された20枚すべての原稿の搬送が完了した場合、ゲート23aは上方向に切り替えられ、重送原稿ローラ26c、呼込みローラ21a、捌きローラ21bは反転回転される。これにより、重送原稿P11、P12は重送原稿搬送路27を通じて給送トレイ20に戻される。この場合、重送原稿搬送路27を略180度湾曲させているため、重送原稿が略180度湾曲して搬送されることにより、重送原稿が分離されるように捌くことができ、重送を解消することができる。
図13及び図14に示すように、重送原稿P11、P12が給送トレイ20に戻された後、ゲート23a、23b夫々は下方向、上方向に切り替えられ、給送トレイ20に戻された原稿P11、P12(11枚目、12枚目)は、正回転する呼込みローラ21a、捌きローラ21bにより捌かれ、搬送路29aを通じて、レジストローラ25、搬送ローラ26a、排出ローラ26bにより搬送され排出トレイ28aに搬送される。
図15に示すように、重送した原稿P11、P12が排出トレイ28aに搬送された後、重送後原稿トレイ28cの載置板281、282の離隔寸法が大きくなる方向に載置板281、282を水平移動させることにより、重送後原稿トレイ28cに搬送された原稿P13、P14、…P20が、排出トレイ28aに搬送された原稿P1、P2、…P12の上に落下する。これにより、原稿の重送が発生した場合であっても、ユーザに負担をかけることなく、全ての原稿の読取処理を停止させることなく終了することができるとともに、すべての原稿は元の順に積層される。
図16は画像形成装置100が実行する処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、操作部18から入力される情報に基づき、原稿の読取指示があるか否かを判定する(S11)。読取指示がない場合(S11でNO)、制御部10は、ステップS11の処理を続け、読取指示があるまで待機する。
読取指示があった場合(S11でYES)、制御部10は、ゲート23a、23b夫々を下方向、上方向に切り替え(S12)、給送トレイ20に載置された原稿の搬送を行う(S13)。制御部10は、原稿の重送を検出したか否かを判定する(S14)。
原稿の重送を検出した場合(S14でYES)、制御部10は、再度の重送か否かを判定する(S15)。再度の重送でない場合(S15でNO)、制御部10は、ゲート23aを上方向に切り替え(S16)、重送原稿ローラ26cを所定時間正回転させる(S17)。これにより、重送原稿を重送原稿トレイ28bに搬送する。
制御部10は、重送が検出されたことを知らせるため、重送報知を行い(S18)、ゲート23a、23b夫々を下方向に切り替え(S19)、重送検出後の原稿の搬送を行う(S20)。制御部10は、原稿の読み取りを行い(S21)、給送トレイ20に載置されたすべての原稿の搬送が完了したか否かを判定する(S22)。
すべての原稿の搬送が完了した場合(S22でYES)、制御部10は、処理を終了する。すべての原稿の搬送が完了していない場合(S22でNO)、制御部10は、ステップS13以降の処理を行う。また、ステップS14で、重送が検出されない場合(S14でNO)、制御部10は、ステップS21の処理を行う。再度の重送である場合(S15でYES)、制御部10は、原稿の搬送を停止し(S23)、処理を終了する。
図17は画像形成装置100の重送原稿の再読取処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、原稿の重送が発生した場合、給送トレイ20に載置されたすべての原稿の搬送が完了した後で、重送原稿トレイ28bに搬送された重送原稿を再度読み取るためのものである。制御部10は、ゲート23aを上方向に切り替え(S31)、重送原稿ローラ26c、呼込みローラ21a、捌きローラ21bを反転回転する(S32)。これにより、重送原稿は給送トレイ20に戻される。
制御部10は、ゲート23a、23b夫々を下方向、上方向に切り替え(S33)、呼込みローラ21a、捌きローラ21bを正回転させる(S34)。これにより、重送した原稿を再度読み取るため搬送する。
制御部10は、原稿の読み取りを行い(S35)、原稿が排出トレイ28aに搬送された後に、重送後原稿トレイ28cの載置板281、282を開き(S36)、重送後原稿トレイ28cに搬送され積層された原稿を排出トレイ28aに搬送され積層された原稿の上に落下させた後、重送後原稿トレイ28cの載置板281、282を閉じ(S37)、処理を終了する。
以上説明したように、本発明にあっては、原稿の重送が検出された場合であっても、原稿の読取処理を継続して装置全体のジョブ効率の低下を防止することができる。また、ユーザに負担をかけることなく、すべての原稿は元の順に積層することができる。
実施の形態2
上述の実施の形態1では、画像読取部24、30を備えることにより、原稿の両面を読み取ることができる構成であったが、これに限定されるものではなく、反転搬送路を設けることにより、原稿の両面を読み取る構成にすることもできる。
図18は反転搬送路を備えた原稿読取装置の構成を示す模式図である。実施の形態1との相違点は、反転トレイ28d、反転搬送路29b、搬送ローラ26d、ゲート23c、23dを備え、画像読取部24を削除した点である。
搬送路29aを搬送された原稿は、画像読取部30で原稿の表面の画像が読み取られた後、ゲート23d(可撓性又は自重により下方向に位置する)を通過し、下方向に切り替えられたゲート23cを介して反転トレイ28dに搬送された後、原稿の裏面の画像を読み取るため、ゲート23c、23dを介して、反転搬送路29bに搬送され、原稿の表裏が判定され、画像読取部30で裏面の画像が読み取られ、排出トレイ28aに搬送される。
重送が検出された場合、実施の形態1と同様に、重送原稿は、ゲート23aにより重送原稿搬送路27を介して重送原稿トレイ28bに搬送される。重送検出後に搬送される原稿は、一旦反転トレイ28dに搬送されて反転され、ゲート23b、23dを介して重送後原稿トレイ28cに搬送される。この場合、ゲート23cは、上方向に切り替えられる。
給送トレイ20の原稿がすべて搬送された後、重送原稿は、実施の形態1と同様に、給送トレイ20に戻され、再度読み取り処理を行うべく、搬送路29aを搬送される。画像読取部30で原稿の表面の画像が読み取られた後、原稿は、ゲート23dを通過し、上方向に切り替えられたゲート23cを介して反転トレイ28dに搬送された後、原稿の裏面の画像を読み取るため、ゲート23c、23dを介して、反転搬送路29bに搬送され、原稿の表裏が判定され、画像読取部30で裏面の画像が読み取られ、排出トレイ28aに搬送される。なお、その他の箇所は実施の形態1と同様であるので説明は省略する。
上述の実施の形態においては、原稿の重送を検出する手段として、超音波センサ22を用いる構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、光学センサなどを用いる構成であってもよい。しかし、光学センサを使用する場合、原稿の搬送方向の長さを検出し、原稿の先端と後端との間の距離は原稿の寸法よりも大きい場合に、重送であると検出するため、2枚の原稿が全く重なった場合には、検出できない虞があり、検出精度の点では、超音波センサが優れている。
上述の実施の形態においては、給送トレイ20に載置された原稿を上取りする構成であったが、これに限定されるものではなく、下取りする構成であってもよい。
上述の実施の形態においては、載置板281、282の離隔寸法をラック及びピニオンにより変更する構成であったが、これに限定されるものではなく、他の機構で構成することも可能である。また、トレイ駆動部17で駆動する構成に代えて、手動で載置板281、282の離隔寸法を変更して原稿を落下させるようにしてもよい。
上述の実施の形態においては、重送原稿を重送原稿トレイ28bに搬送し、すべての原稿の搬送(読み取り)が完了した後、重送原稿を給送トレイ20に戻す構成であったが、これに限定されず、重送原稿を給送トレイ20に戻さずに画像読取部24、30で読み取るように搬送路を設けてもよい。
上述の実施の形態においては、原稿を搬送するトレイをゲートにより切り替える構成であったが、トレイの切り替えは、これに限定されるものではなく、トレイを移動させて原稿の搬送先を切り替えるような構成でもよい。