JP4518650B2 - 空調機または空気清浄機用の前面フィルタ - Google Patents
空調機または空気清浄機用の前面フィルタ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性(消臭性、抗微生物性等)、成形性、加工性(延伸性等)、物性(強度等)、および経済性(コスト)にすぐれた芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物から作製された空調機または空気清浄機用の前面フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〈ポリプロピレン製のフィルタ〉
空調機や空気清浄機に組み込むフィルタとして、コスト的に有利でかつ成形性、機械的強度、耐水性、耐薬品性などの特性がすぐれているポリプロピレン線条でできたフィルタが汎用されている。
【0003】
フィルタ用のポリプロピレンに、合成系の抗菌剤を練り込んだり、茶の抽出成分であるカテキン類を外的に付着担持または内添により担持させたりすることも知られている。
【0004】
たとえば、特開平1−99656号公報には、 0.1%以上の抗菌剤を練り込んだポリプロピレン繊維からなる抗菌エレクトレットフィルタにつき言及がある。ただしこの公報の実施例で使用している抗菌剤は、合成系の抗菌剤であるチアベンダゾールである。
【0005】
特開平7−148407号公報には、茶の抽出成分を有効成分とするウィルス不活性剤をフィルタ素材に練り込んだ抗ウィルスフィルタが示されている。茶の抽出成分とは、カテキン類などの茶ポリフェノールである。その実施例には、茶の抽出成分をポリプロピレンに混合して溶融してフィルム状に成形し、カッティングし、不織布化を行った例があげられている。
【0006】
特開平8−266828号公報には、集塵フィルタと茶の抽出成分を添着したフィルタとからなる抗ウィルスフィルタが示されている。茶の抽出成分とは、カテキン類などの茶ポリフェノールである。茶の抽出成分を添着したフィルタとは、エレクトレットフィルタ、HEPAフィルタ、高性能フィルタ、中性能フィルタ、バグフィルタなどである。
【0007】
〈ポリプロピレン製の複合モノフィラメント〉
特公昭63−3969号公報(特許第1456233号)には、高融点ポリプロピレンを芯成分とし、低融点ポリオレフィンを鞘成分とする複合モノフィラメントが示されており、そのモノフィラメントをネット状物とすることについても言及がある。ただし、抗菌剤などの有効成分を担持させることは意図されていない。このモノフィラメントは、芯成分により必要な強度が得られ、かつ鞘成分により熱融着性が得られるので、ネット状や不織布状にすることが容易である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
カテキン類などの茶の抽出成分をフィルタ素材としてのポリプロピレンに内添して溶融成形する方法にあっては、内添量の割にはフィラメント表面に露われる抽出成分が少ないので、消臭性や抗微生物性などの効果が不足するという問題点がある。そこで一定程度の効果が得られるようにするには内添量を多くしなければならないが、そのときには比較的高価なカテキン類などの使用量がかなり増大するのでコスト高になる上、紡糸性、延伸性、強度が低下することを免れない。
【0009】
また、上に例示したポリプロピレン製のフィルタに限らず、種々の樹脂でできたフィラメントやシートでできた各種の用途の成形物においても、成形性、加工性、物性を確保しながら、消臭性、抗微生物性等を充分にかつ即効的に発揮させることができ、しかもコスト的にも安価に製造できる成形物を得ることが望ましい。
【0010】
本発明は、このような背景下において、内添した機能性成分の担持が成形物の成形性、加工性(延伸性等)、物性(強度等)に悪影響を与えることなく、またその機能性成分の内添量を大きく減ずることができるのでコスト的にも有利であり、しかもその機能性成分が本来有するすぐれた消臭性、抗微生物性等の機能性が充分にかつ即効的に発揮され、さらには人体に接触するような使い方をしても安全性の高い芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物から作製された空調機または空気清浄機用の前面フィルタを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の空調機または空気清浄機用の前面フィルタは、
芯成分である内側成分Xと、鞘成分である外側成分Yとで構成された芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物から作製された空調機または空気清浄機用の前面フィルタであること、
前記の芯成分である内側成分Xが、高温溶融性樹脂からなるポリオレフィン系の第1樹脂(H) で形成されていること、および、
前記の鞘成分である外側成分Yが、カテキン類の濃度を高めた茶由来のカテキン製剤、茶サポニン類および茶葉粉末よりなる群から選ばれた少なくとも1種の機能性成分(A) が配合された低温溶融性樹脂からなるポリオレフィン系の第2樹脂(L) で形成されていること、
を特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0013】
〈芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物〉
本発明の空調機または空気清浄機用の前面フィルタは、芯成分である内側成分Xと、鞘成分である外側成分Yとで構成された芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物から作製される。
【0014】
芯鞘接合型であれば、同心円芯鞘型、偏心芯鞘型、多心芯鞘型などのいずれであってもよい。
【0015】
ここで、芯成分である内側成分Xは、高温溶融性樹脂からなるポリオレフィン系の第1樹脂(H) で形成される。
【0016】
一方、鞘成分である外側成分Yは、カテキン類の濃度を高めた茶由来のカテキン製剤、茶サポニン類および茶葉粉末よりなる群から選ばれた少なくとも1種の機能性成分(A) が配合された低温溶融性樹脂からなるポリオレフィン系の第2樹脂(L) で形成される。
【0017】
上記の高温溶融性、低温溶融性とは、相対的なものである。なお、少なくとも芯成分となる内側成分Xを形成する第1樹脂(H) は、フィラメントとしたときに、必要な強度や寸法安定性が得られるものとする。
【0018】
第1樹脂(H) が高温溶融性樹脂、第2樹脂(L) が低温溶融性樹脂からなる態様は、外側成分Yとなる第2樹脂(L) により熱融着性を持たせようとするときに特に有用である。このときの組み合わせの代表的なものの一例は、高温溶融性樹脂が融点150℃以上のポリプロピレンであり、低温溶融性樹脂が、ポリエチレン(特に高密度ポリエチレンやリニア低密度ポリエチレン)、融点135℃以下のポリプロピレン、またはこれらのブレンド物である組み合わせである。
【0019】
〈機能性成分(A) 〉
上記のように鞘成分である外側成分Yは機能性成分(A) が配合された低温溶融性樹脂からなるポリオレフィン系の第2樹脂(L) で形成されるが、このときの機能性成分(A) としては、上記のようにカテキン類の濃度を高めた茶由来のカテキン製剤、茶サポニン類および茶葉粉末よりなる群から選ばれた少なくとも1種が用いられる。これらは、消臭性(脱臭性、悪臭消去性、有害ガス成分除去性等)、抗微生物性(抗菌性、殺菌性、静菌性、抗カビ性、抗ウイルス性等)、生理活性(抗アレルギー性等)、抗酸化性などの機能性を有する成分である。
【0020】
機能性成分(A) としては、カテキン類の濃度を高めた茶由来のカテキン製剤が特に重要である。茶カテキンの主たる成分は、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレートなどであるが、個々の成分に単離する必要はないので、これらの混合物からなる茶カテキンを濃厚に含む製剤(殊に20%以上、好ましくは25%以上含むもの)をそのまま好適に用いることができる。市販の茶由来のカテキン製剤には30%品、50%品、60%品、70%品、80%品、90%品などがあるので、その入手は容易である。
【0021】
茶サポニン類は、有機溶剤や水を用いて茶葉や茶の種子からサポニンを含む成分を抽出し、ついでカラムクロマトなどの手段を用いて繰り返し精製を行うことにより取得できる。茶サポニン類には、ステロイド系サポニン、トリテルペノイド系サポニンなどがあるが、本発明の目的にはこれらをいずれも使用することができる。
【0022】
茶葉粉末としては、一番茶・二番茶・三番茶・深むし、かぶせなどの茶の粉末を用いることができる。
【0023】
〈外側成分Yにおける機能性成分(A) の割合〉
鞘成分である外側成分Yにおける機能性成分(A) の割合は、機能性成分(A) がその機能性を発揮できるに足る割合とする。その割合は、第2樹脂(L) の種類や機能性成分(A) の種類によって異なるので一概には言えないが、一般には、第2樹脂(L) 100重量部に対して、1〜30重量部(好ましくは2〜20重量部)となるようにすることが多い。機能性成分(A) の割合が極端に少ないときは所期の消臭性、抗微生物性、生理活性、抗酸化性などの機能性が充分には発揮されず、一方その割合が極端に多いときには、コストの点および複合成形物の強度や風合の点でマイナスとなる。
【0024】
〈内側成分Xと外側成分Yとの割合〉
芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物における内側成分Xと外側成分Yとの割合は、重量比で、30:70〜80:20、殊に35:75〜75:25とすることが好ましい。外側成分Yの割合が余りに少ないときには、機能性成分(A) の割合が過小となるので所期の機能性が充分には奏されず、また得られる成形物(フィラメント)に熱接着性が要求されるときには熱接着性が不足するようになる。一方、外側成分Yの割合が余りに多いときには、相対的に内側成分Xの割合が過小になるため、紡糸性、延伸性、強度などの点で不満足となる。
【0025】
〈複合成形物の製造法〉
上述の芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物は、第1樹脂(H) と、機能性成分(A) が配合された第2樹脂(L) とを、第1樹脂(H) が内側成分X、機能性成分(A) が配合された第2樹脂(L) が外側成分Yとなるようにそれぞれの溶融温度以上の温度で共押出成形することにより製造することができる。共押出成形は、2台またはそれ以上の押出機を用い、複合ダイから線状に吐出することにより達成できる。場合によっては、回転ダイ(口金)を用いてネット状に成形することもできる。なお機能性成分(A) が配合された第2樹脂(L) は、予め内添する材料の濃度の濃いマスターバッチを作製しておいて、そのマスターバッチを第2樹脂(L) と混合して成形に供することもできる。
【0026】
第1樹脂(H) 側、機能性成分(A) 配合第2樹脂(L) 側には、もし必要なら、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤、流動性改善剤、可塑剤、難燃剤などの助剤を内添しておくことができる。特に機能性成分(A) を配合した第2樹脂(L) の側には、酸化防止剤等の安定剤と共に、金属石鹸をはじめとする凝集防止性ないし分散性の向上に有効な成形助剤を併用配合して、機能性成分(A) の均一分散を確保することが好ましく、また機能性成分(A) の担持性を向上させるため、銅塩、鉄塩、カルシウム塩、チタン塩、アルミニウム塩、銀塩、スズ塩、亜鉛塩、クロム塩、コバルト塩などの金属イオン源を適当量共存させておくこともできる。
【0027】
フィラメントを得るときには、共押出成形後に延伸を行うことが多い。延伸倍率に特に限定はないものの、倍率が余りに小さいときは、用途によっては強度が不足する傾向があるので、3倍以上、殊に5倍以上とするのが通常である。一方、延伸倍率を余りに大きくすると、芯鞘間において層間剥離を起こしやすくなるなどのトラブルを生ずることがあるので、延伸倍率の上限は一般には10倍程度までである。
【0028】
〈用途〉
本発明における芯鞘接合型の複合成形物におけるフィラメントの太さは、細デニールから太デニールまで任意である。この複合フィラメントは、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよい。複合フィラメントから、糸、パイル、綿(ワタ)状物、織布、不織布、編布、ネット、ロープ、ベルトなどの二次製品を得ることも自在である。この複合フィラメントまたはその二次製品を、天然繊維(木綿、麻、絹、羊毛等)、合成繊維(ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等)、半合成繊維(アセテート等)、再生繊維(レーヨン等)、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)などの繊維やその二次製品と組み合わせて用いることもできる。
【0029】
上述の芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物から、空調機または空気清浄機の前面フィルタが作製される。このときにはその複合成形物をモノフィラメントの形態で用いることが多い。そしてこの前面フィルタにあっては、表面側である外側成分Yに機能性成分(A) が内添されているので、空調機や空気清浄機の稼動後にはすみやかに(言わばワンパスで)消臭性や抗微生物性などの機能性が有効にかつ即効的に発揮される。なお、前面フィルタの枠を外側成分Yと同系統のもの(たとえば外側成分Yの第2樹脂(L) がポリオレフィンであり、フィルタの枠がポリプロピレン成形品)とすれば、このモノフィラメントが熱融着性を有するので、枠への一体化が容易である。
【0030】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下、「部」、「%」とあるのは重量基準で表わしたものである。MIは温度190℃°におけるメルトインデックス、MFRは温度230におけるメルトフローレートである。
【0031】
実施例1〜7
〈材料の準備〉
第1樹脂(H) として、
・(H1): 融点が163℃で、MFRが 3.1g/10min のポリプロピレン、
を準備した。
【0032】
第2樹脂(L) として、
・(L1): MIが16.1g/10min の高密度ポリエチレン、
・(L2): MIが10.5g/10min のリニア低密度ポリエチレン、
・(L3): 融点が128℃でMFRが17.3のポリプロピレン
の3種を準備した。
【0033】
機能性成分(A) として、
・(A1): 茶カテキン30%品(エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンおよびエピカテキンガレートの合計量が約30%の茶由来のカテキン製剤)
・(A2): 純度70%の茶サポニン、
・(A3): 緑茶微粉末
を準備した。
【0034】
実施例1〜5
第2樹脂(L) に、少量の酸化防止剤および凝集防止剤(分散剤)と共に機能性成分(A) を混合して溶融押出すると共にペレット化した。このようにして得た機能性成分(A) 配合第2樹脂(L) のペレットを外側(鞘)成分Y、上記の第1樹脂(H) のペレットを内側(芯)成分Xとして用いて、複合口金を備えた2台の押出機により、鞘成分Yについては230℃で、芯成分Xについては205℃で共押出成形し、ついで約6倍に延伸することにより、300デニールの複合モノフィラメントを得た。次にこのモノフィラメントからネットを作製すると共に、ポリプロピレン製の枠に熱融着させて、空調機用の枠付きの前面フィルタを作製した。条件を表1に示す。
【0035】
比較例1〜2
上記の第1樹脂(H) に上記の機能性成分(A) を混合して溶融押出することにより一旦ペレット化し、続いてこのペレットを用いて230℃で押出成形を行い、ついで約6倍に延伸することにより、300デニールのモノフィラメントを得、さらにフィルタを作製した。ただし、比較例2は6倍延伸では糸切れを生じたので、延伸倍率を3倍にとどめた。条件を表1に併せて示す。
【0036】
なお、図1(イ)、(ロ)に、それぞれ、上記実施例1で得た複合モノフィラメントおよび上記比較例1で得たモノフィラメントのモデル的な断面図を示す。
【0037】
【表1】
第1樹脂(H) 側 第2樹脂(L) 側
(H) (A) (L) (A)
比較例1 (H1)97部 (A1) 3部 - -
比較例2 (H 1 )93部 (A 1 ) 7部 - -
実施例1 (H1)60部 - (L1)37部 (A1) 3部
実施例2 (H1)60部 - (L2)37部 (A1) 3部
実施例3 (H1)60部 - (L3)37部 (A1) 3部
実施例4 (H1)60部 - (L3)37部 (A2) 3部
実施例5 (H 1 )60部 - (L 3 )37部 (A 3 ) 3部
【0038】
〈試験〉
実施例および比較例で得たフィルタにつき、消臭試験および抗微生物性試験を下記の条件にて行った。結果を、先に述べた延伸性を含めて表2に示す。
【0039】
(消臭試験)
1m3の容器内には外部から操作できる空気清浄機、内部には上記で作製したフィルタを設置し、容器の中でタバコ5本を吸煙機に装着して着火し、最初の1本が燃え尽きた時点で吸煙機を停止し、最後のタバコが燃え尽きた時点で空気清浄機の運転を開始し、運転5分後および30分後にガス検知管を用いてアンモニア濃度を測定し、5分後の濃度(初期濃度)に比し30分後の濃度がどの程度減少しているかで脱臭率を求めた。
【0040】
(抗微生物性試験)
下記の条件により、各試料の抗菌性を調べた。
・試験項目:菌数減少率試験
・試験菌株:黄色葡萄状球菌Staphylococcus aureus ATCC 6538P
・試験方法:統一試験方法による。
・試験結果:
植菌数[A] 1.0×105 log A = 5.0
無加工布菌数[B] 1.6×107 log B = 7.2
(無加工布は標準綿布を使用)
log B - log A = 2.2 > 1.5 (試験は有効)
増減値 = log C - log A
増減値差 = (log B - log A) - (log C - log A)
【0041】
【表2】
比較例 実 施 例
1 2 1 2 3 4 5
延伸性 △ × ○ ○ ○ ○ ○
NH3 脱臭率(%) 52 65 90 90 89 80 88
抗菌性
菌数 log C 6.5 4.3 2.3 2.3 2.4 2.4 2.6
増減値 1.5 -0.7 -2.7 -2.7 -2.6 -2.6 -2.4
増減値差 0.7 2.9 4.9 4.9 4.8 4.8 4.6
(抗菌性試験の試料は 0.2gを採取)
(延伸性は、良好なものの順に、○、□、△、×の4段階で評価した。)
【0042】
表2のように、実施例1〜3と同じくカテキン製剤(A1)の内添量を3部としている比較例1においては、機能性が不充分であることがわかる。またカテキン製剤(A1)の内添量を7部としている比較例2においては、ある程度の機能性が得られているが(ただし内添量の割には機能性が充分には発揮されていない)、カテキン製剤(A1)の添加量が多くなるので、経済的にマイナスであることがわかる。なお、カテキン製剤(A1)を内添していない第1樹脂(H1)のみのモノフィラメントの延伸品を用いたときのNH3 脱臭率は約40%であり、「測定値−40%」が実質的な脱臭率となる。また比較例1〜2の場合には、カテキン製剤(A1)が内添されている第1樹脂(H1)を230℃で押出成形しているので、押出成形時のカテキン製剤(A1)の揮散量が実施例の場合に比して多いものと思われる。
【0043】
〈抗ウィルス性試験〉
実施例1,4で得た複合フィラメント、および第1樹脂(H1)と第2樹脂(L3)との重量比で1:1の複合フィラメント(Control) を用いて、空調機用のフィルタからなる検体(3cm×3cm)を作製し、その検体にインフルエンザウィルス浮遊液 0.2mlを滴下し、25℃に保存した。保存24時間後に検体上のウィルスを洗い出し、洗い出し液中のウィルス感染価(1ml当りの50%組織培養感染量(TCID50)の対数値を測定した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
log TCID 50 /ml
開始時 24hr後
Control 5.3 5.3
実施例1 5.3 2.7
実施例4 5.3 2.7
【0045】
【発明の効果】
本発明の芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物から作製される空調機または空気清浄機の前面フィルタにあっては、内側成分Xにより必要な紡糸性、延伸性、強度、熱融着性が得られると共に、その空調機や空気清浄機を作動させたときには、外側成分Y中に内添されている特定の機能性成分(A) により、消臭性、抗微生物性、生理活性、抗酸化性などの機能性が発揮される。
【0046】
通常のように、機能性成分(A) を内添した樹脂からフィラメント等の成形物を成形するときには、内添量の割にはフィラメントの表面に露われる機能性成分(A) が少ないが、本発明においては、機能性成分(A) は外側成分Yの側に内添されているので、使用した機能性成分(A) による機能性が有効にかつ即効的に発揮され、しかも機能性成分(A) の使用量を最小限にすることができるので、コストの大巾な削減も図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得た複合モノフィラメントおよび比較例1で得たモノフィラメントのモデル的な断面図である。
【符号の説明】
X…内側成分、
(H) …第1樹脂、
Y…外側成分、
(L) …第2樹脂、
(A) …機能性成分
Claims (1)
- 芯成分である内側成分Xと、鞘成分である外側成分Yとで構成された芯鞘接合型のフィラメント状の複合成形物から作製された空調機または空気清浄機用の前面フィルタであること、
前記の芯成分である内側成分Xが、高温溶融性樹脂からなるポリオレフィン系の第1樹脂(H) で形成されていること、および、
前記の鞘成分である外側成分Yが、(イ)カテキン類の濃度を高めた茶由来のカテキン製剤、茶サポニン類および茶葉粉末よりなる群から選ばれた少なくとも1種の機能性成分(A) が配合された低温溶融性樹脂からなるポリオレフィン系の第2樹脂(L) で形成されていること、
を特徴とする空調機または空気清浄機用の前面フィルタ。
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