JP2017066259A - 竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】従来のガラス繊維強化樹脂よりも軽量であり、植物が持つ強度やしなやかさ等に優れた竹ファイバーの植物機能生かした複合植物由来の樹脂組成物の提供を目的とする。【解決手段】植物由来の樹脂中に竹由来の竹ファイバーが植物由来の樹脂組成物に対して1〜70質量%混合されていることを特徴とする竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物を提供する。竹ファイバーの一例は竹由来のパルプである。【選択図】図1

Description

本発明は、植物由来の樹脂に竹由来のファイバーを混合した複合植物由来の樹脂組成物に関するものである。
特許文献1は、竹繊維に接着剤を付着させ加温加圧することで板材、角材等を得る技術を開示する。しかし、このような竹繊維集成材では用途が限定されていた。
特許文献2は、竹等の薄片よりなるシート状物を植物由来の樹脂で一体化して補強する成形体を開示するが、これも用途が限定されていた。
特許文献3は、植物の竹由来の繊維(ファイバー)を使用しているが石油系を使用してのでは植物が持つ特性を十分生かせない。
特開2004−351773号公報 特開平10−138353号公報 特開平2013-245346号公報
ガラス繊維や炭素繊維で強化した繊維強化石油由来の樹脂成形品は公知である。しかし、ガラス繊維を石油由来の樹脂に混ぜると製品が重くなる問題や、廃棄処理する際に種々の問題がある。また、炭素繊維は射出成型機等で成形する上で、成形性が悪い等の種々の問題がある。
そこで本発明者らは、竹由来の繊維(ファイバー)を用いた複合植物由来の樹脂の検討を進めた結果、本発明に至った。本発明は、従来の石油系樹脂が持たない植物が持つ独特の特性を生かし、また、強度に優れた竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物を提供する。
本発明に係る竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物は、植物由来の樹脂中に竹由来の竹ファイバーが植物由来の樹脂組成物に対して1〜70質量%混合されていることを特徴とする。本発明に係る複合植物由来の樹脂組成物は天然繊維である竹由来のファイバーを混練したので、樹脂成形品にした場合に軽量で強度に優れた植物由来の樹脂成形品が得られる。ここで、竹ファイバーは竹のセルロース繊維を解繊して得られたファイバーをいい、竹をチップ状にし、その後に蒸解したパルプを用いることができる。
さらに、強度を向上させるにはパルプを高圧水流処理等にて細分化した平均太さ5nm〜50nm、平均長さ0.1μm〜5.0μmの竹ファイバーを用いるのが好ましい。より好ましくは平均太さ5nm〜30nm、平均長さ0.5μm〜2.0μmのものでアスペクト比が100以上のものがよい。また、パルプは調整及び抄紙工程で一般的に用いられている叩解機で処理したものが望ましく、その濾水性は、JIS P 8121で100〜500mlの範囲がよい。使用できる竹の種類には限定がなく、代表例としては真竹、孟宗竹、淡竹等が挙げられる。
竹ファイバーはパルプを叩解処理した後に高圧水流にて解繊したものであることが望ましい。ここで、高圧水流で解繊するとは、竹を蒸解等によりパルプ化した竹パルプを0.5〜10%程度含有する混合液を、50〜300MPa程度の高圧状態から一気に大気解放させることで、キャビテーションや乱流が生じ、これによりパルプ繊維を細く解繊することをいう。また、必要に応じて混合液に分散剤等を添加してもよい。本明細書では、この高圧状態から大気解放させる処理回数をパス回数と表現する。
基材となる植物由来の樹脂は熱可塑性植物由来の樹脂でも熱硬化性植物由来の樹脂でもよい。竹ファイバーを熱可塑性植物由来の樹脂に混練する場合は溶融混練がよい。
本発明の異なる態様の1つは、植物由来の樹脂中に竹由来の竹ファイバーが混合された竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物の製造方法である。熱可塑性植物由来の樹脂とパルプ又はパルプを細分化した竹ファイバーとを用いて製造する場合は、植物由来の樹脂と竹ファイバーとをセルロース混合可塑化成形装置とも称される、回転羽根を有する回転軸を備えた撹拌室からなるバッチ式密閉型混練装置を用いるのが望ましい。
PP植物由来の樹脂(ポリプロピレン)に竹ファイバーを混練した場合の曲げ弾性率の評価結果を示す。 ファイバーの種類による曲げ弾性率の比較結果を示す。 高圧水流により解繊した竹ファイバーの3D像を示す。 高圧水流により解繊した竹ファイバーの太さ及び長さの分布グラフを示す。
基材にポリエチレン植物由来の樹脂(PE)からなる熱可塑性植物由来の樹脂を用いて、竹ファイバーを混練し、強度試験を実施したので、以下説明する。
(実施例1)
ポリエチレン植物由来の樹脂(PE)単独のもの、竹ファイバー複合植物由来の樹脂として竹由来のパルプが10質量%になるように混練した複合植物由来の樹脂組成物、竹ファイバー複合植物由来の樹脂として200MPaの高圧水流による解繊処理を10パスしたものを含有量が質量10%になるように混練した複合植物由来の樹脂組成物及び上記解繊処理を20パスしたものを含有量が10質量%になるように混練した植物由来の樹脂組成物を試作し、評価に供した。なお、混練する際に界面活性剤を約1%添加した。 添加量は解繊の程度により異なるが、0.1〜5.0質量%程度がよい。
射出成形品からJIS K7139 タイプB1の試験片を切り出し、JIS K7171に基づいて曲げ試験を実施した。その結果を図1のグラフに示す。
図1のグラフで弾性率は曲げ弾性率を示し、PEはポリエチレン植物由来の樹脂単独のもの、パルプはPEにパルプを混練したもの、10パス、20パスはそれぞれ高圧水流による処理回数が10回、20回の竹ファイバーを混練したものを示す。
この結果、PE単独のものは曲げ弾性率が約1100MPaであるのに対して竹由来のパルプを混練したものは約1270MPaと強度が向上し、10パスの竹ファイバーを混練したものが最も高く、約1320MPaであった。
図3に、この10パスの竹ファイバーの3D像を示し、図4のグラフに、太さと長さの分布を示す。測定は走査型プローブ顕微鏡(島津製作所社製 SPM−9700)を用い、太さの計測は高さ(Z)の計測で行った。長さ平均は、0.28μm(標準偏差σ=0.158)、太さ平均は、9.70nm(標準偏差σ=4.43)であった。
これにより、PE単独に対して竹由来のパルプ又は細分化した竹ファイバーを混練することで強度が向上することが明らかになった。また、細分化処理を進めすぎると、強度が逆に低下する傾向が認められた。
(実施例2)
次に竹由来のファイバーと広葉樹及び針葉樹由来のファイバーとを比較したので説明する。広葉樹由来のパルプと針葉樹由来のパルプを実施例1の10回パスと同様の細分化処理し、同じく10回パスの竹ファイバーと同様の含有量(約10質量%)になるようにPEに混練した植物由来の樹脂組成物を用いて実施例1と同様の曲げ試験を実施した結果を図2のグラフに示す。
図2においてLBとは、広葉樹由来のファイバーを示し、NBとは針葉樹由来のファイバーを示す。この結果、竹由来のファイバーが最も高い値を示した。このことから、竹由来のファイバーを植物由来の樹脂に混練した植物由来の樹脂組成物(竹ファイバー複合植物由来の樹脂)を用いて植物由来の樹脂成形品を成形すると、植物由来の樹脂単独のものよりも強度が向上し、竹が天然繊維であることから石油由来資源の削減をも図ることができる。また、竹由来のファイバーを用いると広葉樹や針葉樹等の木質由来のファイバーよりも強化作用が大きい。
本実施例はPEの植物由来の樹脂を用いて評価したが、PP(ポリプロピレン)などの他の熱可塑性植物由来の樹脂や熱硬化植物由来の樹脂を用いても同様の効果が得られる。また、竹ファイバー複合植物由来の樹脂に、お茶の葉や種の植物、具体的には種の微粉末を混練し、それらが持つ特性を生かし、樹脂を染色したり、お茶のカテキンによる竹の繊維のカビ防止などの竹ファイバーの欠点の克服を図り、竹ファイバー複合植物由来の樹脂の用途をさらに広げることも可能である。

Claims (7)

  1. 植物由来の樹脂中に竹由来の竹ファイバーが植物由来の樹脂組成物に対して1〜70質量%混合されていることを特徴とする竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物。
  2. 請求項1において、前記竹ファイバーは竹由来のパルプである、竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2において、前記竹ファイバーは平均太さ5nm〜50nm、平均長さ0.1μm〜5.0μmの竹ファイバーである、竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物。
  4. 請求項3において、前記竹ファイバーはパルプを叩解処理した後に高圧水流にて解繊したものである、竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、お茶の葉または種の微粉末を含む、竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物。
  6. 植物由来の樹脂中に竹由来の竹ファイバーが混合された竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物の製造方法であって、前記植物由来の樹脂は熱可塑性植物由来の樹脂であり、
    前記植物由来の樹脂と前記竹ファイバーとを回転羽根を有する回転軸を備えた撹拌室からなるバッチ式密閉型混練装置で混練することを有する、竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項6において、前記混練することは、お茶の葉または種の微粉末を混練することを含む、竹ファイバー複合植物由来の樹脂組成物の製造方法。
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