JPH11138702A - 抗菌性積層体およびそれを用いた包装材 - Google Patents

抗菌性積層体およびそれを用いた包装材

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JPH11138702A
JPH11138702A JP9313194A JP31319497A JPH11138702A JP H11138702 A JPH11138702 A JP H11138702A JP 9313194 A JP9313194 A JP 9313194A JP 31319497 A JP31319497 A JP 31319497A JP H11138702 A JPH11138702 A JP H11138702A
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Japan
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antibacterial
layer
polyester
group
laminate
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JP9313194A
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English (en)
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Satoshi Hayakawa
聡 早川
Hideto Ohashi
英人 大橋
Juji Konagaya
重次 小長谷
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 抗菌性ポリエステル層(A)、ポリオレ
フィン層(B)および抗菌性樹脂層(C)の少なくとも
3層以上を含有してなる積層体であって、当該積層体の
一方の最外層が抗菌性ポリエステル層(A)、他方の最
外層が抗菌性樹脂層(C)であり、かつ当該抗菌性ポリ
エステル層(A)および当該抗菌性樹脂層(C)が、無
機系抗菌剤および有機系抗菌剤からなる群より選ばれる
少なくとも1種の抗菌剤および親水性物質とを含有する
ことを特徴とする抗菌性積層体。 【効果】 無機系抗菌剤、有機系抗菌剤等の抗菌剤量を
増やすことなく、優れた抗菌活性を有する積層体を提供
できる。従って、本発明の抗菌性積層体を用いてなる包
装材にて包装することにより、本来抗菌性を有さない物
品に高度な抗菌性を後付けの形で付与することができる
と共に、さらに高度な抗菌活性を有する様々な物品を提
供できることとなる。従って、滅菌ないし静菌を必要と
する分野においては、その効果を維持する等の付加価値
を与えた物品を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性積層体およ
びそれを用いた包装材に関する。より詳しくは、抗菌性
積層体が用いられる利用分野、すなわち工業用フィル
ム、包装用フィルムの全てにわたって適用でき、新たに
抗菌特性を付与することができるため、特に滅菌を要す
る食品、医療器具、医療施設、医薬品分野での被覆、包
装等において好適に使用できる抗菌性積層体に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】熱可塑性
樹脂、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレートは優れた物
理的、化学的特性を有し、繊維、プラスチック、フィル
ム、シート、接着剤等に使用されている。最近、これら
に無機系または有機系の抗菌剤を含有または塗布した抗
菌性を有する製品が考案されている。
【0003】現在、主に検討または使用されている抗菌
剤としては、キチン、キトサン、ワサビ抽出物、カラシ
抽出物、ヒノキチオール、茶抽出抗菌剤等の天然品;光
酸化触媒酸化チタン粒子、酸化亜鉛超微粒子、銀含有ゼ
オライト、銀含有リン酸ジルコニウム等の無機系化合物
や、有機アンモニウム塩系、有機ホスホニウム塩系等の
有機系化合物等の合成品が挙げられる。天然抗菌剤や銀
に代表される無機系抗菌剤は毒性の面で安全で最近注目
を浴び、以下の発明が既に開示されている。
【0004】例えば、特開平3−83905号公報には
銀イオン含有リン酸塩系の抗菌剤が、特開平3−161
409号公報には特定のイオン交換容量を有するゼオラ
イト中の一定容量を銀イオンで置換してなる抗菌剤がそ
れぞれ開示されている。
【0005】しかし、これらの抗菌剤を含有または塗布
したフィルム、シート、繊維等の黄色ブドウ球菌、大腸
菌等に対する抗菌性とこれら成形体の透明性において
は、透明性を維持しようと添加量を比較的少なくすると
抗菌活性は不十分で、抗菌活性を改善しようと添加量を
多くすると透明性を犠牲にしなければならず、実用的に
改良の余地があった。
【0006】これに対し、有機系抗菌剤は、かび類等に
対する抗菌活性は天然抗菌剤や無機系抗菌剤よりも一般
に優れている。しかし、フィルム等の基体にそれらの抗
菌剤を含有または表面塗布する場合、低分子量の抗菌剤
を単独で使用すると、フィルム等の基体表面から揮発、
脱離、分離しやすく、抗菌活性の長期安定性の点、人体
への安全性の点で好ましくない。このように、有機系抗
菌剤をフィルム等に使用する場合には、抗菌剤が水や有
機溶媒等に溶解せず、フィルム表面から遊離、脱離、剥
離、脱落し難いことが、抗菌性能の長期安定性および人
体への安全性の面から好ましい。
【0007】このような状況の中、最近では、フィル
ム、繊維等の原料となるポリマー素材に有機系抗菌剤を
イオン結合または共有結合した固定化抗菌剤が開発され
ている。例えば、特開昭54−86584号公報には、
ポリマーのカルボキシル基やスルホン酸基等の酸性基と
抗菌成分の4級アンモニウム塩基とがイオン結合した高
分子物質を主体とした抗菌性材料が記載されている。ま
た、特開昭61−245378号公報には、アミジン基
等の塩基性基や4級アンモニウム塩基を有する抗菌剤成
分を共重合成分としたポリエステル共重合体からなる繊
維が記載されている。
【0008】しかし、これらの抗菌性材料を含有または
塗布した繊維、織物、フィルム、シート等について黄色
ブドウ球菌、大腸菌等に対する抗菌性を評価したが、い
ずれも抗菌活性は不十分で、実用性に不十分であった。
【0009】一方、ホスホニウム塩化合物は、細菌類に
対して広い活性スペクトルを持った生物学的活性化学物
質であることが開示され、この化合物を高分子物質に固
定化し用途の拡大を試みた発明が開示されている(特開
昭57−204286号公報、63−60903号公
報、62−114903号公報、特開平1−93596
号公報、2−240090号公報)。
【0010】また、特開平4−266912号公報に
は、ホスホニウム塩系ビニル重合体の抗菌剤について、
特表平4−814365号公報には、ビニルベンジルホ
スホニウム塩系ビニル重合体の抗菌剤について開示され
ている。さらに、特開平5−310820号公報には、
ポリマーの酸性基と抗菌成分のホスホニウム塩基とがイ
オン結合した高分子物質を主体とした抗菌性材料が記載
されている。その実施例中で、スルホイソフタル酸のホ
スホニウム塩を用いたポリエステルが開示されている。
【0011】しかし、特開平4−266912号公報、
特表平4−814365号公報、特開平5−31082
0号公報を鋭意検討し、その実施例に従いホスホニウム
塩基含有ビニル重合体および共重合ポリエステルを合成
し、繊維、フィルム、シート等を形成したり、またそれ
の抗菌ポリマーを繊維、フィルム、シート面上に塗布す
ることにより積層体を形成し、その抗菌性を評価した
が、抗菌活性は不十分であった。さらには、抗菌性を向
上させようとトリn−ブチルドデシルホスホニウム塩基
を50モル%以上結合させたポリエステルを合成し、そ
れからフィルム、シート等を作成したが、ポリマーの着
色およびガラス転移点の低下による力学物性の低下のみ
ならず抗菌性が不十分であった。
【0012】また、特開平6−41408号公報には、
写真用支持体、包装用、一般工業用、磁気テープ用等に
スルホン酸ホスホニウム塩の共重合ポリエステルとポリ
アルキレングリコールとからなる改質ポリエステルおよ
びフィルムが開示されている。ここでのホスホニウム塩
に結合したアルキル基は、前記特開平5−310820
号公報とは異なり、ブチル基やフェニル基、ベンジル基
と比較的炭素数の短いタイプであり、このようなフィル
ムは抗菌作用が不十分である。
【0013】さらに、前述の無機系抗菌剤および有機系
抗菌剤を単独だけでなく2種以上を混合使用して、繊
維、織物、フィルム、シート等を成形し、その黄色ブド
ウ球菌、大腸菌等に対する抗菌性を評価したが、いずれ
も抗菌活性は不十分で、実用性に不十分であった。
【0014】本発明の目的は、上記の従来の問題点を解
決したうえで、無機系抗菌剤および/または有機系抗菌
剤量を増やすことなく、優れた抗菌活性を有する積層体
を提供することにある。また、当該積層体を用いた包装
材であって、これらで被覆、包装することにより被覆物
または被包装物に容易に抗菌性を付与でき得るような包
装材を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、無機系抗菌剤およ
び有機系抗菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1種
の抗菌剤と親水性物質とを共に含有する抗菌層を有する
ことにより、得られる積層体の抗菌活性が非常に高くな
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明は以下の通りである。 (1) 抗菌性ポリエステル層(A)、ポリオレフィン層
(B)および抗菌性樹脂層(C)の少なくとも3層以上
を含有してなる積層体であって、当該積層体の一方の最
外層が抗菌性ポリエステル層(A)、他方の最外層が抗
菌性樹脂層(C)であり、かつ当該抗菌性ポリエステル
層(A)および当該抗菌性樹脂層(C)が、無機系抗菌
剤および有機系抗菌剤からなる群より選ばれる少なくと
も1種の抗菌剤および親水性物質とを含有することを特
徴とする抗菌性積層体。 (2) 抗菌性ポリエステル層(A)とポリオレフィン層
(B)の間に、さらに熱可塑性樹脂層(D)が積層され
てなる上記(1) に記載の抗菌性積層体。 (3) 有機系抗菌剤が高分子抗菌剤であり、かつ親水性物
質が該高分子抗菌剤の重合成分の1つとして抗菌性ポリ
エステル層(A)または抗菌性樹脂層(C)に含有され
る上記(1) または(2) に記載の抗菌性積層体。 (4) 有機系抗菌剤が、アンモニウム塩基、ホスホニウム
塩基およびスルホニウム塩基からなる群より選ばれる少
なくとも1つの基を主鎖または側鎖に有する高分子抗菌
剤である上記(1) 〜(3) のいずれかに記載の抗菌性積層
体。 (5) 無機系抗菌剤が、銀、亜鉛および銅からなる群より
選ばれる少なくとも一種の金属微粒子および/または当
該金属イオンを担持させた無機微粒子である上記(1) ま
たは(2) に記載の抗菌性積層体。 (6) 無機系抗菌剤が、酸化チタンおよび/または酸化亜
鉛を含む上記(1) または(2) に記載の抗菌性積層体。 (7) 親水性物質が、水酸基、アミノ基、アミド基、カル
ボキシル基またはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基ま
たはそのアルカリ金属塩、第4級アンモニウム塩基、ア
ミン塩基、ポリエーテル鎖およびポリアミン鎖からなる
群より選ばれる少なくとも一種を有する化合物である上
記(1) 〜(6) のいずれかに記載の抗菌性積層体。 (8) 上記(1) 〜(7) のいずれかに記載の抗菌性積層体を
用いてなることを特徴とする包装材。 (9) 袋状である上記(8) に記載の包装材。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の抗菌性積層体は、(1) 抗菌性ポリエステル層
(A)、ポリオレフィン層(B)および抗菌性樹脂層
(C)の少なくとも3層以上を含有してなる。
【0018】抗菌性ポリエステル層(A) 以下、抗菌性ポリエステル層(A)について説明する。
抗菌性ポリエステル層(A)は、無機系抗菌剤および有
機系抗菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の抗
菌剤および親水性物質とを含有するポリエステル層であ
る。当該抗菌性ポリエステル層(A)は、本発明の積層
体の一方の最外層を構成するものである。
【0019】抗菌性ポリエステル層(A)に使用される
ポリエステル樹脂について、重合に使用される酸成分と
してテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサン−
1,4−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼ
ライン酸、ダイマー酸等が挙げられ、重合に使用される
ジオール成分としてはエチレングリコール、1,3−プ
ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールAまたはビスフェノールSのエチレ
ンオキサイド付加物等が挙げられる。当該樹脂をコーテ
ィングにより使用する場合には、基材との接着性を上げ
るために適当量のペンダントカルボキシル基、ペンダン
トスルホン酸基、ペンダントスルホン酸ナトリウム基を
形成できる重合成分を使用してもよい。
【0020】ここで、抗菌性ポリエステル層(A)にポ
リエステル樹脂を存在させる方法としては、抗菌剤およ
び親水性物質以外の層を構成する成分としてポリエステ
ル樹脂を混合する方法、抗菌剤とポリエステル樹脂を兼
用する(即ち、抗菌剤として後述するポリエステル系高
分子抗菌剤を使用する)方法、親水性物質とポリエステ
ル樹脂を兼用する(即ち、親水性物質として親水性ポリ
エステルを使用する)方法、および親水性物質を重合成
分としたポリエステル樹脂を使用する方法が挙げられ
る。親水性物質を重合成分としたポリエステル樹脂は、
上記のポリエステル樹脂のジカルボン酸成分および/ま
たはグリコール成分の少なくとも一部として、親水性物
質を用いることにより得られる。
【0021】抗菌性ポリエステル層(A)には、無機系
抗菌剤および有機系抗菌剤からなる群より選ばれる少な
くとも1種の抗菌剤が含有される。
【0022】当該無機系抗菌剤とは、金属または金属イ
オンを含み、黄色ブドウ球菌や大腸菌等の細菌に対する
抗菌活性を示す無機化合物の総称で、その形態は気体、
液体、固体を問わない。当該金属としては、例えば銀、
亜鉛、銅、チタン、モリブデン等が挙げられる。無機系
抗菌剤として具体的には、銀、亜鉛、銅等の金属微粒子
または金属イオンを、シリカ等の金属酸化物、ゼオライ
ト、合成ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カル
シウム、リン酸亜鉛カルシウム、セラミック、溶解性ガ
ラス粉、アルミナシリコン、チタンゼオライト、アパタ
イト、炭酸カルシウム等の無機質に担持させた微粒子;
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化モリブデン等の光酸化触媒
能を有する金属酸化物のゾル−ゲル体薄膜またはそれら
の微粒子;当該ゾル−ゲル体薄膜や微粒子を、無機ある
いは有機化合物試薬で表面処理したもの、ゾル−ゲル法
等により無機化合物粒子の表面を他の無機酸化物、複合
酸化物等により積層、被覆、包接・包埋した複合粒子が
挙げられる。また金属ゾル−ゲル体形成時にその原料と
なる金属アルコラート体中に上記の無機系抗菌剤を添加
させ複合系として利用することも可能である。さらに光
触媒能を有するものを用い、任意の工程で近紫外光を当
てることにより、更に強力な抗菌性を発揮することがで
きる。
【0023】このような無機系の抗菌剤の具体例とし
て、ノバロン(東亞合成(株)製)、バクテキラー(カ
ネボウ化成(株)製)、抗菌性真球状セラミックス微粒
子S1、S2、S5((株)アドマテックス製)、ホロ
ンキラー((株)日鉱製)、ゼオミック(品川燃料
(株)製)、アメニトップ(松下電器産業(株)製)、
イオンピュア(石塚硝子(株)製)等の銀系抗菌剤、Z
−Nouve(三井金属鉱業(株)製)等の亜鉛系抗菌
剤、P−25(日本アエロジル(株)製)、ST−13
5(石原産業(株)製)等の二酸化チタン微粒子および
ゾル−ゲル体等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。また、複合粒子の例として、二酸化チタン
をシリカで被覆した微粒子、GYT(五洋紙工(株)
製)等が挙げられるが、これに限定されるものではな
い。
【0024】上述の無機系抗菌剤は、抗菌性ポリエステ
ル層(A)中、好ましくは0.1〜20重量%、より好
ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.3
〜5重量%含有される。この含有量が0.1重量%未満
の場合、当該層の抗菌活性が不充分となるおそれがあ
り、逆に20重量%を超える場合、当該層の機械的性質
および耐熱性、耐候性が低下するおそれがある。
【0025】本発明に用いられる有機系抗菌剤とは、抗
菌性能を有する、天然抽出物、低分子有機化合物、高分
子化合物の総称で、窒素、硫黄、リン等の元素を含むの
が一般的である。
【0026】天然の有機系抗菌剤としては、例えばキチ
ン、キトサン、ワサビ抽出物、カラシ抽出物、ヒノキチ
オール、茶抽出物等が挙げられる。
【0027】低分子の有機系抗菌剤としては、例えばイ
ソチオシアン酸アリル、ポリオキシアルキレントリアル
キルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ヘキサメチ
レンビグアニド塩酸塩、有機シリコン第4級アンモニウ
ム塩等の第4級アンモニウム塩、フェニルアミド系化合
物、ビグアニド系化合物、スルホイソフタル酸テトラア
ルキルホスホニウム塩またはそのジエステル他が挙げら
れる。
【0028】上述の天然または低分子の有機抗菌剤は、
抗菌性ポリエステル層(A)中、好ましくは0.1〜1
0重量%、より好ましくは0.3〜5重量%含有され
る。この含有量が0.1重量%未満の場合、当該層の抗
菌活性が不充分となるおそれがあり、逆に10重量%を
超える場合、当該層の機械的性質および耐熱性、耐候性
が低下するおそれがある。
【0029】高分子の有機系抗菌剤(以下、高分子抗菌
剤ともいう)としては、例えばアンモニウム塩基、ホス
ホニウム塩基、スルホニウム塩基等のオニウム塩、フェ
ニルアミド基、ビグアニド基等の抗菌活性基を主鎖また
は側鎖に有する高分子化合物が挙げられる。中でも、親
水性物質による抗菌性の向上の観点から、アンモニウム
塩基、ホスホニウム塩基、スルホニウム塩基を有する高
分子抗菌剤が好ましく、特にホスホニウム塩基を有する
高分子抗菌剤が好ましい。以下にその例を示すが、これ
らに限定されるものではない。 A)下記一般式で示されるホスホニウム塩系ビニル重合体
【0030】
【化1】
【0031】(式中、R1 、R2 およびR3 は同一また
は異なって、炭素原子数1〜18個の直鎖または分岐状
アルキル基、アリール基またはアラルキル基、あるいは
ヒドロキシル基またはアルコキシル基で置換されたアル
キル基、アリール基またはアラルキル基を示し、X-
アニオンを示し、nは2以上の整数を示す)
【0032】上記R1 、R2 、R3 の具体例としては、
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ドデシル等が挙げられる。アリール基としては、例
えば、フェニル、トリル、キシリル等が挙げられる。ア
ラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル等
が挙げられる。ヒドロキシル基で置換されたアルキル基
としては、例えば、2−ヒドロキシエチルが挙げられ、
ヒドロキシル基で置換されたアリール基としては、例え
ば、p−ヒドロキシフェニルが挙げられ、ヒドロキシル
基で置換されたアラルキル基としては、例えば、p−ヒ
ドロキシベンジルが挙げられ、アルコキシル基で置換さ
れたアルキル基としては、例えば、2−ブトキシエチル
が挙げられ、アルコキシル基で置換されたアリール基と
しては、例えば、p−ブトキシフェニルが挙げられ、ア
ルコキシル基で置換されたアラルキル基としては、例え
ば、p−ブトキシベンジルが挙げられる。中でも、アル
キル基、アリール基が好ましい。
【0033】上記X- はアニオンであり、例えば、フッ
素、塩素、臭素またはヨウ素等のハロゲンイオン、硫酸
イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン等が挙げられ、
中でもハロゲンイオンが好ましい。nの上限は特に限定
しないが、好ましくは2〜500、より好ましくは10
〜300である。
【0034】b)ホスホニウム塩基を有する共重合ポリエ
ステル 抗菌成分であるスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン
酸のホスホニウム塩を、ジカルボン酸成分として含有し
てなる共重合ポリエステルである。
【0035】スルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸
のホスホニウム塩としては、例えば、スルホイソフタル
酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホイソ
フタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシル
ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチル
テトラデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ
−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、スルホテレフタ
ル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホテ
レフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム
塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシル
ホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチル
テトラデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ
−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフ
タレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシル
ホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカ
ルボン酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム
塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ
−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、4−スルホ
ナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテ
トラデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホ
ニウム塩等が挙げられる。中でも、抗菌活性がより優れ
ている点で、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n
−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホイソフタ
ル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩が特に好
ましい。
【0036】これらのスルホン酸基を有する芳香族ジカ
ルボン酸のホスホニウム塩の重合量は、共重合ポリエス
テルを構成する全ジカルボン酸成分中、好ましくは1〜
50mol%である。この重合量が1mol%未満の場
合、得られる共重合ポリエステルの抗菌活性が低下し易
い傾向があり、逆に50mol%を超えると、得られる
共重合ポリエステルのガラス転移点が低下して、耐熱性
および強度が不充分となる傾向がある。
【0037】上記のスルホン酸基を有する芳香族ジカル
ボン酸ホスホニウム塩は、スルホン酸基を有する芳香族
ジカルボン酸またはそのナトリウム塩、カリウム塩、ア
ンモニウム塩等に、トリ−n−ブチルヘキサデシルホス
ホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルテトラデシルホ
スホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルドデシルホス
ホニウムブロマイド等のホスホニウム塩を反応させるこ
とにより得られる。このときの反応溶媒は特に限定しな
いが、水が最も好ましい。
【0038】他のジカルボン酸成分としては、芳香族ジ
カルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン
酸、複素環式ジカルボン酸等が挙げられる。具体的に
は、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4−ジカルボキシフェニル、4,4−ジカルボ
キシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)
エタンおよびそれらの誘導体等が挙げられ、脂環式ジカ
ルボン酸としては、シクロヘキサン−1,4−ジカルボ
ン酸およびその誘導体等が挙げられ、脂肪族ジカルボン
酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン
酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそれらの誘導体等が挙
げられ、複素環式ジカルボン酸としては、ピリジンジカ
ルボン酸およびその誘導体等が挙げられる。このような
ジカルボン酸成分以外にp−オキシ安息香酸等のオキシ
カルボン酸類、トリメリット酸、ピロメリット酸および
その誘導体等の多官能酸を使用することも可能である。
【0039】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレン
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビ
スフェノールAのエチレンオキサイド付加物等が挙げら
れる。このほか少量のアミド結合、ウレタン結合、エー
テル結合、カーボネート結合等を含有する化合物を含ん
でいてもよい。
【0040】上記の共重合ポリエステルの製造法は特に
限定しないが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接
反応させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直
接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコ
ールとをエステル交換反応させたのち重縮合する、いわ
ゆるエステル交換法等があげられ、任意の製造法を適用
することができる。また、重合時に酸化アンチモン、酸
化ゲルマニウム、チタン化合物等の重合触媒を用いても
よい。
【0041】上記の共重合ポリエステルの製造は上記の
方法に限定されるものではなく、他の合成方法として
は、スルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸をジカル
ボン酸成分としてポリエステルを製造した後、これに、
トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウムブロマイ
ド、トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウムブロマ
イド、トリ−n−ブチルドデシルホスホニウムブロマイ
ド等のホスホニウム化合物を反応させる方法も挙げられ
る。
【0042】上記共重合ポリエステルの極限粘度は、好
ましくは0.5〜1.0、より好ましくは0.6〜0.
8である。極限粘度が0.5以下では抗菌性ポリエステ
ル層(A)の力学的強度が不十分になり易い傾向があ
る。
【0043】本発明において極限粘度は、ウベローデ粘
度管を用い、フェノール/テトラクロロエタン=6/4
の混合溶媒を使用し、30℃で測定される。また、この
極限粘度は重合条件により調整することができる。
【0044】上記共重合ポリエステルは、抗菌性ポリエ
ステル層(A)に含有される前記のポリエステル樹脂を
兼ねることもある。この場合、後述する親水性物質は当
該共重合ポリエステルに混合されるか、あるいは当該共
重合ポリエステルの重合成分の1つとして含まれる。
【0045】上記の共重合ポリエステルには、着色防
止、ゲル発生防止等の耐熱性の改善の目的で、酢酸マグ
ネシウム、塩化マグネシウム等のMg塩、酢酸カルシウ
ム、塩化カルシウム等のCa塩、酢酸マンガン、塩化マ
ンガン等のMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等のZn塩、塩
化コバルト、酢酸コバルト等のCo塩を各々金属イオン
として300ppm以下、リン酸またはリン酸トリメチ
ルエステル、リン酸トリエチルエステル等のリン酸エス
テル誘導体をPとして200ppm以下添加することも
可能である。上記の範囲を超えて添加すると、かえって
共重合ポリエステルの着色が顕著になるのみならず、共
重合ポリエステルの耐熱性および耐加水分解性も著しく
低下する。
【0046】従って、着色防止、耐熱性、耐加水分解性
等の低下を防止する点で、以下の式で表される総P量と
総金属イオン量(Mg、Ca、Mn、ZnおよびCo)
とのモル比が0.4〜1.0となるように添加すること
が好ましい。 添加物のモル比=総P量(モル原子)/総金属イオン量
(モル原子) 上記のモル比が上記範囲外の場合には、共重合ポリエス
テルの着色が顕著になり、またその耐熱性および耐加水
分解性も著しく低下し、さらに粗大粒子発生が顕著とな
り易い傾向がある。
【0047】上記金属イオンおよびリン酸の添加時期は
特に限定しないが、一般的には金属イオン類は原料仕込
み時、すなわちエステル交換前またはエステル化前に、
リン酸類の添加は重縮合反応前に添加するのが好まし
い。
【0048】上述の高分子抗菌剤は、抗菌性ポリエステ
ル層(A)中、好ましくは1〜100重量%、より好ま
しくは10〜100重量%含有される。この含有量が1
重量%未満の場合、当該層の抗菌活性が不充分となるお
それがある。この高分子抗菌剤の含有量の範囲は、後述
するような親水性物質が高分子抗菌剤の重合成分として
含有されている場合や、高分子抗菌剤が上述の共重合ポ
リエステルであって、これが抗菌性ポリエステル層
(A)に含有される前記のポリエステル樹脂を兼ねてい
る場合も含まれている。
【0049】抗菌性ポリエステル層(A)には上記抗菌
剤以外に親水性物質が含有される。本発明で使用される
親水性物質とは、当該物質をポリエチレンテレフタレー
トに混合あるいは1重合成分として共重合した場合に、
もとのポリエチレンテレフタレートよりも親水性が高く
なるような物質をいい、実質的には、このような範囲の
親水性物質の中で、当該物質を含有させることにより、
含有しない場合よりも抗菌性ポリエステル層(A)の親
水性が高められるような物質を、適宜選択して使用す
る。
【0050】具体的には、例えば水酸基、アミノ基、ア
ミド基、カルボキシル基またはそのアルカリ金属塩、ス
ルホン酸基またはそのアルカリ金属塩、第4級アンモニ
ウム塩基、アミン塩基の少なくとも1種の基を有する化
合物、あるいはポリエーテル鎖、ポリアミン鎖の少なく
とも1種を有する化合物であり、前述の抗菌剤に用いら
れるものを除く。ここで、ポリエーテル鎖とはエーテル
結合を主鎖に2個以上を含む鎖をいい、例えば、ポリオ
キシメチレン鎖、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプ
ロピレン鎖が代表的に挙げられる。ポリアミン鎖とは、
主鎖の中に塩基性の2個以上の窒素原子を含む鎖であ
り、代表的なものにポリエチレンイミン鎖、ポリアルキ
レンポリアミン鎖(例えば、ポリエチレンポリアミン
鎖)がある。
【0051】具体的には、例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアミ
ノメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルア
ミノエチルアクリレート)、ポリ(N,N−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート)、ポリビニルアミン、ポリ
ビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイ
ミダゾール、アクリル酸のホモポリマーまたは共重合
体、メタクリル酸のホモポリマーまたは共重合体、無水
マレイン酸のホモポリマーまたは共重合体(例えば、無
水マレイン酸・スチレン共重合体)、ビニルスルホン酸
のホモポリマーまたはその共重合体またはそれらのアル
カリ金属塩、スチレンスルホン酸のホモポリマーまたは
その共重合体またはそれらのアルカリ金属塩、ポリスチ
レンの第4級アンモニウム塩誘導体、ポリビニルイミダ
ゾリン塩、ポリアリルアミン塩、あるいはポリアルキレ
ングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(別名
ポリエチレンオキサイド)、ポリプロピレングリコー
ル、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等)、グリセリン、ポリグリセリン
等のポリオールまたはその重合体、さらには、ジカルボ
ン酸成分としてスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩ま
たはアンモニウム塩を全ジカルボン酸成分中1〜10m
ol%共重合したポリエステル等が挙げられる。また、
上記のポリアルキレングリコール、ポリグリセリンの末
端がアルコール、アルキルフェノール、脂肪酸、アミン
類等で封鎖されたポリエーテル誘導体でもよく、例え
ば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリ
エチレングリコールジメチルエーテル、ポリグリセリン
アルキレンオキサイド付加物、その脂肪酸エステルまた
は脂肪族アルコールエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステル、ポリグリセリン脂肪族アルコールエーテル、ポ
リグリセリングリシジルエーテル、その反応物等の誘導
体が挙げられる。
【0052】上記の親水性物質の中でも、ポリエチレン
グリコール等のポリアルキレングリコール、ポリグリセ
リンおよびそれらの誘導体が、抗菌性の向上の点や、抗
菌性ポリエステル層(A)に配合されるポリエステル樹
脂への相溶性の点で好ましい。
【0053】該親水性物質の分子量は特に限定しない
が、例えばポリエチレングリコールの場合は、数平均分
子量で200〜30000が好ましく、より好ましくは
1000〜25000の範囲である。また、ポリグリセ
リンの場合は、数平均分子量で100〜2000が好ま
しく、より好ましくは200〜1000の範囲であり、
ポリビニルアルコールの場合は、数平均分子量で300
〜3000が好ましく、より好ましくは500〜200
0の範囲である。
【0054】上記親水性物質は、混合および/または共
重合により抗菌性ポリエステル層(A)中に含有され
る。混合の場合、親水性物質は、例えば他の層構成成
分との混合によって層中に含有される。共重合の場
合、親水性物質は、a)前記高分子抗菌剤の重合成分の1
つとして、b)抗菌性ポリエステル層(A)に含有される
前記ポリエステル樹脂の重合成分の1つとして、さらに
c)前記高分子抗菌剤が前述の共重合ポリエステルであっ
て、これが抗菌性ポリエステル層(A)に含有される前
記ポリエステル樹脂を兼ねている場合に当該共重合ポリ
エステルの重合成分の1つとして、それぞれ抗菌性ポリ
エステル層(A)に含有される。また、該親水性物質
は、抗菌剤とイオン結合等の結合がなされていてもよ
い。
【0055】の方法において、当該親水性物質の含有
量は特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリ
コールを混合により含有させる場合、抗菌性ポリエステ
ル層(A)を構成する組成物全体に対して0.1〜20
重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜10
重量%、さらに好ましくは1〜5重量%の範囲である。
0.1重量%未満の場合、親水性が不十分となって抗菌
活性増大効果が不十分となるおそれがあり、一方20重
量%を超えると、抗菌性ポリエステル層(A)の機械的
特性および耐熱性・耐候性が低下するおそれがある。
【0056】この親水性物質を混合により抗菌性ポリエ
ステル層(A)中に含有させる方法は、無機系および/
または有機系抗菌剤と親水性物質を押し出し機等を用い
て加熱溶融混合する方法、無機系および/または有機系
抗菌剤と親水性物質を適当な溶媒中、例えば水、水/ア
ルコール混合溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等の
有機溶媒等に混合溶解または分散した後、該溶媒を乾固
する方法等があるが何れであってもよい。
【0057】の方法において、a)前記高分子抗菌剤の
重合成分の1つとする場合、当該高分子抗菌剤として
は、上述したような、アンモニウム塩基、ホスホニウム
塩基、スルホニウム塩基等のオニウム塩、フェニルアミ
ド基、ビグアニド基等の抗菌活性基を主鎖または側鎖に
結合した高分子化合物(ポリエステル、ポリアミド、ポ
リオレフィン等)であり、親水性物質による抗菌性の向
上の観点から、アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基、
スルホニウム塩基を有する高分子抗菌剤が好ましく、特
にホスホニウム塩基を有する高分子抗菌剤が最も好まし
い。具体的には、ホスホニウム塩系ビニル重合体や、ス
ルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸のホスホニウム
塩をジカルボン酸成分とした共重合ポリエステルが挙げ
られる。
【0058】親水性物質は、これらの重合体の重合成分
の一部に使用される。例えば、高分子抗菌剤が共重合ポ
リエステルの場合は、グリコール成分、ジカルボン酸成
分のうちの少なくとも一方の少なくとも一部に、当該親
水性物質が使用される。この場合、親水性物質として
は、当該物質を共重合ポリエステルの重合成分として含
有させることにより、含有しない場合よりも抗菌性ポリ
エステル層(A)の親水性が高められるような物質が選
択される。
【0059】この場合の親水性物質の具体例としては、
例えば、ポリアルキレングリコール、グリセリン、ポリ
グリセリン等のポリオール、スルホイソフタル酸または
そのアルカリ塩またはアンモニウム塩、ビニルピロリド
ン、アクリル酸またはそのアルカリ塩またはアンモニウ
ム塩、スチレンスルホン酸またはそのアルカリ塩または
アンモニウム塩等のような共重合可能な親水性物質が挙
げられる。
【0060】このような、親水性物質を高分子抗菌剤の
重合成分とした抗菌剤は、親水性物質の系外へのブリー
ドアウト防止、即ち高抗菌活性を長期に維持できるので
特に好ましい。
【0061】上記の場合の親水性物質の含有量は種類に
より異なるが、例えばポリアルキレングリコールの場
合、高分子抗菌剤中、好ましくは0.1〜20重量%、
より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは
1〜5重量%の範囲である。0.1重量%未満の場合、
親水性が不十分となって抗菌活性増大効果が不十分とな
るおそれがあり、一方20重量%を超えると、抗菌性ポ
リエステル層(A)の機械的特性および耐熱性・耐候性
が低下するおそれがある。
【0062】この親水性物質の配合は、高分子抗菌剤の
製造時、重合反応前、重合反応の途中もしくは終了後の
いずれであってもよい。
【0063】また、の方法において、親水性物質は、
b)前述の、抗菌性ポリエステル層(A)に含有されるポ
リエステル樹脂の1重合成分としてもよい。この場合に
おいても、親水性物質として、当該物質をポリエステル
樹脂の重合成分として含有させることにより、含有しな
い場合よりも抗菌性ポリエステル層(A)の親水性が高
められるような物質が選択される。
【0064】この場合の親水性物質の具体例としては、
例えば、a)の場合と同様のものが挙げられるが、ポリア
ルキレングリコール、ポリグリセリン、グリセリン、5
−スルホイソフタル酸ナトリウムが特に好ましい。
【0065】上記の場合の親水性物質の含有量は種類に
より異なるが、例えばポリアルキレングリコールの場
合、ポリエステル樹脂のグリコール成分中、好ましくは
0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量
%、特に好ましくは1〜5重量%の範囲である。0.1
重量%未満の場合、親水性が不十分となって抗菌活性増
大効果が不十分となるおそれがあり、逆に20重量%を
超えると、抗菌性ポリエステル層(A)の機械的特性お
よび耐熱性・耐候性が低下するおそれがある。
【0066】この親水性物質の配合は、ポリエステル樹
脂の製造時、重合反応前、重合反応の途中もしくは終了
後のいずれであってもよい。
【0067】さらに、の方法において、親水性物質
は、c)前記高分子抗菌剤が前述の共重合ポリエステルで
あって、これが前述の抗菌性ポリエステル層(A)に含
有される前記ポリエステル樹脂を兼ねている場合に、当
該共重合ポリエステルの重合成分の1つとしてもよい。
この場合においても、親水性物質としては、当該物質を
ポリエステル樹脂の重合成分として含有させることによ
り、含有しない場合よりも抗菌性ポリエステル層(A)
の親水性が高められるような物質が選択される。この場
合の親水性物質の具体例としては、例えば、a)の場合と
同様のものが挙げられる。
【0068】上記の場合の親水性物質の含有量は種類に
より異なるが、例えばポリアルキレングリコールの場
合、ポリエステル樹脂のグリコール成分中、好ましくは
0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量
%、特に好ましくは1〜5重量%の範囲である。0.1
重量%未満の場合、親水性が不十分となって抗菌活性増
大効果が不十分となるおそれがあり、逆に20重量%を
超えると、抗菌性ポリエステル層(A)の機械的特性お
よび耐熱性・耐候性が低下するおそれがある。
【0069】この親水性物質の配合は、b)の場合と同様
にポリエステル樹脂の製造時、重合反応前、重合反応の
途中もしくは終了後のいずれであってもよい。
【0070】また、抗菌性ポリエステル層(A)は、滑
り性、耐磨耗性、耐ブロッキング性、隠蔽性等の物理的
特性の向上を目的として、炭酸カルシウム(CaC
3 )、リン酸カルシウム、アパタイト、硫酸バリウム
(BaSO4 )、フッ化カルシウム(CaF2 )、タル
ク、カオリン、酸化珪素(SiO2 )、アルミナ(Al
23 )、二酸化チタン、酸化ジルコニウム(Zr
2 )、酸化鉄(Fe2 3 )、アルミナ/シリカ複合
酸化物等の無機粒子;ポリスチレン、ポリメタクリル酸
エステル、ポリアクリル酸エステル、それらの共重合
体、あるいはそれらの架橋体等の有機粒子等を含有して
もよい。
【0071】炭酸カルシウムとしては、その結晶構造に
より三方または六方晶系に分類されるカルサイト、斜方
晶系に分類されるアラゴナイト、六方または擬六方晶系
に分類されるバテライトの3つの結晶型に分類されるが
いかなる結晶型でもよく、その形状も、連球状、立方体
状、紡錘状、柱状、針状、球形、卵形等任意に選択でき
る。カオリンとしては、天然カオリン、合成カオリン、
焼性、未焼性を問わずいかなるタイプでもよく、またそ
の形状も、板状、柱状、球形、紡錘状、卵形等任意に選
択できる。アルミナとしては、ジブサイト、バイヤライ
ト、ノルトストランダイト、ベーマイト、ダイアスボ
ア、トーダイト等の結晶性アルミナ水和物;無定型ゲ
ル、ベーマイトゲル、バイヤライトゲル等の非晶性アル
ミナ水和物;およびρ,η,γ,χ,κ,δ,θ型等の
中間活性アルミナまたはα型アルミナが挙げられる。
【0072】上記粒子の平均粒径は目的に応じて適宜選
択されるので、特に限定しないが、平均一次粒子径が好
ましくは0.01〜5μmであり、その添加量は好まし
くは抗菌性ポリエステル層(A)中5重量%以下であ
る。粒子の添加量が5重量%を超えると、組成物中での
上記粒子の粗大粒子が顕著になり、抗菌性ポリエステル
層(A)表面に粗大突起が目立ち、粒子の脱落が起こり
やすくなり、当該抗菌性積層体の品質の低下を招くおそ
れがある。
【0073】上記粒子の配合方法は特に限定しないが、
有機系抗菌剤を所定の溶媒に分散あるいは溶解させ、そ
の系に上記粒子を分散させる方法、また高分子抗菌剤の
合成重合反応系中に該粒子を添加し分散させる方法と、
特に高分子抗菌剤が熱可塑性ポリマーの場合にはそのポ
リマー中に該粒子を添加し溶融混練する方法、親水性物
質がポリマーである場合には、その重合反応中に添加す
る方法等もある。
【0074】高分子抗菌剤が共重合ポリエステルの場合
には、粒子は、通常、エチレングリコール等のグリコー
ル成分に加えて、スラリーとしてポリエステルの重合反
応系中ヘ添加される。その添加時期は、使用する微粒子
の種類、粒子径、塩素イオン濃度、さらにスラリー濃
度、スラリーの温度等に依存するが、通常、ポリエステ
ル重合反応開始前またはオリゴマー生成段階が好まし
い。スラリーの反応系への添加時、スラリーをエチレン
グリコールの沸点まで加熱することが、粒子の分散性向
上の点で好ましい。また予め微粒子を添加した所定の熱
可塑性樹脂を無機系および/または有機系抗菌剤と混合
することも可能である。
【0075】ポリオレフィン層(B) ポリオレフィン層(B)は、本発明の積層体の中間層を
構成するものである。ポリオレフィン層(B)に使用さ
れるポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブテン等が挙げられ、当該ポリオレフィン層(B)
は、フィルム、シート等の形態で使用される。
【0076】抗菌性樹脂層(C) 抗菌性樹脂層(C)は、無機系抗菌剤および有機系抗菌
剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の抗菌剤およ
び親水性物質とを含有する樹脂層である。当該抗菌性樹
脂層(C)は、抗菌性ポリエステル層(A)とともに、
本発明の積層体のもう一方の最外層を構成するものであ
る。
【0077】抗菌性樹脂層(C)に使用される樹脂とし
ては、熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、具体
的には、ポリエチレン等のポリオレフィンやポリエステ
ル等が挙げられる。当該樹脂がポリエステルの場合は、
抗菌性ポリエステル層(A)と同様の酸成分、グリコー
ル成分が重合成分として使用される。
【0078】ここで、抗菌性樹脂層(C)に樹脂を存在
させる方法としては、抗菌剤および親水性物質以外の層
を構成する成分として樹脂を混合する方法、抗菌剤と樹
脂を兼用する(即ち、抗菌剤として例えばポリエステル
系高分子抗菌剤等を使用する)方法、親水性物質と樹脂
を兼用する(即ち、親水性物質として親水性ポリエステ
ル等を使用する)方法、および親水性物質を重合成分と
した樹脂を使用する方法が挙げられる。
【0079】抗菌性樹脂層(C)には、無機系抗菌剤お
よび有機系抗菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1
種の抗菌剤が含有される。抗菌性樹脂層(C)で使用さ
れる無機系抗菌剤、有機系抗菌剤(天然の有機系抗菌
剤、低分子の有機系抗菌剤および高分子の有機系抗菌
剤)としては、抗菌性ポリエステル層(A)の場合と同
様のものが挙げられる。
【0080】高分子抗菌剤は、抗菌性樹脂層(C)に含
有される前記の樹脂を兼ねることもあるが、この場合、
後述する親水性物質は当該樹脂に混合されるか、あるい
は当該樹脂の重合成分の1つとして含まれる。
【0081】無機系抗菌剤は、抗菌性樹脂層(C)中、
好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.3
〜5重量%含有される。この含有量が0.1重量%未満
の場合、当該層の抗菌活性が不充分となるおそれがあ
り、逆に10重量%を超える場合、当該層の機械的性質
および耐熱性、耐候性が低下するおそれがある。
【0082】天然または低分子の有機抗菌剤は、抗菌性
樹脂層(C)中、好ましくは0.1〜10重量%、より
好ましくは0.3〜5重量%含有される。この含有量が
0.1重量%未満の場合、当該層の抗菌活性が不充分と
なるおそれがあり、逆に10重量%を超える場合、当該
層の機械的性質および耐熱性、耐候性が低下するおそれ
がある。
【0083】高分子抗菌剤は、抗菌性樹脂層(C)中、
好ましくは1〜100重量%、より好ましくは10〜1
00重量%含有される。この含有量が1重量%未満の場
合、当該層の抗菌活性が不充分となるおそれがある。高
分子抗菌剤の含有量の範囲は、後述するような親水性物
質が高分子抗菌剤の重合成分として含有されている場合
や、高分子抗菌剤が抗菌性樹脂層(C)に配合される前
述の樹脂を兼ねている場合も含まれている。
【0084】また、高分子抗菌剤が抗菌性ポリエステル
層(A)で例示した共重合ポリエステルの場合、着色防
止、ゲル発生防止等の耐熱性の改善の目的で、抗菌性ポ
リエステル層(A)の場合と同様のMg塩、Ca塩、M
n塩、Zn塩、Co塩を同様の量で添加することも可能
である。
【0085】抗菌性樹脂層(C)には上記抗菌剤以外に
親水性物質が含有される。本発明で使用される親水性物
質とは、当該物質をポリエチレンテレフタレートに混合
あるいは1重合成分として共重合した場合に、もとのポ
リエチレンテレフタレートよりも親水性が高くなるよう
な物質をいい、実質的には、このような範囲の親水性物
質の中で、当該物質を含有させることにより、含有しな
い場合よりも抗菌性樹脂層(C)の親水性が高められる
ような物質を、適宜選択して使用する。抗菌性樹脂層
(C)で使用される親水性物質としては、抗菌性ポリエ
ステル層(A)の場合と同様のものが挙げられる。
【0086】上記親水性物質は、混合および/または共
重合により抗菌性樹脂層(C)中に含有される。混合
の場合、親水性物質は、例えば他の層構成成分との混合
によって層中に含有される。共重合の場合、親水性物
質は、a)前記高分子抗菌剤の重合成分の1つとして、b)
抗菌性樹脂層(C)層に含有される前記の樹脂の重合成
分の1つとして、さらにc)前記高分子抗菌剤が前記の樹
脂を兼ねている場合に当該樹脂の重合成分の1つとし
て、それぞれ抗菌性樹脂層(C)に含有される。また、
該親水性物質は、抗菌剤とイオン結合等の結合がなされ
ていてもよい。
【0087】の方法において、当該親水性物質の含有
量は特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリ
コールを混合により含有させる場合、抗菌性樹脂層
(C)を構成する組成物全体に対して0.1〜20重量
%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量
%、さらに好ましくは1〜5重量%の範囲である。0.
1重量%未満の場合、親水性が不十分となって抗菌活性
増大効果が不十分となるおそれがあり、一方20重量%
を超えると、抗菌性樹脂層(C)の機械的特性および耐
熱性・耐候性が低下するおそれがある。
【0088】この親水性物質を混合により抗菌性樹脂層
(C)中に含有させる方法は、抗菌性ポリエステル層
(A)の場合と同様である。
【0089】の方法において、a)前記高分子抗菌剤の
重合成分の1つとする場合、当該高分子抗菌剤として
は、抗菌性ポリエステル層(A)の場合と同様であり、
特に好適には、ホスホニウム塩系ビニル重合体や、スル
ホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩
をジカルボン酸成分とした共重合ポリエステルが挙げら
れる。
【0090】親水性物質は、これらの重合体の重合成分
の一部に使用される。例えば、高分子抗菌剤が共重合ポ
リエステルの場合は、グリコール成分、ジカルボン酸成
分のうちの少なくとも一方の少なくとも一部に、当該親
水性物質が使用される。この場合、親水性物質として
は、当該物質を共重合ポリエステルの重合成分として含
有させることにより、含有しない場合よりも抗菌性樹脂
層(C)の親水性が高められるような物質が選択され
る。この場合の親水性物質の具体例としては、抗菌性ポ
リエステル層(A)の場合と同様のものが挙げられる。
【0091】このような、親水性物質を高分子抗菌剤の
重合成分とした抗菌剤は、親水性物質の系外へのブリー
ドアウト防止、即ち高抗菌活性を長期に維持できるので
特に好ましい。
【0092】上記の場合の親水性物質の含有量は種類に
より異なるが、例えばポリアルキレングリコールの場
合、高分子抗菌剤中、好ましくは0.1〜20重量%、
より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは
1〜5重量%の範囲である。0.1重量%未満の場合、
親水性が不十分となって抗菌活性増大効果が不十分とな
るおそれがあり、一方20重量%を超えると、抗菌性樹
脂層(C)の機械的特性および耐熱性・耐候性が低下す
るおそれがある。この親水性物質の配合は、高分子抗菌
剤の製造時、重合反応前、重合反応の途中もしくは終了
後のいずれであってもよい。
【0093】また、の方法において、親水性物質は、
b)前述の、抗菌性樹脂層(C)に含有される樹脂の1重
合成分としてもよい。この場合においても、親水性物質
として、当該物質を樹脂の重合成分として含有させるこ
とにより、含有しない場合よりも抗菌性樹脂層(C)の
親水性が高められるような物質が選択される。
【0094】さらに、の方法において、親水性物質
は、c)前記高分子抗菌剤が抗菌性樹脂層(C)に含有さ
れる樹脂を兼ねている場合に、当該樹脂の重合成分の1
つとしてもよい。この場合においても、親水性物質とし
ては、当該物質を樹脂の重合成分として含有させること
により、含有しない場合よりも抗菌性樹脂層(C)の親
水性が高められるような物質が選択される。
【0095】b)およびc)の場合の親水性物質の具体例と
しては、抗菌性ポリエステル層(A)の場合と同様のも
のが挙げられ、ポリアルキレングリコール、ポリグリセ
リン、グリセリンが特に好ましい。この場合の親水性物
質の含有量は種類により異なるが、例えば親水性物質が
ポリアルキレングリコール、抗菌性樹脂層(C)に含有
される樹脂がポリエステルの場合、ポリエステルのグリ
コール成分中、好ましくは0.1〜20重量%、より好
ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは1〜5重
量%の範囲である。0.1重量%未満の場合、親水性が
不十分となって抗菌活性増大効果が不十分となるおそれ
があり、逆に20重量%を超えると、抗菌性樹脂層
(C)の機械的特性および耐熱性・耐候性が低下するお
それがある。この親水性物質の配合は、樹脂の製造時、
重合反応前、重合反応の途中もしくは終了後のいずれで
あってもよい。
【0096】また、抗菌性樹脂層(C)は、滑り性、耐
磨耗性、耐ブロッキング性、隠蔽性等の物理的特性の向
上を目的として、無機粒子や有機粒子等を含有してもよ
く、具体的には、抗菌性ポリエステル層(A)の場合と
同様のものが挙げられ、またその粒径や配合方法は抗菌
性ポリエステル層(A)の場合と同様である。
【0097】本発明の積層体は、抗菌性ポリエステル層
(A)とポリオレフィン層(B)の間に、さらに熱可塑
性樹脂層(D)が積層されていてもよい。当該熱可塑性
樹脂層(D)に使用される樹脂としてはポリエステルが
好ましく、抗菌性ポリエステル層(A)で例示された酸
成分とグリコール成分とからなるポリエステルが例示さ
れる。当該熱可塑性樹脂層(D)は、フィルム、シート
等の形態で使用される。
【0098】抗菌性ポリエステル層(A)、ポリオレフ
ィン層(B)および抗菌性樹脂層(C)の少なくとも3
層以上を積層して、本発明の抗菌性積層体を形成するに
は、従来公知の、エキストルージョンラミネート法、ホ
ットメルトラミネート法、ドライラミネート法、ウエッ
トラミネート法等の方式を採用することができる。プラ
スチックフィルムの加工においては、前記方法の中でも
エキストルージョンラミネート法及びドライラミネート
法が一般的に行われており現実的である。
【0099】エキストルージョンラミネート法において
は、熱溶融フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン共重合体等が用いられるが、接着力を向
上させる為にテトラアルキルチタネート化合物、ポリエ
チレンイミン、あるいはイミン化合物等をプライマーコ
ートした後に、メルトインデックス4〜7程度の高温安
定性の良い品種を使う方法が推奨される。
【0100】ドライラミネート法においては、接着剤と
して、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等
のビニール系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロー
ス、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂、エポ
キシ系樹脂、合成ゴムとアクリル系樹脂との共重合物等
が用いられ、コーティング方法としてはグラビヤロール
コーティング、リバースロールコーティング、ディップ
コーティング、ドクターブレード、エアーナイフコーテ
ィング等の方法が使用される。
【0101】3層以上の多層体を積層する方法として、
上記の任意の方法を単独で用いるかあるいは、任意の2
者以上の方法を組み合わせてもよい。
【0102】本発明の抗菌性積層体は、抗菌性ポリエス
テル層(A)、ポリオレフィン層(B)および抗菌性樹
脂層(C)の少なくとも3層以上の積層体であって、積
層体の一方の最外層が抗菌性ポリエステル層(A)、他
方の最外層が抗菌性樹脂層(C)であり、使用目的及び
用途に応じてこの範囲内で任意の構成を選択することが
できる。
【0103】さらに本発明の抗菌性積層体に上記以外の
性能を付加する為に、4層以上の構成を採ることも可能
である。例えば抗菌性ポリエステル層(A)/アルミニ
ウム箔/ポリエチレン層(B)/抗菌性樹脂層(C)、
抗菌性ポリエステル層(A)/ポリ塩化ビニリデン層/
ポリエチレン層(B)/抗菌性樹脂層(C)などの構成
でガスバリア性を付与することが可能であり、抗菌性ポ
リエステル層(A)/ナイロン6層/アルミニウム箔/
ポリプロピレン層(B)/抗菌性樹脂層(C)などの構
成で耐レトルト性に優れた包装材料を得ることができ
る。
【0104】本発明の抗菌性積層体において、各層の厚
みは、抗菌性ポリエステル層(A)は、好ましくは0.
5〜5μm、より好ましくは1.5〜3.0μmであ
り、ポリオレフィン層(B)は、好ましくは10〜10
0μm、より好ましくは15〜50μmであり、抗菌性
樹脂層(C)は、好ましくは0.5〜5μm、より好ま
しくは1.5〜3.0μmである。抗菌性ポリエステル
層(A)とポリオレフィン層(B)の間に熱可塑性樹脂
層(D)を設ける場合には、当該層の厚みは、好ましく
は5〜20μm、より好ましくは10〜15μmであ
る。
【0105】本発明の抗菌性積層体は、優れた抗菌活性
を有するものであり、後述する抗菌性テストにおいて、
初期菌数1×105 個以上のものを、24時間経過後、
1×104 個以下、好ましくは5×103 個以下の菌数
に抑えるという性能を有するものである。
【0106】本発明の包装材は上記抗菌性積層体を用い
てなる。包装材として使用するために、本発明の抗菌性
積層体には、表面または裏面に意匠用または表示用の印
刷のための印刷層を有してもよい。また抗菌性ポリエス
テル層(A)または抗菌性樹脂層(C)が印刷層を兼ね
てもよい。包装材は、常套手段によりシールして包装袋
とすることができる。シール方法としては、バーシール
法、回転ロールシール法、インパルスシール法、溶断シ
ール法、熱溶融シール法、超音波シール法、高周波シー
ル法等があり任意の方法を選択することが可能である。
得られる袋の形態としては、ピロー包装袋、三方シール
袋、四方シール袋等目的に応じて任意の形態を選択する
ことができる。このようにして得られた包装袋は、食
品、工業製品等の包装、医薬品、薬剤、医療器具、医療
廃棄物等の包装等に好適に使用される。
【0107】
【実施例】次に実施例及び比較例を示して本発明を更に
詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定される
ものではない。以下に実施例及び比較例で得られた抗菌
性積層体の抗菌性の評価方法を示す。
【0108】1.抗菌性テスト 1/50ブロースで稀釈したS.aureus(黄色ブ
ドウ球菌)の菌液(濃度:107 個/ml)の0.1m
lを予め高圧蒸気殺菌した5cm×5cmの大きさのフ
ィルム上に滴下し、そのフィルムに高圧蒸気滅菌したサ
ランラップ(登録商標、旭化成工業製)フィルムを密着
させた。その試験片を滅菌シャーレに移し、37℃で2
4時間培養した。それからフィルム上の菌をSCDLP
培地10mlで洗い出し、10倍稀釈し、普通寒天平板
にまいた後24時間後の菌数を計測した。
【0109】2.極限粘度 ウベローデ粘度管を用い、フェノール/テトラクロロエ
タン=6/4の混合溶媒を使用し、30℃で測定する。
【0110】実施例1 (A) 抗菌性組成物塗布液の調製 テレフタル酸ジメチルエステル5モル、イソフタル酸ジ
メチルエステル4モル、5−スルホイソフタル酸ジメチ
ルエステルのトリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウ
ム塩1モル、エチレングリコール22モル、共重合ポリ
エステル理論生成量に対して酢酸亜鉛を亜鉛(Zn)と
して200ppm加え、140℃から220℃まで昇温
して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル
交換反応を行った。エステル交換反応終了後、250℃
にて、分子量10000のポリエチレングリコール(ナ
カライ(株)製)を0.12モル、さらに生成共重合ポ
リエステル理論量に対して酸化アンチモンをアンチモン
(Sb)として250ppm及びトリメチルホスフェノ
ートをP量として80ppm加え15分間攪拌し、続い
て平均粒径0.9ミクロンの球状シリカを2000pp
m添加した。260℃、真空下で60分間重縮合反応を
行い、極限粘度0.50の共重合ポリエステル樹脂を得
た。上記ポリマーを市販特級メチルエチルケトンに溶解
して6重量%溶液とした。
【0111】(B) 抗菌性積層フィルムの調製 上記(A) で得た塗布液をポリエチレンフィルム(LIX
−2、厚さ40μm、東洋紡績(株)製)の表面にバー
コーター法によって塗布し、70℃で熱風乾燥した。次
いで、これとは別に、2軸延伸ポリエステルフィルム
(東洋紡ポリエステルフィルム、厚さ25μm、東洋紡
績(株)製)表面に(A) で得た塗布液をバーコーター法
により塗布し70℃で熱風乾燥した。当該ポリエチレン
フィルムの塗布面と反対面と、当該2軸延伸ポリエステ
ルフィルムの塗布面と反対面とを、ドライラミネート法
により、接着剤(主剤:AD590、硬化剤:RT8
6、東洋モートン(株)製)を介してラミネートして、
抗菌性積層体である抗菌性積層フィルムを得た。
【0112】当該フィルムの最終的な抗菌性組成物の付
着量は、両面とも約0.4g/m2であった。得られた
抗菌性積層フィルムの両方の抗菌性組成物塗布面側の抗
菌性評価結果を表1に示した。
【0113】なお、以下の表中の記号等は以下の物質等
を表す。 A:ポリエチレンフィルム上に塗布した抗菌性組成物面
側 B:2軸延伸ポリエステルフィルム上に塗布した抗菌性
組成物面側 T:テレフタル酸 I:イソフタル酸 C16:5−スルホイソフタル酸のトリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウム塩 C14:5−スルホイソフタル酸のトリ−n−ブチルテト
ラデシルホスホニウム塩 C12:5−スルホイソフタル酸のトリ−n−ブチルドデ
シルホスホニウム塩 EG:エチレングリコール PEG:ポリエチレングリコール PET:ポリエチレンテレフタレート PES−SO3 Na:スルホン酸基含有ポリエステル PG:ポリグリセリン PVA:ポリビニルアルコール ノバロン:東亜合成(株)製の銀系抗菌剤 Z−Nouve:三井金属鉱業(株)製の亜鉛系抗菌剤 P−25:日本アエロジル(株)製の二酸化チタン ND:検出されず
【0114】実施例2〜8 実施例1において、ポリエチレングリコールの種類及び
量を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にして
抗菌性積層フィルムを得、実施例1と同様にして抗菌性
評価を行い、得られた結果を表1に示した。
【0115】実施例9〜10 実施例4において、ホスホニウム塩の種類及び量を表1
に示すようにした以外は実施例4と同様にして抗菌性積
層フィルムを得、実施例1と同様にして抗菌性評価を行
い、得られた結果を表1に示した。
【0116】比較例1〜3 実施例1,9,10において、ポリエチレングリコール
無添加の条件以外は実施例1,9,10と全く同様にし
て、それぞれ比較例1,2,3の抗菌性積層フィルムを
得、実施例1と同様に抗菌性評価を行い、結果を表1に
示した。
【0117】
【表1】
【0118】実施例11 (A) 抗菌性組成物塗布液の調製 平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム微粒子が4000
ppmの濃度で分散されたテレフタル酸/イソフタル酸
//エチレングリコール/ポリエチレングリコール(分
子量1000)(60/40//99.7/0.3
(5.0重量%相当)モル比)共重合体100重量部に
1重量部の銀/リン酸ジルコニウム系抗菌フィラー(ノ
バロン、東亜合成(株)製)を添加混合したものを市販
特級試薬メチルエチルケトンに溶解し、6重量%溶液と
した。
【0119】(B) 抗菌性積層フィルムの調製 上記の塗布液を使用し、実施例1と同様にポリエチレン
フィルム(LIX−2、厚さ40μm、東洋紡績(株)
製)および2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡ポリ
エステルフィルム、厚さ25μm、東洋紡績(株)製)
の表面に塗布、乾燥した後、当該ポリエチレンフィルム
の塗布面と反対面と、当該2軸延伸ポリエステルフィル
ムの塗布面と反対面とを、ドライラミネート法によりラ
ミネートして抗菌性積層フィルムを作成した。
【0120】当該フィルムの最終的な抗菌性組成物の付
着量は、両面とも約0.4g/m2であった。得られた
抗菌性積層フィルムの両方の抗菌性組成物塗布面側の抗
菌性評価結果を表2に示した。
【0121】実施例12〜13 実施例11において、銀/リン酸ジルコニウム系抗菌フ
ィラー(ノバロン、東亜合成(株)製)の代わりに表2
に示した無機抗菌剤を所定量用いた以外は実施例11と
同様にして抗菌性積層フィルムを得、実施例11と同様
にして得られた抗菌性積層フィルムの抗菌性評価結果を
表2に示した。なお、P−25含有系の抗菌性評価はブ
ラックライトを40cmの距離で照らしながら行った。
【0122】比較例4〜6 実施例11,12,13において、共重合体の代わり
に、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコー
ル(60/40//100モル比)共重合体を用いた以
外は実施例11,12,13と全く同様にして、それぞ
れ比較例4,5,6の抗菌性積層フィルムを得、実施例
11と同様にして得られた抗菌性積層フィルムの抗菌性
評価結果を表2に示した。
【0123】
【表2】
【0124】実施例14 (A) スルホン酸基含有ポリエステル水分散液の調製 スルホン酸基含有ポリエステルを次の方法により調製し
た。ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート9
5モル%および5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モ
ル%、グリコール成分としてエチレングリコール100
モル%を使用し、常法によりエステル交換反応及び重縮
合を行い、スルホン酸基含有ポリエステル(PES−S
3 Na)を得た。このスルホン酸基含有ポリエステル
300部とn−ブチルセロソルブ150部とを加熱攪拌
して、粘稠な溶液とし、更に攪拌しつつ水550部を徐
々に加えて、固形分30重量%の均一な淡白色の水分散
液を得た。この分散液をさらに水とイソプロパノールの
等量混合液中に加え、固形分が5重量%のスルホン酸基
含有ポリエステル水分散液を調製した。
【0125】(B) 抗菌性組成物塗布液の調製 銀/リン酸ジルコニウム系抗菌フィラー(ノバロン、東
亜合成(株)製)0.1重量部を上記(A) スルホン酸基
含有ポリエステル水分散液100重量部(固形分換算)
に添加混合し、微分散させ塗布液とした。
【0126】(C) 抗菌性積層フィルムの調製 上記の塗布液を使用し、実施例1と同様にポリエチレン
フィルム(LIX−2、厚さ40μm、東洋紡績(株)
製)および2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡ポリ
エステルフィルム、厚さ25μm、東洋紡績(株)製)
の表面に塗布、乾燥した後、当該ポリエチレンフィルム
の塗布面と反対面と、当該2軸延伸ポリエステルフィル
ムの塗布面と反対面とを、ドライラミネート法によりラ
ミネートして抗菌性積層フィルムを作成した。
【0127】当該フィルムの最終的な抗菌性組成物の付
着量は、両面とも約0.5g/m2であった。得られた
抗菌性積層フィルムの両方の抗菌性組成物塗布面側の抗
菌性評価結果を表3に示した。
【0128】実施例15〜16 実施例14において、銀/リン酸ジルコニウム系抗菌フ
ィラー(ノバロン、東亜合成(株)製)の代わりに表3
に示した無機抗菌剤を所定量用いた以外は実施例14と
同様にして抗菌性積層フィルムを得、実施例14と同様
にフィルムの被覆剤塗布面の抗菌性評価結果を表3に示
した。なお、P−25含有系の抗菌性評価はブラックラ
イトを40cmの距離で照らしながら行った。
【0129】
【表3】
【0130】実施例17 (A) 抗菌性組成物塗布液の調製 平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム微粒子が4000
ppmの濃度で分散された共重合ポリエステル(テレフ
タル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ポリエ
チレングリコール(分子量20000)=60/40/
/99.985/0.015(5.0重量%相当)モル
比)100重量部(固形分換算)に、銀/リン酸ジルコ
ニウム系抗菌フィラー(ノバロン、東亜合成(株)製)
2重量部を添加した後、市販特級試薬メチルエチルケト
ンに溶解させ6重量%溶液とした。
【0131】(B) 抗菌性積層フィルムの調製 上記の塗布液を使用し、実施例1と同様にポリエチレン
フィルム(LIX−2、厚さ40μm、東洋紡績(株)
製)および2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡ポリ
エステルフィルム、厚さ25μm、東洋紡績(株)製)
の表面に塗布、乾燥した後、当該ポリエチレンフィルム
の塗布面と反対面と、当該2軸延伸ポリエステルフィル
ムの塗布面と反対面とを、ドライラミネート法によりラ
ミネートして抗菌性積層フィルムを作成した。
【0132】当該フィルムの最終的な抗菌性組成物の付
着量は、両面とも約0.4g/m2であった。得られた
抗菌性積層フィルムの両方の抗菌性組成物塗布面側の抗
菌性評価結果を表4に示した。
【0133】実施例18〜19 実施例17において、銀/リン酸ジルコニウム系抗菌フ
ィラー(ノバロン、東亜合成(株)製)の代わりに表4
に示した無機抗菌剤を所定量用いた以外は実施例17と
同様にして抗菌性積層フィルムを得、実施例17と同様
にフィルムの被覆剤塗布面の抗菌性評価結果を表4に示
した。なお、P−25含有系の抗菌性評価はブラックラ
イトを40cmの距離で照らしながら行った。
【0134】比較例10〜12 実施例17,18,19において、共重合体の代わりに
共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸//
エチレングリコール=60/40//100モル比)を
用いた以外は実施例17,18,19と全く同様に、そ
れぞれ比較例10,11,12の抗菌性積層フィルムの
作成、抗菌性評価を行い、表4の結果を得た。
【0135】
【表4】
【0136】実施例20〜31 実施例17,18,19において、ポリエチレングリコ
ール#20000の代わりに表5に示したポリグリセリ
ン3種(ポリグリセリン#310、ポリグリセリン#5
00、ポリグリセリン#750、坂本薬品工業(株)
製)、ポリビニルアルコール(PVA)をグリコール成
分中5.0重量%相当となるように使用した以外は実施
例17,18,19と全く同様に抗菌性積層フィルムを
作成し、抗菌性評価を行い、表5の結果を得た。
【0137】
【表5】
【0138】実施例32 実施例1〜31で得られた抗菌性積層フィルムを、ポリ
エチレンフィルム上に形成した抗菌性組成物含有層を袋
内面として、インパルスシール法により三方をシール
後、袋内部にメチレンブルー試験液を満たした。残る一
方を同様にインパルスシール法によりシールして、試験
液を充填した四方シール袋とし、45℃±2℃の恒温槽
中に24時間放置した後、液漏れの有無を調べたが、全
て液漏れ無く良好であった。
【0139】
【発明の効果】本発明によれば、無機系抗菌剤、有機系
抗菌剤等の抗菌剤量を増やすことなく、優れた抗菌活性
を有する積層体を提供できる。従って、本発明の抗菌性
積層体を用いてなる包装材にて包装することにより、本
来抗菌性を有さない物品に高度な抗菌性を後付けの形で
付与することができると共に、さらに高度な抗菌活性を
有する様々な物品を提供できることとなる。従って、滅
菌ないし静菌を必要とする分野においては、その効果を
維持する等の付加価値を与えた物品を製造することがで
きる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌性ポリエステル層(A)、ポリオレ
    フィン層(B)および抗菌性樹脂層(C)の少なくとも
    3層以上を含有してなる積層体であって、 当該積層体の一方の最外層が抗菌性ポリエステル層
    (A)、他方の最外層が抗菌性樹脂層(C)であり、か
    つ当該抗菌性ポリエステル層(A)および当該抗菌性樹
    脂層(C)が、無機系抗菌剤および有機系抗菌剤からな
    る群より選ばれる少なくとも1種の抗菌剤および親水性
    物質とを含有することを特徴とする抗菌性積層体。
  2. 【請求項2】 抗菌性ポリエステル層(A)とポリオレ
    フィン層(B)の間に、さらに熱可塑性樹脂層(D)が
    積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の抗菌
    性積層体。
  3. 【請求項3】 有機系抗菌剤が高分子抗菌剤であり、か
    つ親水性物質が該高分子抗菌剤の重合成分の1つとして
    抗菌性ポリエステル層(A)または抗菌性樹脂層(C)
    に含有されることを特徴とする請求項1または2に記載
    の抗菌性積層体。
  4. 【請求項4】 有機系抗菌剤が、アンモニウム塩基、ホ
    スホニウム塩基およびスルホニウム塩基からなる群より
    選ばれる少なくとも1つの基を主鎖または側鎖に有する
    高分子抗菌剤であることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の抗菌性積層体。
  5. 【請求項5】 無機系抗菌剤が、銀、亜鉛および銅から
    なる群より選ばれる少なくとも一種の金属微粒子および
    /または当該金属イオンを担持させた無機微粒子である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌性積層
    体。
  6. 【請求項6】 無機系抗菌剤が、酸化チタンおよび/ま
    たは酸化亜鉛を含むことを特徴とする請求項1または2
    に記載の抗菌性積層体。
  7. 【請求項7】 親水性物質が、水酸基、アミノ基、アミ
    ド基、カルボキシル基またはそのアルカリ金属塩、スル
    ホン酸基またはそのアルカリ金属塩、第4級アンモニウ
    ム塩基、アミン塩基、ポリエーテル鎖およびポリアミン
    鎖からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する化合
    物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
    載の抗菌性積層体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌性
    積層体を用いてなることを特徴とする包装材。
  9. 【請求項9】 袋状であることを特徴とする請求項8に
    記載の包装材。
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