JP2000263706A - 抗菌性積層フィルム - Google Patents

抗菌性積層フィルム

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JP2000263706A
JP2000263706A JP11065061A JP6506199A JP2000263706A JP 2000263706 A JP2000263706 A JP 2000263706A JP 11065061 A JP11065061 A JP 11065061A JP 6506199 A JP6506199 A JP 6506199A JP 2000263706 A JP2000263706 A JP 2000263706A
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antibacterial
polymer
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group
laminated film
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JP11065061A
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English (en)
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Satoshi Hayakawa
聡 早川
Hideto Ohashi
英人 大橋
Juji Konagaya
重次 小長谷
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用性を満たす十分高い抗菌性を備え、かつ
表面が艶消し意匠効果を有し、更に実用に耐えうる十分
な耐久性を付与した、家具や家電製品、壁紙、建材等の
用途において好適に用いられる熱可塑性樹脂フィルム及
びシートを提供する。 【解決手段】 有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に結合
した高分子物質、前記高分子物質に混合又は結合させた
親水性物質、及び硬化剤を含有する組成物よりなる層を
基材フィルムの少なくとも片面に積層し、かつ前記積層
面の表面光沢度が65%以下であることを特徴とする抗
菌性積層フィルム。材料として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機系抗菌剤成分を
結合した高分子物質、親水性物質、及び硬化剤を含有す
る組成物よりなる層を積層したフィルムに関し、優れた
抗菌性及び防かび性と実用的な耐久性をあわせ持ち、か
つ艶消し外観を有し、特に、壁、壁紙、天井、床、建材
の窓枠やドアノブ、手すり等、机、棚、家具類、家電製
品、医療用機器、文具類、金属容器、エアコン、空調機
器、流し台等の水廻り用品、電車・自動車・船舶・航空
機の用途で化粧板、内・外装板、構造体、付属品、部品
等の構成材料として、又、食品・医療用品等の包装材料
として好適に使用される抗菌性積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂、中でもポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエ
チレンテレフタレート及びエチレンテレフタレートは優
れた物理的、化学的特性を有し、繊維、プラスチック、
フィルム、シート、接着剤等に使用されている。最近、
これらに無機系または有機系の抗菌剤を充填または塗布
した抗菌性を有する製品が考案されておりその用途は多
岐に及んでいる。
【0003】現在、主に検討または使用されている抗菌
剤としては、キチン、キトサン、ワサビ抽出物カラシ抽
出物、ヒノキチオール、茶抽出抗菌剤等の天然品、光酸
化触媒酸化チタン粒子、酸化亜鉛超微粒子、銀含有ゼオ
ライト、銀含有リン酸ジルコニウム等の無機系化合物及
び有機アンモニウム塩系、有機ホスホニウム塩系化合物
等の有機系合成品があげられる。
【0004】天然抗菌剤及び無機系抗菌剤は、安全性の
面で最近注目を集めている。特開平3−83905号公
報には銀イオン含有リン酸塩系の抗菌剤が、特開平3−
161409号公報には特定のイオン交換容量を有する
ゼオライト中の一定容量を銀イオンで置換してなる抗菌
剤が開示されている。これらに開示された発明にしたが
って、フィルム、シート、繊維、プラスチックを作成
し、その黄色ブドウ球菌、大腸菌等に対する抗菌性を評
価したが、添加量を比較的控えめにすると抗菌活性は不
十分で、抗菌活性を改善する為に添加量を増やすと溶融
押し出し時の熱による変色、あるいは耐候性能の低下を
生じる問題があった。
【0005】他方、有機合成品の抗菌剤は、一般的に、
抗菌性において天然品、無機品よりも優れている。しか
し、該抗菌剤は低分子量であるため、有機成分が揮発ま
たは分離しやすい。したがって、抗菌剤をフィルム等に
使用する場合には、抗菌剤が水や有機溶媒等に溶解せ
ず、フィルム表面から遊離、脱離、剥離、脱落し難いこ
とが抗菌性能の長期安定性及び人体への安全性の面から
好ましい。
【0006】このため、最近ではポリマー素材に有機系
の抗菌剤をイオン結合または共有結合で結合した、不溶
性で毒性を示さない固定化抗菌剤が開発されている。例
えば、特開昭54−86584号公報には、カルボキシ
ル基やスルホン酸等の酸性基とイオン結合している4級
アンモニウム塩基を有する抗菌剤成分を含有する高分子
物質を主体とした抗菌性材料が記載されている。同様
に、ホスホニウム塩を高分子物質に固定化して用途の拡
大を試みた発明が開示されている。特開平4−2669
12号公報にはホスホニウム塩系ビニル重合体の抗菌剤
について、WO92/14365号公報にはビニルベン
ジルホスホニウム塩系ビニル重合体の抗菌剤について開
示されている。さらには、特開平5−310820号公
報には、酸性基とイオン結合したホスホニウム塩基を有
する抗菌成分を含有する高分子物質を主体とした抗菌性
材料が記載されている。その実施例中で、スルホイソフ
タル酸のホスホニウム塩を用いたポリエステルが開示さ
れている。
【0007】本発明者らは、特開平4−266912号
公報、WO92/14365号公報、特開平5−310
820号公報を鋭意検討し、その実施例に従いホスホニ
ウム塩基含有ビニル共重合体及び共重合ポリエステルを
合成し、繊維、フィルム、シート等を形成したり、また
前記記載の抗菌ポリマーを繊維、フィルムシート面上に
塗布することにより積層体を形成し、その抗菌・防かび
性を評価したが、抗菌・防かび性は不十分であった。さ
らには、抗菌・防かび性を向上させようとトリ−n−ブ
チルドデシルホスホニウム塩基を50モル%以上結合さ
せたポリエステルを合成し、それからフィルム、シート
等を作成したが、ポリマーの着色及びガラス転移点の低
下による力学物性の低下のみならず抗菌性が不十分であ
った。また、前述の無機系抗菌剤及び有機系抗菌剤を単
独又は混合使用し、繊維、織物、フィルム、シート等を
形成し、その黄色ブドウ球菌、大腸菌、クロコウジカ
ビ、黒色酵母様菌等に対する抗菌性を評価したが、抗菌
活性は不十分で、実用性としては不十分であった。
【0008】また、熱可塑性樹脂フィルム及びシートの
表面光沢は、用途によっては必要とされるが、一方では
このような表面光沢を必要としなかったり、艶がないほ
うが好まれる用途も多い。特に、家具や家電製品、壁
紙、建材等の用途では艶消し意匠性が好まれる。このよ
うな用途においては、外観の点より擦り傷が少ないこと
や熱水がかかっても表面が変質しないなどの耐久性が要
求されている。しかしながら、前記従来の技術では抗菌
性のみならず、耐久性においても不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の問題点を解決するものであり、その目的は実用性を満
たす十分高い抗菌性を備え、かつ表面が艶消し意匠効果
を有し、更に実用に耐えうる十分な耐久性を付与した、
家具や家電製品、壁紙、建材等の用途において好適に用
いられる熱可塑性樹脂フィルム及びシートを提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の課題
は、以下の手段により達成される。
【0011】A. 有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に
結合した高分子物質、前記高分子物質に混合又は結合さ
せた親水性物質、及び硬化剤を含有する組成物よりなる
層を基材フィルムの少なくとも片面に積層し、かつ前記
積層面の表面光沢度が65%以下であることを特徴とす
る抗菌性積層フィルム。
【0012】B. A記載の硬化剤が光重合性硬化型樹
脂であることを特徴とする抗菌性積層フィルム。
【0013】C. 前記有機系抗菌剤成分を主鎖又は側
鎖に結合した高分子物質がアンモニウム塩基、ホスホニ
ウム塩基又は、スルホニウム塩基の少なくとも1種を主
鎖及び/又は側鎖に有する重合体であることを特徴とす
るB又はC記載の抗菌性積層フィルム。
【0014】D. 前記親水性物質が水酸基、アミノ
基、アミド基、カルボキシル基もしくはそのアルカリ金
属塩、スルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、第4
級アンモニウム塩基、アミン塩基、ポリエーテル鎖又は
ポリアミン鎖の少なくとも1種を有する重合体であるこ
とを特徴とするA乃至C記載の抗菌性積層フィルム。
【0015】E. 前記有機系抗菌剤成分を主鎖又は側
鎖に結合した高分子物質と親水性物質成分が共有結合を
介して結合していることを特徴とするA乃至D記載の抗
菌性積層フィルム。
【0016】F. 前記有機系抗菌剤成分としてのホス
ホニウム塩基を主鎖又は側鎖に結合した高分子物質と親
水性物質成分が共有結合を介して結合していることを特
徴とするC乃至E記載の抗菌性積層フィルム。
【0017】G. 前記光重合性硬化型樹脂が少なくと
も光重合開始剤、光重合性プレポリマー及び/又は光重
合性モノマーからなることを特徴とするB乃至F記載の
抗菌性積層フィルム。
【0018】H. 前記有機系抗菌剤成分を主鎖又は側
鎖に結合した高分子物質及び、該高分子物質に混合又は
結合させた親水性物質及び、硬化剤を含有する組成物よ
りなる層の中に無機物及び/又は有機物よりなる艶消し
剤を含有することを特徴とするA乃至G記載の抗菌性積
層フィルム。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
本明細書において、抗菌性とは、微生物(例えば、細
菌)を死滅させるか、または繁殖を防止する性能をい
う。また、本発明の抗菌性積層フィルムにおいて、有機
系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に結合した高分子物質、前
記高分子物質に混合又は結合させた親水性物質、硬化
剤、及び不活性粒子を含有する組成物よりなる層は、基
材フィルムの少なくとも片面に積層させる必要があり、
積層面は片面であっても両面でも良い。
【0020】本発明で使用する有機系抗菌剤成分として
は各種のものが使用できる。特に好ましい有機系抗菌剤
成分として、イソチオシアン酸アリル、ポリオキシアル
キレントリアルキルアンモニウム、塩化ペンザルコニウ
ム等の第4級アンモニウム塩、トリ−n−ブチルヘキサ
デシルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルテトラ
デシルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルヘキサ
デシルホスホニウムクロリド等の第4級ホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩
又はそのジエステル、その他が挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
【0021】これらの低分子有機化合物のうちでは、高
分子物質への結合のしやすさから、アンモニウム塩の
基、ホスホニウム塩の基、スルホニウム塩の基等のオニ
ウム塩が好ましく、特に、高い抗菌性と幅広い抗菌スペ
クトルを有するホスホニウム塩系化合物が特に好まし
い。
【0022】上記抗菌性を有する低分子有機化合物は、
高分子物質の主鎖または側鎖に結合される。結合の方法
としては、従来公知の任意の方法が使用可能である。例
えば、前記抗菌性化合物中の反応性官能基(例えば、酸
性基)と、高分子物質中の官能基とを反応させて上記抗
菌性低分子有機化合物と高分子化合物との結合体である
抗菌性高分子物質を形成することができる。より具体的
には、例えば、特開昭54−86584号公報に記載さ
れる方法を用いることができる。
【0023】高分子物質中の有機系抗菌性化合物の結合
量は、高分子物質に対して、好ましくは0.01〜10
重量%であり、特に好ましくは0.05〜5重量%であ
る。
【0024】本発明で使用する高分子物質とは、主鎖又
は側鎖に有機系抗菌剤成分を結合していれば、いかなる
高分子化合物でもよい。高分子物質としては、例えば、
ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフ
ィンなどの各種樹脂が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0025】本発明の好適な実施形態において、抗菌性
高分子物質は、酸性基と該酸性基とイオン結合している
ホスホニウム塩基を含む高分子物質である。さらに好ま
しくは、抗菌性高分子物質が、ジカルボン酸成分及びグ
リコール成分を主成分とし、下記一般式(化1)で表さ
れるスルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウ
ム塩基を全酸成分に対し、1〜50モル%共重合したポ
リエステル樹脂が挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】式中、Aは芳香族基、X1、X2はエステル
形成性官能基、R1、R2、R3、R4はアルキル基であ
り、そのうちの少なくとも1個は炭素数10〜20のア
ルキル基を示す。好ましくは、式中、X1及びX2はカル
ボキシル基、C1〜C4アルコキシカルボニル基、ヒド
ロキシル基、C1〜C4アルコキシル基、ハロゲン原子
等であり、R1〜R4は炭素数1〜20のアルキル基であ
り、そのうちの少なくとも1つが炭素数10〜20のア
ルキル基である。特に好ましくは、式中、X1及びX2
カルボキシル基、メトキシカルボニル基であり、R1
4はは炭素数1〜20のアルキル基であり、そのうち
の少なくとも1つが炭素数12〜16のアルキル基であ
る。
【0028】この他、高分子物質の1つに下記一般式
(化2)で示されるホスホニウム塩系ビニル重合体が挙
げられる。
【0029】
【化2】
【0030】式中、Bは芳香族基、R5,R6,R7は水
素原子、炭素原子数1〜18個の直鎖又は分岐のアルキ
ル基、炭素数6〜18個のアリール基、または置換基と
してヒドロキシ基もしくはアルコキシ基を有する炭素数
1〜18個のアルキル基、アリール基もしくはアラルキ
ル基を表し、X-はアニオンを表わし、nは2以上の整
数を示す。
【0031】前記R5、R6、R7の具体例としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、ドデシルなどの炭素数1〜1
8のアルキル基、フェニル、トリル、キシリルなどのア
リール基、ベンジル、フェニチルなどのアラルキル基、
置換基としてヒドロキシル基、アルコキシ基などを有す
るアルキル基、アリール基などが特に好ましい。R5
6、R7は同一の基であっても良く、または異なった基
であってもよい。X-はアニオンであり、たとえばフッ
素イオン、塩素イオン、臭素イオンまたはヨウ素イオン
などのハロゲンイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、過
塩素酸イオンなどが挙げられる。なかでも、ハロゲンイ
オンが好ましい。nは2〜500が好ましく、10〜3
00が特に好ましい。
【0032】本発明の積層面に使用する抗菌性組成物に
おいて、好ましく使用され得る抗菌性高分子物質の具体
例として、ポリエステル樹脂を用いた抗菌性ポリエステ
ル樹脂が挙げられる。以下に、好ましい抗菌性ポリエス
テル樹脂の製造方法について詳しく説明する。
【0033】使用するジカルボン酸成分としては、テレ
フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、
必要に応じて、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン
酸、複素環式ジカルボン酸等を併用してもよい。脂環族
ジカルボン酸としては1,2−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族
ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン
酸、エイコ酸、ダイマー酸及びその誘導体などが挙げら
れる。複素環式ジカルボン酸としては、ピリジンカルボ
ン酸及びその誘導体が挙げられる。またp−オキシ安息
香酸などのオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無
水ピロメリット酸などの多価のカルボン酸を、必要に応
じて、併用してもよい。これらのジカルボン酸成分のう
ち、実用上の耐久性の点より、芳香族ジカルボン酸(例
えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸など)を、得られるポリエステル中の全
酸成分に対し、70モル%以上含むことが好ましい。そ
の他のジカルボン酸としては、1,4−ジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸が特に好ましい。
【0034】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタジオール、ネオペンチル
グリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル
1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペン
タンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジ
オール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジ
オールなどのアルキレングリコール、1,2−シクロヘ
キサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノ
ールAまたはFのアルキレンオキサイド付加物、ジエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキシ
ピバリン酸のネオペンチルグリコール(HPN)、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール
等が挙げられる。この他少量のアミド結合、ウレタン結
合、エーテル結合、カーボネート結合を含有する化合物
を含んでいてもよい。これらのうち、実用上の耐久性の
点より、エチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチ
ル1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノールが好ましい。また、必要に応じて、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトールなどの多価ポリオールを併用
しても良い。
【0035】スルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸のホ
スホニウム塩としては、スルホイソフタル酸トリ−n−
ブチルデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ
−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホテレ
フタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スル
ホテレフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム
塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチル
オクタデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ
−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソ
フタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリn−ブチルド
デシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7
−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム
塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ
−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、4−スルホ
ナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルヘ
キサデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテトラデシルホ
スホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカル
ボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩等が挙
げられ、抗菌活性の点からはスルホイソフタル酸トリ−
n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソフ
タル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、
スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニ
ウム塩が特に好ましい。
【0036】上記芳香族ジカルボン酸ホスホニウム塩
は、スルホ芳香族ジカルボン酸またはそのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等にトリ−n−ブチル
ヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチ
ルテトラデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブ
チルドデシルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム
塩を反応させることにより得られる。このときの反応溶
媒は特に限定しないが、水が最も好ましい。
【0037】前記共重合ポリエステルには着色度及びゲ
ル発生度等の耐熱性改善の目的で、酸化アンチモン、酸
化ゲルモニウム、チタン化合物等の重合触媒以外に酢酸
マグネシウム、塩化マグネシウム等のMg塩、酢酸カル
シウム、塩化カルシウム等のCa塩、酢酸マンガン、塩
化マンガン等のMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等のZn
塩、塩化コバルト、酢酸コバルト等のCo塩を各々金属
イオンとして300ppm以下、リン酸またはリン酸ト
リメチルエステル、リン酸トリエチルエステル等のリン
酸エステル誘導体をPとして200ppm以下添加する
ことも可能である。
【0038】上記重合触媒以外の金属イオンの総量が3
00ppm、またP量が200ppmを越えるとポリマ
ーの着色が顕著になるのみならず、ポリマーの耐熱性及
び耐加水分解性も著しく低下する傾向がある。このと
き、耐熱性、耐加水分解性等の点より、総P量と総金属
イオン量とのモル比が、0.4〜1.0であることが好
ましい。上記モル比が0.4未満または1.0を越える
場合には、本発明における有機系抗菌剤成分を主鎖また
は側鎖に結合した高分子物質が着色したり、該高分子物
質中で粗大粒子の発生が顕著となる傾向があるため、好
ましくない。
【0039】前記ポリエステルの製造法は特に限定され
ないが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応さ
せ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合
法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールと
をエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆる
エステル交換法などが挙げられ、任意の製造法を適用す
ることができる。
【0040】上記金属イオン及びリン酸及びその誘導体
の添加時期は特に限定しないが、一般的には金属イオン
類は原料仕込み時、すなわちエステル交換前またはエス
テル化前に、リン酸類の添加は重縮合反応前に添加する
のが好ましい。
【0041】本発明の積層面における抗菌性樹脂組成物
は、有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に結合した高分子
物質に親水性物質を混合しているか、または共有結合を
介して化学的に結合している。親水性物質の存在によ
り、抗菌性高分子物質を単独で使用したときと比べ、抗
菌性樹脂組成物の抗菌性を著しく向上させることができ
る。
【0042】本発明において、親水性物質とは、水と親
和性に優れた物質であり、水に溶解または分散可能な物
質をいう。例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボ
キシル基またはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基また
はそのアルカリ金属塩などの親水基またはそれらの誘導
体、あるいはエーテル結合を1分子内に2個以上含む有
機化合物または高分子化合物である。親水性物質の具体
例としては、ポリビニルアルコール、澱粉、アクリル酸
のホモポリマーまたは共重合体、メタクリル酸のホモポ
リマーまたは共重合体、無水マレイン酸のホモポリマー
または共重合体(例えば、無水マレイン酸・スチレン共
重合体)、ポリビニルスルホン酸のホモポリマーまたは
その共重合体またはそれらのアルカリ金属塩、ポリエチ
レングリコール(別名:ポリエチレンオキサイド)、ポ
リプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアル
キレングリコール、グリセリン、ポリグリセリンなどの
ポリオールまたはその重合体、ヒドロキシエチルセルロ
ース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセ
ルロース、カルボキシセルロースナトリウム、セルロー
スナイトレートカルボキシルメチルエーテルなどの水溶
性変性セルロースが挙げられる。また、上記共重合体を
構成するコポリマーとしては、スチレン、アクリル酸ア
ルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなどを
挙げることができ、これらコポリマーの共重合体中での
含有量は、共重合体に対し、10〜50重量%であるこ
とが好ましい。
【0043】前記親水性物質の分子量は特に限定しない
が、数平均分子量で200〜30000が好ましく、特
に好ましくは1000〜25000である。これらの親
水性物質は、前記有機系抗菌剤を結合した抗菌性高分子
物質に混合したり、または抗菌性高分子物質と共重合さ
せて使用する。
【0044】混合すべき前記親水性物質の量(共重合体
の場合は、共重合体中に占める親水性モノマーの量をい
う)は、ポリエステル樹脂に対して0.1〜20重量%
であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10
重量%であり、特に好ましくは1〜5重量%である。親
水性物質の量が、ポリエステル樹脂に対して0.1%未
満では、抗菌活性効果が不十分となる傾向があり、20
重量%を超えると抗菌性積層フィルムの機械的特性及び
耐熱性・耐候性が低下する傾向があり、好ましくない。
【0045】親水性物質との混合方法は特に限定せず、
製造方法、化学的性質、物理的性質により任意の方法を
採用できる。例えば、両者を押し出し機などを用いて加
熱溶融混合する方法、また、有機系抗菌剤を結合した高
分子物質と親水性物質を適当な溶媒中、例えば水、水/
アルコール混合溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、
シクロヘキサノンなどの有機溶媒に混合溶解または分散
した後、該溶媒を乾固する方法がある。
【0046】親水性物質を導入する別の方法としては、
上記のようにポリエステル樹脂に混合する代わりに、ア
ミノ基、アミド基、カルボキシル基又はそのアルカリ金
属塩等の親水基又は親水性誘導体を、ホスホニウム塩基
を含むポリエステル樹脂の主鎖又は側鎖に共重合するこ
ともできる。共重合することにより、相溶性が改善され
ると共に積層フィルムにした場合の外観、貯蔵安定性等
の物性も改善される。これらの親水基を共重合する方法
としては、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタ
レン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキ
シ)イソフタル酸などの金属塩または2−スルホ−1,
4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−
2,5−ヘキサンジオール等の金属塩などのスルホン酸
金属塩基を含有するジカルボン酸またはグリコールをポ
リエステル樹脂に共重合する方法、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等のアルキレングリコールをポリエステル樹
脂またはポリウレタン樹脂に共重合する方法、ジメチロ
ールプロピオン酸などのカルボキシル基含有ジオールを
鎖延長剤に用いてポリウレタン樹脂に導入する方法、親
水性基を有するビニル系モノマーをポリエステル樹脂に
グラフト重合する方法などが挙げられる。
【0047】前記親水性基を有するビニル系モノマーと
しては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミ
ド基などを含むもの、親水性基に変化させることができ
る基(酸無水物基、グリシジル基、クロル基など)を含
む、ものが挙げられる。その中でカルボキシル基を有す
るものが最も好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸及びそれらの塩等のカルボキシル基又はその塩を含
有するモノマー、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレ
ート等のアルキルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレー
ト、t−ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマ
ー、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−
メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメ
チルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルア
ミド、N,Nジメチロールアクリルアミド、N−フェニ
ルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキ
シ含有モノマー等が挙げられる。
【0048】その他の親水性基を有するモノマーとして
は、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基
含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸
及びそれらの塩等のスルホン酸基またはその塩を含有す
るモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸及びそれらの塩等のカルボキシル基またはその塩
を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸
等の酸無水物を含有するモノマーが挙げられる。これら
は他のモノマーと併用することができる。他のモノマー
としては、例えばビニルイソシアネート、アリルイソシ
アネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエ
チルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げ
られ、これらの中から1種類又は2種類を用いて共重合
することができる。
【0049】親水性基を有するモノマー(Mh)とそれ
以外のモノマー(Ma)との比率は、モル比で、Mh/
Ma=30/70〜100/0の範囲が好ましい。親水
性基を有するモノマーとの比率が30モル%未満では、
抗菌性を高める効果が十分に発揮されない傾向がみられ
るからである。
【0050】親水性基を含有するモノマーをポリエステ
ルにグラフトさせる方法としては、公知のグラフト重合
法を用いることができ、以下の方法が例示される。例え
ば、光、熱、放射線等によって主鎖の高分子物質にラジ
カルを発生させてからモノマーをグラフト重合させるラ
ジカル重合法、あるいはAlCl3、TiCl4等の触媒を用いて
カチオンを発生させるカチオン重合法、あるいは金属N
a、金属Li等を用いてアニオンを発生させるアニオン重
合法等がある。
【0051】また、あらかじめ主鎖の高分子物質に重合
性不飽和二重結合を導入し、これにビニル系モノマーを
グラフト重合させる方法があげられる。これに用いる重
合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、フマル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水マ
レイン酸等をあげることができる。このうち最も好まし
いものはフマル酸、マレイン酸、及び2,5−ノルボル
ネンジカルボン酸である。
【0052】また、側鎖に官能基を導入した主鎖の高分
子物質と、末端に前記の官能基と反応する基を有する枝
ポリマーを反応させる方法があげられる。例えば側鎖に
−OH基、−SH基、−NH2基、−COOH基、−C
ONH2基等の水素供与基を有する高分子と、片末端が
−N=C=O基、−CH=C=O基、 等の水素受容基であるビニル系共重合とを反応させる方
法、この逆の組み合わせで反応させる方法が挙げられ
る。
【0053】本発明の主鎖となる高分子物質(P)にグ
ラフトされる親水性ビニル系モノマー(VM)との重量
比は、P/VM=95/5〜40/60の範囲が好まし
く、さらに好ましくは93/7〜55/45、最も好ま
しくは90/10〜60/40の範囲である。主鎖の高
分子物質の重量比が40%未満であると、グラフト重合
性ビニル系モノマーが完全に反応しないまま残るため、
高分子物質が有する耐熱性、加工性、耐水性等の特性が
損なわれる傾向がある。また、主鎖の高分子物質の重量
比が95%を超えるときは、本発明の目的である抗菌性
の向上効果が充分に発揮されない傾向がある。
【0054】本発明における抗菌性組成物は、前述の有
機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に結合した高分子物質、
親水性物質に加えて、硬化剤及び不活性粒子を配合する
ことに特徴がある。硬化剤を配合することにより、耐久
性(耐熱水性、表面硬度)の良好な積層面を得ることが
できる。硬化剤は一般に熱硬化型樹脂と電離放射線硬化
型樹脂とに大別されるが、本発明における硬化剤として
は、樹脂設計の自由度、速硬化性、作業環境性の観点か
ら、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。電離放射線硬化
型樹脂は、少なくとも電子線あるいは紫外線照射により
硬化される樹脂を含有する組成物により形成される。具
体的には、光重合開始剤、光重合性プレポリマーを含有
し、更に必要に応じて光重合性モノマー、光増感剤、レ
ベリング剤等の添加剤、溶剤等を含有するものである。
【0055】光重合性プレポリマーは、分子骨格中に挿
入された反応基が電離線照射されることにより、ラジカ
ル重合又はイオン重合する。ラジカル重合性プレポリマ
ーとしてはアクリロイル基をを有するアクリル系プレポ
リマーが、イオン重合性プレポリマーとしてはエポキシ
基を含有するエポキシ系プレポリマーが代表的なもので
ある。アクリル系プレポリマーは、1分子中に2個以上
のアクリロイル基を有し、ウレタンアクリレート、エポ
キシアクリレート、エステルアクリレート等が使用でき
る。これらは官能基数が多いほど速硬化性があり硬度も
高くなる。エポキシ系プレポリマーとしては、ビスフェ
ノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノール
F型、フェノールノボラック型、脂環型等のエポキシオ
リゴマーが使用できる。エポキシ系プレポリマーはエポ
キシ基がカチオン的に開環重合するので熱的因子が硬化
反応に影響し、電離線照射時あるいは照射後50〜60
℃程度に加温することでさらに硬化反応性を高めること
ができる。光重合性プレポリマーの配合量は、有機系抗
菌剤成分を主鎖又は側鎖に結合した高分子物質と親水性
物質の合計量に対し5〜60重量%が好ましく、さらに
好ましくは15〜60重量%である。
【0056】光重合開始剤は、ラジカル重合性プレポリ
マーにおいては、アクリロイル基の反応を短時間で開始
させ、反応を促進するために添加され、触媒的な作用を
するものである。光開始剤の種類としては自己開裂する
ことによりラジカル重合させるもの、水素を引き抜くこ
とによりラジカル重合させるものがある。前者にはベン
ゾインエーテル類、ジアルコキシアセトフェノン類、ヒ
ドロキシアセトフェノン類、モルホリノアセトフェノン
類等が用いられ、これらの1種あるいは2種以上が使用
できる。またイオン重合性プレポリマーにおいては、光
重合開始剤は電離線エネルギーを吸収してカチオン重合
を開始させる触媒成分を放出する化合物であり、芳香族
ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨード
ニウム塩、メタロセン化合物等が用いられる。光開始剤
は、樹脂固形分に対して、好ましくは1〜10重量%、
さらに好ましくは2〜5重量%混合して使用する。
【0057】光重合性硬化型樹脂中には、前述の光重合
性プレポリマー、光重合開始剤の他に、必要に応じて光
重合性モノマーが添加される。特にラジカル重合性プレ
ポリマーにおいては、高粘度の光重合性プレポリマーを
希釈し、粘度を低下させ作業性を向上させる為に、また
架橋剤として積層面の強度を付与するために有効であ
る。ラジカル重合の光重合性モノマーとしては、2−エ
チルヘキシルアクルレート、2−ヒドロキシエチルアク
リレート等の単官能アクリルモノマー、エチレングリコ
ールジアクリレート、ネオペンチオルグリコールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールアアクリレート等
の2官能性アクリルモノマー、トリメチロールプロパン
トリアクリレート等の多官能アクリルモノマーの1種も
しくは2種以上が使用される。
【0058】さらに、本発明の抗菌性積層フィルムにお
ける積層面は、前述の有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖
に結合した高分子物質、親水性物質、硬化剤を配合する
組成物よりなる層が、艶消し外観を有することに特徴が
ある。
【0059】本発明の抗菌性積層フィルムにおいて、基
材フィルムの少なくとも片面に積層した抗菌性組成物層
の表面光沢度が65%以下であることが必要であり、好
ましくは50%以下、特に好ましくは40%以下であ
る。表面光沢度が65%を超えると、艶消しフィルムと
して不十分である。ここで表面光沢度とは、光沢度計で
角度60度で測定した値である。また、優美な外観性を
得るためには、フィルムの光線透過率が大きいほうがよ
い。フィルムの光線透過率は85%以上が好ましく、よ
り好ましくは88%以上である。
【0060】表面光沢度を制御する方法としては、基材
フィルムの少なくとも片面に積層した抗菌性組成物層の
表面に凹凸を形成することが必要である。表面凹凸形成
方法として、前記抗菌性組成物層中に無機あるいは有機
の粒子を添加する方法、サンドブラスト加工等の後加工
による方法、該層中に非相溶な成分を導入して海島構造
にさせる方法等が挙げられるが、表面光沢度の制御のし
やすさから無機あるいは有機の粒子を添加する方法が好
ましい。無機粒子としては、炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、アパタイ
ト、硫酸バリウム(BaSO4)、フッ化カルシウム
(CaF2)、タルク、マイカ、カオリン、酸化珪素
(SiO2)、アルミナ(Al23)、二酸化チタン、
酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化鉄(Fe23)、
アルミナ/シリカ複合酸化物、ホウ酸アルミニウムなど
が挙げられる。有機粒子としては、ポリスチレン、ポリ
メタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ベン
ゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホ
ルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・
ホルムアルデヒド縮合物、それらの共重合体、あるいは
それらの架橋体などが挙げられる。これらの無機粒子又
は有機粒子は単一で使用してもよいし、2種類以上混合
してもよい。
【0061】前記不活性粒子粒子の平均粒径は、0.1
μm〜15μmが好ましく、0.3μm〜10μmが特
に好ましい。平均粒径が0.1μm未満では、表面光沢
度を低下させるために、多量の粒子を添加させなければ
ならず、相対的に抗菌性組成物層中の抗菌剤成分量の低
下を生じる。その結果、本発明の目的とする十分な抗菌
性が得られない場合がある。また、平均粒径が15μm
を超える場合は、抗菌性組成物層の積層面にクラックを
生じやすくなり、また、優美な外観性を得ることができ
なくなる。また、不活性粒子の含有量は、抗菌性組成物
に対し、5〜60重量%とすることが好ましく、特に好
ましくは15〜45重量%である。さらに、本発明にお
いて樹脂との密着性や濡れ性、分散性を改善するため
に、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリン
グ剤、アルミニウム系のカップリング剤等を用いて粒子
表面を改質することもできる。
【0062】本発明において、抗菌性組成物層を基材フ
ィルムに積層後、電子線あるいは紫外線等の電離放射線
を照射すると、抗菌性組成物層中の光硬化型樹脂が反応
し硬化し、耐久性(耐熱水性、表面硬度)が良好な積層
面を得ることができる。電子線を照射する場合、走査型
あるいはカーテン型の電子線加速器を用い、加速電圧1
000keV以下、好ましくは100〜300keVの
エネルギーを有し、100nm以下の波長領域の電子線
を照射して行うことができる。紫外線を照射する場合、
低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアー
ク、メタルハライドランプ等を用い、100〜400n
m、好ましくは200〜400nmの波長領域で20〜
1500mJ/cm2の積算光量の紫外線を照射する。
【0063】本発明の抗菌性積層フィルムは、前記の抗
菌性組成物層を基材フィルムの少なくとも片面に積層し
てなるものである。ここでいう基材フィルムとは、特に
限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィル
ム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
フィルム、ナイロン6、ナイロン12、芳香族ナイロン
等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポ
リアリレートフィルム、ABSフィルム、ポリカーボネ
ートフィルム、ポリウレタンフィルムや合成紙等を用い
ることができる。また、基材フィルムは単層又は2層以
上の積層フィルムのいずれでもよい。また、必要に応じ
て、易接着性、制電性、防汚性、離型性、耐水性、ガス
バリア性、ヒートシール性等の他の機能を付与するため
に、塗布層または共押出し層を抗菌性組成物層の積層面
または基材フィルム面に設けてもよい。
【0064】また、基材フィルムは、未延伸フィルム、
縦または横の1軸延伸フィルム、縦・横または横・縦の
逐次2軸延伸フィルム、同時二軸延伸フィルムのいずれ
でもよい。
【0065】抗菌性組成物層を基材フィルム上に積層す
る方法としては、本発明の抗菌層組成物を溶媒に溶解ま
たは分散したものを、バーコーティング、スプレーコー
ティング、ブレードコーティング、グラビアコーティン
グ、グラビアリバースコーティング、グラビアオフセッ
トコーティング、ディップコーティング、ナイフコーテ
ィング等の通常の塗布法により基材フィルム上に塗布・
乾燥する方法が挙げられるがこれらに限定されるもので
はない。
【0066】上記方法等により基材フィルム上に抗菌性
組成物層を積層後、電子線あるいは紫外線を照射して硬
化させ、抗菌性、耐久性及び艶消し外観性に優れた硬化
型樹脂層を有する抗菌性積層フィルムを得ることができ
る。
【0067】本発明の艶消し外観を有する抗菌性積層フ
ィルムは、例えば、壁・壁紙・床・天井、病院や医療設
備・公共施設・一般家屋等の建材の窓枠やドアノブ、手
すり等、電子レンジ・炊飯器等の調理用機器、冷蔵庫・
洗濯機・電話機・掃除機等の家電製品、缶詰・飲料缶・
ペール缶・ドラム缶等の金属容器、システムキッチン・
流し台等の水廻り用品、エアコン・空気清浄機等の空調
機器、机・棚・テーブル等の家具類、医療用機器全般、
文具類、電車・自動車・船舶・航空機等の用途で化粧
板、内・外装板、構造体、付属品、部品等の構成材料と
して、又、食品・医療用品等の包装材料として好適であ
る。
【0068】
【実施例】次に、実施例及び比較例を用いて本発明を更
に詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるもので
はない。また、以下に実施例及び比較例で得られた抗菌
性積層フィルムの物性の測定方法を示す。
【0069】1.抗菌性試験 1/50ブロースで希釈したE.coli(大腸菌)の
菌液(濃度:105個/ml)の0.1mlを予め高圧
蒸気殺菌した、大きさ5cm×5cm角の試料フィルム
の抗菌性積層面上に滴下し、そのフィルムに高圧蒸気滅
菌したサランラップフィルムを密着させた。その試験片
を滅菌シャーレに移し、37℃で24時間培養した。そ
れからフィルム上の菌をSCDLP培地10mlで洗い
出し、10倍希釈し、普通寒天平板にまいてから24時
間後に菌数を計測した。上記の測定において、初期菌数
に対する24時間後の菌数の比は、0.1以下が好まし
く、0.05以下がさらに好ましく、0.01以下が特
に好ましい。
【0070】2.耐熱水性 大きさ10cm×10cm角のフィルム試料を97℃±
1℃にコントロールした蒸留水1L中に2時間浸漬後取
り出し、塗膜外観の変化を評価した。 ○:外観変化なし △:わずかに白化が認められる ×:著しい白化が認められる
【0071】3.表面硬度 抗菌性積層フィルムの積層面をJISS−6001に規
定された高級鉛筆を用い、JISK−540に従って測
定し、キズの有無を調べた。表面硬度(鉛筆硬度)は実
用上HB以上である必要があり、F以上が好ましく、H
以上が特に好ましい。
【0072】4.光沢度 積層面の光沢度の評価は、ASTM−D523に準拠し
て、角度60度で表面光沢度の測定をした。
【0073】(ポリエステル樹脂の製造例1)撹拌機、
温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチー
ル製オートクレーブにジメチルテレフタレート485
部、ジメチルイソフタレート388部、5−スルホイソ
フタル酸ジメチルトリ−n−ブチルドデシルホスホニウ
ム塩161部、エチレングリコール443.3部、ネオ
ペンチルグリコール400.4部、及びテトラ−n−ブ
チルチタネート0.52部を仕込み、160〜220℃
まで4時間かけてエステル交換反応を行った。ついでフ
マル酸29部を加え、200〜220℃まで1時間かけ
て昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmH
gの減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステル(A
−1)を得た。ポリエステルの組成は以下に示す通りで
ある。同様の方法により、表1に示すポリエステル(A
−2、A−3)を製造した。
【0074】 ―――――――――――――――――――― ジカルボン酸成分 テレフタル酸 50モル% イソフタル酸 40モル% C12ホスホニウム塩 5モル% フマル酸 5モル% ジオール成分 エチレングリコール 65モル% ネオペンチルグリコール 35モル% ――――――――――――――――――――
【0075】(グラフト重合体の製造例1)撹拌機、温
度計、環流装置と定量滴下装置を備えた反応器にポリエ
ステル(A−1)300部、メチルエチルケトン360
部、イソプロピルアルコール120部を入れ、加熱、撹
拌し、環流状態で樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解し
た後、アクリル酸65部とアクリル酸エチル35部、オ
クチルメルカプタン1.5部の混合物、アゾビスイソブ
チロニトリル6部を、メチルエチルケトン90部、イソ
プロピルアルコール30部の混合液に溶解した溶液とを
1.5時間かけてポリエステル溶液中にそれぞれ滴下
し、さらに3時間反応させ、グラフト重合体溶液(B−
1)を得た。同様の方法により、ポリエステル(A−
2、A−3)をグラフト重合し、表2に示す組成のグラ
フト重合体溶液(B−2、B−3)を得た。
【0076】(グラフト重合体の製造例2)グラフト重
合体の製造例1において、アクリル酸の量を20部、ア
クリル酸エチルの量を10部に変更した以外、グラフト
重合体の製造例1と同様な方法で、表2に示す組成のグ
ラフト重合体溶液(B−4)を得た。
【0077】(グラフト重合体の製造例3)グラフト重
合体の製造例1において、グラフトするモノマーとして
N−メチルアクリルアミド35部、アクリルアミド65
部を用いたことを除いて、グラフト重合体の製造例1と
同様な方法で、表2に示す組成のグラフト重合体溶液
(B−5)を得た。
【0078】(グラフト重合体の製造例4)グラフト重
合体の製造例1において、グラフトするモノマーとして
スチレン15部、酢酸ビニル85部を用いたことを除い
て、グラフト重合体の製造例1と同様な方法で、表2に
示す組成のグラフト重合体溶液(B−6)を得た。
【0079】実施例1 グラフト重合体溶液(B−1)100部(固形分)に対
して、アクリル系光重合性プレポリマー(C−1:ビー
ムセット700;荒川化学(株)製)35部、光開始剤
(D−1:イルガキュアー907;チバガイギー(株)
製)2.5部、有機粒子(E−1:エポスターM30
(平均粒径:3μm)とエポスターS12(平均粒径:
1.2μm)との重量比1:1の混合物;共に日本触媒
(株)製)35部を添加した後、メチルエチルケトンに
て全固形分濃度が12重量%となるように希釈液とし、
さらにエースホモジナイザーで6000回転/分の回転
速度で粒子を分散させてコーティング液とした。次い
で、厚さ50μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東
洋紡ポリエステルフィルム;東洋紡績(株)製)の片面
に、バーコーターにて塗布量が20g/m2(固形分で
2.4g/m2)となるようにコーティング液を塗布
し、熱風オーブン中で70℃で3分間乾燥した。その
後、紫外線照射装置にて800mJ/cm2の積算照射
光量の紫外線を照射して硬化させ、表層に硬化塗膜を有
する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示し
た。
【0080】比較例1 実施例1において、グラフト重合体溶液(B−1)の代
わりにポリエステル(A−1)を使用し、メチルエチル
ケトン、イソプロピルアルコールの混合液に溶解させた
ことを除いて、実施例1と同様な方法でコーティング液
を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有する積層体を形成
した。この塗膜の特性を表3に示した。
【0081】実施例2 実施例1において、グラフト重合体溶液を(B−1)か
ら(B−2)に、有機粒子(E−1)の添加量を55部
に変更した以外、実施例1と同様な方法でコーティング
液を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有する積層体を形
成した。この塗膜の特性を表3に示した。
【0082】比較例2 実施例1において、グラフト重合体溶液を(B−1)か
ら(B−3)に変更した以外、実施例1と同様な方法で
コーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有す
る積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示した。
【0083】実施例3 実施例1において、グラフト重合体溶液を(B−1)か
ら(B−4)に変更したことと、有機粒子(E−1)の
添加量を45部としたことを除いて、実施例1と同様な
方法でコーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜
を有する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示
した。
【0084】実施例4 実施例1において、グラフト重合体溶液を(B−1)か
ら(B−5)に変更したことと、有機粒子(E−1)の
添加量を85部としたことを除いて、実施例1と同様な
方法でコーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜
を有する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示
した。
【0085】比較例3 実施例1において、グラフト重合体溶液を(B−1)か
ら(B−6)に変更したことを除いて、実施例1と同様
な方法でコーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗
膜を有する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に
示した。
【0086】(ポリエステル樹脂の製造例2)撹拌機、
温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチー
ル製オートクレーブにジメチルテレフタレート436.
5部、ジメチルイソフタレート436.5部、5−スル
ホイソフタル酸ジメチルトリ−n−ブチルドデシルホス
ホニウム塩322部、エチレングリコール682部、及
び酢酸亜鉛0.55部を仕込み、160〜220℃まで
昇温して生成するメタノールを系外に留去しながら4時
間かけてエステル交換反応を行った。エステル交換反応
終了後、250℃にて分子量1000のポリエチレング
リコール(ナカライ(株)製)を55部、さらに酸化ア
ンチモン0.44部及びトリメチルホスフェートを0.
28部を加えて15分間撹拌し、反応系を徐々に減圧し
たのち、0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応さ
せ、ポリエステル(A−4)を得た。ポリエステル(A
−4)の組成は以下に示すとおりである。同様の方法に
より、表1に示すポリエステル(A−5、A−6)を製
造した。
【0087】 ―――――――――――――――――――― ジカルボン酸成分 テレフタル酸 45モル% イソフタル酸 45モル% C12ホスホニウム塩 10モル% ジオール成分 エチレングリコール 98.9モル% ポリエチレングリコール 1.1モル% ――――――――――――――――――――――
【0088】実施例5 ポリエステル(A−4)100部(固形分)に対して、
光開始剤を含有した1液型のエポキシ系光重合性プレポ
リマー(C−2:アデカKR566;旭電化(株)製)
33部、有機粒子(E−2:エポスターMS(平均粒
径:2μm);日本触媒(株)製)45部を添加した
後、メチルエチルケトンにて全固形分濃度が12重量%
となるように希釈液とし、さらにエースホモジナイザー
で6000回転/分の回転速度で粒子を分散させてコー
ティング液とした。ついで厚さ50μmの2軸延伸ポリ
エステルフィルム(東洋紡ポリエステルフィルム;東洋
紡績(株)製)の片面に、バーコーターにて塗布量が2
0g/m2(固形分で2.4g/m2)となるようにコー
テイング液を塗布した後、熱風オーブン中で70℃で3
分間乾燥した。その後、紫外線照射装置にて900mJ
/cm2の積算照射光量の紫外線を照射して硬化させ、
表層に硬化塗膜を有する積層体を形成した。この塗膜の
特性を表3に示した。
【0089】比較例4 実施例5において、ポリエステルを(A−4)から(A
−5)に変更したことを除いて、実施例5と同様な方法
でコーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有
する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示し
た。
【0090】比較例5 実施例5において、ポリエステルを(A−4)から(A
−6)に変更したことを除いて、実施例5と同様な方法
でコーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有
する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示し
た。
【0091】(ポリエステル樹脂の製造例3)撹拌機、
温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチー
ル製オートクレーブにジメチルテレフタレート436.
5部、ジメチルイソフタレート388部、5−スルホイ
ソフタル酸ジメチルトリ−n−ブチルドデシルホスホニ
ウム塩322部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナト
リウム74部、エチレングリコール443.3部、ネオ
ペンチルグリコール400.4部及び酢酸亜鉛0.55
部を仕込み、160〜220℃まで昇温して生成するメ
タノールを系外に留去しながら、4時間かけてエステル
交換反応を行った。エステル交換反応終了後、アンチモ
ン0.44部及びトリメチルホスフェートを0.28部
加えて15分撹拌し、反応系を徐々に減圧したのち、
0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、極限
粘度η=0.50のポリエステル(A−7)を得た。ポ
リエステル(A−7)の組成は以下に示すとおりであ
る。同様の方法により、表1に示したポリエステル(A
−8、A−9)を製造した。
【0092】 ――――――――――――――――――――――――――――― ジカルボン酸成分 テレフタル酸 45モル% イソフタル酸 40モル% C12ホスホニウム塩 10モル% 5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム 5モル% ジオール成分 エチレングリコール 65モル% ネオペンチルグリコール 35モル% ―――――――――――――――――――――――――――――
【0093】実施例6 ポリエステル(A−7)100部(固形分)に対して、
アクリル系光重合性プレポリマー(C−3:M710
0;東亜合成(株)製)35部、光開始剤(D−1)
2.5部、有機粒子(E−3:エポスターMS(平均粒
径:2μm)とエポスターS12(平均粒径:1.2μ
m)との重量比1:1の混合物;共に日本触媒(株)
製)65部を添加した後、メチルエチルケトンにて全固
形分濃度が12重量%となるように希釈液とし、さらに
エースホモジナイザーで6000回転/分の回転速度で
粒子を分散させてコーティング液とした。次いで、厚さ
50μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡ポリ
エステルフィルム;東洋紡績(株)製)の片面に、バー
コーターにて塗布量が20g/m2(固形分で2.4g
/m2)となるようにコーティング液を塗布した後、熱
風オーブン中で70℃で3分間乾燥した。その後、紫外
線照射装置にて800mJ/cm2の積算照射光量の紫
外線を照射して硬化させ、表層に硬化塗膜を有する積層
体を形成した。この塗膜の特性を表3に示した。
【0094】比較例6 実施例6において、ポリエステルを(A−7)から(A
−8)に変更したことを除いて、実施例6と同様な方法
でコーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有
する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示し
た。
【0095】比較例7 実施例6において、ポリエステルを(A−7)から(A
−9)に変更したことを除いて、実施例6と同様な方法
でコーティング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有
する積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示し
た。
【0096】比較例8 グラフト重合体溶液(B−1)100部(固形分)に対
して、有機粒子(E−1:エポスターM30(平均粒
径:3μm)とエポスターS12(平均粒径:1.2μ
m)との重量比1:1の混合物;共に日本触媒(株)
製)35部を添加した後、メチルエチルケトンにて全固
形分濃度が12重量%となるように希釈液とし、さらに
エースホモジナイザーで6000回転/分の回転速度で
粒子を分散させてコーティング液とした。ついで厚さ5
0μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡ポリエ
ステルフィルム;東洋紡績(株)製)の片面に、バーコ
ーターにて塗布量が20g/m2(固形分で2.4g/
2)となるようにコーティング液を塗布した後、熱風
オーブン中で120℃で3分間乾燥し、塗膜を有する積
層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示した。
【0097】比較例9 比較例8において、グラフト重合体液を(B−1)から
(B−2)に変更し、全固形分濃度が12重量%となる
ように希釈して、コーティング液とした。次いで、厚さ
50μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡ポリ
エステルフィルム;東洋紡績(株)製)の片面に、バー
コーターにて塗布量が20g/m2(固形分で2.4g
/m2)となるようにコーティング液を塗布した後、熱
風オーブン中で120℃で3分間乾燥し、塗膜を有する
積層体を形成した。この塗膜の特性を表3に示した。
【0098】比較例10 実施例1において、粒子を添加しないことを除いて、実
施例1と同様な方法でコーティング液を作成し、次いで
表層に硬化塗膜を有する積層体を形成した。この塗膜の
特性を表3に示した。
【0099】比較例11 実施例1において、有機粒子(E−1)の添加量を10
部としたことを除いて、実施例1と同様な方法でコーテ
ィング液を作成し、次いで表層に硬化塗膜を有する積層
体を形成した。この塗膜の特性を表3に示した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【発明の効果】本発明の抗菌性積層フィルムは、抗菌性
が良好で、実用上の使用に耐えうる優れた耐久性と、艶
消し外観性を併せ持っていることから、例えば壁・壁紙
・床・天井、病院や医療設備・公共施設・一般家屋等の
建材の窓枠やドアノブ、手すり等、電子レンジ・炊飯器
等の調理用機器、冷蔵庫・洗濯機・電話機・掃除機等の
家電製品、缶詰・飲料缶・ペール缶・ドラム缶等の金属
容器、システムキッチン・流し台等の水廻り用品、エア
コン・空気清浄機等の空調機器、机・棚・テーブル等の
家具類、医療用機器全般、文具類、電車・自動車・船舶
・航空機等の用途で化粧板、内・外装板、構造体、付属
品、部品等の構成材料として、又、食品・医療用品等の
包装材料として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 FA03 FA06 FA11 FA14 FA44 GA23 GA24 HD11 4F100 AH02A AH04A AH08A AJ20A AK01A AK12 AK22 AK25 AK26 AK42 AL04 AT00B BA02 CA05A CA30A GB08 GB15 GB48 GB66 HB00 JB05A JB14A JC00 JC00A JL00 JN21A JN26 JN26A YY00A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に結合
    した高分子物質、前記高分子物質に混合又は結合させた
    親水性物質、及び硬化剤を含有する組成物よりなる層を
    基材フィルムの少なくとも片面に積層し、かつ前記積層
    面の表面光沢度が65%以下であることを特徴とする抗
    菌性積層フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硬化剤が光重合性硬化型
    樹脂であることを特徴とする抗菌性積層フィルム。
  3. 【請求項3】 前記有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に
    結合した高分子物質がアンモニウム塩基、ホスホニウム
    塩基又は、スルホニウム塩基の少なくとも1種を主鎖及
    び/又は側鎖に有する重合体であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の抗菌性積層フィルム。
  4. 【請求項4】 前記親水性物質が水酸基、アミノ基、ア
    ミド基、カルボキシル基もしくはそのアルカリ金属塩、
    スルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、第4級アン
    モニウム塩基、アミン塩基、ポリエーテル鎖又はポリア
    ミン鎖の少なくとも1種を有する重合体であることを特
    徴とする請求項1乃至3記載の抗菌性積層フィルム。
  5. 【請求項5】 前記有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に
    結合した高分子物質と親水性物質成分が共有結合を介し
    て結合していることを特徴とする請求項1乃至4記載の
    抗菌性積層フィルム。
  6. 【請求項6】 前記有機系抗菌剤成分としてのホスホニ
    ウム塩基を主鎖又は側鎖に結合した高分子物質と親水性
    物質成分が共有結合を介して結合していることを特徴と
    する請求項3乃至5記載の抗菌性積層フィルム。
  7. 【請求項7】 前記光重合性硬化型樹脂が少なくとも光
    重合開始剤、光重合性プレポリマー及び/又は光重合性
    モノマーからなることを特徴とする請求項2乃至6記載
    の抗菌性積層フィルム。
  8. 【請求項8】 前記有機系抗菌剤成分を主鎖又は側鎖に
    結合した高分子物質及び、該高分子物質に混合又は結合
    させた親水性物質及び、硬化剤を含有する組成物よりな
    る層の中に無機物及び/又は有機物よりなる艶消し剤を
    含有することを特徴とする請求項1乃至7項記載の抗菌
    性積層フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002193267A (ja) * 2000-12-28 2002-07-10 Daiwa Can Co Ltd マット調容器およびその製造方法
JP2011525199A (ja) * 2008-05-06 2011-09-15 マラード クリーク ポリマーズ,インコーポレーテッド 抗菌性及び帯電防止性のポリマー並びに各種基材でのそのようなポリマーの使用方法
CN115228291A (zh) * 2022-08-10 2022-10-25 万华化学集团股份有限公司 一种抗污染、抑菌、大通量反渗透膜及其制备方法和应用

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