JP2001026076A - 抗菌性積層体 - Google Patents

抗菌性積層体

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JP2001026076A
JP2001026076A JP11199518A JP19951899A JP2001026076A JP 2001026076 A JP2001026076 A JP 2001026076A JP 11199518 A JP11199518 A JP 11199518A JP 19951899 A JP19951899 A JP 19951899A JP 2001026076 A JP2001026076 A JP 2001026076A
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antibacterial
polyolefin
acid
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JP11199518A
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English (en)
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Kenichi Miyamoto
憲一 宮本
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Hideto Ohashi
英人 大橋
Juji Konagaya
重次 小長谷
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い抗菌・防かび性が継続的に維持され、ま
た変色、しみなどを発生しない抗菌性積層体を提供する
こと。 【解決手段】 ポリオレフィンからなる基材の少なくと
も一方の最外層に、主鎖又は側鎖にアンモニウム塩基及
び/又はホスホニウム塩基を有する高分子物質を含有す
る抗菌性樹脂層が積層されてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性積層体、特
に、高い抗菌・防かび性が継続的に維持され、また変
色、しみなどを発生しない抗菌性積層体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】現在使用されている抗菌剤は、キチン、
キトサン、ワサビ抽出物、カラシ抽出物、ヒノキチオー
ル、茶抽出抗菌剤などの天然品、酸化チタン粒子に代表
される光酸化触媒、酸化亜鉛超微粒子、銀含有ゼオライ
ト、銀含有リン酸ジルコニウム等の無機系化合物、及び
有機アンモニウム塩系、有機ホスホニウム塩系化合物等
の合成品が挙げられる。
【0003】これらのうちでも、天然品及び無機品は、
安全性の面で最近注目を集めている。他方、有機系合成
品は、抗菌能が天然品、無機品より優れるのが一般的だ
が、抗菌剤が揮発、分離しやすく、その毒性のためにか
えって敬遠されがちである。これは有機系合成品の抗菌
剤が水や有機溶媒等に溶解しやすいためである。
【0004】このため、最近ではポリマー素材に有機系
の抗菌剤をイオン結合又は共有結合で結合した不溶性で
毒性を示さない固定化抗菌材が、特開昭54−8658
4号公報、特開平4−266912号公報、WO92/
814365号公報、特開平5−310820号公報に
記載されている。これら固定化抗菌材は、カルボキシル
基やスルホン酸等の酸性基とイオン結合したホスホニウ
ム塩基を高分子物質に固定化した抗菌性材料である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記有
機系の固定化抗菌材をポリオレフィンに使用した例は無
く、これら有機系の固定化抗菌材が、果たしてポリオレ
フィンに抗菌性及び防かび性を付与するのに適している
かどうかについては上記公報に何ら記載されていない。
代表的なポリオレフィンであるポリプロピレンは広い用
途で使われおり、その使用環境も多岐にわたっている。
例えば、射出成形品としては、自動車部品(バンパー、
ダッシュボード、ハンドルなど)、家庭用雑貨、玩具、
コンテナ類、家電部品(洗濯機、コーヒーメーカーな
ど)などが挙げられる。また、フィルムとしては、食品
包装、オーバーラップ(タバコ、カセット、菓子外箱な
ど)などが挙げられ、押し出し成形品としては、食品包
装用圧空成型トレー(肉、豆腐など)などに使用されて
いる。
【0006】食品包装用、家電部品、水廻りで使用され
る家庭用雑貨類においては、水分量が多く、低温から高
温までの大きな温度変化のある環境下で使用されるた
め、従来の有機系低分子抗菌剤あるいは銀系抗菌剤では
ブリードアウトにより抗菌性能は短期的に失われる。さ
らに、これら用途では防かび性能も望まれ、従来の低分
子抗菌剤や銀系抗菌剤に防かび剤を併用する必要があ
る。
【0007】自動車用内装材に使用される場合、自動車
室内は気候及び季節により高温から低温までの大きな温
度変化や該温度変化による結露があり、さらには夏期や
船便等での運搬時において、自動車室内が高温になると
いう苛酷な環境にあり、また、乗員の手や衣服との接触
により長時間摩擦されるため、使用される抗菌・防かび
剤は、かかる過酷な条件においても抗菌・防かび性が安
定して維持されなければならない。しかも、自動車室内
の装飾的観点から、内装材の構成材料に変色やしみ等を
発生させるものであってはならない。
【0008】よって、従来から使用されている有機系の
不溶性の固定化抗菌材が、果たして抗菌性及び防かび性
を有するポリオレフィンを製造するのに適しているかど
うかについては、何ら予測がつかないものである。
【0009】また、抗菌性を有するポリプロピレンフィ
ルムは従来より知られているが、それらの抗菌材成分
は、抗菌性を有する銀イオンをゼオライト等の無機系多
孔質に担持させたもの(例えば、特開平9−25433
6号公報、特開平9−248883号公報)や低分子有
機系抗菌剤(例えば、特開平11−105831号公
報)を使用したものである。しかしながら、低分子有機
系抗菌剤は水との接触により溶解し抗菌性が不十分とな
り、銀系無機抗菌剤では、低湿度下において充分な抗菌
性を発現することは難しく、更には光や熱により変色、
しみ等が生じ、外観を損なうという問題があった。
【0010】本発明は、上記従来の抗菌性積層体の有す
る問題点を解決し、高い抗菌・防かび性が継続的に維持
され、また変色、しみなどを発生しない抗菌性積層体を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の抗菌性積層体は、ポリオレフィンからなる
基材の少なくとも一方の最外層に、主鎖又は側鎖にアン
モニウム塩基及び/又はホスホニウム塩基を有する高分
子物質を含有する抗菌性樹脂層が積層されてなることを
特徴とする。
【0012】上記の構成からなる本発明の抗菌性積層体
は、高い抗菌・防かび性が継続的に維持され、また変
色、しみなどを発生することがない。
【0013】この場合において、ポリオレフィンからな
る基材の表面に、接着性樹脂層を介して抗菌性樹脂層が
積層されてなることができる。
【0014】また、この場合において、ポリオレフィン
からなる基材がポリオレフィンフィルムであることがで
きる。
【0015】また、この場合において、高分子物質がジ
カルボン酸成分及びグリコール成分を主構成成分とし、
下記一般式(1)で表されるスルホン酸基含有芳香族ジ
カルボン酸のホスホニウム塩基を有するポリエステル樹
脂であることができる。
【化2】
【0016】また、この場合において、抗菌性樹脂層が
親水性物質を含有することができる。
【0017】また、この場合において、親水性物質が側
鎖に親水性基を有するビニル系重合体であり、該ビニル
系重合体は高分子物質にグラフトしてなることができ
る。
【0018】さらにまた、この場合において、親水性物
質がカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有すること
ができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の抗菌性積層体の実
施の形態を説明する。
【0020】本発明の抗菌性積層体は、ポリオレフィン
からなる基材表面に、主鎖又は側鎖にアンモニウム塩基
及び/又はホスホニウム塩基を有する高分子物質からな
る抗菌性樹脂層が積層されている。
【0021】本発明において、基材を形成するポリオレ
フィンとしてはエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1、4−メチルペンテン−1などの単独重合体
又はこれらを主成分とした共重合体を挙げることがで
き、好ましいのはプロピレン単独重合体又はプロピレン
を主成分とし、少量のエチレン、ブテンなどオレフィン
をランダム又はブロック共重合した共重合体からなるポ
リオレフィンである。
【0022】本発明における基材とは、本発明における
抗菌性樹脂層を積層する基体となるものであってポリオ
レフィンフィルム(シートを含む、以下同じ)、ポリオ
レフィン樹脂板、ポリオレフィン成形品など任意の形状
のポリオレフィン成形物であってよいが、ポリオレフィ
ンからなる無延伸、1軸延伸、又は2軸延伸フィルムで
あるのが通常である。
【0023】本発明においては、上記ポリオレフィンか
らなる基材の少なくとも一方の最外層を形成する、抗菌
性及び防かび性を有し、主鎖又は側鎖にアンモニウム塩
基及び/又はホスホニウム塩基を有する高分子物質は、
通常、抗菌・防かび性能を有するアンモニウム塩基及び
/又はホスホニウム塩基を有する低分子の有機化合物な
どを高分子物質の分子鎖に結合させたものである。抗菌
・防かび性能を有するアンモニウム塩基及び/又はホス
ホニウム塩基を有する低分子の有機化合物としては、従
来から抗菌剤として使用されているものが広い範囲で使
用でき、イソチオシアン酸アリル、ポリオキシアルキレ
ントリアルキルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、
ヘキサメチレンビグアニド塩酸塩などの第4級アンモニ
ウム塩、有機シリコン第4級アンモニウム塩、あるいは
トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウムクロリド、
トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウムクロリドな
どの第4級ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸テトラ
アルキルホスホニウム塩又はそのジエステルなどが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。これらの
有機系抗菌剤の中では、高い抗菌活性と巾広い抗菌スペ
クトルを有するホスホニウム塩系化合物が最も好まし
い。
【0024】本発明の好適な実施形態においては抗菌性
樹脂層を形成する高分子物質は、酸性基及び該酸性基と
イオン結合しているホスホニウム塩基を含む高分子物質
であり、さらなる好適な実施例においては、ジカルボン
酸成分及びグリコール成分を主構成成分とし、次の一般
式(1)で示されるスルホン酸基含有芳香族ジカルボン
酸のホスホニウム塩を、ポリエステル樹脂を構成する全
酸成分に対し1〜50モル%共重合したポリエステル樹
脂である。
【0025】
【化3】
【0026】以下、上記一般式(1)で表されるモノマ
ー単位を構成モノマーとして含有するポリエステル樹脂
について詳述する。
【0027】上記ポリエステル樹脂を形成するジカルボ
ン酸成分の主成分は芳香族ジカルボン酸であって、好ま
しくはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸などが挙げられる。また、本発明の効果
を損なわない範囲で脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカル
ボン酸、複素環式ジカルボン酸などを併用してもよい。
脂環族ジカルボン酸としては1,2−シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ
る。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、
アゼライン酸、ダイマー酸及びその誘導体などが挙げら
れる。複素環式ジカルボン酸としては、ピリジンカルボ
ン酸及びその誘導体などが挙げられる。またp−オキシ
安息香酸などのオキシカルボン酸、無水トリメリット
酸、無水ピロメリット酸などの多価のカルボン酸を本発
明の効果を損なわない範囲で併用してもよい。このう
ち、塗膜にした場合の実用上の耐久性から芳香族ジカル
ボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸など)を得られるポリエステ
ル中の全酸成分に対して、70モル%以上含むことが好
ましい。芳香族ジカルボン酸以外に用いることができる
その他のジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸が特に好まし
い。また、必要に応じて、主鎖である上記ポリステル樹
脂で代表される高分子物質に、後述するように、親水性
モノマーをグラフト重合するために、予め主鎖の高分子
物質に重合性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モ
ノマーを反応させるべく、フマル酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、テトラヒドロ無水マレイン酸、2,5−ノ
ルボルネンジカルボン酸などを使用することもできる。
【0028】また、上記ポリエステル樹脂を形成するグ
リコール成分(ジオール成分)の主成分は、脂肪族グリ
コールであって、好ましくはエチレングリコール、1,
4−ブタンジオールなどが挙げられるが、その他エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパ
ンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、
3−メチル1,5−ペンタンジオール、2−メチル−
1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3
−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,1
0−デカンジオールなどのアルキレングリコール、1,
2−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコー
ル、ビスフェノールA又はFのアルキレンオキサイド付
加物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ヒドロキシピバリン酸、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
このうち、塗膜にした場合の実用上の耐久性がより好ま
しいのはエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノールである。また、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価
ポリオールを併用してもよい。
【0029】さらに、上記ポリエステル樹脂を形成す
る、一般式(1)で表されるスルホン酸基含有芳香族ジ
カルボン酸のホスホニウム塩としては、例えば、スルホ
テレフタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、
スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホス
ホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n
−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホテレフタ
ル酸−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、スルホイソ
フタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スル
ホイソフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニ
ウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデ
シルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブ
チルテトラデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸
−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフ
タレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシル
ホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカ
ルボン酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム
塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ
−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、4−スルホ
ナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテ
トラデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホ
ニウム塩などが挙げられ、抗菌活性の点からはスルホイ
ソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩が特に好ましい。
【0030】前記一般式(1)で表されるスルホン酸基
含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩はスルホ芳香
族ジカルボン酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩、ア
ンモニウム塩などにトリ−n−ブチルヘキサデシルホス
ホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルテトラデシルホ
スホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルドデシルホス
ホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩をイオン交換
反応させることにより得られる。このときの反応溶媒
は、水が最も好ましいが、特に限定されない。
【0031】前記一般式(1)のホスホニウム塩含有モ
ノマーの使用量は、得られるポリエステル樹脂中の全酸
成分に対して、一般式(1)のホスホニウム塩含有モノ
マーの含量が1〜50モル%、好ましくは3〜20モル
%となるような量とすればよい。一般式(1)のホスホ
ニウム塩含有モノマーを全酸成分に対し、1モル%未満
しか共重合していないポリエステル樹脂では、抗菌・防
かび性が得られにくい。また、50モル%を越えて共重
合しようとする場合には、ポリエステル重合時にゲル化
してしまい重合できない。
【0032】上記ポリエステル樹脂の製造法は特に限定
しないが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応
させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重
合法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコール
とをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆ
るエステル交換法などが挙げられ、これら任意の製造法
を適用することができる。
【0033】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
のように、本発明の抗菌・防かび性を有する高分子物質
中に親水性物質を含有する。この好ましい実施形態によ
れば、親水性物質の存在により、親水性物質を含有しな
い場合に比して、さらに著しく抗菌・防かび性が向上す
る。本発明において用いる親水性物質とは水と親和性に
優れた物質で、水に溶解、分散あるいは保水、保湿性、
膨潤可能な物質であり、例えばヒドロキシル基、アミノ
基、アミド基、カルボン酸基又はそのアルカリ金属塩、
スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩などの親水性基又
はそれらの誘導体、あるいはエーテル結合を1分子内に
2個以上含む有機化合物又は高分子化合物である。これ
らのうちでも、カルボン酸基、スルホン酸基を有する化
合物であるのが特に好ましい。本発明では、親水性基を
含むビニル系モノマーを、有機系抗菌剤を結合したポリ
エステル樹脂などの高分子物質にグラフトする方法を使
用できる。
【0034】本発明において抗菌性及び防かび性を有
し、主鎖又は側鎖にアンモニウム塩基及び/又はホスホ
ニウム塩基を有する高分子物質にグラフトさせることが
できる親水性基を有するビニル系モノマーとしては、カ
ルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、アミド基などを含
むものを挙げることができ、親水性基に変化させること
ができる基としては酸無水物基、グリシジル基、クロル
基などを含むものを挙げることができる。その中でカル
ボン酸基、スルホン酸基を有するものが最も好ましい。
カルボン酸基を有するビニル系モノマーとしては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。スルホン
酸基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、スチ
レンスルホン酸、ビニルスルホン酸などが挙げられる。
その他の親水性基を有するビニル系モノマーとしては、
例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含
有ビニル系モノマー、カルボン酸のエステルあるいはア
ルカリ金属塩を含有するビニル系モノマー、スルホン酸
のアルカリ金属塩を含有するビニル系モノマー、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するビ
ニル系モノマーが挙げられる。
【0035】これら親水性基を有するビニル系モノマー
は、必要に応じて、他のモノマーと併用することができ
る。他のモノマーとしては、例えばアクリル酸アルキル
エステル、メタクリル酸アルキルエステル、ビニルイソ
シアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニル
メチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニ
ル、塩化ビニルなどが挙げられ、これらの中から1種類
又は2種類を用いて共重合することができる。親水性基
を含有するビニル系モノマー(及び必要に応じて他のビ
ニル系モノマー)を高分子物質にグラフトさせる方法と
しては公知のグラフト重合法を用いることができる。そ
の代表例として以下の方法が挙げられる。例えば、光、
熱、放射線などによって主鎖の高分子物質にラジカルを
発生させてからモノマーをグラフト重合させるラジカル
重合法、あるいはAlCl3、TiCl4などの触媒を用
いてカチオンを発生させるカチオン重合法、あるいは金
属Na、金属Liなどを用いてアニオンを発生させるア
ニオン重合法などがある。
【0036】また、予め主鎖の高分子物質に重合性不飽
和二重結合を導入しこれにビニル系モノマーを反応させ
る方法が挙げられる。これに用いる重合性不飽和二重結
合を有するモノマーとしては、フマル酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、テトラヒドロ無水マレイン酸などを挙
げることができる。このうち最も好ましいものはフマル
酸、マレイン酸、及び2,5−ノルボルネンジカルボン
酸である。
【0037】また、本発明においては、必要に応じて、
本発明における抗菌性樹脂層を形成する組成物中に、そ
れを形成する高分子物質又は親水性物質の少なくとも1
種と反応し得る硬化剤を配合してもよい。硬化剤を配合
することによって、より良好な塗膜物性、例えば、耐摩
耗性、耐候性、耐水性、耐熱水性などを得ることができ
る。硬化剤の好ましい配合量は前記ポリエステル樹脂と
親水性物質の合計に対して5〜35重量%、さらに好ま
しくは10〜20重量%である。硬化剤としては、アル
キルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ
化合物及びイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0038】アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒ
ド樹脂とは、例えばメタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの炭
素、原子数1〜4のアルコールによってアルキルエーテ
ル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデ
ヒドなどと尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジア
ミド、アミノトリアジンなどとの縮合生成物であり、メ
トキシ化メチロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチ
ロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロール
ジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、ブ
トキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベ
ンゾグアナミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロ
ールメラミンなどが挙げられるが、加工性の面から好ま
しいのは、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化
メチロールメラミン、又はメトキシ化/ブトキシ化混合
型メチロールメラミンであり、それぞれ単独又は併用し
て使用することができる。
【0039】エポキシ化合物としてはビスフェノールA
のジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビ
スフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴ
マー、オルソイソフタル酸ジグリシジルエステル、イソ
フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシ
ジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステ
ル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸
ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエー
テル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリ
グリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオ
キシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロ
ールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタント
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグ
リシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド
付加物のトリグリシジルエーテル類を挙げることができ
る。
【0040】さらにイソシアネート化合物としては、例
えば、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上の
ポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合
物のいずれでもよい。例えば、テトラメチレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエン
ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイ
ソシアネート化合物の3量体、及びこれらのイソシアネ
ート化合物の過剰量と、例えば、エチレングリコール、
プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリ
セリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ンなどの低分子活性水素化合物又は各種ポリエステルポ
リオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類
の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末
端イソシアネート基含有化合物などが挙げられ、それら
の具体例として、日本ポリウレタン工業(株)製のコロ
ネートシリーズなどが挙げられる。
【0041】イソシアネート化合物としてはブロックイ
ソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック
化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メ
チルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾー
ル、キシレノール、レゾシノール、ニトロフェノール、
クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、
メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム
などのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロル
ヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどの
ハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペン
タノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラクタ
ム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プ
ロピオラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他に
も芳香族アミン類、イミド環、アセチルアセトン、アセ
ト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メ
チレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジ
アリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブ
ロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物と
イソシアネートブロック化剤とを公知の適宜の方法より
付加反応させて得られる。また、これらの硬化剤には、
その種類に応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進
剤を併用することもできる。
【0042】本発明において抗菌性樹脂層を形成するの
に用いる抗菌・防かび性組成物は、前記成分である抗菌
剤成分及び親水性物質を結合した高分子物質及び必要に
応じて硬化剤をそのままの形態で又は希釈した形態で含
有しているものである。該希釈剤としては、アセトン、
メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、t−ブ
チルアルコール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンなどの有機溶剤が例示できる。上記抗菌・防かび
性組成物に滑り性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、隠蔽
性などの物理的特性の向上を目的として、抗菌・防かび
性組成物中に予め炭酸カルシウム(CaCO3)、リン
酸カルシウム、アパタイト、硫酸バリウム(BaS
4)、フッ化カルシウム(CaF2)、タルク、カオリ
ン、酸化珪素(SiO2)、アルミナ(Al23)、二
酸化チタン、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化鉄
(Fe23)、アルミナ/シリカ複合酸化物などの無機
粒子、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル、ポリ
アクリル酸エステル、それらの共重合体、あるいはそれ
らの架橋体などの有機粒子などを添加することも可能で
ある。無機粒子として二酸化チタンを添加することで、
二酸化チタンの有する光触媒機能による消臭機能を付与
することが可能である。さらに本発明の抗菌・防かび性
組成物に銀含有ゼオライトなどの銀系抗菌材を添加する
ことも可能であるが、銀系抗菌材は光照射による変色及
び経時による抗菌性低下などが挙げられ、添加は好まし
くない。
【0043】ポリオレフィン基材への抗菌性樹脂層の付
着性を向上させる目的で、接着性樹脂層を設けることが
好ましい。接着性樹脂層としては、一般的には極性基を
共重合したポリオレフィン共重合体である。極性基の具
体例としては、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基
などが挙げられる。ポリオレフィン共重合体は、二重結
合を有するカルボン酸を側鎖に有する変性ポリオレフィ
ン系樹脂から形成されるのが好ましく、マレイン酸、フ
マル酸などのカルボン酸を公知の重合方法によりポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに対して
導入したものであり、これらのカルボン酸から1種又は
それ以上の官能基の変性を行ったものでもよい。さら
に、成形加工性などの改善のために、カルボン酸以外の
官能基、例えばエチルアクリレート、メチルアクリレー
トなどを同時に変性したものであってもよく、カルボン
酸が変性導入されたものであればよい。また、接着性樹
脂層を設ける方法としては共押出し、押出しコーティン
グなどが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。
【0044】図1の(A)、(B)、(C)、(D)、
(E)に本発明の抗菌性積層体の構成例を示す。
【0045】
【実施例】以下に本明細書における抗菌性樹脂層の特性
の測定方法を示す。
【0046】1.抗菌性テスト 大腸菌に対する抗菌性を調べるため、1/50ブロース
で希釈したE.Coli(大腸菌)の菌液(濃度:10
5個/cc)の0.1ccを予め高圧蒸気殺菌した、5
cm×5cmの大きさのフィルム試料上に滴下し、その
フィルムに高圧蒸気滅菌したサランラップフィルムを密
着させた。その試験片を滅菌シャーレに移し、37℃で
24時間培養した。それからフィルム上の菌をSCDL
P培地10ccで洗い出し、10倍希釈し、普通寒天平
板にまいた後24時間後に菌数を計測した。評価結果は
表1に示す。抗菌率は式1により得られる。フィルム試
料には、各実施例、比較例で得られたままのフィルム
(未処理フィルム(1))の他、耐水性試験(3)後、
耐熱水性試験(4)後、耐湿性試験(5)後の各フィル
ムを用いた。
【0047】
【式1】
【0048】本明細書における「抗菌性がある」、とは
抗菌率が50%以上を達成することであり、好ましくは
90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましく
は99%以上を達成することである。
【0049】2.防かび性テスト JIS−Z−2911 6.2.2に準じた方法で、無
機塩寒天培地平板上に5cm×5cmの大きさのフィル
ム試料を貼付し、下記のかび5菌株の胞子懸濁液にシュ
クロースを5%添加した混合液0.2ccを噴霧して2
7±1℃で28日間培養後かびの生育状態を評価した。
評価結果は表2に示す。フィルム試料には、各実施例、
比較例で得られたままのフィルム(未処理フィルム
(1))の他、耐水性試験(3)後、耐熱水性試験
(4)後、耐湿性試験(5)後の各フィルムを用いた。 (試験菌株) ・Aspergillus niger ATCC 6
275 ・Penicillium citrinum ATC
C 9849 ・Chaetomium globosum ATCC
6205 ・Rhizopus stolonifer ATCC
10404 ・Aureobasidium pullulans
IFO 6353 (かび抵抗性表示:防かび性評価) 評価1:かびの生育は試料面積の1/3を越える 評価2:かびの生育は試料面積の1/3以内 評価3:かびの生育を認めない
【0050】3.耐水性評価 50℃の温水に1日間浸漬した直後の外観変化の様子を
観察した。評価結果は表3に示す。 ◎:異常なし ○:少し白化 △:白化 ×:溶出 さらにはその評価後の試験片について、上記「1.抗菌
性テスト」「2.防かび性テスト」の方法に従って、抗
菌性及び防かび性を評価した。
【0051】4.耐熱水性評価 95℃の熱水に2時間浸漬した直後の外観変化の様子を
観察した。評価結果を表3に示す。評価の方法は耐水性
評価の場合と同様である。さらにはその評価後の試験片
について、上記「1.抗菌性テスト」「2.防かび性テ
スト」の方法に従って、抗菌性及び防かび性を評価し
た。
【0052】5.耐湿性評価 湿度95%、50℃に240時間さらした後の外観変化
の様子を観察した。評価結果を表3に示す。評価の方法
は耐水性評価の場合と同様である。さらにはその評価後
の試験片について、上記「1.抗菌性テスト」「2.防
かび性テスト」の方法に従って、抗菌性及び防かび性を
評価した。
【0053】6.付着性評価 碁盤目試験法に準拠して行った。評価結果を表3に示
す。
【0054】7.耐摩耗性評価 新フォード式摩耗試験機にて、10,000回の摩擦試
験を行った後の様子を観察した。評価結果を表3に示
す。 ◎:異常なし ○:少し白化 △:毛羽立ち ×:剥離
【0055】以下、製造例、実施例及び比較例を用いて
本発明をさらに詳細に説明するが、これらの製造例及び
実施例に限定されるものではない。ポリプロピレンフィ
ルムとしては住友化学社製のFS2011Dよりなる未
延伸フィルムを用いた。
【0056】「製造例A(ポリエステル樹脂の製造
例)」撹拌機、温度計及び部分還流式冷却器を備えたス
テンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタ
レート485部、ジメチルイソフタレート388部、5
−スルホジメチルイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシ
ルホスホニウム塩(以下「C12ホスホニウム塩」とい
う)161部、エチレングリコール443.3部、ネオ
ペンチルグリコール400.4部及びテトラ−n−ブチ
ルチタネート0.52部を仕込み、160〜220℃ま
で4時間かけてエステル交換反応を行った。ついでフマ
ル酸29部を加え、200〜220℃まで1時間かけて
昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.2mmHgの
減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステルを得た。
ポリエステルの組成は以下に示すとおりである。 ジカルボン酸成分 テレフタル酸 50モル% イソフタル酸 40モル% C12ホスホニウム塩 5モル% フマル酸 5モル% ジオール成分 エチレングリコール 65モル% ネオペンチルグリコール 35モル%
【0057】「製造例B(グラフト重合体の製造例
1)」撹拌機、温度計、環流装置と定量滴下装置を備え
た反応器に製造例Aで作成したポリエステル200部、
メチルエチルケトン480部、イソプロピルアルコール
120部を入れ、加熱・撹拌し環流状態で樹脂を溶解し
た。樹脂が完全に溶解した後、 アクリル酸(AA)112部、アクリル酸エチル(E
A)88部、オクチルメルカプタン3.0部の混合物及
び アゾビスイソブチロニトリル12部をメチルエチルケ
トン480部、イソプロピルアルコール120部の混合
液に溶解した溶液、の、を1.5時間かけてポリエ
ステル溶液中にそれぞれ滴下し、さらに4時間反応さ
せ、グラフト重合体溶液(固形分率25%)を得た。
【0058】(実施例1)製造例Bより得られたグラフ
ト重合体溶液20.0部及びメチルエチルケトン80.
0部を混合し目的とする抗菌性コート液を得た。このコ
ート液を固形分の塗布量が0.3g/m2となるように
ポリプロピレンフィルムに塗布後、80℃で3分間熱処
理し、樹脂積層ポリプロピレンフィルムを作成した。こ
の樹脂積層ポリプロピレンフィルムの特性を表1、2及
び3に示す。
【0059】(実施例2)製造例Bより得られたグラフ
ト重合体溶液20.0部、コロネートHL1.0部及び
メチルエチルケトン80.0部を混合し目的とする抗菌
性コート液を得た。このコート液を固形分の塗布量が
0.3g/m2となるようにポリプロピレンフィルムに
塗布後、80℃で3分間熱処理し、樹脂積層ポリプロピ
レンフィルムを作成した。この樹脂積層ポリプロピレン
フィルムの特性を表1、2及び3に示す。
【0060】(実施例3)製造例Bより得られたグラフ
ト重合体溶液20.0部及びメチルエチルケトン80.
0部を混合し目的とする抗菌性コート液を得た。接着性
樹脂層(三井石油化学工業社製/商品名:アドマーSE
800)を設けたポリプロピレンフィルムの接着性樹脂
層の上に該抗菌コート液を固形分の塗布量が0.3g/
2となるように塗布後、80℃で3分間熱処理し、樹
脂積層ポリプロピレンフィルムを作成した。この樹脂積
層ポリプロピレンフィルムの特性を表1、2及び3に示
す。
【0061】(実施例4)製造例Aにおいて、C12ホ
スホニウム塩の代わりに5−スルホジメチルイソフタル
酸トリ−n−ブチルドデシルアンモニウム塩を使用する
以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層ポリプロピレ
ンフィルムを作成した。この樹脂積層ポリプロピレンフ
ィルムの特性を表1、2及び3に示す。
【0062】(比較例1)ポリプロピレンフィルムの抗
菌性能及び防かび性能を評価した。その結果を表1及び
2に示す。なお、未処理(1)の状態ですでに抗菌率が
−500(%)と著しく悪いため耐水性、耐熱水性、耐
湿性の測定は中止した。
【0063】(比較例2)接着性ポリプロピレン(三井
石油化学工業社製/商品名:アドマーSE800)に1
重量%の抗菌・防かび性ゼオライトを混合したものを、
積層量が0.3g/m2となるようにポリプロピレンフ
ィルム上に押出しラミネートし、樹脂積層ポリプロピレ
ンフィルムを作成した。この樹脂積層ポリプロピレンフ
ィルムの特性を表1、2及び3に示す。
【0064】実施例1、2、3、4及び比較例1、2で
得られた抗菌性樹脂層の抗菌性評価結果を表1に、防か
び性評価結果を表2に、その他の塗膜特性(外観変化及
び耐久性)の評価結果を表3に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【発明の効果】本発明の抗菌・防かび性を有する抗菌性
積層体は優れた抗菌・防かび性を有するとともに、その
抗菌性及び防かび性が継続的に維持され、また変色、し
みなどが発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、
それぞれ抗菌性積層体の層構成を示す断面図を示す。
【符号の説明】
1 ポリオレフィンフィルム 2 抗菌性樹脂層 3 接着性樹脂層 4 ヒートシール性樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 英人 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 小長谷 重次 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4F100 AK01B AK01C AK03A AK07 AK21B AK21C AK41B AK41C AL01B AL01C AL04B AL04C AL05B AL05C BA02 BA03 BA07 BA10B BA10C EH46 EH462 GB15 GB33 GB48 GB84 JB05B JB05C JC00 JC00B JC00C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィンからなる基材の少なくと
    も一方の最外層に、主鎖又は側鎖にアンモニウム塩基及
    び/又はホスホニウム塩基を有する高分子物質を含有す
    る抗菌性樹脂層が積層されてなることを特徴とする抗菌
    性積層体。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィンからなる基材の表面に、
    接着性樹脂層を介して抗菌性樹脂層が積層されてなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の抗菌性積層体。
  3. 【請求項3】ポリオレフィンからなる基材がポリオレフ
    ィンフィルムであることを特徴とする請求項1又は2記
    載の抗菌性積層体。
  4. 【請求項4】 高分子物質がジカルボン酸成分及びグリ
    コール成分を主構成成分とし、下記一般式(1)で表さ
    れるスルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウ
    ム塩基を有するポリエステル樹脂であることを特徴とす
    る請求項1、2又は3記載の抗菌性積層体。 【化1】
  5. 【請求項5】 抗菌性樹脂層が親水性物質を含有するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の抗菌性積
    層体。
  6. 【請求項6】 親水性物質が側鎖に親水性基を有するビ
    ニル系重合体であり、該ビニル系重合体は高分子物質に
    グラフトしてなることを特徴とする請求項5記載の抗菌
    性積層体。
  7. 【請求項7】 親水性物質がカルボン酸基及び/又はス
    ルホン酸基を有することを特徴とする請求項6記載の抗
    菌性積層体。
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Cited By (5)

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