JP4517348B2 - ダイシング装置及びダイシング方法 - Google Patents
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すなわち、ウエーハをダイシングする際に、ウエーハ固定用シートも少し切断(ハーフカット)されるが、このウエーハ固定用シートがハーフカットされることにより、ウエーハ固定用シートの断面積が部分的に減少し、ウエーハ固定用シートの引張強度が低下する。これにより、ウエーハ固定用シートの張力が低下し、ダイシングブレードによるカットラインが蛇行してしまい、ウエーハから切断分離された後のチップの位置がずれてしまう。この結果、次工程の実装工程において、ウエーハをダイシングして得られた複数個のチップを同時にノズルで吸着保持できなくなり、実装装置の停止を頻繁に発生させてしまう不具合がある(ピックアップミスの発生)。
ここで、シート保持治具には1つの貫通穴が形成されているだけであるため、従来技術のように複数の貫通穴を設ける場合に必要な梁状部が不要となる。シート保持治具に梁状部を設けないことにより、貫通穴の内部にデッドスペースがなくなり、その分だけウエーハ固定用シートに貼り付けられるウエーハの個数を増大させることができる。これにより、ウエーハのダイシング効率を向上させることができる。また、梁状部がないため、ウエーハ同士の間隔(ピッチ)を狭くすることができ、これによりウエーハをダイシングして得られた複数のチップの間隔(ピッチ)も狭くなり、次工程の実装工程において実装装置を小型化することができる。
また、ダイシングテーブルを溝の位置や溝幅が異なる別のダイシングテーブルと交換することにより、大きさの異なるウエーハや、シート保持治具内における配置の異なるウエーハにも対応させることができる。これにより、シート保持治具に形成された貫通穴の大きさを変えるなどの設計変更の必要性がなく、シート保持治具の汎用性が得られるため、シート保持治具の製造コスト(加工材料費など)を大幅に低減させることができる。
さらに、ウエーハのダイシング時には、ウエーハが凸部の上面に押し付けられた状態で切断手段により切断されるため、切断手段のせん断応力やその振動でチップの端部が欠けてしまうことを防止できる。
第2工程において、ウエーハが貼り付けられたウエーハ固定用シートの貼付領域と対応する位置に形成された1つの貫通穴が、ダイシングテーブルの上面に設けられかつシート保持治具の厚み寸法と略同じ寸法の高さの凸部に嵌合するように、シート保持治具をダイシングテーブルの上面に載置させる。
第3工程において、凸部の上面であってウエーハが貼り付けられたウエーハ固定用シートの貼付領域と対向する位置に設けられた第1吸着穴と、凸部の上面であってウエーハが貼り付けられていないウエーハ固定用シートの非貼付領域と対向する位置に形成されかつ深さ寸法がウエーハ固定用シートの厚み寸法以上である溝の底面に設けられた第2吸着穴と、から真空吸引手段により空気がそれぞれ吸引されて、貼付領域を凸部の上面に吸着させ、非貼付領域を溝の底面に吸着させて凹ませる。このように、ウエーハ固定用シートを凸部の上面に吸着させた状態で、別途設けたダイシングブレードなどの切断手段によりウエーハが切断され、チップに分離される。
なお、凸部の高さ寸法がシート保持治具の厚み寸法と略同じ寸法であるため、ウエーハ固定用シートが吸着されたときにウエーハ固定用シートに撓みが生じない。
ここで、第3工程では、溝の深さ寸法がウエーハ固定用シートの厚み寸法以上であるため、ウエーハ固定用シートの非貼付領域を第2吸着穴に吸着させると、ウエーハ固定用シートの非貼付領域が溝に沿って凹み、ウエーハ固定用シートの貼付領域と非貼付領域とで段差が生じる。この状態で、切断手段によりウエーハをダイシングすると、非貼付領域が切断手段によりその一部ですら切られることがない。このため、ウエーハ固定用シートの非貼付領域の断面積が低下することがなく、非貼付領域の部位でウエーハ固定用シートの引張強度が低下することがない。これにより、ダイシング時における切断手段によるカットラインが蛇行することがなく、ウエーハから切断分離された後のチップが位置ずれしてしまうことを抑制できる。この結果、次工程である実装工程において、複数のチップを同時にノズルで吸着保持することができ、実装装置の稼働率を向上させることができるため、チップを実装して得られる電子部品の生産性を向上させることができる。
なお、溝16同士の間隔(溝16の位置)や溝幅は、ウエーハWの大きさや貼り付け状態により適宜調整することができる。例えば、ウエーハWが貼り付けられたウエーハ固定用シート18の貼付領域と対向する位置に凸部14の上面が位置し、ウエーハW同士の間にあるウエーハWが貼り付けられていないウエーハ固定用シート18の非貼付領域と対向する位置に溝16が位置するように構成されていれば、溝16同士の間隔(溝16の位置)や溝幅が特に限定されるものではない。
また、凸部14の上面と溝16の底面には、ウエーハ固定用シート18の貼付領域と非貼付領域にそれぞれ対応する複数の微小な第1吸着穴20及び第2吸着穴22(図4参照)がそれぞれ形成されている。また、凸部14の内部とダイシングテーブル12とで空間部24(図4参照)が形成されており、この空間部24が第1吸着穴20及び第2吸着穴22と連通することにより空間部24が空気の流路として機能する。また、ダイシングテーブル12の下面にはチューブ26を介して真空吸引装置(真空吸引手段)28が配置されている。このチューブ26は空間部24と連通されており、真空吸引装置28により第1吸着穴20及び第2吸着穴22を通しての空気吸引が可能となっている。
なお、チューブ26は、ダイシングテーブル12に対して取り外し可能となるように接続されている。これにより、ダイシングテーブル12を溝の位置や溝幅が異なる凸部を有した別のダイシングテーブルと容易に交換することができる。また、溝の位置や溝幅が異なる別のダイシングテーブルに交換することにより、大きさの異なるウエーハや、シート保持治具30内における配置の異なるウエーハにも対応させることができる。これにより、シート保持治具30に形成された貫通穴32の大きさを変えるなどの設計変更の必要性がなく、シート保持治具30の汎用性が得られるため、シート保持治具30の製造コスト(加工材料費など)を大幅に低減させることができる。
また、図1及び図2に示すように、ダイシングテーブル12の上面であって凸部14の周辺部には、後述するシート保持治具30を位置決めするための2本の位置決めピン36、38がそれぞれ設けられている。
また、凸部14がダイシングテーブル12に対して取り外し可能となるように構成されていてもよい。かかる構成とすることにより、溝16の位置や溝幅が異なる複数の凸部を別途用意しておけば、ウエーハWの大きさやその貼付状態に応じて最適な別の凸部と容易に交換することができ、ウエーハWの大きさや貼付位置が異なる場合でも容易に対応することができる。また、特に、凸部14を別の凸部に交換するだけで済み、ダイシングテーブル12自体を別のダイシングテーブルと交換する場合と比較して、取替え作業の労力を格段に低減させることができる。
なお、ウエーハ固定用シート18の粘着層18Bとして、発泡剥離性の粘着剤や、紫外線により粘着力が低下する粘着剤を用いてもよい。
ここで、貫通穴32の外縁部又はその外側近傍に設けられたシリコン粘着層40によりウエーハ固定用シート18がシート保持治具30の上面に粘着保持されるため、シート保持治具30がダイシングブレード46の移動の障害とならない。これにより貫通穴32の内部のデッドスペースが解消され、ウエーハ固定用シート18の単位面積あたり多くのウエーハWを貼り付けることができ、より多くのウエーハWをダイシングすることができる。この結果、ウエーハWのダイシングにより生じたチップを実装して得られる電子部品の生産性を大幅に向上させることができる。
ここで、シート保持治具30には1つの貫通穴32が形成されているだけであるため、従来技術のように複数の貫通穴を設ける場合に必要な梁状部が不要となる。シート保持治具30に梁状部を設けないことにより、デッドスペースがなくなり、その分だけウエーハ固定用シート18に貼り付けられるウエーハWの個数を増大させることができる。これにより、ウエーハWのダイシング効率を向上させることができる。また、梁状部がないため、ウエーハW同士の間隔(ピッチ)を狭くすることができ、これによりウエーハWをダイシングして得られた複数のチップの間隔(ピッチ)も狭くなり、実装工程において実装装置を小型化することができる。
このように、ウエーハ固定用シート18が凸部14に吸着された状態で、ダイシングブレード46によってウエーハWがダイシングされる。これにより、ウエーハWが切断されて複数のチップに分離される。このとき、溝16の深さ寸法がウエーハ固定用シート18の厚み寸法以上であるため、ウエーハ固定用シート18の非貼付領域が第2吸着穴22に吸着されて、ウエーハ固定用シート18の非貼付領域が溝16に沿って凹むと、ウエーハ固定用シート18の貼付領域と非貼付領域とで段差が生じる。この状態で、ダイシングブレード46によりウエーハWをダイシングすると、非貼付領域がダイシングブレード46によりほんの一部ですら切られることがない。このため、ウエーハ固定用シート18の非貼付領域の断面積が低下することがなく、非貼付領域の部位でウエーハ固定用シート18の引張強度が低下することがない。これにより、図5(A)に示す従来のダイシング装置のダイシングブレードによるカットラインと異なり、図5(B)に示すように、ダイシング時におけるダイシングブレード46によるカットラインが蛇行することがなく、ウエーハWから切断分離された後のチップの位置ずれを抑制できる。この結果、実装工程において、複数のチップを同時にノズルで吸着保持することができ、実装装置の稼働率を向上させることができるため、チップを実装して得られる電子部品の生産性を向上させることができる。
また、ウエーハWのダイシング時には、ウエーハWが凸部14の上面に押し付けられた状態でダイシングブレード46により切断されるため、ダイシングブレード46のせん断応力やその振動でチップの端部が欠けてしまうことを防止できる。
また、ウエーハ固定用シート18の溝16によって凹んだ非貼付領域には、ダイシングブレードよる傷がないため、ウエーハ固定用シート18の断面積が減少することがない。これにより、ウエーハ固定用シート18の引張強度が非貼付領域の部位で低下することがなく、ウエーハ固定用シート18が変形した場合、ウエーハ固定用シート18に重量が作用した場合、温度変化や経時変化があった場合にも、ウエーハ固定用シート18に撓みが発生し難くなる。
なお、チップが剥離されたウエーハ固定用シート18は、シート保持治具30から引き剥がされて、廃棄される。また、シート保持治具30は、ダイシング工程に戻され、再利用される。
また、シート保持治具30をダイシングテーブル12に対して位置決めするための手段としては、シート保持治具30の一辺に設けたVノッチ44と、2本の位置決めピン36、38と、プッシャーピン42との組合せに限られるものではない。例えば、シート保持治具30の直角な2辺を位置決めするダイシングテーブルの直角な衝止面(図示省略)と、この衝止面にシート保持治具30をXY方向に押し付ける2個の駆動装置(図示省略)との組合せや、シート保持治具30に設けた複数の位置決め穴(図示省略)とダイシングテーブル12の上面に設けられ複数の位置決め穴に嵌合する複数のピン(図示省略)との組合せでもよい。
また、ウエーハW、ウエーハ固定用シート18、シート保持治具30の外形形状は矩形状である必要はない。ただ、矩形状のウエーハWを取り扱う場合、ウエーハ固定用シート18を矩形状とすれば、その有効面積が増加することになり、ウエーハ固定用シート18上のデッドスペースが少なくなるという利点がある。
12 ダイシングテーブル
14 凸部
16 溝
18 ウエーハ固定用シート
20 第1吸着穴
22 第2吸着穴
28 真空吸引装置(真空吸引手段)
30 シート保持治具
32 貫通穴
40 シリコン粘着層(粘着層、保持手段)
52 真空吸引装置(真空吸引手段)
54 真空吸引装置(真空吸引手段)
W ウエーハ
Claims (8)
- ウエーハを切断してチップに分離するためのダイシング装置であって、
複数のウエーハが所定間隔をあけて貼り付けられるウエーハ固定用シートを保持する保持手段を有し、前記ウエーハ固定用シートに貼り付けられた前記ウエーハと対応する位置に1つの貫通穴が形成されたシート保持治具と、
前記貫通穴と嵌合しかつ前記シート保持治具の厚み寸法と略同じ寸法の高さの凸部を有し、前記凸部の上面であって前記ウエーハが貼り付けられた前記ウエーハ固定用シートの貼付領域と対向する位置に第1吸着穴が設けられ、前記凸部の上面であって前記ウエーハが貼り付けられていない前記ウエーハ固定用シートの非貼付領域と対向する位置に溝が設けられ、前記溝の底面に第2吸着穴が設けられたダイシングテーブルと、
前記ダイシングテーブルに接続され、前記第1吸着穴及び前記第2吸着穴から空気吸引する真空吸引手段と、
を有することを特徴とするダイシング装置。 - 前記凸部が前記ダイシングテーブルから取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダイシング装置。
- 前記溝の深さ寸法が前記ウエーハ固定用シートの厚み寸法以上であり、
前記ウエーハ固定用シートの前記非貼付領域を前記真空吸引手段の吸引力により前記溝の底面に吸着させることにより前記非貼付領域を凹ませることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイシング装置。 - 前記保持手段は、前記貫通穴の外縁部又はその外側近傍に設けられた粘着層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダイシング装置。
- 前記真空吸引手段を複数設け、
一の前記真空吸引手段により前記第1吸着穴から空気吸引され、他の前記真空吸引手段により前記第2吸着穴から空気吸引されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のダイシング装置。 - ウエーハ固定用シートをシート保持治具に保持させ前記ウエーハ固定用シートに複数のウエーハが所定間隔をあけて貼り付けられる第1工程と、
前記ウエーハ固定用シートに貼り付けられたウエーハと対応する位置に形成された1つの貫通穴が、ダイシングテーブルの上面に設けられかつ前記シート保持治具の厚み寸法と略同じ寸法の高さの凸部に嵌合するように、前記シート保持治具を前記ダイシングテーブルに載置させる第2工程と、
前記凸部の上面であって前記ウエーハが貼り付けられた前記ウエーハ固定用シートの貼付領域と対向する位置に設けられた第1吸着穴と、前記凸部の上面であって前記ウエーハが貼り付けられていない前記ウエーハ固定用シートの非貼付領域と対向する位置に形成されかつ深さ寸法が前記ウエーハ固定用シートの厚み寸法以上である溝の底面に設けられた第2吸着穴と、から真空吸引手段により空気をそれぞれ吸引させて、前記貼付領域を前記凸部の上面に吸着させ、前記非貼付領域を前記溝の底面に吸着させて凹ませる第3工程と、
を有することを特徴とするダイシング方法。 - 前記第1工程では、前記貫通穴の外縁部又はその外側近傍に設けられた粘着層に前記ウエーハ固定用シートを粘着保持させることを特徴とする請求項6に記載のダイシング方法。
- 前記第3工程では、複数設けられた前記真空吸引手段のうち一の前記真空吸引手段により前記第1吸着穴から空気吸引され、他の前記真空吸引手段により前記第2吸着穴から空気吸引されることを特徴とする請求項6又は7に記載のダイシング方法。
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