JP4517181B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技機に関し、期待度を報知する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の一つであるパチンコ機の多くは、複数の図柄からなる図柄群を変動または停止して表示する図柄表示器等を備え、パチンコ球が特定領域に入賞または通過すると図柄群を変動し始める。そして、変動している図柄群が特定図柄で停止すると、「大当たり」として遊技者に特典を与える。当該特典としては、例えば大入賞口や役物装置等を一定限度の下で断続的に開閉する。こうした特典によって、遊技者は多くの賞球を獲得することが可能になる。
【0003】
ところが、図柄群を変動し始めてから最終的に停止するまでには所定期間(例えば30秒間)を要する。当該所定期間内において遊技者は特典を期待する期待感を持つことができるものの、変動している図柄が停止して確定するまでは特典が与えられるのか否かが全く分からず不安感がある。
この不安感を取り除くために、従来のパチンコ機では特典が与えられる可能性を表す期待度を図柄表示器に順番に表示される図柄の組み合わせで遊技者に報知していた。例えば、オレンジを模した図柄が表示された後にメロンを模した図柄が表示されると期待度は80%になり、オレンジを模した図柄が表示された後にリンゴを模した図柄が表示されると期待度は50%になるなどの態様がある。このように順番に表示された図柄の組み合わせを見た遊技者は、期待度を認識(推測を含む)することができる。よって、特典を与えられると認識した遊技者は安心感をもって遊技することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、順番に表示される図柄の組み合わせによって報知する期待度では、対象者は前回表示された図柄を覚えておかなくてはならない。遊技中は図柄表示器を見るだけでなくパチンコ球の動向を追う等もあり、前回表示された図柄を忘れてしまうことがある。この場合には後に組み合わされる図柄が表示されても、期待度が分からなくなってしまう。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、少なくとも二つの演出をほぼ同時に行うことにより、覚える等の手間をとらずに期待度を認識できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段1】
課題を解決するための手段1は、請求項1に記載した通りである。
【0007】
【課題を解決するための手段2】
課題を解決するための手段2は、請求項2に記載した通りである。
【0009】
【課題を解決するための手段3】
課題を解決するための手段3は、請求項3に記載した通りである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔実施の形態1〕
実施の形態1は遊技機の一つであるパチンコ機に本発明を適用したものである。はじめに、本発明の概要を模式的に示した図1を参照しながら説明する。図1に示す遊技機は、複数の演出2a,2b,…,2nを記録可能な記録手段2と、所要条件が成立すると少なくとも二つの演出によって対象者8に期待度を報知する報知手段6とを有する。また報知手段6は、当該期待度を対象者8に報知する伝達媒体と、期待度を対象者8に報知するために伝達媒体を制御する伝達制御部6aとを有する。
ここで、伝達媒体としては、図柄を表示する表示部6b,点灯(点滅を含む)を行う表示灯6c,音(音声,音楽,効果音等を含む)を出力する音響装置6d,ハンドル等を振動する振動体6e,所定の作動を行う可動体6fなどのように、対象者8に期待度を報知可能な全ての装置や部材が該当する。所要条件の成立としては、例えば遊技球が始動口に入賞したことや、複数の図柄からなる図柄群の変動を開始したこと、あるいはリーチに達したこと等が該当する。対象者8としては遊技者に限らず、ホール係員等をも含む。なお、複数の演出2a,2b,…,2nと、伝達媒体(表示部6b,表示灯6c,音響装置6d,振動体6e,可動体6f等)との関係は任意である。
【0013】
上記のように構成された遊技機において所要条件が成立すると、伝達制御部6aは記録手段2に記録された少なくとも二つの演出をほぼ同時に行うことによって、伝達媒体を介して対象者8に期待度を報知する。少なくとも二つの演出はほぼ同時に行われるので、対象者8は覚える等の手間をとらない。また、ほぼ同時に行われる演出によって、対象者8は期待度を素早く認識することができる。
なお、伝達制御部6aは記録手段2に記録された複数の演出2a,2b,…,2nの中から選択する少なくとも二つの演出を期待度に応じて組み合わせ、組み合わせた少なくとも二つの演出をほぼ同時に行なってもよい。こうすれば、期待度に応じた演出が行われるので、対象者8は期待度をより明確に認識できる。
【0014】
ここで、以下に示す態様を実現することもできる。これらの態様であっても、覚える等の手間をとらずに期待度を認識することができる。
(1)記録手段2に記録された複数の演出2a,2b,…,2nの中から選択する少なくとも二つの演出を決定するために用いる乱数発生手段4をさらに備える。乱数発生手段4は乱数を発生し、発生した乱数に応じて伝達制御部6aが少なくとも二つの演出を選択して組み合わせる。こうして組み合わせた少なくとも二つの演出は不規則的になるので、同じ期待度であっても演出が異なる。よって、対象者8はほぼ同時に行われる演出の変化を楽しむことができる。
(2)少なくとも二つの図柄をほぼ同時に表示部6bに表示するように報知手段6を構成する。一の図柄を表示部6bに表示する態様は、一の演出に相当する。なお、場合によっては複数の図柄を表示部6bに表示する態様を一の演出としてもよい。こうすれば、表示部6bにほぼ同時に表示された少なくとも二つの図柄を見た対象者8は、期待度を視覚的に認識することができる。また、表示部6bのみを見るだけでよいので、期待度を容易に認識することができる。
(3)表示部6bへの図柄の表示と、演出とをほぼ同時に行うことによって期待度を報知するように報知手段6を構成する。すなわち、視覚と、視覚以外の感覚(聴覚,触覚)との組み合わせによって期待度を報知する。この場合に対象者8は、複数の感覚をほぼ同時に活用して期待度を容易に認識することができる。同様に、図柄の表示による視覚と、図柄の演出による視覚との組み合わせによって期待度を報知する。この場合に対象者8は、一の感覚のみを活用して期待度を容易に認識することができる。
【0015】
次に、遊技機の一つである第1種パチンコ機に本発明を適用した例、すなわち少なくとも二つの図柄をほぼ同時に表示することによって期待度を報知する例について、図2〜図8を参照しながら説明する。
図2には第1種パチンコ機であるパチンコ機10の外観を正面図で示す。図2に示すパチンコ機10の遊技盤面12上には、通過するパチンコ球を検出するゲートセンサ58を有するゲート32、パチンコ球が通過可能な通過口24,62、入賞したパチンコ球を検出する始動口センサ60を有する第1種始動口30、ソレノイド54によって開閉される蓋74を有する大入賞口34、後述するように特別図柄表示器22や保留球ランプ20,28等を複合的に有する複合装置14、その他に一般の入賞口や風車,釘などが適宜に配置されている。
【0016】
一方の通過口24には、普通図柄を変動または停止して表示する普通図柄表示器26を備える。普通図柄表示器26は一個または複数個の発光体(例えば緑色を発するLEDと赤色を発するLED)を有し、ゲート32にパチンコ球が通過したときに変動が始まって所定時間経過後に停止する。具体的には発光体を点灯させて変動を行い、特定の発光体(例えば赤色のLED)が点灯状態または消灯状態で停止すると下部始動口68の蓋を一定期間(例えば4秒間)だけ開ける。
大入賞口34は上記蓋74の他に、パチンコ球が大入賞口開放期間(例えば20秒間)内に入賞すると大当たり遊技状態を所要回数(例えば16回)内で継続可能になるVゾーン56や、単に賞球を払い出す普通入賞口などを有する。入賞したパチンコ球を検出するために、Vゾーン56にはVゾーンセンサ52を、上記普通入賞口には入賞センサ70をそれぞれ有する。また、大入賞口34の下方には入賞したパチンコ球を検出する始動口センサ66を有する下部始動口68を設ける。当該下部始動口68は第1種始動口30と同等の機能を備える。これらの第1種始動口30や下部始動口68は、いずれもパチンコ球が入賞すると通常の入賞口と同様に賞球を払い出す。よって、パチンコ機10では第1種始動口30や下部始動口68にパチンコ球が入賞すると所要条件が成立することになる。
【0017】
複合装置14は、前景図柄と背景図柄を表示可能な特別図柄表示器22、普通図柄の変動中にゲート32を通過したパチンコ球の個数を表示する保留球ランプ20、特別図柄の変動中に第1種始動口30や下部始動口68に入賞したパチンコ球の個数を表示する保留球ランプ28等を有する。以下、保留球ランプ28の表示によって認識できる数を「保留球数」と呼ぶ。
表示部6bに相当する特別図柄表示器22は例えば液晶表示器を用い、文字,記号,符号,図形,映像などの図柄からなる特別図柄,装飾図柄等を表示する。この特別図柄表示器22に表示する特別図柄は、第1種始動口30や下部始動口68にパチンコ球が入賞すると変動し始め、所定時間経過後に停止するようになっている。なお、特別図柄表示器22として液晶表示器を用いたが、CRTやLED表示器,プラズマ表示器などのように図柄が表示可能な如何なる表示器を用いてもよい。また、普通図柄表示器26と特別図柄表示器22とを別個に用いたが、同一の表示器で双方を兼用してもよい。保留球ランプ20,28は、それぞれが1個または複数個の発光体(例えば4個のLED)からなる。
【0018】
遊技盤面12の下方には、遊技者がパチンコ機10に対して所要の操作を行う操作ボタン48(操作部)、賞球を含むパチンコ球を一時的に貯留する下皿44や、タバコの吸い殻等を入れる灰皿46、遊技者の手が触れているか否かを検出するタッチセンサ42を備えたハンドル40、賞球の受皿である上皿38の内部に設けて音(効果音や音楽等)を出すスピーカ50などを備える。また、ガラス枠18(他に「金枠」とも呼ぶ。)の開放を検出する枠開放センサ36や、パチンコ機10の遊技内容等に合わせて適切な位置に配置されている発光体からなるランプ類16をも備える。さらに、上皿38には球貸を指令する球貸スイッチ64と、プリペイドカードの返却を指令する返却スイッチ72とを備える。
【0019】
次に、パチンコ機10によるパチンコ遊技を実現するメイン制御基板100と、そのメイン制御基板100から送られた表示指令(例えば停止予定図柄や変動パターン等を含む信号)を受けて特別図柄表示器22に図柄を表示する表示制御基板200とについて、これらの概略構成を示した図3を参照しながら説明する。これらのメイン制御基板100および表示制御基板200は、いずれも例えばパチンコ機10の背面側に設ける。
図3に示すメイン制御基板100は報知手段6に相当し、CPU(プロセッサ)110を中心に構成している。当該メイン制御基板100は、遊技制御プログラムや所要のデータ(例えば大当たり値等)を格納するROM112、各種の乱数や信号等のデータを格納するRAM114、各種の入力装置から送られた信号を受けてメイン制御基板100内で処理可能なデータ形式に変換する入力処理回路102、CPU110から送られた作動データを受けて各種の出力装置を作動させる出力処理回路104、CPU110から送られた表示データを受けて表示体や発光体を適宜に表示制御(点灯,点滅を含む)する表示制御回路106、表示制御基板200に対して所要の信号を送る通信制御回路116等を有する。これらの構成要素は、いずれもバス118に互いに結合されている。
【0020】
CPU110はROM112に格納された遊技制御プログラムを実行してパチンコ機10による遊技を実現するが、当該遊技制御プログラムには後述する第1種始動口処理等を実現するためのプログラムをも含む。ROM112にはEPROMを用い、RAM114にはDRAMを用いるが、他種のメモリを用いてもよい。他種のメモリとしては、EEPROM,SRAM,フラッシュメモリ等がある。入力処理回路102が検出信号等を受ける入力装置としては、例えば操作ボタン48、始動口センサ60,66、ゲートセンサ58、入賞センサ(Vゾーンセンサ52等)あるいは他のセンサ(枠開放センサ36,タッチセンサ42等)などがある。出力処理回路104が信号を出力する出力装置としては、例えばソレノイド54等がある。表示制御回路106が表示制御する表示体としては、例えばランプ類16や保留球ランプ20,28、あるいは普通図柄表示器26等がある。通信制御回路116は、必要に応じてさらに図示しない枠制御基板やホールコンピュータ等に対しても所要のデータを送ることができる。
【0021】
次に、表示制御基板200はCPU210を中心に構成し、表示制御プログラム,所要の表示データ(例えば表示指令に対応する表示情報,はずれ変動パターンを含む複数の変動パターン,複数のリーチパターン等)を格納するROM202、表示指令,表示情報,入出力信号等を格納するRAM204、メイン制御基板100から送られたデータを受信しする通信制御回路206、所要の図柄を記憶し指令を受けて生成するキャラクタジェネレータ212、CPU210から送られた表示情報を受けて特別図柄表示器22に加工した図柄を表示するVDP(Video Display Processor)214等を有する。これらの構成要素は、いずれもバス208に互いに結合されている。
【0022】
CPU210はROM202に格納された表示制御プログラムを実行して特別図柄表示器22に図柄を表示するが、当該表示制御プログラムには後述する図柄表示処理等を実現するためのプログラムをも含む。記録手段2に相当するROM202はEPROMを用い、RAM204にはDRAMを用いるが、上記他種のメモリを用いてもよい。通信制御回路206は、必要に応じてさらに図示しない枠制御基板やホールコンピュータ等に対しても所要のデータを送ることができる。キャラクタジェネレータ212が生成する図柄データとしては、例えば文字(英数字や漢字等),図柄(特別図柄,普通図柄,装飾図柄等),静止画,動画(アニメーション等),映像などがある。VRAMやパレットRAM等を有するVDP214は、表示情報を受けてキャラクタジェネレータ212が生成した図柄データを読み込み、配色指定及びスプライト処理等の画像編集を行なってVRAMやパレットRAMに図柄データを展開した上で、最終的に映像信号や同期信号等を特別図柄表示器22に出力する。このときスプライト処理を実行して実現されるスプライト機能によって、前景図柄としての特別図柄だけでなく、背景図柄としての装飾図柄をも同時にまたは非同時に変動させることが可能になる。
【0023】
なお、メイン制御基板100から送られた指令信号を受けて各種装置の作動を制御する枠制御基板やその他の基板等については、本発明の要旨と関連しないために図示および説明を省略する。上記各種装置としては、例えばハンドル40が操作されるとパチンコ球を発射する発射装置や、球貸しや賞球のためにパチンコ球の払い出しを行う払出装置などが該当する。
【0024】
上記のように構成したパチンコ機10において、本発明を実現するためにメイン制御基板100で実行する手順について図4,図5を参照して説明する。ここで、図4には第1種始動口30に対するパチンコ球の入賞判別を実現する第1種始動口処理の手順を、図5には特別図柄表示器22で図柄群の変動を実現する図柄変動処理の内容をそれぞれフローチャートで示す。これらの処理は、いずれも図4に示すメイン制御基板100のROM112に格納されている遊技制御プログラムをCPU110が適当なタイミング(例えば4ミリ秒ごとの周期)で実行することによって実現される。
なお説明を簡単にするために、第1種始動口30と下部始動口68は同様に機能するので、第1種始動口30を例にして説明する。また、実際のパチンコ機では特別図柄表示器22における図柄群の変動中に第1種始動口30等にパチンコ球が入賞すると所定個数(例えば4個)を上限に保留して保留球ランプ28を点灯させ、当該図柄群の変動を終えた後に続けて図柄群の変動を行うが、第1種始動口30等に1個のパチンコ球のみが入賞したときを想定して説明する。
【0025】
図4に示す第1種始動口処理では、まず第1種始動口30にパチンコ球が入賞したか否かを判別する〔ステップS10〕。具体的には、図2,図3に示す始動口センサ60から検出信号を受けると入賞した(YES)と判別し、当該検出信号を受けなければ入賞していない(NO)と判別する。第1種始動口30にパチンコ球が入賞すると(YES)、各種の乱数を読み込んで記憶する〔ステップS12〕。当該各種の乱数としては、例えば大当たりか否かを判別するために用いる大当たり判定用乱数RAや、その大当たり判定用乱数RAによって大当たりと判別されたときに特別図柄表示器22に表示する大当たり図柄(特定図柄の組み合わせ)を特定するために用いる大当たり図柄用乱数RB、図柄群の変動を開始してから停止するまでのパターンを特定するために用いる変動パターン用乱数RCなどが該当する。
【0026】
次に、特別図柄表示器22に図柄群の変動を表示する図柄変動処理を行う〔ステップS14〕。図柄変動処理の内容について図5を参照しながら説明する。
図5において、まず上記ステップS12で記憶した大当たり判定用乱数RAを読み込み〔ステップS20〕、「大当たり」か否かを判別する〔ステップS22〕。具体的には、大当たり判定用乱数RAが大当たり値と一致したか否かによって判別する。大当たり値は通常状態では1個であるが、遊技状態(例えば確率変動)等によっては複数個に増やしてもよい。
もし「大当たり」と判別されたときは(YES)、ステップS12で記憶した大当たり図柄用乱数RBを読み込み〔ステップS24〕、当該大当たり図柄用乱数RBの値に基づいて最終的に停止して確定する予定の図柄(以下「停止予定図柄」と呼ぶ。)を決定し〔ステップS26〕、後述するステップS28に進む。停止予定図柄は、例えばROM112に記憶されており大当たり図柄用乱数RBと停止予定図柄との関係を設定した第1データテーブルを参照して決定する。
【0027】
一方、ステップS22で「はずれ」と判別されたときは(NO)、はずれ図柄を表示するためのはずれ図柄データをRAM114から読み込む〔ステップS40〕。その後、変動途中でリーチになるか否か、すなわちはずれ図柄にリーチ図柄を含むか否かを判別する〔ステップS42〕。リーチ(リーチ状態)とは、未だに変動している残りの特別図柄(例えば中図柄)を除き、他の特別図柄(例えば左図柄と右図柄)がリーチ図柄と一致している状態を意味する。リーチ図柄は例えば有効ライン上の左図柄と右図柄との組み合わせが該当し、多くのパチンコ機10では同じ図柄(いわゆるゾロ目)を充てている。
もしリーチ図柄を含むならば(YES)、最終的には「はずれ」になるが途中でリーチになるのではずれ図柄データに基づいて停止予定図柄を決定し〔ステップS26〕、後述するステップS28に進む。ステップS42においてリーチ図柄を含まなければ(NO)、はずれ図柄データに基づいて停止予定図柄を決定し〔ステップS44〕、後述するステップS28に進む。
【0028】
ステップS28では図4のステップS12で記憶した変動パターン用乱数RCを読み込み、当該変動パターン用乱数RCに基づいて変動パターンを決定する〔ステップS30〕。変動パターンは図柄群の変動やアニメーション(装飾図柄)等の表示を実現するパターンである。当該変動パターンは例えば図3のROM112に複数記憶され、同じくROM112に記憶された第2データテーブルを参照して決定する。第2データテーブルは、変動パターン用乱数RCと変動パターンとの関係を設定する。図柄群の変動には、リールを回転させる態様の通常変動や、所定位置を中心に任意方向に揺れ動かす態様の正逆変動、全て図柄群をほぼ同期させて変動を行う態様の全図柄変動などがある。複数の変動領域でそれぞれ変動を行うパチンコ機10では、変動中の変動速度や変動方向,停止時期や順番等に関するデータをも含む。変動パターンが異なれば停止する図柄の順番も異なる例では、停止順に応じてリーチや大当たり等を期待する期待感も生じ得る。
【0029】
そして、ステップS26,S44で決定した停止予定図柄と、ステップS30で決定した変動パターンとを表示制御基板200に送信して図柄群の変動等を行う〔ステップS32〕。ここで、表示制御基板200で図柄群の変動等を実現する図柄表示処理について図6を参照しながら説明する。
図6に示す図柄表示処理では、まずメイン制御基板100から送信された停止予定図柄および変動パターンを受信すると〔ステップS50〕、演出決定用乱数RDを読み込む〔ステップS52〕。演出決定用乱数RDは、受信された変動パターンに基づいて図柄群の変動を行う際に、大当たりになる可能性を表す期待度を報知する図柄の組み合わせを特定するために用いる。なお、演出決定用乱数RDは乱数発生手段4に相当し、表示制御基板200で求めずにメイン制御基板100で求めて表示制御基板200に伝達するように構成してもよい。
【0030】
そして、停止予定図柄と演出決定用乱数RDとに基づいて、複数の演出にかかる図柄の組み合わせ(例えば第1図柄と第2図柄)を決定する〔ステップS54〕。当該図柄の組み合わせの決定は、例えば次の方法によって行う。なお、ここでは停止予定図柄が左図柄,中図柄,右図柄によって構成されている例について説明する。また説明を簡単にするために、左図柄,中図柄,右図柄はいずれも数字の図柄(図柄「0」から図柄「9」まで)と仮定する。
上述したように左図柄と右図柄が同じ図柄であるときに、当該図柄をリーチ図柄とする。このとき、リーチ図柄からみた中図柄との図柄のずれ(以下「図柄の関係」と呼ぶ。)は、2図柄前,1図柄前,同一図柄,1図柄後,2図柄後,他の図柄(例えば3図柄前,3図柄後等)がある。例えばリーチ図柄が図柄「7」のときに中図柄が図柄「6」ならば、リーチ図柄からみた中図柄は「1図柄前」であり、同じく中図柄が図柄「5」のときは「2図柄前」となる。なお、中図柄が図柄「7」のときは「同一図柄」であり、このケースを大当たりとする。
【0031】
図柄の関係と、0から9までのいずれかの値を取り得る演出決定用乱数RD(単に「RD」と表記する。)との設定例を、表記の都合により上下2段に分けた表1に示す。当該表1は第3データテーブルとしてROM202等に記憶されている。表1の各欄には、「(第1図柄)−(第2図柄)」の形式で図柄の組み合わせを表す。また、表1中に略記した「オ」は大型船を模した図柄を、「コ」は小型船を模した図柄を、「ボ」はボートを模した図柄を、「晴」「曇」「嵐」は各々の天気を模した図柄をそれぞれ表示することを意味する。以下、単に大型船,小型船,ボート,晴,曇,嵐というときは、各々を模した図柄を意味する。
【0032】
【表1】
【0033】
上記表1の設定例によれば、第1図柄と第2図柄の組み合わせを特別図柄表示器22に表示することによって対象者に報知する期待度(大当たりになる確率)は表2のようになる。
【0034】
【表2】
【0035】
すなわち表1において、大型船と晴の組み合わせ(表中の「オ−晴」)は2箇所しか設定されてなく、しかも大当たりになる行(図柄の関係が同一図柄の行)に含まれる。これは図柄群を変動している際に大型船と晴の組み合わせが表示されると、100%で大当たりになることを意味する。また、小型船と曇の組み合わせ(表中の「コ−曇」)は6箇所設定されているが、大当たりになる行には1箇所しかない。さらに、ボートと嵐(雨)の組み合わせ(表中の「ボ−嵐」)は14箇所設定されているが、大当たりになる行には1箇所しかない。そのため、小型船と曇の組み合わせや、ボートと嵐の組み合わせが表示されると期待度が順に低くなることを意味する。したがって、特別図柄表示器22に表示される第1図柄と第2図柄の組み合わせを見た対象者は、変動している図柄群が停止して大当たりになる期待度を認識することができる。
このように停止予定図柄,変動パターン,演出決定用乱数RDに基づいて第1図柄と第2図柄の組み合わせを決定するための第3データテーブルを表示制御基板200内に記憶したので、メイン制御基板100には当該第3データテーブルを記憶するためのスペースを確保する必要がなくなる。また、第1図柄と第2図柄の組み合わせを同時に決定するので、指定すべき停止予定図柄の数や変動パターンの数を最小限に抑えることができる。
【0036】
こうして決定した図柄の組み合わせや停止予定図柄,変動パターン等(以下「基準データ」と呼ぶ。)に基づいて表示データを取得してRAM204に記憶する〔ステップS56〕。より具体的には、例えばROM202等に記憶されており基準データと表示データとの関係を設定した第4データテーブルを参照して決定する。表示データは画像編集を行うためのデータ要素(パラメータ)であって、例えばリーチパターンや特別図柄番号,特別図柄表示位置,装飾図柄番号,装飾図柄表示位置,経過時間などが該当する。その後、CPU210は取得した表示データをVDP214に伝達する。
【0037】
CPU210から表示データを受けたVDP214は、ステップS56で取得した表示データに基づいて図柄等のデータをキャラクタジェネレータ212から抽出し〔ステップS58〕、配色指定及びスプライト処理等の画像編集を行った後〔ステップS60〕、VRAMやパレットRAM上にデータを展開する〔ステップS62〕。そして、展開したデータを図柄信号に変換して特別図柄表示器22に出力し〔ステップS64〕、図柄表示処理を終了する。こうして表示データに基づいて編集した第1図柄と第2図柄の組み合わせ等をほぼ同時に特別図柄表示器22に表示させ、遊技者等に報知することができる。また画像編集をハードウェアとしてのVDP214が行うので、図柄を高速に表示することができる。
よって、ステップS34を実行すると、特別図柄表示器22には図柄群の変動を開始してから停止するまでの過程がすべて表示される。当該過程には、リーチ前の変動,リーチ表示,リーチ後の変動が含まれる。
【0038】
図柄表示処理を終えると図柄変動処理も終えるので図4に戻り、大当たりか否かを判別する〔ステップS16〕。外来ノイズ等の影響を受けにくく信頼性が高いパチンコ機10では、大当たり判定用乱数RAに基づいて「大当たり」か否かを判別する。なお、必要に応じて実際に特別図柄表示器22に表示された特別図柄が大当たり図柄と一致するか否かによって大当たりか否かを判別してもよい。
もし「大当たり」ならば(YES)、大当たり処理を行い〔ステップS18〕、図柄変動処理を終了する。大当たり処理は、例えば大入賞口34の蓋74を一定期間(例えば30秒間)だけ開放し、入賞したパチンコ球の数に応じて賞球を払い出す等の大当たり遊技を行う。なお、ステップS10で第1種始動口30にパチンコ球が入賞していない場合(NO)や、ステップS16で「はずれ」と判別された場合(NO)には、そのまま第1種始動口処理を終了する。
【0039】
次に、図4〜図6に示す各処理を実行して、複数の演出をほぼ同時に行う態様の一例として特別図柄表示器22に第1図柄と第2図柄をほぼ同時に表示する例について図7を参照しながら説明する。すなわち図7(A),図7(B),図7(C)には、図柄群の変動を開始してから停止するまでの間であって、特にリーチ後に第1図柄と第2図柄をほぼ同時に表示する例を示す。この例では、第1図柄をキャラクタで、第2図柄を背景でそれぞれ表示すると仮定する。
まず図7(A),図7(B),図7(C)に共通する事項について説明する。特別図柄表示器22の画面には、特別図柄にかかる図柄群の変動と停止を表示する変動領域80,82,84を備える。変動領域80に左図柄80aとして数字の図柄「7」が表示され、同じく変動領域84に右図柄84aとして数字の図柄「7」が表示されているので、リーチの状態を示す。なお、変動領域82では未だに図柄群の変動を継続している。
【0040】
次に、変動領域80,82,84以外に表示されているキャラクタ(第1図柄)と装飾図柄(第2図柄)の組み合わせについて説明する。キャラクタは前景に表示される図柄であり、大型船88,小型船92,ボート96などがある。装飾図柄は背景に表示される図柄であり、晴れ86,曇り90,嵐94などがある。
図7(A)には、大型船88と晴れ86とがほぼ同時に表示されている。この図柄の組み合わせは表1における「オ−晴」に相当し、期待度は2/2(100%)である。図7(B)には、小型船92と曇り90とがほぼ同時に表示されている。この図柄の組み合わせは表1における「コ−曇」に相当し、期待度は1/6(約16%)である。さらに図7(C)には、ボート96と嵐94とがほぼ同時に表示されている。この図柄の組み合わせは表1における「ボ−嵐」に相当し、期待度は1/14(約7%)である。
よって、遊技者等は特別図柄表示器22の画面を一目見るだけで、大当たりになる確率としての期待度を認識することができる。なお、他の組み合わせで第1図柄と第2図柄が表示された場合には、表2に示すような期待度となる。
【0041】
上記実施の形態1では、以下に示すような応用を行うこともできる。
(a1)第1図柄をキャラクタで表示するとともに第2図柄を背景で表示する態様に限らず、他の態様で第1図柄と第2図柄を特別図柄表示器22に表示してもよい。例えば、双方の図柄をキャラクタで表示する態様、双方の図柄を背景で表示する態様、第1図柄を背景で表示するとともに第2図柄をキャラクタで表示する態様のいずれでもよい。特にキャラクタと背景で遠近感のある表示を行えば、立体的な表示による報知ができる。
また、第1図柄と第2図柄のいずれか一方を特別図柄表示器22で行う演出としてもよい。例えば、第1図柄として第1キャラクタ(例えばタヌキ)を静止して特別図柄表示器22に表示するとともに、第2図柄として第2キャラクタ(例えばキツネ)を動かして特別図柄表示器22に表示する。第2キャラクタが動く例としては、居眠りしたり、万歳する等の動きが該当する。この場合、第2キャラクタが居眠りするより万歳するほうが期待度が高くなるように設定する。その他、図柄の色彩(透明,半透明を含む)や、図柄そのものの種類(例えば文字とキャラクタは別種類である)、図柄の大きさや表示位置などを相違させて期待度を報知してもよい。
これらの形態では図柄の表示態様が多様化するので、特別図柄表示器22を見る楽しみが増える。
(a2)第1図柄と第2図柄をほぼ同時に表示する際に、表示する表示器を複数としてもよい。この場合、どの表示器にどの図柄を表示するかは任意である。例えば、特別図柄表示器22に第1図柄を表示し、普通図柄表示器26に第2図柄を表示してもよい。また、特別図柄表示器22に第1図柄および第2図柄を表示し、普通図柄表示器26に第1図柄と第2図柄のいずれか一方を表示してもよい。また(a1)と同様に、第1図柄と第2図柄のいずれか一方を特別図柄表示器22または普通図柄表示器26で行う演出としてもよい。こうすれば第1図柄および/または第2図柄を認識し易い表示器で表示できる。
(a3)第1図柄を船舶の種類で、第2図柄を天気の種類で表1に組み合わせで設定したが、他の態様で設定してもよい。例えば、第1図柄と第2図柄を不規則に設定したり、一方が他方を連想させる関係で設定してもよい。連想させる関係とは、第1図柄と第2図柄とに共通する事項(モチーフ,概念,テーマ,分類など)を意味する。第1図柄と第2図柄を連想させる関係で設定すれば第1図柄と第2図柄との組み合わせが分かり易く、期待度を認識する際に面白味が生ずる。
(a4)第1図柄と第2図柄を組み合わせて表示することにより期待度を報知したが、三つ以上の図柄を組み合わせて表示することにより期待度を報知してもよい。また、乱数等によって少なくとも二つの図柄を不規則的に組み合わせて表示してもよい。さらに(a1)と同様に、複数の図柄のうちいずれか少なくとも一つの図柄を特別図柄表示器22で行う演出としてもよい。これらの場合にはほぼ同時に表示される図柄の組み合わせ態様が増え、様々な組み合わせによって期待度を対象者に報知することができる。
【0042】
上記実施の形態1によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)請求項1,3に対応し、メイン制御基板100(報知手段6)は、第1図柄と第2図柄(少なくとも二つの演出)をほぼ同時に表示することによって遊技者等(対象者8)に期待度を報知した{図6のステップS54,S64}。第1図柄と第2図柄はほぼ同時に特別図柄表示器22に表示されるので、遊技者等は覚える等の手間をとらない。また、ほぼ同時に表示される第1図柄と第2図柄によって、遊技者等は一目で期待度を認識することができる。
(2)請求項2に対応し、第1図柄と第2図柄をほぼ同時に特別図柄表示器22(表示部6b)に表示する態様とした。そのため、遊技者等は視覚のみによって期待度をより確実に認識することができる。
【0043】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は実施の形態1と同様にパチンコ機10に本発明を適用したものであって、図柄の表示と演出とをほぼ同時に行うことによって期待度を報知する例である。なお、パチンコ機10の構成等は実施の形態1と同様であるので、図示および説明を簡単にするために実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって、実施の形態1に示す要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態2では、図柄の表示と、図柄の表示以外の演出とをほぼ同時に行うことによって期待度を報知する。この態様を実現するために図6に示す図柄変動処理において、ステップS32を実行して特別図柄表示器22に図柄の表示を行うとともに、複合装置14に備えたハンマー300をソレノイド316で動かす〔ステップS34〕。ここで、複合装置14の外観を図8に示し、ハンマー300を動かすための構成例を図9に示す。
【0044】
図2に示す複合装置14に代えて用いる図8に示す複合装置14は、支軸302を中心に所定方向に往復運動が可能に構成したハンマー300、普通図柄を変動または停止して表示する普通図柄表示器26、図柄を表示する特別図柄表示器22、普通図柄の変動中にゲート32を通過したパチンコ球の個数を表示する保留球ランプ20、特別図柄の変動中に第1種始動口30や下部始動口68に入賞したパチンコ球の個数を表示する保留球ランプ28等を有する。なお、複合装置14に普通図柄表示器26を備えたことにより、図2に示す通過口24からは普通図柄表示器26がなくなる。
【0045】
可動体に相当するハンマー300を動かすための構成例を図9に示す。図示する矢印D4方向(図面左右方向)に進退可能なロッド314を有するソレノイド316は、メイン制御基板100によって動きが制御される。ソレノイド316で発生した動力はトルク伝達機構を通じてハンマー300に伝達し、ハンマー300を矢印D2方向(図面上下方向)に往復運動させる。以下、トルク伝達機構の具体例について説明する。
ロッド314の先端部には、結合部材312を介して係合部材306を設ける。この係合部材306と係合する係合片308は、支軸310を中心に回転(正回転,逆回転,正逆回転のいずれでもよく、回動を含む)する回転板304に設ける。回転板304には支軸310に対してほぼ反対側に扇板318を一体に形成し、当該扇板318の円弧(周縁)部位にギア歯を設ける。ハンマー300は支軸302を中心に回転する回転部材320に固定し、当該回転部材320の円周上には上記扇板318のギア歯と噛み合うギア歯を設ける。この機構によれば、ロッド314の進退運動は係合部材306と係合片308を通じて支軸310を中心に往復回転する回転運動に変換される。この回転運動はギア歯を介してハンマー300に伝わり、パチンコ機10の正面から見るとハンマー300は支軸302を中心に上下方向に往復運動する。
なお、トルク伝達機構は上述した構成に限らず、他の構成としてもよい。他の構成は、例えばソレノイド316に代わる他の駆動体(例えばモータ等)や、ギア歯に代わる伝達部(例えばベルト,チェーン,ラック&ピニオン等)を用いてもよく、トルクコンバータ等を用いてもよい。また、ソレノイド316やモータ等の駆動体によってハンマー300を直接運動させるように構成してもよい。
【0046】
ここで、特別図柄の変動と停止を行う変動領域80,82,84の背景として表示される装飾図柄330と、上記ハンマー300の動きとの関係に基づく期待度は、例えば表3のように設定されている。なお、ハンマー300の動かす複数の作動パターンは、例えばROM112に記憶されている。
【0047】
【表3】
【0048】
次に、図4〜図6に示す各処理を実行して、複数の演出をほぼ同時に行う態様の一例として特別図柄表示器22に図柄を表示するとほぼ同時にハンマー300を動かす例について図10を参照しながら説明する。すなわち図10(A),図10(B),図10(C)には、図柄群の変動を開始してから停止して図柄を確定するまでの間であって、特に全図柄変動(左図柄80a,中図柄82a,右図柄84aの全てを同期させながら行う図柄群の変動を意味する。)を行う際において、可動体に相当するハンマー300を動かす例を示す。
まず図10(A),図10(B),図10(C)に共通する事項について説明する。特別図柄表示器22の画面には、特別図柄にかかる図柄群の変動と停止を表示する変動領域80,82,84を備える。図10(A)にはリーチに達した状態を示し、変動領域80には左図柄80aとして、変動領域84には右図柄84aとしてそれぞれ数字の図柄「7」が表示されている。変動領域82では未だに図柄群の変動を継続している。図10(B),図10(C)には全図柄変動の途中で表示される図柄の組み合わせを示す。また、変動領域80,82,84との関係で背景に表示される装飾図柄330には表3に示す画面パターンα,β,γなどがあり、図10(A),図10(B),図10(C)の例では山,川,ヤシの実等が描かれた画面パターンβが表示されている。
【0049】
次に、装飾図柄330として画面パターンβが表示されている際におけるハンマー300の動きについて説明する。
図10(A)の例ではリーチに達したことを遊技者等に知らせるために、実際には寸止めされるハンマー300を振り下ろす。この場合、ハンマー300が特別図柄表示器22の画面を叩いたときに衝撃があったと遊技者に思わせるため、特別図柄や背景図柄をしばらく揺らし続ける。このとき衝撃音や振動音等をスピーカ50から出すとより臨場感が増すとともに、遊技者等にリーチをより確実に報知することができる。
図10(B),図10(C)の例では、振り下ろしたハンマー300を元の位置に戻すべく振り上げる様子をそれぞれ示す。この振り下ろしと振り上げを行う際に、変動領域80,82,84に表示される図柄は順次変化してゆく。また、振り下ろしと振り上げの往復動作を何回(0回,1回,複数回)行うかによって、遊技者等に期待度を報知する。すなわち表3に従えば、ハンマー300の往復動作の回数が増えるにつれて期待度が増し、ハンマー300が動かないときは最も期待度が低いことを遊技者等は認識できる。よって、遊技者はハンマー300の往復動作が多く行われることを期待しながら遊技することができる。
【0050】
上記実施の形態2では、以下に示すような応用を行うこともできる。
(b1)可動体6fとして用いるのはハンマー300に限らず、他の可動体を用いてもよい。他の可動体としては、例えばゴルフのパターを模して回動可能に構成したものや、ゴリラや熊等の動物を模して腕,頭等を作動可能に構成したキャラクタなどが該当する。パチンコ機10の遊技内容に見合う他の可動体を用いることにより可動体の一体感が増し、遊技者等に期待度をより確実に報知できる。
(b2)演出はハンマー300(可動体6f)に限らず、他の演出で行なってもよい。当該他の演出としては、図柄を表示する演出や、点灯を行うランプ類16や保留球ランプ20,28等の表示灯6c、音を出すスピーカ50等の音響装置6d、ハンドル40等の装置または部材を振動する振動体6eなどが該当し、ハンマー300を含めた任意の組み合わせ態様(少なくとも二つの演出)としてもよい。当該任意の組み合わせ態様は予め組み合わせた演出であってもよく、乱数等で不規則に決定した演出でもよい。図柄を表示する演出としては実施の形態1における(a1)で示したように、例えば図柄としての第2キャラクタ(例えばキツネ)を動かして特別図柄表示器22に表示して期待度を報知する。第2キャラクタを動かす態様のほかに、図柄の色彩(透明,半透明を含む)や、図柄そのものの種類、図柄の大きさや表示位置などを相違させる態様がある。表示灯6cは点灯(点滅を含む)のパターンによって期待度を報知し、音響装置6dは出す音の種類(音声,音楽,効果音等の種類)や音量,音色などによって期待度を報知し、振動体6eは振動の大きさやパターンなどによって期待度を報知する。こうして特別図柄表示器22への図柄の表示とともに適切な演出手段を行うことにより、期待度を遊技者等により確実に報知することができる。また期待度に応じて演出の数を増減すると、遊技者等は期待度をさらに認識しやすくなる。
【0051】
上記実施の形態2によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)請求項1,4に対応し、メイン制御基板100(報知手段6)は、装飾図柄330の表示とハンマー300の動き(少なくとも二つの演出)をほぼ同時に行うことによって遊技者等(対象者8)に期待度を報知した{図6のステップS54,S64、図10参照}。装飾図柄330の表示とハンマー300の動きはほぼ同時に行うので、遊技者等は覚える等の手間をとらない。また、ほぼ同時に行われる装飾図柄330の表示とハンマー300の動きによって、遊技者等は期待度を素早く認識することができる。
(2)請求項2に対応し、装飾図柄330を特別図柄表示器22(表示部6b)に表示するとほぼ同時にハンマー300(可動体6f)を動かす態様とした。そのため、遊技者等は視覚のみによって期待度をより確実に認識することができる。また、表示灯6cを点灯する演出や、音響装置6dによる音を出す演出、振動体6eによる装置または部材を振動する演出などによっても、遊技者等は複数の感覚(視覚,聴覚,触覚)によって期待度を認識することができる。こうして様々な態様で行えば楽しみが広がり、期待度をより確実に認識することができる。
【0052】
〔他の実施の形態〕
上述したパチンコ機10(遊技機)において、他の部分の構造,形状,大きさ,材質,配置および動作条件等については、上記実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
(1)上記各実施の形態では、パチンコ機10に本発明を適用した。この形態に代えて、パチンコ機以外の他の遊技機(例えばスロットマシン,アレンジボール機,雀球遊技機,テレビゲーム機等)であって遊技盤と遊技制御装置とを備えたものにも同様に本発明を適用することができる。当該他の遊技機であっても、少なくとも二つの演出がほぼ同時に行われるので、覚える等の手間をとらずに期待度を認識することができる。
【0053】
(2)上記実施の形態1では、表1における第1図柄と第2図柄の組み合わせを変化させていない。この形態に代えて、所定の条件が成立すると当該第1図柄と第2図柄の組み合わせや図柄の種類等を任意に変更(変化)してもよい。ここで、所定の条件としては、例えば特別図柄が予め特定した図柄の組み合わせ(例えば「333」)で停止した場合であり、パチンコ機10の種類や日時等に応じて条件を適切に変えてもよい。こうすれば図柄の組み合わせによる期待度も変化するので、遊技者は大当たりになる期待感を特別図柄の全てが停止するまで維持することができる。
【0054】
(3)上記実施の形態1では特別図柄表示器22(表示部6b)に第1図柄と第2図柄の組み合わせをほぼ同時に表示して期待度を報知し、上記実施の形態2では特別図柄表示器22に装飾図柄330を表示するとほぼ同時にハンマー300(可動体6f)を動かして期待度を報知した。このように各実施の形態では、少なくとも特別図柄表示器22に図柄を表示することが条件となっている。この形態に代えて、特別図柄表示器22に図柄を表示することを条件とせず、他の少なくとも二つの演出をほぼ同時に行うことにより期待度を報知してもよい。他の少なくとも二つの演出としては、例えば表示灯6cを点灯する演出や、音響装置6dにより音を出す演出、振動体6eにより装置または部材を振動する演出、可動体6fを作動する演出などのような演出を任意に組み合わせた態様である。このように他の少なくとも二つの演出をほぼ同時に行うことにより、複数の感覚をほぼ同時に活用して期待度を容易に認識することができる。また様々な態様で行えば、期待度をより確実に認識することができる。
【0055】
(4)上記実施の形態1では停止予定図柄および変動パターンと、演出決定用乱数RDとによって演出の対象となる第1図柄と第2図柄の組み合わせを決定した{図6のステップS54}。この形態に代えて、変動パターンと演出決定用乱数RDとによって演出の対象となる第1図柄と第2図柄の組み合わせを決定してもよい。ROM202等に記憶されており、変動パターンと演出決定用乱数RDとの関係を設定した第5データテーブルの一例を表4に示す。当該表4は表1と同様の態様で示し、変動パターン,演出決定用乱数RDに基づいて第1図柄と第2図柄の組み合わせを決定するために参照される。
【0056】
【表4】
【0057】
上記表4の設定例によれば、変動パターンは6つの変動パターンP1,P2,P3,P4,P5,P6が設定されている。また、第1図柄と第2図柄の組み合わせを特別図柄表示器22に表示することによって対象者に報知する期待度は表2のようになる。このように変動パターン,演出決定用乱数RDに基づいて第1図柄と第2図柄の組み合わせを決定した場合でも実施の形態1と同様の期待度になるので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(5)上記各実施の形態では、図柄群の変動を開始してから停止し図柄を確定するまでの期間内に少なくとも二つの演出をほぼ同時に行なって期待度を報知した{図5のステップS32,S34}。この形態に代えて、他のタイミングで少なくとも二つの演出をほぼ同時に行うように構成してもよい。他のタイミングとしては、パチンコ球が第1種始動口30に入賞してから特別図柄表示器22で図柄群の変動を開始するまでの期間や、入賞したパチンコ球が保留されている期間、遊技者等が操作ボタン48を操作して指定した期間、大当たり遊技期間などが該当する。こうした他のタイミングに少なくとも二つの演出をほぼ同時に行なった場合でも、遊技者等に確実に期待度を報知することができる。
また、遊技者等に報知する期待度が複数あるとき(例えば保留球があるとき)には、期待度ごとに別個に行う少なくとも二つの演出によって各々の期待度を遊技者等に報知してもよい。例えば、特別図柄表示器22(表示部6b)に第1図柄と第2図柄の組み合わせをほぼ同時に表示して今回の抽選に対する期待度を報知し、ランプ類16(表示灯6c)を点灯するとともにスピーカ50(音響装置6d)から出す音によって次回の抽選に対する期待度を報知する態様が該当する。このように今回だけでなく次回以降の抽選に対する期待度を報知することにより、遊技者は将来的に特典を獲得する期待感を持って遊技することができる。
【0059】
(6)上記各実施の形態では、複数の演出を記録する記録手段2をROM112,ROM202に適用した{図3参照}。この形態に代えて(あるいは加えて)、RAM114、RAM204、キャラクタジェネレータ212、メイン制御基板100または通信制御回路116,206を通じて通信可能なホールコンピュータ内のROMやRAM、ディスク装置でアクセス可能なフレキシブルディスク,ハードディスク,光磁気ディスク等のディスク媒体、カード装置でアクセス可能なプリペイドカード,ICカード,紙カード等のカード類、あるいは読取装置でアクセス可能な文字や記号等を印刷した印刷物等を適用してもよい。こうした記録装置や記録媒体であっても、複数の演出を適切に記憶(記録)できる。
【0060】
【他の発明の態様】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この実施の形態には特許請求の範囲に記載した発明の態様のみならず他の発明の態様を有するものである。この発明の態様を以下に列挙するとともに、必要に応じて関連説明を行う。
【0061】
〔態様1〕 請求項3または4に記載した遊技機において、
報知手段は、リーチに達してから変動を停止するまでの期間内に期待度を報知する遊技機。
〔態様1の関連説明〕 本態様によれば、報知手段はリーチに達してから変動を停止するまでの期間内に期待度を報知する。リーチに達すると特典を期待する期待感が高まり、報知された期待度と合わせて期待感がより高まる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも二つの演出がほぼ同時に行われるので、覚える等の手間をとらずに期待度を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を模式的に示す図である。
【図2】パチンコ機の外観を示す正面図である。
【図3】メイン制御基板と表示制御基板の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1種始動口処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図柄変動処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図柄表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】特別図柄表示器の表示例を示す図である。
【図8】複合装置の外観を示す正面図である。
【図9】ハンマーを動かすための構成例を示す図である。
【図10】ハンマーの動きと特別図柄表示器の表示との組み合わせ例を示す図である。
【符号の説明】
2 記録手段
2a,2b,…,2n 演出
4 乱数発生手段
6 報知手段
6a 伝達制御部
6b 表示部
6c 表示灯
6d 音響装置
6e 振動体
6f 可動体
8 対象者
10 パチンコ機(遊技機)
22 特別図柄表示器(表示部)
26 普通図柄表示器
100 メイン制御基板(伝達制御部)
110,210 CPU
112,202 ROM
114,204 RAM
200 表示制御基板
212 キャラクタジェネレータ
214 VDP
300 ハンマー(可動体)
Claims (3)
- 遊技球の入球が可能な始動口と、
所定の表示領域内にて表示演出が行われる演出表示手段と、
前記始動口への遊技球の入球に基づいて、大当たりであるか否かの判定処理を行いうる大当たり判定手段と、
前記大当たり判定手段による判定処理の結果が大当たりであることに基づいて、賞球が払い出されうる大当たり処理を実行する大当たり処理実行手段と、
前記演出表示手段の表示領域内にて図柄の変動演出を行うことにより大当たり判定手段による判定処理の結果を示しうる図柄表示制御手段と、
前記演出表示手段の表示領域外にて視認可能に配設される可動体と、
前記演出表示手段の表示領域外にて作動が開始される前記可動体による可動体演出を、前記演出表示手段の表示領域内にて図柄の変動演出が行われている最中に開始させるにあたり、前記可動体を前記演出表示手段の表示領域外から表示領域内に変位させる可動体演出制御手段と、を備え、
前記図柄表示制御手段は、
前記演出表示手段の表示領域内にて図柄の変動演出を行っている最中に前記可動体が前記演出表示手段の表示領域外から前記演出表示手段の表示領域内に変位されたときは、この可動体が前記表示領域内に位置しているときに図柄の変動演出にかかる表示態様に変化を生じさせるようにした
ことを特徴とする遊技機。 - 前記可動体演出制御手段は、
前記演出表示手段の表示領域内にて図柄の変動演出が行われている最中に、前記演出表示手段の表示領域内に変位された可動体を、前記演出表示手段の表示領域外に変位させるものである
請求項1に記載の遊技機。 - 前記大当たり判定手段は、前記始動口への遊技球の入球に基づいて乱数を取得するとともに、該取得した乱数に基づいて大当たりであるか否かの判定処理を行いうるものである
請求項1または2に記載の遊技機。
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