JP4516347B2 - 研削方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、加工物の一例である金型用パンチの研削加工において、パンチの仕上げ加工を行なう場合の研削方法に関する。
素材に種々の形状の打ち抜き加工を行なうための加工具として金型が使用されるが、この金型の刃物であるパンチを製造する場合、超硬等の材料を平面研削盤のテーブル上に固定すると共に、このテーブルを往復移動させながら回転する砥石を押し付けて所定の切り込み量ずつ研削することにより、パンチを所定形状に加工する方法が用いられている。(例えば、特許文献1参照)。
図7に模式的に示す平面研削盤70を用いて行なう金型用パンチの成形研削加工においては、従来、切り上げ加工と呼ばれる先細りパンチ71の仕上げ加工を行なう際、砥石72にて行き止まり加工を行なう必要がある。最近の平面研削盤70において、高精度、高能率の加工が要求されるため、テーブル73の送り装置の駆動源としてサーボモータ(又はリニアモータ)74を使用している。テーブル73の送り装置にサーボモータ(又はリニアモータ)74を使用すると、テーブル73の単位時間当たりの反転回数のばらつきがなくなり、また、先細りパンチ71を研削する刃物である砥石72の回転制御には三相誘導電動機75をインバータで回転数の制御ができるため、砥石72の単位時間当たりの回転数のばらつきもなくなっている。なお、テーブル73の送り速度Vが一定(例えば、20m/分)の電気制御で加工している。また、図7中の符号77は平面研削盤70のNC(数値制御)装置を表している。
特開平11−347893号公報(図1)
しかしながら、前記従来の平面研削盤70を用いた先細りパンチ71の研削方法においては未だ解決すべき以下のような問題があった。
サーボモータ(又はリニアモータ)74を介して進退駆動されるテーブル73上に加工前の先細りパンチ71を固定し、回転する砥石72で先細りパンチ71を加工すると、図8に示すように、先細りパンチ71の研削面に原因不明の縞模様76、又は砥石によるたたき目のようなものが形成されて、先細りパンチ71の品質を著しく落としていた。なお、発生する縞模様76、又はたたき目はテーブル73の送り方向と直交した方向に伸びて、しかも、等ピッチで発生していた。特に、縞模様76については、一定のテーブル送り速度で研削した場合、ピッチ間隔は変わるが、すべての先細りパンチで発生していた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、テーブルに固定した加工物の送り方向と直交した方向に伸びて、しかも、等ピッチで生じる縞模様等の肌荒れ模様の発生を防止して加工物の製作品質を向上できる研削方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載の研削方法は、回転する砥石に対し加工物を固定したテーブルを自動的に往復移動させて前記加工物の研削を行うに際し、前記テーブルの送り速度を、該テーブルの片側移動又は往復移動に対して、1回毎、複数回毎、又はこれらの組み合わせ回毎変える研削方法であって、
前記テーブルの送り速度を変える制御を、NC装置の制御盤内の制御部で行い、前記テーブルの送り速度を変える毎に、前記制御部のオーバーライド値を読み取り、前記制御部に設けられた乱数発生回路により乱数値を求め、前記オーバーライド値に前記乱数値を掛け合わせて、新たなオーバーライド値として前記テーブルの送り速度を可変させる
請求項記載の研削方法は、加工物を固定したテーブルの送り速度を、テーブルの片側移動又は往復移動に対して、1回毎、複数回毎、又はこれらの組み合わせ回毎変えているので、回転する砥石と加工物の送りによって発生する縞模様等の肌荒れ模様の発生を回避してきれいな研削面を得ることができる。
特に、加工物を金型用パンチとした場合には、金型用パンチの面精度、品質の向上が図れる。
特に、請求項記載の研削方法においては、テーブルの送り速度を変える制御はNC装置の制御盤内の制御部で行われているので、装置の構成が簡略化される。
そして、請求項記載の研削方法においては、テーブルの送り速度を変える制御は、乱数発生回路からの出力に基づいて行われてるので、パターン化した制御に起因して発生する累積した加工むらの発生を防止できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る研削方法を適用する平面研削盤の模式的構成図、図2は同研削方法におけるパンチの送り速度の説明図、図3は同研削方法によるパンチの研削面の状態を示す説明図、図4は同研削方法におけるパンチの送り速度の第1の変形例の説明図、図5は同研削方法におけるパンチの送り速度の第2の変形例の説明図、図6は同研削方法におけるパンチの送り速度の第3の変形例の説明図である。
本発明の研削方法は、現状の研削方法の問題点を分析し、考察して得られた知見に基づいてなされた発明である。
現状の研削方法においては、客観的な事実として以下の事柄が明らかであった。
(1)テーブルの送り装置の駆動源に油圧シリンダーを使用した場合には、前述のような同期した縞模様等は研削面に発生していなかった。また、テーブルの送りを手動で行なう場合も縞模様は発生しなかった。
(2)テーブルの送り装置の駆動源にサーボモータ又はリニアモータを使用した場合には、テーブルによる反転回数のばらつき及びインバータによる砥石の回転数制御による砥石の単位時間当たりの回転数のばらつきはなくなったが、縞模様等が研削面に発生した。しかも、砥石の回転数を速くしても縞模様等は発生した。また、一定の速度(テーブル送り速度、砥石回転速度)で研削した場合、縞模様については、ピッチ間隔は異なるが、全てのパンチで発生した。
これまで、この縞模様の発生の要因として、機械の振動やテーブル反転のショックによるものと考えられていたが、今回、上述の事実の分析及び考察によって、以下の知見を得ることができた。
(3)前記(1)について、油圧シリンダーの反転制御では、反転位置を近接スイッチで検出し、シーケンサーで油圧バルブを切り替えていたため、また、テーブルの送りを手動で行なう場合も同様、テーブルの反転位置のばらつきが大きいため、砥石の回転とテーブルの送りとで生じる同期した縞模様が掻き消されたものと考えられる。
(4)前記(2)について、サーボモータやリニアモータの使用によりテーブルによる反転回数のばらつき及びインバータによる砥石の単位時間当たりの回転数のばらつきもなくなるため、縞模様及びたたき目のピッチが、砥石の回転数とテーブルの送り周期に同期して発生するものと推測できる。この場合、砥石の回転数やテーブル送り速度を速くしても、一定の速度であれば、ピッチ間隔が短くなるだけで、縞模様等は発生するものと推測できる。
前記(3)及び(4)の知見に基づいて、縞模様等の発生を防止するには、テーブルの送り装置の駆動源にサーボモータやリニアモータを使用した場合において、油圧シリンダーを使用した場合と同様のテーブルの反転位置のばらつきによる曖昧なテーブルの送り、即ち、テーブルの送り速度を変化させる必要があるという結論に達した。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る研削方法を適用する平面研削盤10は、ガイド機構(図示せず)によりガイドされて水平方向に進退可能で、加工物の一例であるパンチ11を上面に固定可能なテーブル12と、テーブル12を動力伝達機構を介して進退可能な進退駆動源の一例であるサーボモータ13と、昇降手段(図示せず)により昇降可能で、回転駆動源の一例である電動モータ14及び電動モータ14に連結された動力伝達機構(図示せず)を介して回転可能な砥石15と、テーブル12の送り速度を制御する乱数発生回路16を有するNC装置17とを備えている。
NC装置17の制御盤の制御部には、テーブル12の送り速度を制御する乱数発生回路16が設けられており、乱数発生回路16からの出力に基づいてサーボモータ13の回転速度が制御され、これにより、テーブル12の送り速度Vが制御されるように構成されている。ここで、乱数発生回路16とは、数学的な方法によって次々に異なる数値、即ち、乱数を作り出す回路である。
図2を参照しながら、乱数発生回路16において、テーブル12の送り速度Vを変化させる具体的な方法について説明する。
図2に示すように、テーブル12の送り速度Vを1ストローク(往復移動、符号⇔で表す)毎、乱数を用いてV1〜V8の如く変化させる。テーブル12の移動距離Sや送り速度Vは制御部のプログラムで指定している。
送り速度Vは、通常、制御盤に取付けられたロータリースイッチの設定により速度を0から200%の範囲で可変させることができ、この機能は送り速度オーバーライドと呼ばれている。なお、通常の作業においては、前記可変範囲の中で任意のオーバーライド値を設定する。
本実施の形態に係る研削方法は、テーブル12が1ストロークするたびにNC装置17のマクロプログラムとシーケンスプログラムにより、制御盤のオーバーライド値を常時読み取り、内部のマクロプログラムにより、乱数値を求め、制御盤で設定されたオーバーライド乱数値を掛け合わせて、新たなオーバーライド値としてテーブル12の送り速度Vを可変させることができるように構成されている。
なお、乱数値を使用する理由は、オーバーライド値をデータテーブルとして固定しておくと、テーブル12の送り速度Vは可変するようになるが、パターン化された速度変化となり、これにより研削面に決まったパターンの模様が現れるのを防ぐためである。なお、本実施の形態においては、可変可能な速度をVrefとしたとき、実用上研削可能な最低速度(0.8Vref)を考慮して、Vref≧V≧0.8Vrefと設定している。
例えば、図2に示すように、縦軸方向で示す送り速度V1〜V8の大きさは研削可能な速度を超えた範囲において、V7<V3<V4<V1<V6<V2<V8<V5となっており、しかも、(V5−V7)/V5≦0.2としている。即ち、V5=Vref、V7=0.8Vrefとしている。なお、添字1〜8は送りの順番を示している。
次に、本発明の作用効果を確認するために、平面研削盤10を使用して行った実施例について説明する。
試験条件として、砥石15の直径D=180mm、砥石15の回転速度N=2000rpm、テーブル12の送り速度V=16〜20m/分、テーブル12の移動距離S=40mmとし、以下の要領で実施した。
基準となるマグネットチャックや治具の平坦面を確認し、加工する前のパンチ11をテーブル12上にセットし、セットしたパンチ11の粗加工(プランジ研削)、中加工(プランジ研削)、仕上げ加工(コンタリング研削)を自動運転で行なう。小型超硬製のパンチ11であるため、NC装置17の乱数発生回路16の出力に基づき、テーブル12の送り速度Vを20m/分から16m/分の間で、送り速度Vが不規則に変化するように制御し、回転する砥石15で研削する。
このパンチ11の研削においては、テーブル12の往復の送り速度Vを固定しないで、可変としたことにより、従来のような縞模様を生じることなく、図3に示すように、研削面18〜20の性状がきれいなパンチ11を形成することができた。
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の研削方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、テーブル12の送り速度Vの変化を往復移動に対して考えたが、これに限定されず、必要に応じて、図4に示すように、片側移動(右又は左への片送り、符号⇒で表す)に対して考えることもできる。また、テーブル12の送り速度Vの変化を往復移動の1回毎に変えたが、これに限定されず、必要に応じて、図5に示すように、往復移動の複数回(実施の形態では2回)毎に変えたりすることもできる。さらに、図6に示すように、テーブル12の送り速度Vの変化を往復移動の1回及び複数回(実施の形態では2回)の組み合わせ毎に変えることもできる。また、異なる複数回毎の組み合わせで送り速度を変えてもよい。
砥石15の回転速度Nを一定とし、テーブル12の送り速度Vを変えたが、これに限定されず、状況に応じて、テーブル12の送り速度Vを一定とし、砥石15の回転速度Nを変えることもでき、しかも、テーブル12の片側移動又は往復移動に対して、1回毎、複数回毎、又はこれらの組み合わせ回毎変えることもできる。
テーブル12の進退駆動源として、サーボモータ13を使用したが、これに限定されず、状況に応じて、正確な動作を実現できる油圧シリンダー、ボールネジ、リニアーモータ等を使用することもできる。
テーブル12の最適な送り速度Vの幅を、(V5−V7)/V5≦0.2としたが、これに限定されず、パンチの材質、研削盤の特性(砥石の材質、サイズ)等を考慮して、適宜変える必要があり、例えば、実用上研削可能なテーブル送り速度をVaとした場合、更に送り速度を増加して最高速度を1.3Va、1.4Va、1.5Va等とすることができ、その範囲で適宜送り速度を選択できる。
加工物としてパンチについて説明したが、これに限定されず、必要に応じて、別の加工物、例えば、ダイ等を使用することもできる。
本発明の一実施の形態に係る研削方法を適用する平面研削盤の模式的構成図である。 同研削方法におけるパンチの送り速度の説明図である。 同研削方法によるパンチの研削面の状態を示す説明図である。 同研削方法におけるパンチの送り速度の第1の変形例の説明図である。 同研削方法におけるパンチの送り速度の第2の変形例の説明図である。 同研削方法におけるパンチの送り速度の第3の変形例の説明図である。 従来例に係る研削方法を適用する平面研削盤の模式的構成図である。 同研削方法によるパンチの研削面の状態を示す説明図である。
10:平面研削盤、11:パンチ(加工物)、12:テーブル、13:サーボモータ(進退駆動源)、14:電動モータ(回転駆動源)、15:砥石、16:乱数発生回路、17:NC装置、18〜20:研削面

Claims (1)

  1. 回転する砥石に対し加工物を固定したテーブルを自動的に往復移動させて前記加工物の研削を行うに際し、前記テーブルの送り速度を、該テーブルの片側移動又は往復移動に対して、1回毎、複数回毎、又はこれらの組み合わせ回毎変える研削方法であって、
    前記テーブルの送り速度を変える制御を、NC装置の制御盤内の制御部で行い、前記テーブルの送り速度を変える毎に、前記制御部のオーバーライド値を読み取り、前記制御部に設けられた乱数発生回路により乱数値を求め、前記オーバーライド値に前記乱数値を掛け合わせて、新たなオーバーライド値として前記テーブルの送り速度を可変させることを特徴とする研削方法。
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