JP4515931B2 - 薄膜半導体の製造方法およびその製造方法により製造された薄膜トランジスタ - Google Patents

薄膜半導体の製造方法およびその製造方法により製造された薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

この発明は、多結晶シリコンからなる半導体層を絶縁基板上に形成してなるトップゲート型薄膜トランジスタに適用される薄膜半導体の製造方法に関するものである。
一般に、絶縁基板上に形成される半導体層に多結晶シリコンを用いた多結晶シリコン薄膜トランジスタにおいては、化学気相成長(CVD)法によって多結晶シリコン上にゲート絶縁膜となる酸化シリコン層を形成し、さらにその上にゲート電極を形成してMOS−FETとする製造方法が採られていた。この場合、多結晶シリコン表面に存在する結晶欠陥や不純物がMOS界面に局在してしまい、トランジスタ特性として移動度が低い、閾値電圧が高いなどの欠点をもつことが問題であった。
そこで、CVD法を用いる代わりに酸素を主成分とする雰囲気下、あるいは水蒸気を主成分とする雰囲気下(圧力1〜50気圧、温度300℃〜700℃、典型的には25気圧、600℃)で、多結晶シリコン層表面を酸化させることにより、ゲート絶縁膜やその一部となる酸化シリコン層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来方法によれば、MOS界面が多結晶シリコン中に形成され、多結晶シリコン自体の表面は結晶欠陥や不純物の影響が少なくできるため、特性のよいMOS−FETを製造することが出来るとしている。なお、この従来方法では、炉アニール(固相成長法)、レーザアニール(溶融再結晶法)などの手段を用いて多結晶シリコンを形成している。
特開平11−67758号公報
上述の従来方法では、MOS界面を多結晶シリコン中に形成することにより、結晶欠陥や不純物の少ないMOS界面を形成して、特性の良い薄膜トランジスタを得ている。
しかしながら、従来方法に開示された多結晶シリコン、特にレーザアニールにより形成された多結晶シリコンの表面は粒界部分に突起を持つ凹凸形状になっている。この状態で、多結晶シリコン表面から酸化を行っていくと多結晶シリコン表面からある一定の深さに酸素が含侵され、酸化シリコン層の厚さは概ね一定に形成されるため、酸化シリコン層には初期の多結晶シリコンの表面凹凸に対応したうねりが生じる。また、多結晶シリコン層は結晶化しており酸化シリコン層の生成レートは遅いため、高温・高圧の水蒸気雰囲気で長時間の処理が必要であるため、生産性が低いなどの不具合があった。
この発明は、上記のような課題を解決するために、多結晶シリコン表面を酸化してゲート絶縁膜を形成する酸化工程に先だって、ガスクラスタイオンビームを多結晶シリコン表面に照射し、表面凹凸を平坦化するとともに、多結晶シリコン表層部の結晶を破壊してアモルファスシリコン化する工程を加えることにより、酸化工程において、平坦なゲート絶縁膜を形成でき、耐電圧の向上が図られ、かつ、シリコンの酸化速度が速められ、プロセス時間の短縮が図られる薄膜半導体の製造方法および薄膜トランジスタを得ることを目的とする。
この発明による薄膜半導体の製造方法は、絶縁基板上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、上記アモルファスシリコン層をアニールして多結晶シリコン層を形成する工程と、上記多結晶シリコン層の表面にガスクラスタイオンビームを照射して上記多結晶シリコン層の表面を非晶質化する工程と、上記ガスクラスタイオンビームが照射された上記多結晶シリコン層の表面に酸素を含む雰囲気を作用させて酸化シリコン層を形成する工程とを有する。
この発明によれば、酸化工程の前にガスクラスタイオンビームが多結晶シリコン層の表面に照射されるので、多結晶シリコン層の表面凹凸が平坦化されるとともに、多結晶シリコン層の表層部の結晶が破壊されてアモルファスシリコン化される。そこで、酸化工程において、平坦なゲート絶縁膜が形成され、耐電圧が向上されるとともに、シリコンの酸化速度が速められ、プロセス時間が短縮される。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る説明する薄膜半導体の製造方法を説明する工程断面図である。
ここで、この実施の形態1による薄膜半導体の製造方法について図1を参照しつつ説明する。
まず、図1の(a)に示されるように、SiH又はSiの原料ガスを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により絶縁基板1上にアモルファスシリコン層2を成膜する。そして、図1の(b)に示されるように、エキシマレーザ光(典型的には、波長308nmのXeClレーザ)をアモルファスシリコン層2に照射・加熱し、アモルファスシリコンを溶融させ、この溶融されたシリコンが冷却・固化して、多結晶シリコン層3が形成される。この溶融再結晶された多結晶シリコン層3は、結晶粒の集まりであり、その表面は、結晶粒と結晶粒との間の結晶粒界部分に突起を持つ凹凸形状となっている。
ついで、図1の(c)に示されるように、多結晶シリコン層3の表面にアルゴンを主成分とするガスクラスタイオンビームを照射する。これにより、ガスクラスタイオンビームは多結晶シリコンの粒界部分に形成されるシリコンの突起部を選択的にエッチングし、多結晶シリコン層3の表面凹凸を平坦化する。さらに、アルゴンクラスタあるいはアルゴン原子が多結晶シリコン層3の表層に侵入して結晶性を破壊し、多結晶シリコン層3の表層をアモルファスシリコン化する。これにより、多結晶シリコン層3の表層にアモルファスシリコン層4が形成される。
ついで、図1の(d)に示されるように、多結晶シリコン層3をアイランド状にパターニングする。そして、図1の(e)に示されるように、酸化雰囲気中、好ましくは飽和水蒸気中において、平坦化され、かつ、表層がアモルファス化されたシリコン表面を効率よく酸化させ、ゲート絶縁膜として酸化シリコン層5を形成する。さらに、図1の(f)に示されるように、酸化シリコン層5中にゲート電極6を形成する。これらの工程を経てMOSの基本部分が構成される。
以下、図示しないが不純物注入によるソース、ドレイン部の形成、保護膜7の形成、さらにソース、ドレイン部からの引き出し電極8、9の形成により、図1の(g)に示されるトップゲート型薄膜トランジスタが形成される。
この実施の形態1による薄膜半導体の製造方法においては、多結晶シリコン層3の酸化工程に先立って、アルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを多結晶シリコン層3の表面に照射する工程を実施している。この工程において、ガスクラスタイオンビームが溶融再結晶された多結晶シリコンの粒界部分に形成されるシリコンの突起部を選択的にエッチングし、多結晶シリコン層3の表面凹凸が平坦化される。さらに、アルゴンクラスタあるいはアルゴン原子が多結晶シリコン層3の表層に侵入して結晶性を破壊し、多結晶シリコン層3の表層がアモルファスシリコン化され、多結晶シリコン層3の表層にアモルファスシリコン層4が形成される。
そこで、多結晶シリコン層3の酸化工程において、多結晶シリコン層3の表層に形成されるゲート絶縁膜としての酸化シリコン層5は、多結晶シリコン層3の表面状態に対応してうねりのない平坦な表面状態となり、薄膜半導体の高性能化につながるゲート絶縁膜の耐電性が向上される。また、多結晶シリコン層3の表層が、多結晶シリコン層3に比べて酸化レートが速いアモルファスシリコン層4となっており、当該酸化工程の時間が短縮される。従って、高性能薄膜半導体を生産性高く製造することができる。
なお、絶縁基板1としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板などが用いられるが、ガラス基板は安価で、デバイスコストを低減できる点で好ましい。また、絶縁基板1上に下地絶縁膜を形成したものを用いてもよい。この下地絶縁膜には、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化アルミニウム、酸化タンタル膜等の単膜、あるいは2種以上を積層したものを用いることができる。この発明では、アモルファスシリコン層が形成される絶縁基板とは、絶縁基板単体に限らず、絶縁基板上に下地絶縁膜を形成したものを含むものとする。
また、絶縁基板1上にアモルファスシリコン層2を成膜する方法は、特に限定されないが、プラズマCVD法、減圧CVD法、スパッタ法などを用いることができる。
また、アモルファスシリコン層2にエキシマレーザ光を照射して多結晶シリコン層3を形成するものとしているが、レーザ光はエキシマレーザ光に限定されるものではなく、例えばNd:YAGレーザ光を用いてもよい。
また、アモルファスシリコン層2をレーザアニールして多結晶シリコン層3を形成するものとしているが、アニール法は、レーザアニールに限定されるものではなく、例えば、電子ビームアニール、ランプアニール、炉アニールなどを用いてもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、図1の(c)に示される工程において、アルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを多結晶シリコン層3の表面に照射するものとしているが、この実施の形態2では、酸素ガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを多結晶シリコン層3の表面に照射するものとしている。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様である。
この実施の形態2においては、酸素ガスを主成分とするクラスタイオンビームが多結晶シリコンの粒界部分に形成されるシリコンの突起部を選択的にエッチングし、上記実施の形態1と同様に、多結晶シリコン層3の表面凹凸が平坦化される。また、酸素クラスタあるいは酸素原子が多結晶シリコン層3の表層に侵入して結晶性を破壊し、多結晶シリコン層3の表層がアモルファスシリコン化され、上記実施の形態1と同様に、多結晶シリコン層3の表層にアモルファスシリコン層4が形成される。従って、この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、この実施の形態2においては、酸素ガスを主成分とするクラスタイオンビームを用いているので、多結晶シリコン結晶が破壊されてアモルファスシリコン層4となった部分に注入されている元素が酸素となる。そこで、アモルファスシリコン層4となった部分に注入されている元素がアルゴンである上記実施の形態1に比べて、多結晶シリコン層3の酸化工程におけるシリコンの酸化レートがさらに速くなり、当該酸化工程の時間の短縮化が図られる。従って、高性能薄膜半導体をより生産性高く製造することができる。
実施の形態3.
この実施の形態3では、エキシマレーザ光に代えYAG2ωレーザ光をアモルファスシリコン層2に照射して多結晶化を行うものである。
図2はこの発明の実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザアニール工程の説明図、図3はこの発明の実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザアニールを施すターゲットの構造を示す模式断面図である。
図2において、レーザ光照射装置は、Nd:YAGレーザの第2高調波発振装置91と、第2高調波発振装置91から出射されたレーザ光(波長:532nm)92を所定の強度に調整するバリアブルアッテネータ93と、バリアブルアッテネータ93により所定の強度に調整されたレーザ光92を線状ビームに変換するビーム成形光学系94とを備えている。また、ターゲット95は移動ステージ96に設置される。
ここで、ターゲット95は、図3に示されるように、絶縁基板としてのガラス基板103上に下地絶縁膜102としてCVDにより厚さ200nmの酸化シリコン層を成膜し、さらに、減圧CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)により厚さ70nmのアモルファスシリコン層(非晶質シリコン層)101を下地絶縁膜102上に成膜して作製されている。
つぎに、この実施の形態3によるレーザアニール工程について説明する。
まず、レーザ光92が、第2高調波発振装置91から出射され、バリアブルアッテネータ93で所定の強度に調整された後、ビーム成形光学系94に入射する。そして、レーザ光92は、ビーム成形光学系94により線状のビームプロファイルに変換された後、移動ステージ96に設置されたターゲット95に照射され、アモルファスシリコン層101のレーザアニール(熱処理)が行われる。
このとき、レーザビームは移動ステージ96を線状ビームの線に直交した方向に移動させながら照射する。各パルスレーザ光照射の間隔に移動ステージ96が移動する距離を、線状ビームの幅よりも長くすると同一箇所へのレーザのパルスの照射回数が1回になるが、ビーム幅よりも短くすると図4に示されるように同一箇所へレーザ光が複数回照射されることになり、アモルファスシリコン層101の全面を結晶化することが出来る。
ついで、線状のビームプロファイルとレーザビーム照射によるアモルファスシリコン層101の溶融について図5を参照しつつ説明する。図5はこの実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザビームを照射してアモルファスシリコン層の溶融状態を示す概念図であり、図5の(a)は線状ビームプロファイルを示し、図5の(b)はアモルファスシリコン層の溶融状態を示している。
ビーム成形光学系94により変換された線状ビーム110は、ビーム成形光学系94の出力部にある集光レンズ941によりアモルファスシリコン層101上に集光・照射される。アモルファスシリコン層101上に集光された線状ビーム110のビームプロファイルは、図5の(a)中の点線Aで示すように、長手方向が均一プロファイルであるトップフラット状であり、幅方向のプロファイルは例えばガウス分布状である。
この線状ビームプロファイルによるNd:YAGレーザの第2高調波による熱処理方法を用いると、アモルファスシリコンに対する第2高調波吸収係数が小さいために膜厚方向に対してはほぼ均一に加熱され、レーザ照射によって発生するアモルファスシリコン層101内の横方向温度分布は、図5の(a)中のBで示すように、線状ビーム110の幅方向にのみ形成される。従って、図5の(b)に示すように、アモルファスシリコン層101の深さ方向全体に溶融する。すなわち、アモルファスシリコン層101において、深さ方向全体に広がった溶融部が線状に分布した溶融部111ができる。よって、深さ方向および線状ビーム110の長手方向に温度分布が少ないため、結晶成長が線状ビーム110の幅方向への1次元横方向成長となり、結晶粒径は数μm程度と大きな結晶粒が形成される。
ここで、線状ビーム110の幅方向のプロファイルをガウス型としているため、ターゲット95に照射されるエネルギー密度勾配は、レーザのエネルギーに加えて幅方向の位置により変化する。結晶粒111の形状観測により、エネルギー密度勾配が3mJ/cm/μm以上になると、その部分で1次元横方向成長が大きく生じ、図6に示されるように横方向成長した結晶の長さL1が成長方向に垂直な幅L2の2倍以上で、結晶成長の方向である線状ビーム110の幅方向、すなわち移動ステージ96の移動(スキャン)方向に揃う多結晶シリコン層の結晶列が形成されることが確認された。
このような結晶成長により形成された多結晶シリコン層の表面にアルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを照射し、ついで多結晶シリコン層をアイランド状にパターニングし、多結晶シリコン層上にゲート絶縁膜としての酸化シリコン層を形成した。そして、このように作製された薄膜半導体を用いて薄膜トランジスタを作製し、その電気特性を測定し、その結果を図7に示す。図7の(a)は薄膜トランジスタの移動度を示し、図7の(b)は薄膜トランジスタの閾値電圧を示している。なお、図7には、この実施の形態3における特性とエキシマレーザ光によりアニール(実施の形態1相当)した場合の特性とを併せて示している。ここでは、ゲート絶縁膜としての酸化シリコン層の形成方法として、圧力20気圧、温度600℃の飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させる方法(以下、HPAと記す)、減圧CVD(LPCVD)、および、HPAと減圧CVDとの併用を用い、形成される酸化シリコン層の膜厚を変えて薄膜トランジスタを作製した。
図7の(b)から、この実施の形態3においては、飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン表面を酸化させてゲート絶縁膜とした場合(HPAと記す)には、HPAの代わりにCVD法で成膜した酸化シリコン層の場合に得られる単純な膜厚依存性から外れて、閾値電圧が低くなることが分かる。
また、図7の(a)から、この実施の形態3によるレーザアニールと酸化工程の場合、エキシマレーザアニールと酸化工程の場合に比べて、多結晶シリコンを酸化しても移動度の低下が生じず、高移動度の薄膜トランジスタが実現していることが分かった。
この理由は以下のように推定している。これは、エキシマレーザ(典型的には波長308nmのXeClレーザ)を用いた線状ビームプロファイルによるレーザ熱処理が行われているが、これは波長532nmのレーザ光による熱処理とは根本的に異なる概念によるものである。つまり、波長532nmのレーザ光による熱処理は、上述したようにアモルファスシリコンでの吸収係数が小さいために膜厚方向には均一に吸収され、再結晶過程において膜の面内方向である横方向に関して再結晶成長が起きる。一方、エキシマレーザによる場合は、アモルファスシリコンの吸収係数が非常に高く、膜表面のみで光吸収が起こって膜表面は温度が高く、膜下部は温度が低いため、膜の厚み方向である縦方向に関しての成長が生じる。このため、エキシマレーザの場合には、膜厚方向に下部から表面に向かって結晶性が良いという、結晶性の違いを生じていると考えられる。つまり、結晶性が厚さ方向に変化しないように多結晶シリコン層を形成することが、薄膜トランジスタにおける高移動度および低閾値電圧の点から重要となる。
このように、この実施の形態3によれば、532nmのレーザ光92を、幅方向のエネルギー密度勾配が3mJ/cm/μm以上という急峻な強度分布をもつ線状ビーム110に成形してアモルファスシリコン層101に照射してレーザアニールしているので、ガラス基板103(絶縁基板)と並行方向に結晶成長させ、結晶性が厚さ方向に変化しない多結晶シリコン層を形成できる。そこで、多結晶シリコンの表面にガスクラスタイオンビームを照射して表層をアモルファス化させ、さらに酸化させてゲート絶縁膜である酸化シリコン層を形成しても、酸化シリコン層界面の多結晶シリコンの結晶性は初期の多結晶シリコン表面と同等であるため、移動度が高くかつ閾値電圧が低い高性能トップゲート型薄膜トランジスタが実現できる。
また、飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させてゲート絶縁膜としての酸化シリコン層を形成すれば、シリコン表面に清浄なMOS界面が形成できるので、多結晶シリコン層の表面に直接酸化シリコン層を成膜する場合に比べ、閾値電圧の低電圧化が図られる。
また、飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させて酸化シリコン層を形成し、さらに減圧CVDにより酸化シリコン層を成膜すれば、ゲート絶縁膜として必要な膜厚の酸化シリコン層を短時間に生産性よく形成できる。
なお、飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させて酸化シリコン層を形成した後、ゲート絶縁膜の厚膜化としての酸化シリコン層の成膜方法は、減圧CVD法に限定されるものではなく、プラズマCVD法、あるいはスパッタ等のPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いてもよい。
また、多結晶シリコン層を形成するためにアモルファスシリコンをCVDで成膜し、これに触媒金属(例えばニッケル)を接した上、640℃、4時間程度の熱アニールを施して基板に並行に結晶を成長させた後、酸化性雰囲気下800℃〜1100℃の高温で熱酸化膜を多結晶シリコン表面に形成してニッケルをゲッタリングし、ニッケルを含む熱酸化膜を除去した後、パターニングを経て再度熱酸化膜を形成してゲート絶縁膜とする方法が、例えば特開平9−312403号公報に提案されている。この従来方法では、基板と並行方向に結晶を成長させた後、多結晶シリコン表面を酸化させ、酸化シリコン層を形成しているため、結晶性としては多結晶シリコンの膜厚方向にあまり変化が無いと考えられる。すなわち、酸化シリコンの形成により多結晶シリコンを酸化しても、残ったシリコン層の結晶性としては表面部分と同様に結晶性は良いと考えられる。しかしながら、基板と並行方向に結晶を成長させるために、ニッケルをシリコン中に含有させないといけないこと、ニッケル除去工程が必要であり、プロセスが煩雑で、かつ1000℃前後の高温が必要であるなどの不具合があった。
一方、この実施の形態3では、シリコンに対して浸透性の高い、かつ、レーザビームの短軸形状を急峻な空間的強度分布を持つビーム形状でレーザアニールによる溶融再結晶化することで、シリコンの膜厚方向ではなく、基板と並行方向に結晶成長した多結晶シルコン膜を形成している。そこで、この実施の形態3によれば、上述の従来方法におけるニッケルをシリコン中に含有させなることやニッケル除去工程が不要となり、基板と並行方向に結晶成長した多結晶シルコン膜を簡易なプロセスで形成することができる。
実施の形態4.
この実施の形態4では、Nd:YAGレーザの第2高調波発振装置に代えてNd:YAGレーザの第3高調波発振装置を用いるものとしている。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
このNd:YAGレーザの第3高調波発振装置から出射されたレーザ光の波長は355nmである。この実施の形態4においても、上記実施の形態3(波長532nm)と同様に、線状ビームの幅方向への1次元横方向成長になり、結晶粒径は数μm程度と大きな結晶粒が形成された。
この多結晶シリコン層の表面にアルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを照射し、ついで多結晶シリコン層をアイランド状にパターニングし、さらに圧力20気圧、温度600℃の飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させて酸化シリコン層を形成した。そして、この酸化シリコン層をゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタを作製した結果、波長532nmの場合と同様の高性能の薄膜トランジスタが得られた。
実施の形態5.
この実施の形態5では、Nd:YAGレーザの第2高調波発振装置に代えてチタンサファイアレーザ発振装置を用いるものとしている。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
このチタンサファイアレーザ発振装置は、波長可変であり700nm〜800nmのレーザ光を発することができる。そして、この発振装置のいずれの波長においても、線状ビームの幅方向への1次元横方向成長が生じ、結晶粒径は数μm程度と大きな結晶粒が形成された。
この多結晶シリコン層の表面にアルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを照射し、ついで多結晶シリコン層をアイランド状にパターニングし、さらに圧力20気圧、温度600℃の飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させて酸化シリコン層を形成した。そして、この酸化シリコン層をゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタ
を作製した結果、波長532nmの場合と同様の高性能の薄膜トランジスタが得られた。
このように、上記実施の形態3〜5から、多結晶シリコン層を形成する工程において、波長が350nm以上800nm以下であるパルスレーザ光源により発生されるレーザビームを、幅方向に3mJ/cm/μm以上のエネルギー密度勾配を有する線状ビームに成形して、絶縁基板上に形成されたアモルファスシリコン層に照射して該アモルファスシリコン層を溶融再結晶化することにより、シリコンの膜厚方向ではなく基板と並行方向に結晶成長した多結晶シリコン層を形成することができ、多結晶シリコン層表面を平坦化、アモルファス化、さらには酸化しても半導体層として結晶性の良い多結晶シリコン部分を用いることができるため、耐電圧が高いゲート絶縁膜と結晶性の良い多結晶シリコン半導体層を用いた高性能の薄膜半導体を生産性良く実現できる。
この発明の実施の形態1に係る説明する薄膜半導体の製造方法を説明する工程断面図である。 この発明の実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザアニール工程の説明図である。 この発明の実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザアニールを施すターゲットの構造を示す模式断面図である。 この発明の実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザアニール工程でのレーザ光の照射状態を説明する図である。 この実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザビームを照射してアモルファスシリコン層の溶融状態を示す概念図である。 この発明の実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法におけるレーザアニール工程での多結晶シリコン層の結晶列状態を説明する図である。 この発明の実施の形態3に係る薄膜半導体の製造方法により製造された薄膜半導体を用いた薄膜トランジスタの特性図である。
符号の説明
1、103 絶縁基板、2、101 アモルファスシリコン層、3 多結晶シリコン層、5 酸化シリコン層、91 第2高調波発振装置(パルスレーザ光源)、92 レーザ光(レーザビーム)、110 線状ビーム。

Claims (5)

  1. 多結晶シリコンを半導体層とする薄膜半導体の製造方法において、絶縁基板上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、上記アモルファスシリコン層をアニールして多結晶シリコン層を形成する工程と、上記多結晶シリコン層の表面にガスクラスタイオンビームを照射して上記多結晶シリコン層の表面を非晶質化する工程と、上記ガスクラスタイオンビームが照射された上記多結晶シリコン層の表面に酸素を含む雰囲気を作用させて酸化シリコン層を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜半導体の製造方法。
  2. 上記ガスクラスタイオンビームは、酸素を含むガスを主成分とするクラスタイオンビームであることを特徴とする請求項1記載の薄膜半導体の製造方法。
  3. 上記多結晶シリコン層を形成する工程において、波長が350nm以上800nm以下であるパルスレーザ光源により発生されるレーザビームを、幅方向に3mJ/cm/μm以上のエネルギー密度勾配を有する線状ビームに成形して、上記絶縁基板上に形成された上記アモルファスシリコン層に照射して該アモルファスシリコン層をアニールし、上記多結晶シリコン層を形成することを特徴とする請求項1記載の薄膜半導体の製造方法。
  4. 上記ガスクラスタイオンビームが照射された上記多結晶シリコン層の表面に酸素を含む雰囲気を作用させて酸化シリコン層を形成する工程の後、上記酸化シリコン層上に所定の厚さまで酸化シリコン層を成膜する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜半導体の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された薄膜トランジスタ。
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