JP4515931B2 - 薄膜半導体の製造方法およびその製造方法により製造された薄膜トランジスタ - Google Patents
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Description
しかしながら、従来方法に開示された多結晶シリコン、特にレーザアニールにより形成された多結晶シリコンの表面は粒界部分に突起を持つ凹凸形状になっている。この状態で、多結晶シリコン表面から酸化を行っていくと多結晶シリコン表面からある一定の深さに酸素が含侵され、酸化シリコン層の厚さは概ね一定に形成されるため、酸化シリコン層には初期の多結晶シリコンの表面凹凸に対応したうねりが生じる。また、多結晶シリコン層は結晶化しており酸化シリコン層の生成レートは遅いため、高温・高圧の水蒸気雰囲気で長時間の処理が必要であるため、生産性が低いなどの不具合があった。
図1はこの発明の実施の形態1に係る説明する薄膜半導体の製造方法を説明する工程断面図である。
まず、図1の(a)に示されるように、SiH4又はSi2H6の原料ガスを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により絶縁基板1上にアモルファスシリコン層2を成膜する。そして、図1の(b)に示されるように、エキシマレーザ光(典型的には、波長308nmのXeClレーザ)をアモルファスシリコン層2に照射・加熱し、アモルファスシリコンを溶融させ、この溶融されたシリコンが冷却・固化して、多結晶シリコン層3が形成される。この溶融再結晶された多結晶シリコン層3は、結晶粒の集まりであり、その表面は、結晶粒と結晶粒との間の結晶粒界部分に突起を持つ凹凸形状となっている。
ついで、図1の(c)に示されるように、多結晶シリコン層3の表面にアルゴンを主成分とするガスクラスタイオンビームを照射する。これにより、ガスクラスタイオンビームは多結晶シリコンの粒界部分に形成されるシリコンの突起部を選択的にエッチングし、多結晶シリコン層3の表面凹凸を平坦化する。さらに、アルゴンクラスタあるいはアルゴン原子が多結晶シリコン層3の表層に侵入して結晶性を破壊し、多結晶シリコン層3の表層をアモルファスシリコン化する。これにより、多結晶シリコン層3の表層にアモルファスシリコン層4が形成される。
ついで、図1の(d)に示されるように、多結晶シリコン層3をアイランド状にパターニングする。そして、図1の(e)に示されるように、酸化雰囲気中、好ましくは飽和水蒸気中において、平坦化され、かつ、表層がアモルファス化されたシリコン表面を効率よく酸化させ、ゲート絶縁膜として酸化シリコン層5を形成する。さらに、図1の(f)に示されるように、酸化シリコン層5中にゲート電極6を形成する。これらの工程を経てMOSの基本部分が構成される。
以下、図示しないが不純物注入によるソース、ドレイン部の形成、保護膜7の形成、さらにソース、ドレイン部からの引き出し電極8、9の形成により、図1の(g)に示されるトップゲート型薄膜トランジスタが形成される。
そこで、多結晶シリコン層3の酸化工程において、多結晶シリコン層3の表層に形成されるゲート絶縁膜としての酸化シリコン層5は、多結晶シリコン層3の表面状態に対応してうねりのない平坦な表面状態となり、薄膜半導体の高性能化につながるゲート絶縁膜の耐電性が向上される。また、多結晶シリコン層3の表層が、多結晶シリコン層3に比べて酸化レートが速いアモルファスシリコン層4となっており、当該酸化工程の時間が短縮される。従って、高性能薄膜半導体を生産性高く製造することができる。
また、絶縁基板1上にアモルファスシリコン層2を成膜する方法は、特に限定されないが、プラズマCVD法、減圧CVD法、スパッタ法などを用いることができる。
また、アモルファスシリコン層2にエキシマレーザ光を照射して多結晶シリコン層3を形成するものとしているが、レーザ光はエキシマレーザ光に限定されるものではなく、例えばNd:YAGレーザ光を用いてもよい。
また、アモルファスシリコン層2をレーザアニールして多結晶シリコン層3を形成するものとしているが、アニール法は、レーザアニールに限定されるものではなく、例えば、電子ビームアニール、ランプアニール、炉アニールなどを用いてもよい。
上記実施の形態1では、図1の(c)に示される工程において、アルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを多結晶シリコン層3の表面に照射するものとしているが、この実施の形態2では、酸素ガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを多結晶シリコン層3の表面に照射するものとしている。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様である。
この実施の形態3では、エキシマレーザ光に代えYAG2ωレーザ光をアモルファスシリコン層2に照射して多結晶化を行うものである。
図2において、レーザ光照射装置は、Nd:YAGレーザの第2高調波発振装置91と、第2高調波発振装置91から出射されたレーザ光(波長:532nm)92を所定の強度に調整するバリアブルアッテネータ93と、バリアブルアッテネータ93により所定の強度に調整されたレーザ光92を線状ビームに変換するビーム成形光学系94とを備えている。また、ターゲット95は移動ステージ96に設置される。
ここで、ターゲット95は、図3に示されるように、絶縁基板としてのガラス基板103上に下地絶縁膜102としてCVDにより厚さ200nmの酸化シリコン層を成膜し、さらに、減圧CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)により厚さ70nmのアモルファスシリコン層(非晶質シリコン層)101を下地絶縁膜102上に成膜して作製されている。
まず、レーザ光92が、第2高調波発振装置91から出射され、バリアブルアッテネータ93で所定の強度に調整された後、ビーム成形光学系94に入射する。そして、レーザ光92は、ビーム成形光学系94により線状のビームプロファイルに変換された後、移動ステージ96に設置されたターゲット95に照射され、アモルファスシリコン層101のレーザアニール(熱処理)が行われる。
このとき、レーザビームは移動ステージ96を線状ビームの線に直交した方向に移動させながら照射する。各パルスレーザ光照射の間隔に移動ステージ96が移動する距離を、線状ビームの幅よりも長くすると同一箇所へのレーザのパルスの照射回数が1回になるが、ビーム幅よりも短くすると図4に示されるように同一箇所へレーザ光が複数回照射されることになり、アモルファスシリコン層101の全面を結晶化することが出来る。
ビーム成形光学系94により変換された線状ビーム110は、ビーム成形光学系94の出力部にある集光レンズ941によりアモルファスシリコン層101上に集光・照射される。アモルファスシリコン層101上に集光された線状ビーム110のビームプロファイルは、図5の(a)中の点線Aで示すように、長手方向が均一プロファイルであるトップフラット状であり、幅方向のプロファイルは例えばガウス分布状である。
この線状ビームプロファイルによるNd:YAGレーザの第2高調波による熱処理方法を用いると、アモルファスシリコンに対する第2高調波吸収係数が小さいために膜厚方向に対してはほぼ均一に加熱され、レーザ照射によって発生するアモルファスシリコン層101内の横方向温度分布は、図5の(a)中のBで示すように、線状ビーム110の幅方向にのみ形成される。従って、図5の(b)に示すように、アモルファスシリコン層101の深さ方向全体に溶融する。すなわち、アモルファスシリコン層101において、深さ方向全体に広がった溶融部が線状に分布した溶融部111ができる。よって、深さ方向および線状ビーム110の長手方向に温度分布が少ないため、結晶成長が線状ビーム110の幅方向への1次元横方向成長となり、結晶粒径は数μm程度と大きな結晶粒が形成される。
また、図7の(a)から、この実施の形態3によるレーザアニールと酸化工程の場合、エキシマレーザアニールと酸化工程の場合に比べて、多結晶シリコンを酸化しても移動度の低下が生じず、高移動度の薄膜トランジスタが実現していることが分かった。
また、飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させて酸化シリコン層を形成し、さらに減圧CVDにより酸化シリコン層を成膜すれば、ゲート絶縁膜として必要な膜厚の酸化シリコン層を短時間に生産性よく形成できる。
一方、この実施の形態3では、シリコンに対して浸透性の高い、かつ、レーザビームの短軸形状を急峻な空間的強度分布を持つビーム形状でレーザアニールによる溶融再結晶化することで、シリコンの膜厚方向ではなく、基板と並行方向に結晶成長した多結晶シルコン膜を形成している。そこで、この実施の形態3によれば、上述の従来方法におけるニッケルをシリコン中に含有させなることやニッケル除去工程が不要となり、基板と並行方向に結晶成長した多結晶シルコン膜を簡易なプロセスで形成することができる。
この実施の形態4では、Nd:YAGレーザの第2高調波発振装置に代えてNd:YAGレーザの第3高調波発振装置を用いるものとしている。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
この多結晶シリコン層の表面にアルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを照射し、ついで多結晶シリコン層をアイランド状にパターニングし、さらに圧力20気圧、温度600℃の飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させて酸化シリコン層を形成した。そして、この酸化シリコン層をゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタを作製した結果、波長532nmの場合と同様の高性能の薄膜トランジスタが得られた。
この実施の形態5では、Nd:YAGレーザの第2高調波発振装置に代えてチタンサファイアレーザ発振装置を用いるものとしている。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
この多結晶シリコン層の表面にアルゴンガスを主成分とするガスクラスタイオンビームを照射し、ついで多結晶シリコン層をアイランド状にパターニングし、さらに圧力20気圧、温度600℃の飽和水蒸気雰囲気中で多結晶シリコン層の表面を酸化させて酸化シリコン層を形成した。そして、この酸化シリコン層をゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタ
を作製した結果、波長532nmの場合と同様の高性能の薄膜トランジスタが得られた。
Claims (5)
- 多結晶シリコンを半導体層とする薄膜半導体の製造方法において、絶縁基板上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、上記アモルファスシリコン層をアニールして多結晶シリコン層を形成する工程と、上記多結晶シリコン層の表面にガスクラスタイオンビームを照射して上記多結晶シリコン層の表面を非晶質化する工程と、上記ガスクラスタイオンビームが照射された上記多結晶シリコン層の表面に酸素を含む雰囲気を作用させて酸化シリコン層を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜半導体の製造方法。
- 上記ガスクラスタイオンビームは、酸素を含むガスを主成分とするクラスタイオンビームであることを特徴とする請求項1記載の薄膜半導体の製造方法。
- 上記多結晶シリコン層を形成する工程において、波長が350nm以上800nm以下であるパルスレーザ光源により発生されるレーザビームを、幅方向に3mJ/cm2/μm以上のエネルギー密度勾配を有する線状ビームに成形して、上記絶縁基板上に形成された上記アモルファスシリコン層に照射して該アモルファスシリコン層をアニールし、上記多結晶シリコン層を形成することを特徴とする請求項1記載の薄膜半導体の製造方法。
- 上記ガスクラスタイオンビームが照射された上記多結晶シリコン層の表面に酸素を含む雰囲気を作用させて酸化シリコン層を形成する工程の後、上記酸化シリコン層上に所定の厚さまで酸化シリコン層を成膜する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜半導体の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された薄膜トランジスタ。
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