JP4514915B2 - 熱処理装置、基板の熱処理方法、および処理レシピを記録した媒体 - Google Patents

熱処理装置、基板の熱処理方法、および処理レシピを記録した媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱処理装置、基板の熱処理方法、および処理レシピを記録した媒体に関し、特に温度安定のための待ち時間が短縮可能な熱処理装置、基板の熱処理方法、および処理レシピを記録した媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスにおいて、半導体ウエハ(以下ウエハという)に対して熱処理を行う装置の一つにバッチ処理を行う縦型熱処理装置がある。この装置は、ウエハボートなどと呼ばれている保持具に多数枚のウエハを棚状に保持し、この保持具を縦型の熱処理炉の中に搬入して熱処理、例えば酸化処理やCVD(Chemical Vapor Deposition)を行うものである。
縦型熱処理装置で熱処理する際には、ウエハを縦型熱処理装置の処理室内に搬入し、ヒータによって加熱して昇温する。その後、基板の温度が安定するのを待ち、目的とする熱処理、例えば酸化処理を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱処理装置では基板面内の熱処理を均一に行う目的で、基板の温度が安定するための安定化時間を要していた。このため安定化時間の分、熱処理の工程に時間がかかることとなりスループットが減少していた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、安定化時間を短縮しても基板面内の熱処理を均一に行える熱処理装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は以下の熱処理装置を構成する。
処理室内に基板を配置して熱処理を行うための熱処理装置であって、前記基板を加熱する加熱部と、前記基板上に膜を形成するための処理ガスを前記処理室内に導入するガス導入部と、時間の経過と設定温度との関係を表した設定温度プロファイルを含み、かつ前記基板上に膜を形成する熱処理工程を記述する熱処理工程記述部を少なくとも有する処理レシピに従って、前記加熱部および前記ガス導入部を制御する制御部とを具備し、前記熱処理工程中に前記基板の中央近傍の中央温度が周縁近傍の周縁温度より高い中央高温状態と該基板の該周縁温度が該中央温度より高い周縁高温状態とが現れるように、前記設定温度プロファイルが規定されていることを特徴とする。
【0005】
熱処理工程中に基板中央近傍が高温の中央高温状態と基板周縁近傍が高温の周縁高温状態の双方の状態をとる。この中央高温状態と周縁高温状態の双方が打ち消し合うことにより、時間平均すれば中央温度と周縁温度は近づく。その結果、安定化時間を短縮しても基板面上の熱処理を均一に行い易くなる。
【0006】
ここで、前記熱処理工程中における前記基板の前記中央温度の時間平均値が、前記周縁温度の時間平均値と略等しくなるように、前記設定温度プロファイルが規定されていることが好ましい。中央温度の時間平均値が、前記周縁温度の時間平均値と略等しいことにより、基板面上の熱処理の均一性の確保が容易になる。なお、前記熱処理工程中の前記設定温度が、時間の推移と共に変化する時間変化設定温度であるように、前記設定温度プロファイルが規定されていても差し支えない。
【0007】
(2)本発明に係る基板の熱処理方法は次のように構成される。
設定温度に従って温度を制御し、基板の熱処理を行う方法であって、処理ガス雰囲気中で前記基板上に膜を形成する熱処理工程を具備し、前記熱処理工程が、前記基板の中央近傍の中央温度が周縁近傍の周縁温度より高い中央高温工程と、前記基板の前記周縁温度が前記中央温度より高い周縁高温工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
中央高温状態と周縁高温状態が互いに打ち消し合うことにより、安定化時間を短縮しても基板面内の熱処理の均一性の確保が容易になる。
ここで、前記熱処理工程における前記設定温度が、時間の経過と共に下降していても差し支えない。このとき、基板の加熱、放熱が周縁から行われるなら、前記周縁高温工程の後に前記中央高温工程が行われることになる。基板の加熱、放熱が基板周縁から行われるなら、設定温度が、時間の経過と共に下降するにつれ基板の周縁温度が中央温度よりも速やかに下降するからである。
【0009】
また、前記熱処理工程における前記時間変化設定温度が、時間の経過と共に上昇していても差し支えない。
このとき、基板の加熱、放熱が基板周縁から行われるなら、前記中央高温工程の後に前記周縁高温工程が行われることになる。基板の加熱、放熱が基板周縁から行われるなら、時間の経過と共に設定温度が上昇するにつれ基板の周縁温度が中央温度よりも速やかに上昇するからである。
【0010】
ここで、前記熱処理工程における前記基板の前記中央温度の時間平均値が、前記周縁温度の時間平均値と略等しいことが、好ましい。基板面内の均一な熱処理の確保に繋がるからである。
ここで、前記周縁温度が周縁近傍の複数箇所の温度の平均値であっても差し支えない。
【0011】
また、前記熱処理工程において、処理ガスの濃度および圧力が時間的に略一定であることが好ましい。基板面内の均一な熱処理を容易に行いやすいからである。
【0012】
(3)本発明に係る基板の熱処理方法は次のように構成することもできる。
基板を熱処理する方法であって、第1の範囲の熱出力で、前記基板を加熱することにより該基板の中央近傍の中央温度と該基板の周縁近傍の周縁温度とを上昇させる昇温工程と、処理ガス雰囲気中で、前記第1の範囲の熱出力より小さい第2の範囲の熱出力で前記基板を基板周縁から加熱することにより、前記中央温度と前記周縁温度を低下させながら、該該基板上に膜を形成する熱処理工程であって、かつ該基板の前記中央温度が前記周縁温度より高い中央高温工程と該中央温度より該周縁温度が高い周縁高温工程とを含む熱処理工程とを具備することを特徴とする。
【0013】
基板を第1の熱出力で昇温後に第2の熱出力で加熱しながら成膜を行う熱処理工程において、熱出力等を調整することにより、成膜中に中央高温状態と周縁高温状態の双方を出現させることができる。
この結果、昇温工程と熱処理工程(成膜工程)の間の安定化工程を短縮してもあるいは安定化工程を設けなくても、基板面内の熱処理の均一性の確保が容易になる。
【0014】
(4)本発明に係る記録媒体は以下のように構成することができる。
基板の熱処理を行う熱処理装置を制御するための処理レシピを記録した記録媒体であって、前記処理レシピが、時間の経過と設定温度との関係を表した設定温度プロファイルを含み、かつ前記基板上に膜を形成する熱処理工程を記述する熱処理工程記述部を少なくとも有し、前記熱処理工程中に前記基板の中央近傍の中央温度が周縁近傍の周縁温度より高い中央高温状態と該基板の該周縁温度が該中央温度より高い周縁高温状態とが現れるように、前記設定温度プロファイルが規定されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1,図2は、それぞれ本発明に係る縦型熱処理装置の断面図および斜視図である。この縦型熱処理装置は、縦型熱処理炉10と、ウエハ保持具であるウエハボート20と、このウエハボート20を昇降させるボートエレベータ30、制御部100とを備えている。
【0016】
縦型熱処理炉10は、例えば石英よりなる二重構造の反応管40、この反応管40を囲むように設けられた抵抗発熱体などからなる加熱部であるヒータ50などからなる。
反応管40の底部にはガス供給管60及び排気管70が接続されていて、反応管40の外管40aからガス穴41を介して内管40bの中にガスが流れるようになっている。ガス供給管60内のガス流量は流量制御器65によって、排気管70からの排気量は排気量制御器75によって制御される。なお、45は均熱用容器である。
【0017】
ウエハボート20は、例えば天板21及び底板22の間に複数の支柱23を設け、この支柱23に上下方向に形成された溝にウエハ(被処理体)Wの周縁を挿入して保持し、こうして複数のウエハWを棚状に保持するように構成されている。ウエハボート20は、縦型熱処理炉10の下端の開口部80を開閉する蓋体81の上に設けられた保温筒82の上に載置されている。蓋体81はボートエレベータ30に設けられており、ボートエレベータ30が昇降することにより、縦型熱処理炉10に対してウエハボート20の搬入出が行われる。
【0018】
前記ヒータ50は、5つのヒータ51〜55に分割されており、それぞれ縦型熱処理炉10内のゾーン(領域)1〜5を主として加熱するようになっている。ゾーン1〜5を代表する位置にそれぞれ温度モニタ用のモニタウエハW1〜W5が配置されている。即ち、モニタウエハW1〜W5とゾーン1〜5は、互いに1対1に対応している。それぞれのヒータ51〜55は、それぞれ電力制御器91〜95により個別に消費電力が制御される。
【0019】
モニタウエハW1〜W5の基板温度は、直接測定されるのではなく、ヒータ50の近傍(均熱容器45の外壁)およびウエハWの近傍(内管40bの内壁)にそれぞれ設けられた温度センサSout、Sinの温度測定結果を基に推定される。これは、ウエハWに熱電対等の温度センサを接触することでウエハが金属等によって汚染されることを防止するためである。温度センサSin、Soutは、モニタウエハW1〜W5にそれぞれ対応して、Sin1〜Sin5、Sout1〜Sout5が設置されている。
制御部100は、縦型熱処理炉10の制御を行うものであり、温度センサSin1〜Sin5、Sout1〜Sout5の測定信号が入力され、電力制御器91〜95および流量制御器65、排気量制御器75に制御信号を出力する。
【0020】
図3は、制御部100の内部構成のうち、ヒータ3の制御に係る部分の詳細を示すブロック図である。
図3に示すように制御部100は、温度センサS1in〜S5in、S1out〜S5outからの測定信号に基づいて推定したモニタウエハW1〜W5の中央近傍の中央温度T1c〜T5c、周縁近傍の周縁温度T1e〜T5eを出力する基板温度推定部110、それぞれのモニタウエハW1〜W5の中央温度T1c〜T5c、周縁温度T1e〜T5eからそれぞれのモニタウエハW1〜W5の代表温度T1からT5を算出する代表温度算出部120、モニタウエハの代表温度T1〜T5および設定温度プロファイル記憶部130に記憶された設定温度プロファイルを基にヒータの出力h1〜h5を決定するヒータ出力決定部140から構成される。ヒータ出力決定部140で決定されたヒータ出力h1〜h5は、制御信号として電力制御器91〜95に送出される。
【0021】
設定温度プロファイルは、時間の経過と設定温度(ウエハWのあるべき温度)との関係を表したものである。この1例を図4に示す。
図4は、本発明に係る設定温度プロファイルを時間と温度の関係を表したグラフとして表現している。
【0022】
(A)時刻t0からt1までは設定温度がT0に保たれている。このとき、ウエハWを保持したウエハボート20を縦型熱処理炉10内に搬入される(ロード工程)。
(B)時刻t1からt2までの間に、設定温度は温度T0からT2まで一定のレートで上昇する(昇温工程)。
【0023】
(C)時刻t2からt3の間は、設定温度はT2に保たれる。実際のウエハWの温度は設定温度を一定にしても熱的な慣性のために温度が一定になるまで多少の時間がかかる。そのため、ウエハの温度が安定するまで次の工程に移るのを控える(安定化工程)。
一般的にはこの安定化工程には数分以上、場合によっては数十分を要するのが通例である。
本発明では、この安定化時間(t3−t2)を短縮、あるいは省略しても、ウエハWの品質の低下を招き難いのが特徴である。
【0024】
(D)時刻t3からt4の間は、設定温度はT2からT1まで徐々に低下する。このときに、ガス供給管60から酸素ガス等の処理ガスが縦型熱処理炉10の内部に導入され例えばシリコンウエハ上への酸化膜の形成等の熱処理が行われる(成膜工程)。
即ち、成膜中の設定温度は時間の経過と共に変化する時間変化設定温度である。なお、ここでいう時間変化設定温度は、設定温度が成膜中に何らかの変化があるものをいい成膜中一時的に設定温度が一定値となることは差し支えないものとする。即ち、成膜工程(熱処理工程)の全期間を通じて設定温度が一定なもの以外は時間変化設定温度といえる。以後もこれと同様に解釈するものとする。
本発明は、昇温レートと成膜中の時間変化設定温度を適切に組み合わせることにより、安定化時間の短縮を可能とした。なお、この詳細は後述する。
【0025】
(E)時刻t4からt5の間は、設定温度がT1からT0まで一定のレートで低下する(降温工程)。
(F)時刻t5以降は設定温度はT0に保たれる。このとき、ウエハWを保持したウエハボート20が縦型熱処理炉10内から搬出される(アンロード工程)。
【0026】
設定温度プロファイルは、以上の様に時間の経過に対応して(1)温度を直接指定する他に、(2)昇温レート等の温度の変化率を指定する、あるいは(3)ヒータ出力を指定する等種々の表現方法が考えられる。結果として、時間の経過とウエハWの温度を対応づけるものであれば、見かけ上の表現方法に拘る必要はない。
【0027】
設定温度プロファイルは、ウエハWの熱処理工程全体を決定する処理レシピの一部である。処理レシピには、設定温度プロファイルの他にも縦型熱処理炉10内からの大気の排出や処理ガスの導入等の工程が時間経過と対応して表されている。
熱処理工程全体で特に重要なのは成膜工程であり、処理レシピのうち成膜工程を記述する部分を成膜工程記述部とよぶこととする。
【0028】
図5は、制御部100によるヒータ50の制御手順を表すフロー図である。以下、このフロー図に基づき縦型熱処理炉10の温度制御の手順を説明する。
(A)熱処理のプロセスが開始されると、温度センサSin(S1in〜S5in)、Sout(S1out〜S5out)の測定信号が温度推定部110によって読みとられる(S201)。
【0029】
(B)基板温度推定部110は、温度センサSin、Soutの測定信号からモニタウエハW1〜W5それぞれの中央温度T1c〜T5cおよび周縁温度T1e〜T5eを推定する(S202)。
この推定には制御工学において知られている以下の式(1)、(2)を用いることができる。
x(t+1)=A・x(t)+B・u(t) …… 式(1)
y(t)=C・x(t)+u(t) …… 式(2)
ここで、t:時間
x(t):n次元状態ベクトル
y(t):m次元出力ベクトル
u(t):r次元入力ベクトル
A,B,C:それぞれn×n、n×r、m×nの定数行列
である。
【0030】
式(1)が状態方程式、式(2)が出力方程式と呼ばれ、式(1)、(2)を連立して解くことにより、入力ベクトルu(t)に対応する出力ベクトルy(t)を求めることができる。
本実施形態においては入力ベクトルu(t)は温度センサS1in〜S5in、S1out〜S5outの測定信号であり、出力ベクトルy(t)は中央温度T1c〜T5cおよび周縁温度T1e〜T5eである。
【0031】
式(1)、(2)において、温度センサSin、Soutの測定信号と中央温度Tc、周縁温度Teは、多入出力の関係にある。即ち、ヒータ3のゾーン1〜5それぞれはモニタウエハW1〜W5のそれぞれに対して独立に影響を与えているわけではなく、一つのゾーンのヒータはどのモニタウエハにも何らかの影響を与えている。
【0032】
状態方程式等は雑音を考慮した式(3)、(4)
x(t+1)=A・x(t)+B・u(t)+K・e(t)……式(3)
y(t)=C・x(t)+D・u(t)+e(t) ……式(4)
を用いることもできる。
ここで、t:時間
x(t):n次元状態ベクトル
y(t):m次元出力ベクトル
u(t):r次元入力ベクトル
e(t):m次元雑音ベクトル
A,B,C,D、K:それぞれn×n、n×r、m×n、m×m、n×mの定数行列
である。
【0033】
熱処理装置の熱特性によって定まる定数行列A,B,C、Dを求める手法として、例えば部分空間法を適用することができる。
具体的には温度センサS1in〜S5in、S1out〜S5outの測定信号及び中央温度T1c〜T5cおよび周縁温度T1e〜T5eのデータを取得し、そのデータを例えばソフトウェアMatlab(製造:The MathWorks. Inc.、販売:サイバネットシステム株式会社)に入力することで、定数行列A,B,Cを逆算できる。
【0034】
このデータ取得は、ヒータ51〜55の出力を徐々に変化させ、温度センサS1in〜S5in、S1out〜S5outの測定信号及び中央温度T1c〜T5cおよび周縁温度T1e〜T5eの時間的変動を同時に測定することにより行われる。中央温度T1c〜T5cおよび周縁温度T1e〜T5eの測定は、熱電対を設置したモニタウエハを用いることで行える。
【0035】
求められた定数行列A,B,C、Dの組合せは、複数存在するのが通例である。この組合せから、中央温度T1c〜T5cおよび周縁温度T1e〜T5eの算出値((3)、(4)を連立して算出する)と実測値が一致するものを選択する(モデルの評価)。
定数行列A,B,C、Dの組合せが定まれば、式(1)、(2)または式(3)、(4)を連立して解くことにより、温度センサS1in〜S5in、S1out〜S5outの測定信号から中央温度T1c〜T5cおよび周縁温度T1e〜T5eを算出できる。
【0036】
(C)代表温度算出部120は、中央温度T1c〜T5c、周縁温度T1e〜T5eを基にモニタウエハW1〜W5それぞれの温度を代表する代表温度T1r〜T5rを算出する(S203)。
代表温度Trの算出は、例えばつぎの式(5)によって行える。
Tr=Tc・x+Te・(1−x) …… 式(5)
ここで、x:重み (0<x<1)
である。重みxは、ウエハW上の温度分布を考慮して、代表温度TrがウエハWの温度を代表する値としてふさわしくなるような値を採用する。重みxは、例えば1/3の値を採用できる。
【0037】
(D)ヒータ出力決定部130は、代表温度T1r〜T5rおよび設定温度プロファイルを基にヒータ51〜55の出力値h1〜h5を決定する(S204)。
ヒータ出力値h1〜h5は、例えば設定温度Tspと代表温度Trの差(Tsp−Tr)に対応して決めることができる。あるいは昇温レート等の温度の変化速度に対応して決めても良い。
(E)ヒータ出力決定部140は、最終的に決定されたヒータ出力値h1〜h5を電力制御器91〜95に制御信号として出力し(S205)、ヒータ51〜55それぞれの出力が制御される。
(F)熱処理プロセスが終了していなければ、ステップS201に戻って半導体ウエハWの温度制御が続行される(S206)。
なお、このステップS202からS206は多くの場合、1秒〜4秒程度の周期で繰り返される。
【0038】
次に本発明に係る設定温度プロファイルを用いた温度制御の詳細につき説明する。
図6は、図4に示した設定温度プロファイルを用いた場合のウエハW上の温度の時間的変化を表したグラフである。図6(A)が、設定温度Tspと対応してウエハWの周縁近傍の周縁温度Teと中央近傍の中央温度Tcの時間的変化を示している。また、図6(B)は、ウエハW面内の温度差ΔT(=Tc−Te)の時間的変化を示し、図6(C)は、ヒータ50の出力の時間的変化を表している。
【0039】
(1)時刻t1からt2にかけて昇温が行われる。このときヒータ50の出力は急速な昇温のため出力がP1からP4に増大される。
ヒータ50がウエハWをその周縁から加熱することから、周縁温度Teは中央温度Tcより先に上昇する。この結果、温度差ΔTは、負の値をとる。即ち、このときはウエハWの周縁温度が中央温度より高い周縁高温状態である。
(2)時刻t2からt3では、設定温度はT2と一定でありウエハWの温度の安定化が図られる。このときヒータ50の出力はP4からP3まで低下される。
しかしながら熱的な慣性のためにウエハWの温度上昇はすぐには止まらない。このため、温度差ΔTは徐々に0に近づいてゆく。
【0040】
(3)時刻t3からt5では設定温度が徐々にT2からT1まで低下する。ヒータ50の出力としてはP3からP2まで低下される。この時刻t3からt5までの期間では、酸素ガス等の処理ガスを導入し成膜(熱処理)が行われる。
設定温度の低下に伴いウエハWの温度も低下するが、中央温度Tcよりも周縁温度Teの方が急速に低下する傾向にある。これはウエハWの周縁から放熱が行われることに起因する。即ち、ウエハWの周縁は、加熱のときも放熱のときもウエハWの中央よりも温度の変化が先に起こる。
【0041】
時刻t1からt2の昇温工程のために周縁高温状態となっていたウエハWは、時刻t3では温度差ΔTは−ΔT1であり依然周縁高温状態である。これは安定化工程の時間(t3−t2)が短いことによる。
しかし、設定温度の低下に伴い周縁温度が中央温度より先に低下する。このために、周縁高温状態は、徐々に中央温度Tcが周縁温度Teより高い中央高温状態に移行する。時刻t4で中央温度と周縁温度が同じとなり、従い温度差ΔTは0となる。その後、中央高温状態となり温度差ΔTはΔT2で安定した状態になる。
【0042】
以上のように、成膜中に中央高温状態と周縁高温状態の両方の状態をとることが本発明の特徴である。これは、時間的に平均すればウエハWの中央と周縁での成膜条件が近いことを意味する。即ち、成膜中に温度が変化するときの成膜レートR(膜の成長速度)の平均値は、温度の時間平均T(Av)を基準として表すことができる。以下にこれを示す。
【0043】
ウエハ上に形成される膜の膜厚Dは、成膜レート(膜の成長速度)Rおよび時間tから次の式(6)のように表される。
D=∫t3 t5 R(T) dt …… 式(6)
ここで、∫は積分記号であり、R(T)は成膜レートRが温度Tの関数であることを示す。
【0044】
成膜レートR(T)は次式(7)のように温度の定数値T0で展開できる。
R(T)=R(T0)+R1(T0)*(T−T0) …… 式(7)
ここで、
R1(T0):dR(T0)/dt(成膜レートの時間微分)
である。
【0045】
式(6)に式(7)を代入すると次の式(8)が導ける。
D=R(T0)*(t5−t3)+R1(T0)*∫t3 t5(T−T0)dt…式(8)
ここで、温度Tの時間平均値(平均温度)T(Av)を次の式(9)により定義する。
T(Av)=∫t3 t5 T(t)dt/(t5−t3) ……式(9)
【0046】
そして、式(8)で、T0=T(Av)とおくと次の式(10)が得られる。
D/(t5−t3)=R(T(Av)) ……式(10)
ここで、
D/(t5−t3):成膜中における成膜レートの平均値(平均成膜レート)
である。
即ち、式(10)は、成膜中に温度が変わる場合の平均成膜レートは、平均温度T(Av)によって定まることを意味する。
【0047】
以上から、成膜中の中央温度の時間平均値(平均中央温度)Tc(Av)と周縁温度の時間平均値(平均周縁温度)Te(Av)が近いことが好ましいことが判る。なお、平均中央温度Tc(Av)と平均周縁温度Te(Av)は次の式で表される。
Tc(Av)=∫t3 t5 Tc(t)dt/(t5−t3)……式(11)
Te(Av)=∫t3 t5 Te(t)dt/(t5−t3)……式(12)
【0048】
ここで、
Tc(Av)=Te(Av) ……式(13)
とおくと、次の式(14)が導出できる。
t3 t5 (Tc(t)−Te(t))dt=0 ……式(14)
ここで、Tc(t)−Te(t)は、温度差ΔT(t)であるから。
t3 t5 (ΔT(t))dt=0 ……式(15)
【0049】
以上から、ウエハWの中央と周縁で成膜が同様に行われるためには、成膜中の平均中央温度Tc(Av)と平均周縁温度Te(Av)が同一である、即ち温度差ΔT(t)の積分値が0であることが好ましいことが判る。
これは、図6(B)の時刻t3からt4での斜線の面積と時刻t4からt5の斜線の面積が等しいことを意味する。
【0050】
以上のように、安定化工程の時間を短くした結果、成膜工程の初期に中央温度と周縁温度に温度差があっても、この温度差と正負が逆の温度差を作り出すことで、ウエハWの中央と周縁の膜厚分布を均一にすることが可能となる。
【0051】
但し、温度以外の条件を考慮すると必ずしもウエハWの中央と周縁の平均温度が等しいことが、膜厚分布の均一化に最良の条件とは限らない。例えば減圧CVDではウエハの周縁には比較的新鮮な処理ガスが供給され、中央近傍には消費された処理ガスが供給される傾向がある。即ち、このときには温度条件が同一だったとしてもウエハWの中央の膜厚は薄く、周縁では厚くなる傾向にある。この場合には、中央温度が周縁温度よりも幾分高い方が、処理ガスの条件の不均一を配慮した上で膜厚分布の向上を図るにはより好ましい。
【0052】
このように、ウエハWに施す熱処理条件によって、平均中央温度と平均周縁温度の関係を調整する。
平均周縁温度と平均中央温度の大小を調整するには以下の方法がある。
【0053】
▲1▼ 昇温工程(時刻t1からt2)の昇温レートを変化する。
昇温レートを大きくすると、昇温中の周縁温度Teと中央温度Tcの温度差が増大する。その結果、この後の成膜工程における平均周縁温度が平均中央温度に対して大きくなる。
この逆に昇温レートを低下すると、昇温中の周縁温度Teと中央温度Tcの温度差が接近する。この結果、成膜工程初期の周縁高温状態において周縁温度Teと中央温度Tcの温度差が小さいために、成膜工程全体では中央高温状態が周縁高温状態より優勢になる。即ち、この後の成膜工程における平均周縁温度が平均中央温度に対して小さくなる。
【0054】
▲2▼ 安定化工程(t2〜t3)の時間(t3−t2)を変化する。
安定化時間を短くすると成膜工程初期における周縁温度Teと中央温度Tcの温度差が増大し、従って平均周縁温度Teが平均中央温度Tcに対して増大する。
この逆に安定化時間を長くすると、平均周縁温度Teが平均中央温度に対して減少する。
【0055】
▲3▼ 成膜工程(時刻t4〜t5)における時間変化設定温度の時間勾配((T2−T3)/(t5−t3))を変える。
設定温度の時間勾配を大きくすれば、周縁温度は中央温度に比してより速やかに低下する。そして、最終的な温度差ΔT2も大きくなる。この結果、平均中央温度は平均周縁温度に対して大きくなる。
逆に設定温度の時間勾配を小さくすると温度差ΔT2が小さくなり、平均中央温度は平均周縁温度に対して小さくなる傾向になる。
【0056】
以上のように昇温工程、安定化工程、成膜工程における設定温度プロファイルを変えることで、成膜工程における平均中央温度および平均周縁温度を制御することができる。
(4)時刻t5からt6では、設定温度はT1からT0に低下する。このときには処理ガスの導入は停止されている。その後、ウエハWが縦型熱処理炉10内から取り出される。
【0057】
(比較例)
次に比較例として、成膜中の設定温度が一定の定常設定温度の設定温度プロファイルの場合を示す。
【0058】
図7は、本発明の比較例を表したグラフである。図7(A)は、設定温度Tspと中央温度Tc、周縁温度Teの時間経過を表したグラフであり、図7(B)はそのときの温度差ΔT(=Tc−Te)の時間的変化を表したグラフである。図7(A)に示されるように時刻t3からt4のときの設定温度Tspが一定であることが図6に示した設定温度プロファイルと相違する。
安定化工程までは、図6と特に変わるところはないので説明を省略する。
【0059】
時刻t3からt5の成膜工程では定常設定温度でその値がT1´であるため、周縁温度Teと中央温度Tcは徐々に温度T1´に近づくことになる。その結果、時刻t4までは周縁温度Teが中央温度時刻Tcよりも高い周縁高温状態であり、その後は両者の温度がほぼ等しい等温状態となる。
【0060】
即ち、成膜中の平均周縁温度Te(Av)は平均中央温度Tc(Av)よりも高くなる。このため、ウエハWの中央と周縁で温度条件が異なりウエハ面内での膜厚の均一性が保証されにくくなる。
これをさけるには安定化時間(t3−t2)を長く取れば良いが、そうすると熱処理の工程に時間がかかることになる。
【0061】
(具体的実験例)
具体的な熱処理の1例として、処理ガスとして酸素を用い酸化膜の形成を行った。その結果をまとめたのが表1である。
【表1】
Figure 0004514915
【0062】
熱処理のレシピとして、比較例の定常設定温度のレシピ1およびレシピ2、実施例として時間変化設定温度のレシピ3の3種類を用いて、シリコンウエハW上に酸化膜を形成した。いずれも900℃まで昇温し、設定温度が900℃での所定の安定化工程を経由した後成膜工程を実行した。
【0063】
レシピ1は安定化時間を5分としたところウエハ面内の膜厚分布は0.57%であった。レシピ2は安定化時間を1分に短縮したところウエハ面内の膜厚分布は1.25%まで劣化した。
これに対し、レシピ3は、安定化時間を1分とすると共に、設定温度を900℃から889℃まで徐々に低下させる時間変化設定温度の状態で成膜を行った。その結果、ウエハ面内で0.5%と均一な膜厚分布を得ることができた。
【0064】
(変形例)
次に設定温度プロファイルの変形例を示す。なお、以下の変形例は、既に述べた図1から図3に示した熱処理装置を用いて実施することができる。
【0065】
図8は、成膜工程の後の工程を変更した例を示す。時刻t0からt5までは、図4と変わるところがない。時刻t5の後昇温を行い設定温度Tspを再びT2まで上げて、その後時刻t6´以降一定温度に保っている。熱処理後にさらに次の工程が予定されるときには図4のように降温を行わない場合もある。
このように時刻t3からt5の成膜工程の後に種々の工程が付加されることがあるが、これは本発明の本質に影響を与えるものではない。
【0066】
次に、成膜工程の前工程を変更した場合の例を図9に示す。
図9に示す設定温度プロファイルは、時刻t1´´からt2´´の昇温工程、時刻t2´´からt3´´の第1の安定化工程の後に時刻t3´´からt4´´の昇温工程を入れたことが図8の設定温度プロファイルと異なる点である。
その結果、成膜工程はその工程の中間の時刻t5´´において第1の安定化工程における設定温度T2´´を通過する。
【0067】
このように成膜工程の前工程を変更することも可能である。但し、前工程を変更したときには成膜中の平均中央温度や平均周縁温度が変わり、ウエハW面内の膜厚分布が劣化する場合もあり得る。このときには必要に応じて設定温度プロファイルの最適化を図る。この最適化には、中央温度Tc、周縁温度Teの推定値を用いてもよいし、熱処理後のウエハ面内の膜厚分布に基づき設定温度プロファイルを修正することにより行っても良い。
【0068】
なお、時刻t7´´以降の第2の安定化工程の設定温度も第1の安定化工程と同様にT2´´となっている。このように成膜工程の前後で設定温度を揃えることも可能である。
【0069】
今までは成膜中の時間変化設定温度の勾配が負のもののみを取り扱ってきたが、この勾配は正であっても本発明の実施は可能である。その例を図10に示す。
図10(A)は設定温度TspとウエハWの中央温度Tc、周縁温度Teを、図10(B)は温度差ΔT(=Tc−Te)をそれぞれ時間と対応して表したグラフである。
【0070】
(1)本実施例では、時刻t0(3)からt1(3)までは温度がT3(3)と一定となっている。この温度T3(3)は、成膜工程における温度よりも高くなっている(高温工程)。
このときのウエハWの中央温度Tcおよび周縁温度Teは、設定温度Tspと同様にT3(3)であるものとする。
【0071】
(2)その後時刻t1(3)からt2(3)にかけて設定温度はT3(3)からT1(3)まで低下する(降温工程)。
このときは、既に述べたようにウエハWの周縁から放熱が行われる関係から、周縁温度Teは中央温度Tcよりも先に低下する。その結果、中央温度が周縁温度より高い中央高温状態となり、温度差ΔT(=Tc−Te)は正となる。
【0072】
(3)時刻t2(3)からt3(3)まで設定温度Tspは一定に保たれる(安定化工程)。
このとき温度差ΔTは徐々に0に近づく。そして、温度差ΔTが0に近づく前に成膜工程に移行する。即ち、この安定化工程は場合によっては無くても良い。
【0073】
(4)時刻t3(3)からt5(3)は設定温度TspがT1(3)から徐々にT2(3)まで上昇するとともに酸素ガス等の処理ガスが縦型熱処理炉10内に導入され、成膜が行われる(成膜工程)。
このときウエハWが周縁から加熱されることから周縁温度Teは中央温度よりも速やかに上昇する。この結果、時刻t4(4)においてウエハWは中央高温状態から周縁高温状態に移行し温度差ΔTは負になる。
【0074】
このように成膜工程中に中央高温状態と周縁高温状態の2つの状態をとる。このため、成膜中の温度差ΔTの積分値は中央高温状態と周縁高温状態が打ち消し合う結果、0に近づくことになる。そして、これは式(14)に示されるように成膜中の平均中央温度Tc(Av)と平均周縁温度Te(Av)が近づくことを意味する。
この結果、ウエハW面内の膜厚分布が均一に近づくことが期待される。
【0075】
(5)時刻t5(3)からt6(3)の降温工程、時刻t6(3)以降のアンロード工程については、既に述べた図4と本質的な相違はないので記載を省略する。
【0076】
以上のように、成膜中の時間変化設定温度が正の勾配を有している場合であっても本発明の実施は可能である。これは、前処理として何らかの高温工程を行い、その後に熱処理を行う場合に適している。
【0077】
(その他の実施形態)
以上の発明の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で、拡張、変更が可能である。
例えば、基板は半導体ウエハには限られず、例えばガラス基板であってもよい。
【0078】
熱処理装置は、縦型熱処理炉、あるいはバッチ炉に限らず、1枚ずつ熱処理を行う枚葉式の熱処理装置であってもよい。但し、基板とヒータの配置によっては時間変化設定温度の勾配と周縁高温状態と中央高温状態の出現頻度の順番が異なる可能性がある。
この関係を表2に示す。
【表2】
Figure 0004514915
【0079】
既に述べたように縦型熱処理炉(バッチ式の熱処理炉の一例)では、図6,図10に示したように、時間変化設定温度の勾配が負であれば(図6)、ウエハWは周縁高温状態から中央高温状態のの順番で現れ、時間変化設定温度の勾配が正であれば(図10)、ウエハWは中央高温状態から周縁高温状態の順番で現れる。
【0080】
これは縦型熱処理炉がウエハWを積層した状態で熱処理を行うために、ウエハWの周縁から加熱および放熱が行われることから(周縁加熱方式)、周縁温度が中央温度に先んじて変化することに起因している。
【0081】
これに対して、枚葉式ではウエハWは1枚毎に熱処理が行われるために、ウエハWの表面、即ち中央近傍から加熱および放熱が行われる(中央加熱方式)。この結果、中央温度が周縁温度に先んじて変化する傾向にあり、高温状態(中央高温状態、周縁高温状態)の出現順序が周縁加熱方式とは逆になってくる。
このように本発明は、バッチ式、枚葉式を問わず実施可能である。
【0082】
本発明は、安定化工程以前の前工程が昇温工程であるか降温工程であるかによって時間変化設定温度の勾配を使い分ければよい。これを表3に示す。
【表3】
Figure 0004514915
即ち、前工程が昇温工程であれば時間変化設定温度の勾配を負とし(図6)、前工程が降温工程であれば時間変化設定温度の勾配を正にすればよい(図10)。
この関係は、加熱方式が周縁加熱方式か中央加熱方式かに関わらず適用できる。
【0083】
なお、基板の温度分布に与える影響が小さいようなごく短時間の前工程は無視できるのはいうまでもない。
【0084】
時間変化設定温度の勾配は必ずしも一定である必要はない。本発明は要するに成膜中に中央高温状態と周縁高温状態の2つの状態が出現すれば良いのであって、時間変化設定温度の勾配が変化し場合によっては勾配の正負が成膜中に変化しても差し支えない。
【0085】
また、中央高温状態を周縁高温状態の2つの状態は2つのみならず、3つ以上の例えば、中央高温状態、周縁高温状態、中央高温状態の高温状態を経由しても差し支えない。
【0086】
熱処理の目的は拡散、アニール、熱酸化膜の形成、CVD(ChemicalVapor Deposition)による成膜(例えば、SiN等の成膜)のいずれであっても差し支えない。即ち、基板内の温度分布が問題となる工程であれば本発明の適用が可能である。
【0087】
ヒータは、区分されていなくても良いし、また区分の数も5には限られない。また、ヒータの制御には常に中央温度Tcと周縁温度Teから代表温度Trを算出して行わなければならないというものではなく。何らかの形で基板を代表する温度を適宜用いることができる。
【0088】
中央温度Tcおよび周縁温度Teは、温度センサSin、Soutの測定信号から推定するのではなく、直接測定しても差し支えない。この測定には、例えば(a)熱電対等の温度センサをモニタウエハW1〜W5に設置する方法、あるいは(b)放射温度計等による非接触測定を用いることができる。このときには、温度センサSin、Soutは外しても差し支えない。
【0089】
【発明の効果】
以上のように、本発明では熱処理工程中に基板中央近傍が高温の中央高温状態と基板周縁近傍が高温の周縁高温状態の双方の状態をとる。
この中央高温状態と周縁高温状態の双方が打ち消し合うことにより、時間平均すれば中央温度と周縁温度は近づく。その結果、安定化時間を短縮しても基板面上の熱処理の均一性が確保し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る縦型熱処理装置を表す断面図である。
【図2】 本発明に係る縦型熱処理装置を表す斜視図である。
【図3】 本発明に係る縦型熱処理装置の制御部の詳細を表すブロック図である。
【図4】 本発明に係る縦型熱処理装置の設定温度プロファイルの1例を表すグラフである。
【図5】 本発明に係る縦型熱処理装置の制御手順を表すフロー図である。
【図6】 本発明に係る設定温度プロファイルに従って縦型熱処理装置を制御した場合における、ウエハ温度、ウエハ面内温度差、ヒータ出力の時間変化を表すグラフである。
【図7】 本発明の比較例としての設定温度プロファイルに従って縦型熱処理装置を制御した場合における、ウエハ温度、ウエハ面内温度差の時間変化を表すグラフである。
【図8】 本発明に係る縦型熱処理装置の設定温度プロファイルの変形例の1例を表すグラフである。
【図9】 本発明に係る縦型熱処理装置の設定温度プロファイルの変形例の1例を表すグラフである。
【図10】 本発明に係る縦型熱処理装置の設定温度プロファイルの変形例の1例を表すグラフである。
【符号の説明】
10 縦型熱処理炉
20 ウエハボート
21 天板
22 底板
23 支柱
30 ボートエレベータ
40 反応管
40a 外管
40b 内管
41 ガス穴
50、51〜55 ヒータ
60 ガス供給管
65 流量制御器
70 排気管
75 排気量制御器
80 開口部
81 蓋体
82 保温筒
91〜95 電力制御器
100 制御部
110 基板温度推定部
120 代表温度算出部
130 設定温度プロファイル記憶部
140 ヒータ出力決定部

Claims (16)

  1. 処理室内に基板を配置して熱処理を行うための熱処理装置であって,
    前記基板を加熱する加熱部と,
    前記基板上に膜を形成するための処理ガスを前記処理室内に導入するガス導入部と,
    時間の経過と設定温度との関係を表した設定温度プロファイルを含み,かつ前記基板上に膜を形成する熱処理工程を記述する熱処理工程記述部を少なくとも有する処理レシピに従って,前記加熱部および前記ガス導入部を制御する制御部とを具備し,
    前記熱処理工程中に前記基板の中央近傍の中央温度が周縁近傍の周縁温度より高い中央高温状態と該基板の該周縁温度が該中央温度より高い周縁高温状態とが現れ,かつ前記熱処理工程中における前記基板の前記中央温度の時間平均値が,前記周縁温度の時間平均値と略等しくなるように,前記設定温度プロファイルが規定されている
    ことを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記熱処理工程中の前記設定温度が,時間の推移と共に変化する時間変化設定温度であるように,前記設定温度プロファイルが規定されている
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理装置。
  3. 前記熱処理工程に先立つ前記設定温度が,前記時間変化設定温度であるように,前記設定温度プロファイルが規定されている
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理装置。
  4. 設定温度に従って温度を制御し,基板の熱処理を行う方法であって,
    処理ガス雰囲気中で前記基板上に膜を形成する熱処理工程を具備し,
    前記熱処理工程が,
    前記基板の中央近傍の中央温度が周縁近傍の周縁温度より高い中央高温工程と,
    前記基板の前記周縁温度が前記中央温度より高い周縁高温工程と
    含み,
    前記熱処理工程における前記基板の前記中央温度の時間平均値が,前記周縁温度の時間平均値と略等しい
    ことを特徴とする基板の熱処理方法。
  5. 前記熱処理工程における前記設定温度が,時間の経過と共に変化する時間変化設定温度である
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  6. 前記熱処理工程における前記時間変化設定温度が,時間の経過と共に下降している
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  7. 前記周縁高温工程の後に前記中央高温工程が行われる
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  8. 前記熱処理工程における前記時間変化設定温度が,時間の経過と共に上昇している
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  9. 前記中央高温工程の後に前記周縁高温工程が行われる
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  10. 前記周縁温度が周縁近傍の複数箇所の温度の平均値である
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  11. 前記熱処理工程において,処理ガスの濃度が時間的に略一定である
    ことを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  12. 前記熱処理工程において,処理ガスの圧力が時間的に略一定である
    ことを特徴とする請求項11記載の熱処理方法。
  13. 前記熱処理工程の前に,
    設定温度が時間的と共に上昇する昇温工程
    をさらに具備することを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
  14. 前記昇温工程と前記熱処理工程との間に,設定温度が時間の経過と共に変化する時間変化設定温度工程
    をさらに具備することを特徴とする請求項13記載の熱処理方法。
  15. 前記昇温工程と前記熱処理工程との間に,設定温度が略一定の定常設定温度工程
    をさらに具備することを特徴とする請求項14記載の熱処理方法。
  16. 基板の熱処理を行う熱処理装置を制御するための処理レシピを記録した記録媒体であって,
    前記処理レシピが,時間の経過と設定温度との関係を表した設定温度プロファイルを含み,かつ前記基板上に膜を形成する熱処理工程を記述する熱処理工程記述部を少なくとも有し,
    前記熱処理工程中に前記基板の中央近傍の中央温度が周縁近傍の周縁温度より高い中央高温状態と該基板の該周縁温度が該中央温度より高い周縁高温状態とが現れ,かつ前記熱処理工程中における前記基板の前記中央温度の時間平均値が,前記周縁温度の時間平均値と略等しくなるように,前記設定温度プロファイルが規定されている
    ことを特徴とする処理レシピを記録した記録媒体。
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