JP4514898B2 - 給水ボックス取付具および給水ボックス装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、壁に給水ボックスを取り付けるための給水ボックス取付具および、その給水ボックス取付具と給水ボックスとからなる給水ボックス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ユニットバスの壁の裏側等には、内部に水栓取付用の継手を収容する継手収容ボックス等の給水ボックスが設置された。
【0003】
ここで、ユニットバスの壁は、表面材であるFRP製の化粧板の裏面に石膏ボードが貼り付けられた複合板からなっていた。そして、前記給水ボックスは、ユニットバスの壁に、例えば、石膏ボードに貼り付けまたはビス固定されるバックハンガーと呼ばれるボックス支持部材を介して取り付けられた。
【0004】
しかし、この取付方法によると、給水湯管の挿通配管時に給水ボックスが給水湯管から受ける極めて大きな力によって、ボックス支持部材が石膏ボードから剥がれるようにして給水ボックスが壁から外れる虞があった。すなわち、ボックス支持部材を石膏ボードに貼り付けた場合には、石膏ボート表面の紙材が破れてボックス支持部材が石膏ボードから剥がれる虞があった。また、ボックス支持部材を石膏ボードにビス固定した場合であっても、石膏ボードは崩れやすく、ビスのねじ込みが利きにくいため、同様に、ボックス支持部材が石膏ボードから剥がれる虞があった。
【0005】
そこで、例えば、特開平8−4065号に示される、給水ボックスの取付構造が提案された。この取付構造は、図10に示されるように、ユニットバスの壁31の石膏ボード31aを所定範囲除去して、ベニヤ合板32を貼り付け、そのベニヤ合板32にボックス支持部材33を貼り付けまたはビス固定するものであった。こうして、ボックス支持部材33は、ベニヤ合板32を介して壁31に固定され、そのボックス支持部材33に、給水ボックス34が固定された。すなわち、ベニヤ合板32であれば、石膏ボード31aに比べて、ボックス支持部材33を貼り付けた場合に石膏ボード31a表面の紙材が破れることもなく、また、ビスによるねじ込み固定も可能であった。なお、35は、継手であり、36は、給水湯管、そして、37は、鞘管である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の、給水ボックス34の取付構造(図10参照)にあっては、石膏ボード31aを所定範囲除去して、ベニヤ合板32を貼り付けなければならず、この作業は、極めて面倒かつコスト高となるため、ユニットバス業者の間では、かかる作業が不要となる方法が強く望まれていた。また、ベニヤ合板32が貼り付けられた部分が腐食しやすく、また、石膏ボード31aが除去されるため、防音性や保温性も悪くなった。さらに、現場に対応する給水ボックス34の取付箇所を予め把握して、ベニヤ合板32を貼り付けておく必要があり、現場においてその現場に応じた自由な作業の妨げとなった。
【0007】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、給水ボックスを壁に、簡単かつ確実に取り付けることができる、給水ボックス取付具および給水ボックス装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る給水ボックス取付具および給水ボックス装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る給水ボックス取付具5は、壁1の裏側P1に配備されて前記壁1に形成された壁孔1aから前記壁1の表側P2に臨む開口部2aを備える給水ボックス2を、前記壁1に取り付けるための取付具である。この給水ボックス取付具5は、前記壁1の裏側P1に位置して前記給水ボックス2を固定可能な本体部5aと、前記本体部5aを前記壁1に固定すべく、前記壁1の裏側P1から前記壁孔1aに挿入されてその壁孔1aの周縁部に係止可能な被係止部5bと、を備える。ここで、前記被係止部5bは、前記本体部5aから前記壁孔1a内を前記壁1の表側P2に向かうとともに前記壁孔1aの軸心側方向に弾性変形可能な弾性片5iからなり、前記弾性片5iの先端部分に、前記壁1の表側壁面1cに係合する係合爪5fが設けられて、その係合爪5fと前記本体部5aとで前記壁1を挟持する。そして、前記弾性片5iは、前記壁1の裏側P1から前記壁孔1aに挿入される筒状に前方に突出して形成された前記開口部2aによって、前記壁孔1aの軸心側方向への弾性変形が阻止されて、前記壁1の表側壁面1cへの前記係合爪5fの係合を解除することが不能となる。
【0009】
これにより、給水ボックス取付具5は、その被係止部5bが、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入されてその壁孔1aの周縁部に係止されることで、本体部5a、つまりは給水ボックス取付具5が壁1に固定される。そして、この給水ボックス取付具5の本体部5aに、給水ボックス2が固定される。こうして、給水ボックス2は、壁孔1aの周縁部に係止される被係止部5bを備える給水ボックス取付具5を介して、壁1に取り付けられる。
【0010】
【0011】
ここにおいて、弾性片5iは、その先端部分の係合爪5fが壁孔1aの周面と干渉しないように、壁孔1aの軸心側方向に弾性変形しながら、壁孔1aに挿入される。そして、係合爪5fが、壁1の表側P2に出ると、弾性片5iは復帰し、係合爪5fは壁1の表側壁面1cに係合する。こうして、係合爪5fが壁1の表側壁面1cに係合することで、弾性片5iは、壁孔1aの周縁部に係止され、また、係合爪5fと本体部5aとで壁1が挟持されて、この給水ボックス取付具5は、壁1に固定される。
【0012】
そして、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入される、給水ボックス2の筒状に前方に突出して形成された開口部2aを利用することで、弾性片5iは、壁孔1aの軸心側方向への弾性変形が阻止されて、壁1の表側壁面1cへの係合爪5fの係合が解除されるのを防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明に係る給水ボックス取付具5のように、請求項1に記載の給水ボックス取付具5において、前記本体部5aには、前記壁1の厚みに応じて前記係合爪5fと前記本体部5aとで前記壁1を挟持すべく、前記壁1の裏側壁面1bを押圧する押圧手段5gが設けられてもよい。こうして、壁1の裏側壁面1bを押圧する押圧手段5gによって、壁1の厚みが異なる場合にも、係合爪5fと本体部5aとで壁1を挟持することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明に係る給水ボックス取付具5のように、請求項2に記載の給水ボックス取付具5において、前記押圧手段5gは、前記壁1の裏側壁面1bを付勢する付勢手段5gからなってもよい。
【0015】
また、請求項4に記載の発明に係る給水ボックス取付具5のように、請求項3に記載の給水ボックス取付具5において、前記付勢手段5gは、前記本体部5aに、切り起されるようにして形成された板バネ部5hからなってもよい。
【0016】
また、請求項5に記載の発明に係る給水ボックス取付具5のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給水ボックス取付具5において、前記本体部5aには、その本体部5aに前記給水ボックス2を押圧することにより、前記給水ボックス2を係止してその給水ボックス2を固定する、係止部5dが設けられてもよい。これにより、給水ボックス2を、給水ボックス取付具5の本体部5aに押圧することで、本体部5aに設けられた係止部5dが給水ボックス2を係止して、この給水ボックス2は、本体部5aに固定される。
【0017】
また、請求項6に記載の発明に係る給水ボックス装置は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の給水ボックス取付具5と、その給水ボックス取付具5によって前記壁1に取り付けられるとともに内部に継手4が収容される前記給水ボックス2とからなる。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1ないし図4は、本発明としての、第一の実施の形態を示す。図中符号1は、建物の壁、例えば、建物内のユニットバス等の壁である。1aは、壁1に形成された壁孔である。2は、給水ボックスであり、前記壁1の裏側P1に配備されて壁孔1aから壁1の表側P2に臨む開口部2aを備える。3は、水や湯を供給する可撓性を備えた流体管である。4は、給水ボックス2内に収容される継手としてのエルボーである。5は、本発明に係る給水ボックス取付具である。
【0027】
ここで、給水ボックス2は、前記開口部2aの他に、鞘管接続部2bと、フランジ部2cを備えている。開口部2aは、この給水ボックス2の前面上部から筒状に前方に若干突出して形成されている。そして、この開口部2aが、壁1に形成された壁孔1aに挿入されることで、開口部2aは、壁孔1aから壁1の表側P2、つまり室内側に臨んでいる。さらに、開口部2aには、その内周に、雌ねじ部2dが設けられている。そして、この雌ねじ部2dには、この給水ボックス2内に収容されるエルボー4の鍔部(図示せず)を抑えることで、そのエルボー4を固定することができるリング状のロックリング6が螺合する。また、鞘管接続部2bは、この給水ボックス2の下部部分において、下方に突出して形成されている。そして、この鞘管接続部2bには、鞘管7が接続され、その鞘管7に、流体管3が挿通される。また、フランジ部2cは、この給水ボックス2の前面側を、側方に突出するようにして形成されている(図2参照)。
【0028】
エルボー4は、図1に示すように、その大半が、給水ボックス2に収容されて、水平方向に延びる一方の接続口4aの先端部分が、給水ボックス2の開口部2aから外部に露出する。そして、この接続口4aに、内側の雌ねじ部4bを利用して、水栓等の給水器具等(図示せず)を取り付けることができる。また、エルボー4の鉛直下方に延びる他方の接続口4cは、給水ボックス2の鞘管接続部2bから内部に挿入される流体管3に接続される。こうして、流体管3を通ってエルボー4に流れる水や湯が、一方の接続口4aから水栓等の給水器具等に供給される。なお、8は、化粧リングであり、9は、ロックナットである。
【0029】
給水ボックス取付具5は、壁1の裏側P1に位置して給水ボックス2を固定可能な本体部5aと、その本体部5aを壁1に固定すべく、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入されてその壁孔1aの周縁部に係止可能な被係止部5bと、を備える。具体的には、この給水ボックス取付具5は、例えば、鋼板等の板材からなり、本体部5aは、矩形形状をして、上部中央に、給水ボックス2の開口部2aが嵌る貫通孔5cが形成されている。そして、本体部5aには、その本体部5aに給水ボックス2を押圧することにより、給水ボックス2を係止してその給水ボックス2を固定する、係止部5dが設けられている。この係止部5dは、貫通孔5cを挟む左右の各側に、上下方向に並ぶようにして、弾性変形可能となるよう、本体部5aの後面側に切り起されている。そして、この係止部5dの先端部分には、給水ボックス2のフランジ部2cに係合する爪部5eが設けられて、給水ボックス2を固定できるようになっている。こうして、係止部5dの爪部5eが、給水ボックス2のフランジ部2cによって押圧されると、係止部5dは、左右に開き、そして、給水ボックス2が押し込まれて、その前面が本体部5aの後面に当たると、係止部5dは、その材料の持つ弾性によって元に戻り、爪部5eがフランジ部2cに係合する。
【0030】
また、本体部5aには、壁1の厚みに応じて、例えば、壁1の公差内の厚みに応じて、後述する係合爪5fと本体部5aとで壁1を挟持すべく、壁1の裏側壁面1bを押圧する押圧手段としての付勢手段5gが設けられている。この付勢手段5gは、壁1の裏側壁面1bを付勢するよう、本体部5aに、その上下および左右の各側に、切り起されるようにして形成された板バネ部5hからなる。この板バネ部5hは、本体部5aの前面側に切り起されて、その前面と略平行となるよう突出するとともに、その材料の持つ弾性により、前面に直交する方向に弾性変形可能となっている。
【0031】
被係止部5bは、本体部5aから壁孔1a内を、その壁孔1aの周面に沿って壁1の表側P2に向かうとともに、材料の持つ弾性により壁孔1aの軸心側方向に弾性変形可能な弾性片5iからなる。この弾性片5iは、本体部5aの貫通孔5cの周囲の、上下左右の四ヶ所から、前面側に突出するように折り曲げ形成されている。そして、弾性片5iの先端部分に、壁1の表側壁面1cに係合する係合爪5fが設けられて、その係合爪5fと前記本体部5aとで壁1を挟持する。つまり、弾性片5iを、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入する際には、係合爪5fが壁孔1aの周面に押されて、弾性片5iは壁孔1aの軸心側方向に弾性変形し、係合爪5fが壁1の表側P2に出ると、弾性片5iが元に戻り、係合爪5fが壁1の表側壁面1cに係合する。そして、弾性片5iは、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入される、給水ボックス2の開口部2aによって、壁孔1aの周縁部への係止を解除することが不能となる。つまり、弾性片5iは、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入される開口部2aによって、壁孔1aの軸心側方向への弾性変形が阻止されて、壁1の表側壁面1cへの係合爪5fの係合を解除することが不能となる。
【0032】
次に、第一の実施の形態における、上記構成の給水ボックス取付具5の作用効果について説明する。この給水ボックス取付具5は、その被係止部5bとしての弾性片5iが、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入されてその壁孔1aの周縁部に係止されることで、本体部5a、つまりは給水ボックス取付具5が、壁1に固定される。そして、この給水ボックス取付具5の本体部5aに、給水ボックス2が固定される。こうして、壁孔1aの周縁部に係止される弾性片5iを備える給水ボックス取付具5を介すことで、給水ボックス2を壁1に、簡単かつ確実に取り付けることができる。
【0033】
そして、給水ボックス取付具5を壁1に固定する際には、弾性片5iは、その先端部分の係合爪5fが壁孔1aの周面との干渉を避けるようにして、壁孔1aの軸心側方向に弾性変形しながら、壁孔1aに挿入される。そして、係合爪5fが、壁1の表側P2に出ると、弾性片5iは復帰し、係合爪5fは壁1の表側壁面1cに係合する。こうして、係合爪5fが壁1の表側壁面1cに係合することで、弾性片5iは、壁孔1aの周縁部に係止され、係合爪5fと本体部5aとで壁1が挟持されて、この給水ボックス取付具5は、壁1に固定される。よって、壁1が石膏ボードなど、ねじ等の固着具がききにくい素材からなる場合であっても、給水ボックス取付具5は、係合爪5fと本体部5aとで壁1を挟持するようにして、その壁1に強固に固定される。しかも、給水ボックス取付具5の板バネ部5hによって、その有する弾性により、壁1の厚みが異なる場合、例えば、壁1の厚みがその公差上ばらつく場合にも、係合爪5fと本体部5aとで壁1を挟持することができ、この給水ボックス取付具5を介して、給水ボックス2を壁1に、強固に取り付けることができる。したがって、流体管3を、開口部2aから出し入れする際に、その流体管3から給水ボックス2が相当の力を受ける場合であっても、給水ボックス2が給水ボックス取付具5とともに壁1から外れるのを防ぐことができる。
【0034】
また、給水ボックス2を、給水ボックス取付具5の本体部5a、つまりは給水ボックス取付具5に取り付ける際に、壁1の裏側P1から、壁孔1aおよび貫通孔5cに挿入される、給水ボックス2の開口部2aを利用することで、壁孔1aの周縁部への弾性片5iの係止が解除されるのを防止することができる。したがって、この給水ボックス取付具5を介して、給水ボックス2を壁1に、一層確実に取り付けることができる。つまり、給水ボックス2の開口部2aを利用することで、弾性片5iは、壁孔1aの軸心側方向への弾性変形が阻止されて、壁1の表側壁面1cへの係合爪5fの係合が解除されるのを防止することができ、この給水ボックス取付具5を介して、給水ボックス2を壁1に、一層確実に取り付けることができる。
【0035】
また、給水ボックス2を、給水ボックス取付具5の本体部5aに、その後面側から押圧すると、給水ボックス2のフランジ部2cに係合する爪部5eによって、係止部5dが給水ボックス2を係止して、この給水ボックス2は、本体部5aに固定される。こうして、給水ボックス2を、給水ボックス取付具5の本体部5aに押圧することで、給水ボックス2を、簡単に本体部5aに固定することができる。
【0036】
図5は、参考例としての、第二の実施の形態を示す。この第二の実施の形態においては、給水ボックス取付具11の構造が、第一の実施の形態の給水ボックス取付具5とは異なるが、その他の給水ボックス2、流体管3、エルボー4等は同様の構造であり、以下に、異なる部分を主に説明する。
【0037】
給水ボックス取付具11は、第一の実施の形態に示す給水ボックス取付具5と同様に、壁1の裏側P1に配備されて壁1に形成された壁孔1aから壁1の表側P2に臨む開口部2aを備える給水ボックス2を、壁1に取り付けるためのものである。この給水ボックス取付具11は、壁1の表側P2から給水ボックス2の開口部2aに固定可能な、被固定部としての螺合部11aを有する。そして、給水ボックス取付具11は、給水ボックス2の開口部2aへの被固定部としての螺合部11aの固定により、壁1を給水ボックス2とで挟持するとともに、開口部2aから出し入れされる流体管3および、その流体管3に接続されて給水ボックス2内に収容される継手としてのエルボー4が通過可能となるよう形成されている。
【0038】
具体的には、この給水ボックス取付具11は、例えば、合成樹脂材料からなり、筒状に形成された筒部11bと、筒部11bの一方端に設けられた鍔部11cとからなる。そして、前記螺合部11aは、筒部11bの外周に形成されて、給水ボックス2の開口部2aの、例えば内周に設けられた螺設部2eに螺合可能となっている。こうして、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入される、給水ボックス2の開口部2aの螺設部2eに、螺合部11aが螺合することで、給水ボックス取付具11は、給水ボックス2の開口部2aに固定され、このとき、給水ボックス取付具11の鍔部11cが、壁1の表側壁面1cに当接して、壁1を、鍔部11cと給水ボックス2とで挟持する。そして、このとき、前記流体管3やエルボー4が、給水ボックス取付具5の筒部11b内を通過可能となっている。
【0039】
また、筒部11bには、その内周に、雌ねじ部11dが形成されている。そして、この雌ねじ部11dに、エルボー4を固定するためのロックリング6が螺合し、さらに、エルボー4の第1の接続口4aに化粧リング8およびロックナット9が取り付けられる。このようにして、給水ボックス取付具11が給水ボックス2の開口部2aに固定されて、この給水ボックス2が壁1に取り付けられたまま、ロックリング6によって、エルボー4を給水ボックス2に固定可能となっている。したがって、エルボー4を給水ボックス2に固定する際に、給水ボックス取付具11を取外す必要がない。
【0040】
次に、第二の実施の形態における、上記構成の給水ボックス取付具11の作用効果について説明する。この給水ボックス取付具11は、その被固定部としての螺合部11aが、給水ボックス2の開口部2aに固定されることで、壁1を、給水ボックス取付具11と給水ボックス2とで挟持する。こうして、壁1が石膏ボードなど、ねじ等の固着具がききにくい素材からなる場合であっても、壁1を、この給水ボックス取付具5と給水ボックス2とで挟持することで、給水ボックス2を壁1に、簡単かつ確実に、そして強固に取り付けることができる。したがって、流体管3を、開口部2aから出し入れする際に、その流体管3から給水ボックス2が相当の力を受ける場合であっても、給水ボックス2が給水ボックス取付具11とともに壁1から外れるのを防ぐことができる。このとき、給水ボックス取付具11は、給水ボックス2の開口部2aから出し入れされる流体管3および、その流体管3に接続されて給水ボックス2内に収容されるエルボー4が、筒部11b内を通過可能となるよう形成されており、壁1の表側P2で流体管3に接続されたエルボー4を、この給水ボックス取付具11に妨げられることなく、給水ボックス2内に収容することができる。
【0041】
図7は、参考例として、給水ボックスの一実施の形態を示す。この実施の形態においては、給水ボックス21が、給水ボックス取付具を兼ねているため、第一の実施の形態と比較すると、給水ボックス取付具5は使用されず、給水ボックス2とは構造が若干異なるが、その他の流体管3、エルボー4等は、同様の構造であり、以下に、異なる部分を主に説明する。
【0042】
給水ボックス21は、第一の実施の形態に示す給水ボックス2と同様に、壁1の裏側P1に配備されて、壁1に形成された壁孔1aから壁1の表側P2に臨む開口部21aを備える。そして、給水ボックス21は、前記開口部21aが設けられたボックス本体21bと、ボックス本体21bを壁1に固定すべく、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入されてその壁孔1aの周縁部に係止可能な被係止部21cと、を備える。具体的には、開口部21aは、ボックス本体21bの前面上部から筒状に前方に若干突出して形成されている。そして、この開口部21aが、壁1に形成された壁孔1aに挿入されることで、開口部21aは、壁孔1aから壁1の表側P2、つまり室内側に臨んでいる。さらに、開口部21aには、その内周に、雌ねじ部21dが設けられている。そして、この雌ねじ部21dには、この給水ボックス21内に収容されるエルボー4の鍔部(図示せず)を抑えることで、そのエルボー4を固定することができるリング状のロックリング6が螺合する。また、給水ボックス21は、鞘管7が接続される鞘管接続部21eを備えており、この鞘管接続部21eは、給水ボックス21の下部部分において、下方に突出して形成されている。
【0043】
被係止部21cは、ボックス本体21bから壁孔1a内を、その壁孔1aの周面に沿って壁1の表側P2に向かうとともに、材料の持つ弾性により壁孔1aの軸心側方向に弾性変形可能な弾性片21fからなる。この弾性片21fは、開口部21aよりも大径となる位置の、周方向の適宜箇所において、ボックス本体21bの前面から前方に突出するようにして形成されている。そして、弾性片21fの先端部分に、壁1の表側壁面1cに係合する係合爪21gが設けられて、その係合爪21gとボックス本体21bとで壁1を挟持する。つまり、弾性片21fを、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入する際には、係合爪21gが壁孔1aの周面に押されて、弾性片21fは壁孔1aの軸心側方向に弾性変形し、係合爪21gが壁1の表側P2に出ると、弾性片21fが元に戻り、係合爪21gが壁1の表側壁面1cに係合する。そして、弾性片21fは、壁1の表側P2から壁孔1aに挿入される変形防止部材22によって、壁孔1aの軸心側方向への弾性変形が阻止されて、壁1の表側壁面1cへの係合爪21gの係合を解除することが不能となる。ここで、変形防止部材22は、リング状に形成されて、その内周に設けられた螺合部22aが、開口部21aの外周に設けられた螺設部21hと螺合しながら、壁孔1aに挿入される。すなわち、変形防止部材22は、ねじ結合によって給水ボックス21に取り付けられるとともに、筒状に若干突出した開口部21aと、弾性片21fとの間に形成される間隙にぴったり嵌まり込むように、壁孔1aに挿入される。そして、このとき、変形防止部材22の外周面が弾性片21fと当接することで、壁孔1aの軸心側方向への、弾性片21fの弾性変形を阻止している。
【0044】
また、ボックス本体21bには、壁1の厚みに応じて、例えば、壁1の公差内の厚みに応じて、係合爪21gとボックス本体21bとで壁1を挟持すべく、壁1の裏側壁面1bを押圧する押圧手段21iが設けられている。この押圧手段21iは、ボックス本体21bの前面側を、上方または側方に延設したフランジ部21jに設けられた、ねじ孔21kと、そのねじ孔21kに螺合することで壁1の裏側壁面1bを押圧する止めねじ21mとからなる。
【0045】
次に、上記構成の給水ボックス21の作用効果について説明する。この給水ボックス21は、その被係止部21cとしての弾性片21fが、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入されてその壁孔1aの周縁部に係止されることで、ボックス本体21b、つまりは給水ボックス21が壁1に固定される。こうして、壁孔1aの周縁部に係止される弾性片21fを介すことで、給水ボックス21を壁1に、簡単かつ確実に取り付けることができる。
【0046】
そして、給水ボックス21を壁1に取り付ける際には、弾性片21fは、その先端部分の係合爪21gが壁孔1aの周面との干渉を避けるようにして、壁孔1aの軸心側方向に弾性変形しながら、壁孔1aに挿入される。そして、係合爪21gが、壁1の表側P2に出ると、弾性片21fは復帰し、係合爪21gは壁1の表側壁面1cに係合する。こうして、係合爪21gが壁1の表側壁面1cに係合することで、弾性片21fは、壁孔1aの周縁部に係止され、また、係合爪21gとボックス本体21bとで壁1が挟持されて、この給水ボックス21は、壁1に取り付けられる。よって、壁1が石膏ボードなど、ねじ等の固着具がききにくい素材からなる場合であっても、給水ボックス21は、係合爪21gとボックス本体21bとで壁1を挟持するようにして、その壁1に強固に取り付けられる。しかも、壁1の裏側壁面1bを押圧する押圧手段21iによって、壁1の厚みが異なる場合、例えば、壁1の厚みがその公差上ばらつく場合にも、係合爪21gとボックス本体21bとで壁1を挟持することができるので、この係合爪21gが設けられた弾性片21fによって、給水ボックス21を壁1に、強固に取り付けることができる。したがって、流体管3を、開口部21aから出し入れする際に、その流体管3から給水ボックス21が相当の力を受ける場合であっても、給水ボックス21が壁1から外れるのを防ぐことができる。
【0047】
また、壁孔1aに挿入される変形防止部材22を利用することで、弾性片21fは、壁孔1aの軸心側方向への弾性変形が阻止されて、壁1の表側壁面1cへの係合爪21gの係合が解除されるのを防止することができる。したがって、変形防止部材22によって、給水ボックス21を壁1に、一層確実に取り付けることができる。
【0048】
なお、本発明とか参考例は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、壁1は、ユニットバスの壁でなくとも、建物本体における壁であってもよい。
【0049】
また、第一の実施の形態に示す給水ボックス取付具5において、被係止部5bとしての弾性片5iには、壁1の表側壁面1cに係合する係合爪5fが設けられているが、参考として、この係合爪5fの代わりに、壁孔1aの周面に係合する係合部が設けられてもよい。また、給水ボックス取付具5における押圧手段は、板バネ部5hからなる付勢手段5gでなくとも、例えば、本体部5aに螺合して壁1の裏側壁面1bを押圧する止めねじ等であってもよい。
【0050】
また、第二の実施の形態に示す給水ボックス取付具11において、被固定部としての螺合部11aは、筒部11bの外周に形成されなくとも、図6に示すように、筒部11bの内周に形成されて、給水ボックス2の開口部2aの外周に設けられた螺設部2eに螺合可能となっていてもよい。そして、給水ボックス2が、給水ボックス取付具11によって壁1に取り付けられた状態で、給水ボックス2の雌ねじ部2dに、エルボー4を固定するためのロックリング6が螺合する。
【0051】
また、一実施の形態に示す給水ボックス21において、被係止部21cとしての弾性片21fは、開口部21aよりも大径となる位置に設けられなくとも、図8に示すように、開口部21aの一部となって、その開口部21aの周方向の適宜箇所に設けられてもよい。この場合、変形防止部材22は、リング状に形成されて、その外周に設けられた螺合部22aが、開口部21aの内周に設けられた螺設部21hと螺合しながら、壁孔1aに挿入される。こうして、変形防止部材22は、ねじ結合によって給水ボックス21に取り付けられるとともに壁孔1aに挿入されることで、壁孔1aの軸心側方向への、弾性片21fの弾性変形を阻止している。そして、変形防止部材22には、その内周に、雌ねじ部22bが形成されている。この雌ねじ部22bには、エルボー4を固定するためのロックリング6が螺合する。このようにして、変形防止部材22が給水ボックス21の開口部21aの外周側に取り付けられる場合(図7参照)だけでなく、変形防止部材22が給水ボックス21の開口部21aの内周側に取り付けられる場合(図8参照)であっても、変形防止部材22が給水ボックス21に取り付けられたまま、流体管3を開口部21aから出し入れしたり、その流体管3に接続されるエルボー4を給水ボックス21内に収容したり、また、ロックリング6によってエルボー4を給水ボックス21に固定したりすることが可能となっている。したがって、エルボー4を給水ボックス21に固定する際等に、変形防止部材22を取外す必要がない。
【0052】
さらには、図9に示すように、被係止部21cを、ボックス本体21bとは別体の止め具21nにより形成してもよい。この止め具21nは、ステンレス鋼板等のばね材料からなり、略コの字状に折り曲げ形成されている。この止め具21nは、ボックス本体21bの前面から前方に突出するとともに壁孔1aに挿入される筒状の突出部21pの周方向の適宜箇所に、その突出部21pを略コの字状の対向する二片で挟み込むようにして取り付けられる。そして、止め具21nの一方の片の先端部分が、壁1の裏側P1方向を向くとともに壁孔1aの周面を押圧するように湾曲形成されて、その壁孔1aの周面に係合する係合部21qとなっている。こうして、止め具21nを、突出部21pとともに、壁1の裏側P1から壁孔1aに挿入していくと、係合部21qが、壁孔1aの周面に押されて、係合部21qは壁孔1aの軸心側方向に弾性変形しながら進入する。そして、壁孔1aの周面に係合する係合部21qによって、止め具21nの戻りが阻止され、こうして、ボックス本体21b、つまりは給水ボックス21は、壁1に取付固定される。また、給水ボックス21において、押圧手段21iは、止めねじ21mおよびねじ孔21kからならなくとも、たとえば、壁1の裏側壁面1bを付勢するばね部材等の付勢手段からなっていてもよい。
【0053】
また、第一の実施の形態に示す給水ボックス取付具5、および一実施の形態に示す給水ボックス21において、付勢手段5gや押圧手段21iは、壁1の公差内の厚みに応じるものでなくとも、壁1の公差を超える各種の厚みに応じるものであってもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳述したところから明らかなように、この発明に係る給水ボックス取付具および給水ボックス装置によれば、次の効果がある。
【0055】
請求項1に記載された給水ボックス取付具、および請求項6に記載された給水ボックス装置によれば、壁孔の周縁部に係止される被係止部を備えるこの給水ボックス取付具を介すことで、給水ボックスを壁に、簡単かつ確実に取り付けることができる。
【0056】
【0057】
そして、係合爪と本体部とで壁が挟持されるので、この給水ボックス取付具を介して、給水ボックスを壁に、強固に取り付けることができる。
【0058】
しかも、給水ボックスの筒状に前方に突出して形成された開口部によって、壁の表側壁面への係合爪の係合が解除されるのが防止されるので、この給水ボックス取付具を介して、給水ボックスを壁に、一層確実に取り付けることができる。
【0059】
また、請求項2ないし4に記載された給水ボックス取付具によれば、請求項1の効果に加えて、壁の厚みが異なる場合にも、係合爪と本体部とで壁を挟持することができる。
【0060】
また、請求項5に記載された給水ボックス取付具によれば、請求項1ないし4のいずれか1項の効果に加えて、給水ボックスを、給水ボックス取付具の本体部に押圧することで、給水ボックスを、簡単に本体部に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明としての、第一の実施の形態の、取付状態を示す縦断面図である。
【図2】 同じく、図1におけるA−A線による断面図である。
【図3】 同じく、給水ボックス取付具の正面図である。
【図4】 同じく、図3におけるB−B線による断面図である。
【図5】 参考例としての、第二の実施の形態の、取付状態を示す縦断面図である。
【図6】 図5に示す第二の実施の形態の変形例を示す、縦断面図である。
【図7】 参考例として、給水ボックスの一実施の形態の、取付状態を示す縦断面図である。
【図8】 図7に示す一実施の形態の変形例を示す、縦断面図である。
【図9】 図7に示す一実施の形態の他の変形例を示す、縦断面図である。
【図10】 従来の給水ボックスの取付状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 壁 1a 壁孔
1b 裏側壁面 1c 表側壁面
2 給水ボックス 2a 開口部
4 エルボー(継手) 5 給水ボックス取付具
5a 本体部 5b 被係止部
5d 係止部 5f 係合爪
5g 付勢手段(押圧手段) 5h 板バネ部
5i 弾性片
P1 裏側 P2 表側
Claims (6)
- 壁の裏側に配備されて前記壁に形成された壁孔から前記壁の表側に臨む開口部を備える給水ボックスを、前記壁に取り付けるための給水ボックス取付具であって、
前記壁の裏側に位置して前記給水ボックスを固定可能な本体部と、
前記本体部を前記壁に固定すべく、前記壁の裏側から前記壁孔に挿入されてその壁孔の周縁部に係止可能な被係止部と、
を備え、
前記被係止部は、前記本体部から前記壁孔内を前記壁の表側に向かうとともに前記壁孔の軸心側方向に弾性変形可能な弾性片からなり、
前記弾性片の先端部分に、前記壁の表側壁面に係合する係合爪が設けられて、その係合爪と前記本体部とで前記壁を挟持し、
前記弾性片は、前記壁の裏側から前記壁孔に挿入される筒状に前方に突出して形成された前記開口部によって、前記壁孔の軸心側方向への弾性変形が阻止されて、前記壁の表側壁面への前記係合爪の係合を解除することが不能となることを特徴とする給水ボックス取付具。 - 前記本体部には、前記壁の厚みに応じて前記係合爪と前記本体部とで前記壁を挟持すべく、前記壁の裏側壁面を押圧する押圧手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給水ボックス取付具。
- 前記押圧手段は、前記壁の裏側壁面を付勢する付勢手段からなることを特徴とする請求項2に記載の給水ボックス取付具。
- 前記付勢手段は、前記本体部に、切り起されるようにして形成された板バネ部からなることを特徴とする請求項3に記載の給水ボックス取付具。
- 前記本体部には、その本体部に前記給水ボックスを押圧することにより、前記給水ボックスを係止してその給水ボックスを固定する、係止部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給水ボックス取付具。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の給水ボックス取付具と、その給水ボックス取付具によって前記壁に取り付けられるとともに内部に継手が収容される前記給水ボックスとからなる、給水ボックス装置。
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