JP4513723B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファックス等に好適に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、使用環境の変化に伴い、複写機、プリンター等のカラー化率は年々増加傾向にある。同時に、高解像・高階調の高画像品質の要求から、トナーの小粒径化及び分布のシャープ化による均一性向上が必須となってきている。このような状況下トナーの製造方法においても、従来の粉砕法から、いわゆる「ケミカルトナー」と呼ばれる乳化分散法や重合法等の湿式法による各種トナーの製造方法が注目されている。中でも、乳化分散法は、トナーの小粒径化や球形化が容易であることに加え、重合法と比較して、バインダー樹脂の種類の選択幅が広くなり、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等の縮合系樹脂を主結着樹脂として使用できる。そのため、樹脂本来の広い領域での耐オフセット性、低温定着性、ガラス転移温度の保持による良好な耐熱保存性、等の利点を活かすことが可能である。
乳化分散法を用いたトナーの製造方法に関する従来の技術としては、例えば、着色剤とアニオン型自己水分散性樹脂となるポリエステル樹脂を有機溶剤中に分散させ、その後、転相乳化することによりトナー粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。更に、着色剤とポリエステル樹脂を有機溶剤中に分散させ、その後、転相乳化を行い、次いで合一工程を行うことにより粒度分布がシャープなトナーを高収率で製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また特開2004−198599号公報(特許文献4)には、疎水性有機溶剤を使用して結着樹脂であるポリエステル樹脂を溶解もしくは懸濁させて有機層を調整し、次いで、水性媒体中に分散安定剤及び電解質を順次添加することで合一体を形成しトナー粒子を得る製法において、合一程度により不定形から球形まで変化させることが可能であると記載されている。しかし、この製法では不定形化しようとして電解質を多く添加すると合一が促進され、凝集体を生成し、粗大粒子の発生や粒度分布が崩れるという問題点が生じる。また、不定形化ができたとしても、合一で取り残された粒子が球形化し、球形頻度の高い粒子が多く残存するという問題点がある。
一方、一般的に画像形成方法としては、光導電性物質を利用した感光体表面に種々の方法によって静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーにより現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧等により定着して複写物を得るものである。このうち転写工程を有する装置の場合には、転写材に転写されなかった感光体上の残余トナーを除去し、感光体を繰り返し使用するのが通常である。感光体上の残余トナーを除去する方法としては、ブレードクリーニング方式、ファーブラシクリーニング方式、磁気ブラシクリーニング方式等がある。例えば、ブレードクリーニング方式の場合、トナー形状が球形である場合や不定形でも球形頻度が多い場合、クリーニングされ難く感光体上にトナーが残り、紙等転写材画像部の汚れとなる。
特開平8−211655号公報 特開2002−287424号公報 特開2003−122051号公報 特開2004−198599号公報
本発明の目的は、転写後の感光体上に残存するトナーのクリーニング性が容易な非球形粒子であり、かつ粒度分布がシャープなケミカルトナーを製造できる新規な製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、上記課題を解決し、且つ高解像性及び高階調性を有する高品位画像を印刷することが可能なケミカルトナーの新規な製造方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、粒径及び形状の制御が容易であり、且つ上記課題を解決するケミカルトナーを安定して製造できる新規な製造方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、上記課題を解決しうる静電荷像現像用トナーの製造方法を見出し、本発明を完成した。すなわち、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と着色剤とを有機溶剤中に溶解又は分散させた着色剤含有樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化又は懸濁させる第1工程、
分散安定剤の存在下で、電解質を添加することで前記着色剤含有樹脂溶液の球形粒子Aを形成する第2工程、
更に電解質を添加し、撹拌シェアを前記第2工程よりも低くすることで前記球形粒子Aを合一させて非球形粒子Bを製造する第3工程、
前記非球形粒子B中の前記有機溶剤を除去後、該非球形粒子Bを前記水性媒体から分離し、乾燥する第4工程、
を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
従来の製法では、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と着色剤とを有機溶剤中に溶解及び分散させた着色剤含有樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化させ、分散安定剤の存在下で、電解質を添加し粒子を形成する。目標とする平均粒子径までは、電解質を添加しながら同一攪拌シェアにて合一を行う。この場合、形状は電解質濃度、添加量、及び合一時間等により多少変わるが、略球形から球形粒子になり易く、非球形粒子を作製することは困難であった。しかしながら、本発明者らが検討したところでは、前記第2工程において、電解質を添加し目標平均粒子径より小さいところで球形粒子Aを形成しておき、更に電解質を添加し、撹拌シェアを前記第2工程よりも低くし、前記球形粒子Aを合一させることで、非球形粒子Bを安定して作製できる製造方法を見出した。更に、前記第2工程後に、水性媒体を追加し、次いで前記第3工程を行うことで、より安定して非球形粒子を作製できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、粒径、形状制御が容易であり、かつ粒度分布がシャープな非球形のケミカルトナーを製造できる新規な製造方法を提供することができる。これにより、転写後感光体上に残存するトナーのクリーニング性が容易で、紙等転写材画像部の汚れはなく、粒度分布がシャープであることから、高解像・高階調の高画像品質が得られる。
以下、本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。本発明の製造方法は、以下の第1工程から第4工程を備えている。
第1工程:カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と着色剤とを有機溶剤中に溶解又は分散させた着色剤含有樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化又は懸濁させる工程。
第2工程:分散安定剤の存在下で、電解質を添加することで前記着色剤含有樹脂溶液の球形粒子Aを形成する工程。
第3工程:更に電解質を添加し、撹拌シェアを前記第2工程よりも低くすることで前記球形粒子Aを合一させて非球形粒子Bを製造する工程。
第4工程:前記非球形粒子B中の前記有機溶剤を除去後、該非球形粒子Bを前記水性媒体から分離し、乾燥する工程。
まず、第1工程について詳しく説明する。疎水性有機溶剤中にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤とを投入して、溶解または分散させた着色剤含有樹脂溶液を調整する。必要に応じて、離型剤や他の添加剤を樹脂溶液と共に用いることができるが、いずれにおいてもトナー粒径以下に微分散または溶解される必要がある。
結着樹脂と着色剤は、高速攪拌機により疎水性有機溶剤中に溶解または分散することが好ましい。この場合、離型剤のような添加剤などはあらかじめ別々に予備分散を行ってマスター混練チップを調整した後に混合しても良い。第1工程においては、DESPA(浅田鉄工株式会社)、ホモミクサ(特殊機化工業株式会社)などの高速攪拌機が使用できる。この時の翼先端速度は4〜30m/sであることが好ましく、10〜25m/sであることが特に好ましい。上記高速攪拌機を用いることで、結着樹脂の疎水性有機溶剤への溶解を効率よく行えると共に、着色剤の結着樹脂溶液中での均一微分散を達成できる。すなわち、あらかじめ微分散された着色剤の状態を高速攪拌することで、結着樹脂溶液中においても保持することができる。翼先端速度が4m/sより低いと、結着樹脂溶液中での着色剤の微分散が不十分となり好ましくない。一方、30m/sより高いと、専断による発熱が大きくなり、溶剤の揮発と相まって均一攪拌が困難となるため好ましくない。また、溶解、または分散する場合の温度は、20〜60℃の範囲が好ましく、30〜50℃の範囲が特に好ましい。
疎水性有機溶剤としては、25℃における水に対する溶解度が、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜25質量%であることが特に好ましい。また、常圧における沸点は、水の沸点よりも低いことが好ましい。このような疎水性有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンのようなケトン類や、酢酸エチル、酢酸イソプロピルのようなエステル類、などが用いられる。これらの疎水性有機溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、疎水性有機溶剤は、ポリエステル樹脂を溶解または分散するものであり、毒性が比較的低く、かつ後の工程で脱溶剤しやすいために低沸点のものが好ましい。ここで、ポリエステル樹脂を溶解する有機溶剤としては、溶解、分散性に優れている、メチルエチルケトン、酢酸エチルを用いている。特にメチルエチルケトンを用いることが最も好ましい。
次いで、得られた着色剤含有樹脂溶液を、水性媒体中に乳化又は懸濁させて、着色剤含有樹脂粒子の懸濁液を調製する。好ましくは、塩基性化合物である塩基性中和剤の存在下で水と混合して懸濁または溶解し、着色剤含有樹脂粒子の懸濁液を調製する。ここで、塩基性化合物の塩基によってポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和した着色剤含有樹脂液に水を徐々に添加することが好ましい。水を滴下終了した後の水と有機溶剤の比率は50:50〜80:20が好ましく60:40〜80:20がより好ましい。
本発明で用いるポリエステルは、カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であれば、カルボキシル基を中和することにより水中で容易に分散するか(以下、自己水分散性という)、または水溶性となる。又、自己水分散性または水溶性のポリエステル樹脂の酸価は、1〜30KOHmg/gが好ましく、3〜20KOHmg/gであることがより好ましい。
これは、ポリエステル樹脂の酸価が1未満であると、ポリエステル樹脂と有機溶剤とが水と均一に溶解もしくは混合した水溶液の製造、またはポリエステル樹脂と有機溶剤との微粒子が水中に懸濁した懸濁液の製造がスムーズに行われず、粗大粒子が発生するので好ましくない。
一方、ポリエステル樹脂の酸価が30より大きいと、各種環境下における帯電量が安定しないため好ましくない。酸価が1〜30KOHmg/gであるポリエステル樹脂は、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加し、分散安定剤や界面活性剤を使用しなくとも安定に分散または溶解することができる。
中和用の塩基性化合物としては、特に制限はなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が用いられる。特に、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基が好ましい。ポリエステル樹脂を水中または水が主成分で有機溶剤を含む媒体(水性媒体)中に分散するためには、懸濁安定剤や、界面活性剤などの分散安定剤を添加する方法があるが、懸濁安定剤や、界面活性剤を添加して乳化させる方法では高剪断力が必要となってしまう。これにより、粗大粒子の発生、粒度分布がブロードになることから好ましくない。また、ゲル分を含有するような架橋型ポリエステル樹脂の場合には、さらに不均一な粒度分布となり、実用上限界がある。したがって、本発明では、自己水分散性または水溶性であるポリエステル樹脂を用い、ポリエステル樹脂が有するカルボキシル基を、塩基性化合物により中和する。
ポリエステル樹脂のカルボキシル基を塩基性化合物の塩基で中和する方法としては、例えば、(1)カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、有機顔料、離型剤及び有機溶剤等を含有する混合物を製造した後、塩基で中和する方法や、(2)水または水性媒体中にあらかじめ塩基性中和剤を混合しておき、前記混合物に添加しながらポリエステル樹脂の酸性基を中和する方法などが挙げられる。
ここで、塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹脂の全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量が好ましく、また、1〜2倍に相当する量であることがより好ましい。このようにポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和するために要する量よりも過剰に添加することにより、異形の粒子が生成するのを防止することができ、また、合一工程における粒度分布をシャープにすることができる。
乳化工程おいては、DESPA(浅田鉄工株式会社)、ホモミクサ(特殊機化工業株式会社)あるいはスラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、などの高速攪拌機、あるいは高速分散機が使用できる。この時の翼先端速度は4〜30m/sであることが好ましく、10〜25m/sであることが特に好ましい。上記高速攪拌機、あるいは高速分散機を用いることで、混合物の水性媒体中への懸濁液を効率よく得られると共に、該混合物に含まれる着色剤の水性媒体中における均一微分散を達成できる。すなわち、あらかじめ着色剤含有樹脂溶液作製で微分散された着色剤の状態を高速攪拌することで水性媒体中においても保持することができる。翼先端速度が4m/sより低いと、水性媒体中での着色剤の微分散が不十分となり好ましくない。一方、30m/sより高いと、飛散が激しくなり不溶解物が混在する傾向が見られるため好ましくない。また、その時の温度は、特に制限はないが、温度が高いと、転相水量が多くなるため好ましくない。また、低温だとポリエステル樹脂及び有機溶剤を含む混合物の粘度が上昇し、粗大粒子の発生が多くなるため好ましくない。また、乳化工程の温度範囲としては20℃〜60℃であることが好ましく、20℃〜50℃であることが特に好ましい。
次いで第2工程について説明する。前記懸濁液に分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記着色剤含有樹脂粒子の小粒径の合一体を形成し、更に電解質を添加し、目標とする平均粒子径より小さい粒子径にて合一を停止し、その後球形粒子Aを製造する。
先ず、着色剤含有樹脂粒子の懸濁液を水で希釈して溶剤量を調整し、その後、分散安定剤を添加する。そして、分散安定剤の存在下で電解質の水溶液を滴下することで合一を進めて合一体を得る。懸濁液に電解質を添加することで、微粒子が塩析または不安定化され、さらに複数の微粒子が一体化することによって合一が進行し、合一体を得ることができる。なお、電解質を添加することにより、微粒子同士が合一するばかりでなく、水性媒体中に溶解しているポリエステル樹脂が塩析または不安定化することによりポリエステル樹脂の微粒子が析出し、微粒子の表面または既に合一した微粒子の合一体に付着して、或いは、水性媒体中に溶解しているポリエステル樹脂が塩析または不安定化することにより、直接、微粒子の表面または既に合一した微粒子の合一体に付着することにより、合一が進行し、合一体を得る。
更に、電解質を添加し、目標とする平均粒径より小さい粒子径まで合一を行う。このときの平均粒子径は、目標とする平均粒子径の50%〜85%が最適である。50%未満であると、粒子径の小さいもの同士が合一すること、また目標とする平均粒子径に到達するまでに時間を要するために、球形粒子になり易く、球形頻度の割合も多いものとなる。また、85%を超えると、目標粒子径までは短時間で合一され、合一されない粒子が取り残され易いために球形頻度の割合が多いものとなる。
次いで、平均粒子径が目標とする平均粒子径の50%〜85%になった時点で、攪拌シェアを上げることで(回転数を上げることで)、粒子の合一を停止させるとともに、撹拌シェアの上昇に伴う剪断力の増加により球形化処理を行い、前記球形粒子Aを作製する。また、この状態で温度を上げることで、短時間に球形化処理が可能である。温度は50℃以下が好ましく、更には40℃以下が好ましい。温度が高すぎると膨潤し、凝集体が発生、粗大粒子となるからである。
前記球形粒子Aの形状であるが、平均円形度が0.97以上であり、球形頻度が40%以上であることが望ましい。その後の第3工程において、球形粒子同士を数個合一させる方が、ダンベル状(ピーナッツ状)からポテト状の非球形粒子を作製することが容易に可能である。平均円形度が0.97未満で、球形頻度が40%未満である場合、粒子同士が合一しても凹凸が小さく、不定形粒子や略球形粒子にはなるが非球形粒子にはならない。なお、この平均円形度は、トナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、画像解析装置(ルーゼックスAP 株式会社ニレコ製)などで計算することで求められるが、シスメックス(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を使用すると容易に得られるため、本明細書ではこの装置で測定した値を平均円形度としている。また、球形頻度とは、この装置で求められた円形度0.99〜1.00の割合をいう。
また、ここで前記球形粒子Aを作製するもう一つの目的は、球形化処理を行いながら粒度分布をシャープに整えることにある。この後の第3工程において、粒度分布がシャープな粒子を合一する方が、目標とする平均粒子径到達時の粒度分布の崩れは少なく、当然ながら粒度分布はシャープである。粒度分布が悪い状態で、第3工程を行うと目標とする平均粒子径での分布は悪くなる。
ここで用いられる分散安定剤は、系内の懸濁液の分散が不安定になっているため、電解質などの添加だけでは、合一が不均一となり、粗大粒子や凝集物の発生を防止するために添加するものである。電解質を添加する前に、ヒドロキシアパタイトなどの無機分散安定剤やイオン性あるいはノニオン性の界面活性剤を分散安定剤として添加する必要がある。第2工程において用いられる分散安定剤は、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、あるいは各種プルロニック系などのノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の分散安定剤などがある。中でも、アニオン型、ノニオン型の分散安定剤が少量の添加量であっても系の分散安定性に効果があるので好ましい。ノニオン型の界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。上述した界面活性剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。また、本発明の製造方法では、分散安定剤(乳化剤)の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となる。これにより、シャープな粒度分布が得られると共に、収率の向上が達成される。
ここで用いられる電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質がある。また、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウムなどの有機、無機の水溶性の塩なども電解質として有効に用いることができる。これらの電解質は、単独でも、2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムのような1価のカチオンの硫酸塩、炭酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。
また、均一な合一を進める上では、合一時の攪拌条件が重要であり、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼などが用いられている。中でも、マックスブレンド翼やフルゾーン翼のような均一混合性に優れた大型翼を用いることが好ましい。均一な合一体を生成させるための攪拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/s未満の低シェアでの攪拌がより好ましい。特に、0.2〜6m/sとすることが好ましい。攪拌翼の周速が10m/sよりも早いと、微粒子が残存するため好ましくない。一方、周速が0.2m/sよりも遅いと、攪拌が不均一となり粗大粒子が発生する傾向となるので好ましくない。上述した条件であれば、微粒子同士の衝突のみにより合一が進行し、合一体が再び解離、分散することがない。特に、合一法では微小粒子から優先的に合一が進行するため、超微粒子の発生が少なく、かつシャープな粒度分布となるため収率の向上が達成できる。
合一体を形成する場合には、系中の有機溶剤であるメチルエチルケトン量を調整することが好ましい。そのため、必要に応じて系中の懸濁液または水溶液を水でさらに希釈することが好ましい。その後、分散安定剤、及び電解質を順次添加して合一を行う。電解質を添加する前の系中に含まれる溶剤量は、12〜45質量%が好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。溶剤量が12質量%よりも少ないと、合一に要する電解質量が多くなるので好ましくない。また、溶剤量が45質量%よりも多いと不均一な合一による凝集物発生が多くなり、また、分散安定剤の添加量が多くなるので好ましくない。
また、使用する分散安定剤の量は、例えば固形分含有量に対し、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.3〜2.0質量%であることがより好ましく、0.3〜1.5質量%であることが特に好ましい。これは、0.1質量%よりも少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られないためである。また、3.0質量%よりも多いと、電解質の量を増加しても合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子が残存してしまい収率を低下させるためである。
また、使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。これは、電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しないためである。また、電解質の量が15質量%よりも多いと、合一が不均一となり、凝集物の発生や、粗大粒子が発生し収率を低下させるためである。
また、合一時の温度は、10〜50℃が好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることが特に好ましい。これは、温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるためである。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や、粗大粒子が発生しやすくなるためである。本発明の製造方法では、例えば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による合一体の生成が可能である。
次に第3工程について説明する。第2工程において、前記球形粒子Aが作製された後に、更に電解質を添加し、攪拌シェアを第2工程よりも低くすることで前記球形粒子Aを合一させて非球形粒子Bを作製する。ここで攪拌シェアを第2工程よりも低くすることで、粒子同士が衝突した後、分離せずに合一させることができる。また、攪拌シェアを低くすることで、合一されない球形粒子Aを極力少なくすることができるため、球形頻度の高い粒子の割合は少なくなる。攪拌シェアを周速(撹拌翼の翼端速度)として考えた場合、第3工程の周速は、第2工程の周速の30%から80%が好ましく、35%から70%が特に好ましい。周速が80%より速いと合一が進まないため非球形粒子にはなり難く、球形粒子が多く残存することになる。また、周速が30%より遅いと合一が促進され、凝集体が発生し粗大粒子となること、また、粒度分布が悪化する。適正な回転数にすることで、球形粒子2個合一したダンベル状(ピーナッツ状)から、更に数個合一したポテト状の非球形粒子Bを作製することが容易にできる。
なお、同一の釜、同一の撹拌翼、ほぼ同量の乳化液又は懸濁液にて上記の第2工程、及び第3工程を行う場合は、撹拌シェアの大小は翼の回転数又は周速(翼端速度)で比較することができるが、第2工程と第3工程とで容量の異なる別の釜で行う場合や撹拌翼を換えて行う場合には、撹拌シェアの大小は翼の回転数又は周速で比較するよりも以下に説明するE2/E1の値にて比較することが好ましい。
釜のスケールが違う場合、周速を同じにしても、必ずしも同様な条件で合一工程ができるわけではない。一般的に釜のスケールが大きくなった場合、小スケールの釜と同じ周速にすると中心部の液の流れは弱くなり、合一が進み凝集体が発生し粗大粒子となりやすい。そこで、釜のスケールや羽根形状が違う場合には、釜底の粒子が同じところに滞留せずに分散状態を保てる最小攪拌速度(浮遊粒子限界攪拌速度)を考慮する必要がある。粒子と同程度の大きさの臨界径を持つ乱流渦のエネルギーをE1、釜内の循環流に乗せるために沈降している粒子を持ち上げるのに必要なエネルギーをE2とした場合、粒子が浮遊し、同じところに滞留せずに安定した分散状態を保つためには、E1>E2であることが必要であるが、E2/E1の値が1よりも小さければ小さいほど高シェアの撹拌となり、E2/E1の値が1に近くなると低シェアの撹拌となる。したがって、第2工程と第3工程とで使用する釜のスケールや形状が異なったり、異なる撹拌翼である場合は、非球形粒子Bを作製する第3工程におけるE2/E1の値は、第2工程における値より大きく、1(最小攪拌速度)に近い方が望ましい。粒子浮遊化条件、最小攪拌速度については永田1)、大山2)、Zwietering3)らの基礎的研究があり、さらに最近ではZwieteringの研究を理論的に捕捉したBaldi4)、Davies5)らの研究が報告されている。
参考文献
1)永田進治、山口厳、薮田清三、原田誠:化学工学、24、618(1960)
2)大山義年、遠藤一夫:化学工学、20、666 (1956)
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4)Baldi,G.,R.Conti and E.Alaria:Chem.Eng.Sci.,33,21(1978)
5)Davies,J.T.: Chem.Eng.Process,20,175(1986)
より安定的に非球形粒子を形成するためには、第2工程終了後に水性媒体を添加し、系中の有機溶剤であるメチルエチルケトン量を調整することが好ましい。そのため、第2工程の球形粒子A作製後に、必要に応じて水でさらに希釈することが好ましい。その後、電解質を添加し、攪拌シェアを第2工程より低くして合一を行う。ここで有機溶剤比率を下げることで、粒子の膨潤は緩和されるとともに粒子の水和状態の不安定度合いが緩和され、電解質を添加、攪拌シェアを低くしても粒子同士の凝集が避けられ、粗大粒子の発生や粒度分布の崩れがなくなる。球形粒子A作製後の有機溶剤比率は、電解質水溶液の添加量等により多少変わるが通常20%〜25%である。これに対し、水を添加し有機溶剤比率を16%〜24%にする方が好ましく、17%〜23%にすることがより好ましい。ここで有機溶剤比率16%より低くすると、合一に要する電解質が多くなること、また合一されない粒子の残存が多くなり好ましくない。水を添加しない場合においては、電解質を添加し、攪拌シェアを低くすると粒子の水和状態が不安定となり、粒子が凝集し、粗大粒子の発生や粒度分布が崩れ易くなる。そこで水を添加しない場合には、電解質濃度や添加量を調整する必要がある。なお、有機溶剤含有比率は、全有機溶剤量/(全有機溶剤量+全水量+アンモニア水+電解質水溶液)×100より求める。
また、非球形粒子Bを作製するための合一時間について、電解質を添加し、攪拌シェアを低くしてから目標平均粒子径に到達するまでの時間は、10分〜60分が好ましく、15分から50分がより好ましい。合一時間が10分より短いと粒子が凝集し粗大粒子が発生し、また、粒度分布が崩れ球形粒子が多く残存するという問題が発生する。60分より長くなると合一した粒子が球形になり易く、球形頻度も多くなる。粒子成長が鈍くなり、合一に時間を要する場合には、一度攪拌シェアを上げ電解質を添加し、更に攪拌シェアを低くして合一を調整する必要がある。
また、電解質濃度及び添加量について、前記球形粒子A作製後に添加する電解質濃度及び添加量により、合一状況は変わり、形状、球形頻度に係わってくる。電解質濃度が薄い場合、合一が進み難いために添加量を多くする必要があり、総電解質量は増える。また、この場合は粒子の凝集が弱いために合一されない粒子が取り残され易く、結果的に球形頻度は多くなる。電解質濃度が適正でも添加量が少ない場合、同様な結果となる。電解質濃度が濃い場合や濃度が適正でも添加量が多い場合は、粒子が凝集し、粗大粒子の発生や粒度分布が崩れ易くなる。水の添加有無に関係なく、上記の最適な合一時間になるように電解質濃度、添加量を調整する必要がある。電解質濃度としては、通常2%〜10%が好ましく、4%〜7%がより好ましい。
また、平均円形度と球形頻度の関係について、一般的に平均円形度が低い場合、球形粒子は少なく球形頻度も低くなる。反対に平均円形度が高くなるにつれて球形粒子は多くなり、球形頻度も高くなる。非球形粒子を作製するための合一時間が短い場合、平均円形度は低くなるが、これは凝集体が多く含まれるためで、取り残された球形粒子は多く残存するため球形頻度は高くなる。反対に時間が長くなると、平均円形度は高く、球形頻度は多くなる。球形粒子が残存しないように適正な合一時間を行うことにより、球形頻度は低くすることができる。
このようにして作製される非球形粒子Bは、ダンベル状(ピーナッツ状)からポテト状粒子で、平均円形度としては0.92〜0.95であり、球形頻度は10%以下である。目標平均粒子径に到達した時点の平均円形度が0.92である場合、攪拌シェアを上げることで(回転数を上げることで)、粒子の合一を停止させるとともに、せん断力により球形化処理を行い、目標の平均円形度にすることができる。また、この状態で温度を上げることで、短時間に目標平均円形度にすることが可能である。温度は50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。温度が50℃より高いと膨潤し球形化し易いこと、凝集体が発生、粗大粒子となる問題点がある。
次に第4工程について説明する。第3工程において得られた非球形粒子Bは有機溶剤を内包し、膨潤しているため高温条件下では凝集しやすい。そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。脱溶剤に当たっては消泡剤の添加が好ましい。消泡剤としてはシリコーン系のエマルジョン形態のものが好ましい。シリコーン系の消泡剤としては、BY22−517、SH5503、SM5572F、BY28−503(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、KM75、KM89、KM98、KS604、KS538(信越化学工業株式会社製)等がある。中でも、物性への影響が少なく、消泡効果の高いものとしてBY22−517が好ましい。消泡剤量としては固形分に対し30〜100ppmが好ましい。しかしながら、消泡剤を添加しても固形分含有量が20%よりも少ない場合には、脱溶剤時、特に疎水性有機溶剤が90%以上留去された水性媒体においては発泡が生じやすく、脱溶剤の効率が低下するため好ましくない。収量が30%よりも高いと、釜内面への合一体の飛散、あるいは凝集体が付着しやすくなり収率を低下させるため好ましくない。固形分含有量が高い場合に発泡が抑制される理由は明確ではないが、発泡の程度は固形分含有量に依存する。
次に、非球形粒子Bを水性媒体から分離し、洗浄、脱水する。水性媒体からの分離は、遠心分離機、あるいはフィルタープレス、ベルトフィルターなどの公知慣用の手段で行うことができる。ついで粒子を乾燥させることによりトナー粒子を得ることができる。ここで、第2工程において分散安定剤を用いている場合、より十分に洗浄することが好ましい。
上記工程により得られた非球形粒子Bは、引き続き乾燥して、粉体とする。乾燥は、リボコーン型乾燥機(大川原製作所)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン)等の混合真空乾燥機で乾燥される。
トナーの粒度分布については、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積粒径/50%個数粒径が1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましい。これは、1.25以下であると良好な画像が得られやすくなるためである。また、GSD(幾何標準偏差)は1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。なお、GSDは、コールター社製マルチサイザーII型による測定で、(16%体積粒径/84%体積粒径)の平方根により求められる値である。GSDの値が小さいほど粒度分布がシャープになり、良好な画像が得られる。また、このようなシャープな粒度分布を有することで、洗浄・脱水終了後の含水率が低減できると共に、乾燥工程における流動性が向上するため好ましい。
トナーの体積平均粒径として、得られる画像品質などの点から1〜13μmの範囲にあるものが好ましく、3〜10μm程度が現行のマシンとのマッチングが得やすいことなどもあってより好ましい。カラートナーにあっては、体積平均粒径が3〜8μmとなる範囲が好適である。体積平均粒径が小さくなると解像性や階調性が向上するだけでなく、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、ページあたりのトナー消費量が減少するという効果も発現されるからである。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物であることが好ましく、以下の原料の中から選択される化合物を反応させることによって得られる。架橋型ポリエステルは、2価の多塩基酸またはその誘導体と、2価のアルコールと、架橋剤として多価化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。特に、2価の多塩基酸またはその誘導体と、2価の脂肪族多価アルコールと、架橋剤として多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。また、直鎖型ポリエステル樹脂は、2価の多塩基酸類と、2価のアルコールとを反応させることによって製造する。特に、2価の多塩基酸類と、2価の脂肪族アルコールとを反応させることによって製造することが好ましい。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とを製造する際に使用する酸成分としては、以下の2価の塩基酸類を使用することができる。例えば、2価の塩基酸化合物としては、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸またはその誘導体またはそのエステル化物が挙げられる。
また、2価の脂肪族アルコール成分としては、以下のアルコール類を使用することができる。2価の脂肪族アルコールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオールなどのジオールが挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とにおいて、脂肪族アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され、好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。
架橋型のポリエステル樹脂を製造する際には、さらに架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。そのような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物などが挙げられる。上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050などが、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520などが、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−660,N−665,N−667,N−670,N−673,N−680,N−690,N−695などが、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−740,N−770,N−775,N−865などが挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上述したエポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用することができるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(カージュラE;シェルジャパン製が挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とは、上述した原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応あるいはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを適宜使用することができる。
本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との使用比率は、(架橋型ポリエステル樹脂の質量)/(直鎖型ポリエステル樹脂の質量)=5/95〜60/40が好ましく、10/90〜40/60であることがより好ましく、20/80〜40/60であることが特に好ましい。架橋型ポリエステル樹脂の比率が5質量%よりも少ないと、耐ホットオフセット性が低下するので好ましくない。また、合一速度が低下し、ワックスや着色剤などの分散性が低下するので好ましくない。また、60質量%よりも多いと、溶融粘度(T1/2温度)が上昇し、低温定着性が低下するので好ましくない。
架橋型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60〜85℃であることが好ましく、60〜75℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が55℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
直鎖型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃であることが好ましく、50〜65℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が40℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が70℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
また、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、160℃以上となっていることが好ましく、中でも、160℃〜220℃であることが好ましい。ここで、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、170℃〜200℃であることがより好ましく、170℃〜190℃であることが特に好ましい。これは、軟化点が160℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、220℃を越える場合は、定着性が悪化しやすくなるためである。
また、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃以上となっていることが好ましく、中でも、90℃〜130℃であることが好ましい。ここで、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃〜120℃であることがより好ましく、90℃〜110℃であることが特に好ましい。これは、架橋型ポリエステル樹脂と同様に、軟化点が90℃未満の場合は、ガラス転移温度が低下してしまい、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、130℃を越える場合には定着性が悪化しやすくなるためである。
また、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物の軟化点は、100℃〜150℃となっていることが好ましい。ここで、混合物の軟化点は、110℃〜150℃であることがより好ましく、120℃〜140℃であることが特に好ましい。これは、上述と同様に、軟化点が100℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、150℃を越える場合には定着性が悪化しやすくなるためである。
ポリエステル樹脂の軟化点は、定荷重押出し形細管式レオメータである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスタでの測定条件は、ピストン断面積1cm、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50℃、昇温速度6℃/min、試料質量1.5gの条件で行った。
T1/2温度の求め方は以下の通りである。このフローテスタは、図3(a)に示すようにノズル径Dが1.0mmΦでノズル長さ(深さ)Lが1.0mmのノズル1を有するシリンダ2に、トナー3(重量1.5g)を充填し、ノズル1と反対の側から単位面積(cm)当たり10kgの荷重をかけ、その状態で毎分6℃の昇温速度で加熱したときの、荷重面4のストロークS(荷重面4の沈み値)を測定することによって得られる。すなわち、昇温した温度とストロークSとの関係を図1(b)に示すようにして求め、ノズル1からのトナー3の流出が始まって急激にストロークSが大きくなり、カーブが立ち上がったときの温度をTfbとし、また、ノズル1からのトナー3の流出がほぼ終了してカーブがねたときの温度をTendとする。そして、TfbのときのストロークSfbとTendのときのストロークSendとの中間値となるS1/2のときの温度を、T1/2温度としている。
本発明の製造方法では、離型剤を用いることができる。その場合に離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックス類の中から選択した離型剤が用いられる。中でも、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然系エステルワックス、多価アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類が好適に用いられる。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP−5(日本油脂社製)が好適に用いられる。離型剤の含有量は、1質量%未満であると離型性が不十分となりやすく、40質量%を越えるとワックスがトナー粒子表面に露出しやすくなり、帯電性や保存安定性が低下しやすくなるため、1〜40質量%の範囲内が好ましい。
また、帯電制御剤を用いることができる。正帯電性帯電制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として公知慣用のニグロシン化合物、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物などが使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性帯電制御剤としてニグロシン染料と併用できる。また、用途によっては、アゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負帯電制御剤を少量併用することも可能である。負帯電性帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックスなどの重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/またはスルホニル基を含有する樹脂などが挙げられる。
帯電制御剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。特に0.1〜6質量%であることが好ましい。
着色剤については、特に制限はなく、公知慣用のものが用いられる。黒色系着色剤としては、カーボンブラック、C.I.Pigment Black 11などの鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12などの鉄−チタン複合酸化物系顔料が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
また、青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63などが挙げられる。青系の着色剤として、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,15,16,60が挙げられ、最も好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,60が挙げられる。
また、黄色系の着色剤としては、C.I.Pigment Yellow 1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185などが挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Yellow 17,74,93,97,110,155及び180が挙げられ、より好ましくはC.I.Pigment Yellow 74,93,97,180が挙げられ、特に、C.I.Pigment Yellow 93,97,180が好ましい。
さらに、赤色系の着色剤としては、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112,114,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,184,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247,269などが挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,53:1,57:1,122及び209が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment Red 57:1,122,184及び209が挙げられる。
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましい。中でも2〜18質量%であることがさらに好ましく、2〜15質量%であることが特に好ましい。これらの着色剤は1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
乾燥させたトナー粒子は、そのままでも現像剤として使用可能であるが、トナー用外添剤として公知慣用の無機酸化物微粒子や有機ポリマー微粒子などの外添剤をトナー粒子表面に添加するのが好ましい。疎水性シリカ、酸化チタンなどの無機微粒子、あるいは有機微粒子などは、トナー粒子に外添され、静電印刷法による乾式現像剤として用いる場合に、流動性や帯電性などの物理的特性を改良する効果がある。外添剤の種類は、各種シリコーンオイル、あるいはシランカップリング剤で処理された疎水性シリカなどが好適に用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α―メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッソ変性シリコーンオイル、及びオレフィン変性シリコーンオイルなどで処理された疎水性シリカが挙げられる。外添方法は、公知慣用の機種を用いて処理される。
上記のトナー粒子にキャリアを混合することによって、二成分静電荷像現像剤とすることができる。静電荷像現像剤は、本発明の製造方法により製造されたトナーと、磁性キャリア、好ましくは表面に樹脂被覆した磁性キャリアとからなる。
静電荷像現像剤に用いられるキャリアのコア剤(磁性キャリア)は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形など、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜200μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜110μmが好ましい。
また、これらのコア剤を被覆するコーティング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂などが使用できる。
これらの中でも、特にシリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度などに優れ、より好適に使用できる。また、トナー粒子とキャリアとからなる現像剤の帯電特性は、シリコンなどのコート剤のコート量調整、帯電制御剤の添加、カーボンに代表される導電物質の添加などにより調整できる。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであり、場合により、コート剤中に帯電制御剤、カーボンなどを添加して帯電特性を調整することが好ましい。
また、本発明の製造方法により製造されたトナーは、含有溶剤量が少なく、乾燥時の融着による粗大粒子がないため、通常の非磁性一成分現像方式の印刷装置、あるいは二成分現像方式の印刷装置、磁性一成分現像方式の印刷装置などに使用して、高品質の画像を得ることができる。また、現像剤担持ロールと層規制部材とを有する非磁性一成分現像装置などを用いて摩擦帯電された粉体トナーを、トナー通過量などを調節する機能の電極を周囲に有するフレキシブルプリント基板上の穴を通して、背面電極上の紙に直接吹き付けて画像を形成する方式、いわゆるトナージェット方式のプリンタなどにも好適に使用できる。本発明の製造方法により製造されたトナーは、潜像保持体上に静電荷像を形成させ、得られた静電荷像を、現像剤担持体上に担持された現像剤を用いて現像し、前記荷像保持体上に形成されたトナー像を紙やフィルムなどの転写材上に転写し、該転写材上のトナー像をヒートロールにより熱定着する画像形成方法により印刷を行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例・比較例では、特に表示がない限り部は質量部、水は脱イオン水の意である。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
<架橋型ポリエステル樹脂の合成例>
(樹脂合成例1)
テレフタル酸 221 質量部
イソフタル酸 95 質量部
ネオペンチルグリコール 104 質量部
エチレングリコール 62 質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 7.0質量部
カージュラE 3.0質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0、DSC測定法によるガラス転移温度64℃、フローテスタによる軟化点(T1/2)が175℃であった。以下R−1と略記する。
*エピクロン830:大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂
エポキシ当量170(g/eq)
*カージュラE(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)
エポキシ当量250(g/eq)
<直鎖型ポリエステル樹脂の合成例>
(樹脂合成例2)
テレフタル酸 315質量部
ネオペンチルグリコール 21質量部
エチレングリコール 12質量部
プロピレングリコール 122質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が100℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0、DSC測定法によるガラス転移温度57℃、フローテスタによる軟化点(T1/2)が102℃であった。以下、R−2と略記する。
(離型剤マスター分散液の調製例)
カルナバワックス「カルナバワックス 1号」(加藤洋行輸入品)30部と直鎖型ポリエステル樹脂(R−2)70部とメチルエチルケトン150部とをデスパーで予備混合した後、スターミルLMZ-10(アシザワファインテック社製)で微細化を行い、固形分含有量40質量%の離型剤微分散液W―1を調製した。ワックスマスター溶液の組成は、R−2/ワックス/メチルエチルケトン=28/12/60である。
(着色剤マスターチップの調製例)
シアン顔料(大日本インキ化学工業(株)社製シアン顔料「KET BLUE 111」)を2000質量部と直鎖型ポリエステル樹脂(R−2)を2000質量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)社製)へ投入し、698 回転/minで2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物を、ニーデックスMOS140-800(オープンロール連続押し出し混練機)(三井鉱山(株)社製)を用いて、溶融混練し、マスターチップを作製した。
同様に、マゼンタ顔料(クラリアントジャパン(株)社製マゼンタ顔料「Permanent Rubine F6B」)、イエロー顔料(クラリアントジャパン(株)社製イエロー顔料「Toner Yellow HG」についてマスターチップを作製した。また、得られたマスターチップをR−2の樹脂及びメチルエチルケトンで希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子がなく、均一に微分散していた。各顔料のマスターチップの組成は、Cyan:顔料/樹脂(R−2)=50/50、Yellow:顔料/樹脂(R−2)=55/45、Magenta:顔料/樹脂(R−2)=50/50、であった。以下、CyanマスターチップをP-1C、MagentaマスターチップをP-2M、YellowマスターチップをP-3Yと略記する。
(ミルベースの調製例)
上記離型剤分散液、着色剤マスターチップ、希釈樹脂(追加樹脂)、メチルエチルケトンを、固形分含有量が65%、温度条件が40〜45℃の範囲で、DESPA(浅田鉄工所(株)高速攪拌機、翼径230mm)の777 回転/minにより2時間混合し、溶解・分散を行った。得られた混合物は、固形分含有量を65%に再調整してミルベースMB−1とした。作製したミルベースの配合を表1に示す(配合量は質量部を示す)。
Figure 0004513723
( )内はR−2樹脂量
(実施例1)
攪拌翼として翼径230mmのDESPA(浅田鉄工所(株)製高速分散機)を有する円筒型の容器にミルベースMB−1を46.15部(固形分30部)仕込み、次いで1規定アンモニア水4部(塩基性化合物I)を加えて、777 回転/minにて十分に攪拌した後、温度を35℃に調製した。ついで、攪拌速度を1100 回転/minに変更して34部の脱イオン水を1.0部/minで滴下して懸濁液を作製した。この時の攪拌翼の周速は13.2m/sであった。脱イオン水を添加して行くにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合は均一であった。脱イオン水を24部添加した段階で粘度の急激な低下が観察された(転相点)。さらに残りの脱イオン水を所定量添加した後、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。未乳化物は観察されなかった(第1工程)。顔料、ワックスの微粒子は水性媒体中に安定に分散していることから、微粒子表面には樹脂が吸着していると考えられる。更に、回転数を777 回転/minに落とし、残りの1規定アンモニア水1部(塩基性化合物II)とアニオン性乳化剤であるネオゲンSC−F(第一工業製薬社製)0.22部を脱イオン水3.25部にあらかじめ溶解した水溶液を添加した。この時、系内の状態は均一であり、添加した事による粗大粒子の発生は見られなかった。この時の溶剤含有比率は27.6%である。
溶剤含有比率=全溶剤量/(全有機溶剤量+全水量+アンモニア水)×100
次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。粒径が5.5μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.11が1.09に、円形度は0.966が0.983になった(第2工程)。この第2工程にて製造されたトナー(球形粒子A)は図2の形状をしている。その後、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)1部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が8.1μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった(第3工程)。この第3工程にて製造されたトナー(非球形粒子B)は図1の形状をしている。また、電解質の固形分に対する添加量は1.9%であった。その後、脱イオン水を10部添加し、回転数を47 回転/minにして合一停止を行い、消泡剤BY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を0.068部添加後、回収量が22kgとなるまで減圧下、メチルエチルケトン及び水を留去した。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と再分散による洗浄を繰り返した後、バケット型遠心分離器により着色剤樹脂粒子のウットケーキを得た。該ウエットケーキの含水率は30%であった。その後、混合真空乾燥機により乾燥を行い、トナー母粒子とした(第4工程)。乾燥後の粒径は7.0μm、平均円形度0.926、球形頻度6.5%であった。
同様に下記実施例2〜9、比較例1〜3を実施した。各実施例、比較例の合成条件、評価結果を表2〜4に示した。なお、上記性状は下記評価装置にて測定を行った。
1)粒径、粒度分布測定
乾燥後の母トナーを、界面活性剤を含む水の中に懸濁させることにより試料を作製する。次いで100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーIIにより該母トナーの粒径、粒度分布を測定した。
2)平均円形度の測定
平均円形度は、トナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、それを測定し計算することによっても求めることができるが、本発明においては、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000により求める。フロー式粒子像分析装置FPIA−1000とは、トナー粒子等の微粒子の大きさや形状を撮像する装置であり、粒子の撮像は以下の通りに行われる。
まず、乾燥後の母トナーの少量を界面活性剤を含む水の中に懸濁させることにより試料を作製する。次いで、この試料をフロー式粒子像分析装置FPIA−1000中に設けられた、透明且つ扁平なセル中に流下させる。このセルの片側にはパルス光を発する光源が設置されており、更に、セルを挟んで反対側にはその光源に正対するように撮像用カメラが設けられている。FPIA−1000のセル中を流下する試料中のトナー粒子は、パルス光が照射されることにより、セルを夾んで光源と正対するカメラにより静止画像として捉えられる。
このようにして撮像されたトナー粒子の像を基にして、画像解析装置により各トナー粒子の輪郭が抽出され、トナー粒子像の投影面積や周囲長(トナー粒子投影像の周長)が算出される。更に、算出されたトナー粒子像の投影面積から、それと同等の面積を有する円の円周の長さ(トナー粒子投影面積と同じ面積の円の周長)が算出される。上記の平均円形度は、このように算出されたトナー粒子投影面積と同じ面積の円の周長をトナー粒子投影像の周長で除したものである。球形頻度は円形度0.99〜1.00の割合を示したものである。
上記装置で測定する際の条件は以下の通り。
(1)トナー粒子の懸濁液の作製
水20gに対し界面活性剤(エルクリヤー(中外写真薬品(株)製)0.1gを添加し、更に試料である母トナー0.04gを添加し、超音波分散機でトナー粒子を水中に懸濁させる。
(2)測定条件
測定温度;25℃
測定湿度;60%
測定トナー粒子数;5000±2000個
(3)含水率
試料約0.5gを精秤、140℃―40min加熱乾燥し、デシケーター中で冷却した後再度精秤し、加熱減分から含水率を算出した。
(実施例2)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。粒径が5.5μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.11が1.09に、円形度は0.967が0.984になった(第2工程)。その後、脱イオン水を10部添加し、溶剤含有比率を19.6%に調整した。溶剤含有比率は、全溶剤量/(全有機溶剤量+全水量+アンモニア水+硫酸ナトリウム水溶液)×100より求める。次いで、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が8.0μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった(第3工程)。また、電解質の固形分に対する添加量は2.1%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は6.9μm、平均円形度0.936、球形頻度8.0%であった。
(実施例3)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)1部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が4.1μmになるまで攪拌を継続した。粒径が4.1μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.12が1.10に、円形度は0.964が0.983になった(第2工程)。その後、脱イオン水を10部添加し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)3部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が7.9μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった(第3工程)。また、電解質の固形分に対する添加量は2.1%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は6.8μm、平均円形度0.938、球形頻度7.7%であった。
(実施例4)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)3部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が6.6μmになるまで攪拌を継続した。粒径が6.6μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.11が1.09に、円形度は0.966が0.985になった(第2工程)。その後、脱イオン水を10部添加し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)1.2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が8.1μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった(第3工程)。また、電解質の固形分に対する添加量は2.1%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は7.0μm、平均円形度0.939、球形頻度8.2%であった。
(比較例1)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。粒径が5.5μmになった時点で、85 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が8.0μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.85m/sであった。また、電解質の固形分に対する添加量は2.1%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は6.8μm、平均円形度0.976、球形頻度38.1%であった。
(比較例2)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。粒径が5.5μmになった時点で、脱イオン水を10部添加した。その後、回転数を85 回転/minにして、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が8.1μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった。また、電解質の固形分に対する添加量は2.1%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は7.0μm、0.949、球形頻度13.5%であった。5.5μmで球形粒子に調整しなかったため、球形頻度が多く残り、粒度分布が悪化した。
(比較例3)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。粒径が5.5μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.12が1.10に、円形度は0.966が0.983になった(第2工程)。その後、脱イオン水を10部添加し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)3部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が8.0μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.85m/sであり、第2工程の周速比85%であった。また、電解質の固形分に対する添加量は2.2%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は6.9μm、平均円形度0.964、球形頻度18.2%であった。三段目電解質添加後、攪拌シェアは第2工程の周速比85%であったため、略球形化し球形頻度は多く残った。
(実施例5)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。粒径が5.5μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.12が1.10に、円形度は0.967が0.985になった(第2工程)。その後、脱イオン水を5部添加し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)1.5部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が8.0μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった(第3工程)。また、電解質の固形分に対する添加量は2.0%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は6.9μm、平均円形度0.928、球形頻度7.6%であった。
(実施例6)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)10部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が2.6μmになるまで攪拌を継続した。粒径が2.6μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.13が1.11、円形度は0.963が0.984になった(第2工程)。その後、脱イオン水を10部添加し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)1.5部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が3.6μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった(第3工程)。また、電解質の固形分に対する添加量は1.7%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は3.2μm、平均円形度0.936、球形頻度8.2%であった。
(実施例7)
第1工程については実施例1同様に実施した。次いで、翼径347mmのマックスブレンド翼、及びコンデンサー付属の円筒容器に、上記懸濁液を移送した後、攪拌速度を85 回転/minに保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120 回転/minに調整し、3.5%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質)12部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。粒径が3.2μmになった時点で回転数を120 回転/minに調整し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質)1部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を47 回転/minに調整し、粒径が4.0μmになるまで攪拌を継続した。粒径が4.0μmになった時点で、回転数を85 回転/minで30分ホールドし、粒度分布及び形状を整えた。この工程において、粒度分布Dv/Dnは1.13が1.11に、円形度は0.965が0.983になった(第2工程)。その後、脱イオン水を10部添加し、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液(三段目の電解質)2部を、1kg/minで滴下し、滴下終了後、回転数を20 回転/minに調整し、粒径が5.8μmに成長するまで攪拌を継続した。このときの攪拌翼の周速は0.36m/sであった(第3工程)。また、電解質の固形分に対する添加量は1.9%であった。その後、第4工程については、実施例1同様に実施した。乾燥後の粒径は5.0μm、平均円形度0.937、球形頻度8.5%であった。
(実施例8)
ミルベースMB−2を使用し、実施例1同様にマゼンタトナーを作製した。乾燥後の粒径は7.0μm、平均円形度0.936、球形頻度7.8%であった。
(実施例9)
ミルベースMB−3を使用し、実施例1同様にイエロートナーを作製した。乾燥後の粒径は6.9μm、平均円形度0.935、球形頻度7.5%であった。
Figure 0004513723
Figure 0004513723
Figure 0004513723
Figure 0004513723
Figure 0004513723
Figure 0004513723
実施例1〜5、8、9及び比較例1〜3で得た乾燥トナー100質量部に対し、日本アエロジル製シリカ「NAX50」1質量部、「RY−200」質量1部を外添することによりトナーを得た。
(印刷テスト)
市販の非磁性一成分現像方式/ブレードクリーニング方式のプリンター(リコー(株)製「イプシオカラー2100」)のカートリッジから専用トナーを抜き、洗浄したカートリッジに上記外添したトナーを充填し、画像濃度5%で1000枚の連続印字を、25℃、60%の環境下で行った。評価方法は紙への汚れなしを○、紙への汚れ一部有りを△、紙への汚れが全面有りを×とした。その結果、実施例1〜5、8、9はクリーニング性良好で紙への汚れはなく○であった。比較例1、3は平均円形度が大きく、球形頻度も多いことからクリーニング不良が発生し、感光体に残ったトナーにより全面に発生し×、比較例2は、△であった。結果を表2〜4に示す。
本発明は、複写機、プリンター、ファックス等トナーを使用するOA機器等に利用することができる。
実施例1第3工程終了時の非球形粒子Bの光学顕微鏡による写真(倍率; 600倍)である。 実施例1第2工程終了時の球形粒子Aの光学顕微鏡による写真(倍率;600倍)である。 フローテスタ値の求め方を説明するための図であり、(a)は測定装置の概要を示す側断面図、(b)は測定値から各フローテスタ値を求める方法を説明するためのグラフである。
符号の説明
1 ノズル
2 シリンダ
3 トナー
4 荷重面
D ノズル径
L ノズル長さ(深さ)
S ストローク

Claims (5)

  1. カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と着色剤とを有機溶剤中に溶解又は分散させた着色剤含有樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化又は懸濁させる第1工程、
    分散安定剤の存在下で、電解質を添加することで前記着色剤含有樹脂溶液の球形粒子Aを形成する第2工程、
    更に電解質を添加し、撹拌シェアを前記第2工程よりも低くすることで前記球形粒子Aを合一させて非球形粒子Bを製造する第3工程、
    前記非球形粒子B中の前記有機溶剤を除去後、該非球形粒子Bを前記水性媒体から分離し、乾燥する第4工程、
    を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記第2工程後に、水性媒体を追加し、次いで前記第3工程を行う請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記球形粒子Aの平均粒子径が、目標とするトナーの平均粒子径の50%〜85%である請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記球形粒子Aの平均円形度が、0.97以上であり、球形頻度が40%以上である請求項1乃至3いずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 非球形粒子Bの平均円形度が、0.92〜0.95であり、球形頻度が10%以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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