JP4512598B2 - 板金製背面プーリの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、板金製背面プーリの製造方法に関し、特に、ベルトの背面に接触してベルト
の背面を支持する筒部の有効長さを増大することができる板金製背面プーリの製造方法に
関する。
従来、ベルトの背面に筒部を接触させて、たとえば、テンショナーとして機能させるた
めの板金製背面プーリは公知である。そして、前記筒部の長さを増大(延伸)させる製造
方法も本出願人によって既に提供されている(特許文献1)。
この筒部の長さを増大(延伸)させる製造方法では、Fig.8の左半部に示すように
、ボス部1が突設されている円形の基板部2と、この基板部2の外周部から該基板部2の
軸線C1の一方に延び出た筒部3とを備えた板金製カップ状材料4を用意し、このカップ
状材料4の下端開放端部から回転下型5を嵌合して、その軸部51をボス部1に嵌合し、
かつ、基板部2に形成した下向きの膨出部21を回転下型5の凹窪部52に嵌合して、カ
ップ状材料4が径方向に動かないように回転下型5にセットするとともに、回転下型5の
上側に基板部2を介して回転上型6を対向させる。
つぎに、Fig.8の右半部の矢印eのように回転上型6を下降させ、その下向きの膨
出部61を基板部2の下向きの膨出部21の上面に嵌合して、回転下型5の上端面と回転
上型6の下端面とでカップ状材料4の基板部2を挟圧保持したのちに、回転下型5と回転
上型6の少なくともいずれか一方を軸線C1まわりに回転駆動して、回転下型5と回転上
型6およびカップ状材料4を軸線C1まわりに回転させる。このように、カップ状材料4
を回転させながら、第1の転造成形ローラ7を矢印f方向に移動させて、径外方向に突出
している押圧面71と回転下型5の外周面53とで、筒部3の略下半部に相当する部位を
挟圧する。これにより、筒部3の略下半部に相当する部位は、符号8で示すように、筒部
3の略下半部が薄肉化されつつ下向きに延伸される。
つぎに、前記筒部3の略下半部に相当する部位8が薄肉化されつつ下向きに延伸された
カップ状材料4を、Fig.9の左半部に示すように、径方向に動かないように回転下型
5aにセットするとともに、回転下型5aの上側に基板部2を介して回転上型6aを対向
させる。この場合、Fig.8で使用した回転下型5よりも僅かに径小の回転下型5aが
使用される。したがって、回転下型5aの外周面53aと筒部3との間には僅かな隙間s
が形成される。また、回転上型6aの外周縁部には、後述する第2の転造成形ローラにお
ける上端部の外周縁部の進入を許容する切欠部62が形成されている。なお、Fig.9
に示す回転下型5aと回転上型6aにおいて、Fig.8に示す回転下型5と回転上型6
に相当する部分には同一符号を付してある。
つぎに、Fig.9の右半部の矢印gのように回転上型6aを下降させ、その下向きの
膨出部61を基板部2の下向きの膨出部21の上面に嵌合して、回転下型5aの上端面と
回転上型6aの下端面とでカップ状材料4の基板部2を挟圧したのちに、回転下型5aと
回転上型6aの少なくともいずれか一方を軸線C1まわりに回転駆動して、回転下型5a
と回転上型6aおよびカップ状材料4を軸線C1まわりに回転させる。このように、カッ
プ状材料4を回転させながら、第2の転造成形ローラ9を矢印h方向に移動させて、径内
方向に凹入している押圧面91と回転下型5aの外周面53aとで、筒部3の略上半部に
相当する厚肉部3a(Fig.9の左半部参照)を挟圧する。これにより、該厚肉部3a
は、Fig.9の右半部において符号10で示すように、薄肉化されつつ下向きに延伸さ
れて、外周面が平坦な筒部3を製造することができる。
すなわち、Fig.10に示す筒部3の肉厚t1が厚く、筒部3の軸方向の長さh1が
短い板金製カップ状材料4によって、Fig.11に示すように、肉厚t2が薄く、軸方
向の長さh2がFig.10の軸方向の長さh1よりも長い筒部3を製造することができ
る。
WO98/05447
ところが、前記従来の筒部の増大方法は、基板部2の軸線C1の一方に延び出た筒部3
をさらに同方向の一方に延伸させる方法にすぎず、筒部3の上端部を延伸させる技術では
なく、筒部3の上端部が曲成しているために、その曲率外周面にベルトの背面を接触させ
ることはできない。
したがって、ベルトの背面が接触できる筒部3の有効長さh3は、筒部3の軸方向の長
さh2から該筒部3の上端曲成部分11bの軸方向の長さΔhを減じた値に制限されるこ
とになる。
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的とするところは、従来の
ように筒部の上端曲成部分においてベルトの背面と接触できる有効長さが減じられるとい
うことがなく、むしろ、有効長さを増大することができる板金製背面プーリの製造方法を
提供することにある。
本発明に係る板金製背面プーリの製造方法は、円形の基板部と、この基板部の外周縁部
から該基板部の軸方向の一方に延び出た筒部とを備えた板金製カップ状材料を用意し、前
記筒部の基端部である上端部を転造成形ローラに設けた溝部形成用突部で押圧して前記筒
部の上端部に環状の溝部を形成することにより前記筒部に、その筒部が延び出た方向とは
反対方向に突出する環状の突出部を形成し、しかる後、前記溝部と突出部と筒部を回転内
型と平坦面形成用転造ローラとで、前記溝部が少なくとも消滅するまで同時に挟圧して前
記突出部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形成するようにしたことを特徴とするもの
である。
このような製造方法によれば、板金製カップ状材料における筒部の上端部を転造成形ロ
ーラに設けた溝部形成用突部で押圧して、環状の溝部を形成することにより、前記筒部に
該筒部が延び出た方向とは反対方向に突出する環状の突出部が形成される。これによって
、板金製カップ状材料の軸方向の長さは、元の長さ(原寸法)よりも環状の突出部の突出
量に相当して長くなる。このように、原寸法よりも軸方向の長さが長くなった板金製カッ
プ状材料の溝部と突出部と筒部を回転内型と平坦面形成用転造ローラとで、前記溝部が少
なくとも消滅するまで挟圧して、前記突出部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形成す
ることによって、軸方向の長さがさらに増大されることになり、その増大された軸方向の
長さの全長を有効長さとして活用できる板金製背面プーリを製造することができる。また
、増大された軸方向の長さの全長が有効長さとして活用できることによって、たとえば、
ベルトの僅かな幅方向の位置ずれを吸収して、ベルト背面との安定な接触状態を維持する
ことができるという効果を奏する。
前記本発明の製造方法において、前記平坦面形成用転造ローラは少なくとも複数種類用
意して、複数工程で前記突出部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形成することが好ま
しい。
このように複数工程にすれば、一工程あたりに要する時間が、一気に一工程で前記突出
部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形成する場合に比べて短くなり、製造ラインにお
いて、この短い一工程の時間で次々に前記突出部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形
成した板金製背面プーリを生産することができて、生産効率を高めることができる。すな
わち、より詳しく説明すれば、1つの平坦面形成用転造ローラを使用した一工程によって
、突出部の外周面と筒部の外周面を面一に形成する製造方法では、一工程当たりの所要時
間が長くなり、製造ラインの単位時間当たりの製造数量は、前記長くなった一工程当たり
の所要時間によって決定される。しかし、複種類の平坦面形成用転造ローラを使用した複
数工程によって、突出部の外周面と筒部の外周面を面一に形成する製造方法であれば、各
工程ごとの所要時間が短縮されることになるので、製造ラインの単位時間当たりの製造数
量は、前記短縮された各工程当たりの所要時間に相当して増量されることになって、生産
効率を高めることができるのである。
また、本発明の製造方法において、前記溝部を前記筒部の厚みの範囲内で形成すること
が好ましい。
このようにすれば、溝部が基板部に進入せず、該基板部を薄肉化してその強度を低下さ
せるという不具合を防止することができる。これにより、基板部の座屈強度低下を回避す
ることができる。
さらに、本発明の製造方法において、溝部形成用突部の断面形状としてV字状のものを
用いて、前記溝部の底を前記基板部の軸方向の厚みのほぼ中心線上に位置させて前記突出
部を突出させることが好ましい。
このようにすれば、突出部の薄肉化を防止しながら、突出部の突出量を充分に確保する
ことができる。
本発明の実施形態に適用される板金製カップ状材料に小さいV字状の溝を形成する工程を示す縦断面図である。 Fig.1で加工された板金製カップ状材料に大きいV字状の溝を形成する工程を示す縦断面図である。 Fig.2で加工された板金製カップ状材料の筒部に、その筒部が延び出た方向とは反対方向に環状の突出部を形成して、この突出部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形成する工程を示す半截縦断面図である。 本発明の実施形態に適用される板金製カップ状材料の一例を示す縦断面図である。 Fig.4の板金製カップ状材料で製造された板金製背面プーリを示す縦断面図である。 板金製カップ状材料の他の例を示す縦断面図である。 Fig.6の板金製カップ状材料で製造された板金製背面プーリを示す縦断面図である。 従来の板金製カップ状材料の筒部を延伸するための第1加工段階を示す縦断面図である。 Fig.8で加工された板金製カップ状材料の筒部をさらに延伸するための第2加工段階を示す縦断面図である。 従来の製造方法で使用された板金製カップ状材料の縦断面図である。 Fig.10の板金製カップ状材料の筒部が一方の方向に延伸された状態を示す縦断面図である。
2 基板部
3 筒部
4 板金製カップ状材料
15 突出部
15a 突出部15の外周面
以下、本発明に係る板金製背面プーリの製造方法の好ましい実施形態を図面に基づいて
説明する。なお、本実施形態において、前記Fig.8、Fig.9、Fig.10、F
ig.11で説明した従来例と同一部分には、同一の符号を付して説明する。
この実施形態では、Fig.1の左半部およびFig.4に示すように、軸線C1を中
心軸としたボス部1が突設されている円形の基板部2と、この基板部2の外周部から該基
板部2の軸線C1方向の一方に延び出た筒部3とを備えているとともに、円形の基板部2
には、環状の段差部22を介してボス部1側の高い部位と筒部3側の低い部位とを連続さ
せた板金製カップ状材料4が用いられる。
このカップ状材料4は、Fig.1の左半部に示すように、その下端開放端部から回転
下型5bに嵌合し、該回転下型5bの軸部51に板金製カップ状材料4のボス部1を嵌合
するとともに、基板部2に設けた環状の段差部22の内面に回転下型5bの環状の段差面
54を嵌合して、カップ状材料4が径方向に動かないように回転下型5bにセットしたの
ちに、回転下型5bの上側に基板部2を介して回転上型6aを対向させる。
つぎに、Fig.1の右半部の矢印eのように回転上型6aを下降させ、該回転上型6
aの下端に形成されている環状の段差面63に基板部2の環状の段差部22を嵌合して、
回転下型5bの上端面と回転上型6aの下端面とでカップ状材料4の基板部2を挟圧保持
して、回転下型5bと回転上型6aの少なくともいずれか一方を軸線C1まわりに回転駆
動して、回転下型5bと回転上型6aおよびカップ状材料4を軸線C1まわりに回転させ
る。
このように、カップ状材料4を回転させながら、第1の転造成形ローラ70を矢印f方
向に移動させて、該第1の転造成形ローラ70の上端部近傍に径外方向に突設した小さい
V字状断面の第1溝部形成用突部72を筒部3の上端部において径内方向へ押し込み、か
つ、第1の転造成形ローラ70の筒部押圧面71を筒部3の外周面30に当接させる。こ
れによって、第1の転造成形ローラ70がカップ状材料4の回転に追従して逆まわりに回
転しながら、筒部3の上端部の外周縁部に小さくV字状に拡開した環状の第1溝部12を
形成するとともに、筒部3に該筒部3が延び出た方向とは反対方向に小さく突出する環状
の突出部14を形成したカップ状材料4Aが成形される。
つぎに、前記環状の第1溝部12と環状の突出部14が形成されたカップ状材料4Aを
、Fig.2の左半部に示すように、その下端開放端部から回転下型5cに嵌合し、該回
転下型5cの軸部51に板金製カップ状材料4Aのボス部1を嵌合するとともに、基板部
2に設けた環状の段差部22の内面に回転下型5cの環状の段差面55を嵌合して、カッ
プ状材料4Aが径方向に動かないように回転下型5cにセットしたのちに、矢印eのよう
に回転上型6bを下降させて、該回転上型6bの下端に形成されている環状の段差面64
に基板部2の環状の段差部22を嵌合して、回転下型5cの上端面と回転上型6bの下端
面とでカップ状材料4の基板部2を挟圧保持して、回転下型5cと回転上型6bの少なく
ともいずれか一方を軸線C1まわりに回転駆動して、回転下型5cと回転上型6bおよび
カップ状材料4Aを軸線C1まわりに回転させる。
このように、回転下型5cと回転上型6bとともに軸線C1まわりに回転しているカッ
プ状材料4Aに対して、第2の転造成形ローラ90を矢印h方向に移動させて、既に小さ
くV字状に拡開して形成されている環状の第1溝部12(Fig.1の右半部参照)に、
前記第2の転造成形ローラ90の上端部近傍に径外方向に突設した大きいV字状断面の第
2溝部形成用突部92を嵌合して径内方向へ押し込み、かつ、筒部押圧面91を筒部3の
外周面30に当接させる。これによって、第2の転造成形ローラ90がカップ状材料4A
の回転に追従して逆まわりに回転しながら、既に形成されている前記環状の第1溝部12
を第2溝部形成用突部92によって押し拡げて、V字状に大きく拡開した環状の第2溝部
13を形成するとともに、筒部3に該筒部3が延び出た方向とは反対方向に大きく突出す
る環状の突出部15を形成したカップ状材料4Bが成形される。
このように、環状の突出部15が形成されることによって、板金製カップ状材料4Bの
軸方向の長さは、Fig.1の左半部に示す板金製カップ状材料4の元の長さ(原寸法)
よりも環状の突出部15の突出量に相当して長くなる。
つぎに、前記環状の第2溝部13と環状の突出部15が形成されているカップ状材料4
Bを、Fig.2の右半部に示すように、その下端開放端部から回転下型5dに嵌合し、
該回転下型5dの軸部51に板金製カップ状材料4Bのボス部1を嵌合するとともに、基
板部2に設けた環状の段差部22の内面に回転下型5dの環状の段差面56を嵌合して、
カップ状材料4Bが径方向に動かないように回転下型5dにセットしたのちに、矢印gの
ように回転上型6cを下降させて、該回転上型6cの下端に形成されている環状の段差面
65に基板部2の環状の段差部22を嵌合して、回転下型5dの上端面と回転上型6cの
下端面とでカップ状材料4Bの基板部2を挟圧保持して、回転下型5dと回転上型6cの
少なくともいずれか一方を軸線C1まわりに回転駆動して、回転下型5dと回転上型6c
およびカップ状材料4Bを軸線C1まわりに回転させる。
このように、回転下型5d回転上型6cとともに軸線C1まわりに回転しているカッ
プ状材料4Bに対して、第1の平坦面形成用転造ローラ16を矢印i方向に移動させて、
該第1の平坦面形成用転造ローラ16の外周面16aと、回転下型5dの外周面53と、
回転上型6cの下端部の外周面とで、筒部3および環状の突出部15を挟圧して、環状の
第2溝部13(Fig.2の左半部参照)を小さい溝部17が残存した状態に変形させる
とともに、Fig.2の左半部に示すカップ状材料4Bにおける筒部3の軸線C1方向の
長さよりも若干長寸で、かつ、肉厚がFig.2の左半部に示すカップ状材料4Bにおけ
る筒部3の肉厚よりも薄くなったカップ状材料4Cを成形する。
つぎに、前記のカップ状材料4Cを、Fig.3に示すように、その下端開放端部から
回転下型5eに嵌合し、該回転下型5eの軸部51に板金製カップ状材料4Cのボス部1
を嵌合するとともに、基板部2に設けた環状の段差部22の内面に回転下型5eの環状の
段差面57を嵌合して、カップ状材料4Cが径方向に動かないように回転下型5eにセッ
トしたのちに、矢印jのように回転上型6dを下降させて、該回転上型6dの下端に形成
されている環状の段差面66に基板部2の環状の段差部22を嵌合して、回転下型5eの
上端面と回転上型6dの下端面とでカップ状材料4Cの基板部2を挟圧保持したのちに、
回転下型5eと回転上型6dの少なくともいずれか一方を軸線C1まわりに回転駆動して
、回転下型5eと回転上型6dおよびカップ状材料4Cを軸線C1まわりに回転させる。
このように、回転下型5eと回転上型6dとともに軸線C1まわりに回転しているカッ
プ状材料4Cに対して、第2の平坦面形成用転造ローラ18を矢印k方向に移動させて、
該第2の平坦面形成用転造ローラ18の外周面18aと、回転下型5eの外周面53と、
回転上型6dの下端部の外周面とで、前記残存している小さい溝部17(Fig.2の右
半部参照)が消滅するまで、筒部3および環状の突出部15を挟圧することによって、環
状の突出部15の外周面15aと筒部3の外周面30が面一に形成されるとともに、環状
の突出部15は薄肉化されつつ上向きに延伸されて、その突出量がFig.2の右半部に
示す突出量よりも大きくなるとともに、Fig.2の右半部に示す筒部3は薄肉化されつ
つFig.3に示すように下向きに延伸されるので、軸方向の長さがさらに増大した板金
製背面プーリ11を製造することができる。
すなわち、Fig.1の左半部およびFig.4に示す筒部3の肉厚t1が厚く、軸方
向の長さh1が短い板金製カップ状材料4によって、Fig.3およびFig.5に示す
すように、筒部3の肉厚t2が薄く、軸方向の長さh4がFig.4の軸方向の長さh1
よりも増大されるとともに、この増大された軸方向の長さh4の全長を有効長さとして活
用できる板金製背面プーリ11を製造することができる。また、増大された軸方向の長さ
h4の全長が有効長さとして活用できることによって、たとえば、ベルトの僅かな幅方向
の位置ずれを吸収して、ベルト背面との安定な接触状態を維持することができるという効
果を奏する。
前記実施形態によれば、第1の平坦面形成用転造ローラ16と第2の平坦面形成用転造
ローラ18との2種類の平坦面形成用転造ローラ16,18による二工程で、環状の突出
部15の外周面15aと筒部3の外周面30を面一に形成しているので、板金製背面プー
リ11の製造ラインにおける単位時間当たりの製造数量を増やして、生産効率を高めるこ
とができる。すなわち、1つの平坦面形成用転造ローラ16を使用した一工程によって、
一気に環状の突出部15の外周面15aと筒部3の外周面30を面一に形成する製造方法
では、一工程当たりの所要時間T1が長くなり、製造ラインの単位時間(たとえば1時間
)当たりの製造数量は、この長くなった一工程当たりの所要時間T1によって決定される
。しかし、2種類の平坦面形成用転造ローラ16,18を使用した二工程によって、環状
の突出部15の外周面15aと筒部3の外周面30を面一に形成する前記実施形態の製造
方法であれば、各工程ごとの所要時間T2が前記T1の略1/2に短縮されることになる
ので、製造ラインの単位時間(たとえば1時間)当たりの製造数量は、前記短縮された各
工程当たりの所要時間T2に相当して増量されることになって、生産効率を高めることが
できるのである。
なお、3種類以上の平坦面形成用転造ローラを用意して、三以上の工程で環状の突出部
15の外周面15aと筒部3の外周面30を面一に形成する製造方法であれば、各工程ご
との所要時間T3が前記T1の略1/3以上に短縮されることになるので、製造ラインの
単位時間(たとえば1時間)当たりの製造数量は、前記短縮された各工程当たりの所要時
間T3に相当してさらに増量されることになって、生産効率をより一層高めることができ
る。
また、Fig.2の左半部に示すように、環状の第2溝部13をカップ状材料4におけ
る筒部3の厚みt1の範囲内で形成することで、環状の第2溝部13が基板部2に進入せ
ず、該基板部2を薄肉化してその強度を低下させるという不具合を防止することができる
。これにより、基板部2の座屈強度低下を回避することができる。
また、Fig.1の右半部に示すように、第1の転造成形ローラ70の第1溝部形成用
突部72の断面形状としてV字状のものを用いて、該第1溝部形成用突出部72を径内方
向に押し込むことによって、環状の第1溝部12の底を基板部2の軸方向の厚みのほぼ中
心線C2上に位置させたのちに、Fig.2の左半部に示すように、第2の転造成形ロー
ラ90の第2溝部形成用突部92の断面形状としてV字状のものを用いて、該第2溝部形
成用突部92を環状の第1溝部12に押し込むことによって、環状の第2溝部13の底を
前記中心線C2上に位置させることで、筒部3における中心線C2よりも上側の部位の厚
みが大きく確保され、この厚みが大きく確保された部位を、筒部3が延び出た方向とは反
対方向に突出させて、環状の突出部15を形成することができるので、該環状の突出部1
5の薄肉化を防止しながら、筒部3が延び出た方向とは反対方向への突出量を充分に確保
して、板金製背面プーリ11の基板部2の上端から筒部3の下端までの長さh4(Fig
.5参照)を増大させることができる。
なお、前記実施形態では、Fig.4に示すボス部1が突設されている円形の基板部2
と、この基板部2の外周部から該基板部2の軸線C1方向の一方に延び出た筒部3とを備
えた板金製カップ状材料4によって、Fig.5に示す板金製背面プーリ11を製造する
方法について説明しているが、前記実施形態で使用した回転下型5b,5c,5d,5e
とは異なる回転下型を使用するとともに、前記実施形態で使用した回転上型6a,6b,
6c,6dとは異なる回転上型を使用することによって、たとえば、Fig.6に示すよ
うに、ボス部1(Fig.4参照)を省略した基板部2と、この基板部2の外周部から該
基板部2の軸線C1方向の一方に延び出た筒部3とを備えた板金製カップ状材料4によっ
て、Fig.7に示すように、筒部3の肉厚t2が薄く、軸方向の長さh4がFig.6
の軸方向の長さh1よりも増大されるとともに、この増大された軸方向の長さh4の全長
を有効長さとして活用できる板金製背面プーリ11を製造することができる。
以上のように、本発明は、円形の基板部と、この基板部の外周縁部から該基板部の軸方
向の一方に延び出た筒部とを備えた板金製カップ状材料における筒部の上端部を転造成形
ローラに設けた溝部形成用突部で押圧することによって、筒部の上端部に環状の溝部を形
成して、前記筒部に該筒部が延び出た方向とは反対方向に突出する環状の突出部を形成し
、前記環状の溝部と環状の突出部と筒部を回転内型と平坦面形成用転造ローラとで、前記
環状の溝部溝部が消滅するまで挟圧して、環状の突出部の外周面と筒部の外周面を面一に
形成して、筒部の軸方向の長さを増大するとともに、その増大された軸方向の長さの全長
を有効長さとして活用できるようにした技術である。

Claims (4)

  1. 円形の基板部と、この基板部の外周縁部から該基板部の軸方向の一方に延び出た筒部とを備えた板金製カップ状材料を用意し、前記筒部の基端部である上端部を転造成形ローラに設けた溝部形成用突部で押圧して前記筒部の上端部に環状の溝部を形成することにより前記筒部に、その筒部が延び出た方向とは反対方向に突出する環状の突出部を形成し、しかる後、前記溝部と突出部と筒部を回転内型と平坦面形成用転造ローラとで、前記溝部が少なくとも消滅するまで同時に挟圧して前記突出部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形成するようにしたことを特徴とする板金製背面プーリの製造方法。
  2. 前記平坦面形成用転造ローラは、少なくとも複数種類用意して、複数工程で、前記突出部の外周面と前記筒部の外周面を面一に形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の板金製背面プーリの製造方法。
  3. 前記溝部を前記筒部の厚みの範囲内で形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の板金製背面プーリの製造方法。
  4. 前記溝部形成用突部の断面形状としてV字状のものを用いて、前記溝部の底を前記基板部の軸方向の厚みのほぼ中心線上に位置するようにさせて前記突出部を突出させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の板金製背面プーリの製造方法。
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