JP4511125B2 - フェニルアゾメチンデンドリマーとデンドロン誘導体の合成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、フェニルアゾメチンデンドリマーとデンドロン誘導体の合成方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、光・電子機能触や媒機能等の応用が期待されるフェニルアゾメチンデンドリマーの効率的な新しい合成方法と世代選択的な官能基導入に関する新しい方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
新しいナノ材料として注目を集めるフェニルアゾメチンデンドリマーは、これまでケトンとアミンの脱水反応を基本としたコンバージェント合成によって合成されてきた。たとえば、この出願の発明者によっても改善された新しい方法が提案されている(特願2002−20786号)。しかしながら、発明者らによる改善工夫がなされていても、これまでの合成法には基本的な問題点があった。たとえば、その一つは、副生成物の存在により目的とするデンドロンが各段階において単離が必ずしも容易ではないという点である。もう一つはそのような副生成物の生成を防ぐために、過剰の原料デンドロンを用いなければならない点である。そのため、結果として、たとえば1グラムの第4世代デンドリマーを合成するために、原料となるベンゾフェノンを258グラム使用しなければならない計算となる。このような事情から、より効率的なフェニルアゾメチンデンドリマーの合成は、新しいナノ材料の効率的な提供を考える上で欠かせない。
【0003】
また、新しいナノ材料としてのフェニルアゾメチンデンドリマーの幅広い利用を考える時、末端周辺部へ様々な官能基を導入する方法の確立は重要であり、電気活性な官能基の導入によりナノ電子材料として、また、親水性の官能基を導入すれば、水溶性のデンドリマーとなり、ドラッグデリバリー材料としての利用が期待される。前記の発明者らによる提案も、電子勾配を有するフェニルアゾメチンデンドロンとそのデンドリマーを実現するものとして有用である。
【0004】
しかしながら、従来では、脱水反応を基本とする合成ルート上、たとえば、様々に修飾可能なアミノ基をデンドリマーの分岐末端に簡便に導入するは困難であり、その結果フェニルアゾメチンデンドリマーの材料としての有用性が限定されていた。
【0005】
さらに、フェニルアゾメチンデンドリマー内の特異な電子密度勾配を利用した高効率触媒・発光素子を構築する場合、コアや分岐鎖部分への世代選択的なの機能分子の導入がその機能増幅に重要である。しかしながら、従来では、そのような世代選択的な機能分子の導入は非常に困難であった。
【0006】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来のフェニルアゾメチンデンドリマー合成法に代わる新しい効率的合成法を提供し、また、世代選択的官能基導入法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明者等は、前記の課題を解決すべく、鋭意研究を重ね、副生成物の生成を抑えた反応経路を開発することで、効率的なフェニルアゾメチンデンドリマーの合成法を開発した。また、反応における基質特異性を利用することで末端部位に様々に官能基化が可能なアミノ基を導入することを実現した。
【0008】
すなわち、この出願の発明は、第1には、イミン結合を介しての樹状分子構造が構成されている次式
【0009】
【化16】
【0010】
(R1は、芳香環を有する有機基を示し、R2は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、mは2以上の整数を、nは1以上の整数を示す。)
で表わされるフェニルアゾメチンデンドリマーの合成方法であって、次式
【0011】
【化17】
【0012】
で表わされるデンドロンを、4,4'−ジアミノジフェニルメタンと反応させて次式
【0013】
【化18】
【0014】
で表わされる化合物を生成させ、これを酸化反応によって次式
【0015】
【化19】
【0016】
で表わされるデンドロンに変換し、同様の4,4'−ジアミノジフェニルメタンとの反応とその後の酸化反応からなる反応工程をさらに所要回数行うことにより、あるいは行うことなしに、デンドロンの世代数を所要のものとし、次いで次式
【0017】
【化20】
【0018】
で表わされるアミン化合物とさせることを特徴とするフェニルアゾメチンデンドリマーの合成方法を提供する。
【0019】
また、この出願の発明は、第2には、イミン結合を介しての樹状分子構造が構成されている次式
【0020】
【化21】
【0021】
(R1は、芳香環を有する有機基を示し、R2は、4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル基を示し、mは2以上の整数を、nは1以上の整数を示す。)
で表わされるフェニルアゾメチンデンドリマーの合成方法であって、次式
【0022】
【化22】
【0023】
で表わされるデンドロンを、4,4'−ジアミノベンゾフェノンと反応させて次式
【0024】
【化23】
【0025】
で表わされるデンドロンに変換し、同様の4,4'−ジアミノベンゾフェノンとの反応工程をさらに所要回数行うことにより、あるいは行うことなしに、デンドロンの世代数を所要のものとし、次いで次式
【0026】
【化24】
【0027】
で表わされるアミン化合物と反応させることを特徴とするフェニルアゾメチンデンドリマーの合成方法を提供する。
【0028】
そして、第3には、次式
【0029】
【化25】
【0030】
(R2は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、nは1以上の整数を示す。)
で表わされるデンドロンを、4,4’−ジアミノジフェニルメタンと反応させて次式
【0031】
【化26】
【0032】
で表わされる化合物を生成させ、これを酸化反応によって次式
【0033】
【化27】
【0034】
で表わされるデンドロンに変換し、同様の4,4'−ジアミノジフェニルメタンとの反応とその後の酸化反応からなる反応工程をさらに所要回数行うことにより、あるいは行うことなしに、デンドロンの世代数を所要のものとすることを特徴とするデンドロン誘導体の合成方法を提出する。さらに、この出願の発明は、第4には、次式
【0035】
【化28】
【0036】
(R2は、4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル基を示し、nは1以上の整数を示す。)
で表わされるデンドロンを、4,4’−ジアミノベンゾフェノンと反応させて次式
【0037】
【化29】
【0038】
で表わされるデンドロンに変換し、同様の4,4'−ジアミノベンゾフェノンとの反応工程をさらに所要回数行うことにより、あるいは行うことなしに、デンドロンの世代数を所要のものとすることを特徴とするデンドロン誘導体の合成方法を提供する。
【0045】
以上のとおりのこの出願の発明のフェニルアゾメチンデンドリマー新合成法では、副反応の生成を抑えた合成経路であるため各段階で生成物の単離が容易で、従来法のように過剰に原料を用いる必要がなく、極めて効率的に進行させることができる。また、従来困難であった分岐末端への世代選択的官能基導入法を開発したことで、電気応答性素子やドラッグデリバリーユニットとして様々な応用が可能となると期待される。
【0046】
従って、この出願の発明は、発光・触媒材料等として有用なフェニルアゾメチンデンドリマーの新合成法と世代選択的官能基化法を提供するものである。
【0047】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0048】
この出願の発明の前記第1および第2の発明において合成の目的対象とされ、また第5の発明の反応出発物質とされているDPA:フェニルアゾメチンデンドリマーは、前記の一般式で示されるものであるが、符号R1としての有機基は、芳香環を有する各種のものであってよく、たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の単環もしくは多環のアリール基あるいはその誘導体の他、ポルフィリン環、フタロシアニン、サイクラムなど金属配位型分子など様々な有機基が例示される。これらの有機基は、適宜に置換基を有していてもよく、たとえばこのような置換基としては、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等が例示される。
【0049】
そして、置換基を有していてもよいフェニル基としてのR2は、メトキシ基、アミノ基、シアノ基、ブロモ基など種々の置換基を導入した、もしくは導入していないベンゼン環であり、いくつかの官能基が組み合わされていてもよい。
【0050】
なかでも、この出願の第2の発明においては、末端にアミノ基を有するフェニル基としてのR2をもつフェニルアゾメチンデンドリマーの合成が効率的に可能とされることが強調される。
【0051】
フェニルアゾメチンデンドリマー(DPA)並びにその合成中間体としてのデンドロン(DPAデンドロン)における一般式中の表示「n」は、0または1以上の整数であってよいが、本発明では1以上が対象となる。この「n」の値は、デンドロン、そしてデンドリマーの世代数を規定することになる。たとえばデンドリマーにおいてn=1の場合は第2世代を、n=2の場合は第3世代を示すことになる。そして、n=0の場合は第1世代を示す。なお、前記一般式において、n=0の場合には、デンドリマーは次式
【0052】
【化31】
【0053】
で表わされることになる。
【0054】
なお、フェニルアゾメチンデンドリマー(DPA)を示す一般式における表示「m」については、2以上の整数であって、デンドロンと反応させるアミン化合物のアミノ基(−NH2)の数に対応している。従って、アミン化合物としては、モノアミンをはじめ、ジアミン、トリアミン、等のポリアミン等の各種のものであってよい。
【0055】
この出願の前記第1並びに第3の発明においては、デンドロンと4,4'−ジアミノジフェニルメタンとの反応、そしてその後の酸化反応の工程を1回もしくは複数会行うことで、前記の世代数を所要のものとする。この場合のデンドロンと4,4'−ジアミノジフェニルメタンとの反応は、ケトンとアミンとの脱水縮合として実施される。反応条件は、公知のものが適宜に採用されてよいが、より好適にはクロロベンゼン等の極性溶媒中において、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)並びに四塩化チタン等の金属化合物の存在下に行うことが考慮される。撒水縮合の後のメチレン基の酸化反応は、酸化剤、たとえば過マンガン酸カリウム等を用いて溶媒中で行うことが好適に考慮される。これらの反応条件については、デンドロンとアミン化合物との反応によるデンドリマーの生成反応においても同様とすることができる。
【0056】
デンドロンと4,4'−ジアミノジフェニルメタンとの反応、そしてその後の酸化反応による世代数を変化させたデンドロンの合成をともなうこの出願の第1並びに第3の発明によれば、反応効率はこれまでに知られている方法に比べてはるかに高く、たとえば、後述の実施例による方法では、第4世代デンドリマーDPAG4を1g取得するためには、ベンゾフェノンを出発物質とする場合、このものの必要量は23gでよく、これは従来の必要量である258gに比べて1/10以下の割合であって、極めて反応効率性に優れている。
【0057】
そしてまた、この出願の第2並びに第4の発明では、デンドロンを4,4'−ジアミノベンゾフェノンと反応させることで世代数を所要のものとすることができ、しかもこの発明の方法では、前記の符号R2として末端アミノ基をもつデンドロン、そしてデンドリマーを容易に、高効率で合成することができるという優れた特徴を有している。従来は、このような末端アミノ基を有するデンドリマーの合成が困難であったが、この出願の発明によってこのような問題点は解消されている。
【0058】
第2並びに第4の発明におけるデンドロンと4,4'−ジアミノベンゾフェノンとの脱水縮合反応においても前記と同様にDABCO等好適に用いることができる。
【0063】
そこで、以下、実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではない。
【0064】
【実施例】
<A>フェニルアゾメチンデンドリマー:DPA合成のためのデンドロンの合成
(実施例1)
4,4'- ジアミノジフェニルメタンを経由した DPA デンドロン G2 の合成
三口フラスコにベンゾフェノン(23.0g, 126mmol)、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(10g, 50.4mmol)、DABCO(34.0g, 302mmol)を量り入れ、系中を窒素置換し、次の反応式
【0065】
【化32】
【0066】
に従って、クロロベンゼン(250ml)を加えて油浴で90℃に加温して攪拌し、可溶成分を溶解させ、滴下ロートに四塩化チタン(8.3ml, 75.7mmol)を入れ、そこから滴下して加えた後、ロート内をクロロベンゼン(2ml)で洗った。その後、油浴を125℃に上げ、24時間反応させた。反応終了後、沈殿物を濾過して除き、濾液をエバポレーターで濃縮しクロロベンゼンを飛ばした後、ヘキサンによる洗浄を繰り返すことでDPAデンドロンG2を単離した。収量(9.42g, 17.9mmol)、収率(73%)。同定は、NMR、MSで行った。
【0067】
同定物性値は次の表1のとおりであった。
【0068】
表 1
DPA デンドロン G2 の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 3.74 (s, 2H), 6.62 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 6.85 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.10 (dd, J= 9.0 Hz, 2.0Hz 4H), 7.25 (m, 8H), 7.40 (m, 4H), 7.73 (dd, J = 9.0 Hz, 2.0 Hz, 4H);
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 40.60, 121.00, 127.75, 128.05, 128.39, 128.86, 129.15, 130.49, 136.02, 136.23, 139.69, 149.00, 167.87
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 527.67 [M+H]+, Found: 525.9
(実施例2)
次に反応式に従って、DPAデンドロンG3を合成した。
【0069】
【化33】
【0070】
▲1▼ DPA デンドロン G3 前駆体の合成
三口フラスコに実施例1で合成したDPAデンドロンG2(4.97g, 9.2mmol)と、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(0.910g, 4.6mmol)、DABCO(3.09g, 28mmol)を量り入れ、系中を窒素置換し、クロロベンゼン(50ml)を加えて油浴で90℃に加温して攪拌し、可溶成分を溶解させた。滴下ロートに四塩化チタン(0.755ml, 6.9mmol)を入れ、そこから滴下して加えた後、ロート内をクロロベンゼン(2ml)で洗った。その後、油浴を125℃に上げ、24時間反応させた。反応終了後、沈殿物を濾過して除き、濾液をエバポレーターで濃縮しクロロベンゼンを飛ばした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル=4:1:1→3:1:1)でDPAデンドロンG3前駆体を単離した。収量(3.66g, 6.7mmol)、収率(73%)。同定は、NMR、MSで行った。
【0071】
同定値は次の表2のとおりであった。
【0072】
表 2
DPA デンドロン G3 前駆体の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 3.82(s, 2H), 6.55(d, J =8.3Hz, 8H) 6.70(d, J =8.3Hz, 4H), 6.84(d, J = 8.3Hz, 8H), 7.05(d, J =8.3Hz, 4H), 7.19(m, 8H), 7.26(m, 10H), 7.42(m, 16H), 7.75(d, J =8.3Hz, 8H)
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 40.70, 120.12, 120.42, 121.36, 127.71, 127.97, 128.15, 128.56, 128.76, 128.86, 129.28, 129.33, 129.40, 129.87, 130.20, 130.83, 130.98, 134.80, 135.54, 135.66, 135.77,139.10, 139.30, 149.30, 151.50, 153.30, 167.50, 168.32, 168.76
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 1244.54 [M+H]+, Found: 1240.5
▲2▼ DPA デンドロン G3 への酸化
三口フラスコに上記のDPAデンドロンG3前駆体(3.40g, 2.7mmol)と過マンガン酸カリウム(6.47g, 41.0mmol)、を量り入れ、中央口にジムロートを取り付け、左右の口をセプタムラバーで閉じた。系中を窒素置換し、アセトン(150ml)を加えて油浴で60℃に加温して攪拌し、24時間反応させた。その間、過マンガン酸カリウムの残量をスポットテストにより逐次確認し、消失の度に6.47gずつ追加、計3回追加した。反応終了後、沈殿物を濾過して除き、濾液をエバポレーターで濃縮しアセトンを飛ばした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:クロロホルム:酢酸エチル=4:1:1→2:1:1)で単離した。収量(1.51g, 12.0mmol)、収率(44%)。同定は各種スペクトルで行い、ベンジル位が酸化されDPAデンドロンG3が得られたことを確認した。
(実施例3)
次の反応式に従って、DPAデンドロンG4を合成した。
【0073】
【化34】
【0074】
▲1▼ DPA デンドロン G4 前駆体の合成
三口フラスコに実施例2で合成したDPAデンドロンG3(2.67g, 2.1mmol)と4,4'-ジアミノジフェニルメタン(0.211g, 1.1mmol)、DABCO(0.718g, 6.4mmol)を量り入れ、系中を窒素置換し、クロロベンゼン(30ml)を加えて油浴で90℃に加温して攪拌し、可溶成分を溶解させた。滴下ロートに四塩化チタン(0.174ml, 1.6mmol)を入れ、そこから滴下して加えた後、ロート内をクロロベンゼン(2ml)で洗った。その後、油浴を125℃に上げ、24時間反応させた。反応終了後、沈殿物を濾過して除き、濾液をエバポレーターで濃縮しクロロベンゼンを飛ばした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル=3:2:1→2:2:1)でDPAデンドロンG4前駆体を単離した。収量(2.52g, 0.94mmol)、収率(86%)。同定は、NMR、MSで行った。
【0075】
同定値は次の表3のとおりであった。
【0076】
表 3
DPA デンドロン G4 前駆体の同定
1H NMR(400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 3.75(s, 2H), 6.50(m, 14H), 6.61(m, 4H), 6.75(m, 12H), 6.85(m, 10H), 7.00(m, 8H), 7.15(m, 14H), 7.20(m, 6H), 7.30(m, 16H), 7.40(m, 16H), 7.50(m, 18H), 7.75(m, 16H)
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 35.78, 113.38, 119.56, 120.24, 120.48, 120.76, 121.39, 124.99, 127.85, 127.99, 128.16, 128.79, 129.34, 129.88, 130.06, 130.91, 135.74, 139.22, 143.09, 153.64, 168.12, 168.44
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 2678.28 [M+H]+, Found: 2677.3
▲2▼ DPA デンドロン G4 への酸化
三口フラスコにDPAデンドロンG4前駆体(2.84g, 1.1mmol)、過マンガン酸カリウム(8.54g, 54mmol)、を量り入れ、中央口にジムロートを取り付け、左右の口をセプタムラバーで閉じた。系中を窒素置換し、アセトン(100ml)を加えて油浴で60℃に加温して攪拌し、24時間反応させた。その間、過マンガン酸カリウムの残量をスポットテストにより逐次確認し、消失の度に8.54gずつ追加、計3回追加した。反応終了後、沈殿物を濾過して除き、濾液をエバポレーターで濃縮しアセトンを飛ばした。この系は、未反応で残っているDPAデンドロンG4前駆体と、生成したGPAデンドロンG4が、Rf値、分子量ともに非常に近いため単離を行うのが困難であり行われなかった。TLCのスポットの大きさより収率を見積もると約50%であった。目的物の生成はマススペクトルにて確認した。
<B>分岐末端にアミノ基を導入したフェニルアゾメチンデンドリマーの合成
(実施例4)
末端アミノフェニルアゾメチン第1世代デンドロンの合成
三口フラスコに4,4'-methylenedi-2,6'-xylidine(10.0g, 39.3mmol)、クロラニル(20.0g, 81.3mmol)を量り入れ、中口に冷却管、左口に平栓をつけ右口はセプタムラバーをかぶせた。系中を窒素置換し、80%エタノール(200ml)を加え、リフラックス温度にて4時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで濃縮し溶媒を飛ばした。反応混合物を2回に分けて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル500cc、ジクロロメタン:酢酸エチル=4:1→2:1)にて、次式で表わされているend-amine DPAG1デンドロンを単離した。収量(8.41g, 31.3mmol)、収率(80%)。同定は、NMR、IR、MSで行った。
【0077】
【化35】
【0078】
その同定値は次の表4のとおりであった。
【0079】
表 4
end-amine DPAG1 デンドロンの同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 7.45(s, 4H), 3.98(s, 4H), 2.21(s, 12H);
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 195.03, 146.53, 130.89, 128.10, 120.19, 17.59.
IR (KBr, cm-1): 3445, 3361(N-H), 1647(C=O), 1565(phenyl), 1324, 1184, 770;
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 268.35 [M]+, Found: 268.8.
(実施例5)
末端アミノフェニルアゾメチン第2、第3世代デンドロンの合成
上記の実施例4で合成したend-amine DPAG1デンドロン(1g, 3.72mmol)と、4,4'-ジアミノベンゾフェノン(158mg, 0.744mmol)、DABCO(502mg, 4.47mmol)を量り入れ、左口に冷却管、中口に滴下ロートをつけ右口はセプタムラバーをかぶせた。系中を窒素置換し、次の反応式:
【0080】
【化36】
【0081】
に従って、クロロベンゼン(25ml)を加えて油浴で90℃に加温して攪拌し、可溶成分を溶解させた。滴下ロートに四塩化チタン(212mg, 1.12mmol)を入れ、そこから滴下して加えた後、ロート内をクロロベンゼン(1ml)で洗った。その後、125℃で、1時間反応させた。反応終了後、濾過・濃縮し、HPLCで粗く単離した。粗単離した後に、それぞれのデンドロンをHPLCにより単離した。末端アミノフェニルアゾメチン第2世代デンドロン:end-amine DPAG2デンドロンを収量(199mg, 0.279mmol)、収率(37%)でまた、、末端アミノフェニルアゾメチン第3世代デンドロン:end-amine DPAG3デンドロンを収量(127mg, 0.0792mmol)、収率(32%)で得た。同定は、NMR、IR、MS、元素分析で行った。
【0082】
その同定値は、次の表5のとおりであった。
【0083】
表 5
end-amineDPA G2 デンドロンの同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 7.57(d, J =8.3Hz, 4H), 7.34(s, 4H), 6.78(d, J =8.3Hz, 4H), 6.71(s, 4H), 3.91(s, 4H), 3.69(s, 4H), 2.13(s, 12H), 2.00(s, 12H);
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 195.34, 169.09, 156.34, 145.50, 143.19, 131.55, 130.70, 130.05, 129.19, 125.08, 120.68, 120.30, 17.41.
IR (KBr, cm-1): 3473, 3387(N-H), 1650(C=O), 1620(C=N), 1570(phenyl), 1334, 1186, 1124;
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 713.9 [M]+, Found: 712.6
Anal. Calcd for C47H48N6O: C, 79.2; H, 6.79; N, 11.79; Found: C, 77.5; H, 6.56; N, 11.4.
end-amineDPA G3 デンドロンの同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):δ = 7.58-7.27(m, 16H), 6.89-6.58(m, 24H), 3.86(s, 8H), 3.68(s, 8H), 2.16-1.90(m, 48H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3, 30oC, TMS):δ = 194.99, 169.20, 168.95, 168.76, 156.50, 155.70, 155.00, 145.35, 143.10, 131.95, 131.55, 130.80, 130.38, 130.09, 129.97, 129.49, 129.17, 120.99, 120.81, 120.72, 120.67, 120.45, 120.08, 17.51.
IR (KBr, cm-1): 3469, 3390(N-H), 1640(C=O), 1620(C=N), 1572(phenyl), 1334, 1186, 1125;
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 1602.06 [M]+, Found: 1602.6
(実施例6)
末端アミノフェニルアゾメチン第1世代デンドリマーの合成
実施例4で合成した三口フラスコにend-amine DPAG1デンドロン(710mg, 2.65mmol)とp-フェニレンジアミン(143mg, 1.32mmol)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)(890mg, 7.93mmol)を量り入れ、左口に冷却管、中口に滴下ロートをつけ右口はセプタムラバーをかぶせた。系中を窒素置換し、クロロベンゼン(20ml)を加えて油浴で90℃に加温して攪拌し、可溶成分を溶解させた。滴下ロートに四塩化チタン(1.32g, 6.93mmol)を入れ、そこから滴下して加えた後、ロート内をクロロベンゼン(2ml)で洗った。その後、油浴を125℃に上げ、1時間反応させた。反応終了後、沈殿物を濾過して除き、濾液をエバポレーターで濃縮しクロロベンゼンを除去した後、HPLCにより末端アミノフェニルアゾメチン第1世代デンドリマー:end-amine DPAG1を単離した。収量(260mg, 0.427mmol)、収率(32%)。同定は、NMR、IR、MS。
【0084】
その同定物性値は表6のとおりであった。
【0085】
表 6
end-amine DPAG1 の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 7.31(s, 4H), 6.67(s, 4H), 6.51(s, 4H), 3.80(s, 4H), 3.61(s, 4H), 2.15(s, 12H), 2.04(s, 12H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ =168.04, 146.84, 144.89, 142.52, 130.65, 130.00, 129.68, 126.45, 121.66, 120.56, 120.44, 17.68, 17.60;
IR (KBr, cm-1): 3457, 3397(N-H), 1652(C=O), 1620(C=N), 1568(phenyl), 1330, 1186, 862;
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 609.8 [M+H]+, Found: 609.7.
(実施例7)
末端アミノフェニルアゾメチン第2世代デンドリマーの合成
実施例5で合成したend-amine DPAG2デンドロン(191mg, 0.268mmol)とp-フェニレンジアミン(14.5mg, 0.134mmol)、DABCO(246mg, 2.19mmol)を量り入れ、系中を窒素置換し、クロロベンゼン(4ml)を加えて油浴中90℃で攪拌し溶解させた。四塩化チタン(104mg, 0.548mmol)を滴下ロートに入れ、滴下して加えた後、ロート内をクロロベンゼン(1ml)で洗った。その後、125℃で、3時間反応させた。反応終了後、濾過・濃縮し、HPLCで末端アミノフェニルアゾメチン第2世代デンドリマー:end-amine DPAG2を単離した。収量(126mg, 0.0841mmol)、収率(63%)。同定は、NMR、IR、MS、元素分析で行った。
【0086】
その同定物性値は表7のとおりであった。
【0087】
表 7
end-amine DPAG2 の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 7.48(d, J =8.3Hz, 4H), 7.38(s, 4H), 7.33(s, 4H), 6.74(m, 8H), 6.61(s, 4H), 6.55(d, J =8.3Hz, 4H), 6.47(d, J =8.3Hz, 4H), 6.34(s, 4H), 3.87(s, 4H), 3.84(s, 4H), 3.67(s, 4H), 3.48(s, 4H), 2.17(s, 12H), 2.14(s, 12H), 2.06(s, 12H), 1.88(s, 12H);
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ= 169.15, 169.02, 167.89, 154.62, 152.99, 147.10, 145.36, 143.13, 134.27, 130.71, 130.28, 130.08, 129.77, 129.55, 125.71, 125.40, 121.51, 121.08, 120.59, 120.53, 120.43, 120.22, 17.64, 17.58, 17.50, 16.92;
IR (KBr, cm-1): 3457, 3374(N-H), 1648(C=O), 1620(C=N), 1563(phenyl), 1334, 1186, 1125;
MALDI-TOF-MS (Matrix: Dithranol): Calcd: 1497.96 [M+H]+, Found: 1497.7.
Anal. Calcd for C100H100N14: C, 80.2; H, 6.73; N, 13.09; Found: C, 78.7, H, 6.65; N, 12.8.
(実施例8)
末端アミノフェニルアゾメチン第3世代デンドリマーの合成
実施例5で合成したend-amine DPAG3デンドロン(100mg, 0.062mmol)とp-フェニレンジアミン(3.4mg, 0.031mmol)、DABCO(409mg, 3.64mmol)を量り入れ、系中を窒素置換し、次の反応式:
【0088】
【化37】
【0089】
に従って、クロロベンゼン(10ml)を加えて油浴中90℃で攪拌し溶解させ、四塩化チタン(173mg, 0.912mmol)を滴下ロートに入れ、滴下して加えた後、ロート内をクロロベンゼン(1 ml)で洗った。その後、125℃で、19時間反応させた。反応終了後、濾過・濃縮し、生成物をHPLCで単離した。収量(62mg, 0.0189mmol)、収率(61%)。同定は、NMR、IR、MS、で行った。
【0090】
末端アミノフェニルアゾメチン第3世代デンドリマー:end-amine DPAG3を得た。このものの同定値は表8のとおりであった。
【0091】
表 8
end−amine DPAG3の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):δ = 7.58−7.30(m, 28H),6.89−6.61(m, 56H), 3.85−3.45(m,32H), 2.17−1.90(m, 96H);
IR (KBr, cm−1):3423(N−H), 1652(C=O), 1633(C=N), 1558(phenyl), 1326, 1171, 1035;
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):Calcd: 3276.2 [M]+,Found: 3276.1
<C>塩化スズの段階的錯形成挙動を利用した世代選択的官能基変換法
(参考例1)
DPAG1のイミン還元
三角フラスコに、次式:
【0092】
【化38】
【0093】
で表わされるDPAG1(1.10g, 2.53mmol)を量り入れ窒素置換し、ジクロロメタン200mlを加えて溶解させた。ここに、塩化スズ(1.44g, 7.59mmol)の脱水アセトニトリル溶液(200ml)を加え、10分間室温で撹拌し、DPAG1- SnCl2錯体溶液とした。ここにNaBH4粉末(1.91g、50.6mmol)を直接加え、10分間室温で撹拌を続け、反応させた。その後、反応系を、1%トリエチルアミン水溶液と分液し、過剰の金属、還元剤を除き、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:クロロホルム:酢酸エチル=7:1:1→4:1:1)で単離した。収量(0.987g, 2.24mmol)、収率(89%)。同定は、NMR、IR、MS、元素分析で行った。この系で、DPAイミンの還元が問題なく進行することがわかる。
【0094】
生成されたDPAG1のイミン還元体(DPAG1R)は次式で表わされ、その同定値は表9のとおりであった。
【0095】
【化39】
【0096】
表 9
DPAG1還元体(DPAG1−R)の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 7.33(d, J =7.3Hz, 8H), 7.28(dd, J =7.3, 7.3Hz, 8H), 7.20(t,J =7.3Hz, 4H), 6.38(s, 4H), 5.33(s,2H), 3.83(s, 2H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 129.25, 129.10, 128.18, 127.99,127.78, 127.13, 30.54.
IR (KBr, cm−1):3415(NH), 1510(phenyl), 741, 695.
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):
Calcd: 440.5 [M]+,found 440.0, 166.0
Anal. Calcd forC32H28N2: C, 87.24; H, 6.41; N, 6.36;
Found: C, 86.92; H, 6.29; N, 6.28.
(参考例2)
DPAG2のコアイミン選択的還元
三角フラスコに、次式:
【0097】
【化40】
【0098】
で表わされるDPAG2(500mg, 0.437mmol)を量り入れ窒素置換し、ジクロロメタン100mlを加えて溶解させた。ここに、塩化スズ(165mg, 0.874mmol)の脱水アセトニトリル溶液を加え、10分間室温で撹拌し、DPAG2- 2SnCl2錯体溶液とした。ここにNaBH4粉末(64mg、1.74mmol)を直接加え、10分間室温で撹拌を続け、反応させた。その後、反応系を、1%トリエチルアミン水溶液と分液し、過剰の金属、還元剤を除き、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで濃縮した。この状態のNMRスペクトルから、収率(選択的還元率)は80%と大きな値を示した。副生成物は、コアイミンでない部分も還元されてしまったものである。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル=4:1:1)にて単離を行ったが、副生成物とRf値が近く純粋部分は少量しか得られず、単離収量(40mg, 3.46×10-5mmol)、収率(8%)となった。同定は、NMR、IR、MS、元素分析で行った。
【0099】
生成されたDPAG2のコアイミン還元体(DPAG2coreR)は次式で表わされ、その同定値は表10のとおりであった。
【0100】
【化41】
【0101】
表10
DPAG2コアイミン還元体(DPAG2coreR)の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 7.72 (d, J =7.3Hz, 8H), 7.45(t, J =7.3Hz, 4H), 7.37(dd,J = 7.3, 7.3Hz, 8H), 7.26(t,J =7.3Hz, 4H), 7.20(dd, J = 7.3, 7.3Hz, 8H),7.08(d, J=7.3Hz, 8H),7.02(d, J =8.3Hz, 8H), 6.64(d, J =8.3Hz, 8H), 6.25(s,4H), 5.11(s, 2H),3.64(s, 2H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 169.07, 150.87, 140.58, 140.29,138.98, 136.75, 131.28,130.19, 129.89, 129.19,128.76, 128.40, 128.22,121.66, 115.32, 63.38.
IR (KBr, cm−1):3410(NH), 1617(C=N), 1594(phenyl), 1510, 959,697.
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):
Calcd 1157.5 [M]+,found 1157.8, 525.5
Anal. Calcd forC84H64N6: C, 87.17; H, 5.57; N, 7.26
Found: C, 86.61; H, 4.90; N, 7.06.
(参考例3)
DPAG4のコアイミン選択的還元
三角フラスコに、前記の実施例3で合成されたDPAデンドロンG4をp−フェニレンジアミンと、DABCO、四塩化チタンの存在下に、クロロベンゼン中において125℃の温度で24時間反応させることにより得られた、次式
【0102】
【化42】
【0103】
で表わされるDPAG4(100mg, 1.83×10-5mol)を量り入れ窒素置換し、ジクロロメタン30mlを加えて溶解させた。ここに、塩化スズ(6.95mg, 3.66×10-5mol)の脱水アセトニトリル溶液を加え、10分間室温で撹拌し、DPAG4- 2SnCl2錯体溶液とした。ここにNaBH4粉末(2.70mg, 7.32×10-5mmol)を直接加え、10分間室温で撹拌を続け、反応させた。その後、反応系を、1%トリエチルアミン水溶液と分液し、過剰の金属、還元剤を除き、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで濃縮した。DPAG2の状態でも困難であった単離はG4の場合も厳しいと考えられたので、ここでは単離は行っていない。還元の進行は、NMR、IR、MSで確認した。
【0104】
生成されたDPAG4コアイミン還元体(DPAG4coreR)は次式で表わされ、その同定値は表11のとおりであった。
【0105】
【化43】
【0106】
表11
DPAG4コアイミン還元体(DPAG4coreR)スペクトルデータ
1H NMR (400MHz, (CD3)2SO, 30oC, TMS):
δ = 7.77−6.43(m).
IR (KBr, cm−1):3409(NH), 1611(C=N), 1579(phenyl), 1511, 957,695. MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):
calcd 5458.7 [M]+,found 5458.2, 2674.3
<D>塩化スズの段階的錯形成挙動を利用した世代選択的官能基変換法
(参考例4)
DPAG1Rの修飾
二股試験管に参考例1において合成したDPAG1R(50mg, 1.15×10−4mol)、各種カルボン酸(酢酸、フェロセン酢酸、ローダミンB、それぞれ3.0×10−4mol)を量り入れ、一方の口に冷却管をとりつけ、もう一方はセプタムラバーでふたをした。窒素置換し、モノクロロベンゼン3mlを加えて溶解させた。ここに、ピリジン(171μl, 2.12mmol)、トリフェニルホスファイト(60μl, 2.30×10−4mol)をシリンジで加え、その後、油浴を80℃に上げ、10時間反応させた。反応終了後、反応溶液をエバポレーターで濃縮しクロロベンゼンを飛ばした後、HPLCで単離した。同定は、NMR、MSで行った。
【0107】
DPAG1Rの各々の付加体を得た。たとえば、このうちのDPAG1Rのフェロセン酢酸の付加体の収率は58%であって、このものは、次式で表わされるものであった。
【0108】
【化44】
【0109】
また、各々の付加体の同定値は、次の表12のとおりであった。
【0110】
表12
DPAG1R酢酸付加体の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 1.92(s, 3H), 4.21(d, J =3.9Hz, 0.7H), 5.40(d,J =4.4Hz, 1H), 6.22(d, J =8.8Hz, 2H), 6.45(d, J =8.8Hz, 2H), 7.13(m,4H), 7.21(m, 4H),7.26(m, 12H)
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 23.46, 62.75, 63.71, 113.08,125.36, 126.92, 127.19,127.31, 127.71, 128.59,129.49, 130.50, 139.16,142.20, 146.40, 171.34
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):Calcd: 483.61[M+H]+, Found: 483.5
DPAG1Rフェロセン酢酸付加体の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 3.20(s, 2H), 4.00(s, 7H),4.07(s, 2H), 4.26(d,J =4.4Hz, 1H), 5.47(d, J =4.9Hz, 1H), 6.23(d, J =8.8Hz, 2H), 6.44(d,J =8.8Hz, 2H), 7.05(m, 4H), 7.17(m,4H), 7.28(m, 12H)
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 62.61, 63.92, 67.45, 68.64,69.23, 82.30, 113.15,126.92, 127.33, 127.41,127.74, 128.68, 129.54,129.76, 131.04, 139.22,142.19, 146.37, 171.53
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):Calcd: 666.62[M+H]+, Found: 665.1
DPAG1RローダミンB付加体の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 4.09(s, 0.6H), 5.36(s, 1H),6.27(m, 6H), 6.43(d,J =8.8Hz, 2H), 6.60(d, J =8.8Hz, 2H), 7.12(m, 1H),7.24(m, 20H), 7.47(m,2H), 8.00(m, 1H)13CNMR (100MHz, CDCl3,30oC, TMS):
δ = 29.76, 34.11, 44.33, 62.98,97.67, 106.43, 107.93,113.37, 123.88, 126.90,127.17,127.32, 127.86, 128.58,128.93, 129.27, 129.97,131.27, 132.39, 142.80,145.33, 146.08, 153.03,172.61, 173.27
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):Calcd: 866.12[M−Cl−]+,Found: 866.3
(参考例5)
DPAG2 coreRの修飾
二股試験管に実施例10において合成したDPAG2 coreR(50.0mg,4.30×10−5mol)、各種カルボン酸(フェロセン酢酸、ローダミンB、それぞれ4.30×10−4mol)を量り入れ、一方の口に冷却管をとりつけ、もう一方はセプタムラバーでふたをした。窒素置換し、モノクロロベンゼン3mlを加えて溶解させた。ここに、ピリジン(173μl, 2.12mmol)、トリフェニルホスファイト(90μl, 3.45×10−4mol)をシリンジで加え、その後、油浴を80℃に上げ、10時間反応させた。反応終了後、反応溶液をエバポレーターで濃縮しクロロベンゼンを飛ばした後、HPLCで単離した。
【0111】
DPAG2 coreRの各々の付加体を得た。たとえばこのうちのフェロセン酢酸付加体の収率は30%であって、このものは次式で表わされるものであった。
【0112】
【化45】
【0113】
また、各々の付加体の同定値は、次の表13のとおりであった。
【0114】
表13
DPAG2 coreRフェロセン酢酸付加体の同定
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 3.50(d, J =4.4Hz, 2H), 3.75(m, 7H), 5.21(s,1H), 6.20(d, J =8.8Hz, 2H), 6.44(d,J =8.8Hz, 2H), 6.60(d, J =8.3Hz, 2H), 6.65(d, J =8.3Hz, 4H), 6.70(d,J =8.3Hz, 2H), 6.85(d, J =8.3Hz, 2H), 7.02(d, J =8.8Hz, 4H), 7.09(d,J =8.8Hz, 4H), 7.24(m, 18H), 7.40(m,8H), 7.48(m, 4H),7.75(m, 8H)
13C NMR (100MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 39.97, 53.41, 56.35, 58.53,91.00, 106.94, 113.43,120.38, 121.09, 125.27,127.76, 128.14, 128.56,129.25, 129.52, 130.80,135.93, 143.75, 148.83,158.99, 165.00, 166.80,168.30
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):Calcd: 1384.99 [M+H]+,Found: 1385.00
DPAG2 coreRローダミンB付加体の同定
1H NMR (400 MHz, CDCl3,30oC, TMS):δ = 6.0−7.8(m)
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):Calcd: 1583.99 [M+H]+,Found: .1585.30
(参考例6)
DPAG4 coreRの修飾
二股試験管に参考例3において合成したDPAG4 coreR(40mg,7.33×10−6mol)、フェロセン酢酸7.33×10−5molを量り入れ、一方の口に冷却管をとりつけ、もう一方はセプタムラバーでふたをした。窒素置換し、モノクロロベンゼン2mlを加えて溶解させた。ここに、ピリジン(30μl, 3.68×10−4mol)、トリフェニルホスファイト(15μl, 5.75×10−5mol)をシリンジで加え、その後、油浴を80℃に上げ、10時間反応させた。反応終了後、反応溶液をエバポレーターで濃縮しクロロベンゼンを飛ばした。反応の進行を各種スペクトルで確認した。1HNMRのプロトン比より見積もると、フェロセン導入率は30%程度であった。
【0115】
フェロセン酢酸の付加体は、次式で表わされるものであった。
【0116】
【化46】
【0117】
また、その同定のためのスペクトルデータは、次の表14のとおりであった。
【0118】
表14
DPAG4 coreRフェロセン酢酸付加体スペクトルデータ
1H NMR (400MHz, CDCl3, 30oC, TMS):
δ = 4.00−4.40(br,3.4H), 6.30−7.85(m, 280H)
MALDI−TOF−MS (Matrix: Dithranol):
Calcd: 5684.71 [M+H]+,Found: 5687.60
以上の参考例4〜6において合成したフェロセン酢酸の付加体について、電位−電流のボルタンメトリーを測定した結果を図1に示した。デンドリマー構造の差異に対応した変化が確認された。
(参考例7)
実施例3で合成したデンドロンG4(50 mg, 0.02 mmol)を用い、p−アニシジン(23 mg, 0.2 mmol)、DABCO(849mg, 7.50 mmol)とともにクロロベンゼン(40mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(36 mg, 0.2 mmol)を滴下した。125°Cで2時間反応させた後、ろ過し、ろ液を濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーを用いて、コアにメトキシ基を導入した次式のデンドロンG4を単離した(80%)。
【0119】
【化47】
【0120】
得られた目的物を、赤外吸収スペクトル、質量分析、及び元素分析により同定した。結果を表15に示した。
【0121】
表15
デンドロンG4
赤外吸収スペクトル IR (KBr, cm-1) 1647(C=O), 1617(C=N), 1578(phenyl)
質量分析 MALDI-TOF-MS 2690[M+1]+
元素分析 C 87.11 (87.03), H 5.24 (5.09), N 6.89 (7.29)
MeO-デンドロンG4
赤外吸収スペクトル IR (KBr, cm-1) 1617(C=N), 1580(phenyl)
質量分析 MALDI-TOF-MS 2690[M+1]+
元素分析 C 87.11 (87.03), H 5.24 (5.09), N 6.89 (7.29)
【0122】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、発光・触媒機能等の応用が期待されるフェニルアゾメチンデンドリマーの効率的な新しい合成方法と、世代選択的官能基変換方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェロセン酢酸の付加体についてのボルタンメトリーの測定結果を例示した図である。
Claims (4)
- イミン結合を介しての樹状分子構造が構成されている次式
で表わされるフェニルアゾメチンデンドリマーの合成方法であって、次式
- イミン結合を介しての樹状分子構造が構成されている次式
で表わされるフェニルアゾメチンデントリマーの合成方法であって、次式
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