JP2003221442A - 金属クラスター内包フェニルアゾメチンデンドリマー - Google Patents

金属クラスター内包フェニルアゾメチンデンドリマー

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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光材料等として有用な、新規な、金属
クラスター内包のフェニルアゾメチンドリマーを提供す
る。 【解決手段】 次の一般式 【化1】 (式中のAは、フェニルアゾメチンデンドリマーの中核
分子基であり、次式 【化2】 の構造で表され、R1は、置換基を有していてもよい芳
香族基を示し、lはR1への結合数を示し;Bは、前記
Aに対してl個のアゾメチン結合を形成する次式 【化3】 の構造で表され、R2は、同一または別異に置換基を有
していてもよい芳香族基を示し;Rは、末端基として、
前記Bにアゾメチン結合する次式 【化4】 の構造で表され、R3は、同一または別異に置換基を有
していてもよい芳香族基を示し;nは、フェニルアゾメ
チンデンドリマーの前記Bの構造を介しての世代数を示
し;mは、フェニルアゾメチンデンドリマーの末端基R
の数を表し、n=0の時はm=lであり、n≧1の時は
m=2nlであり;Dは金属クラスターを、kは金属ク
ラスターDの数を各々表している)で示される金属クラ
スター内包フェニルアゾメチンデンドリマーとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、金属クラ
スター内包フェニルアゾメチンデンドリマーに関するも
のである。さらに詳しくは、この出願の発明は、発光材
料をはじめ、電子材料、触媒等として有用な、フェニル
アゾメチンデンドリマー内における金属クラスター形成
による新しい錯体物質と、その発光機能を利用した発光
材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年、ディスプレイやノート
型パソコンの高性能化に伴い、従来にない高分子錯体材
料を用いた高精度発光材料の開発と実用化が望まれてい
る。
【0003】従来の発光材料は、主にバルクな金属・無
機物質から構成されているが、最近では、より高い発光
輝度や発光波長の精密なコントロールが可能な金属クラ
スターの発光特性が注目を集めている。
【0004】このような金属クラスターを用いた発光に
おいては、構成金属原子数とクラスター構造の制御が不
可欠であるが、金属イオンのバルク還元等による手法で
は生成した金属クラスター同士の凝集のため均一な金属
クラスターの合成はこれまで困難であった。
【0005】一方、フェニルアゾメチンデンドリマーは
金属塩に対し高い配位性をもつアゾメチン部位を多数有
しており、また、電子勾配によりデンドリマー内の金属
塩の数と位置を精密にコントロールできることが期待さ
れる。
【0006】デンドリマーのようにある程度閉鎖された
空間内に発光機能を有する金属クラスターを包接できれ
ば、クラスター同士の凝集および衝突による消光が抑え
られ高輝度発光が実現されると考えられるからである。
【0007】しかしながら、フェニルアゾメチンデンド
リマーを用いた金属クラスター包接物質はこれまで提供
されていないのが実情である。
【0008】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、従来のバルク金属発
光材料に代わるもの、あるいは新しい電子材料や触媒等
としてその有用性が期待される、新規な金属クラスター
内包のフェニルアゾメチンデンドリマーとこれを用いた
発光材料を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1には、分子樹状構造
を有するフェニルアゾメチンデンドリマーに金属クラス
ターが内包されている錯体物質であって、次の一般式
【0010】
【化5】
【0011】(式中のAは、フェニルアゾメチンデンド
リマーの中核分子基であり、次式
【0012】
【化6】
【0013】の構造で表され、R1は、置換基を有して
いてもよい芳香族基を示し、lはR1への結合数を示
し;Bは、前記Aに対してl個のアゾメチン結合を形成
する次式
【0014】
【化7】
【0015】の構造で表わされ、R2は、同一または別
異に置換基を有していてもよい芳香族基を示し;Rは、
末端基として前記Bにアゾメチン結合する次式
【0016】
【化8】
【0017】の構造で表わされ、R3は、同一または別
異に置換基を有していてもよい芳香族基を示し;nは、
フェニルアゾメチンデンドリマーの前記Bの構造を介し
ての世代数を示し;mは、フェニルアゾメチンデンドリ
マーの末端基Rの数を表し、n=0の時はm=lであ
り、n≧1の時は、m=2nlであり;Dは金属クラス
ターを、kは金属クラスターDの数を各々表わしてい
る)で示されることを特徴とする金属クラスター内包フ
ェニルアゾメチンデンドリマーを提供する。
【0018】また、第2には、金属クラスター(D)
は、半導体金属原子またはそのイオンのクラスターであ
ることを特徴とする前記の金属クラスター内包フェニル
アゾメチンデンドリマーを提供する。
【0019】そして、この出願の発明は、第3には、前
記第2の発明の金属クラスター内包フェニルアゾメチン
デンドリマーを含有することを特徴とする発光材料を提
供する。
【0020】以上のとおりのこの出願の発明は、前記の
課題を解決すべく、発明者が鋭意研究を重ねた結果、フ
ェニルアゾメチンデンドリマーと錯形成した金属イオン
を化学的あるいは電気化学的に酸化還元することによっ
てデンドリマー内に均一な金属クラスターを生成させる
ことができるとの知見に基づいている。そして、さら
に、この金属クラスター内包デンドリマーの発光特性を
発光材料へと応用することで、この出願の発明が完成さ
れている。
【0021】この出願の発明の金属クラスター内包フェ
ニルアゾメチンデンドリマーでは、最初に錯形成させる
金属イオンの種類と数を変えることでクラスターのサイ
ズと個数を自在にコントロールすることが可能であるた
め、従来の発光材料と異なり、多様かつ波長幅の極めて
小さい高輝度発光特性の発現が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
【0023】前記のとおりの一般式で表わされるこの出
願の発明の錯体物質においては、これを構成するフェニ
ルアゾメチンデンドリマーの符号R1、R2およびR3
示される置換基を有していてもよい芳香族基は、その骨
格構造として、フェニル基またはその類縁の構造であっ
てよく、たとえば、フェニル基、ビフェニル基、ビフェ
ニルアルキレン基、ビフェニルオキシ基、ビフェニルカ
ルボニル基、フェニルアルキル基等の各種のものが例示
され、これらは、置換基として、塩素原子、臭素原子、
フッ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等の
アルキル基、クロルメチル基、トリフルオロメチル基等
のハロゲンアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のア
ルコキシ基、メトキシエチル基等のアルコキシアルキル
基、アルキルチオ基、カルボニル基、シアノ基、アミノ
基、ニトロ基等の各種の置換基を1ないし2以上、また
適宜に複数種のものとして有していてもよい。
【0024】なかでも、メトキシ基、アミノ基のような
電子供与位の高い官能基あるいはシアノ基やカルボニル
基のような電子受容性の高い官能基が望ましい。
【0025】前記式R1(−N=)lの中核部分におい
て、数lは、特に限定されることはないが、1以上の数
であって、たとえば1〜4の場合のものが例示される。
【0026】デンドリマーの世代数(n)については、
0または1以上であるが、たとえば3〜5世代のものが
発光材料への応用等の観点からは好ましいものとして例
示される。
【0027】金属クラスター(D)は、各種の金属原子
またはそのイオンによって構成されてよく、なかでも発
光材料や電子材料への応用の観点からは、Sn、Ga、
Ti、In、Ge、Ta、Zr、Hf、Sb、Si、
B、Mn、Fe、V、Mo、W、Pb、Zn、Cd、C
u、Ni、Y、Sc、Eu、Er、La等が好ましいも
のとして例示され、さらには半導体金属原子またはその
イオンが挙げられる。
【0028】これらの金属は、イオンとして酸素イオン
等の対イオンを有するものとしてクラスターを構成して
もよい。
【0029】一般式として前記のとおりに表わされるデ
ンドリマーについては公知の方法をはじめとして各種の
方法で合成することができる。たとえば、四塩化チタン
や、パラトルエンスルホン酸などの酸存在下で、ジアミ
ノベンゾフェノンの脱水反応によってデンドリマーの世
代数(n)を増やしていくことができる。
【0030】また、この出願の発明の金属クラスター内
包のデンドリマー錯体の合成については、前記各種の方
法により合成されたフェニルアゾメチンデンドリマー
に、金属化合物を混合することで、配位錯体を生成させ
ることで可能とされる。
【0031】この場合、配位数については、デンドリマ
ーのアゾメチン結合の総数の範囲内において、所定モル
数の金属化合物の混合によって調整が可能とされる。こ
の配位に際して特徴的なことは、金属原子またはイオン
が、デンドリマーの樹状分子構造において中心から外側
へと段階的に、添加する金属化合物のモル数に対応して
規則正しく錯位集積されるという特異的な挙動が見られ
ることである。このような挙動は分子の中の電子勾配に
基づくものと考えられ、この電子勾配は、中心や外側の
部分構造(置換基)を変えることで簡単に変化させるこ
とができる。
【0032】デンドリマーへの配位については、溶媒を
用いることができる。なかでも、ハロゲン化炭化水素、
ニトリル類、アミド類などの極性溶媒が好ましく、たと
えば塩化メチレン、アセトニトリル、DMF、DMSO
等が例示される。配位のための混合は、温度としては、
−10℃〜30℃程度でよく、雰囲気は大気中、あるい
はAr、N2等の不活性雰囲気とすることができる。
【0033】得られた配位錯体については、錯形成した
金属イオンを化学的あるいは電気化学的に酸化還元する
ことによって、デンドリマー分子内に均一な金属クラス
ターを生成させることができる。これによって、錯体物
質としての金属クラスター内包のフェニルアゾメチンデ
ンドリマーが得られる。
【0034】化学的な酸化還元は、各種の酸化剤や還元
剤を用いることで可能とされる。たとえば酸化剤として
はベンゾキノンなどが代表的なものとして挙げられる。
上記の金属イオン配位錯体の生成に続いてこれらの酸化
還元を行うことができる。
【0035】このような酸化還元においては、内包した
金属イオンの酸化還元電位を考慮して、酸化剤や還元
剤、そして電界電位を選択すればよい。
【0036】そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく
説明する。
【0037】もちろん、以下の例によって発明が限定さ
れることはない。
【0038】
【実施例】<実施例1>金属クラスター内包フェニルア
ゾメチンデンドリマーの合成 次の反応式に従って、金属としてのSnのクラスター内
包フェニルアゾメチンデンドリマーを合成した。
【0039】
【化9】
【0040】すなわち、まず、ベンゾフェノンとジアミ
ノベンゾフェノンを、クロルベンゼン溶媒中において、
TiCl4、DABC0の存在下に100℃の温度で反
応させ、さらに順次にジアミノベンゾフェノンと反応さ
せて次代数を増加させた後にジアミノベンゼンと反応さ
せるか、あるいはこの反応の追種を逆にたどることによ
って、式に示した前記フェニルアゾメリンデンドリマー
を合成し、次いで、このフェニルアゾメチンデンドリマ
ーの塩化メチレン/アセトニトリル溶液に、塩化スズの
アセトニトリル溶液を添加することによって、塩化スズ
がデンドリマーあたり30個配位した錯体が得られた。
得られたデンドリマー錯体をベンゾキノンによって酸化
すると、酸化スズのクラスターの生成に基づく630n
mの発光が観測された。
【0041】得られた錯体は、表1のとおり、原子吸光
スペクトル、赤外吸収スペクトル、およびマススペクト
ルにより同定した。
【0042】
【表1】
【0043】<実施例2>クラスターサイズに基づく発
光波長のコントロール デンドリマーに対し、14等量の塩化スズと錯形成さ
せ、実施例1と同様にベンゾキノンにより酸化させたと
ころ、510nmの発光が観測された。デンドリマー内
のクラスターサイズを変えることで、発光は単波長へと
シフトした。
【0044】得られた錯体は、表2のとおり、原子吸光
スペクトル、赤外吸収スペクトル、およびマススペクト
ルにより同定した。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、発光材料や触媒材料等として有用な、金属クラス
ター内包フェニルアゾメチンデンドリマーが提供され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H049 VN03 VP02 VQ20 VR42 VS09 VT44 VU25 4J043 PA02 QB46 RA03 SB01 TA01 TB01 UA131 UA132 UB151 UB152 ZB25 ZB60

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子樹状構造を有するフェニルアゾメチ
    ンデンドリマーに金属クラスターが内包されている錯体
    物質であって、次の一般式 【化1】 (式中のAは、フェニルアゾメチンデンドリマーの中核
    分子基であり、次式 【化2】 の構造で表され、R1は、置換基を有していてもよい芳
    香族基を示し、lはR1への結合数を示し;Bは、前記
    Aに対してl個のアゾメチン結合を形成する次式 【化3】 の構造で表わされ、R2は、同一または別異に置換基を
    有していてもよい芳香族基を示し;Rは、末端基として
    前記Bにアゾメチン結合する次式 【化4】 の構造で表わされ、R3は、同一または別異に置換基を
    有していてもよい芳香族基を示し;nは、フェニルアゾ
    メチンデンドリマーの前記Bの構造を介しての世代数を
    示し;mは、フェニルアゾメチンデンドリマーの末端基
    Rの数を表し、n=0の時はm=lであり、n≧1の時
    はm=2nlであり;Dは金属クラスターを、kは金属
    クラスターDの数を各々表わしている)で示されること
    を特徴とする金属クラスター内包フェニルアゾメチンデ
    ンドリマー。
  2. 【請求項2】 金属クラスター(D)は、半導体金属原
    子またはそのイオンのクラスターであることを特徴とす
    る請求項1の金属クラスター内包フェニルアゾメチンデ
    ンドリマー。
  3. 【請求項3】 請求項2の金属クラスター内包フェニル
    アゾメチンデンドリマーを含有することを特徴とする発
    光材料。
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