JP4510649B2 - 配線基板、多層基板および電子部品実装体の製造方法 - Google Patents

配線基板、多層基板および電子部品実装体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気および/または電子材料などに広く利用される導電性ペースト用いる配線基板、多層基板および電子部品実装体の製造方法に関する。
電気/電子回路形成技術の分野において、配線基板の配線形成用材料、多層基板の配線層間導通用材料、および電子部品実装体の実装用接合材料などとして導電性ペーストが広く使用されている。
導電性ペーストは、金属粒子などの導電性フィラーが、バインダーである樹脂組成物中に分散されて成るペースト状材料であり、一般的に絶縁性の樹脂によってそれ自身は導電性を示さないが、樹脂を硬化収縮させることにより金属粒子同士が接触または接近して導電性を示すようになるものである。
近年、カメラモジュールやホログラムなどの耐熱性の低い電子部品や、安価ではあるが耐熱性の低い熱可塑性の基板材料の使用が増加している。このため、より低温で硬化する導電性ペーストが求められている。
導電性ペーストの低温硬化を指向して、従来から接着剤として知られている1液タイプの低温硬化性エポキシ樹脂組成物を導電性ペーストに利用することが検討されている(例えば特許文献1およびこれに引用されている特許文献2および3を参照のこと)。例えば、エポキシ樹脂、チオール化合物(硬化剤)および固体分散型潜在性硬化促進剤を含む樹脂組成物は接着剤として知られているが(特許文献2)、これらに加えてホウ酸エステル化合物および導電性粒子を更に含む導電性ペーストが提案されている(特許文献1)。
特開2000−230112号公報 特開平06−211969号公報 特開平06−211970号公報 特開2002−299833号公報
導電性ペーストには、配線基板、多層基板および電子部品実装体などの工業的製造プロセスで使用するために高い保存安定性が求められる。
上述した従来の低温硬化性エポキシ樹脂組成物を利用した導電性ペーストは、保存安定性を高めるためにホウ酸エステル化合物を含むことを必須としている(特許文献1)。ホウ酸エステル化合物の添加により保存安定性が向上する理由は、ホウ酸エステル化合物が潜在性硬化促進剤の表面を反応修飾してカプセル化することによると考えられているようである。
しかしながら、このような従来の導電性ペーストは、ホウ酸エステル化合物という追加成分を要するのでコストなどの観点から好ましくない。また、ホウ酸エステル化合物により潜在性硬化促進剤の機能を妨げることによって保存安定性の向上が得られているが、このことは同時に、所望の場合に速やかな硬化を実現する妨げとなり得る。
本発明の目的は、保存安定性が高く、かつ、所望の場合に硬化し、好ましくは速やかに低温硬化する導電性ペーストを提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、そのような導電性ペーストを用いて配線基板、多層基板および電子部品実装体を製造する方法を提供することにある。
ところで、回路形成用または配線層間用の導電性ペーストとして、ナノサイズの金属粒子(金属ナノ粒子とも言う)を液体中で分散させたものが知られている。金属ナノ粒子は、粒径のより大きな金属粒子に比べて活性が高く、常温で容易に凝集するため、保存安定性に関して問題がある。これを解決するため、金属ナノ粒子に配位結合する分散剤を添加して金属ナノ粒子を保護および安定化し、その後、分散剤を加熱により金属ナノ粒子から除去して酸無水物等の捕捉物質で捕捉することが提案されている(特許文献4を参照のこと)。
本発明者らは金属粒子に対する有機化合物の配位状態の制御という点に着目し、更なる鋭意検討の結果、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の要旨によれば、金属粒子と、有機化合物と、樹脂とを含む導電性ペーストにおいて、有機化合物はその末端基にて金属粒子の表面に配位しており、末端基が金属粒子の表面から脱離して樹脂の硬化剤として機能することを特徴とする導電性ペーストが提供される。
本発明の上記導電性ペーストによれば、有機化合物は、その末端基にて金属粒子表面に配位でき(以下、本明細書においてこのような有機化合物を配位性有機化合物とも言うものとする)、配位している状態では硬化剤として機能せず、金属粒子表面から脱離した状態で硬化剤として機能する。要するに、この配位性有機化合物は一種の潜在性硬化剤であり、硬化をもたらす末端基を配位結合によりキャップすることによって硬化反応を防止でき、また、配位結合を切断して末端基をフリーにすることによって硬化反応を起こさせるものである。このような本発明の導電性ペーストによれば、有機化合物が配位している間は高い保存安定性を示し、所望の場合に配位状態を解除することにより硬化を開始させることが可能となる。特に、脱離した状態にて低温速硬化性の硬化剤として機能する配位性有機化合物を用いれば、保存安定性が高く、かつ、所望の場合に速やかに低温硬化させることが可能となる。
尚、本発明において「硬化剤として機能する」とは樹脂の硬化反応を起こさせることを意味し、例えば、樹脂同士の結合反応を促進するものであっても、樹脂との結合反応によって樹脂間を架橋するものであってもよい。
配位性有機化合物の末端基は、通常の状態において金属に配位し、所望の場合に配位状態を解除できることを要する。そのような末端基は孤立電子対を有する配位原子を含むものであればよく、外的作用、例えば紫外線および電子線などの照射ならびに加熱などによって配位原子と金属との間の配位結合を切断することが可能である。紫外線または電子線の照射量ならびに加熱の温度および時間は適当に選択してよい。加えて、配位性有機化合物の末端基は樹脂の硬化反応に寄与し、硬化剤として機能し得ることを要するが、これは用いる樹脂および硬化方法との組合せにより様々であり得る。配位性有機化合物は、脱離した状態で直ちに硬化剤として機能してもよく、あるいは、何らかの作用、例えば加熱などによって硬化剤として機能してもよい。
配位性有機化合物の末端基は、例えばチオール基であってよい。チオール基は孤立電子対を有する硫黄原子を含むため金属に配位できると共に、樹脂の硬化、特にエポキシ樹脂の低温速硬化に寄与するものである。そのような配位性有機化合物の例にはアルカンチオール化合物、具体的には1−デカンチオールおよび1−ヘキサンチオールなどのモノチオール化合物、ならびに1,10−デカンジチオール、1,8−オクタジチオールおよび1,6−ヘキサンジチオールなどのポリチオール化合物などが挙げられるが、チオール末端基を有する他のモノまたはポリチオール化合物を用いることももちろん可能である。尚、硬化時間は一般的にモノチオール化合物よりもポリチオール化合物を用いたほうがより短い。
エポキシ樹脂には未硬化のエポキシ樹脂、即ち1分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂状物質を使用できる。例えばグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型および脂環型などの既知のエポキシ樹脂を使用できる。また、そのようなエポキシ樹脂の前駆体を使用してもよい。
しかし、本発明はこれに限定されず、本発明の概念を逸脱しない限り、任意の適切な配位性有機化合物および樹脂を使用してよい。例えば、配位性有機化合物の末端基はアミノ基であってもよい。
金属粒子は、金、銀および銅からなる群から選択される金属材料から成るものであってよい。本発明を限定するものではないが、上述したチオール基の硫黄原子は、このような金属材料から成る金属粒子の表面に良好に配位し得、これに対して、例えばニッケルから成る金属粒子の表面に実質的に配位しない。
本発明の1つの態様において、金属粒子は例えば約1nm〜100μm、好ましくは約1〜100nmの平均粒径を有する。平均粒径が約1nm〜100μmの金属粒子を用いた導電性ペーストは、印刷法に適用した場合に良好な印刷性を示し、また、樹脂を硬化させた場合に導電性材料として十分に低い抵抗を実現できる。平均粒径が約1〜100nmのナノサイズの金属粒子を用いた導電性ペーストは、比較的低温で金属粒子を焼結させることが可能であるので、一層低い抵抗を、温度変化による硬化樹脂の体積変化に対して安定に実現できる上、保存の際は、配位性有機化合物により金属ナノ粒子が保護および安定化されるので、金属ナノ粒子の凝集の問題を回避し、分散性および保存安定性を確保できる。
本発明の1つの態様において、2種以上の金属粒子が導電性ペーストに含まれ、配位性有機化合物はその末端基にて少なくとも1種の金属粒子の表面に配位する。これら金属粒子は異なる粒径を有していてよく、例えば金属ナノ粒子とより大きな粒径を有する金属粒子とを用いることが好ましい。粒径の相違する金属粒子を用いることによって金属粒子による充填密度を向上させつつ、金属ナノ粒子のみを用いる場合よりも印刷性を向上させ、および高価な金属ナノ粒子の量を相対的に減らせることによりコストを下げることができる。
本発明の導電性ペーストにおいて、金属粒子、配位性有機化合物および樹脂の割合は、配位性有機化合物が樹脂の硬化剤として機能し、樹脂が硬化により収縮した場合に金属粒子同士が接触または接近して十分な導電性を示すように選択される。
また、本発明の導電性ペーストは金属粒子、配位性有機化合物および樹脂に加えて、任意の他の成分を含んでいてよく、これら成分の割合もまた導電性ペーストの使用目的などに応じて適宜選択され得るであろう。
本発明の導電性ペーストは任意の適当な方法により製造できるが、配位性有機化合物が金属粒子表面に配位する前に樹脂に対する硬化剤として機能しないように(即ち、硬化が起こらないように)、金属粒子および配位性有機化合物などの構成成分(但し、少なくとも樹脂は除く)を調製し、その後、この調製物に樹脂を含む残りの構成成分を添加して製造することが好ましい。調製に用いる金属粒子は、その表面に配位性有機化合物が配位し得るように、化学的に活性であること、換言すれば、酸化膜等で被覆されずに露出していることが好ましい。
以上のような本発明の導電性ペーストは製造上の管理および取り扱いが容易であり、様々な用途に利用できる。例えば、配線基板の配線形成用材料、多層基板(本発明において両面基板を含む)の配線層間導通用材料、および電子部品実装体の実装用接合材料などとして使用できる。
本発明の第2の要旨によれば、基板上に配線を有する配線基板の製造方法であって、
本発明の導電性ペーストを配線に対応するパターンで基板に供給し、
導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子の表面から脱離させ、
脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
ことを上記の順序で含む製造方法が提供される。
このような製造方法は、従来の導電性ペーストを用いる製造方法に比べて、導電性ペーストの管理および取り扱いが極めて簡単であり、比較的低温で実施できるという利点がある。この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いれば、低くて安定な配線抵抗を有する配線基板を提供することができる。
本発明の第3の要旨によれば、基板上に配線を有する配線基板の製造方法であって、
本発明の導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
導電性ペーストを配線に対応するパターンで基板に供給し、
脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
ことを上記の順序で含む製造方法も提供される。
このような製造方法は、従来の導電性ペーストを用いる製造方法に比べて、導電性ペーストの管理および取り扱いが簡単であり、比較的低温で、好ましくは基板および場合により基板上に存在し得る他の部材の加熱を最小限にして実施できるという利点がある。この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いれば、低くて安定な配線抵抗を有する配線基板を提供することができる。
本発明の第4の要旨によれば、複数の配線層が基板を挟んで多層化され、少なくとも2つの配線層が基板を貫通する孔を通じて電気接続された多層基板の製造方法であって、
本発明の導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
導電性ペーストを基板の孔に充填し、
脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
ことを上記の順序で含む製造方法が提供される。
このような製造方法は、上記第3の要旨による製造方法と同様の利点がある。この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いた場合、低くて安定な接続抵抗を有する配線層間導通部を備える多層基板を提供することができる。
また、多層基板は、
導電性ペーストを基板の孔に充填し、
本発明の導電性ペーストを加熱操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
ことを上記の順序で含む方法によっても製造することができる。
本発明の第5の要旨によれば、電子部品が配線基板に実装された電子部品実装体の製造方法であって、
本発明の導電性ペーストを配線基板の所定の領域に供給し、
導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
電子部品を導電性ペーストと接触するようにして配線基板上に配置し、
脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
ことを上記の順序で含む製造方法が提供される。
このような製造方法は、上記第2の要旨による製造方法と同様の利点がある。この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いれば、低くて安定な接続抵抗を有する実装接合部を備える電子部品実装体を提供することができる。
また、本発明の第6の要旨によれば、電子部品が配線基板に実装された電子部品実装体の製造方法であって、
本発明の導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
導電性ペーストを配線基板の所定の領域に供給し、
電子部品を導電性ペーストと接触するようにして配線基板上に配置し、
脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
ことを上記の順序で含む製造方法も提供される。
このような製造方法は、上記第3の要旨による製造方法と同様の利点がある。この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いれば、低くて安定な接続抵抗を有する実装接合部を備える電子部品実装体を提供することができる。
本発明によれば、末端基にて金属粒子の表面に配位結合しており、末端基が金属粒子の表面から脱離して樹脂の硬化剤として機能する配位性有機化合物が導電性ペーストに含まれているので、この有機化合物の配位結合状態を制御することによって、保存時には高い安定性を示し、所望の場合にのみ硬化させることができる。特に、脱離した状態にて低温速硬化性の硬化剤として機能する配位性有機化合物を用いれば、高い保存安定性を有し、かつ低温で速やかに硬化する導電性ペーストが実現される。
更に、本発明によれば、上記のような導電性ペーストを用いる配線基板、多層基板および電子部品実装体を製造する方法もまた提供される。このような製造方法は、導電性ペーストの取り扱いが容易であるという利点がある。また、このような製造方法によって得られた配線基板、多層基板および電子部品実装体は、それぞれ配線抵抗、配線層間導通部の接続抵抗および実装接合部の接続抵抗を低くできるという利点がある。
以下、本発明の種々の実施形態について、図1〜6を参照しつつより詳細に説明する。以下の実施形態において、同様の部材には同じ符号を付すものとし、特定の部材に関する実施形態における説明は、特に断りのない限り、他の実施形態においても同様に当て嵌まるものとする。
第1の実施形態
本実施形態は本発明の1つの態様における導電性ペーストおよびその製造方法ならびに使用方法に関する。
図1(a)に示すように、本実施形態の導電性ペースト7は第1の金属粒子1、配位性有機化合物2および絶縁性の樹脂4を含んで成り、配位性有機化合物2がその末端基にて第1の金属粒子1の表面に配位して金属配位化合物3を形成している。
第1の金属粒子1の表面に配位する配位性有機化合物2の末端基は、例えばチオール基であってよく、その硫黄原子が配位原子となる。樹脂4は、例えばエポキシ樹脂であってよい。チオール基はエポキシ樹脂の硬化に関与するので、配位性有機化合物2は、その末端基が金属粒子1の表面から脱離した状態で樹脂4の硬化剤として機能する。
第1の金属粒子1は、例えば金、銀または銅から成っていてよい。このような金属材料に対して配位性有機化合物2のチオール基(より詳細には硫黄原子)は良好に配位し得る。金属粒子1の平均粒径は、例えば約1nm〜100μmであってよく、好ましくは約1〜100nmである。第1の金属粒子1がナノサイズであっても、配位性有機化合物2が配位することによって樹脂4にて安定に分散できる。尚、図中には樹脂4をいくつかのみ代表的に記載しているが、実際には、樹脂4は図示するよりも多く存在して分散媒となっている。
本実施形態の導電性ペースト7は、図1(a)に示すように、第2の金属粒子5を更に含んでいてよい。第2の金属粒子5は、例えば金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、インジウム、およびケイ素などから成っていてよく、配位性有機化合物2が配位しても、配位しなくてもよい。第2の金属粒子5の平均粒径は、例えば約0.1〜100μmであってよく、特に0.1〜20μmである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第2の金属粒子5を含んでいなくてもよい。
尚、本明細書を通じて「平均粒径」とは粒子の集合体の数平均の粒径を意味し、レーザ回折散乱法により、例えばマイクロトラック粒子径分布測定装置 9320 HRA(日機装株式会社製)を用いて測定できる。
本実施形態の導電性ペースト7における第1の金属粒子1、配位性有機化合物2、樹脂4、および存在する場合には第2の金属粒子5の割合は、例えばそれぞれ約100重量部、約60〜95重量部、約30〜2重量部、約30〜2重量部である。しかし、本発明はこれに限定されず、適宜選択され得るであろう。
また、本実施形態の導電性ペースト7は、必要に応じて他の成分、例えば硬化促進剤、充填剤、希釈剤、溶剤、顔料、可撓性付与剤および分散剤などを適当な量で更に含んでいてよい。
本実施形態の導電性ペースト7は、まず、表面が露出した第1の金属粒子1および配位性有機化合物2を混合して金属配位化合物3を形成させ、その後、この混合物に樹脂4を添加混合することによって製造できる。第2の金属粒子5(および場合により他の成分)は、第1の金属粒子1および配位性有機化合物2と一緒に混合しても、その混合物に樹脂4と一緒に添加混合してもよい。
次に、この導電性ペースト7の使用方法について説明する。
導電性ペースト7に紫外線および電子線などの照射ならびに加熱などの外的作用を施すと、第1の金属粒子1と有機化合物2の末端基との間の配位結合が切断される。これにより、金属配位化合物3は分解し、図1(b)に示すように有機化合物2は金属粒子1の表面から脱離する。紫外線または電子線の照射を適用する場合、照射量は適宜設定でき、導電性ペースト7および基板6の温度上昇はごくわずかである。加熱による場合は、特に限定されるものではないが、例えば約60〜120℃で約5〜60分間維持することにより実施してよい。
脱離した有機化合物2は樹脂4の硬化剤として機能でき、例えば加熱によって、または付加的な操作を要することなく、図1(c)に示すように樹脂4を硬化させる。樹脂4の硬化は比較的低温にて速やかに起こることが好ましい。樹脂4がエポキシ樹脂であり、有機化合物2の末端基がチオール基である場合、例えば約80〜120℃で約5〜60分間維持することにより硬化する。あるいは、紫外線および電子線などの照射によって硬化するものであってもよい。
樹脂4を硬化させるために加熱などの操作を実施する場合、この操作と有機化合物2の脱離のための操作とは別々の条件で実施され得るが、適当であれば一体的または連続的に実施してもよい。
上記の結果、樹脂4が硬化収縮し、その収縮力により第1の金属粒子1および第2の金属粒子5は接触または近接して、全体として導電性を示す硬化物7’を形成する。
特に、第1の金属粒子1の平均粒径が約1〜100nmである場合、有機化合物2の脱離および/または樹脂4の硬化の際に、例えば約25〜110℃で約2〜30分間加熱することにより、第1の金属粒子1同士が焼結する。従って、これにより得られる導電性の硬化物7’は非常に低い抵抗値を示す。また、第1の金属粒子1同士が焼結されているので、硬化した樹脂4が温度変化により体積変化しても、硬化物7’の抵抗値は実質的に影響を受けない。
以上、本実施形態の導電性ペーストによれば、保存時には高い安定性を確保し、所望の場合にのみ硬化させることが可能となる。また、本実施形態の導電性ペーストは、比較的低温で使用して導電性の硬化物を形成することができる。更に、導電性ペーストにナノサイズの金属粒子を用いてこれを焼結させることにより、得られる導電性硬化物の抵抗をより低く、かつ安定化することができる。
第2の実施形態
本実施形態は本発明の1つの態様における配線基板の製造方法に関する。
まず、図2(a)に示すような絶縁性の基板(または基材)6を用意する。この基板6にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリイミド、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、アラミド不織布、ガラス織布、ガラス不織布などから成るものを用い得るが、これに限定されるものではない。
次に、図2(b)に示すように、例えば第1の実施形態にて上述した導電性ペースト7を配線に対応するパターンで基板6に供給する。供給方法には、スクリーン印刷、インクジェット、ディスペンサー、含浸、スピンコートなどの種々の方法を適用できる。図2(b)にはスクリーン印刷法による場合を例示的に示しており、スキージ9をマスク8に対して押し付けながら移動させることにより、マスク8に所定のパターンで設けられた開口部を通じて導電性ペースト7を基板6の上に印刷する。印刷後、マスク8は基板6から除去する。
その後、図2(c)に示すように基板6上の導電性ペースト7に紫外線または電子線10を照射し、あるいは導電性ペースト7を基板6と共に加熱する。これにより、導電性ペースト7において金属粒子の表面に配位していた有機化合物はその表面から脱離する。
そして、脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させ、図2(d)に示す導電性の硬化物7’を得る。樹脂の硬化は比較的低温にて速やかに起こることが好ましく、例えば加熱などの操作を要するものであっても、または付加的な操作を要することなく脱離後直ちに起こるものであってもよい。
以上のようにして、基板6上に導電性の硬化物7’が配線として形成された配線基板を製造することができる。
本実施形態の配線基板の製造方法によれば、本発明の導電性ペーストを配線形成用材料に用いているので保存安定性に優れ、製造上の管理が容易である。また、導電性ペーストを基板上に供給した後に有機化合物を金属粒子表面から脱離させているので、供給する前またはその間に樹脂が硬化し始めることがなく、供給時の導電性ペーストの取り扱いに格別の注意を要しない。更に、比較的低温で配線基板を製造することができる。加えて、この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いた場合には、低くて安定な配線抵抗を有する配線基板を提供することができる。
第3の実施形態
本実施形態は本発明のもう1つの態様における配線基板の製造方法に関する。本実施形態は第2の実施形態を改変したものであり、以下、第2の実施形態と相違する点を中心に説明するものとする。
まず、図3(a)に示すような絶縁性の基板(または基材)6を用意する。
別途、図3(b)に示すように、例えば第1の実施形態にて上述した導電性ペースト7に紫外線または電子線10を照射し、あるいは導電性ペースト7を加熱して、導電性ペースト7において金属粒子の表面に配位していた有機化合物をその表面から脱離させる。
次に、図3(c)に示すように、この導電性ペースト7を配線に対応するパターンで基板6に供給する。本実施形態においては、有機化合物を金属粒子表面から脱離させた後、供給が完了するまでの間に導電性ペースト7が実質的に硬化しないことが望ましい。
そして、脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させて、図3(d)に示す導電性の硬化物7’を得る。樹脂の硬化は比較的低温にて速やかに起こることが好ましく、導電性ペースト7を基板6と共に加熱することによって起こるものであってよい。
以上のようにして、基板6上に導電性の硬化物7’が配線として形成された配線基板を製造することができる。
本実施形態の配線基板の製造方法によれば、本発明の導電性ペーストを配線形成用材料に用いているので保存安定性に優れ、製造上の管理が容易である。また、導電性ペーストを基板上に供給する前に有機化合物を金属粒子表面から脱離させているので、脱離のために基板が紫外線、電子線または熱に曝されることがなく、基板および場合により基板上に存在し得る他の部材の加熱を極力抑えて、比較的低温で配線基板を製造することができる。加えて、この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いた場合には、低くて安定な配線抵抗を有する配線基板を提供することができる。
第4の実施形態
本実施形態は本発明の1つの態様における多層基板、より詳細には両面基板の製造方法に関する。
まず、図4(a)に示すような、任意の適当な位置に貫通孔11が設けられた基板6’を用意する。この基板6’は第2の実施形態にて上述したのと同様の基板6に、例えばドリルおよびパンチャーなどを用いる機械加工またはレーザーなどを用いる熱加工により孔11を形成して得られ得る。
別途、図4(b)に示すように、例えば第1の実施形態にて上述した導電性ペースト7に紫外線または電子線10を照射し、あるいは導電性ペースト7を加熱して、導電性ペースト7において金属粒子の表面に配位していた有機化合物をその表面から脱離させる。
次に、図4(c)に示すように、この導電性ペースト7を基板6’の孔11に充填する。充填方法には、スクリーン印刷、インクジェット、ディスペンサー、含浸、スピンコートなど種々の方法を適用でき、図4(c)にはスクリーン印刷法による場合を例示的に示している。本実施形態においても、有機化合物を金属粒子表面から脱離させた後、充填が完了するまでの間に導電性ペースト7が実質的に硬化しないことが望ましい。
そして、脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させて、導電性の硬化物7’を得る。樹脂の硬化は比較的低温にて速やかに起こることが好ましく、導電性ペースト7を基板6’と共に加熱することによって起こるものであってよい。
次に、図4(e)に示すように、配線層12aおよび12bを基板6’の上面および下面に形成する。これら配線層12aおよび12bは孔11を通じて、孔11を充たす導電性の硬化物7’によって電気接続されている。配線層は、例えば第2または第3の実施形態にて上述した方法と同様にして形成してよく、あるいは既知の配線層(または回路)の形成方法を適用してもよい。
以上のようにして、基板6上に導電性の硬化物7’が配線層12aおよび12bの間の導通部を構成する多層基板を製造することができる。
本実施形態の多層基板の製造方法によれば、本発明の導電性ペーストを配線層間導通用材料に用いているので保存安定性に優れ、製造上の管理が容易である。また、導電性ペーストを基板の孔に充填する前に有機化合物を金属粒子表面から脱離させているので、脱離のために基板が紫外線、電子線または熱に曝されることがなく、基板および場合により基板上に存在し得る他の部材の加熱を極力抑えて、比較的低温で多層基板を製造することができる。加えて、この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いて焼結させた場合には、低くて安定な接続抵抗を有する配線層間導通部を備える多層基板を提供することができる。
尚、本実施形態においては2つの配線層が1つの基板を挟んで多層化された多層基板、より詳細には両面基板について説明したが、本実施形態において説明したのと同様の方法を利用して、より多くの配線層が、隣接する2つの配線層間に1つの基板を挟んで多層化された多層基板を製造することもできる。また、本実施形態においては、導電性ペースト7を基板6’の孔11に充填した後に配線層12aおよび12bを形成するものとしたが、配線層を形成した後に導電性ペースト7を充填することもできる。
また、本実施形態においては導電性ペーストに紫外線または電子線を照射し、あるいは導電性ペーストを加熱し、その後、このように処理した導電性ペーストを予め形成した基板の孔に充填するものとしたが、加熱による場合には、未処理の導電性ペーストを基板の孔に充填し、その後、導電性ペーストを基板と共に加熱し、これにより、金属粒子の表面に配位していた有機化合物を脱離させ、脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させるようにしてもよい。
第5の実施形態
本実施形態は本発明の1つの態様における電子部品実装体の製造方法に関する。
まず、図5(a)に示すような配線基板13を用意する(配線層は図示せず)。配線基板13は、例えば第2または第3の実施形態により製造されたものであってよく、あるいは既知の製造方法により得られる配線基板または市販で入手できるものを用い得る。
次に、図5(b)に示すように、例えば第1の実施形態にて上述した導電性ペースト7を配線基板13の所定の領域、例えば配線層と電気接続されたランド(図示せず)に供給する。供給方法には、第2の実施形態と同様の方法を適用でき、図5(b)にはスクリーン印刷法による場合を例示的に示している。
その後、図5(c)に示すように配線基板13上の導電性ペースト7に紫外線または電子線10を照射し、あるいは導電性ペースト7を配線基板13と共に加熱する。これにより、導電性ペースト7にて、金属粒子の表面に配位していた有機化合物をその表面から脱離させる。
次に、電子部品14をこの導電性ペースト7と接触するように、配線基板13に対して位置合わせして配置する。
そして、脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させ、図5(d)に示す導電性の硬化物7’を得る。樹脂の硬化は比較的低温にて速やかに起こることが好ましく、例えば加熱などの操作を要するものであっても、または付加的な操作を要することなく脱離後直ちに起こるものであってもよい。
この結果、配線基板13と電子部品14との間に位置する導電性の硬化物7’によって、電子部品14は配線基板13に機械的および電気的に接合され、実装される。
以上のようにして、導電性の硬化物7’が電子部品14を配線基板13に実装する接合部を構成する電子部品実装体を製造することができる。
本実施形態の電子部品実装体の製造方法によれば、本発明の導電性ペーストを実装用接合材料に用いているので保存安定性に優れ、製造上の管理が容易である。また、導電性ペーストを配線基板上に供給した後に有機化合物を金属粒子表面から脱離させているので、供給する前またはその間に樹脂が硬化し始めることがなく、供給時の導電性ペーストの取り扱いに格別の注意を要しない。更に、比較的低温で配線基板を製造することができる。加えて、この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いて焼結させた場合には、低くて安定な接続抵抗を有する実装接合部を備える電子部品実装体を提供することができる。
第6の実施形態
本実施形態は本発明のもう1つの態様における電子部品実装体の製造方法に関する。本実施形態は第5の実施形態を改変したものであり、以下、第5の実施形態と相違する点を中心に説明するものとする。
まず、図6(a)に示すような配線基板13を用意する。
別途、図6(b)に示すように、例えば第1の実施形態にて上述した導電性ペースト7に紫外線または電子線10を照射し、あるいは導電性ペースト7を加熱して、導電性ペースト7にて、金属粒子の表面に配位していた有機化合物をその表面から脱離させる。
次に、図6(c)および(d)に示すように、この導電性ペースト7を配線基板13の所定の領域、例えば配線層と電気接続されたランド(図示せず)に供給する。本実施形態においては、有機化合物を金属粒子表面から脱離させた後、供給が完了するまでの間に導電性ペースト7が実質的に硬化しないことが望ましい。
次に、電子部品14をこの導電性ペースト7と接触するように、配線基板13に対して位置合わせして配置する。
そして、脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させ、図6(e)に示す導電性の硬化物7’を得る。樹脂の硬化は比較的低温にて速やかに起こることが好ましく、導電性ペースト7を配線基板13および電子部品14と共に加熱することによって起こるものであってよい。
この結果、配線基板13と電子部品14との間に位置する導電性の硬化物7’によって、電子部品14は配線基板13に機械的および電気的に接合され、実装される。
以上のようにして、導電性の硬化物7’が電子部品14を配線基板13に実装する接合部を構成する電子部品実装体を製造することができる。
本実施形態の電子部品実装体の製造方法によれば、本発明の導電性ペーストを実装用接合材料に用いているので保存安定性に優れ、製造上の管理が容易である。また、導電性ペーストを配線基板上に供給する前に有機化合物を金属粒子表面から脱離させているので、脱離のために配線基板が紫外線、電子線または熱に曝されることがなく、配線基板および場合により配線基板上に存在し得る他の部材の加熱を極力抑えて、比較的低温で電子部品実装体を製造することができる。加えて、この製造方法においてナノサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いて焼結させた場合には、低くて安定な接続抵抗を有する実装接合部を備える電子部品実装体を提供することができる。
実施例1
100重量部の酸化銀および1重量部の1,10−デカンジチオールを100重量部のエタノールに添加し、これに超音波(22.9kHz、100W)を2時間加えて、酸化銀から銀ナノ粒子(平均粒径 約8nm)を形成し、これにより、銀粒子(本実施例では銀ナノ粒子)の分散液を調製した。そして、得られた分散液に、分散液中の銀粒子100重量部あたり、100重量部の別の銀粒子(平均粒径 約5μm)および20重量部のビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名「エピコート871」、ジャパンエポキシレジン株式会社製)を添加し、三本ロール機を用いて混練して、導電性ペーストを得た。
実施例2
100重量部の銀粒子(平均粒径 約10μm)および1重量部の1,10−デカンジチオールを100重量部のエタノールに添加し、これにより、銀粒子の分散液を調製した。そして、得られた分散液に、分散液中の銀粒子100重量部あたり、100重量部の別の銀粒子(平均粒径 約5μm)および20重量部のビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名「エピコート871」、ジャパンエポキシレジン株式会社製)を添加し、三本ロール機を用いて混練して、導電性ペーストを得た。
実施例3
実施例1において、チオール末端基を有する有機化合物としての1,10−デカンジチオールに代えて、アミノ末端基を有する有機化合物として1,10−ジアミノデカンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性ペーストを得た。
比較例1
100重量部のニッケル粒子(平均粒径 約5μm)および1重量部の1,10−デカンジチオールを100重量部のエタノールに添加し、これにより、ニッケル粒子の分散液を調製した。そして、得られた分散液に、分散液中の銀粒子100重量部あたり10重量部のビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名「エピコート871」、ジャパンエポキシレジン株式会社製)を添加し、三本ロール機を用いて混練して、導電性ペーストを得た。
これら実施例1〜3および比較例1により得られた導電性ペーストを評価するため、保存安定性および比抵抗についての試験を以下の方法で行った。
・保存安定性(またはライフ):導電性ペーストを25℃に設定した恒温槽内にて空気雰囲気中で保存し、導電性ペーストの流動性がなくなるまで、具体的にはE型粘度計による測定粘度が約50Pa・s以上となるまでの時間を1ヶ月に亘って調べた。
・比抵抗:導電性ペーストをPET(ポリエチレンテレフタレート)製フィルムの上に厚さ50μm、幅3mm、長さ150mmの領域に亘って塗布し、これに紫外線を積算光量で5000mJ照射し、その後、所定温度にて30分間加熱して硬化させた後、硬化物の体積抵抗率をJIS K6911に従って測定し、この測定値から比抵抗を求めた。
結果を表1に示す。
Figure 0004510649
実施例1〜3の導電性ペーストは保存安定性試験の実施期間(1ヶ月)内で流動性を失わず、高い保存安定性を示した(表1)。これは、有機化合物がそのチオール末端基またはアミノ末端基にて銀粒子表面に配位して金属配位化合物を形成することにより、チオール基またはアミノ基がキャップされ、その結果、エポキシ樹脂と反応せず、硬化が起こらなかったためであると考えられる。
また、実施例1〜3の導電性ペーストにおいては保存安定性試験の実施後においても銀粒子が安定に分散し、銀粒子が凝集していないことが目視により確認された。特に、実施例1の導電性ペーストはナノサイズの銀粒子を含むものであるが、凝集しやすいナノ粒子であっても、上記のように金属配位化合物を形成することにより、樹脂中で安定に存在できるようになったものと考えられる。
更に、実施例1〜3の導電性ペーストは比抵抗試験において導電性材料として満足できる十分に低い抵抗を示した(表1)。これら導電性ペーストでは、比抵抗試験における紫外線照射およびその後の加熱によって、チオール末端基またはアミノ末端基を有する有機化合物が銀粒子から脱離し、脱離した有機化合物がエポキシ樹脂の硬化剤として機能して樹脂を硬化させ、樹脂の硬化収縮力により銀粒子同士が互いに接触または接近したためであると考えられる。
特に、実施例1の導電性ペーストは実施例2の導電性ペーストと比較して非常に低い抵抗を示した。これは、比抵抗試験における加熱により銀ナノ粒子が低温焼結したためであると考えられる。
尚、実施例3の導電性ペーストは実施例1および2の導電性ペーストとは異なり、加熱温度を120℃とした場合には比抵抗の値を測定できず、導電性を示さなかった。この条件では、アミノ末端基を有する有機化合物は銀粒子から脱離せず、エポキシ樹脂の硬化剤として機能しなかっためであると考えられる。加熱温度をより高く、例えば表1に示すように200℃とすると十分に低い抵抗を示すことが確認された。
他方、比較例1の導電性ペーストは加熱温度を120℃とした場合でも比抵抗を測定でき、導電性材料として許容される程度に低い値を示した。これは、比抵抗試験における紫外線照射および加熱により、有機化合物がエポキシ樹脂の硬化剤として機能して樹脂を硬化させ、樹脂の硬化収縮力によりニッケル粒子同士が互いに接触または接近したためであると考えられる。
しかしながら、比較例の導電性ペーストの保存安定性は2時間しか持続せず、非常に短かった。これは、ニッケル粒子を用いているために、有機化合物のチオール末端基がニッケル粒子表面に配位せずにフリーで存在し、その結果、保存の間にエポキシ樹脂と反応し、硬化が起こったためであると考えられる。
本発明の導電性ペーストは、電気/電子回路形成技術の分野において、配線基板の配線形成用材料、多層基板の配線層間導通用材料、および電子部品実装体の実装用接合材料などに広く利用できる。
本発明の第1の実施形態における導電性ペーストの模式図である。 本発明の第2の実施形態における回路基板の製造方法を示す模式的な断面工程図である。 本発明の第3の実施形態における回路基板の製造方法を示す模式的な断面工程図である。 本発明の第4の実施形態における多層回路基板の製造方法を示す模式的な断面工程図である。 本発明の第5の実施形態における電子部品実装体の製造方法を示す模式的な断面工程図である。 本発明の第6の実施形態における電子部品実装体の製造方法を示す模式的な断面工程図である。
符号の説明
1 第1の金属粒子
2 有機化合物
3 金属配位化合物
4 樹脂
5 第2の金属粒子
6、6’ 基板
7 導電性ペースト
7’ 導電性の硬化物
8 マスク
9 スキージ
10 紫外線または電子線
11 孔
12a、12b 配線層
13 配線基板
14 電子部品

Claims (9)

  1. 基板上に配線を有する配線基板の製造方法であって、
    金属粒子と、有機化合物と、樹脂とを含む導電性ペーストにおいて、有機化合物はその末端基にて金属粒子の表面に配位している導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
    導電性ペーストを配線に対応するパターンで基板に供給し、
    脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
    ことを上記の順序で含む、製造方法。
  2. 複数の配線層が基板を挟んで多層化され、少なくとも2つの配線層が基板を貫通する孔を通じて電気接続された多層基板の製造方法であって、
    金属粒子と、有機化合物と、樹脂とを含む導電性ペーストにおいて、有機化合物はその末端基にて金属粒子の表面に配位している導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
    導電性ペーストを基板の孔に充填し、
    脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
    ことを上記の順序で含む、製造方法。
  3. 電子部品が配線基板に実装された電子部品実装体の製造方法であって、
    金属粒子と、有機化合物と、樹脂とを含む導電性ペーストにおいて、有機化合物はその末端基にて金属粒子の表面に配位している導電性ペーストを配線基板の所定の領域に供給し、
    導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
    電子部品を導電性ペーストと接触するようにして配線基板上に配置し、
    脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
    ことを上記の順序で含む、製造方法。
  4. 電子部品が配線基板に実装された電子部品実装体の製造方法であって、
    金属粒子と、有機化合物と、樹脂とを含む導電性ペーストにおいて、有機化合物はその末端基にて金属粒子の表面に配位している導電性ペーストを紫外線照射、電子線照射および加熱のいずれかの操作に付して、有機化合物を金属粒子表面から脱離させ、
    導電性ペーストを配線基板の所定の領域に供給し、
    電子部品を導電性ペーストと接触するようにして配線基板上に配置し、
    脱離した有機化合物を硬化剤として機能させて樹脂を硬化させる
    ことを上記の順序で含む、製造方法。
  5. 前記導電性ペーストの有機化合物の末端基がチオール基である、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法
  6. 前記導電性ペーストの樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法
  7. 前記導電性ペーストの金属粒子が金、銀および銅からなる群から選択される金属材料から成る、請求項1から6のいずれか1項に記載の製造方法
  8. 前記導電性ペーストの金属粒子が1nm〜100μmの平均粒径を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法
  9. 前記導電性ペーストは、2種以上の金属粒子を含み、有機化合物はその末端基にて少なくとも1種の金属粒子の表面に配位する、請求項1から8のいずれか1項に記載の製造方法
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