JP2009134030A - アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置 - Google Patents

アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】可動板の挙動の検出精度が高いため、安定した駆動を行うことができ、かつ製造効率の高いアクチュエータ、およびかかるアクチュエータを備えた光スキャナおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明のアクチュエータは、光反射部29を有し、回動可能に設けられた第2の質量部23を有し、第2の質量部23を回動させることにより、光反射部29で反射した光を対象物に走査するものであって、接合膜15を介して支持部24に接合された発光部11と受光部とからなる光学センサを有する。この接合膜15は、エネルギー付与前において、シロキサン結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含み、エネルギーを付与することにより、一部の脱離基がSi骨格から脱離し、代わりに活性手が生じる。これにより、接合膜15に接着性が発現し、支持部24と発光部11とが接合されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置に関するものである。
レーザープリンタ等にて光走査により描画を行うための光スキャナとして、捩り振動子で構成されたアクチュエータを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
例えば、特許文献1にかかるアクチュエータ(光スキャナ)は、1自由度振動系の捩り振動子で構成されている。すなわち、かかるアクチュエータは、質量部(可動板)を捩りバネを介して支持部に対し回動可能に支持して構成されている。
そして、質量部上には光反射部が設けられており、捩りバネを捩れ変形させながら質量部を回動駆動させることにより、光反射部で反射した光を走査する。これにより、光走査により描画を行うことができる。
このような捩り振動子で構成されたアクチュエータにあっては、その共振周波数で駆動すると、安定的に駆動することができる。
従来、かかるアクチュエータにあっては、一般に、質量部に対し反射式の光学センサを対向させ、その光学センサの検知結果に基づいて、質量部の挙動を検知するようになっている。
ところで、このようなアクチュエータでは、この光学センサが接着剤等を用いて固定される。しかしながら、接着剤は、ペースト状のものを被着部に塗布する等の方法で供給されるため、所定量の接着剤を精度よく供給することは極めて困難である。このため、光学センサの取り付け精度が低く、光学センサの光軸ズレ等の不具合を招き、その結果、質量部の挙動の検出精度が低下するという問題が懸念されている。
また、接着剤の硬化に長時間を要するため、アクチュエータの製造効率が低いという問題もある。
K.E.Petersen:"Silicon Torsional Scanning Mirror",IBMJ.Res.Develop.,vol.24(1980)、P.631
本発明の目的は、可動板の挙動の検出精度が高いため、安定した駆動を行うことができ、かつ製造効率の高いアクチュエータ、およびかかるアクチュエータを備えた光スキャナおよび画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のアクチュエータは、可動板と、該可動板を支持する支持部とを有し、前記可動板が前記支持部に対して回動可能に設けられた基体と、
前記可動板を回動させる駆動手段と、
前記可動板の挙動を検知するセンサとを有し、
前記基体と前記センサの少なくとも一部とが接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基体と前記センサとを接合していることを特徴とする。
これにより、センサの取り付け精度を高めることによって、可動板の挙動の検出精度を高く、安定した駆動を行うことができ、かつ製造効率の高いアクチュエータを得ることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%であることが好ましい。
これにより、接合膜は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜自体がより強固なものとなる。このため、接合膜は、基体およびセンサに対して、特に高い接合強度を示すとともに、熱伝導性に優れたものとなる。
本発明のアクチュエータでは、前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3であることが好ましい。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、基体とセンサをより強固に接合することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記Si骨格の結晶化度は、45%以下であることが好ましい。
これにより、Si骨格は十分にランダムな原子構造を含むものとなる。このため、化学的安定性、耐熱性等のSi骨格の特性が顕在化し、接合膜の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
本発明のアクチュエータでは、前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものであることが好ましい。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基は、接合膜の接着性をより高度なものとすることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記脱離基は、アルキル基であることが好ましい。
アルキル基は化学的な安定性が高いため、脱離基としてアルキル基を含む接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
本発明のアクチュエータでは、前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものであることが好ましい。
これにより、接合膜は緻密で均質なものとなる。そして、基体とセンサとの間を特に強固に接合するとともに、これらの間の熱抵抗をより低減することができる。また、プラズマ重合法で作製された接合膜は、エネルギーが付与されて活性化された状態を比較的長時間にわたって維持することができる。このため、アクチュエータの製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、接合膜自体が優れた機械的特性を有するものとなる。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示す接合膜が得られる。したがって、この接合膜により、基体とセンサとをより強固に接合することができる。また、非接着性と接着性との制御を容易かつ確実に行える接合膜となる。
本発明のアクチュエータでは、前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものであることが好ましい。
これにより、接着性に特に優れる接合膜が得られる。
本発明のアクチュエータでは、前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmであることが好ましい。
これにより、基体とセンサとの間の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。また、接合膜の表面に生じる凹凸の高さを緩和することができ、被着体に対する密着性をより高めることができる。
本発明のアクチュエータは、可動板と、該可動板を支持する支持部とを有し、前記可動板が前記支持部に対して回動可能に設けられた基体と、
前記可動板を回動させる駆動手段と、
前記可動板の挙動を検知するセンサとを有し、
前記基体と前記センサの少なくとも一部とが接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、金属原子と、該金属原子に結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基体と前記センサとを接合していることを特徴とする。
これにより、センサの取り付け精度を高めることによって、可動板の挙動の検出精度を高く、安定した駆動を行うことができ、かつ製造効率の高いアクチュエータを得ることができる。また、接合膜が、電力線や信号線としての機能を併せ持つことができる。また、金属原子を適宜選択することにより、接合膜は、透光性を有するものが得られる。
本発明のアクチュエータは、可動板と、該可動板を支持する支持部とを有し、前記可動板が前記支持部に対して回動可能に設けられた基体と、
前記可動板を回動させる駆動手段と、
前記可動板の挙動を検知するセンサとを有し、
前記基体と前記センサの少なくとも一部とが接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基体と前記センサとを接合していることを特徴とする。
これにより、センサの取り付け精度を高めることによって、可動板の挙動の検出精度を高く、安定した駆動を行うことができ、かつ製造効率の高いアクチュエータを得ることができる。また、接合膜が、電力線や信号線としての機能を併せ持つことができる。
本発明のアクチュエータでは、前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものであることが好ましい。
これにより、従来に比べて寸法精度が格段に高いアクチュエータが得られる。また、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
本発明のアクチュエータでは、さらに、前記センサからの信号を受信して、前記可動板の挙動として、前記可動板の振動の振幅、振動数および変位量のうちの少なくとも1つを検知する挙動検知手段を有することが好ましい。
これにより、検知手段の検知結果に基づいて、可動板の振幅、振動数、位相を所望のものとし、より確実に、可動板を安定的に駆動することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記センサは、前記接合膜を介して前記支持部に接合された、前記可動板の側方からその回動空間に向け光を発光する発光部と、前記接合膜を介して前記支持部に接合された、前記発光部で発光された光を受光する受光部とを有しており、
前記挙動検知手段は、前記受光部によって受光された光の強度に基づいて、前記可動板の挙動を光学的に検知するように構成されていることが好ましい。
これにより、発光部と受光部とで透過式または反射式の光学センサを構成し、可動板の挙動をより正確に検知することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記発光部は、発光素子および光導波路を有し、前記発光素子が前記光導波路を介して前記回動空間へ光を照射するように構成されており、
前記接合膜を介して、前記光導波路が前記支持部に接合されていることが好ましい。
これにより、可動板が薄くても、比較的簡単に、発光部からの光の径を可動板の厚さ以下とすることができる。その結果、アクチュエータの設計自由度をより向上させるとともに、光学センサの検知精度を向上することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記受光部は、受光素子および光導波路を有し、前記受光素子が前記光導波路を介して受光するように構成されており、
前記接合膜を介して、前記光導波路が前記支持部に接合されていることが好ましい。
これにより、可動板が薄くても、比較的簡単に、受光部の径を可動板の厚さ以下とすることができる。その結果、アクチュエータの設計自由度をより向上させるとともに、光学センサの検知精度を向上することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記光導波路は、ガラス材料を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、光導波路は、優れた特性を示す光伝送経路を構成するとともに、接合膜との親和性に優れていることから、支持部に対して強固に接合される。
本発明のアクチュエータでは、前記支持部は、シリコン材料を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、シリコン材料が接合膜との親和性に優れた材料であることにより、支持部と光導波路とがより確実に接合される。
本発明の光スキャナは、本発明のアクチュエータと、
前記可動板に設けられ、光反射性を有する光反射部とを有することを特徴とする。
これにより、優れた走査特性を有する光スキャナを提供することができる。
本発明の画像形成装置は、本発明の光スキャナを備え、前記光反射部で反射した光を走査して、画像を形成するように構成されていることを特徴とする。
これにより、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明のアクチュエータの第1実施形態を説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1中のB−B線断面図、図4は、図1に示すアクチュエータの電極の配置を示す平面図、図5は、図1に示すアクチュエータの制御系を示すブロック図、図6は、図1に示すアクチュエータの駆動電圧の一例(交流電圧)を示す図、図7は、印加した交流電圧の周波数と、第1の質量部および第2の質量部の振幅との関係を示すグラフ、図8は、図1に示すアクチュエータに備えられた光学センサを説明するための斜視図、図9は、図1に示すアクチュエータに備えられた光学センサの動作を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1および図4中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図2中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図3中の上側を「上」、下側を「下」、紙面手前側を「右」、紙面奥側を「左」と言う。
アクチュエータ1は、図1に示すように、2自由度振動系を有する基体2を有しており、この基体2の下面には、対向基板3が接合膜4を介して接合され、この基体2の上面には、2自由度振動系の挙動(駆動状態)を検知するための光学センサ10が設けられている。
基体2は、一対の第1の質量部(駆動部材)21、22と、上面(後述する対向基板3とは反対側の面)に光反射部29が設けられた第2の質量部(可動板)23と、これらを支持するための支持部24とを備えている。
具体的には、基体2は、第2の質量部23を中心として、その一端側(図1および図2中、左側)に第1の質量部21が設けられ、他端側(図1および図2中、右側)に第1の質量部22が設けられて構成されている。
また、本実施形態では、第1の質量部21、22は、互いにほぼ同一形状かつほぼ同一寸法をなし、第2の質量部23を介して、ほぼ対称に設けられている。
また、第2の質量部23上には、光反射部29が設けられている。これにより、アクチュエータ1を、光スキャナ、光スイッチ、光アッテネータなどの光学デバイスに適用することができる。
さらに、基体2は、図1および図2に示すように、第1の質量部21、22と支持部24とを連結する一対の第1の弾性連結部25、25と、第1の質量部21、22と第2の質量部23とを連結する一対の第2の弾性連結部26、26とを備えている。
各第1の弾性連結部25、25および各第2の弾性連結部26、26は、同軸的に設けられており、これらを回動中心軸(回転軸)27として、第1の質量部21、22が支持部24に対して、また、第2の質量部23が第1の質量部21、22に対して回動可能となっている。
このように、基体2は、第1の質量部21、22と第1の弾性連結部25、25とからなる第1の振動系と、第2の質量部23と第2の弾性連結部26、26とからなる第2の振動系とで構成された2自由度振動系を有している。
本実施形態では、このような2自由度振動系は、基体2の全体の厚さよりも薄く形成されているとともに、図2にて上下方向で基体2の上部に位置している。換言すれば、基体2には、基体2の全体の厚さよりも薄い部分(以下、薄肉部という)が形成されており、この薄肉部に異形孔が形成されることにより、第1の質量部21、22と第2の質量部23と第1の弾性連結部25、25と第2の弾性連結部26、26とが形成されている。
また、本実施形態では、前記薄肉部の上面が支持部24の上面と同一面上に位置することにより、前記薄肉部の下方には、各質量部21、22、23の回動のための空間(凹部)28が形成される。
このような基体2は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、第1の質量部21、22と、第2の質量部23と、支持部24と、第1の弾性連結部25、25と、第2の弾性連結部26、26とが一体的に形成されている。シリコンは、比較的優れた材料特性を示すため、基体2がシリコン材料を主材料として一体的に形成されていることにより、第1の質量部21、22および第2の質量部23は、優れた駆動特性を長期にわたって維持することができる。
なお、基体2は、SOI基板等の積層構造の基板から、第1の質量部21、22と、第2の質量部23と、支持部24と、第1の弾性連結部25、25と、第2の弾性連結部26、26を形成したものであってもよい。
このような基体2の下面には、接合膜4を介して対向基板3が接合されている。
対向基板3は、例えば、シリコンまたはガラスを主材料として構成されている。
対向基板3の上面には、図2および図4に示すように、第2の質量部23に対応する部分に開口部31が形成されている。
この開口部31は、第2の質量部23が回動(振動)する際に、対向基板3に接触するのを防止する逃げ部を構成する。開口部(逃げ部)31を設けることにより、アクチュエータ1全体の大型化を防止しつつ、第2の質量部23の振れ角(振幅)をより大きく設定することができる。アクチュエータ1において、対向基板3がシリコンを主材料として構成されている場合、ガラス材料などで対向基板が構成されている場合に比し、前述のような開口部などの逃げ部を簡単にそして高精度(高アスペクト比)に形成することができる。
なお、逃げ部は、前記効果を十分に発揮し得る構成であれば、必ずしも対向基板3の下面(第2の質量部23と反対側の面)で開放(開口)していなくてもよい。すなわち、逃げ部は、対向基板3の上面に形成された凹部で構成することもできる。また、空間28の深さが第2の質量部23の振れ角(振幅)に対し大きい場合などには、逃げ部を設けなくともよい。
また、対向基板3の上面(基体2側の面)には、図4に示すように、第1の質量部21に対応する部分に、後述の接合膜4を介して、一対の電極32が回動中心軸27を中心にほぼ対称となるように設けられ、また、第1の質量部22に対応する部分に、後述の接合膜4を介して、一対の電極32が回動中心軸27を中心にほぼ対称となるように設けられている。すなわち、本実施形態では、一対の電極32が2組(合計4個)、設けられている。
第1の質量部21、22と各電極32とは、後述する通電回路13に接続されており、第1の質量部21、22と各電極32との間に交流電圧(駆動電圧)を印加できるよう構成されている。すなわち、第1の質量部21、22と各電極32とが、第2の質量部23(より具体的には第1の質量部21、22)を駆動するための駆動手段を構成する。
なお、第1の質量部21、22は、各電極32と対向する面に、それぞれ、絶縁膜(図示せず)が設けられている。これにより、第1の質量部21、22と各電極32との間での短絡が発生するのが好適に防止される。
接合膜4は、基体2と対向基板3とを接合する機能を有するものである。したがって、接合膜4の構成材料は、前記接合が可能なものであれば特に限定されないが、基体2および対向基板3のそれぞれがシリコンを主材料として構成されている場合には、NaイオンやKイオンのようなアルカリ金属イオンなどの可動イオンを含むガラスを用いるのが好ましい。これにより、ともにシリコンを主材料として構成された基体2と対向基板3とを接合膜4を介して陽極接合させることができる。
また、本実施形態では、接合膜4の上面に上述の電極32が設けられている。これにより、電極32と第1の質量部21、22との間のギャップを調整することができる。また、接合膜4を絶縁性を有する材料で構成することにより、電極32と対向基板3との間の絶縁性を確保することができる。
また、前述した基体2の上面には、前述した第2の質量部23の側面の通過を検知する透過式の光学センサ10が設けられている。
接合膜4は、基体2と対向基板3とを接合する機能を有するものである。したがって、接合膜4の構成材料は、前記接合が可能なものであれば特に限定されないが、基体2および対向基板3のそれぞれがシリコンを主材料として構成されている場合には、NaイオンやKイオンのようなアルカリ金属イオンなどの可動イオンを含むガラスを用いるのが好ましい。これにより、ともにシリコンを主材料として構成された基体2と対向基板3とを接合膜4を介して陽極接合させることができる。なお、接合膜4は、後述する接合膜15と同様の構成であってもよく、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤等の接着剤で構成されていてもよい。このとき、接合膜4を後述する接合膜15と同様の構成とした場合、基体2と対向基板3とを高い寸法精度でかつ強固に接合することができる。これにより、陽極接合の場合と比べて、接合される部材の材質に制約が大幅に緩和されることになり、基体2および対向基板3の各構成材料の選択の幅を広げることができる。換言すれば、基体2および対向基板3の各構成材料によらず、これらを確実に接合することができる。
また、本実施形態では、接合膜4の上面に上述の電極32が設けられている。これにより、電極32と第1の質量部21、22との間のギャップを調整することができる。また、接合膜4を絶縁性を有する材料で構成することにより、電極32と対向基板3との間の絶縁性を確保することができる。
また、前述した基体2の上面には、前述した第2の質量部23の側面の通過を検知する透過式の光学センサ10が設けられている。
光学センサ10は、第2の質量部23の回動空間に向け発光する発光部11と、当該回動空間を介して発光部11からの光を受光する受光部12とを有している。
発光部11は、第2の質量部23の側方(図1にて右側)からその回動空間に向け光を発光するものであり、光導波路111と、発光素子112とを有している。
光導波路111は、光伝送経路である線状のコア部113と、このコア部113の外周を覆うクラッド部114と有している。
コア部113は、その屈折率がクラッド部114の屈折率よりも高くなっており、光伝送経路を構成している。
このようなコア部113の外周を覆うクラッド部114は、前述した基体2の支持部24上に接合膜15を介して接合されており、このクラッド部114によりコア部113が支持されている。
クラッド部114の構成材料としては、一般に透光性を有する材料が用いられ、具体的には、各種ガラス材料、各種樹脂材料等が挙げられるが、特に、ガラス材料を用いるのが好ましい。ガラス材料で構成されたクラッド部114は、優れた特性を示す光伝送経路を構成するとともに、接合膜15との親和性に優れていることから、支持部24に対して強固に接合される。
なお、基体2がシリコン材料で構成されている場合には、シリコン材料が接合膜15との親和性に優れた材料であることにより、基体2(支持部24)とクラッド部114(光導波路111)とがより確実に接合される。
また、線状のコア部113の両端面のうち、一端面115は第2の質量部23の回動空間に対向し、他端面116は発光素子112に接続されている。これにより、コア部113を通じて、発光素子112の光を第2の質量部23の回動空間へ照射することができる。
発光素子112は、特に限定されず、各種発光素子を用いることができるが、例えば、発光ダイオード、発光FET、EL素子などを好適に用いることができる。
一方、受光部12は、前述した発光部11からの光を受光するものであり、光導波路121と、受光素子122とを有している。
光導波路121は、前述した光導波路111と同様に、光伝送経路である線状のコア部123と、このコア部123の外周を覆うクラッド部124と有している。
コア部123は、その屈折率がクラッド部124の屈折率よりも高くなっており、光伝送経路を構成している。
このようなコア部123の外周を覆うクラッド部124は、前述した基体2の支持部24上に接合膜15を介して接合されており、このクラッド部124によりコア部123が支持されている。
これらの接合膜15(支持部24とクラッド部114とを接合する接合膜15、および、支持部24とクラッド部124とを接合する接合膜15)は、エネルギー付与前において、シロキサン(Si−O)結合を含むランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含むものである。
そして、これらの接合膜15は、エネルギーを付与したことにより、脱離基がSi骨格から脱離し、これにより接合膜15の表面に発現した接着性によって、支持部24とクラッド部114、および、支持部24とクラッド部124とを接合している。
このような接合膜15は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。このような構造の接合膜15は、その厚さを薄くしても十分な接合強度が得られる。このため、接合膜15は、十分に薄いにもかかわらず、支持部24とクラッド部114との間、および、支持部24とクラッド部124との間を、それぞれ強固に接合することができる。これにより、接合に伴うクラッド部114およびクラッド部124の位置精度を高めることができ、発光部11と受光部12の光軸を高精度に合わせることができる。その結果、光学センサ10における第2の質量部23の検知感度および検知精度を高めることができる。
なお、接合膜15については、後に詳述する。
また、線状のコア部123の両端面のうち、一端面125は第2の質量部23の回動空間に対向し、他端面126は受光素子122に接続されている。これにより、コア部123を通じて、発光素子112から第2の質量部23の回動空間を通過した光を受光素子122で受光することができる。
受光素子122は、発光素子112の光を受光することができるものであれば、特に限定されず、光電管、光電子増倍管、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタ、アバランシュフォトダイオード、焦電型赤外素子などの各種受光素子を用いることができるが、例えば、光電管、光電子増倍管、フォトダイオードなどを好適に用いることができる。
このような光学センサ10は、前述した駆動手段の駆動(具体的には通電回路13の駆動)を制御する制御回路14に接続されている。これにより、光学センサ10の検知結果に基づき、アクチュエータ1の駆動を制御することができる。
以下、図5に基づき、アクチュエータ1の制御系を詳細に説明する。
図5に示すように、本実施形態のアクチュエータ1において、前述した電極32は、通電回路13に接続されている。この通電回路13は、各電極32と第1の質量部21、22との間に電圧を選択的に印加する(電位差を生じさせる)ものである。
そして、この通電回路13は、通電回路13の駆動を制御する機能を有する制御回路14に接続されている。
この制御回路14には、前述した光学センサ10の受光素子122(受光部12)が接続されており、制御回路14は、受光素子122の検知結果に基づいて、通電回路13の駆動を制御するようになっている。
すなわち、制御回路14は、受光部12によって受光された光の強度に基づいて第2の質量部23の挙動を検知する機能と、その検知結果に基づいて駆動手段の駆動(通電回路13の駆動)を制御する機能とを有している。
さらに言い換えれば、制御回路14と光学センサ10とが、第2の質量部23の挙動を検知する挙動検知手段を構成するとともに、制御回路14が、この挙動検知手段によって検知された挙動に基づいて駆動手段の駆動を制御する制御手段を構成する。これにより、第1の質量部21、22および/または第2の質量部23を安定して駆動することができる。
より具体的に説明すると、制御回路14は、図5に示すように、CPU141、AD変換回路142、ROM143、RAM144を有している。
そして、CPU141は、通電回路13に接続されているとともに、AD変換回路142を介して受光素子122に接続されている。
AD変換回路142は、受光素子122の出力をアナログからデジタルに変換するものである。
ROM143は、受光素子122の検知強度に基づいて第2の質量部23の挙動を算出するためのプログラムや、算出された挙動に基づいて通電回路13を制御するためのプログラムなどが格納されている。
RAM144は、プログラムにより算出された値等を記憶する機能を有する。
CPU141は、ROM143に格納されたプログラムに従い、AD変換回路142でデジタル化された検知強度に基づき、第2の質量部23の挙動を検知する。また、CPU141は、ROM143に格納されたプログラムに従い、検知した挙動に基づき、第2の質量部23の挙動を所望のものとするように、通電回路13を制御する。
このように、本実施形態のアクチュエータ1では、第2の質量部23の側面の通過を検知する透過式の光学センサ10の検知結果に基づいて、第2の質量部23の挙動を検知するように構成されている。
これにより、挙動検知のための領域を第2の質量部23の板面に別途設けることなく、第2の質量部23の挙動を検知し、これに基づき、第2の質量部23を安定的に駆動することができる。特に、挙動検知のための領域を第2の質量部23の板面に別途設ける必要がないので、第2の質量部23の小型化、ひいてはアクチュエータ1の小型化を図ることができ、また、アクチュエータ1の設計自由度を向上させることができる。
以上のような構成のアクチュエータ1は、次のようにして駆動する。
すなわち、第1の質量部21、22と各電極32との間に、例えば、正弦波(交流電圧)等を印加する。具体的には、例えば、第1の質量部21、22をアースしておき、図4中上側の2つの電極32に、図6(a)に示すような波形の電圧を印加し、図4中下側の2つの電極32に、図6(b)に示すような波形の電圧を印加する。すると、第1の質量部21、22と各電極32との間に静電気力(クーロン力)が生じる。
この静電気力により、第1の質量部21、22が、各電極32の方へ引きつけられる力が正弦波の位相により変化し、回動中心軸27(第1の弾性連結部25)を軸に、基体2の板面(図1における紙面)に対して傾斜するように振動(回動)する。
そして、この第1の質量部21、22の振動(駆動)に伴って、第2の弾性連結部26を介して連結されている第2の質量部23も、回動中心軸27(第2の弾性連結部26)を軸に、基体2の板面(図1における紙面)に対して傾斜するように振動(回動)する。
したがって、第2の質量部23の回動に伴い、光反射部29も回動し、光反射部29に照射された光を走査することができる。
ここで、このアクチュエータ1では、前述したように、対向基板3における、第2の質量部23に対応する部分に、開口部31が形成され、また、図2にて基体2の下面に空間28が形成され、かつ、平面視で第1の質量部21、22が空間(凹部)28内に位置するように設けられている。
このような構成により、第2の質量部23が振動し得るスペース、および、第1の質量部21、22が振動し得るスペースとして、大きなスペースが確保されている。したがって、第1の質量部21、22の質量を比較的小さく設定すること等により、第1の質量部21、22を大きな振れ角で振動させた場合や、さらに第2の質量部23が共振によって大きな振れ角で振動した場合でも、各質量部21、22、23(2自由度振動系)が対向基板3に接触することを好適に防止することができる。
このため、このようなアクチュエータ1を、例えば光スキャナに適用した場合には、より解像度の高いスキャニングを行うことが可能となる。
ここで、第1の質量部21の回動中心軸からこれにほぼ垂直な方向(長手方向)への長さ(回動中心軸と端部21aとの間の距離)をLとし、第1の質量部22の回動中心軸からこれにほぼ垂直な方向(長手方向)への長さ(回動中心軸と端部22aとの間の距離)をLとし、第2の質量部23の回動中心軸からこれにほぼ垂直な方向への長さ(回動中心軸と端部23aとの間の距離)をLとしたとき、本実施形態では、第1の質量部21、22が、それぞれ独立して設けられているため、第1の質量部21、22と、第2の質量部23とが干渉せず、第2の質量部23の大きさ(長さL)にかかわらず、LおよびLを小さくすることができる。これにより、第1の質量部21、22の回転角度(振れ角)を大きくすることができ、第2の質量部23の回転角度を大きくすることができる。
また、LおよびLを小さくすることにより、第1の質量部21、22と各電極32との間の距離を小さくすることができ、これにより、静電気力が大きくなり、第1の質量部21、22と各電極32に印加する交流電圧を小さくすることができる。
ここで、第1の質量部21、22および第2の質量部23の寸法は、それぞれ、L<LかつL<Lなる関係を満足するよう設定されている。これにより、LおよびLをより小さくすることができ、第1の質量部21、22の回転角度をより大きくすることができ、第2の質量部23の回転角度をさらに大きくすることができる。
この場合、第2の質量部23の最大回転角度が、20°以上となるように構成されるのが好ましい。
また、このように、LおよびLを小さくすることにより、第1の質量部21、22と各電極32との間の距離をより小さくすることができ、第1の質量部21、22と各電極32に印加する交流電圧をさらに小さくすることができる。
これらによって、第1の質量部21、22の低電圧駆動と、第2の質量部23の大回転角度での振動(回動)とを実現することができる。
このため、このようなアクチュエータ1を、例えばレーザープリンタや、走査型共焦点レーザー顕微鏡等の装置に用いられる光スキャナに適用した場合には、より容易に装置の小型化を図ることができる。
なお、前述したように、本実施形態では、LとLとはほぼ等しく設定されているが、LとLとが異なっていてもよいことは言うまでもない。
ところで、このような質量部21、22、23よりなる振動系(2自由度振動系)では、第1の質量部21、22および第2の質量部23の振幅(振れ角)と、印加する交流電圧の周波数との間に、図7に示すような周波数特性が存在している。
すなわち、かかる振動系は、第1の質量部21、22の振幅と、第2の質量部23の振幅とが大きくなる2つの共振周波数fm[kHz]、fm[kHz](ただし、fm<fm)と、第1の質量部21、22の振幅がほぼ0となる、1つの反共振周波数fm[kHz]とを有している。
この振動系では、第1の質量部21、22と電極32との間に印加する交流電圧の周波数Fが、2つの共振周波数のうち低いもの、すなわち、fmとほぼ等しくなるように設定するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振幅を抑制しつつ、第2の質量部23の振れ角(回転角度)を大きくすることができる。
なお、本明細書中では、F[kHz]とfm[kHz]とがほぼ等しいとは、(fm−1)≦F≦(fm+1)の条件を満足することを意味する。
第1の質量部21、22の平均厚さは、それぞれ、1〜1500μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
第2の質量部23の平均厚さは、1〜1500μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
第1の弾性連結部25のばね定数kは、1×10−4〜1×10Nm/radであるのが好ましく、1×10−2〜1×10Nm/radであるのがより好ましく、1×10−1〜1×10Nm/radであるのがさらに好ましい。これにより、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
一方、第2の弾性連結部26のばね定数kは、1×10−4〜1×10Nm/radであるのが好ましく、1×10−2〜1×10Nm/radであるのがより好ましく、1×10−1〜1×10Nm/radであるのがさらに好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の振れ角をより大きくすることができる。
また、第1の弾性連結部25のばね定数kと第2の弾性連結部26のばね定数をkとは、k>kなる関係を満足するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
さらに、第1の質量部21、22の慣性モーメントをJとし、第2の質量部23の慣性モーメントをJとしたとき、JとJとは、J≦Jなる関係を満足することが好ましく、J<Jなる関係を満足することがより好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
ところで、第1の質量部21、22と第1の弾性連結部25、25とからなる第1の振動系の固有振動数ωは、第1の質量部21、22の慣性モーメントJと、第1の弾性連結部25のばね定数kとにより、ω=(k/J1/2によって与えられる。一方、第2の質量部23と第2の弾性連結部26、26とからなる第2の振動系の固有振動数ωは、第2の質量部23の慣性モーメントJと、第2の弾性連結部26のばね定数kとにより、ω=(k/J1/2によって与えられる。
このようにして求められる第1の振動系の固有振動数ωと第2の振動系の固有振動数ωとは、ω>ωなる関係を満足するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
ここで、図8、図9に基づいて、第2の質量部23の挙動の検知の一例をより具体的に説明する。
第2の質量部23は、非駆動状態(ホームポジション)にあるとき、図8および図9(a)に示すように、発光部11のコア部113の一端面115と受光部12のコア部123の一端面125とのそれぞれよりも下方に位置している。すなわち、発光部11および受光部12は、その対象(光学センサ10の検知対象)とする非駆動状態の第2の質量部23に対しその板厚方向にずれて配置されている。これにより、単振動を起こしている第2の質量部23の回動中心軸27から一定の距離を隔てた部位の通過を光学センサ10が検知することにより、その通過時刻に基づいて、第2の質量部23の回動方向や回動速度を知ることができる。すなわち、第2の質量部23の挙動(位相、振動数、絶対変位)を光学センサ10の検知結果から直接的に(第2の質量部23が単振動を起こしているところから推定することなく)求めることができる。
そして、アクチュエータ1が駆動状態となると、第2の質量部23が、図9(b)に示すように、発光部11から受光部12への光を一時的に遮った後、図9(c)に示すように、振れ角が最大となる位置へ至る。
その後、第2の質量部23が、図9(d)に示すように、発光部11から受光部12への光を再度一時的に遮った後、図9(e)に示すように、ホームポジションへ至る。
前述したように第2の質量部23は単振動し、かつ、光学センサ10は固定配置されているので、発光部11から受光部12への光が遮られるタイミングや時間長さを計測に基づいて、第2の質量部23の挙動を検知することができる。
また、本実施形態では、前述したように、発光部11と受光部12とが互いに第2の質量部23の回動空間を介して配設され、これらの対象(光学センサ10の検知対象)とする第2の質量部23が所定の回動角となったときのみ、発光部11から受光部12への光が第2の質量部23によって遮断され、受光部12での受光の有無に基づいて、第2の質量部23の挙動を検知する。これにより、発光部11と受光部12とで透過式の光学センサ10を構成し、第2の質量部23の挙動をより正確に検知することができる。
また、発光部11は、第1の質量部21、22または第2の質量部23の回動中心軸27に沿った方向に光を照射するので、第2の質量部23の回動中心軸27に直角な方向に、アクチュエータ1が大型化するのを防止することができる。
また、発光部11および受光部12は、その対象とする非駆動状態の第2の質量部23に対しその板厚方向にずれて配置されているので、これにより、単振動を起こしている第2の質量部23の回動中心軸27から一定の距離を隔てた部位の通過を光学センサ10が検知することにより、その通過時刻に基づいて、第2の質量部23の回動方向や回動速度を知ることができる。すなわち、第2の質量部23の挙動(位相、振動数、絶対変位)を光学センサ10の検知結果から直接的に(第2の質量部23が単振動を起こしているところから推定することなく)求めることができる。
また、発光素子112が光導波路111を介して第2の質量部23の回動空間へ光を照射するように構成されているので、第2の質量部23が薄くても、比較的簡単に、発光部11からの光の径を第2の質量部23の厚さ以下とすることができる。その結果、アクチュエータ1の設計自由度をより向上させるとともに、光学センサ10の検知精度を向上することができる。
また、受光素子122が光導波路121を介して受光するように構成されているので、第2の質量部23が薄くても、比較的簡単に、受光部12の径を第2の質量部23の厚さ以下とすることができる。その結果、アクチュエータ1の設計自由度をより向上させるとともに、光学センサ10の検知精度を向上することができる。
ここで、接合膜15について説明する。
図13は、本実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図14は、本実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。
接合膜15のエネルギーを付与する前の状態は、図13に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを含むものである。
そして、この接合膜15にエネルギーを付与すると、図14に示すように、一部の脱離基303がSi骨格301から脱離し、代わりに活性手304が生じる。これにより、接合膜15の表面に接着性が発現する。このようにして接着性が発現した接合膜15により、支持部24と各クラッド部114、124との間がそれぞれ接合されている。
このような接合膜15は、前述したように、十分に薄くしても、支持部24と各クラッド部114、124とをそれぞれ強固に接合することができる。これにより、クラッド部114、124の接合における位置精度を高めることができ、発光部11と受光部12の光軸を高精度に合わせることができる。その結果、光学センサ10における第2の質量部23の検知感度および検知精度を高めることができ、第2の質量部23の安定的な駆動を図ることができる。
また、接合膜15は、化学的に安定なSi骨格301の作用により、耐熱性に優れている。このため、アクチュエータ1が高温下に曝されたとしても、接合膜15の変質・劣化を確実に防止することができ、支持部24から各クラッド部114、124が剥がれてしまうのを確実に防止することができる。
また、このような接合膜15は、流動性を有しない固体状のものである。このため、従来の流動性を有する液状または粘液状の接着剤に比べて、接着層(接合膜15)の厚さや形状がほとんど変化しない。このため、接合膜15を用いて製造されたアクチュエータ1の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。これにより、クラッド部114、124の位置精度のさらなる向上を図ることができる。
さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合を可能にするものである。したがって、アクチュエータ1は、製造効率に優れたものとなる。
このような接合膜15としては、特に、接合膜15を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%程度であるのが好ましく、20〜80原子%程度であるのがより好ましい。Si原子とO原子とが、前記範囲の含有率で含まれていれば、接合膜15は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜15自体がより強固なものとなる。また、かかる接合膜15は、接合される各部に対して特に高い接合強度を示すものとなる。
また、接合膜15中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。Si原子とO原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜15の安定性が高くなり、各部をより強固に接合することができるようになる。
なお、接合膜15中のSi骨格301の結晶化度は、45%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。これにより、Si骨格301は十分にランダムな原子構造を含むものとなる。このため、前述したSi骨格301の特性が顕在化し、接合膜15の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
また、Si骨格301に結合する脱離基303は、前述したように、Si骨格301から脱離することによって、接合膜15に活性手304を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないようSi骨格301に確実に結合しているものである必要がある。
かかる観点から、脱離基303には、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子を含み、これらの各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものが好ましく用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜15の接着性をより高度なものとすることができる。
なお、上記のような各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基、メルカプト基、スルホン酸基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げられる。
これらの各基の中でも、脱離基303は、特にアルキル基であるのが好ましい。アルキル基は化学的な安定性が高いため、アルキル基を含む接合膜15は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
このような特徴を有する接合膜15の構成材料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのようなシロキサン結合を含む重合物等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜15は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜15は、支持部24と各クラッド部114、124との間をそれぞれより強固に接合することができる。
また、ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性(非接着性)を示すが、エネルギーを付与されることにより、容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化し、接着性を発現するが、この非接着性と接着性との制御を容易かつ確実に行えるという利点を有する。
また、ポリオルガノシロキサンの中でも、特に、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものが好ましい。オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とする接合膜15は、接着性に特に優れることから、本発明のアクチュエータに対して特に好適に適用できるものである。また、オクタメチルトリシロキサンを主成分とする原料は、常温で液状をなし、適度な粘度を有するため、取り扱いが容易であるという利点もある。
また、接合膜15の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜15の平均厚さを前記範囲内とすることにより、支持部24と各クラッド部114、124との間の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜15の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜15の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、アクチュエータ1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜15の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜15にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、支持部24の接合面(接合膜15に隣接する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜15を被着させることができる。その結果、接合膜15は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、接合膜15を備える支持部24に対して各クラッド部114、124をそれぞれ貼り合わせた際に、これらの密着性をより高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜15の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜15の厚さをできるだけ厚くすればよい。
次に、接合膜15を作製する方法、およびこの方法を含むアクチュエータ1の製造方法について説明する。
図10ないし図12は、それぞれ、第1実施形態のアクチュエータの製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図10ないし図12中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1] まず、図10(a)に示すように、シリコン基板5を用意する。
次に、シリコン基板5の一方の面に、図10(b)に示すように、支持部24と各質量部21、22、23との形状に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク6を形成する。
そして、図10(c)に示すように、シリコン基板5の他方の面に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行う。これにより、図10(c)に示すように、支持部24の形状に対応するように、レジストマスク7を形成する。なお、レジストマスク7の形成は、金属マスク6の形成よりも先に行ってもよい。
金属マスク6の形成方法としては、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、金属箔の接合等が挙げられる。なお、以下の各工程における金属膜の成膜においても、同様の方法を用いることができる。
次に、このレジストマスク7を介して、シリコン基板5の前記他方の面をエッチングした後、レジストマスク7を除去する。これにより、図10(d)に示すように、支持部24に対応する部分以外の領域に凹部51が形成される。
エッチング方法としては、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、以下の各工程におけるエッチングにおいても、同様の方法を用いることができる。
次に、金属マスク6を介して、シリコン基板5の前記一方の面側を、前記凹部51に対応する部分が貫通するまでエッチングする。
そして、金属マスク6を除去した後、図10(e)に示すように、第2の質量部23上に金属膜を成膜して、光反射部29を形成する。
なお、ここで、シリコン基板5のエッチングを行った後、金属マスク6は除去してもよく、除去せずに残存させてもよい。金属マスク6を除去しない場合、第2の質量部23上に残存した金属マスク6は光反射部29として用いることができる。
金属膜の成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、金属箔の接合等が挙げられる。なお、以下の各工程における金属膜の成膜においても、同様の方法を用いることができる。
以上の工程により、図10(e)に示すように、各質量部21、22、23および支持部24が一体的に形成された基体2が得られる。
[2] 次に、図11(a)に示すように、対向基板3を形成するためのシリコン基板9を用意する。
そして、シリコン基板9の一方の面に、開口部31を形成する領域を除いた部分に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスクを形成する。
次に、この金属マスクを介して、シリコン基板9の一方の面側をエッチングした後、金属マスクを除去する。これにより、開口部31が形成された対向基板3が得られる。
しかる後に、例えば可動イオンを含むガラスで対向基板3の一方の面に成膜して、図11(b)に示すように、対向基板3上に接合膜4を形成する。
次に、接合膜4上に、図11(c)に示すように、電極32を形成する。これにより、接合膜4の厚さを調整することで、電極32と第1の質量部21、22との間のギャップを調整することができる。
電極32は、接合膜4に金属膜を成膜し、電極32の形状に対応するマスクを介して金属膜のエッチングを行った後、マスクを除去することにより形成することができる。
次に、図11(d)に示すように、前記工程[1]で得られた構造体と、前記工程[2]で接合膜4が成膜された対向基板3とを、例えば陽極接合により接合する。
[3] 次に、基体2の2つの支持部24上に、接合膜15を介して光導波路111、121を接合する。なお、各図面には、光導波路111を代表に示している。
光導波路111、121は、公知の光導波路の形成技術を用いて作製することができる。例えば、クラッド部の構成材料で支持部24上に第1の層を形成し、次いで、その第1の層上にコア部をパターンニングした後に、再度、クラッド部の構成材料でコア部を覆うように第2の層を形成することにより、クラッド部を形成して、光導波路を得ることができる。
以下、基体2上に接合膜15を形成する方法について説明する。
このような接合膜15は、いかなる方法で作製されたものでもよく、プラズマ重合法、CVD法、PVD法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により作製した膜にエネルギーを付与することによって作製することができるが、これらの中でも、エネルギー付与前の膜として、プラズマ重合法により作製された膜を用いるのが好ましい。プラズマ重合法によれば、最終的に、緻密で均質な接合膜15を効率よく作製することができる。これにより、プラズマ重合法で作製された接合膜15は、支持部24と各クラッド部114、124との間をそれぞれ特に強固に接合することができる。また、プラズマ重合法で作製され、エネルギーが付与される前の接合膜15は、エネルギーが付与されて活性化された状態を比較的長時間にわたって維持することができる。このため、アクチュエータ1の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
ここでは、接合膜15をプラズマ重合法にて形成する方法について詳述するが、接合膜15の形成方法を説明するのに先立って、接合膜15を作製する際に用いるプラズマ重合装置について説明し、その後、接合膜15の形成方法について説明する。
図15は、プラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図15中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図15に示すプラズマ重合装置100は、チャンバー101と、基体2を支持する第1の電極130と、第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180と、チャンバー101内にガスを供給するガス供給部190と、チャンバー101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備えている。これらの各部のうち、第1の電極130および第2の電極140がチャンバー101内に設けられている。以下、各部について詳細に説明する。
チャンバー101は、内部の気密を保持し得る容器であり、内部を減圧(真空)状態にして使用されるため、内部と外部との圧力差に耐え得る耐圧性能を有するものとされる。
図15に示すチャンバー101は、軸線が水平方向に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャンバー本体と、チャンバー本体の左側開口部を封止する円形の側壁と、右側開口部を封止する円形の側壁とで構成されている。
チャンバー101の上方には供給口103が、下方には排気口104が、それぞれ設けられている。そして、供給口103にはガス供給部190が接続され、排気口104には排気ポンプ170が接続されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
第1の電極130は、板状をなしており、基体2を支持している。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図15に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
第1の電極130の基体2を支持する面には、静電チャック(吸着機構)139が設けられている。
この静電チャック139により、図15に示すように、基体2を鉛直方向に沿って支持することができる。また、基体2に多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態で基体2をプラズマ処理に供することができる。
第2の電極140は、基体2を介して、第1の電極130と対向して設けられている。なお、第2の電極140は、チャンバー101の側壁の内壁面から離間した(絶縁された)状態で設けられている。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
このような電源回路180によれば、第1の電極130は接地されているので、第1の電極130と第2の電極140との間に高周波電圧が印加される。これにより、第1の電極130と第2の電極140との間隙には、高い周波数で向きが反転する電界が誘起される。
ガス供給部190は、チャンバー101内に所定のガスを供給するものである。
図15に示すガス供給部190は、液状の膜材料(原料液)を貯留する貯液部191と、液状の膜材料を気化してガス状に変化させる気化装置192と、キャリアガスを貯留するガスボンベ193とを有している。また、これらの各部とチャンバー101の供給口103とが、それぞれ配管194で接続されており、ガス状の膜材料(原料ガス)とキャリアガスとの混合ガスを、供給口103からチャンバー101内に供給するように構成されている。
貯液部191に貯留される液状の膜材料は、プラズマ重合装置100により、重合して基体2の表面に重合膜を形成する原材料となるものである。
このような液状の膜材料は、気化装置192により気化され、ガス状の膜材料(原料ガス)となってチャンバー101内に供給される。なお、原料ガスについては、後に詳述する。
ガスボンベ193に貯留されるキャリアガスは、電界の作用により放電し、およびこの放電を維持するために導入するガスである。このようなキャリアガスとしては、例えば、Arガス、Heガス等が挙げられる。
また、チャンバー101内の供給口103の近傍には、拡散板195が設けられている。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される混合ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、混合ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することができる。
排気ポンプ170は、チャンバー101内を排気するものであり、例えば、油回転ポンプ、ターボ分子ポンプ等で構成される。このようにチャンバー101内を排気して減圧することにより、ガスを容易にプラズマ化することができる。また、大気雰囲気との接触による基体2の汚染・酸化等を防止するとともに、プラズマ処理による反応生成物をチャンバー101内から効果的に除去することができる。
また、排気口104には、チャンバー101内の圧力を調整する圧力制御機構171が設けられている。これにより、チャンバー101内の圧力が、ガス供給部160の動作状況に応じて、適宜設定される。
次に、基体2上に、接合膜15を形成する方法について説明する。
[3−1]まず、基体2をプラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納して封止状態とした後、排気ポンプ170の作動により、チャンバー101内を減圧状態とする。
次に、ガス供給部190を作動させ、チャンバー101内に原料ガスとキャリアガスの混合ガスを供給する。供給された混合ガスは、チャンバー101内に充填される。
ここで、混合ガス中における原料ガスの占める割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合を20〜70%程度に設定するのが好ましく、30〜60%程度に設定するのがより好ましい。これにより、重合膜の形成(成膜)の条件の最適化を図ることができる。
また、供給するガスの流量は、ガスの種類や目的とする成膜速度、膜厚等によって適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、原料ガスおよびキャリアガスの流量を、それぞれ、1〜100ccm程度に設定するのが好ましく、10〜60ccm程度に設定するのがより好ましい。
次いで、電源回路180を作動させ、一対の電極130、140間に高周波電圧を印加する。これにより、一対の電極130、140間に存在するガスの分子が電離し、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、重合物が基体2上に付着・堆積する。これにより、図12(a)に示すように、基体2上にプラズマ重合膜で構成された接合膜15が形成される。
原料ガスとしては、例えば、メチルシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルシロキサンのようなオルガノシロキサン等が挙げられる。
このような原料ガスを用いて得られるプラズマ重合膜、すなわち接合膜15は、これらの原料が重合してなるもの(重合物)、すなわちポリオルガノシロキサンで構成されることとなる。
プラズマ重合の際、一対の電極130、140間に印加する高周波の周波数は、特に限定されないが、1kHz〜100MHz程度であるのが好ましく、10〜60MHz程度であるのがより好ましい。
また、高周波の出力密度は、特に限定されないが、0.01〜10W/cm程度であるのが好ましく、0.1〜1W/cm程度であるのがより好ましい。
また、成膜時のチャンバー101内の圧力は、133.3×10−5〜1333Pa(1×10−5〜10Torr)程度であるのが好ましく、133.3×10−4〜133.3Pa(1×10−4〜1Torr)程度であるのがより好ましい。
原料ガス流量は、0.5〜200sccm程度であるのが好ましく、1〜100sccm程度であるのがより好ましい。一方、キャリアガス流量は、5〜750sccm程度であるのが好ましく、10〜500sccm程度であるのがより好ましい。
処理時間は、1〜10分程度であるのが好ましく、4〜7分程度であるのがより好ましい。なお、成膜される接合膜15の厚さは、主に、この処理時間に比例する。したがって、この処理時間を調整することのみで、接合膜15の厚さを容易に調整することができる。このため、支持部24と各クラッド部114、124との間の距離をそれぞれ厳密に制御することができる。
また、基体2の温度は、25℃以上であるのが好ましく、25〜100℃程度であるのがより好ましい。
以上のようにして、接合膜15を得ることができる。
なお、基体2の上面のうち、部分的に接合膜15を形成する場合、例えば、その領域に対応する形状の窓部を有するマスクを用い、このマスク上から接合膜15を成膜するようにすればよい。
[3−2]次に、基体2上に形成した接合膜15に対してエネルギーを付与する。
エネルギーが付与されると、接合膜15では、図13に示す脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、図14に示すように、接合膜15の表面および内部に活性手304が生じる。これにより、接合膜15の表面に、各クラッド部114、124との接着性が発現する。
ここで、接合膜15に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよく、例えば、(I)接合膜15にエネルギー線を照射する方法、(II)接合膜15を加熱する方法、(III)接合膜15に圧縮力を付与する(物理的エネルギーを付与する)方法が代表的に挙げられ、この他、プラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、オゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。
このうち、接合膜15にエネルギーを付与する方法として、特に、上記(I)、(II)、(III)の各方法のうち、少なくとも1つの方法を用いるのが好ましい。これらの方法は、接合膜15に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギー付与方法として好適である。
以下、上記(I)、(II)、(III)の各方法について詳述する。
(I)接合膜15にエネルギー線を照射する場合、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー光のような光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線等、またはこれらのエネルギー線を組み合わせたものが挙げられる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長150〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図12(b)参照)。かかる紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜15中のSi骨格301が必要以上に破壊されるのを防止しつつ、Si骨格301と脱離基303との間の結合を選択的に切断することができる。これにより、接合膜15の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜15に接着性を発現させることができる。
また、紫外線によれば、広い範囲をムラなく短時間に処理することができるので、脱離基303の脱離を効率よく行わせることができる。さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、160〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜15の面積に応じて異なるが、1mW/cm〜1W/cm程度であるのが好ましく、5mW/cm〜50mW/cm程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜15との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、接合膜15の表面付近の脱離基303を脱離し得る程度の時間、すなわち、接合膜15の内部の脱離基303を多量に脱離させない程度の時間とするのが好ましい。具体的には、紫外線の光量、接合膜15の構成材料等に応じて若干異なるものの、0.5〜30分程度であるのが好ましく、1〜10分程度であるのがより好ましい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
一方、レーザー光としては、例えば、エキシマレーザー(フェムト秒レーザー)、Nd−YAGレーザー、Arレーザー、COレーザー、He−Neレーザー等が挙げられる。
また、接合膜15に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、特に大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、接合膜15に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与による基体2の変質・劣化を防止することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、接合膜15から脱離する脱離基303の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基303の脱離量を調整することにより、接合膜15と各クラッド部114、124との間の接合強度を容易に制御することができる。
すなわち、脱離基303の脱離量を多くすることにより、接合膜15の表面および内部に、より多くの活性手が生じるため、接合膜15に発現する接着性をより高めることができる。一方、脱離基303の脱離量を少なくすることにより、接合膜15の表面および内部に生じる活性手を少なくし、接合膜15に発現する接着性を抑えることができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
(II)接合膜15を加熱する場合(図示せず)、加熱温度を25〜100℃程度に設定するのが好ましく、50〜100℃程度に設定するのがより好ましい。かかる範囲の温度で加熱すれば、基体2等が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合膜15を確実に活性化させることができる。
また、加熱時間は、接合膜15の分子結合を切断し得る程度の時間であればよく、具体的には、加熱温度が前記範囲内であれば、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、接合膜15は、いかなる方法で加熱されてもよいが、例えば、ヒータを用いる方法、赤外線を照射する方法、火炎に接触させる方法等の各種加熱方法で加熱することができる。
なお、接合される部材間の熱膨張率がほぼ等しい場合には、上記のような条件で接合膜15を加熱すればよいが、これらの熱膨張率が互いに異なっている場合には、後に詳述するが、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
(III)本実施形態では、支持部24と各光導波路111、121とを貼り合わせる前に、接合膜15に対してエネルギーを付与する場合について説明しているが、かかるエネルギーの付与は、これらを重ね合わせた後に行われるようにしてもよい。すなわち、基体2上に接合膜15を形成した後、エネルギーを付与する前に、接合膜15と各光導波路111、121とが密着するように、これらを重ね合わせて、仮接合体とする。そして、この仮接合体中の接合膜15に対してエネルギーを付与することにより、接合膜15に接着性が発現し、接合膜15を介して支持部24と各光導波路111、121とがそれぞれ接合(接着)される。
この場合、仮接合体中の接合膜15に対するエネルギーの付与は、前述した(I)、(II)の方法でもよいが、接合膜15に圧縮力を付与する方法を用いてもよい。
この場合、接合される部材同士が互いに近づく方向に、0.2〜10MPa程度の圧力で圧縮するのが好ましく、1〜5MPa程度の圧力で圧縮するのがより好ましい。これにより、単に圧縮するのみで、接合膜15に対して適度なエネルギーを簡単に付与することができ、接合膜15に十分な接着性が発現する。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、接合される部材の各構成材料によっては、部材に損傷等が生じるおそれがある。
また、圧縮力を付与する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、圧縮力を付与する時間は、圧縮力の大きさに応じて適宜変更すればよい。具体的には、圧縮力の大きさが大きいほど、圧縮力を付与する時間を短くすることができる。
なお、仮接合体の状態では、接合される部材間は、まだ接合されていないので、これらの相対的な位置を容易に調整する(ずらす)ことができる。したがって、一旦、仮接合体を得た後、接合される部材の相対位置を微調整することにより、最終的に得られるアクチュエータ1の組み立て精度(寸法精度)を確実に高めることができる。
以上のような(I)、(II)、(III)の各方法により、接合膜15にエネルギーを付与することができる。
なお、接合膜15の全面にエネルギーを付与するようにしてもよいが、一部の領域のみに付与するようにしてもよい。このようにすれば、接合膜15の接着性が発現する領域を制御することができ、この領域の面積・形状等を適宜調整することによって、接合界面に発生する応力の局所集中を緩和することができる。これにより、例えば、接合される部材間の熱膨張率差が大きい場合でも、これらを確実に接合することができる。
ここで、前述したように、エネルギーが付与される前の状態の接合膜15は、図13に示すように、Si骨格301と脱離基303とを有している。かかる接合膜15にエネルギーが付与されると、脱離基303(本実施形態では、メチル基)がSi骨格301から脱離する。これにより、図14に示すように、接合膜15の表面35に活性手304が生じ、活性化される。その結果、接合膜15の表面に接着性が発現する。
ここで、接合膜15を「活性化させる」とは、接合膜15の表面35および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301において終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。このような活性手304によれば、被着体に対して、特に強固な接合が可能となる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜15に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成することができる。
[3−3]次に、各光導波路111、121(被着体)を用意する。そして、接着性が発現してなる接合膜15と各光導波路111、121とが密着するように、これらを貼り合わせる。これにより、図12(c)に示すように、基体2(支持部24)と各光導波路111、121とが、接合膜15を介して接合(接着)される。
ここで、上記のようにして接合される基体2と各光導波路111、121の各熱膨張率は、ほぼ等しいのが好ましい。基体2と各光導波路111、121の各熱膨張率がほぼ等しければ、これらを貼り合せた際に、その接合界面に熱膨張に伴う応力が発生し難くなる。その結果、最終的に得られるアクチュエータ1において、剥離等の不具合が発生するのを確実に防止することができる。
また、基体2と各光導波路111、121の各熱膨張率が互いに異なる場合でも、これらを貼り合わせる際の条件を以下のように最適化することにより、基体2と各光導波路111、121とを高い寸法精度で強固に接合することができる。
すなわち、基体2と各光導波路111、121の各熱膨張率が互いに異なっている場合には、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
具体的には、基体2と各光導波路111、121との熱膨張率差にもよるが、基体2と各光導波路111、121の温度が25〜50℃程度である状態下で、これらを貼り合わせるのが好ましく、25〜40℃程度である状態下で貼り合わせるのがより好ましい。このような温度範囲であれば、基体2と各光導波路111、121との熱膨張率差がある程度大きくても、接合界面に発生する熱応力を十分に低減することができる。その結果、アクチュエータ1における反りや剥離等の発生を確実に防止することができる。
また、この場合、基体2と各光導波路111、121との間の熱膨張係数の差が、5×10−5/K以上あるような場合には、上記のようにして、できるだけ低温下で接合を行うことが特に推奨される。なお、接合膜15を用いることにより、上述したような低温下でも、基体2と各光導波路111、121とを強固に接合することができる。
また、基体2と各光導波路111、121は、互いに剛性が異なっているのが好ましい。これにより、基体2と各光導波路111、121とをより強固に接合することができる。
なお、基体2の接合膜15を成膜する領域には、あらかじめ、接合膜15との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、基体2と接合膜15との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、基体2と各光導波路111、121との接合強度を高めることができる。
かかる表面処理としては、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。このような処理を施すことにより、基体2の接合膜15を成膜する領域を清浄化するとともに、該領域を活性化させることができる。
また、これらの各表面処理の中でもプラズマ処理を用いることにより、接合膜15を形成するために、基体2の表面を特に最適化することができる。
なお、表面処理を施す基体2が、樹脂材料(高分子材料)で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、基体2の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜15の接合強度が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる基体2の構成材料としては、例えば、各種金属系材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料等を主材料とするものが挙げられる。
このような材料で構成された基体2は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、比較的活性の高い水酸基が結合している。したがって、このような材料で構成された基体2を用いると、上記のような表面処理を施さなくても、基体2と接合膜15とを強固に密着させることができる。
なお、この場合、基体2の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合膜15を成膜する領域の表面付近が上記のような材料で構成されていればよい。
さらに、基体2の接合膜15を成膜する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、基体2と接合膜15との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような官能基、ラジカル、開環分子、2重結合、3重結合のような不飽和結合、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質が挙げられる。
また、このようなものを有する表面が得られるように、上述したような各種表面処理を適宜選択して行うのが好ましい。
また、表面処理に代えて、基体2の少なくとも接合膜15を成膜する領域には、あらかじめ、中間層を形成しておくのが好ましい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、接合膜15との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層を介して基体2上に接合膜15を成膜することにより、基体2と接合膜15との接合強度を高め、信頼性の高い接合体、すなわちアクチュエータ1を得ることができる。
かかる中間層の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタンのような金属系材料、金属酸化物、シリコン酸化物のような酸化物系材料、金属窒化物、シリコン窒化物のような窒化物系材料、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボンのような炭素系材料、シランカップリング剤、チオール系化合物、金属アルコキシド、金属−ハロゲン化合物のような自己組織化膜材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの各材料で構成された中間層の中でも、酸化物系材料で構成された中間層によれば、基体2と接合膜15との間の接合強度を特に高めることができる。
一方、各光導波路111、121の接合膜15と接触する領域にも、あらかじめ、接合膜15との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、各光導波路111、121と接合膜15との間の接合強度をより高めることができる。
なお、この表面処理には、基体2に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができる。
また、表面処理に代えて、各光導波路111、121の接合膜15と接触する領域に、あらかじめ、接合膜15との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。これにより、各光導波路111、121と接合膜15との間の接合強度をより高めることができる。
かかる中間層の構成材料には、前述の基体2に形成する中間層の構成材料と同様のものを用いることができる。
ここで、本工程において、接合膜15を備える基体2と、各光導波路111、121とが接合されるメカニズムについて説明する。
例えば、各光導波路111、121の基体2との接合に供される領域に、水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、接合膜15と各光導波路111、121とが接触するように、基体2と各光導波路111、121とを貼り合わせたとき、接合膜15の表面35に存在する水酸基と、各光導波路111、121の前記領域に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、接合膜15を備える基体2と各光導波路111、121とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、接合膜15と各光導波路111、121との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、接合膜15を介して基体2と各光導波路111、121とがより強固に接合されると推察される。
なお、前記工程[3−2]で活性化された接合膜15の表面は、その活性状態が経時的に緩和してしまう。このため、前記工程[3−2]の終了後、できるだけ早く本工程[3−3]を行うようにするのが好ましい。具体的には、前記工程[3−2]の終了後、60分以内に本工程[3−3]を行うようにするのが好ましく、5分以内に行うのがより好ましい。かかる時間内であれば、接合膜15の表面が十分な活性状態を維持しているので、本工程で接合膜15を備える基体2と各光導波路111、121とを貼り合わせたとき、これらの間に十分な接合強度を得ることができる。
このようにして接合された支持部24と各光導波路111、121との間は、その接合強度が5MPa(50kgf/cm)以上であるのが好ましく、10MPa(100kgf/cm)以上であるのがより好ましい。このような接合強度であれば、接合界面の剥離を十分に防止し得るものとなる。そして、信頼性の高いアクチュエータ1が得られる。
[3−4]次に、図12(c)に示すように、各光導波路111、121上に、各発光素子112、122を取り付けて、アクチュエータ1を得る。
なお、上記では、基体2上に成膜された接合膜15と各光導波路111、121とが密着するように貼り合わせる場合について説明しているが、各光導波路111、121の下面に成膜された接合膜15と基体2とが密着するように、基体2と各光導波路111、121とを貼り合わせるようにしてもよい。
また、接合膜15は、基体2と各光導波路111、121の双方に成膜されていてもよい。この場合、基体2上に成膜された接合膜15と、各光導波路111、121の下面に成膜された接合膜15とが密着するように、基体2と各光導波路111、121とを貼り合わせることにより、これらをより強固に接合することができる。
また、アクチュエータ1を得た後、このアクチュエータ1に対して、必要に応じ、以下の2つの工程([4A]および[4B])のうちの少なくとも1つの工程(アクチュエータ1の接合強度を高める工程)を行うようにしてもよい。これにより、アクチュエータ1の各部の接合強度のさらなる向上を図ることができる。
[4A]得られたアクチュエータ1を圧縮するように、具体的には、基体2と各光導波路111、121とが互いに近づく方向に加圧する。
これにより、上記各部の表面と隣接する接合膜の表面とがより近接し、アクチュエータ1における接合強度をより高めることができる。
また、アクチュエータ1を加圧することにより、アクチュエータ1中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、アクチュエータ1における接合強度をさらに高めることができる。
なお、この圧力は、アクチュエータ1の各部の構成材料や形状、接合装置等の条件に応じて、適宜調整すればよい。具体的には、上記条件に応じて若干異なるものの、0.2〜10MPa程度であるのが好ましく、1〜5MPa程度であるのがより好ましい。これにより、アクチュエータ1の接合強度を確実に高めることができる。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、アクチュエータ1の各部の構成材料によっては、アクチュエータ1に損傷等が生じるおそれがある。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、アクチュエータ1を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
[4B]得られたアクチュエータ1を加熱する。
これにより、アクチュエータ1における接合強度をより高めることができる。
このとき、アクチュエータ1を加熱する際の温度は、室温より高く、アクチュエータ1の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜100℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、アクチュエータ1が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましい。
なお、前記工程[4A]、[4B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、アクチュエータ1を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、アクチュエータ1の接合強度を特に高めることができる。
以上のような工程を行うことにより、アクチュエータ1における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第2実施形態について説明する。
図16は、本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す平面図、図17は、図16に示すアクチュエータに備えられた光学センサを説明するための斜視図、図18は、図16に示すアクチュエータに備えられた光学センサの動作を説明するための図である。
本実施形態にかかるアクチュエータ1Aは、光学センサの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかるアクチュエータ1と同様である。
本実施形態にかかるアクチュエータ1Aは、第2の質量部23の側面(図16における右側面)の通過を検知する反射式の光学センサ10Aを備え、この光学センサ10Aによって検知された光の強度に基づき、第2の質量部23の挙動を検知するようになっている。
より具体的に説明すると、光学センサ10Aは、発光素子112からの光を光導波路111Aを介して第2の質量部23の回動空間に向け照射するとともに、第2の質量部23で反射した前記光を光導波路111Aを介して受光素子122で受光するようになっている。
さらに具体的に説明すると、光導波路111Aは、光伝送経路である線状のコア部113A、123Aと、これらのコア部113A、123Aのそれぞれの外周を覆うクラッド部114Aと有している。
そして、線状のコア部113Aの両端面のうち、一端面115Aは第2の質量部23の回動空間に対向し、他端面116Aは発光素子112に接続されている。これにより、コア部113Aを通じて、発光素子112の光を第2の質量部23の回動空間へ照射することができる。
線状のコア部123Aの両端面のうち、一端面125Aは第2の質量部23の回動空間に対向し、他端面126Aは受光素子122に接続されている。これにより、コア部123Aを通じて、第2の質量部23で反射した光を受光素子122で受光することができる。
このような光学センサ10Aにおいては、図17および図18(a)に示すように、第2の質量部23が、非駆動状態(ホームポジション)にあるとき、コア部113Aの一端面115Aとコア部123Aの一端面125Aとのそれぞれよりも下方に位置している。
そして、アクチュエータ1Aが駆動状態となると、第2の質量部23が、図18(b)に示すように、一端面115Aから射出した光が第2の質量部23の側面で反射して一端面125Aに一時的に入光した後、図18(c)に示すように、振れ角が最大となる位置へ至る。
その後、第2の質量部23が、図18(d)に示すように、一端面115Aから射出した光が第2の質量部23の側面で再度反射して一端面125Aに一時的に入光した後、図18(e)に示すように、ホームポジションへ至る。
前述したように第2の質量部23は単振動し、かつ、光学センサ10Aは固定配置されているので、一端面125Aからコア部123Aを通じて受光素子122で受光するタイミングや時間長さを計測に基づいて、第2の質量部23の挙動を検知することができる。
このように、発光素子112(発光部)と受光素子122(受光部)が、ともに前記回動空間に対し一方の側に配設され、これらの対象とする第2の質量部23が所定の回動角となったときのみ、発光素子112からの光が第2の質量部23の側面にて反射して受光素子122で受光される。そして、受光素子122での受光の有無に基づいて、第2の質量部23の挙動を検知する。
以上説明したようなアクチュエータ1Aにあっても、前述した第1実施形態にかかるアクチュエータ1と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第3実施形態について説明する。
図19は、本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す平面図である。
本実施形態にかかるアクチュエータ1Bは、光学センサの検知対象が第1の質量部22である以外は、前述した第2実施形態にかかるアクチュエータ1Aと同様である。
より具体的に説明すると、本実施形態にかかるアクチュエータ1Bは、第1の質量部22の側面(図19における右側面)の通過を検知する反射式の光学センサ10Bを備え、この光学センサ10Bによって検知された光の強度に基づき、第2の質量部23の挙動を検知するようになっている。
光学センサ10Bは、発光素子112からの光を光導波路111Bを介して第1の質量部22の回動空間に向け照射するとともに、第1の質量部22で反射した前記光を光導波路111Bを介して受光素子122で受光するようになっている。
さらに具体的に説明すると、光導波路111Bは、光伝送経路である線状のコア部113B、123Bと、これらのコア部113B、123Bのそれぞれの外周を覆うクラッド部114Bと有している。
このように、発光素子112(発光部)と受光素子122(受光部)が、ともに第1の質量部22の回動空間に対し一方の側に配設され、これらの対象とする第1の質量部22が所定の回動角となったときのみ、発光素子112からの光が第1の質量部22の側面にて反射して受光素子122で受光される。そして、受光素子122での受光の有無に基づいて、第2の質量部23の挙動を検知する。
以上説明したようなアクチュエータ1Aにあっても、前述した第1実施形態にかかるアクチュエータ1と同様の効果を得ることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第4実施形態について説明する。
図20は、第4実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図21は、第4実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。なお、以下の説明では、図20および図21中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、アクチュエータの第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態にかかるアクチュエータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかるアクチュエータは、接合膜の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかるアクチュエータは、接合膜15がエネルギー付与前の状態で、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子と、これら金属原子および酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基303とを含むものである。換言すれば、エネルギー付与前の接合膜15は、図20に示すように、金属酸化物で構成される金属酸化物膜に脱離基303を導入した膜であると言うことができる。
このような接合膜15は、エネルギーが付与されると、脱離基303が金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離し、接合膜15の少なくとも表面付近に、図21に示す活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜15の表面に、前記第1実施形態と同様の接着性が発現する。
以下、本実施形態にかかる接合膜15について説明する。
接合膜15は、金属原子と、この金属原子と結合する酸素原子とで構成されるもの、すなわち金属酸化物に脱離基303が結合したものであることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜15自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られるアクチュエータ1においても、寸法精度が高いものが得られる。
さらに、接合膜15は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜15)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、接合膜15を用いて得られたアクチュエータ1の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
また、本発明では、接合膜15は、導電性を有するものであるのが好ましい。これにより、後述するアクチュエータ1において、意図しない帯電を抑制または防止することができる。その結果、静電気力に伴うアクチュエータ1の不具合、具体的には、アクチュエータ1への異物吸着や、各質量部21、22、23の不本意な動作を防止することができる。
また、導電性を有する接合膜15は、電力線および信号線としての機能を併せ持つことができる。これにより、接合膜15を介して電力や各種制御信号をやり取りすることができる。その結果、別途電力線や信号線等を設ける必要がなくなり、アクチュエータ1の構造をより簡単にすることができる。そして、アクチュエータ1の集積度を高めることができ、さらなる小型化および薄型化を図ることができる。
また、接合膜15が導電性を有する場合、接合膜15の抵抗率は、構成材料の組成に応じて若干異なるものの、1×10−3Ω・cm以下であるのが好ましく、1×10−4Ω・cm以下であるのがより好ましい。
なお、脱離基303は、少なくとも接合膜15の表面35付近に存在していればよく、接合膜15のほぼ全体に存在していてもよいし、接合膜15の表面35付近に偏在していてもよい。脱離基303が表面35付近に偏在する構成とすることにより、接合膜15に金属酸化物膜としての機能を好適に発揮させることができる。すなわち、接合膜15に、接合を担う機能の他に、導電性や透光性等の特性に優れた金属酸化物膜としての機能を好適に付与することができるという利点も得られる。換言すれば、脱離基303が、接合膜15の導電性や透光性等の特性を阻害してしまうのを確実に防止することができる。
以上のような接合膜15としての機能が好適に発揮されるように、金属原子が選択される。
具体的には、金属原子としては、特に限定されないが、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、TiおよびPb等が挙げられる。中でも、In(インジウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Ti(チタン)およびSb(アンチモン)のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。接合膜15を、これらの金属原子を含むもの、すなわちこれらの金属原子を含む金属酸化物に脱離基303を導入したものとすることにより、接合膜15は、優れた導電性と透明性とを発揮するものとなる。
より具体的には、金属酸化物としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、フッ素含有インジウム錫酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO)等が挙げられる。
なお、金属酸化物としてインジウム錫酸化物(ITO)を用いる場合には、インジウムとスズとの原子比(インジウム/スズ比)は、99/1〜80/20であるのが好ましく、97/3〜85/15であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、接合膜15中の金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と酸素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜15の安定性が高くなり、基体2と各光導波路111、121とをより強固に接合することができるようになる。
また、脱離基303は、前述したように、金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離することにより、接合膜15に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜15に確実に結合しているものが好適に選択される。
かかる観点から、脱離基303には、水素原子、炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子、またはこれらの各原子で構成される原子団のうちの少なくとも1種が好適に用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、基体2と各光導波路111、121との接着性をより高度なものとすることができる。
なお、上記の各原子で構成される原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基およびスルホン酸基等が挙げられる。
以上のような各原子および原子団の中でも、脱離基303は、特に、水素原子であるのが好ましい。水素原子で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303として水素原子を備える接合膜15は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
以上のことを考慮すると、接合膜15としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、フッ素含有インジウム錫酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)または二酸化チタン(TiO)の金属酸化物に、脱離基303として水素原子が導入されたものが好適に選択される。
かかる構成の接合膜15は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、このような接合膜15は、基体2に対して特に強固に接着するとともに、各光導波路111、121に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、基体2と各光導波路111、121とを強固に接合することができる。
また、接合膜15の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜15の平均厚さを前記範囲内とすることにより、アクチュエータ1の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、基体2と各光導波路111、121とをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜15の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜15の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、アクチュエータ1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜15の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜15にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、基体2の接合面(接合膜15を成膜する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜15を被着させることができる。その結果、接合膜15は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、基体2と各光導波路111、121とを貼り合わせた際に、接合膜15の各光導波路111、121に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜15の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜15の厚さをできるだけ厚くすればよい。
以上説明したような接合膜15は、接合膜15のほぼ全体に脱離基303を存在させる場合には、例えば、A:脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成することができる。また、脱離基303を接合膜15の表面35付近に偏在させる場合には、例えば、B:金属原子と前記酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することにより形成することができる。
以下、AおよびBの方法を用いて、基体2上に接合膜15を成膜する場合について、詳述する。
<A> Aの方法では、接合膜15は、上記のように、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法(PVD法)により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成される。このようにPVD法を用いる構成とすれば、金属酸化物材料を基体2に向かって飛来させる際に、比較的容易に金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することができる。このため、接合膜15のほぼ全体にわたって脱離基303を導入することができる。
さらに、PVD法によれば、緻密で均質な接合膜15を効率よく成膜することができる。これにより、PVD法で成膜された接合膜15は、各光導波路111、121に対して特に強固に接合し得るものとなる。さらに、PVD法で成膜された接合膜15は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、アクチュエータ1の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気中に、金属酸化物の粒子を叩き出すことができる。そして、金属酸化物の粒子が叩き出された状態で、脱離基303を構成する原子成分を含むガスと接触させることができるため、金属酸化物(金属原子または酸素原子)への脱離基303の導入をより円滑に行うことができる。
以下、PVD法により接合膜15を成膜する方法として、スパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により、接合膜15を成膜する場合を代表に説明する。
まず、接合膜15の成膜方法を説明するのに先立って、基体2上にイオンビームスパッタリング法により接合膜15を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
図22は、本実施形態にかかる接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図、図23は、図22に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図である。なお、以下の説明では、図22中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図22に示す成膜装置200は、イオンビームスパッタリング法による接合膜15の形成がチャンバー(装置)内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置200は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、基体2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に設置され、チャンバー211内に向かってイオンビームBを照射するイオン源(イオン供給部)215と、イオンビームBの照射により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物(例えば、ITO)を発生させるターゲット(金属酸化物材料)216を保持するターゲットホルダー(ターゲット保持部)217とを有している。
また、チャンバー211には、チャンバー211内に、脱離基303を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を供給するガス供給手段260と、チャンバー211内の排気をして圧力を制御する排気手段230とを有している。
なお、本実施形態では、基板ホルダー212は、チャンバー211の天井部に取り付けられている。この基板ホルダー212は、回動可能となっている。これにより、基体2上に接合膜15を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
イオン源(イオン銃)215は、図23に示すように、開口(照射口)250が形成されたイオン発生室256と、イオン発生室256内に設けられたフィラメント257と、グリッド253、254と、イオン発生室256の外側に設置された磁石255とを有している。
また、イオン発生室256には、図22に示すように、その内部にガス(スパッタリング用ガス)を供給するガス供給源219が接続されている。
このイオン源215では、イオン発生室256内に、ガス供給源219からガスを供給した状態で、フィラメント257を通電加熱すると、フィラメント257から電子が放出され、放出された電子が磁石255の磁場によって運動し、イオン発生室256内に供給されたガス分子と衝突する。これにより、ガス分子がイオン化する。このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254との間の電圧勾配により、イオン発生室256内から引き出されるとともに加速され、開口250を介してイオンビームBとしてイオン源215から放出(照射)される。
イオン源215から照射されたイオンビームBは、ターゲット216の表面に衝突し、ターゲット216からは粒子(スパッタ粒子)が叩き出される。このターゲット216は、前述したような金属酸化物材料で構成されている。
この成膜装置200では、イオン源215は、その開口250がチャンバー211内に位置するように、チャンバー211の側壁に固定(設置)されている。なお、イオン源215は、チャンバー211から離間した位置に配置し、接続部を介してチャンバー211に接続した構成とすることもできるが、本実施形態のような構成とすることにより、成膜装置200の小型化を図ることができる。
また、イオン源215は、その開口250が、基板ホルダー212と異なる方向、本実施形態では、チャンバー211の底部側を向くように設置されている。
なお、イオン源215の設置個数は、1つに限定されるものではなく、複数とすることもできる。イオン源215を複数設置することにより、接合膜15の成膜速度をより速くすることができる。
また、ターゲットホルダー217および基板ホルダー212の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができる第1のシャッター220および第2のシャッター221が配設されている。
これらシャッター220、221は、それぞれ、ターゲット216、基体2および接合膜15が、不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
また、排気手段230は、ポンプ232と、ポンプ232とチャンバー211とを連通する排気ライン231と、排気ライン231の途中に設けられたバルブ233とで構成されており、チャンバー211内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
さらに、ガス供給手段260は、脱離基303を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を貯留するガスボンベ264と、ガスボンベ264からこのガスをチャンバー211に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ262およびバルブ263とで構成されており、脱離基303を構成する原子成分を含むガスをチャンバー211内に供給し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置200を用いて、以下のようにして接合膜15が形成される。
ここでは、基体2上に接合膜15を成膜する方法について説明する。
まず、基体2を用意し、この基体2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
さらに、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基303を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
また、チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、金属原子または酸素原子と、前記原子成分を含むガスとの反応が効率良く行われ、金属原子および酸素原子に確実に、前記原子成分を含むガスを導入することができる。
次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出される。このとき、チャンバー211内が脱離基303を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)であることから、チャンバー211内に叩き出された粒子に含まれる金属原子および酸素原子に脱離基303が導入される。そして、この脱離基303が導入された金属酸化物が基体2上に堆積することにより、接合膜15が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子eが発生するが、この電子eは、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜15に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜15の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
以上のようにして、ほぼ全体にわたって脱離基303が存在する接合膜15を成膜することができる。
<B> 一方、Bの方法では、接合膜15は、上記のように、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することにより形成される。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を偏在させた状態で導入することができ、接合膜および金属酸化物膜としての双方の特性に優れた接合膜15を形成することができる。
ここで、金属酸化物膜は、いかなる方法で成膜されたものでもよく、例えば、PVD法(物理的気相成膜法)、CVD法(化学的気相成膜法)、プラズマ重合法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により成膜することができるが、中でも、特に、PVD法により成膜するのが好ましい。PVD法によれば、緻密で均質な金属酸化物膜を効率よく成膜することができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびレーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、雰囲気中に金属酸化物の粒子を叩き出して、基体2上に供給することができるため、特性に優れた金属酸化物膜を成膜することができる。
さらに、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を導入する方法としては、各種方法が用いられ、例えば、B1:脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で金属酸化物膜を熱処理(アニーリング)する方法、B2:イオン・インプランテーション等が挙げられるが、中でも、特に、B1の方法を用いるのが好ましい。B1の方法によれば、比較的容易に、脱離基303を金属酸化物膜の表面付近に選択的に導入することができる。また、熱処理を施す際の、雰囲気温度や処理時間等の処理条件を適宜設定することにより、導入する脱離基303の量、さらには脱離基303が導入される金属酸化物膜の厚さの制御を的確に行うことができる。
以下、金属酸化物膜をスパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により成膜し、次に、得られた金属酸化物膜を、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で熱処理(アニーリング)することにより、接合膜15を得る場合を代表に説明する。
なお、Bの方法を用いて接合膜15の成膜する場合も、Aの方法を用いて接合膜15を成膜する際に用いられる成膜装置200と同様の成膜装置が用いられるため、成膜装置に関する説明は省略する。
[i] まず、基体2を用意する。そして、この基体2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
[ii] 次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、膜密度の高い金属酸化物膜を成膜することができる。
[iii] 次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出され、基体2上に堆積して、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子とを含む金属酸化物膜が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子eが発生するが、この電子eは、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜15に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜15の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
[iv] 次に、第2のシャッター221を開いた状態で、第1のシャッター220を閉じる。
この状態で、加熱手段を動作させ、チャンバー211内をさらに加熱する。チャンバー211内の温度は、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303が導入される温度に設定され、100〜600℃程度であるのが好ましく、150〜300℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程[v]において、基体2および金属酸化物膜を変質・劣化させることなく、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303を導入することができる。
[v] 次に、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基303を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー211内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
このように、前記工程[iv]でチャンバー211内が加熱された状態で、チャンバー211内を、脱離基303を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)とすると、金属酸化物膜の表面付近に存在する金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303が導入されて、接合膜15が形成される。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
なお、チャンバー211内は、前記工程[ii]において、排気手段230を動作させることにより調整された減圧状態を維持しているのが好ましい。これにより、金属酸化物膜の表面付近に対する脱離基303の導入をより円滑に行うことができる。また、前記工程[ii]の減圧状態を維持したまま、本工程においてチャンバー211内を減圧する構成とすることにより、再度減圧する手間が省けることから、成膜時間および成膜コスト等の削減を図ることができるという利点も得られる。
この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、熱処理を施す時間は、15〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
導入する脱離基303の種類等によっても異なるが、熱処理を施す際の条件(チャンバー211内の温度、真空度、ガス流量、処理時間)を上記範囲内に設定することにより、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を選択的に導入することができる。
以上のようにして、表面35付近に脱離基303が偏在する接合膜15を成膜することができる。
以上のような第4実施形態にかかるアクチュエータ1においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<第5実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第5実施形態について説明する。
以下、アクチュエータの第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態にかかるアクチュエータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかるアクチュエータは、接合膜の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかるアクチュエータは、接合膜15がエネルギー付与前の状態で、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜15は、エネルギーが付与されると、脱離基303が接合膜15から脱離し、接合膜15の少なくとも表面付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜15の表面に、前記第1実施形態と同様の接着性が発現する。
以下、本実施形態にかかる接合膜15について説明する。
接合膜15は、基体2上に設けられ、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜15は、エネルギーが付与されると、脱離基303が接合膜15の少なくとも表面35付近から脱離し、図21に示すように、接合膜15の少なくとも表面35付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜15の表面35に接着性が発現する。かかる接着性が発現すると、接合膜15を備えた基体2は、各光導波路111、121に対して、高い寸法精度で強固に効率よく接合可能なものとなる。
また、接合膜15は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303とを含むもの、すなわち有機金属膜であることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜15自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られるアクチュエータ1においても、寸法精度が高いものが得られる。
このような接合膜15は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜15)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、このような接合膜15を用いて得られたアクチュエータ1の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
また、本発明では、接合膜15は、導電性を有するものであるのが好ましい。これにより、後述するアクチュエータ1において、意図しない帯電を抑制または防止することができる。その結果、静電気力に伴うアクチュエータ1の不具合、具体的には、アクチュエータ1への異物吸着や、各質量部21、22、23の不本意な動作を防止することができる。
また、導電性を有する接合膜15は、電力線および信号線としての機能を併せ持つことができる。これにより、接合膜15を介して電力や各種制御信号をやり取りすることができる。その結果、別途電力線や信号線等を設ける必要がなくなり、アクチュエータ1の構造をより簡単にすることができる。そして、アクチュエータ1の集積度を高めることができ、さらなる小型化および薄型化を図ることができる。
以上のような接合膜15としての機能が好適に発揮されるように、金属原子および脱離基303が選択される。
具体的には、金属原子としては、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、TiおよびPb等が挙げられる。中でも、Cu、Al、ZnおよびFeのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。接合膜15を、これらの金属原子を含むものとすることにより、接合膜15は、優れた導電性を発揮するものとなる。また、接合膜15を後述する有機金属化学気相成長法を用いて成膜する場合には、これらの金属を含む金属錯体等を原材料として用いて、比較的容易かつ均一な膜厚の接合膜15を成膜することができる。
また、脱離基303は、前述したように、接合膜15から脱離することにより、接合膜15に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜15に確実に結合しているものが好適に選択される。
具体的には、脱離基303としては、炭素原子を必須成分とし、水素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子のうちの少なくとも1種を含む原子団が好適に選択される。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜15の接着性をより高度なものとすることができる。
より具体的には、原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基の他、前記アルキル基の末端がイソシアネート基、アミノ基およびスルホン酸基等で終端しているもの等が挙げられる。
以上のような原子団の中でも、脱離基303は、特に、アルキル基であるのが好ましい。アルキル基で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303としてアルキル基を備える接合膜15は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
また、かかる構成の接合膜15において、金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と炭素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜15の安定性が高くなり、基体2と各光導波路111、121とをより強固に接合することができるようになる。また、接合膜15を優れた導電性を発揮するものとすることができる。
また、接合膜15の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜15の平均厚さを前記範囲内とすることにより、アクチュエータ1の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、基体2と各光導波路111、121とをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜15の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜15の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、アクチュエータ1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜15の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜15にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、基体2の接合面(接合膜15を成膜する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜15を被着させることができる。その結果、接合膜15は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、基体2と各光導波路111、121とを貼り合わせた際に、接合膜15の各光導波路111、121に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜15の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜15の厚さをできるだけ厚くすればよい。
以上説明したような接合膜15は、いかなる方法で成膜してもよいが、例えば、IIa:金属原子で構成される金属膜に、脱離基(有機成分)303を含む有機物を導入して接合膜15を形成する方法、IIb:金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜15を形成する方法(積層させる方法あるいは、単原子層からなる接合膜を形成)、IIc:金属原子と脱離基303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として適切な溶媒に溶解させスピンコート法などを用いて接合膜を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、IIbの方法により接合膜15を成膜するのが好ましい。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、かつ、均一な膜厚の接合膜15を形成することができる。
以下、IIbの方法、すなわち金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜15を形成する方法により、接合膜15を得る場合を代表に説明する。
まず、接合膜15の成膜方法を説明するのに先立って、接合膜15を成膜する際に用いられる成膜装置400について説明する。
図24は、本実施形態において、接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図24中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図24に示す成膜装置400は、有機金属化学気相成長法(以下、「MOCVD法」と省略することもある。)による接合膜15の形成をチャンバー411内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置400は、チャンバー(真空チャンバー)411と、このチャンバー411内に設置され、基体2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)412と、チャンバー411内に、気化した有機金属材料を供給する有機金属材料供給手段460と、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスを供給するガス供給手段470と、チャンバー411内の排気をして圧力を制御する排気手段430と、基板ホルダー412を加熱する加熱手段(図示せず)とを有している。
基板ホルダー412は、本実施形態では、チャンバー411の底部に取り付けられている。この基板ホルダー412は、モータの作動により回動可能となっている。これにより、基体2上に接合膜15を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
また、基板ホルダー412の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができるシャッター421が配設されている。このシャッター421は、基体2および接合膜15が不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
有機金属材料供給手段460は、チャンバー411に接続されている。この有機金属材料供給手段460は、固形状の有機金属材料を貯留する貯留槽462と、気化した有機金属材料をチャンバー411内に送気するキャリアガスを貯留するガスボンベ465と、キャリアガスと気化した有機金属材料をチャンバー411内に導くガス供給ライン461と、ガス供給ライン461の途中に設けられたポンプ464およびバルブ463とで構成されている。かかる構成の有機金属材料供給手段460では、貯留槽462は、加熱手段を有しており、この加熱手段の作動により固形状の有機金属材料を加熱して気化し得るようになっている。そのため、バルブ463を開放した状態で、ポンプ464を作動させて、キャリアガスをガスボンベ465から貯留槽462に供給すると、このキャリアガスとともに気化した有機金属材料が、供給ライン461内を通過してチャンバー411内に供給されるようになっている。
なお、キャリアガスとしては、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガス等が好適に用いられる。
また、本実施形態では、有機金属材料供給手段460がチャンバー411に接続されている。ガス供給手段470は、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスを貯留するガスボンベ475と、前記低還元性雰囲気下とするためのガスをチャンバー411内に導くガス供給ライン471と、ガス供給ライン471の途中に設けられたポンプ474およびバルブ473とで構成されている。かかる構成のガス供給手段470では、バルブ473を開放した状態で、ポンプ474を作動させると、前記低還元性雰囲気下とするためのガスが、ガスボンベ475から、供給ライン471を介して、チャンバー411内に供給されるようになっている。
チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスとしては、特に限定されないが、例えば、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、一酸化窒素、一酸化二窒素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でも、特に、水素ガスが好適に用いられる。かかるガスとして水素ガスを用いれば、チャンバー411内を確実に低還元性雰囲気下とすることができる。このため、有機金属材料を原材料としてMOCVD法を用いて接合膜15を成膜する際に、有機金属材料に含まれる有機成分の少なくとも一部を脱離基303として残存させた状態で接合膜15を成膜することができる。
また、排気手段430は、ポンプ432と、ポンプ432とチャンバー411とを連通する排気ライン431と、排気ライン431の途中に設けられたバルブ433とで構成されており、チャンバー411内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置400を用いてMOCVD法により、以下のようにして基体2上に接合膜15が形成される。
[i] まず、基体2を用意する。そして、この基体2を成膜装置400のチャンバー411内に搬入し、基板ホルダー412に装着(セット)する。
[ii] 次に、排気手段430を動作させ、すなわちポンプ432を作動させた状態でバルブ433を開くことにより、チャンバー411内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、ガス供給手段470を動作させ、すなわちポンプ474を作動させた状態でバルブ473を開くことにより、チャンバー411内に、低還元性雰囲気下とするためのガスを供給して、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とする。ガス供給手段470による前記ガスの流量は、特に限定されないが、0.1〜10ccm程度であるのが好ましく、1〜5ccm程度であるのがより好ましい。
さらに、このとき、加熱手段を動作させ、基板ホルダー412を加熱する。基板ホルダー412の温度は、形成する接合膜15の種類、すなわち、接合膜15を形成する際に用いる原材料の種類によっても若干異なるが、200〜600℃程度であるのが好ましく、250〜450℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、後述する有機金属材料を用いて、優れた接着性を有する接合膜15を成膜することができる。
[iii] 次に、シャッター421を開いた状態にする。
そして、固形状の有機金属材料を貯留された貯留槽462が備える加熱手段を動作させることにより、有機金属材料を気化させた状態で、ポンプ464を動作させるとともに、バルブ463を開くことにより、気化した有機金属材料をキャリアガスとともにチャンバー内に導入する。
このように、前記工程[ii]で基板ホルダー412が加熱された状態で、チャンバー411内に、気化した有機金属材料を供給すると、基体2上で有機金属材料が加熱されることにより、有機金属材料中に含まれる有機物の一部が残存した状態で、基体2上に接合膜15を形成することができる。
すなわち、MOCVD法によれば、有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存するように金属原子を含む膜を形成すれば、この有機物の一部が脱離基303としての機能を発揮する接合膜15を基体2上に形成することができる。
このようなMOCVD法に用いられる、有機金属材料としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ペンタジオネート−銅(II)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、(8−ヒドロキシキノリン)亜鉛(Znq)、銅フタロシアニン等、各種遷移金属元素を含んだアミド系、アセチルアセトネート系、アルコキシ系、シリコンを含むシリル系、カルボキシル基をもつカルボニル系のような金属錯体、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、ジエチル亜鉛のようなアルキル金属や、その誘導体等が挙げられる。これらの中でも、有機金属材料としては、金属錯体であるのが好ましい。金属錯体を用いることにより、金属錯体中に含まれる有機物の一部を残存した状態で、接合膜15を確実に形成することができる。
また、本実施形態では、ガス供給手段470を動作させることにより、チャンバー411内を低還元性雰囲気下となっているが、このような雰囲気下とすることにより、基体2上に純粋な金属膜が形成されることなく、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で成膜することができる。すなわち、接合膜および金属膜としての双方の特性に優れた接合膜15を形成することができる。
気化した有機金属材料の流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、均一な膜厚で、かつ、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で、接合膜15を成膜することができる。
以上のように、接合膜15を成膜した際に膜中に残存する残存物を脱離基303として用いる構成とすることにより、形成した金属膜等に脱離基を導入する必要がなく、比較的簡単な工程で接合膜15を成膜することができる。
なお、有機金属材料を用いて形成された接合膜15に残存する前記有機物の一部は、その全てが脱離基303として機能するものであってもよいし、その一部が脱離基303として機能するものであってもよい。
以上のようにして、接合膜15を成膜することができる。
以上のような第5実施形態にかかるアクチュエータ1においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
ここで、以上説明したようなアクチュエータ1、1A、1Bを光スキャナとして用いた場合について説明する。
このような光スキャナは、例えば、レーザープリンタ、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。この場合、光反射部29で反射した光を主走査および/または副走査して、対象物上に画像を形成する。
以下、本発明の光スキャナを備えた画像形成装置の具体例を説明する。
まず、電子写真方式を採用するプリンタに本発明を適用した例を説明する。
図25は、本発明の光スキャナを備える画像形成装置(プリンタ)の一例を示す全体構成の模式的断面図、図26は、図25に示す画像形成装置に備えられた露光ユニットの概略構成を示す図である。
図25に示す画像形成装置510(プリンタ)は、露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって、トナーからなる画像を紙やOHPシートなどの記録媒体に記録するものである。このような画像形成装置510は、図25に示すように、図示矢印方向に回転する感光体511を有し、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット512、露光ユニット513、現像ユニット514、転写ユニット515、クリーニングユニット516が配設されている。また、画像形成装置510は、図25にて、下部に、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ517が設けられ、上部に、定着装置518が設けられている。
このような画像形成装置510にあっては、まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体511、現像ユニット514に設けられた現像ローラ(図示せず)、および中間転写ベルト551が回転を開始する。そして、感光体511は、回転しながら、帯電ユニット512により順次帯電される。
感光体511の帯電された領域は、感光体511の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット513によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
感光体511上に形成された潜像は、感光体511の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像のための現像装置544によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体511上にイエロートナー像が形成される。このとき、現像ユニット514は、現像装置544が選択的に前記現像位置にて感光体511と対向している。なお、この選択は、保持体545の軸546まわりの回転により、現像装置541〜544の相対位置関係を維持しつつそれぞれの位置を変えることで行う。
感光体511上に形成されたイエロートナー像は、感光体511の回転に伴って一次転写位置(すなわち、感光体511と一次転写ローラ552との対向部)に至り、一次転写ローラ552によって、中間転写ベルト551に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ552には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ローラ555は、中間転写ベルト551から離間している。
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト551に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト551上にはフルカラートナー像が形成される。
一方、記録媒体Pは、給紙トレイ517から、給紙ローラ571、レジローラ572によって二次転写位置(すなわち、二次転写ローラ555と駆動ローラ554との対向部)へ搬送される。
中間転写ベルト551上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト551の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ローラ555によって記録媒体Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ555は中間転写ベルト551に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。また、中間転写ベルト551は、駆動ローラ554を回転させることで一次転写ローラ552および従動ローラ553を従動回転させながら回転する。
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置518によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、片面プリントの場合には、記録媒体Pは、排紙ローラ対573によって画像形成装置510の外部へ排出される。
一方、感光体511は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット516のクリーニングブレード561によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット516内の残存トナー回収部に回収される。
両面プリントの場合には、定着装置518によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラ対573により挟持した後に、排紙ローラ対573を反転駆動するとともに、搬送ローラ対574、576を駆動して、当該記録媒体Pを搬送路575を通じて表裏反転して二次転写位置へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
このような画像形成装置に備えられた露光ユニット513は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光体511上に、レーザーを選択的に照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
より具体的に説明すると、露光ユニット513は、図26に示すように、光スキャナであるアクチュエータ1と、レーザー光源531と、コリメータレンズ532と、fθレンズ533とを有している。
露光ユニット513にあっては、レーザー光源531からコリメータレンズ532を介してアクチュエータ1(光反射部29)にレーザー光Lが照射される。そして、光反射部29で反射したレーザー光Lがfθレンズを介して感光体511上に照射される。
その際、アクチュエータ1の駆動(第2の質量部23の回動中心軸Xまわりの回動)により、光反射部29で反射した光(レーザーL)は、感光体511の軸線方向に走査(主走査)される。一方、感光体511の回転により、光反射部29で反射した光(レーザーL)は、感光体511の周方向に走査(副走査)される。また、レーザー光源531から出力されるレーザー光Lの強度は、図示しないホストコンピュータから受けた画像情報に応じて変化する。
このようにして露光ユニット513は、感光体511上を選択的に露光して画像形成(描画)を行う。
次に、イメージングディスプレイ(表示装置)に本発明を適用した例を説明する。
図27は、本発明の画像形成装置(イメージングディスプレイ)の一例を示す概略図である。
図27に示す画像形成装置519は、光スキャナであるアクチュエータ1と、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の光源591、592、593と、クロスダイクロイックプリズム(Xプリズム)594と、ガルバノミラー595と、固定ミラー596と、スクリーン597とを備えている。
このような画像形成装置519にあっては、光源591、592、593からクロスダイクロイックプリズム594を介してアクチュエータ1(光反射部29)に各色の光が照射される。このとき、光源591からの赤色の光と、光源592からの緑色の光と、光源593からの青色の光とが、クロスダイクロイックプリズム594にて合成される。
そして、光反射部29で反射した光(3色の合成光)は、ガルバノミラー595で反射した後に、固定ミラー596で反射し、スクリーン597上に照射される。
その際、アクチュエータ1の駆動(第2の質量部23の回動中心軸Xまわりの回動)により、光反射部29で反射した光は、スクリーン597の横方向に走査(主走査)される。一方、ガルバノミラー595の軸線Yまわりの回転により、光反射部29で反射した光は、スクリーン597の縦方向に走査(副走査)される。また、各色の光源591、592、593から出力される光の強度は、図示しないホストコンピュータから受けた画像情報に応じて変化する。
このようにして画像形成装置519は、スクリーン597上に画像形成(描画)を行う。
以上、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明のアクチュエータでは、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、例えば、本発明のアクチュエータは、第1ないし第4実施形態の任意の構成から任意のものを組み合わせるようにしてもよい。
また、前記第1〜5実施形態のアクチュエータは、2自由度振動系を有するねじり振動子を用いたアクチュエータであるため、マイクロマシン技術を用いて製造することができ、小型化を図ることができる。特に、2自由度振動系を有するねじり振動子は、駆動電圧を低減しつつ、大きな振幅で可動部(第2の質量部23)を駆動することができる。
なお、本発明は2自由度振動系以外の振動系のアクチュエータにも適用することができる。例えば、前述した第1〜5実施形態において、第1の質量部および第1の弾性連結部を省略し、第2の弾性連結部により第2の質量部と支持部とを連結したような形態としてもよい。すなわち、本発明は、1自由度振動系を有するねじり振動子を用いたアクチュエータにも適用することができる。このようなねじり振動子を用いたアクチュエータにあっても、マイクロマシン技術を用いて製造することができるので、小型化を図ることができる。
また、前述した実施形態では、静電駆動により第1の質量部21、22を回動させ、これに伴い、第2の質量部23を回動させるもの、すなわち、可動部を駆動する駆動手段として静電駆動を用いたものを説明したが、駆動手段としては、これに限定されず、圧電駆動など他の駆動方式のものを採用することもできる。また、静電駆動を用いた駆動手段としては、前述したような平行平板型以外にも、櫛歯状電極を用いたものなど他の形態であってもよい。
本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1中のB−B線断面図である。 図1に示すアクチュエータの電極の配置を示す平面図である。 図1に示すアクチュエータの制御系を示すブロック図である。 図1に示すアクチュエータの駆動電圧の一例を示す図である。 駆動電圧(交流電圧)の周波数と、第1の質量部および第2の質量部の振幅との関係を示すグラフである。 図1に示すアクチュエータに備えられた光学センサを説明するための斜視図である。 図1に示すアクチュエータに備えられた光学センサの動作を説明するための図である。 図1に示すアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 図1に示すアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 図1に示すアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 第1実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図である。 第1実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。 第1実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜の作製に用いられるプラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。 本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す平面図である。 図16に示すアクチュエータに備えられた光学センサを説明するための斜視図である。 図16に示すアクチュエータに備えられた光学センサの動作を説明するための図である。 本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す平面図である。 第4実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図である。 第4実施形態にかかるアクチュエータが備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。 第4実施形態にかかる接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。 図22に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図である。 第5実施形態において、接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。 本発明の画像形成装置(プリンタ)の一例を示す全体構成の模式的断面図である。 図25に示す画像形成装置に備えられた露光ユニットの概略構成を示す図である。 本発明の画像形成装置(イメージングディスプレイ)の一例を示す概略図である。
符号の説明
1、1A、1B……アクチュエータ 2……基体 21、22……第1の質量部 21a、22a……端部 23……第2の質量部 23a……端部 24……支持部 25……第1の弾性連結部 26……第2の弾性連結部 27……回転中心軸 28……空間 29……光反射部 3……対向基板 31……開口部 32……電極 35……表面 4……接合膜 5……シリコン基板 51……凹部 6……金属マスク 7……レジストマスク 9……シリコン基板 10、10A、10B……光学センサ 11、11A……発光部 111、111A、111B……光導波路 112……発光素子 113、113A、113B……コア部 114、114A、114B……クラッド部 115、115A……一端面 116、116A……他端面 12……受光部 121……光導波路 122……受光素子 123、123A……コア部 124……クラッド部 125、125A……一端面 126、126A……他端面 13……通電回路 14……制御回路 141……CPU 142……AD変換回路 143……ROM 144……RAM 15……接合膜 L、L、L……距離 100……プラズマ重合装置 101……チャンバー 102……接地線 103……供給口 104……排気口 130……第1の電極 139……静電チャック 140……第2の電極 170……ポンプ 171……圧力制御機構 180……電源回路 182……高周波電源 183……マッチングボックス 184……配線 190……ガス供給部 191……貯液部 192……気化装置 193……ガスボンベ 194……配管 195……拡散板 200……成膜装置 211……チャンバー 212……基板ホルダー 215……イオン源 216……ターゲット 217……ターゲットホルダー 219……ガス供給源 220……第1のシャッター 221……第2のシャッター 230……排気手段 231……排気ライン 232……ポンプ 233……バルブ 250……開口 253……グリッド 254……グリッド 255……磁石 256……イオン発生室 257……フィラメント 260……ガス供給手段 261……ガス供給ライン 262……ポンプ 263……バルブ 264……ガスボンベ 301……Si骨格 302……シロキサン結合 303……脱離基 304……活性手 400……成膜装置 411……チャンバー 412……基板ホルダー 421……シャッター 430……排気手段 431……排気ライン 432……ポンプ 433……バルブ 460……有機金属材料供給手段 461……ガス供給ライン 462……貯留槽 463……バルブ 464……ポンプ 465……ガスボンベ 470……ガス供給手段 471……ガス供給ライン 473……バルブ 474……ポンプ 475……ガスボンベ 510……画像形成装置 511……感光体 512……帯電ユニット 513……露光ユニット 514……現像ユニット 515……転写ユニット 516……クリーニングユニット 517……給紙トレイ 518……定着装置 519……画像形成装置 531……レーザー光源 532……コリメータレンズ 533……fθレンズ 541〜544……現像装置 545……保持体 546……軸 551……中間転写ベルト 552……一次転写ローラ 553……従動ローラ 554……駆動ローラ 555……二次転写ローラ 561……クリーニングブレード 571……給紙ローラ 572……レジローラ 573……排紙ローラ対 574、576……搬送ローラ対 575……搬送路 591、592、593……光源 594……クロスダイクロイックプリズム 595……ガルバノミラー 596……固定ミラー 597……スクリーン P……記録媒体

Claims (21)

  1. 可動板と、該可動板を支持する支持部とを有し、前記可動板が前記支持部に対して回動可能に設けられた基体と、
    前記可動板を回動させる駆動手段と、
    前記可動板の挙動を検知するセンサとを有し、
    前記基体と前記センサの少なくとも一部とが接合膜を介して接合されており、
    前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基体と前記センサとを接合していることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%である請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3である請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記Si骨格の結晶化度は、45%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のアクチュエータ。
  5. 前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載のアクチュエータ。
  6. 前記脱離基は、アルキル基である請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものである請求項1ないし6のいずれかに記載のアクチュエータ。
  8. 前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されている請求項7に記載のアクチュエータ。
  9. 前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものである請求項8に記載のアクチュエータ。
  10. 前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmである請求項1ないし9のいずれかに記載のアクチュエータ。
  11. 可動板と、該可動板を支持する支持部とを有し、前記可動板が前記支持部に対して回動可能に設けられた基体と、
    前記可動板を回動させる駆動手段と、
    前記可動板の挙動を検知するセンサとを有し、
    前記基体と前記センサの少なくとも一部とが接合膜を介して接合されており、
    前記接合膜は、金属原子と、該金属原子に結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基体と前記センサとを接合していることを特徴とするアクチュエータ。
  12. 可動板と、該可動板を支持する支持部とを有し、前記可動板が前記支持部に対して回動可能に設けられた基体と、
    前記可動板を回動させる駆動手段と、
    前記可動板の挙動を検知するセンサとを有し、
    前記基体と前記センサの少なくとも一部とが接合膜を介して接合されており、
    前記接合膜は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基体と前記センサとを接合していることを特徴とするアクチュエータ。
  13. 前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものである請求項1ないし12のいずれかに記載のアクチュエータ。
  14. さらに、前記センサからの信号を受信して、前記可動板の挙動として、前記可動板の振動の振幅、振動数および変位量のうちの少なくとも1つを検知する挙動検知手段を有する請求項1ないし13のいずれかに記載のアクチュエータ。
  15. 前記センサは、前記接合膜を介して前記支持部に接合された、前記可動板の側方からその回動空間に向け光を発光する発光部と、前記接合膜を介して前記支持部に接合された、前記発光部で発光された光を受光する受光部とを有しており、
    前記挙動検知手段は、前記受光部によって受光された光の強度に基づいて、前記可動板の挙動を光学的に検知するように構成されている請求項14に記載のアクチュエータ。
  16. 前記発光部は、発光素子および光導波路を有し、前記発光素子が前記光導波路を介して前記回動空間へ光を照射するように構成されており、
    前記接合膜を介して、前記光導波路が前記支持部に接合されている請求項15に記載のアクチュエータ。
  17. 前記受光部は、受光素子および光導波路を有し、前記受光素子が前記光導波路を介して受光するように構成されており、
    前記接合膜を介して、前記光導波路が前記支持部に接合されている請求項15または16に記載のアクチュエータ。
  18. 前記光導波路は、ガラス材料を主材料として構成されている請求項16または17に記載のアクチュエータ。
  19. 前記支持部は、シリコン材料を主材料として構成されている請求項15ないし18のいずれかに記載のアクチュエータ。
  20. 請求項1ないし19のいずれかに記載のアクチュエータと、
    前記可動板に設けられ、光反射性を有する光反射部とを有することを特徴とする光スキャナ。
  21. 請求項20に記載の光スキャナを備え、前記光反射部で反射した光を走査して、画像を形成するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
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