以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るエレベータ用防災用シャッター装置は、エレベータ扉の前に設置され、火災の発生時にはシャッターカーテンがエレベータ扉とエレベータホールとの間で閉じ移動し、全閉となったときのシャッターカーテンでエレベータ扉の前に防災区画を形成するための防災用シャッター装置である。 以下、このエレベータ用防災シャッター装置を説明する。図1は、そのエレベータ用防災シャッター装置の全体を示す正面図で、図2は図1のS2−S2線断面図、図3及び図4は、図1のエレベータ用防災シャッター装置の縦断面図である。
初めにエレベータの全体構造を説明する。図2及び図3に示すように、エレベータの昇降箱1が上下動する建物内の昇降路2とエレベータホール3とを区画する建物躯体となっているコンクリート製の壁4には、下面がエレベータホール3から続く床5となっている開口部6が形成され、エレベータ用出入口であるこの開口部6には、昇降路2側の奥において、エレベータ扉7が配置されている。壁4の厚さ内から昇降路2側に外れた位置に配置されているこのエレベータ扉7を開閉移動させるために、図3で示されているように、上部レール8と下部レール9がエレベータ扉7の上下に設けられている。
上部レール8には、エレベータ扉7の上部ブラケット7Aに取り付けられた上下のローラ10,11が転動自在に係合し、床5に設けられた下部レール9にはエレベータ扉7の下面に取り付けられた係合部材12がスライド自在に係合し、上のローラ10で吊り下げられた上吊り式となっているエレベータ扉7は、これらのローラ10,11と係合部材12の案内作用により図示しない駆動手段の駆動力で開閉移動する。
図1に示すとおり、開口部6の上部内面と左右の側部内面には、上枠部材13と側枠部材14が配設され、開口部6の上部内面を形成する上部内面部材となっている上枠部材13と、側部内面を形成する側部内面部材となっている側枠部材14により、開口部6の内面には三方枠となった開口部用外枠組み15が設けられている。これらの上枠部材13と側枠部材14はステンレス等の金属板製であり、開口部6の化粧材となっている。
図3で示すように、上枠部材13は、エレベータホール3側の立上り部13Aと、この立上り部13Aの下端からエレベータ扉7側へ水平に延びる延出部13Bとからなる。立上り部13Aは、壁4における開口部6より上部の下がり壁4Aのエレベータホール3側の表面に設けられた取付部材16に取り付けられ、延出部13Bは、下がり壁4Aの昇降路2側の表面に結合具17とブラケット18を介して結合された保持部材19に結合されている。この保持部材19に前記上部レール8が取り付けられている。
また、上枠部材13の立上り部13Aよりも上の取付部材16は、天井部材20でエレベータホール3と上下に仕切られた天井裏空間21に配置されている。この立上り部13Aには、図1に示すように、エレベータ用インジケータ22が配置されている。
本実施形態に係るエレベータ用防災シャッター装置は、図1に示すように、開閉移動することにより、言い換えると、上下動することにより、エレベータとエレベータホール3との間で開口部6を開放、閉鎖するシャッターカーテン30を備えている。図2に示すように、このシャッターカーテン30の左右両端部、言い換えると、シャッターカーテン30の開閉移動方向と直交するシャッターカーテン幅方向の両端部は、抜け止め部材30Aで抜け止めされながらガイド部材であるガイドレール37にスライド自在に挿入されている。シャッターカーテン30の開閉移動を案内するためのガイド部材となっているこれらの左右一対のガイドレール37は、壁4における開口部6の左右両側に設けられている側壁4Bのエレベータホール3側の表面の化粧材38に配置されている。また、これらのガイドレール37の配置位置は、開口部6の化粧材となっていて上枠部材13と側枠部材14からなる前記三方枠の外枠組み15よりもエレベータホール3側の位置となっている。
図3に示すように、シャッターカーテン30の上端は天井裏空間21に水平に配設されている巻取軸50に結合され、回転自在となっているこの巻取軸50によってシャッターカーテン30は巻き取られ、繰り出される。この巻き取り、繰り出しによってなされるシャッターカーテン30の上下動は、天井部材20に設けられているまぐさ39のスリットをシャッターカーテン30が挿通することによりなされる。巻取軸50は、図1で示されているとおり、左右の第1及び第2ブラケット51,52で支持され、これらのブラケット51,52は図3で示した取付部材16に取り付けられている。
シャッターカーテン30は、カーテン本体31と、このカーテン本体31の閉じ側の先端部、すなわち、カーテン本体31の下端部に設けられた座板32とを有している。カーテン本体31は、耐火性や遮煙性を有する薄厚部材により形成され、この薄厚部材は、例えば、シリカクロスやガラスクロスに耐火塗料を塗布及び/又は含浸させたものであり、したがって、カーテン本体31はスクリーン式となっている。また、座板32は金属製であり、この座板32も防火性と遮煙性とを有する。
図1で示されているとおり、座板32のエレベータホール3側の側面には、被係止部材33がシャッターカーテン30の幅方向中央位置に取り付けられ、この被係止部材33には被係止孔33Aが形成されている。この被係止部材33の真上位置において、図3で示すように、天井裏空間21に突出している前記まぐさ39の上面には、シャッターカーテン30を全開位置に係止させるための停止装置である係止装置34が配置され、具体的な構造を後述するこの係止装置34は、巻取軸50の巻き取りによってシャッターカーテン30が全開位置に達しているときに、言い換えると、座板32がまぐさ39に当接する位置まで達しているとき(図4参照)に、被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止することによってシャッターカーテン30の状態を全開位置での停止状態に維持させるための係止部材60を備えている。上下に揺動自在となっている通常時の係止部材60は、係止装置34の内部に設けられているストップ機構によって被係止孔33Aに挿入係止した水平姿勢となっており、これにより、シャッターカーテン30の状態は全開位置での停止状態に維持される。
係止装置34の内部には、火災の発生を検知する図示しないセンサからの信号で作動するソレノイドが組み込まれ、このソレノイドの作動によるストップ機構が解除されると、後述するように、係止部材60は、ばね力により下向きの揺動姿勢となって、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられ、シャッターカーテン30は座板32を含む自重によって下降し、すなわち、係止装置34によるシャッターカーテン30の係止が解除され、巻取軸50から繰り出されたシャッターカーテン30が前記床5への座板32の到達によって全閉位置に達すると、シャッターカーテン30によって防災区画が形成される。
なお、図1に示すように、エレベータホール3側の壁表面の化粧材38における右側のガイドレール37付近には、通常時はエレベータを呼び出すためのエレベータ呼出ボタンとして機能する後述の手動切換装置300が設置されており、上記ストップ機構は、この手動切換装置300が操作されることによっても解除可能となっており、火災を発見した人等がこの手動切換装置300を操作することによっても、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられ、シャッターカーテン30は座板32を含む自重によって下降し、全閉となる。この手動切換装置300の具体的な構造については後述する。
図1で示すように、シャッターカーテン30のエレベータ側の面には、以上のように全閉となったシャッターカーテン30を、エレベータを利用して避難してきた人が持ち上げてその下を通過できるようにした手掛け部材40,41が設けられている。手掛け部材40は、カーテン本体31を形成している上下の薄厚部材31A,31Bの重なり部分に形成されている袋部42に挿入された棒状部材であり、袋部42には切れ目があり、この切れ目から露出した手掛け部材40の一部に手を掛けることにより、シャッターカーテン30を持ち上げることができる。また、手掛け部材41は、手掛け部材40よりも下側の座板32に取り付けられ、手掛け部材40による持ち上げである高さまで上昇した座板32を、この手掛け部材41でさらに高い位置まで持ち上げることができるようになっている。
前記巻取軸50の内部には、リターンばねが配置され、シャッターカーテン30が自重で上述のように下降して巻取軸50から繰り出される際に、このリターンばねは回転する巻取軸50でばね力が蓄圧される。このため、シャッターカーテン30の自重による下降は、リターンばねが蓄圧される分だけ減速される。上述のようにエレベータを利用して避難してきた人がシャッターカーテン30を持ち上げてその下を通過するため、手掛け部材40,41でシャッターカーテン30を持ち上げて上昇させるときには、すなわち、シャッターカーテン30を巻取軸50で巻き取るときには、リターンばねの蓄圧されたばね力が、シャッターカーテン30を巻き取るための巻取軸50の回転に利用され、このばね力が補助力となるため、シャッターカーテン30を軽く持ち上げることができる。
なお、全閉位置に達している又は全閉位置までの途中位置に達しているシャッターカーテン30の座板32に大きな押し上げ力を加えてシャッターカーテン30を高く上昇させると、この押し上げ力とリターンばねの蓄圧されたばね力とにより、シャッターカーテン30は全開位置に達する。また、前記係止装置34の係止部材60は上下の二股部分を有していて、下向きの揺動姿勢となっていたこの係止部材60の二股部のうちの上片部が、シャッターカーテン30と共に上昇してきた前記被係止部材33の上面で押し上げられ、これにより水平姿勢に復帰した係止部材60の二股部のうちの下片部が被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止する。このときの前記ストップ機構は、係止部材60が水平姿勢に戻ると同時にもとの状態に復帰しているため、シャッターカーテン30の状態は全開位置での停止状態に維持され、全部がもとの状態に戻る。
また、シャッターカーテン30が上下に挿通している図3のまぐさ39のスリットには遮煙部材43が設けられ、これにより、シャッターカーテン30が全閉となっているときに、火災で生じた煙がまぐさ39のスリットを通過してシャッターカーテン30の反対側に達するのを防止するようになっている。このような遮煙部材は、本実施形態では、シャッターカーテンの幅方向両端部がスライド自在に挿入されている左右のガイドレール37の内部に設けられていないが、設けてもよい。
次に、シャッターカーテン30を全開位置に係止させるための停止装置である係止装置34の具体的な構造を説明する。前述したように、図3は、図1のエレベータ用防災シャッター装置の縦断面図であって、係止装置34の内部に設けられているストップ機構の解除により、後述するように、係止部材60がばね力により下向きの揺動姿勢となり、シッターカーテン30が座板32を含む自重によって下降しているときの状態を示すものである。
図4は、図3において下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60の二股部のうちの上片部が、シャッターカーテン30と共に上昇してきた被係止部材33の上面で押し上げられ、これにより水平姿勢に復帰した係止部材60のうちの下片部が被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止しているときの状態を示すものである。
図5は、図3における係止装置34の拡大図であって、係止装置34の金属製のケース34Aにおけるシャッターカーテン30と対向する側面に形成されている開口部34Bからシャッターカーテン30側へ露出している上片部61Aと下片部61Bとを有する係止部材60が、下向きの揺動姿勢となっているときの状態を示すものである。また、図6は、図4における係止装置34の拡大図であって、係止装置34のケース34Aに形成されている開口部から露出している係止部材60が、水平姿勢を維持しているときの状態を示すものである。
図7は、図6のS7−S7線断面図であって、ストップ機構により係止部材60が水平姿勢を維持しているときの状態を示すものである。
図8は、図6のS8−S8線断面図であって、図7と同様に、ストップ機構により係止部材60が水平姿勢を維持しているときの状態を示すものである。また、図9は、図8の状態から、ストップ機構を手動で解除するための前述の手動切換装置300の操作により、ストップ機構が解除された直後の状態を示すものである。
図10は、図7のS10−S10線拡大断面図であり、図11は、図7のS11−S11線拡大断面図であり、ともにストップ機構により係止部材60が水平姿勢を維持しているときの状態を示すものである。
図7に示すように、係止装置34は、シャッターカーテン30が全開位置に達しているときに被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止することによって、シャッターカーテン30の状態を全開位置での停止状態に維持させる係止部材60と、この係止部材60を水平姿勢に維持させるストップ機構70と、火災の発生を検知する図示しないセンサからの信号によりストップ機構70を自動的に解除させるストップ機構自動解除機構80と、ストップ機構70が解除された旨の信号を外部に伝達するストップ機構解除確認信号伝達機構90と、さらに、ストップ機構70を手動で解除させるストップ機構手動解除機構100とからなっている。
図1及び図7に示すように、係止部材60は、シャッターカーテン30の幅方向である係止装置34の長さ方向の係止装置34の略中央部に配置されており、この係止部材60の両側には、図7に示すように、係止部材60を挟むように2個のブラケット76,77が並設されている。そして、これらの2個のブラケット76,77の間には、係止部材60を上下に揺動自在とするための揺動中心軸64(図7及び図10参照)が架設されている。
図10に示すように、係止部材60には、上片部61Aと下片部61Bとからなる二股部61が形成されており、係止部材60における二股部61の突出方向とは反対方向の部分は、シャッターカーテン30から遠ざかるように延出する後方延出部62となっている。
この後方延出部62は、係止部材60が水平姿勢を維持している状態において、シャッターカーテン30から遠ざかるように斜め下方に向かって延びる下方斜延辺62Aと、シャッターカーテン30から遠ざかるように水平に延びる水平辺62Bと、シャッターカーテン30へ近づくように斜め下方に向かって延びる後端辺62Cとを有して形成され、したがって、後方延出部62は、二股部61の突出方向とは反対方向へ先細るように延出する形状となっている。
また、係止部材60の後方延出部62には、板材からなる係止部材60の厚さ方向に突出する円柱状のピン63が設けられている。一方、このピン63と同じ側に配置されているブラケット76には、斜め上下方向に湾曲した形状を有するピン案内孔76Aが形成されている。
係止部材60は、2個のブラケット76,77の間に架設されている前記揺動中心軸64を中心に揺動自在となっており、係止部材60がこの揺動中心軸64を中心に上下方向に揺動するとともに、ピン63はピン案内孔76A内を移動する。
図10に示すように、ストップ機構70は、係止部材60を係止させるための回転軸72Aを中心に回転自在なローラ72と、このローラ72の両側に配設され、このローラ72の回転軸72Aを回転自在に支持するためのアーム部材71及びローラ支持部材73と、アーム部材71をシャッターカーテン30側へ牽引するためのばね74とからなっている。
アーム部材71は、図10に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態において、略への字を時計回りに略90度回転した形状を有しており、シャッターカーテン30から遠ざかるように斜め上方に向かって延びる上方斜延部71Aと、シャッターカーテン30から遠ざかるように斜め下方に向かって延びる傾斜面71Cを有していて鉛直方向に真っ直ぐ延びる下方垂延部71Bとからなっている。
アーム部材71におけるブラケット76側の面には、円形状の不貫通孔71Eが形成されており、この不貫通孔71Eにローラ72の回転軸72Aの先端部が挿入固着されており、同様に、ローラ支持部材73におけるブラケット77側の面には、円形状の不貫通孔73Aが形成されており、この不貫通孔73Aにローラ72の回転軸72Aの先端部が挿入固着されている。すなわち、アーム部材71は、ブラケット76側の面からローラ72の回転軸72Aを支持しており、一方、ローラ支持部材73は、ブラケット77側の面からローラ72の回転軸72Aを支持している。このため、ローラ72は、アーム部材71とローラ支持部材73とに挟持されながら、回転軸72Aを中心に回転自在となっている。
アーム部材71の上部には貫通孔71Fが形成されており、これと同様に、ローラ支持部材73の上部には貫通孔73Bが形成されている。これらの2個の貫通孔71F,73Bには、ブラケット76とブラケット77との間に架設されている円柱状の揺動中心軸71Gが挿通されている。このため、アーム部材71とローラ支持部材73は、ローラ72を挟持しながら、揺動中心軸71Gを中心に揺動自在となっている。
また、図10に示すように、アーム部材71の下方垂延部71Bの傾斜面71Cには、両端が鉤状となっていてアーム部材71とはブラケット77を隔てて反対側に配置されているばね74の一端を係止するためのばね係止部71Dが、ブラケット77の左下方に形成されている横長の略長方形状の開口部77Aへ延出するように設けられている。このばね係止部71Dには、ばね74の一端を係止するためのアーム部材71の揺動方向に貫通している円形状の貫通孔71H(図8及び図9参照)が形成されている。
一方、ブラケット77におけるアーム部材71側とは反対側の面には、ばね74の他端を係止させるためのビス等の止着具からなるばね係止部材75が固着されている。このため、揺動中心軸71Gを中心に揺動自在となっているアーム部材71には、ばね係止部材75方向へのばね力が働く。
図11は、前述したように、図7のS11−S11線拡大断面図であり、図10におけるブラケット76の反対側を示すものである。
図11に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態を解除するための係止解除ばね86が、ブラケット76における係止部材60とは反対側の面に設けられている。この係止解除ばね86は、ねじりばねとなっており、ばね中心部86Aは、ビス等の止着具からなる結合部材87によりブラケット76に止着されている。
係止部材60が水平姿勢を維持している状態においては、ピン案内孔76A内を移動する係止部材60のピン63により、係止解除ばね86の両端部のうちの下端部86Cが、ビス等の止着具からなるばね係止部材88により係止されている。一方、上端部86Bは、係止部材60のピン63により上方から押し下げられているため、この係止解除ばね86には、斜め上方へのばね力が蓄圧されている。
図7に示すように、ストップ機構自動解除機構80は、シャッター制御部200(図1参照)に火災の発生を検知する図示しないセンサからの信号が送られることにより、このシャッター制御部200から供給されるDC24Vにより作動するソレノイド81と、水平姿勢を維持している係止部材60の係止状態を解除させるための係止解除レバー82と、ソレノイド81とこの係止解除レバー82とを連結させるための連結部材83と、係止部材60が水平姿勢を維持している状態の解除を付勢するための係止解除ばね86とからなっている。
ソレノイド81は、シャッター制御部200からリード線81Eを通じて供給されるDC24Vにより励磁されるコイル81Aと、このコイル81Aの内部に設けられ、略テーパ状の先端部を有するスライド自在なプランジャ81Cと、このプランジャ81Cの先端部が挿入されるように略テーパ状の窪み部を有するストッパ81Bとからなっている。
シャッター制御部200からリード線81Eを通じて供給されるDC24Vにより、ソレノイド81のコイル81Aが励磁されると、プランジャ81Cがストッパ81Bに吸引され、ストッパ81Bの窪み部にプランジャ81Cの先端部が挿入される。
図7に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態を解除するための係止解除レバー82は、略四半円状の形状を有する四半円部82Aと、略半円状の形状を有する半円部82Bと、この半円部82Bからアーム部材71の下方垂延部71Bと直交するように突出する突出部82Cとからなっており、半円部82Bの揺動中心軸82Dを中心に揺動自在となっている。
ソレノイド81のプランジャ81Cと係止解除レバー82とは、連結部材83を介して連結されている。また、ソレノイド81のプランジャ81Cと連結部材83とは、図示しないビス等の止着具により止着されている。
ソレノイド81のプランジャ81Cの外周部分のうち、ソレノイド81のケースから露出している部分には、ばね81Dが装着されている。このばね81Dの左端はソレノイド81のケースに当接しており、右端は連結部材83の左端に当接している。図7に示すように、プランジャ81Cが矢印O方向へスライドすることにより、ばね81Dには矢印P方向へのばね力が蓄圧されるようになっている。
図7に示すように、係止解除レバー82の四半円部82Aと連結部材83の右端部とは重なり合っており、係止解除レバー82の四半円部82Aには、連結部材83側へ突出する円柱状の突起部82Eが形成されており、連結部材83の右端部には、係止解除レバー82の四半円部82Aの突起部82Eよりも大きな面積を有する略正方形状の開口部83Aが形成されている。
図7に示すように、係止解除レバー82の四半円部82Aの突起部82Eは、連結部材83の開口部83Aに挿通されているので、係止解除レバー82の四半円部82Aと連結部材83とは、この開口部83Aで連結している状態となっている。
ストップ機構解除確認信号伝達機構90は、図11に示すように、ストップ機構70が解除された旨の信号をリード線93Bを通じて外部に伝達するためのマイクロスイッチ93と、このマイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの上方に設けられ、このアクチュエータ93Aに外力を加えるためのスイッチレバー91と、係止部材60が水平姿勢を維持している間、スイッチレバー91の底部91Bの下面がアクチュエータ93Aの先端部93Cに当接している状態を維持させるばね92とからなっている。
図8及び図11に示すように、スイッチレバー91は、上方へ開口する略コの字状の形状を有しており、ブラケット94に架設されている揺動中心軸91Aを中心に揺動自在となっている。ばね92の中心部92Aは、揺動中心軸91Aに係止されており、上端部92Bは、ブラケット94の上部94Aに係止されており、下端部92Cは、スイッチレバー91の底部91Bの上面に係止されている。
図11に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態においては、スイッチレバー91は、ばね92のばね力により下向きの揺動姿勢となっており、このため、このスイッチレバー91の底部91Bの下面の先端部は、係止部材60のピン63に当接している。
このとき、マイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cは、下向きの揺動姿勢となっているスイッチレバー91の底部91Bの下面に押し下げられたままの状態となっているので、マイクロスイッチ93から外部へ伝達されるストップ機構70が解除された旨の信号の発生は阻止されている。
ストップ機構70を手動により解除するためのストップ機構手動解除機構100は、手動切換装置300が右側のガイドレール37付近に設置されている場合にこのストップ機構手動解除機構100を作動させるための第1手動操作レバー101と、手動切換装置300が左側のガイドレール37付近に設置されている場合にこのストップ機構手動解除機構100を作動させるための第2手動操作レバー102と、これらの2個の操作レバーのいずれかの機械的な動きを係止解除レバー82へ伝達させるための第1アーム部材103及び第2アーム部材104とからなっている。
図8に示すように、第1手動操作レバー101の右端部は、第1アーム部材103の下部103Aにビス等の止着具で結合されており、図7に示す矢印A方向(図8では矢印S方向)及び矢印B方向へスライド自在となっている。また、この第1手動操作レバー101の左端部には略円形状の貫通孔101Aが形成されており、この貫通孔101Aには一端が手動切換装置300に結合されているワイヤー340の他端が係止されている。
また、第2手動操作レバー102の左端部は、第1アーム部材103の上部103Bにビス等の止着具で結合されており、図7に示す矢印C方向及び矢印D方向へスライド自在となっている。この第2手動操作レバー102の右端部には略円形状の貫通孔102Aが形成されているが、本実施形態に係るエレベータ用防災用シャッター装置では、手動切換装置300が右側のガードレール37付近に設置されているので、この貫通孔102Aにはワイヤーは係止されてはいない。
図7に示すように、連結軸106の一端は第1アーム部材103の略中央部に溶接等で固着され、連結軸106の他端は第2アーム部材104の上部に溶接等で固着されており、このため、第1アーム部材103と第2アーム部材104同士は、円柱状の連結軸106を介して結合されている。
第1アーム部材103と第2アーム部材104との間には、断面が略コ字状のブラケット105が設けられている。このブラケット105は、ケース34Aにビス等の止着具で結合される方形状の水平延出部105Aと、この水平延出部105Aの両端からそれぞれ垂直上方へ立ち上がった2個の立上り部105B,105Cとからなっている。
第1アーム部材103側に配置されている立上り部105Bの上部には、図8に示す円形状の貫通孔105Dが形成されており、これと同様に、第2アーム部材104側に配置されている立上り部105Cの上部には、図8に示す円形状の貫通孔105Eが形成されており、これらの2個の貫通孔105D,105Eは同じ高さ位置に形成されている。
第1アーム部材103と第2アーム部材104とを連結している連結軸106は、これらの2個の貫通孔105D,105Eに回転自在に挿通されており、ブラケット105に水平に架設されている状態となっている。
このため、連結軸106に連結されている第1アーム部材103及び第2アーム部材104は、連結軸106を中心に、図7に示す矢印E方向及び矢印F方向へ揺動自在となっており、第1アーム部材103が連結軸106を中心に揺動すると、これに連動して、第2アーム部材104も第1アーム部材103の揺動方向と同じ方向に揺動するようになっている。
図8及び図9に示すように、一端が手動切換装置300に結合され、手動切換装置300と係止装置34とを連結する連結手段となっているワイヤー340が牽引されると、このワイヤー340の他端が貫通孔101Aに係止されている第1手動操作レバー101が、矢印S方向に牽引されることにより、第1アーム部材103は、連結軸106を中心に図9に示す矢印U方向へ揺動するとともに、第2アーム部材104も連結軸106を中心に矢印U方向に揺動することになる。
次に、ストップ機構70により水平姿勢が維持されている係止部材60が、ストップ機構自動解除機構80により下向きの揺動姿勢となるまでの動作について説明する。
図10に示すように、係止部材60がストップ機構70により水平姿勢を維持している状態では、アーム部材71とローラ支持部材73とにより挟持されているローラ72が、係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aの先端に乗り上げるように載置している。
なお、このとき、図11に示すように、係止部材60のピン63は、係止解除ばね86の上端部86Bを上方から押し下げているので、この係止解除ばね86にはピン63を斜め上方へ押し上げるばね力が蓄圧されている。
また、ストップ機構解除確認信号伝達機構90のマイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cは、ばね92によるばね力により下方への揺動姿勢となっているスイッチレバー91の底部91Bの下面に接触し、水平姿勢を維持している。このため、マイクロスイッチ93から外部へ伝達されるストップ機構70が解除された旨の信号の発生は阻止されている。
図7に示すように、火災の発生を検知する図示しないセンサからの信号が、シャッター制御部200(図1参照)に送られると、このシャッター制御部200から供給されるDC24Vが、リード線81Eを通じて、係止装置34のストップ機構自動解除機構80のソレノイド81へ伝達される。
リード線81Eを通じてDC24Vが供給されたソレノイド81のコイル81Aは励磁されるので、ストッパ81Bとはソレノイド81の内部で離間していたプランジャ81Cがストッパ81Bへ吸引され、矢印O方向へスライドする。これにより、プランジャ81Cの先端部は、ストッパ81Bの窪み部へ挿入される。
このとき、プランジャ81Cに連結されている連結部材83も同時に矢印O方向へスライドするとともに、この連結部材83の開口部83Aで突出している突起部82Eが形成されている係止解除レバー82も連結部材83に引っ張られて、係止解除レバー82は揺動中心軸82Dを中心に揺動する。図7に示すように、係止解除レバー82のうち、四半円部82Aは矢印G方向へ揺動し、半円部82Bは矢印J方向へ揺動し、突出部82Cは矢印K方向へ揺動する。
図7及び図10に示すように、係止部材60が水平姿勢を維持している状態においては、係止解除レバー82の突出部82Cの先端部の端面は、アーム部材71の下方垂延部71Bの先端部の端面に当接している。係止解除レバー82が揺動(図7では矢印K方向に、図10では矢印a方向に)すると、アーム部材71の下方垂延部71Bが係止解除レバー82の突出部82Cの先端部に押し出される。
図12は、図10の状態から、係止部材60を水平姿勢に維持していたストップ機構が解除されて、係止部材60が下向きの揺動姿勢へと変化した直後の状態を示すものである。同様に、図13は、図11の状態から、係止部材60を水平姿勢に維持していたストップ機構が解除されて、係止部材60が下向きの揺動姿勢へと変化した直後の状態を示すものである。
アーム部材71の下方垂延部71Bが係止解除レバー82の突出部82Cの先端部に押し出されると、図12に示すように、アーム部材71は揺動中心軸71Gを中心に矢印b方向(図7では矢印M方向)への揺動を開始する。これと同時に、係止部材60の下方斜延部62Aの先端部に乗り上げるように載置していたローラ72は、矢印d方向に回転するとともに、係止部材60の下方斜延部62Aから離れていく。
このため、図13に示すように、係止解除ばね86に蓄圧されていたばね力により、係止解除ばね86の上端部86Bが矢印i方向に反発するため、上端部86Bを上方から押し下げていた係止部材60のピン63は押し上げられ、ブラケット76のピン案内孔76A内を矢印e方向へ移動する。この結果、係止部材60は、揺動中心軸64を中心に矢印g方向への揺動を開始する。
係止部材60が矢印g方向へ揺動することにより、被係止部材33の被係止孔33Aに挿入係止していた二股部61の下片部61Bは、被係止孔33Aから離脱する。これにより、被係止部材33は、図12に示すように、矢印h方向へ下降するとともに、全開位置での停止状態に維持されていたシャッターカーテン30は自重による閉じ移動を開始する。
また、このとき、図13に示すように、ストップ機構解除確認信号伝達機構90のスイッチレバー91の底部91Bの下面が、矢印e方向へ押し上げられた係止部材60のピン63により矢印j方向へ押し上げられるので、マイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cは、当接していたスイッチレバー91の底部91Bの下面から離れる。なお、このとき、ばね92の下端部92Cも矢印k方向へ押し上げられる。
このため、マイクロスイッチ93が作動し、このマイクロスイッチ93は、ソレノイド81に供給されていたDC24Vを遮断するとともに、係止部材60が水平姿勢に維持されている状態が解除された旨の信号をマイクロスイッチ93のリード線93Bを通じて外部へ伝達する。
なお、マイクロスイッチ93の作動により、ソレノイド81に供給されていたDC24Vが遮断されるので、図9に示すように、先端部がストッパ81Bの窪み部へ挿入されたプランジャ81Cは、蓄圧されたばね81Dのばね力により、図7に示す矢印P方向へスライドし、元の位置に戻るとともに、連結部材83を介してプランジャ81Cに連結している係止解除レバー82も元の位置に戻る。
また、図12に示すように、アーム部材71が矢印b方向に揺動することにより、ばね係止部71Dの貫通孔71H(図8参照)に係止されているばね74は矢印c方向に伸長する。このため、係止部材60の水平姿勢が解除された状態においては、ばね74には矢印c方向とは逆の方向のばね力が蓄圧されることになる。
次に、ストップ機構自動解除機構80により水平姿勢を維持している状態が解除され、下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60が、シャッターカーテン30の開き移動によりストップ機構70が作動し、この係止部材60が再び水平姿勢を維持する状態となるまでの動作を説明する。
図14は、図12の状態から、下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60のうちの二股部61の上片部61Aが、シャッターカーテン30と共に矢印l方向に上昇してきた被係止部材33の上面で押し上げられる直前の状態を示すものである。同様に、図15は、図13の状態から、下向きの揺動姿勢となっていた係止部材60のうちの二股部61の上片部61Aが、上昇中のシャッターカーテン30と共に上昇してきた被係止部材33の上面で押し上げられる直前の状態を示すものである。
被係止部材33の上部が二股部61の上片部61Aに当接すると、係止部材60は揺動中心軸64を中心として矢印m方向への揺動を開始する。また、このとき、係止部材60のピン63は、ピン案内孔76A内を矢印o方向へ移動する。
一方、係止部材60の後方延出部62の後端辺62Cに接触していたアーム部材71のローラ72が矢印q方向へ回転するとともに、矢印r方向へのばね力が蓄圧されたばね74にアーム部材71のばね係止部71Dが矢印r方向へ引き寄せられるため、アーム部材71は、揺動中心軸71Gを中心とする矢印p方向(図7では矢印N方向)への揺動を開始する。
係止部材60の矢印m方向への揺動が進むにしたがって、係止部材60の二股部61の下片部61Bが、被係止部材33の被係止孔33Aに挿入されていく。
一方、アーム部材71の矢印p方向への揺動が進むにしたがって、アーム部材71のローラ72は、矢印q方向へ回転しながら、係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aの先端部に乗り上げるように載置していく。
矢印m方向への揺動を行っていた係止部材60が水平姿勢の状態になると同時に、ばね74に引き寄せられて矢印p方向への揺動を行っていたアーム部材71の下方垂延部71Bの先端部の端面が、係止解除レバー82の突出部82Cの先端部の端面に当接するので、アーム部材71の矢印p方向への揺動は停止し、アーム部材71のローラ72の矢印q方向への回転も停止する。
係止部材60が水平姿勢の状態になると同時に、アーム部材71のローラ72が係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aの先端部に完全に乗り上げた状態、すなわち、係止部材60の後方延出部62の下方斜延部62Aに完全に係止した状態となるように、アーム部材71は揺動するようになっている。このため、これ以降の係止部材60は、図10に示すにように、水平姿勢の状態を維持することになる。
一方、図15に示すように、図14におけるブラケット76の反対側では、矢印o方向へ移動しているピン63が、係止解除ばね86の上端部86Bを矢印s方向へ押し下げ、この係止解除ばね86には矢印s方向とは反対方向のばね力、すなわち、ピン63を斜め上方へ押し上げる方向のばね力が蓄圧されることになる。また、スイッチレバー91は、係止部材60のピン63が矢印o方向へ移動するにしたがって、ばね92に蓄圧されていた矢印u方向へのばね力により、ばね92の下端部92Cがスイッチレバー91の底部91Bの上面を押し下げる。これにより、前述した図11に示すように、マイクロスイッチ93のアクチュエータ93Aの先端部93Cは、矢印t方向へ揺動したスイッチレバー91の底部91Bの下面に接触する。
次に、ストップ機構70を手動で解除するためのストップ機構手動解除機構100の動作を説明する。
図8に示すように、一端が手動切換装置300に結合され、他端が貫通孔101Aに係止されたワイヤー340が牽引されることにより、第1アーム部材の上部103Bに連結されている第1手動操作レバー101は矢印S方向(図7では矢印A方向)へスライドする。これにより、第1アーム部材103は、図9に示すように、連結軸106を中心に矢印U方向へ揺動する。このとき、第1アーム部材103の下部に連結している第2手動操作レバー102は、矢印T方向(図7では矢印C方向)へスライドする。
一方、ブラケット105に架設されている連結軸106を介してこの第1アーム部材103に連結している第2アーム部材104も、第1アーム部材103と同様に、連結軸106を中心に矢印U方向(図7では矢印E方向)へ揺動する。
このとき、一端が貫通孔104Aに係止され、他端が係止部材108に係止されているばね107は、図7に示すように、矢印Q方向へ伸長するので、ばね107には矢印R方へのばね力が蓄圧される。
図9に示すように、第2アーム部材104が矢印U方向(図7では矢印E方向)へ揺動し続けることにより、この第2アーム部材104の上端部の角部が、係止解除レバー82の四半円部82Aを押し出すように当接することになる。これにより、係止解除レバー82は、図7に示すように、揺動中心部82Dを中心に揺動を開始し、係止解除レバー82の突出部82Cの先端部の端面は、図10に示すように、矢印a方向へスライドし、アーム部材71の下方垂延部71Bの先端部の端面に当接する。このため、図12に示すように、アーム部材71の下方垂延部71Bは、揺動中心軸71Gを中心に揺動を開始する。
これ以降は、前述したストップ機構自動解除機構80と同様の動きを行うので、説明は省略する。但し、このストップ機構手動解除機構100が作動する場合においては、ソレノイド81へDC24Vの供給は行われないので、前述したストップ機構解除確認信号伝達機構90による係止部材60の水平姿勢が解除された旨の信号の伝達は行われないようになっている。
なお、係止解除レバー82が揺動中心部82Dを中心に揺動すると、連結部材83を介して連結しているソレノイド81のプランジャ81Cも図7に示すように、連結部材83とともに矢印O方向(図9では矢印V方向)へスライドし、プランジャ81Cの先端部がストッパ81Bの窪み部へ挿入されるが、この後、プランジャ81Cは、蓄圧されたばね81Dの図7に示す矢印P方向への反発力により元の位置に戻る。これと同時に、連結部材83を介してプランジャ81Cに連結している係止解除レバー82も元の位置に戻る。このとき、図7に示すように、係止解除レバー82のうち、四半円部82Aは矢印H方向へ揺動し、半円部82Bは矢印I方向へ揺動し、突出部82Cは矢印L方向へ揺動し、元の位置に戻る。
また、前述したように、第2アーム部材104には、図7に示すように、矢印R方向へのばね107によるばね力が蓄圧されているので、貫通孔101Aに係止されたワイヤー340の牽引動作をやめることにより、第1アーム部材103は、蓄圧されていたばね107のばね力により矢印F方向へ牽引されることにより揺動し、元の位置に戻る。これと同時に、第2アーム部材104も第1アーム部材103に連動して揺動し、元の位置に戻る。これに伴い、第1手動操作レバー101は矢印B方向へスライドし、第2手動操作レバー102は矢印D方向へスライドするので、それぞれ元の位置に戻ることになる。
次に、本発明の一実施形態に係る手動切換装置300を説明する。図16は、図1に示す手動切換装置300の拡大正面図であり、図17は、図16のS17−S17線断面図であり、図18は、図17の状態から、ストップ機構70を解除するために手動操作部材を操作しているときの状態を示すものである。
手動切換装置300は、火災発生等の非常時において、前述の係止装置34のストップ機構70を手動で解除することにより、シャッターカーテン30の状態を全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態へ切り換えるものである。
また、手動切換装置300は、図16〜図18に示すように、エレベータを呼び出すためのエレベータ呼び出し装置310の一部の構成部材であるケース311が手動操作される手動操作部材となっているものである。
図1に示すように、手動切換装置300は、右側のガイドレール37付近に設置されており、また、図17に示すように、手動切換装置300は、凹部320に収納されておいる。この凹部320は、エレベータホール3側から化粧材38を貫通し、エレベータ用防災用シャッター装置が設けられている構造物である側壁4B奥側へ向かって凹むように形成されている。
図16及び図17に示すように、エレベータ呼び出し装置310は、凹部320に収納されている略直方体の形状を有する金属製のケース311と、上り又は下りのエレベータを呼び出すための上下2個の押しボタンからなる押しボタン部312と、この押しボタン部312を制御し、図示しないリード線を介して図示しないエレベータ制御部へ連結されているボタン制御部313とを有し、このボタン制御部313は、ケース311の内部に収納されている。
押しボタン部312は、略直方体の形状を有するボタン制御部313の前面からエレベータホール3側へ突出するように形成されている。ボタン制御部313の前面は押しボタン部312を除いて、図示しないビス等の止着具等によりケース311に固定されている。
図16に示すように、手動切換装置300は、手動操作される手動操作部材となっているエレベータ呼び出し装置310のケース311と、このケース311の左右側面を係脱自在に支持する支持手段であるボールプランジャ303と、凹部320の底面付近に水平に架設され、ケース311の回動中心軸となっている水平な軸304と、手動切換装置300と係止装置34とを連結するため連結手段である金属製のワイヤー340の端部をこのケース311に結合するためのワイヤー結合部材301と、ワイヤー340を凹部320で案内するためのガイドローラ302とを有している。
手動切換装置300のボールプランジャ303は、凹部320の左右両側面に埋設されている。このボールプランジャ303は、先端部が先細りの円筒形状で内部が中空となっている本体303Aと、この本体303Aの内部に収納され、先端部から一部が突出しているボール303Bと、本体303Aの内部に収納されていてこのボール303Bに当接しているばね303Cとから構成されている。ケース311の左右両側面の上部付近には、これらの2個のボールプランジャ303のボール303Bの一部が嵌合する大きさの凹部がそれぞれ形成されている。
ケース311に形成されている凹部に、これらの2個のボールプランジャ303のボール303Bの一部が嵌合することにより、ケース311は、ボールプランジャ303のボール303Bに当接されているばね303Cによって図17で示されている直立姿勢を維持するようになっている。
手動切換装置300の軸304は、水平な軸部304Aと、この軸部304Aの両端に形成されているフランジ部304Bとからなり、軸部304Aはケース331内部を貫通し、両端のフランジ部304Bだけが凹部320内部に組み込まれている。
通常時において凹部320に収納されているケース311は、非常時においては、この軸304を中心にエレベータホール3側へ手動で回動操作自在となっている。なお、ケース311の正面と底面との角部は、図17に示すように、回動する際に発生するケース311の底面と凹部320の底面との摩擦を少なくするために、半円状に面取りされた形状となっている。
手動切換装置300のワイヤー結合部材301は、ケース311の背面に設けられており、一端が係止装置34の第1手動操作レバー101に係止されているワイヤー340の他端が、このワイヤー結合部材301により、ケース311の背面に結合されている。
手動切換装置300のガイドローラ302は、凹部320の左右両側面に水平に架設されている軸302Aと、この軸302Aを中心に回転自在となっているローラ302Bと有している。このため、図17に示すように、端部がワイヤー結合部材301に結合されているワイヤー340は、凹部320でローラ302Bに掛け回されながら、側壁4Bに設けられている図示しない連通路へ案内される。
図1に示すように、ワイヤー340は、この図示しない連通路を経由して垂直上方へ向かった後、天井部材20等に設けられているガイドローラ350により水平方向へ向きを変える。この後、ワイヤー340は、天井部材20における係止装置34付近に設けられているワイヤー支持部材360により途中支持されながら、係止装置34の第1手動操作レバー101の貫通孔101Aに係止されている。
図17に示すように、凹部320の前面は、ケース311の前面と、このケース311の上面に取り外し可能に配置された覆い部材330とで覆われている。この覆い部材330は、ケース311の上面におけるエレベータホール3側の端縁部から凹部320の上面へ向かって垂直上方に延出するアクリル製の板材となっている。覆い部材330における凹部320側の裏面には、断面がV字状の脆弱部である切欠部330Aが、覆い部材330を水平方向に横断するように形成されている。
覆い部材330の下辺部の端面は、ケース311に接着剤等で接着され、同様に、覆い部材330の上辺部の端面及び左右辺部の端面は、化粧材38に接着剤等で接着されており、通常時において、覆い部材330は、エレベータ呼び出し装置310の上方の化粧材として機能している。そして、覆い部材330を取り外すことにより、ケース311の上面と凹部320の上面との間には、人間の手が出入り可能な空間が形成されるようになっている。
次に、本実施形態に係る手動切換装置300の動作について説明する。前述したように、本実施形態に係るエレベータ用防災用シャッター装置は、火災発生時等の非常時において、シャッター制御部200に火災の発生を検知する図示しないセンサからの信号が送られ、このシャッター制御部200から供給されるDC24Vで係止装置34のストップ機構自動解除機構80の作動により、ストップ機構70が自動的に解除され、この結果、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられて、シャッターカーテン30が自重により閉じ移動を行うものである。
しかし、火災の発生時等の非常時に、この非常事態を知った人が手動でストップ機構70を解除できるようにすることが求められ、また、シャッターカーテン30の開閉移動の点検を行う場合等においては、手動でストップ機構70を解除させる必要がある。
本実施形態に係る手動切換装置300は、このような場合において、係止装置34のストップ機構70を手動で解除することにより、シャッターカーテン30の状態を全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えるものである。
係止装置34のストップ機構70を解除するには、図17に示すように、まず、エレベータ呼び出し装置310のケース311の上面に設けられている覆い部材330を指等で矢印v方向へ押す。前述したように、覆い部材330はアクリル製の板材で形成されており、覆い部材330における凹部320側の裏面には、断面がV字状の切欠部330Aが、覆い部材330を水平方向に横断するように形成されているので、指等で押すことにより、この覆い部材330を容易に押し破ることができるようになっている。
押し破られたアクリル製の覆い部材330を取り除くと、ケース311の上面と凹部320の上面との間には、手が出入り可能な空間が形成される。
この後、ケース311の上面と凹部320の上面との間に形成された空間に手を差し入れ、ケース311の上部を手のひら全体で押さえる。手のひら全体で押さえたケース311をエレベータホール3側へ引くと、それまでケース311の左右両側面を押圧支持していたボールプランジャ303のボール303Bが、ケース311に形成されている凹部から離脱するので、ケース311は、図18に示すように、軸部304Aを中心にエレベータホール3側下方(矢印w方向)への回動を開始する。
このケース311が矢印w方向へ回動することにより、一端がケース311のワイヤー結合部材301に係止され、凹部320でガイドローラ302により案内されているワイヤー340も、矢印x,y方向へ引っ張られることになる。
前述したように、このワイヤー340の他端は、天井部材20に設けられているガイドローラ350によって案内され、ワイヤー支持部材360により途中支持され、係止装置34のストップ機構手動解除機構100の第1手動操作レバー101の貫通孔101Aに係止されているので、第1手動操作レバー101は、図8に示すように、矢印S方向へ牽引されるとともに、図9に示すように、第1アーム部材103と第2アーム部材104は共に矢印U方向へ揺動する。矢印U方向へ揺動した第2アーム部材104の上端部の角部は、係止解除レバー82の四半円部82Aに当接する。
これにより、係止解除レバー82は、図7に示すように、揺動中心部82Dを中心に揺動を開始し、係止解除レバー82の突出部82Cの先端部の端面は、図10に示すように、矢印a方向へスライドし、アーム部材71の下方垂延部71Bの先端部の端面に当接する。このため、ストップ機構70は解除され、この結果、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられて、シャッターカーテン30は自重による閉じ移動を開始する。
以上の本実施形態では、エレベータを呼び出すためのエレベータ呼び出し装置310の一部の構成部材であるケース311が、エレベータ用防災シャッター装置の手動切換装置300の手動操作される手動操作部材となって構成されている。言い換えると、本実施形態では、エレベータ呼び出し装置310のケース311が手動切換装置300の手動操作部材を兼ねているので、手動切換装置300に手動操作部材を別途設ける必要がなくなり、手動切換装置300の構造の簡単化を図ることができる。
このため、本実施形態によると、エレベータ用防災シャッター装置の手動切換装置300をエレベータ呼び出し装置310との関係で合理的に構成できるようになる。
次に、本発明の別実施形態に係る手動切換装置について説明する。図19は、本実施形態に係る手動切換装置400を備えたエレベータ用防災用シャッター装置の全体図を示す正面図である。また、図20は、本実施形態に係る手動切換装置400の拡大正面であり、図21は、図20のS21−S21線縦断面であり、図22は、図21の状態から、ストップ機構70を解除するために、手動操作部材を操作しているときの状態を示すものである。
図19に示すエレベータ及びエレベータ用防災用シャッター装置の全体構造は、前述の図1〜図3で示した実施形態に係るエレベータ及びエレベータ用防災用シャッター装置と同様であるので、説明は省略する。
本実施形態に係る手動切換装置400が、前述の実施形態に係る手動切換装置300と大きく異なる点を述べると、まず、前述の実施形態に係る手動切換装置300では、エレベータ呼び出し装置310のケース311が手動切換装置300の手動操作部材を兼ねていたのに対し、本実施形態に係る手動切換装置400では、エレベータ呼び出し装置の構成部材が手動操作部材となっているのではなく、専用の手動操作部材が別途設けられていることが挙げられる。
また、前述の実施形態に係る手動切換装置300では、手動操作部材が係止装置34と連結手段であるワイヤー340を介して連結されており、手動操作部材を回動させることにより、この手動操作部材に係止されているワイヤー340が牽引されるので、係止装置34のストップ機構70が解除され、この結果、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられて、シャッターカーテン30が自重により閉じ移動を行うものである。言い換えると、前述の実施形態では、機械的な外力を与えることにより、係止装置34のストップ機構70が解除されるものである。
これに対して、本実施形態に係る手動切換装置400では、図19に示すように、手動操作部材が、この手動操作部材と係止装置34を連結させるための連結手段であるリード線401Eを介して、途中に設けられているシャッター制御部200を経由しながら、係止装置34と連結されている。そして、手動操作部材を操作することにより電気信号が発生し、この電気信号がリード線401Eの途中に設けられているシャッター制御部200に伝達された後、このシャッター制御部200から、DC24Vがリード線401Eを介して係止装置34へ伝達されることにより、係止装置34のストップ機構70が解除され、この結果、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられて、シャッターカーテン30が自重により閉じ移動を行うものである。言い換えると、本実施形態では、電気信号の伝達により、係止装置34のストップ機構70が解除されるものである。
図19に示すように、本実施形態に係る手動切換装置400は、前述の実施形態に係る手動切換装置300と同様に、右側のガイドレール37付近に設置されている。また、手動切換装置400は、前述の実施形態に係る手動切換装置300と同様に、エレベータホール3側から化粧材38を貫通し、エレベータ用防災用シャッター装置が設けられている構造物である側壁4B奥側へ向かって凹むように形成された凹部420に収納されている。
図20に示すように、手動切換装置400は、ストップ機構70を解除するための電気信号をシャッター制御部200へ伝達するための手動操作部材であるストップ機構解除ボタン401を有している。
図21に示すように、このストップ機構解除ボタン401は、エレベータを呼び出すためのエレベータ呼び出し装置410と共に、凹部420に収納されている。
図20及び図21に示すように、エレベータ呼び出し装置410は、前述の実施形態と同様に、凹部420に収納されている略直方体の形状を有する金属製のケース411と、上り又は下りのエレベータを呼び出すための上下2個の押しボタンからなる押しボタン部412と、この押しボタン部412を制御し、図示しないリード線を介して図示しないエレベータ制御部へ連結されているボタン制御部413とを有し、このボタン制御部413は、ケース411の内部に収納されている。
押しボタン部412は、略直方体の形状を有するボタン制御部413の前面からエレベータホール3側へ突出するように形成されている。ボタン制御部413の前面は押しボタン部412を除いて、図示しないビス等の止着具等によりケース411に固定されている。
図21に示すように、係止装置34のストップ機構70を手動で解除するための円形状のストップ機構解除ボタン401は、ケース411の上面と凹部420の上面との間の空間に設けられており、このストップ機構解除ボタン401の外周には、ストップ機構解除ボタン401を取り囲むように形成された略立法体の形状を有する支持部材が、図示しないビス等の止着具によりケース411の上面と凹部420の上面に固定されている。
ストップ機構解除ボタン401は、押しボタン部401Aと、先端部にはばね401Dが連結されていて後端部には押しボタン部401Aの先端部が当接している前後方向にスライド自在な可動接点401Bと、この可動接点401Bに接触することによりストップ機構70を解除させる電気信号を伝達するための固定接点401Cと、この固定接点401Cとシャッター制御部200及び係止装置34とを連結するリード線401Eとを有している。
図19に示すように、手動切換装置400のストップ機構解除ボタン401とシャッター制御部200とを連結するリード線401Eは、凹部420から、側壁4Bに設けられている図示しない連通路を経由して垂直上方へ向かった後、天井裏空間21に配置されているシャッター制御部200へ連結されている。
図21に示すように、凹部420の前面は、前述した実施形態と同様に、ケース411の前面と、このケース411の上面に取り外し可能に配置された覆い部材430とで覆われている。この覆い部材430は、ケース411の上面におけるエレベータホール3側の端縁部から凹部420の上面へ向かって垂直上方に延出するアクリル製の板材となっている。覆い部材430における凹部420側の裏面には、断面がV字状の脆弱部である切欠部430Aが、覆い部材430を水平方向に横断するように形成されている。
覆い部材430の下辺部の端面は、ケース411に接着剤等で接着され、同様に、覆い部材430の上辺部の端面及び左右辺部の端面は、化粧材38に接着剤等で接着されており、通常時において、覆い部材430は、エレベータ呼び出し装置410の上方の化粧材として機能している。そして、覆い部材430を取り外すことにより、ケース411の上面と化粧材38との間には、人間の手が出入り可能な空間が形成されるようになっている。
次に、本実施形態に係る手動切換装置400の動作について説明する。前述したように、本実施形態に係るエレベータ用防災用シャッター装置は、火災の発生時においては、シャッター制御部200に火災の発生を検知する図示しないセンサからの信号が送られ、このシャッター制御部200から供給されるDC24Vで係止装置34のストップ機構自動解除機構80が作動し、これにより、ストップ機構70が自動的に解除され、この結果、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられて、シャッターカーテン30が自重により閉じ移動を行うものである。
しかし、火災の発生時等の非常時に、この非常事態を知った人が手動でストップ機構70を解除できるようにすることが求められ、また、シャッターカーテン30の開閉移動の点検を行う場合等においては、手動でストップ機構70を解除させる必要がある。
本実施形態に係る手動切換装置400は、前述の実施形態に係る手動切換装置300と同様に、係止装置34のストップ機構70を手動で解除することにより、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられて、シャッターカーテン30が自重による閉じ移動を行うものである。
係止装置34のストップ機構70を解除するには、図21に示すように、まず、エレベータ呼び出し装置410のケース411の上面に設けられている覆い部材430を指等で矢印z方向へ押す。前述したように、覆い部材430はアクリル製で形成されており、覆い部材430における凹部420側の裏面には、断面がV字状の切欠部430Aが、覆い部材430を水平方向に横断するように形成されているので、指等で押すことにより、この覆い部材430を容易に押し破ることができるようになっている。
図22に示すように、押し破られたアクリル製の覆い部材430を取り除いた後、ケース411の上面と凹部420の上面との間に指をさらに伸ばすと、ストップ機構解除ボタン401の押しボタン部401Aを押圧することができる。
押しボタン部401Aが矢印z方向へ押圧されると、押圧された押しボタン部401Aの先端部が可動接点401Bを押圧することにより、この可動接点401Bが固定接点401Cに接触する。これにより、図示しない回路が閉じられ、ストップ機構を解除させるための電気信号がシャッター制御部200へ伝達されることになる。シャッター制御部200は、この電気信号を受けて、係止装置34のストップ機構自動解除機構80のソレノイド81へDC24Vを供給する。
この結果、図7に示すように、ソレノイド81のコイル81Aは、このDC24Vが供給されることにより励磁され、プランジャ81Cはストッパ81Bに吸引される。このとき、連結部材83を介してプランジャ81Cに連結されている係止解除レバー82は、半円部82Bの揺動中心部82Dを中心に揺動を開始し、係止解除レバー82の突出部82Cの先端部の端面は、図10に示すように矢印a方向へスライドし、アーム部材71の下方垂延部71Bの先端部の端面に当接する。
このため、ストップ機構70は解除され、この結果、シャッターカーテン30の状態が全開位置での停止状態から閉じ移動可能状態に切り換えられて、シャッターカーテン30は自重による閉じ移動を開始する。
以上の本実施形態では、エレベータ用防災シャッター装置の手動切換装置400の手動操作部材が、エレベータを呼び出すためのエレベータ呼び出し装置410と共に、エレベータ用防災シャッター装置が設けられている構造物である側壁4Bに形成された凹部420に収納されている。
したがって、本実施形態では、手動操作される手動操作部材がエレベータを呼び出すためのエレベータ呼び出し装置410から別途離間して配置される場合と比較して、構造の簡単化を図ることができ、手動切換装置400をエレベータ呼び出し装置との関係で合理的に構成できるようになる。