このように従来のシャッター装置には、シャッターカーテンを所定位置で停止させておくためのブレーキを備えた開閉機が用いられ、このため、シャッター装置全体は大型で大重量のものとなる。
本発明の目的は、ブレーキを備えた開閉機が不要となり、シャッター装置全体の小型化、軽量化を図ることができるようになるシャッター装置のシャッターカーテン停止装置を提供するところにある。
本発明に係るシャッター装置のシャッターカーテン停止装置は、閉じ側の先端部にエンド部材が設けられた開閉移動自在なシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの開閉移動のための巻き取り、繰り出しの回転を行う巻取軸とを有するシャッター装置において、不動部材に、前記シャッターカーテンに向かって進退移動自在となった係合部材を備えた係合手段が配置され、前記エンド部材又はエンド部材近傍に、前進移動した前記係合部材が係合することによって前記シャッターカーテンを停止させておくための被係合部が設けられていることを特徴とするものである。
このシャッター装置のシャッターカーテン停止装置によると、シャッターカーテンが移動することにより、エンド部材が、係合手段が設けられた不動部材の配置位置と対応する所定の位置に達し、係合手段にシャッターカーテンに向かって進退移動自在に設けられた係合部材が、エンド部材又はエンド部材近傍に設けられた被係合部に係合することにより、係合部材の係合作用によってシャッターカーテンはその位置で停止し、その状態を維持することになる。
このため、本発明によると、ブレーキを備えた開閉機は不要となり、すなわち、開閉機を用いてシャッター装置を構成しても、この開閉機にブレーキを設ける必要がなくなり、あるいは、開閉機自体を省略することができ、これにより、シャッター装置全体を小型化、軽量化することができる。
本発明において、係合手段を配置する不動部材を、シャッターカーテンが全開状態となったときにエンド部材が達している位置に配置されている部材とすることにより、係合手段によってシャッターカーテンをその全開位置に停止させておくことができる。このような不動部材の一例は、シャッターカーテンが移動自在に挿通されるまぐさであり、また、この不動部材は、前記巻取軸が内部に収納配置されたシャッターケース等でもよい。
以上において、シャッターカーテンに向かって進退移動自在に係合手段に設けられる係合部材のその進退移動は、直線的移動でもよく、レバーのように円弧運動や揺動運動等でもよい。また、その移動方向は、シャッターカーテンの厚さ方向でもよく、シャッターカーテンの幅方向でもよく、シャッターカーテンの開閉方向に対して斜めの方向でもよい。
また、係合手段の係合部材をシャッターカーテンに向かって進退移動させるためには、ソレノイドやモータ、シリンダ等の自動駆動源を用いてもよく、手動で操作される紐状部材やレバー等の手動操作部材を用いてもよく、これらを併用してもよい。すなわち、係合手段は、自動駆動源を用いて係合部材を自動で進退移動させるための自動手段を備えていてもよく、係合部材を手動操作で進退移動させるための手動手段を備えていてもよく、さらには、これらの自動手段と手動手段の両方を備えていてもよい。
係合手段が、自動駆動源を用いて係合部材を自動で進退移動させるための自動手段と、係合部材を手動で進退移動させるための手動手段との両方を備えていると、自動手段と手動手段のどちらでも係合部材を進退移動させることができ、2つの系統によって係合部材の操作が可能となる。
なお、自動手段は、係合部材が行う前進移動と後退移動の両方をソレノイドやモータ、シリンダ等の自動駆動源を用いて自動で行わせるものでもよく、あるいは、前進移動と後退移動のうちの一方をソレノイドやモータ、シリンダ等の自動駆動源を用いて自動で行わせるものとなっていて、他方を他の駆動エネルギー、例えば、重力エネルギーで行わせるものでよい。また、手動手段も、係合部材が行う前進移動と後退移動の両方を手動操作で行わせるものでもよく、あるいは、前進移動と後退移動のうちの一方を手動操作で行わせるものとなっていて、他方を他の駆動エネルギー、例えば、重力エネルギーで行わせるものでよい。
さらに、係合部材が行う前進移動と後退移動の両方を自動駆動源を用いて自動で行わせるものになっている自動手段は、前進移動と後退移動とのうちの一方の移動がソレノイドやモータ、シリンダ等の自動駆動源でなされ、他方の移動が、その一方の移動がなされるときに弾性反発力が蓄圧されるばね等の弾性部材のその弾性反発力によってなされるものとなっていてもよく、この場合における自動手段の自動駆動源は、ソレノイドやモータ、シリンダ等の自動駆動源と、この弾性部材とになる。
本発明に係るシャッター装置のシャッターカーテン停止装置においては、係合手段の係合部材が前進移動し、これによって係合部材がエンド部材又はエンド部材近傍に設けられた被係合部に係合することにより、シャッターカーテンを所定位置に停止させておくことができる。また、係合部材が後退移動し、これによって係合部材が被係合部から離脱することにより、シャッターカーテンの移動が可能となる。
本発明において、係合部材における被係合部との接触部と、被係合部における係合部材との接触部とのうち、少なくとも一方に摩擦抵抗軽減部を設けてもよく、設けなくてもよい。被係合部に対する係合部材の係合及び離脱をより確実に行わせることができるようにするためには、係合部材における被係合部との接触部と、被係合部における係合部材との接触部とのうち、少なくとも一方に摩擦抵抗軽減部を設けることが好ましい。この摩擦抵抗軽減部により、係合部材が被係合部に係合するときと、係合部材が被係合部から離脱するときとにおける摩擦抵抗が軽減され、このため、これらの係合及び離脱をより確実化、円滑化して行わせることができる。
摩擦抵抗軽減部は、係合部材が被係合部に係合するときと、係合部材が被係合部から離脱するときとにおける摩擦抵抗を軽減できるものであれば、任意であり、例えば、ローラ等の回転部材でもよく、平滑面を有するテフロン等の硬質プラスチックやステンレス等による滑り部材等でもよい。そして、摩擦抵抗軽減部は、係合部材における被係合部との接触部と、被係合部における係合部材との接触部とのうちの少なくとも一方に取り付け等によって設けられた部材によるものでもよく、係合部材と、被係合部が形成されている部材とのうちの少なくとも一方の一部を形成している部分でもよい。
また、係合部材が係合、離脱する被係合部は、シャッターカーテンの閉じ側の先端部に配設されているエンド部材に設けてもよく、エンド部材に被係合部を設けた被係合部用部材を取り付け、これによってエンド部材近傍に被係合部を設けてもよい。
後者によると、孔や凹部、窪み部等による被係合部を設けるための加工をエンド部材に行う必要がなくなり、従来のエンド部材をそのまま用いることができるという利点を得られる。
また、本発明において、シャッターカーテンの幅方向における被係合部の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。シャッターカーテンの幅方向における被係合部の個数を1個とする場合には、この被係合部をシャッターカーテンの幅方向中央部又は略中央部に配設することが好ましい。これによると、全閉位置等に達していたシャッターカーテンを開き移動させるために、例えば、被係合部に手を掛けてシャッターカーテンを手動操作で開き移動させる際に、エンド部材がシャッターカーテンの幅方向に対して傾くのをなくす又は傾き量を小さくして、シャッターカーテンの幅方向両端部を同量又は略同量ずつ均等に開き移動させることができる。また、1個の被係合部をシャッターカーテンの幅方向中央部又は略中央部に配設すると、被係合部に関するシャッターカーテンの幅方向における重量バランスが良好となるため、シャッターカーテンが全開位置に達して格納されたときにも、エンド部材がシャッターカーテンの幅方向に対して傾くのをなくす又は傾き量を小さくすることができる。
本発明は、シャッターカーテンの全部又は主要部が任意な材料で形成されているシャッター装置に適用できる。すなわち、シャッターカーテンの全部又は主要部は、布等によるスクリーンで形成されていてもよく、複数のスラットの連設で形成されていてもよく、複数のパネルの連設で形成されていてもよく、リンクで連結された複数のパイプで形成されていてもよく、ネットで形成されていてもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合等で形成されていてもよい。
また、シャッターカーテンの開閉移動方向は、上下方向でもよく、左右方向でもよく、これらの方向のうちの少なくとも1つに対して傾斜した方向でもよい。
さらに、シャッター装置が前記開閉機を用いて構成される場合には、前記巻取軸に回転動力を与える開閉機は、シャッターカーテンの開き移動と閉じ移動の両方について、モータ等による自動駆動源からの回転動力を巻取軸に与えるものでもよく、シャッターカーテンの開き移動と閉じ移動のうちの一方について、モータ等による自動駆動源からの回転動力を巻取軸に与え、他方については、手動操作力による回転動力を巻取軸に与えるものでもよい。
また、シャッターカーテンの開き移動方向が上方向となっているシャッター装置では、巻取軸に回転動力を与える開閉機は、全開位置に達していたシャッターカーテンをこのシャッターカーテンの自重で巻取軸を回転させながら閉じ移動させる自重閉鎖式開閉機でもよい。
また、シャッターカーテンの開き移動方向が上方向となっているシャッター装置において、全開位置に達していたシャッターカーテンを閉じ移動させることは、このシャッターカーテンの自重で巻取軸を回転させて行わせ、シャッターカーテンの開き移動は、このシャッターカーテンに直接的又は間接的に与える手動操作力、又はこの手動操作力と、シャッターカーテンの閉じ移動時に蓄圧されたばね等による蓄圧力とにより巻取軸を回転させて行わせてもよい。これらの場合には、開閉機と称されるものをシャッター装置に設ける必要がなくなり、開閉機を省略できる。
本発明は、各種用途のためのシャッター装置に適用でき、その一例は、シャッターカーテンによって防災区画を形成するための防災用シャッター装置であり、他の例は、シャッターカーテンで出入口や窓等の開口部を開閉するための開口部用シャッター装置であり、さらに他の例は、ガレージ用シャッター装置や、トラック等の車両の荷台やコンテナに設置されるシャッター装置等である。
また、上記防災用シャッター装置には、火災等の異常事態発生時にシャッターカーテンがエレベータとエレベータホールとの間で閉じ移動して全閉となるエレベータ用防災シャッター装置が含まれる。
本発明によると、ブレーキを備えた開閉機が不要となり、シャッター装置全体の小型化、軽量化を図ることができるようになる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るシャッター装置は、全閉となったときのシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置であって、しかも、火災発生時にシャッターカーテンがエレベータとエレベータホールとの間で閉じ移動して全閉となるエレベータ用防災シャッター装置である。
以下、このエレベータ用防災シャッター装置を説明する。図1は、そのエレベータ用防災シャッター装置の全体を示す正面図で、図2は図1のS2−S2線断面図、図3は、図1のエレベータ用防災シャッター装置の縦断面図である。
初めにエレベータの全体構造を説明する。図2及び図3に示すように、エレベータの昇降箱1が上下動する建物内の縦穴2とエレベータホール3とを区画する建物躯体となっているコンクリート製の壁4には、下面がエレベータホール3から続く床5となっている開口部6が形成され、エレベータ用出入口であるこの開口部6には、縦穴2側の奥において、エレベータ用扉7が配置されている。壁4の厚さ内から縦穴2側に外れた位置に配置されているこのエレベータ用扉7を開閉移動させるために、図3で示されているように、上部レール8と下部レール9がエレベータ用扉7の上下に設けられている。
上部レール8には、エレベータ用扉7の上部ブラケット7Aに取り付けられた上下のローラ10,11が転動自在に係合し、床5に設けられた下部レール9にはエレベータ用扉7の下面に取り付けられた係合部材12がスライド自在に係合し、上のローラ10で吊り下げられた上吊り式となっているエレベータ用扉7は、これらのローラ10,11と係合部材12の案内作用により図示しない駆動手段の駆動力で開閉移動する。
図1に示すとおり、開口部6の上部内面と左右の側部内面には、上枠部材13と側枠部材14が配設され、開口部6の上部内面を形成する上部内面部材となっている上枠部材13と、側部内面を形成する側部内面部材となっている側枠部材14により、開口部6の内面には三方枠となった開口部用外枠組み15が設けられている。これらの上枠部材13と側枠部材14は、ステンレス等の金属板製であり、開口部6の化粧材となっている。
図3で示すように、上枠部材13は、エレベータホール3側の立上り部13Aと、この立上り部13Aの下端からエレベータ扉7側へ水平に延びる延出部13Bとからなる。立上り部13Aは、壁4における開口部6の上部の下がり壁4Aのエレベータホール3側の表面に設けられた取付部材18に取り付けられ、延出部13Bは、下がり壁4Aの縦穴2側の表面に結合具19とブラケット20を介して結合された保持部材21に結合されている。この保持部材21に前記上部レール8が取り付けられている。
また、上枠部材13の立上り部13Aよりも上の取付部材18は、天井部材16でエレベータホール3と上下に仕切られた天井裏空間17に配置されている。この立上り部13Aには、図1に示すように、エレベータ用インジケータ19が配置されている。
本実施形態に係るエレベータ用防災シャッター装置は、図1に示すように、開閉移動することにより、言い換えると、上下動することにより、開口部6を開放、閉鎖するシャッターカーテン30を備えている。図2に示すように、このシャッターカーテン30の左右両端部、言い換えると、シャッターカーテン30の開閉移動方向と直交するカーテン幅方向の両端部は、抜け止め部材30Aで抜け止めされながらガイド部材であるガイドレール31にスライド自在に挿入されている。シャッターカーテン30の開閉移動を案内するためのガイド部材となっているこれらの左右一対のガイドレール31は、壁4における開口部6の左右両側に設けられている側壁4Bのエレベータホール3側の表面の化粧材32に配置されている。これらのガイドレール31の配置位置は、開口部6の化粧材となっていて上枠部材13と側枠部材14からなる前記三方枠の外枠組み15よりもエレベータホール3側の位置となっている。
図3に示すように、シャッターカーテン30を開閉移動させるための開閉移動手段33は、天井部材16よりも上の空間、すなわち天井裏空間17に配置されている。開閉移動手段33は、シャッターカーテン30の上端部が結合された水平な巻取軸34と、この巻取軸34にスプロケット、チェーン等による連結手段35を介して連結された開閉機36とを有する。
巻取軸34と開閉機36は、前記取付部材18に結合されたブラケット38に取り付けられている。また、図3に示すとおり、シャッターカーテン30は、上述のように構成された開閉移動手段33の巻取軸34から、天井部材16に配置されているまぐさ37のスリット37Aに挿通されて下方へ垂下されている。このまぐさ37は、開閉移動するシャッターカーテン30に対して不動部材となっており、まぐさ37の配置高さ位置は、シャッターカーテン30が全開状態となったときに座板51が達する高さ位置と対応している。
シャッターカーテン30は、全部又は主要部がスクリーンからなるカーテン本体50と、このカーテン本体50の閉じ側の先端である下端部に設けられたエンド部材となっている座板51とを有する。ガイドレール31に案内されて開閉移動するシャッターカーテン30が下降しているときに、開閉機36の回転軸36Aをハンドル等の手動工具又はモータ等からなる電動工具で正回転させ、この正回転が連結手段35を介して巻取軸34に伝達されることにより、シャッターカーテン30を巻取軸34に巻き取らせて開き移動させることができ、これにより、シャッターカーテン30を巻取軸34に格納させて開口部6を開放させることができる。
また、シャッターカーテン30の上昇で座板51が天井部材16の前記まぐさ37の高さ位置まで達し、これによって開き移動方向が上方向となっているシャッターカーテン30が全開位置に達すると、まぐさ37に配置されている係合手段60の係合部材が後述するように座板51の被係合部に係合し、これにより、シャッターカーテン30はその全開位置に停止するようになっている。
また、このようにシャッターカーテン30が開口部6を開放しているときに、後述するように、図示しない火災センサからの煙又は炎又は熱の検出信号に基づく制御信号が係合手段60に入力することにより、又は後述する手動操作部材を操作することにより、係合手段60の係合部材は座板51から後退移動し、このため、係合部材は座板51の前記被係合部から離脱し、この結果、座板51を含むシャッターカーテン30の自重によってシャッターカーテン30は巻取軸34を逆回転させながら下降し、座板51が前記床5に接触することにより、巻取軸34から繰り出されて閉じ移動したシャッターカーテン30によって開口部6が閉鎖されるようになっている。
これにより、火災の発生時に開口部6は、建物内のエレベータと前記エレベータホール3との間の箇所においてシャッターカーテン30で閉鎖され、全閉となったこのシャッターカーテン30で防災区画が形成される。一方、開閉機36の回転軸36Aを前述したハンドル等で正回転させてシャッターカーテン30を開き移動させる作業は、エレベータ用防災シャッター装置の保守点検時等において行われる。
上述のように、全開位置に達していたシャッターカーテン30は、座板51の被係合部から係合手段60の係合部材が離脱すると、座板51を含むシャッターカーテン30の自重で下方へ閉じ移動するため、本実施形態に係る前記開閉機36は、全開位置に達していたシャッターカーテン30をこのシャッターカーテン30の自重で巻取軸34を回転させながら閉じ移動させる自重閉鎖式開閉機となっている。
なお、座板51等のシャッターカーテン30の構成部材に、シャッターカーテン30を持ち上げ操作するための操作部材を設けることにより、全閉位置に達しているシャッターカーテン30を持ち上げてシャッターカーテン30の下を通過脱出できるようにしてもよい。また、巻取軸34の外周又は中空とした巻取軸34の内部に、シャッターカーテン30を閉じ移動させるために回転した巻取軸34によってばね力が蓄圧されるコイルばね等によるリターンばねを配置し、全閉となっているシャッターカーテン30を上記操作部材で持ち上げると、このリターンばねの蓄圧力が作用している巻取軸34によってシャッターカーテン30のカーテン本体50が巻き取られるようにし、これにより、全閉位置に達しているシャッターカーテン30を持ち上げるために必要な力を小さくできるようにしてもよい。
以上において、シャッターカーテン30の上下動を案内するためのガイドレール31は、エレベータへの出入口である開口部6よりもエレベータホール3側に配置されているため、シャッターカーテン30は、開口部6よりもエレベータホール3側において開閉移動するようになっている。また、シャッターカーテン30を開閉移動させるための開閉移動手段33は、天井裏空間17において、前記壁4の下がり壁4Aに近接されて配置されている。
図2に示すとおり、シャッターカーテン30のカーテン幅方向両端部が挿入されているガイドレール31の内部には、煙遮断部材40が収納配置され、この煙遮断部材40は、シャッターカーテン30が上下に挿通するシャッターカーテン挿通部材となっている図3のまぐさ37のスリット37Aにも収納配置されている。これにより、シャッターカーテン30が閉じ移動して開口部6を閉鎖しているときに、ガイドレール31の内部及びまぐさ37のスリット37を通って煙、炎がシャッターカーテン30に対して反対側へ達するのを防止されるようになっている。
また、シャッターカーテン30のカーテン本体50を形成している前述のスクリーンは、シリカクロスやガラスクロスに耐火塗料を塗布及び/又は含浸させたものとなっており、このため、防火性と遮煙性とを有する。
図4は、図3で示した係合手段60の配置部分を拡大して示した側断面図であって、シャッターカーテン30の全開時を示す図である。天井部材16に配設されているまぐさ37は、シャッターカーテン30の厚さ方向にスリット37Aの間隔を開けて対向配置された一対のまぐさ部材37B,37Cで形成され、前記上枠部材13側に配置されたまぐさ部材37Cの凹欠部37D及び上枠部材13の上面に係合手段60が取付設置されている。このように天井部材16よりも上の前記天井裏空間17に配置された係合手段60は、本実施形態では図1で示されているように、シャッターカーテン30の幅方向に2個設けられ、これらの係合手段60は、シャッターカーテン30の幅方向中央部から幅方向外側の左右方向へ互いに等距離となった位置に配置されている。
図4に示すように、係合手段60の本体は、シャッターカーテン30と対面する面が開口した箱部材61によって形成され、この箱部材61の内部に係合部材62が収納されている。係合部材62は、上端の軸63から垂下されたレバー部64と、レバー部64のシャッターカーテン30側の側面の下部に、シャッターカーテン30側へ突出形成されたフック部65とからなる。そして、係合部材62は、軸63を中心にシャッターカーテン30に向かって進退移動である揺動運動を行えるようになっている。
フック部65の上面65Aは水平又は略水平な面となっており、この上面65Aの先端から下方へ延びる面65Bは、下方へ延びるにしたがいシャッターカーテン30から離れる傾斜面となっている。また、シャッターカーテン30の座板51は、カーテン本体50に結合された立上り部51Aを有し、この立上り部51Aにおける係合手段60側の上面51Bには、係合手段60側へ下り傾斜したガイド面66が形成されている。
また、立上り部51Aの係合手段60側の側面には、係合手段60側に向かって開口した窪み部67が形成され、係合部材62のフック部65が係合するための被係合部となっているこの窪み部67の内部には、軸68を中心に回転自在となったローラ69が収納されている。
係合手段60の箱部材61の内部には、軸70で揺動自在に取り付けられたソレノイド71が収納され、このソレノイド71の往復動する作動ロッド72の先端は係合部材62に連結されている。作動ロッド72は、ソレノイド71の内部のばねで常に係合部材62側へ突出するように弾性付勢されており、このように作動ロッド72が突出しているときに、軸63を中心に揺動自在な係合部材62は、図4で示されているとおり、鉛直又は略鉛直の姿勢となっている。ソレノイド71は、前述した火災センサからの検出信号が入力する図示しない制御装置と電気ケーブル73を介して接続され、火災センサが火災発生を検出すると、制御装置からの指令による通電でソレノイド71が励磁され、これによって作動ロッド72は前記ばねを圧縮しながら後退するようになっている。このように作動ロッド72が後退すると、係合部材62は軸63を中心にシャッターカーテン30から離れる方向へ後退する。
また、係合部材62には、ガイドローラ74で案内されるワイヤー等による紐状部材75が連結され、この紐状部材75は箱部材61の外部に導出され、その端部は、図1で示されている左右のガイドレール31のうちの一方が配設されている前記化粧材32に配置された手動操作装置76に接続されている。この手動操作装置76は、開閉自在な蓋を開けると手動で操作できる操作部材を備えており、この操作部材の操作によって紐状部材75が引っ張られ、これにより、係合部材62が軸63を中心にシャッターカーテン30から離れる方向へ後退するようになっている。
通常時のシャッターカーテン30は、図4で示されているように、座板51がまぐさ37の高さ位置に達している全開状態となっており、このときの係合部材62は鉛直又は略鉛直の姿勢となっているため、フック部65は、座板51の窪み部67に設けられたローラ69を下側から受けている。言い換えると、係合部材62は、座板51に被係合部として形成されている窪み部67に係合しており、これにより、シャッターカーテン30の自重による閉じ移動は阻止され、シャッターカーテン30は全開位置に停止されている。
火災が発生すると、前記制御装置からの指令による通電でソレノイド71が励磁されるため、作動ロッド72の後退で係合部材62は軸63を中心に後退揺動し、このため、係合部材62のフック部65はローラ69から逃げ、言い換えると、係合部材62は座板51に被係合部として設けられた窪み部67から離脱する。この結果、シャッターカーテン30は自重によって下方へ閉じ移動して全閉となり、このシャッターカーテン30により、前述したように防災区画が形成される。制御装置からの指令による通電でソレノイド71が励磁されてシャッターカーテン30が閉じ移動すると、この励磁は短時間で終了するため、作動ロッド72は前記ばねで前進突出し、また、係合部材62は軸63を中心に元の位置に戻り揺動する。
なお、以上のように全開位置で停止していたシャッターカーテン30が閉じ移動することは、手動装置76の手動操作部材によって紐状部材75が引っ張り操作されて、係合部材62が軸63を中心に後退揺動したときにも行われる。このように手動装置76の手動操作部材が操作されることは、火災の発生を火災センサよりも前に感知した人によって行われたり、シャッターカーテン30を試験運転や定期検査等で閉じ移動させるときに行われる。
紐状部材65が引っ張り操作されたときは、ソレノイド71の作動ロッド72は前記ばねを圧縮して後退し、この引っ張り操作が解除されると、作動ロッド72はばねで前進突出し、係合部材62は軸63を中心に元の位置に戻り揺動する。
全閉となったシャッターカーテン30を開き移動させることは、前述したとおり、開閉機36の回転軸36Aをハンドル等の手動工具又はモータ等からなる電動工具で回転させて、巻取軸34にシャッターカーテン30を巻き取らせることにより行われる。
このように開き移動したシャッターカーテン30が全開位置の近傍に達すると、座板51のガイド面66が係合部材62のフック部65の傾斜面65Bに当接し、さらにシャッターカーテン30が上昇することにより、係合部材62は軸63を中心に後退揺動する。シャッターカーテン30が全開位置に達したときには、係合部材62のフック部65の上面65Aが座板51のローラ69の下側に達しているため、係合部材62は前記ばねで前進突出する作動ロッド72により軸63を中心に前進揺動し、フック65の上面65Aがローラ69を受けることになる。このため、シャッターカーテン30の重量が係合部材62で支持され、シャッターカーテン30は全開位置に停止して自重で閉じ移動することはない。
以上説明した本実施形態によると、シャッターカーテン30が全開位置に達しているときには、係合手段60により、シャッターカーテン30が自重で閉じ移動することはなく、停止しているため、前記開閉機36には、巻取軸34の回転を停止させるためのブレーキを設ける必要がない。このため、開閉機36を、ブレーキを備えていない小型化、軽量化された開閉機とすることができ、これによりシャッター装置全体の小型化、軽量化を図ることもでき、開閉機36が、本実施形態のように、たとえ狭い空間である天井裏空間17に収納配置されるものとなっていても、開閉機36はブレーキを備えていない小型化、軽量化されたものとなっているため、この開閉機36の収納配置を有効に行える。また、開閉機36を小型化、軽量化できることにより、シャッター装置の設置作業時において、開閉機36を所定の位置の取り付けるための作業等についての取り扱いが容易となり、その作業の容易化を図ることができる。
また、本実施形態によると、係合手段60の係合部材62を座板51の窪み部67に対して係合、離脱させるためにこの係合部材62を進退移動させることは、ソレノイド71による自動手段77と、紐状部材75による手動手段78との両方によって行え、このため、2つの系統によって係合部材62を進退移動させることができ、シャッターカーテン30を各種予測される事態に応じて適切に閉じ移動させることが可能となる構成とすることができる。
また、窪み部67には回転自在なローラ69が配置され、窪み部67に対する係合部材62の係合、離脱は、係合部材62のフック部65がローラ69を回転させながらこのローラ69に乗り上げたり、ローラ69から退避することにより行われるため、窪み部67に対する係合部材62の係合、離脱は、発生する摩擦抵抗が少なくなされることになり、窪み部67の摩擦抵抗軽減部であって摩擦抵抗軽減部材となっているローラ69により、この係合、離脱をより確実、円滑に行わせることができる。
図5は、摩擦抵抗軽減部材をテフロン等の硬質プラスチック部材79とした実施形態を示す。すなわち、座板51に形成された被係合部として窪み部80の上面には、下面が摩擦抵抗の小さい平滑面となった硬質プラスチック部材79が取り付けられ、この硬質プラスチック部材79の下面に対して、係合部材62のフック部65が乗り上げたり、退避したりするようになっている。
このため、この実施形態によっても、窪み部80に対する係合部材62の係合、離脱を、発生する摩擦抵抗を少なく抑えて行わせることができる。
図6の実施形態の係合手段90では、自動手段77を構成するソレノイド91は、シャッターカーテン30に向かって往復摺動自在となっているスライダ92に取付設置されている。このスライダ92は、上下位置が規制されながらばね93で常にシャッターカーテン30側へ付勢されているとともに、手動手段78を構成する紐状部材94がスライダ92に連結されているため、紐状部材94が引っ張り操作されることにより、スライダ92はシャッターカーテン30に対して後退移動する。
シャッターカーテン30に向って進退移動自在となっているソレノイド91の作動ロッド95は、ソレノイド内部のばねで常にシャッターカーテン30側へ付勢されており、また、この作動ロッド95の先端には、摩擦軽減部材であるローラ96が回転自在に取り付けられている。スライダ92がばね93で前進位置に達している図6で示す通常時において、このローラ96は、座板51に被係合部として形成された窪み部97の上面を受けており、これにより、シャッターカーテン30は全開位置で停止している。
前記実施形態と同じく、火災の発生でソレノイド91が励磁されると、作動ロッド95は前記ばねを圧縮して後退し、これにより、作動ロッド95は窪み部97との係合から離脱する。このため、この実施形態では、ソレノイド91の作動ロッド95自体が、被係合部となっている窪み部97に対して係合、離脱する係合部材となっている。
また、紐状部材94が手動で引っ張り操作されることにより、スライダ92の後退によって作動ロッド95は窪み部97との係合から離脱する。
以上のように、この実施形態においても、自動手段77であるソレノイド91でも、手動手段78である紐状部材94でも、作動ロッド95は窪み部97との係合から離脱し、シャッターカーテン30は自重によって閉じ移動する。
シャッターカーテン30が上方向へ開き移動して全開位置の近傍に達すると、座板51に形成されているガイド面66が作動ロッド95のローラ96に当接するため、シャッターカーテン30のさらなる開き移動により、作動ロッド95は前記ばねを圧縮しながら後退する。窪み部97の上面の高さ位置がローラ96の高さ位置に達すると、前記ばねで作動ロッド95が前進して、ローラ96が窪み部97の上面を受けることになり、これにより、シャッターカーテン30を全開位置で停止すさせることができる。
図7の実施形態では、被係合部となっている孔100は座板51に形成されておらず、この孔100は座板51に取り付けられた取付部材101に形成され、この取付部材101は被係合部用部材となっている。この実施形態における係合手段は、図4の実施形態の係合手段60と同じであり、このため、孔100には、図4のローラ69に相当する回転自在なローラ102が配置されている。また、取付部材101の上面は、図4のガイド面66に相当するガイド面103となっている。
この実施形態によると、座板51に被係合部としての窪み部や孔等を形成しなくてもよいため、従来の座板をそのまま使用できるという効果を得られる。
なお、図7の実施形態において、孔100には、図5の硬質プラスチック79に相当すする摩擦軽減部材を配置してもよく、また、係合手段は、図6の係合手段90としてもよい。
図8の実施形態でも、被係合部となっている孔110は座板51に形成されておらず、この孔110は、座板51の側面にビス等の結合具112で結合された板状の結合部材111に形成され、この結合部材111が、この実施形態における被係合部用部材となっている。
この実施形態における係合手段120は、シャッターカーテン30側が開口した箱状部材121の内部に軸123を中心に上下揺動自在に配置された係合部材122と、この係合部材122の軸123よりもシャッターカーテン30側の部分を常に下向きに付勢しているばね124とを含んで構成されている。自動手段77を構成するソレノイド131は、作動ロッド132が下向きとなって箱状部材121の内部に取付配置され、ソレノイド131の内部のばねで常に下向きに突出付勢されている作動ロッド132の先端が、軸123よりもシャッターカーテン30とは反対側へ延びている係合部材122の後方延出部122Aの上面に当接している。この後方延出部122Aには、手動手段78を構成していてガイドローラ136で案内移動される紐状部材135の端部が連結されている。
係合部材122における軸123よりもシャッターカーテン30側の部分は、上片部122Bと下片部122Cとからなる上下の二股形状となっており、上片部122Bの先端下面125は、シャッターカーテン30側から軸123側へ延びるにしたがい斜め下方へ延びる傾斜面となっている。また、シャッターカーテン30が全開位置に達しているときには、下片部122Cは、図8の実線で示されているように、結合部材111の孔110に挿入係合しており、このとき、係合部材122に作用しているシャッターカーテン30の重量及びばね124のばね力は、ソレノイド131の下向きに突出している作動ロッド132で支持され、水平又は略水平となっている下片部122Cによってシャッターカーテン30は全開位置に保持されている。
火災の発生でソレノイド131が励磁されると、作動ロッド132は圧縮して後退(上昇)し、これにより、係合部材122は、図8の2点鎖線で示されているように、軸123よりもシャッターカーテン30側の部分がシャッターカーテン30の重量及びばね124のばね力によって下向きに揺動する運動を行い、下片部122Cが結合部材111の孔110から離脱することにより、シャッターカーテン30は全閉位置に向って閉じ移動を開始する。
また、紐状部材135が手動で引っ張り操作されることによっても、係合部材122は、軸123よりもシャッターカーテン30側の部分が下向きに揺動する運動を行い、これにより、下片部122Cが結合部材111の孔110から離脱し、シャッターカーテン30は全閉位置に向って閉じ移動を開始する。なお、このときには、作動ロッド132はソレノイド131の内部の前記ばねを圧縮して後退する。
火災の発生でソレノイド131が励磁されることや、紐状部材135が手動で引っ張り操作されることは短時間のうちに終了し、このため、シャッターカーテン30が全閉位置に向って閉じ移動を開始すると、ソレノイド131の内部の前記ばねで下向きに突出する作動ロッド132により、係合部材122は、軸123よりもシャッターカーテン30側の部分がばね124に抗して上向きに揺動する運動を行い、下片部122Cは水平又は略水平の姿勢に戻る。
また、シャッターカーテン30が全閉位置から全開位置に向って開き移動し、シャッターカーテン30が全開位置の近くに達すると、これが前記ガイドレール31等に配置されているセンサで検知され、この検知信号が入力する制御装置からの指令による通電でソレノイド131が励磁されて作動ロッド132は後退するため、係合部材122は、軸123よりもシャッターカーテン30側の部分がばね124のばね力によって下向きに揺動する運動を行う。そして、シャッターカーテン30がさらに開き移動することにより、結合部材111の上端が上片部122Bの傾斜面125に当接するため、この当接により、係合部材122は、軸123よりもシャッターカーテン30側の部分がばね124に抗して上向きに揺動する運動を行い、このため、シャッターカーテン30が全開位置に達したときには、水平又は略水平の姿勢に戻っている下片部122Cが結合部材111の孔110に挿入係合している。このときには、作動ロッド132は、ソレノイド131の内部の前記ばねで下向きに突出しており、この作動ロッド132の先端部が係合部材122の後方延出部122Aの上面に当接しているため、シャッターカーテン30は全開位置に保持され、これにより、全部が図8で示されている旧位の状態に戻る。
なお、この実施形態における座板51に結合された結合部材111は、全閉位置に達しているシャッターカーテン30をエレベータ側から手動で持ち上げ操作するために、孔110に手を掛けるための手掛け部材として利用することができる。
このように手掛け部材となる結合部材111は、シャッターカーテン30の幅方向に1個又は複数個設けることができ、結合部材111の個数を1個とする場合には、この1個の結合部材111をシャッターカーテン30の幅方向中央又は略中央に配置することが好ましい。これによると、全閉位置に達していたシャッターカーテン30を開き移動させてエレベータ側からエレベータホール側へ避難するために、孔110に手を掛けてシャッターカーテン30を手動操作で開き移動させる際に、座板51が水平方向に対して傾くのをなくす又は傾き量を小さくして、シャッターカーテン30の幅方向両端部を同量又は略同量ずつ均等に開き移動させることができる。
また、1個の結合部材111についてのシャッターカーテン30の幅方向の配置位置をシャッターカーテン30の幅方向中央又は略中央とすることにより、結合部材111に関するシャッターカーテン30の幅方向における重量バランスが良好となるため、シャッターカーテン30が前記巻取軸34に巻き取られて前記天井裏空間17に格納されたときに、座板51を水平又は略水平の姿勢とさせて前記まぐさ37のスリット37Aに挿入させることができ、この状態をシャッターカーテン30が全開位置に達しているとき維持させることができる。