JP4508783B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4508783B2
JP4508783B2 JP2004249231A JP2004249231A JP4508783B2 JP 4508783 B2 JP4508783 B2 JP 4508783B2 JP 2004249231 A JP2004249231 A JP 2004249231A JP 2004249231 A JP2004249231 A JP 2004249231A JP 4508783 B2 JP4508783 B2 JP 4508783B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
target current
motor
control board
torque
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004249231A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006062575A (ja
Inventor
明宏 田巻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Corp
Original Assignee
Showa Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Corp filed Critical Showa Corp
Priority to JP2004249231A priority Critical patent/JP4508783B2/ja
Publication of JP2006062575A publication Critical patent/JP2006062575A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4508783B2 publication Critical patent/JP4508783B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に係り、特に駆動モータの温度補償に関する。
操舵を補助する駆動源としてモータを用いた電動パワーステアリング装置においては、内燃機関が配設されて熱の発生するエンジンルーム内に配設されるとともに、モータ自体が発熱するので、モータの温度が大きく変化する。
特にモータの温度が上昇し、所定温度以上になると、モータおよびモータ駆動回路の焼損のおそれがあるので、モータの温度を検出して許容値以上の温度になると、モータの動作量を低減する例(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
特開昭60−035663号公報
しかし、モータは、上記のように所定温度を越える高温時にモータおよびモータ駆動回路の焼損の問題があるとともに、所定温度以下においてもモータの発生トルクに温度特性を有しており、モータの電機子電流に対する発生トルクの比すなわちトルク定数が温度によって僅かではあるが変動し、所望のトルクが得られない問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、モータ駆動の制御基板の温度を検出する温度センサを利用してモータの発生トルクの温度補償を行うことができる電動パワーステアリング装置を供する点にある。
課題を解決するための手段および効果
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ステアリング側に連結された操舵ピニオンと噛合うラック軸の摺動により操舵輪が転舵されるとともにステアリング側の操舵トルクに応じて駆動制御されるモータの動力が伝達機構を介して前記ラック軸の摺動に伝達されて操舵が補助される電動パワーステアリング装置において、前記ラック軸を摺動自在に収容するラックケースの一部に前記モータおよび同モータを駆動制御する制御基板が隣り合って収容され、前記制御基板の温度を検出する制御基板温度検出手段と、前記制御基板温度検出手段が検出した前記制御基板の基板温度に予め決められたトルクセンサの温度補償用の基準温度および換算係数を適用してトルクセンサの温度補償用の温度補正値を算出するトルクセンサ温度補正値演算手段と、前記トルクセンサの検出信号と前記トルクセンサ温度補正値演算手段が算出した温度補正値とに基づき前記モータを駆動制御する目標電流を算出する目標電流演算手段と、トルク定数を温度補償するモータ温度に対する前記目標電流の補正係数の予め設定した対応関係から前記制御基板温度検出手段が検出した前記制御基板の温度をモータ温度として対応する補正係数を算出する補正係数演算手段と、前記目標電流演算手段が算出した目標電流を前記補正係数演算手段が算出した補正係数により補正して補正目標電流を算出する補正演算手段と、前記モータの電機子電流値から上昇温度を推定する推定上昇温度演算手段と、前記制御基板温度検出手段が検出した前記制御基板の基板温度に前記推定上昇温度演算手段が演算した推定上昇温度を加算して雰囲気温度を推定する雰囲気温度推定手段と、雰囲気温度に対する目標電流抑制値を予め決めた対応関係に前記雰囲気温度推定手段が推定した雰囲気温度を照らして対応する目標電流抑制値を抽出する目標電流抑制値抽出手段と、前記補正演算手段が補正した補正目標電流を前記目標電流抑制値抽出手段により抽出された目標電流抑制値により抑制して最終的に前記モータを駆動制御する最終目標電流を算出する最終目標電流演算手段と、を備える電動パワーステアリング装置とした。
ラック軸を摺動自在に収容するラックケースの一部にモータおよび制御基板が隣り合って収容された小型コンパクトな構造であり、制御基板温度検出手段を利用し、検出した制御基板の温度をモータ温度とみなしてモータ温度に対する目標電流の補正係数の予め設定した対応関係に照らして補正係数を算出でき、同補正係数により目標電流を補正することで、モータの発生トルクの温度補償を行って温度に影響されない安定した最適の駆動トルクを得ることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御基板温度検出手段が、前記制御基板に設けられたサーミスタであることを特徴とする。
既存の小型のサーミスタを制御基板に設けることで、基板サイズを拡大することなく、簡単に制御基板の温度を検出することができる。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図10に基づいて説明する。
本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置1の全体正面図を図1に、上面図を図2に、同内部構造を示す正面図を図3に示す。
電動パワーステアリング装置1は、車両の左右方向(図1,図2,図3において左右は逆になっている)に指向した略円筒状のラックケース2内にラック軸3が左右軸方向に摺動自在に収容されている。
ラックケース2の両端開口から突出したラック軸3の両端部にそれぞれジョイント4,4を介してタイロッド5,5が動かされ、さらに転舵機構を介して車両の転舵輪が転舵される。
ラックケース2の右端(図1ないし図3において左端)近傍にステアリングギヤボックス6が設けられている。
同ステアリングギヤボックス6には、ステアリングホイール(図示せず)が一体に取付けられたステアリング軸にジョイントを介して連結される入力軸7が軸受を介して回動自在に軸支されており、入力軸7はステアリングギヤボックス6内でトーションバー8を介して相対的なねじり可能に操舵ピニオン軸9と連結されている。
この操舵ピニオン軸9のはす歯9aがラック軸3のラック歯3aと噛合してラック・ピニオン機構が構成されている。
したがって、ステアリングホイールの回動操作により入力軸7に伝達された操舵力は、トーションバー8を介して操舵ピニオン軸9を回動して操舵ピニオン軸9のはす歯9aとラック歯3aの噛合によりラック軸3を左右軸方向に摺動させる。
一方で、ラックケース2の拡径した中央部はモータケース2aとなっており、モータ10が収容されている。
該モータ10は、ボールネジ3bが刻設されたラック軸3の外周を環状のインナロータ11が回転し、その外側にアウタステータ12がモータケース2aの内周面に周設されて設けられている。
環状のインナロータ11の内周面に圧入された接続スリーブ13が左方(図3の右方)に延出し、モータケース2aの内周に軸受15を介して回転自在に支持されたボールナット部材14と一体に結合されている。
ボールナット部材14は、ラック軸3のボールネジ3bにボールを介して螺合している。
したがって、モータ10が駆動されインナロータ11が回転すると、一体にボールナット部材14が回転し、ボールナット部材14とボールを介して螺合するラック軸3を左右に摺動して操舵力をアシストすることができる。
ラックケース2のモータケース2aとステアリングギヤボックス6との間の部分にモータ10を駆動制御する制御基板20を収容するハウジング2bがラック軸3の前方(ピニオン軸側)に形成されている。
モータケース2aとステアリングギヤボックス6は、共にハウジング2bに隣接し、ハウジング2bとともに共通空間を形成しており、小型コンパクトな構造である。
したがって、モータ10と制御基板20は、ラックケース2の一部(隣接するモータケース2aとハウジング2b)に隣り合って収容されている。
ハウジング2bは前方に向けて大きく略横長矩形の前面開口21を有して、その周縁は開口21を閉塞する前面カバー23を取付ける合わせ面22が矩形枠状に形成され、同合わせ面22にシール部材を介して前面カバー23がねじ止めされる。
制御基板20は、ハウジング2bの開口21に対向する底面から突出形成される複数の取付ボスの先端面に取付けられ、その前方を前面カバー23により覆われる。
一方、ステアリングギヤボックス6内のトーションバー8の周囲にトルクセンサ30が設けられている。
このトルクセンサ30の概略構成図を図4に示す。
ステアリングギヤボックス6にベアリング31,32を介して回転自在に軸支され同軸に挿入された入力軸7と操舵ピニオン軸9とが、前記したように内部でトーションバー8により連結されている。
円筒状のコア33が操舵ピニオン軸9の大径端部9bの外周面にセレーション嵌合して操舵ピニオン軸9に対して軸方向にのみ摺動自在に設けられ、入力軸7より突設されたスライダピン34が大径端部9bの周方向に長尺の長孔を貫通して前記コア33のスパイラル溝33aに係合している。
ステアリングギヤボックス6の内部に支持された2個のトルク検出用のコイル35,36が、軸方向に摺動する円筒状のコア33の外周に空隙を介して設けられている。
該2個のコイル35,36は、コア33の軸方向の移動中心に関して互いに反対側に配置されている。
入力軸7に捩じり力が作用すると、トーションバー8を介して操舵ピニオン軸9に回転力が伝達されるが、トーションバー8は弾性変形して入力軸7と操舵ピニオン軸9との間に回転方向の相対的変位が生じる。
この回転方向の相対的変位は、スライダピン34とスパイラル溝33aとの係合を介してコア33を軸方向に摺動させる。
コア33が軸方向に移動すると、コイル35,36のそれぞれコア33を囲む面積が変化し、一方の面積が増すと他方の面積が減る関係にある。
コア33を囲む面積が大きくなると、磁気損失が増えコイルのインダクタンスは減り、逆にコア33を囲む面積が小さくなると、磁気損失が減りコイルのインダクタンスは増す。
したがってコア33がコイル35側に移動するトルクが作用したときは、コイル35のインダクタンスL1が減少し、コイル36のインダクタンスL2が増加し、逆にコア33がコイル36側に移動するトルクが作用したときは、コイル35のインダクタンスL1が増加し、コイル36のインダクタンスL2が減少する。
このトルクセンサ30のコイル35,36のインダクタンスL1,L2の変化に基づいてトルクを検出するトルク検出回路40を図5に示す。
なお、図5は、モータ10を駆動制御する制御回路の概略構成図であり、前記制御基板20上に構成され、トルク検出回路40は、その一部を構成する。
トルク検出回路40において、コイル35,36は互いに一端が接続され、その接続端と各他端から信号線が延び、トルク検出回路40の接続端子に接続される。
トルク検出回路40内では、コイル35,36の接続端は接地され、各他端はそれぞれ抵抗37,38を介してトランジスタ39のエミッタ端子に接続されている。
トランジスタ39は、コレクタ端子に定電圧が掛かり、ベース端子には交流電圧が入力される。
コイル35と抵抗37の接続部から延出した電圧信号線41aがコンデンサ42aを介して平滑回路43aに接続され、コイル36と抵抗38の接続部から延出した電圧信号線41bがコンデンサ42bを介して平滑回路43bに接続されている。
すなわちコイル35,36,抵抗37,38によりブリッジ回路が構成され、該ブリッジ回路に発振電圧が入力され、その出力電圧が平滑回路43a,43bに入力され、平滑されて第1,第2電圧V,Vとして出力される。
第1,第2電圧V,Vは、それぞれ抵抗44a,44bを介して演算増幅器である差動アンプ46の反転入力端子,非反転入力端子に入力される。
差動アンプ46には、抵抗45により負帰還がかけられて差動増幅器として機能し、その出力は、トルク検出電圧VtとしてCPU60に入力される。
なお差動アンプ46の非反転入力端子には、バイアス電圧Vが入力される。
したがって差動アンプ46は、第1電圧Vと第2電圧Vの差を増幅度A倍し、バイアス電圧Vを加えた電圧をトルク検出電圧Vtとして出力する。
すなわちトルク検出電圧Vtは、
Vt=(V−V)・A+V
である。
なお右操舵トルク(右方向の捩じりトルク)と左操舵トルク(左方向の捩じりトルク)のいずれにも偏しない中立時のトルク検出電圧Vtを中立点電圧と称し、正常時上記バイアス電圧Vが中立点電圧となる。
本トルクセンサー30は、以上のような概略回路構成をなし、その動作を第1,第2電圧V,V及びトルク検出電圧Vtの様子を示した図6に基づいて以下説明する。
図6において示された座標は、縦軸を電圧とし、横軸右方向を右操舵トルク、横軸左方向を左操舵トルクとして原点0が中立点である。
図6は、トルクセンサ30が正常に動作したときのもので、右操舵トルクが大きくなると、入力軸7と操舵ピニオン軸9の相対的回転によりコア33がコイル35側に移動し、コイル36のインダクタンスL2を増加してその誘導起電力を大きくし、逆にコイル35のインダクタンスL1を減少させてその誘導起電力を小さくするので、第2電圧Vが大きくなり、第1電圧Vが小さくなる(図6(1)参照)。
また左操舵トルクが大きくなる場合は、上記とは逆に第2電圧Vが小さくなり、第1電圧Vが大きくなる(図6(1)参照)。
したがって両者の差をA倍してバイアス電圧を加えた差動アンプ46の出力であるトルク検出電圧Vtは、図6(2)に示すように中立点でバイアス電圧Vを通る右上がりの傾斜線となる。
この図6(2)のグラフに示すトルク検出電圧Vtの傾斜線に基づいてトルク検出電圧Vtから左右への操舵トルクを検出できる。
トルク検出電圧Vtは、CPU60に出力され、CPU60は、トルク検出電圧Vtに基づき操舵トルクに応じたモータ制御の指示信号をモータドライバ17に出力し、モータドライバ17によりステアリングを補助するモータ10が駆動され、操舵トルクに応じたモータ10の駆動制御がなされる。
モータドライバ17は、例えばFET(電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子を4個ブリッジに組んで、パルス幅変調方式の直流チョッパ制御された電流をモータ10に正逆双方向に供給可能とするものである。
制御基板20上には、CPU60,モータドライバ17およびトルク検出回路40等の種々の機能素子が実装されており、ある程度以上の高温にさらされると熱破壊されるおそれがあるので、制御基板20には、サーミスタ50が搭載され、制御基板20の温度を検出している。
以上のようなパワーステアリングの制御機構において、トルクセンサ30の温度による影響は避けられない。
第1電圧Vと第2電圧Vの互いの電圧差からトルク検出電圧Vtを求めているので、各コイル35,36自体の温度変化は互いに相殺されてトルク検出電圧Vtに殆ど影響を与えないが、トルクセンサ30のコア33やスライダピン34等の構造部品やステアリングギヤボックス6の熱膨張による歪みは第1,第2電圧V,Vにそれぞれ別個に影響し、よってトルク検出電圧Vtが変動して正確なトルクが得られない。
そこで、制御基板20に搭載された前記サーミスタ50を利用して、その制御基板20の温度を検出しており、同サーミスタ50は、ラックケース2のハウジング2b内にあって、ステアリングギヤボックス6のトルクセンサ収納部およびラックケース2のモータケース2aとハウジング2bにより形成された共通空間に存在するので、サーミスタ50により検出された基板温度Tbは共通空間の雰囲気温度としてCPU60に出力され、トルクセンサ30の温度補償、モータ10の発生トルクの温度補償および制御基板20の熱破壊を防止したモータ10の駆動制限制御にも供されている。
サーミスタ50は、既存の小型のものを使用し、制御基板20への搭載に際して制御基板20の基板サイズを拡大する必要は殆どない。
また、各種機能素子を組み合わせた温度検出回路が不要であり、制御基板20の基板サイズを小さく維持できる。
一方で、モータ10に供給され電機子に流れる電機子電流値Imを検出する電流検出装置18が設けられ、同電流検出装置18の検出電流値ImがCPU60にフィードバックされとともに、検出電流値Imをもとにモータ10の発熱による上昇温度が推定される。
以上のトルク検出回路40によるトルク検出電圧Vt、サーミスタ50による基板温度Tbおよび電流検出装置18の検出電流値Imが、CPU60に入力されて、CPU60により処理され、トルクセンサ30の温度補償およびモータ10の発生トルクの温度補償をなし制御基板20の熱破壊を防止したモータ10の駆動制御が実行される。
このCPU60の作業を機能ごとにブロック化して示したブロック図を図7に示し、以下説明する。
サーミスタ50により検出された基板温度Tbは、CPU60のトルクセンサ温度補正値演算手段66に入力され、トルクセンサ温度補正値演算手段66によりトルクセンサ30の温度補償用の温度補正値dVが算出される。
すなわち基板温度Tbは、トルクセンサ30の雰囲気温度とみなして、同基板温度Tbの基準温度Tsからの温度変化量Tb−Tsに換算係数rを掛けて電圧に換算し温度補正値dV(=(Tb−Ts)・r)とする。
この温度補正値dVは、制御用トルク演算手段61に入力され、制御用トルク演算手段61は、別にトルク検出回路40から入力されたトルク検出電圧Vtから温度補正値dVを減算して制御用トルクVt−dVを算出する。
このように基板温度Tbをトルク検出電圧Vtの補正に用いることで、トルクセンサ30のコイル自身の温度変化以外の他の構成部品に依存する温度変化(ケースの熱膨張等)に影響されない正確な制御用トルクを検出することができる。
この制御用トルクVt−dVに基づき目標電流抽出手段62が、モータ10を駆動する目標電流Ioを抽出する。
目標電流抽出手段62は、予め求めておいた制御用トルクおよび車速に対する最適な目標電流Ioの関係に、求められた制御用トルクVt−dVを照らして目標電流Ioを抽出し、補正目標電流演算手段63に出力する。
また、サーミスタ50が搭載される制御基板20は、モータ10と隣り合って共通空間にあるので、サーミスタ50により検出された基板温度Tbは、モータ10の雰囲気温度と略みなすことができ、モータ10の発生トルクの温度補償にも用される。
モータ10のトルク定数(電機子電流に対する発生トルクの比,Nm/A)は、温度変化に対して若干変動し、その1例を図8のグラフに示す。
同図8のグラフにおいて、モータ温度(横軸)に対してトルク定数(縦軸)は、右上がりの折れ線を示している。
このトルク定数の温度特性により、温度によってモータのトルクが変動してしまうので、この温度の影響をなくすために、図9のグラフで示すような温度に対する補正係数qを予め設定し記憶しておく。
図9の補正係数qのグラフは、トルク定数の温度変化を、温度に関係なく所定のトルク定数に一定に保つべく、温度に対して補正係数qが、図8のグラフとは反対に右下がりの折れ線となっている。
したがって、サーミスタ50により検出された基板温度Tbは、補正係数演算手段67に入力され、基板温度Tbはモータ温度とみなされて補正係数演算手段67により図9の補正係数qのグラフに照らし合わされて温度Tbに対応する補正係数qを求める。
求められた補正係数qは、補正目標電流演算手段63に入力され、補正目標電流演算手段63により前記目標電流抽出手段62が抽出した目標電流Ioに補正係数qが乗算されて、モータ10の発生トルクの温度補償された補正目標電流Iq(=Io・q)が算出される。
算出された補正目標電流Iqは、最終目標電流演算手段64に出力される。
一方で、電流検出装置18が検出するモータ10に供給され電機子電流値Imが、CPU60の推定上昇温度演算手段68に入力され、電機子電流値Imに基づいてモータ10の発熱による推定上昇温度Tmが演算される。

動作時のモータの主な損失は、銅損であり、銅損は電機子電流値Imの2乗に電機子抵抗を乗算したものであり、これにモータ固有の熱抵抗で除算すれば発熱量に変換することができる。
したがって、電機子電流値Imの2乗の積算値に温度換算係数を乗算して推定上昇温度Tmを演算することができる。
すなわち推定上昇温度演算手段68は、Wms(n)=Wms(n−1)+(Im−Ima)の繰返し演算により電機子電流値Imの2乗の積算値Wmsを求め、これに温度換算係数kを掛けて推定上昇温度Tm(=Wms・k)を算出する。
ここに、Imaはモータ電流積算基準値であり、Wms(n−1)は前回の積算値、Wms(n)は今回の積算値である。
この推定上昇温度Tmは、雰囲気温度推定手段69に入力される。
この雰囲気温度推定手段69には、サーミスタ50が検出する基板温度Tbが別途入力されており、雰囲気温度推定手段69は、この基板温度Tbに推定上昇温度Tmを加算してステアリングギヤボックス6とラックケース2の共通空間のこれからなるであろう雰囲気温度Tev(=Tb+Tm)を推定する。
雰囲気温度推定手段69が推定した雰囲気温度Tevは、目標電流抑制値抽出手段70に入力されて、目標電流抑制値抽出手段70により目標電流抑制値pが抽出される。
目標電流抑制値抽出手段70は、ラックケース2のハウジング2b内に配設される制御基板20が熱破壊されないように、ある温度以上で温度上昇を抑えるべくモータを駆動する目標電流を抑制する目標電流抑制値pを雰囲気温度Tevに対して予め決めた対応関係をメモリに記憶している。
予め定めた雰囲気温度Tevと目標電流抑制値pの対応関係を図10に示す。
雰囲気温度Tevがある抑制開始温度tまでは、目標電流抑制値pは1.0である。
雰囲気温度Tevが抑制開始温度tを越えると、目標電流抑制値pは1.0から漸次減少する。
こうして雰囲気温度Tevをもとに目標電流抑制値抽出手段70により抽出された目標電流抑制値pは、最終目標電流演算手段64に入力され、最終目標電流演算手段64に別途前記補正目標電流演算手段63から入力される補正目標電流Iqに乗算されて最終目標電流Ic(=Iq・p)が算出される。
したがって、推定された雰囲気温度Tevが抑制開始温度tに至るまでは、目標電流抑制値p=1.0であり、補正目標電流Iqは全く抑制されることなく最終目標電流Icとしてモータ駆動に供されるが、雰囲気温度Tevが抑制開始温度tを越えると、目標電流抑制値pの減少に伴い補正目標電流Iqを抑制する割合が大きくなり、モータ10の発熱が抑えられ、各種機能素子を含む制御基板20の熱破壊を防止することができる。
なお、制御基板20と同じ共通空間内にあるモータ10についてもその発熱による焼損を防止することが可能である。
補正目標電流Iqが抑制されると、モータ10による操舵アシスト力を減少するので、運転者はステアリング操作が重たく感じるようになるが、雰囲気温度Tevが抑制開始温度tを越えたとき、目標電流抑制値pが漸次減少し補正目標電流Iqが漸次抑制されるので、運転者に大きな違和感を与えない。
なお、最終目標電流演算手段64が出力する最終目標電流Icは、電流フィードバック制御手段65に入力され、電流フィードバック制御手段65は、電流検出装置18からの電機子電流値Imのフィードバックを受け最終目標電流Icとの差を0にすべく指示信号をモータドライバ17に出力してモータ10をフィードバック制御する。
以上のように、制御基板20は、トルクセンサ30の温度補償およびモータ10の発生トルクの温度補償をなし制御基板20の熱破壊を防止したモータ10の駆動制御を実行する。
制御基板20に設けられるサーミスタ50は、ステアリングギヤボックス6とラックケース2の共通空間にあって、サーミスタ50が検出する基板温度Tbは、制御基板20の熱破壊を防止し、トルクセンサ30の雰囲気温度とみなしてトルクセンサ30の温度補償に用いられる。
本電動パワーステアリング装置1においては、さらにこのサーミスタ50を利用し基板温度Tbをモータ10の雰囲気温度とみなしてモータ10の発生トルクの温度補償も行って温度に影響されない安定したモータ10の発生トルクを得ることができる。
したがって、モータ10の温度を直接検出する専用の温度センサを別途設ける必要がなく、その温度センサの取付けに伴う部品も不要で、部品点数を少なくしてコストの低減を図ることができる。
本実施の形態における補正係数演算手段67は、図9に示す温度に対する補正係数qの関係を記憶して、基板温度Tbから補正係数qを求めたが、図9のグラフの折れ線を1本の直線で近似し、その直線の式を記憶して基板温度Tbをその式に代入することで、補正係数qを演算するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、制御基板20の温度をサーミスタ50によって検出したが、その他に制御基板20に供給される電流に基づいて素子等の発熱量を求め、制御基板20の温度を推定することが可能である。
本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の全体正面図である。 同平面図である。 該電動パワーステアリング装置の内部構造を示す一部省略した正面図である。 トルクセンサの概略構成図である。 モータを駆動制御する制御回路の概略構成図である。 正常時における第1,第2電圧及びトルク検出電圧の状態を示す図である。 モータを駆動制御する制御回路のCPUの作業を機能ごとにブロック化して示したブロック図である。 モータのトルク定数の温度特性を示す図である。 モータ温度に対する補正係数の関係を示す図である。 雰囲気温度に対する目標電流抑制値の対応関係を示す図である。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置、2…ラックケース、2a…モータケース、2b…ハウジング、3…ラック軸、4…ジョイント、5…タイロッド、6…ステアリングギヤボックス、7…入力軸、8…トーションバー、9…操舵ピニオン軸、
10…モータ、11…インナロータ、12…アウタステータ、13…接続スリーブ、14…ボールナット部材、15…軸受、17…モータドライバ、18…電流検出装置、
20…制御基板、21…前面開口、22…合わせ面、23…前面カバー、
30…トルクセンサ、31,32…ベアリング、33…コア、34…スライダピン、35,36…コイル、37,38…抵抗、39…トランジスタ、40…トルク検出回路、41a,41b…電圧信号線、42a,42b…コンデンサ、43a,43b…平滑回路、44a,44b…抵抗、45…抵抗、46…差動アンプ、
50…サーミスタ、
60…CPU、61…制御用トルク演算手段、62…目標電流抽出手段、63…補正目標電流演算手段、64…最終目標電流演算手段、65…電流フィードバック制御手段、66…トルクセンサ温度補正値演算手段、67…補正係数演算手段、68…推定上昇温度演算手段、69…雰囲気温度推定手段、70…目標電流抑制値抽出手段。

Claims (2)

  1. ステアリング側に連結された操舵ピニオンと噛合うラック軸の摺動により操舵輪が転舵されるとともにステアリング側の操舵トルクに応じて駆動制御されるモータの動力が伝達機構を介して前記ラック軸の摺動に伝達されて操舵が補助される電動パワーステアリング装置において、
    前記ラック軸を摺動自在に収容するラックケースの一部に前記モータおよび同モータを駆動制御する制御基板が隣り合って収容され、
    前記制御基板の温度を検出する制御基板温度検出手段と、
    前記制御基板温度検出手段が検出した前記制御基板の基板温度に予め決められたトルクセンサの温度補償用の基準温度および換算係数を適用してトルクセンサの温度補償用の温度補正値を算出するトルクセンサ温度補正値演算手段と、
    前記トルクセンサの検出信号と前記トルクセンサ温度補正値演算手段が算出した温度補正値とに基づき前記モータを駆動制御する目標電流を算出する目標電流演算手段と、
    トルク定数を温度補償するモータ温度に対する前記目標電流の補正係数の予め設定した対応関係から前記制御基板温度検出手段が検出した前記制御基板の温度をモータ温度として対応する補正係数を算出する補正係数演算手段と、
    前記目標電流演算手段が算出した目標電流を前記補正係数演算手段が算出した補正係数により補正して補正目標電流を算出する補正演算手段と
    前記モータの電機子電流値から上昇温度を推定する推定上昇温度演算手段と、
    前記制御基板温度検出手段が検出した前記制御基板の基板温度に前記推定上昇温度演算手段が演算した推定上昇温度を加算して雰囲気温度を推定する雰囲気温度推定手段と、
    雰囲気温度に対する目標電流抑制値を予め決めた対応関係に前記雰囲気温度推定手段が推定した雰囲気温度を照らして対応する目標電流抑制値を抽出する目標電流抑制値抽出手段と、
    前記補正演算手段が補正した補正目標電流を前記目標電流抑制値抽出手段により抽出された目標電流抑制値により抑制して最終的に前記モータを駆動制御する最終目標電流を算出する最終目標電流演算手段と、
    を備える電動パワーステアリング装置。
  2. 前記制御基板温度検出手段が、前記制御基板に設けられたサーミスタであることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
JP2004249231A 2004-08-27 2004-08-27 電動パワーステアリング装置 Expired - Fee Related JP4508783B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004249231A JP4508783B2 (ja) 2004-08-27 2004-08-27 電動パワーステアリング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004249231A JP4508783B2 (ja) 2004-08-27 2004-08-27 電動パワーステアリング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006062575A JP2006062575A (ja) 2006-03-09
JP4508783B2 true JP4508783B2 (ja) 2010-07-21

Family

ID=36109413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004249231A Expired - Fee Related JP4508783B2 (ja) 2004-08-27 2004-08-27 電動パワーステアリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4508783B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6744802B2 (ja) * 2016-10-28 2020-08-19 株式会社ジェイテクト 転舵制御装置
CN118514750A (zh) * 2024-07-24 2024-08-20 比亚迪股份有限公司 转向控制方法、装置、车辆及存储介质

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6371480A (ja) * 1986-09-16 1988-03-31 Honda Motor Co Ltd 電動機式動力舵取装置
JP2001328551A (ja) * 2000-05-19 2001-11-27 Toyota Motor Corp 車両の電動パワーステアリング装置
JP2001341657A (ja) * 2000-06-02 2001-12-11 Koyo Seiko Co Ltd 電動パワーステアリング装置
JP2004161147A (ja) * 2002-11-14 2004-06-10 Toyoda Mach Works Ltd 電動式ステアリングの制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6371480A (ja) * 1986-09-16 1988-03-31 Honda Motor Co Ltd 電動機式動力舵取装置
JP2001328551A (ja) * 2000-05-19 2001-11-27 Toyota Motor Corp 車両の電動パワーステアリング装置
JP2001341657A (ja) * 2000-06-02 2001-12-11 Koyo Seiko Co Ltd 電動パワーステアリング装置
JP2004161147A (ja) * 2002-11-14 2004-06-10 Toyoda Mach Works Ltd 電動式ステアリングの制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006062575A (ja) 2006-03-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008230540A (ja) 電動パワーステアリング装置
CA1282710C (en) Motor-driven power steering system and method of controlling same
JP3298006B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP4907283B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JPH0686221B2 (ja) 電動機式動力舵取装置
US7937200B2 (en) Electric steering system for rapidly increasing damper gain after steering speed exceeds a specific value
JP2014169061A (ja) 電動パワーステアリング装置
KR20170109727A (ko) 전동식 조향 장치의 토크 보상 장치와 방법
JP2005086855A (ja) 電動パワーステアリング装置のモータ制御回路組付構造
JP4655739B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4508783B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4545055B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4626996B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4350006B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2005331453A (ja) トルクセンサとそのトルクセンサを用いた電動パワーステアリング装置
JP4004411B2 (ja) トルクセンサの温度補償装置
JP2007186145A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2006044597A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5939425B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP2006131074A (ja) 電動ステアリング装置
JP2007196831A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2010111252A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3951736B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4441449B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2009166715A (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070524

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090422

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090814

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100427

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100427

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4508783

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140514

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees