JP4507067B2 - ジアルコキシフェノール2量体の製造方法 - Google Patents

ジアルコキシフェノール2量体の製造方法 Download PDF

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本発明は、ジアルコキシフェノール2量体の製造方法に関する。
ペルオキシダーゼ酵素の一種であるマンガンペルオキシダーゼは、リグニン分解酵素として見出されたもので、各種産業用途への応用が期待されつつある。マンガンペルオキシダーゼとして、過酸化水素と、二価マンガンイオン(Mn2+)と、三価マンガンイオン(Mn3+)と錯体を形成する有機酸および水の存在下で、ジメトキシフェノールからジメトキシキノン2量体を生成させる触媒活性を有するものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
ところで、置換基を有するフェノール(フェノール類)の2量体(フェノール類2量体)は樹脂材料などとして広く用いられており、これを効率よく製造する方法が望まれている。
「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、1992年、第267巻、第33号、p.23688−23695
非特許文献1では、マンガンペルオキシダーゼの関与によりジメトキシフェノールからジメトキシキノン2量体が生成する反応において、フェノール類2量体であるジメトキシフェノール2量体を経て反応が進行する反応機構が提唱されている。
しかし、マンガンペルオキシダーゼを用いた反応系において、フェノール類2量体で反応を停止させる手段は見出されておらず、フェノール類2量体の合成へのマンガンペルオキシダーゼの適用は、従来行われていなかった。
本発明者らは、ジアルコキシフェノールに水性媒質および二価のマンガンイオン(Mn2+)、酸化剤の存在下でマンガンペルオキシダーゼを作用させた後、還元剤を添加することで、ジアルコキシフェノール2量体を安定して製造できることを見出した。
すなわち、本発明のジアルコキシフェノール2量体の製造方法は、水性媒質中で、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するジアルコキシフェノールと、マンガンペルオキシダーゼと、過酸化水素と、二価のマンガンイオンとを反応させてジアルコキシキノン2量体を含む第一生成物を得る第一工程と、前記第一工程に引き続いて該第一生成物に還元剤を添加する第二工程とを有し、前記第二工程を、0℃以上25℃以下で行うことを特徴とする
前記第一工程において、前記水性媒質中に有機酸を含有させることが好ましい。
前記第一工程において、反応が開始したときの前記水性媒質中でのマンガンペルオキシダーゼ濃度を5nmol/L以上、ジアルコキシフェノール濃度を0.2mmol/L以下とすることが好ましい。
前記ジアルコキシフェノールは、2,6‐ジアルコキシフェノールであることが好ましい。
前記アルコキシ基は、メトキシ基であることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、フェノール類を材料としてフェノール類2量体を安定して製造することができ、しかも製造工程全体を通して低温、短時間という効率のよい条件で製造できる。
さらに酵素濃度および基質濃度を制御することで、高収率をもってジアルコキシフェノール2量体を提供することができる。
本発明に係るジアルコキシフェノール2量体の製造方法は、水性媒質中で、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するジアルコキシフェノールと、マンガンペルオキシダーゼと、酸化剤と、二価のマンガンイオン(Mn2+)とを反応させてジアルコキシキノン2量体を含む第一生成物を得る第一工程と、前記第一工程に引き続いて該第一生成物に還元剤を添加する第二工程とを有することを特徴とする。
本発明においては、まず、水性媒質中で、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するジアルコキシフェノールと、マンガンペルオキシダーゼと、酸化剤と、Mn2+とを反応させてジアルコキシキノン2量体を含む第一生成物を得る第一工程を行う。
第一工程は、例えば、マンガンペルオキシダーゼと、ジアルコキシフェノールと、マンガンの酸化数が+2であるマンガン化合物とを、水性媒質中に溶解あるいは分散させた反応液を調製し、該反応液に酸化剤を添加することで開始することができる。なお、マンガンペルオキシダーゼ、ジアルコキシフェノール等を有機溶媒に溶解させた溶液を、水性媒質中に分散させてもよい。この場合、後述の水性媒質における有機溶媒含有率が10%以下であればよい。
水性媒質としては、水、pH緩衝液、または、水もしくはpH緩衝液と有機溶媒との混合溶液が用いられる。
pH緩衝液としては、例えば、マロン酸緩衝液、シュウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、等が挙げられる。
水性媒質が水と有機溶媒の混合溶液である場合、有機溶媒の割合は10%以下、好ましくは5%以下である。ここで、利用しうる有機溶媒の代表的な例としては、ヘキサン、トリクロロメタン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ブタノール、エタノール、メタノール、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ギ酸ジメチルホルムアミドメチル、アセトン、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、水性媒質中に有機酸を含有させることが、マンガンペルオキシダーゼによる酵素反応を効率よく進行させるために好ましい。有機酸として、マロン酸、シュウ酸、酒石酸などを用いることが好ましい。これらの有機酸は、酸化剤が還元されることに伴うMn2+の酸化によって生成する、三価のマンガンイオン(Mn3+)と効率よく錯体を形成するからである。
特に、pH緩衝液として酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等を用いる場合は、上記の好ましい有機酸を用いることが望ましい。
本発明に用いられるジアルコキシフェノールは、炭素数1〜4のアルコキシ基を有する。本発明に使用可能なジアルコキシフェノールとしては、2,4‐ジアルコキシフェノール、2,6‐ジアルコキシフェノール、3,5‐ジアルコキシフェノール、2,3‐ジアルコキシフェノール、2,5‐ジアルコキシフェノール等の、各種置換位置の2置換フェノールが挙げられる。これらの中でも、2,4‐体、2,6‐体が好ましく、特に、下記一般式(1)に示す2,6‐ジアルコキシフェノールを用いることが、ジアルコキシフェノール2量体の収率の観点から好ましい。
Figure 0004507067
(式中R、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
ジアルコキシフェノールのアルコキシ基を構成するアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。このような炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられるが、メチル基であることが好ましい。式(1)におけるRとRは、同じでも異なっていてもよい。
また、2,6−ジアルコキシフェノールの中でも、下式(2)に示す2,6−ジメトキシフェノールが特に好ましく用いられる。これは、得られるジアルコキシフェノール2量体の実用性という点で有利なためである。
Figure 0004507067
本発明においては、異なる2種以上のジアルコキシフェノールを用いても構わない。
マンガンペルオキシダーゼとしては、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、ファネロカエテ・ソルディダ(Phanerochaete sordida)、カイガラタケ(Lenzites betulinus)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、シイタケ(Lentinus edodes)等の担子菌類が生産するリグニン分解酵素が挙げられる。これらのマンガンペルオキシダーゼは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
マンガンペルオキシダーゼの中でも、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、1992年、第267巻、第33号の「MATERIALS AND METHODS」の項に記載されている、担子菌であるファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)の培養菌床から単離精製されたマンガンペルオキシダーゼが、ジアルコキシフェノールから後述のジアルコキシキノン2量体を生成する反応の反応触媒活性が高いため好ましい。
本発明の製造方法においては、第一工程において、反応が開始したときの水性媒質中のマンガンペルオキシダーゼ濃度(以下、「酵素濃度」という)、即ち上述の反応液におけるマンガンペルオキシダーゼ濃度を、1nmol/L以上とすることが好ましく、10nmol/L以上とすることがさらに好ましい。また、前記第一工程における水性媒質中のジアルコキシフェノール濃度、即ち上述の反応液におけるジアルコキシフェノール濃度(以下、「基質濃度」という)を、0.2mmol/L以下、特に0.1mmol/L以下とすることが好ましい。
ここで、基質濃度を0.2mmol/L以下とし、かつ酵素濃度を5nmol/L以上とすることで、高い収率でジアルコキシフェノール2量体を得ることができる。
さらには、基質濃度を0.05mmol/L以下とし、かつ酵素濃度を5nmol/L以上とすることで、99%超という非常に高い収率でジアルコキシフェノール2量体を得ることができる。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、メチル過酸化物、エチル過酸化物等の過酸化物などが挙げられるが、反応性、経済性の点で過酸化水素が好ましい。
酸化剤の配合量は適宜調整されうる。例えば酸化剤として過酸化水素を用いる場合、上記反応液に添加された際の過酸化水素終濃度を10 mmol/L以下とすることが好ましく、特にマンガンペルオキシダーゼの安定性を考慮して、0.01〜0.1 mmol/Lとすることが特に好ましい。
第一工程において、二価のマンガンイオンを反応系に供給するために、マンガンの酸化数が+2であるマンガン化合物を用いることができる。使用可能なマンガン化合物としては、硫酸マンガン等が例示される。
上記反応液に酸化剤を添加した後、所望の反応温度に制御して保持することで、ジアルコキシフェノールからジアルコキシキノン2量体が生成する反応が進行し、ジアルコキシキノン2量体を含む第一生成物が得られる。この第一生成物は、通常、反応時間に応じて未反応のジアルコキシフェノールを含む。
例えば、ジアルコキシフェノールとして2,6−ジアルコキシフェノールを用いた場合、第一工程によって、下式(I)に示すように、2,6−ジアルコキシフェノール(A)から2,6−ジアルコキシキノン2量体(2,2’,6,6’−テトラアルコキシキノン)(B)が生成する反応が起こり、2,6−ジアルコキシキノン2量体(B)を含む第一生成物が得られる。
Figure 0004507067
(式中R、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
本発明においては、前記第一工程に引き続いて、第一工程で得られた第一生成物に還元剤を添加する第二工程を行う。
ジアルコキシキノン2量体を含む第一生成物に、還元剤を添加することで、ジアルコキシキノン2量体が還元されてジアルコキシフェノール2量体が生成する反応が開始される。例えば、上記反応式(I)に示す2,6‐ジアルコキシキノン2量体(B)が還元されて、2,6‐ジアルコキシフェノール2量体(C)が生成する。
この第二工程を行うことで、ジアルコキシフェノール2量体を含む第二生成物が得られる。
還元剤は特に限定されず、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム等があげられる。
還元剤の添加量は、第一生成物中のジアルコキシキノン2量体濃度の当量であることが好ましい。
上記式(I)に例示される、ジアルコキシフェノールからジアルコキシキノン2量体を経てジアルコキシフェノール2量体が生成する反応において、ジアルコキシフェノールからジアルコキシキノン2量体への反応率(以下、「反応率」という)は下式(III)で示される。
(反応率)[%]=(第一生成物中のジアルコキシキノン2量体モル濃度)/[(1/2)×(前記基質濃度)]×100 ・・・(III)
特定時点におけるジアルコキシキノン2量体モル濃度は、ジアルコキシキノン2量体の最大吸収波長である波長470nm付近において第一生成物の吸光度を経時的に測定し、測定時点での吸光度Iを用いて、下式(IV)により求められる。
(第一生成物中のジアルコキシキノン2量体モル濃度)[mol/L]=(当該ジアルコキシキノン2量体の最大吸収波長におけるモル吸光係数)×I ・・・(IV)
ジアルコキシキノン2量体の最大吸収波長は、用いるジアルコキシフェノールの種類に応じて決定される。例えば、ジアルコキシフェノールとして2,6‐ジメトキシフェノールを用いる場合、2,6‐ジメトキシキノン2量体の最大吸収波長である波長469nmで、吸光度を経時的に測定すればよい。
また、ジアルコキシフェノールに対する、ジアルコキシフェノール2量体の収率(以下、「収率」という)は、下式(V)により算出される。
(収率)[%]=(第二生成物中のジアルコキシフェノール2量体モル濃度)/[(1/2)×(前記基質濃度)]×100 ・・・(V)
第二生成物中のジアルコキシフェノール2量体モル濃度は、高速液体クロマトグラフィーあるいはガスクロマトグラフィーを用いる方法で評価することができる。
なお、本発明の製造方法を用いれば、ジアルコキシキノン2量体からジアルコキシフェノール2量体への反応確率はほぼ100%となるので、上記反応率と収率とはほぼ同一の値となる。
本発明の製造方法では、マンガンペルオキシダーゼを用いることにより、ジアルコキシフェノールからジアルコキシキノン2量体の生成する反応における反応率を安定して高くすることができる。また、前記第一工程に引き続き第二工程を行うことにより、ジアルコキシキノン2量体からジアルコキシフェノール2量体の生成する反応の反応確率を上記の高い水準に保持できる。
また、マンガンペルオキシダーゼを用いること、及び第一工程に引き続き還元剤の添加を行うことにより、製造工程全体を通して反応時間を短時間とし、低温で、また酵素の使用量を低減しつつ、充分な収率を達成することができる。
第一工程の反応温度は、マンガンペルオキシダーゼの種類、酵素濃度等に応じて調整されうるが、比較的低温に設定することができ、5〜60℃とすることが好ましく、10〜40℃とすることがさらに好ましい。また、反応温度は室温であってもよい。
その他pH等の反応条件は、マンガンペルオキシダーゼの種類等に応じて適宜調整されうるが、好ましくはpH2.5〜6.5、特に好ましくはpH4.0〜5.0とすることが好ましい。
本発明において、第一工程の反応時間は、マンガンペルオキシダーゼ、ジアルコキシフェノール、Mn2+、及び酸化剤を水性媒質中で共存させた時点、例えば上記反応液に酸化剤を添加した時点から、還元剤が添加される時点までとなる。ここで、第一工程の反応時間は、ジアルコキシフェノールが充分に消費される時間とすることが好ましい。ジアルコキシフェノールの消費は、例えば、第一生成物を一部採取して高速液体クロマトグラフィーに供し、検出波長を270nm付近としてジアルコキシフェノールの残存量を測定することによって確認可能である。
第一工程の好適な反応時間は、酵素濃度と基質濃度等により異なり得るが、例えば基質濃度0.05mmol/L、酵素濃度10nmol/Lの場合、好ましくは50秒〜250秒、さらに好ましくは100秒〜200秒である。
なお、第一工程の実施中に、波長470 nm付近における第一生成物の吸光度を経時的に測定し、上記反応率を算出して、反応率が最大に達した時点で還元剤を添加し、第一工程を終了するとともに第二工程を開始することが好ましい。このようにすると、さらに信頼性よく高い収率でジアルコキシフェノール2量体を得ることができる。
なお、反応率は上記式(III)より求められることから、反応率が最大に達する時点は、第一生成物の波長470 nm付近の経時測定における極大吸収点として確認することができる。
第一工程において、上記反応液に酸化剤を添加した後、長時間放置すると、下式(II)に示すような、ジアルコキシフェノール(A)からのポリフェニレンアルコキシド(D)の生成が進行する場合がある。ここで、ポリフェニレンアルコキシドが生成する機構は、ジアルコキシフェノールからいったんジアルコキシキノン2量体が生成し、このジアルコキシキノン2量体が重合してポリフェニレンアルコキシドが生成するものと推定される。
Figure 0004507067
(式中R,Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
これに対し、本発明の製造方法では、前記第一工程の後、還元剤を添加する第二工程を行うことで、ジアルコキシキノン2量体からジアルコキシフェノール2量体の生成反応を安定に進行させることができる。
本発明ではマンガンペルオキシダーゼを用いるが、これによってジアルコキシキノン2量体からジアルコキシフェノール2量体への還元反応が阻害されることはなく、しかもジアルコキシキノン2量体への反応率を安定に高くすることができるので、通常の還元剤を用いて、反応条件を緩やかに設定して、ジアルコキシフェノール2量体の生成を進行させることができる。
第二工程の反応温度は、還元反応を安定に進めるためには0℃以上とすることが好ましい。製造効率、副生物の生成抑制の面では反応温度が低い方が好ましく、25℃以下とすることが好ましい。また、反応温度は室温であってもよい。
本発明において、第二工程の反応時間は、還元剤の添加時点を起点とする。
第二工程の反応時間は、好ましくは30秒以下、さらに好ましくは5〜10秒である。
第二工程において、pH等のその他反応条件は、マンガンペルオキシダーゼの種類等に応じて適宜調整されうるが、pH2.5〜6.5、特に好ましくはpH4.0〜5.0とすることが好ましい。
なお、本発明において、前記マンガンペルオキシダーゼとしてファネロカエテ・クリソスポリウムの培養菌床から単離精製されたものを用いる場合、ジアルコキシフェノールとして2,6−ジメトキシフェノールを、酸化剤として過酸化水素を、還元剤として亜ジチオン酸ナトリウムをそれぞれ用いることが、ジアルコキシフェノール2量体の収率の安定性から好ましい。
本発明の方法により得られるジアルコキシフェノール2量体は、種々の分野、例えば、エポキシ樹脂、難燃剤、酸化防止剤、ポリエステル、ポリカーボネート等の製造、および芳香族ジオールが使用される他の用途に広く使用することができる。
本発明の製造方法により得られるジアルコキシフェノール2量体は、上記の第二生成物中に高含有率で含まれる形態で得られる。したがって、本発明の方法により得られるジアルコキシフェノール2量体を各種用途に使用する場合、第二生成物をそのまま用いてもよいし、あるいは公知の方法でジアルコキシフェノール2量体を精製して使用してもよい。
以下、本発明を実験例に基づいてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。以下、単位「M」は「mol/L」を示す。
以下実施例、比較例においては、ジアルコキシフェノールとして2,6‐ジメトキシフェノール(和光純薬社製「2,6‐ジメトキシフェノール」)を用い、マンガン化合物として硫酸マンガン(MnSO:和光純薬社製「硫酸マンガン」)を用いた。また、以下、還元剤として亜ジチオン酸ナトリウム(和光純薬社製「ハイドロサルファイトナトリウム」)を用いた。
(マンガンペルオキシダーゼ)
マンガンペルオキシダーゼとしては、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)の培養菌床から得られたマンガンペルオキシダーゼを用いた。このマンガンペルオキシダーゼの調製方法は以下の通りとした。
白色腐朽菌ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)ATCC34541を、Kirk液体培地(組成を表1に示す。)で37℃にて培養した。培養は2 L 三角フラスコ中で上記した培地1 Lにて培養し、37℃で3日間培養後、100 %酸素をパージし、その後毎日一回酸素パージを行った。所定時間培養した後、培養液を吸引濾過して培養濾液を得、得られた培養濾液を粗酵素溶液とした。 粗酵素溶液のpHを7.2に調整後、pH7.2のリン酸緩衝液にて膨潤後カラムに充填されたDEAE Sepharose(DEAE−セファロース)にチャージした。カラム中に充填されたDEAE Sepharose に吸着されたマンガンペルオキシダーゼを、pH 6.0のリン酸緩衝液にて流出させ、回収した。
Figure 0004507067
(実施例)
まず、ガラスセル中で、50 mM、 pH 4.5 のマロン酸バッファ(Malonate Buffer)に、マンガンペルオキシダーゼおよび2,6‐ジメトキシフェノールを、それぞれ終濃度が表2に示す各濃度となるように添加して、反応液を調製した。さらに、硫酸マンガンを終濃度0.5 mMとなるように添加した。
さらに、酸化剤として過酸化水素を、終濃度0.1 mMとなるように添加し、温度25℃の条件で保持し、経時的に吸光度を測定した。
吸光度測定条件:2,6−ジメトキシキノン2量体(2,2’,6,6’−テトラメトキシキノン)の最大吸収波長(469nm)における吸光度を、日立社製吸光光度計「HITACHI U‐3000 spectrophotometer」を用いて測定した。
吸光度の最大が確認された、過酸化水素の添加から5分後に、還元剤を添加した。温度 25℃の条件に制御して30秒経過後、生成物を回収した。
(評価方法)
反応率:吸光度が最大値Iとなる時を反応率最大とし、この時点におけるジアルコキシキノン2量体のモル濃度Cを下式より求めた。
[mol/L]=46.9 mM−1cm−1×I×100
このCを用いて、下式により算出した反応率を表2に示す。
(反応率)[%]=C/[(1/2)×(基質濃度)]×100
収率:なお、収率は、反応率とほぼ同一の値を示すことが確認された。また、この時の反応液を液体クロマトグラフィーで分析し、基質(2,6−ジメトキシフェノール)の残存およびキノン単量体の生成がないこと、MALDI‐TOF‐MSによる分析にて、オリゴマーの生成がないことを確認した。
(比較例1〜4)
酵素として、マンガンペルオキシダーゼに代わりCoprinus cinereusperoxidase(CIP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、リグニンペルオキシダーゼ(LiP)(VA(ベラトリルアルコール)有)、LiP(VA無)を用い、各酵素の濃度(表中「酵素濃度」と示す)、基質濃度を表3〜6に示す値とし、実施例と同様に行った。反応率の値(単位%)を表3〜6に示す。
Figure 0004507067
Figure 0004507067
Figure 0004507067
Figure 0004507067
Figure 0004507067
以上結果から明らかなように、実施例では、ジアルコキシフェノールから高い反応率をもってジアルコキシキノン2量体を得ることができ、酵素の使用量に対して効率よくジアルコキシフェノール2量体を得られることが示された。特に、酵素濃度5nM以上かつ基質濃度0.2mM以下とした条件では、高い反応率でジアルコキシキノン2量体が得られた。
一方、反応温度、反応時間を実施例と同様にし、マンガンペルオキシダーゼ以外の酵素を用いた各比較例では、基質濃度、酵素濃度が同条件の実施例と比べて、ジアルコキシキノン2量体への反応率が小さかった。したがって比較例では、ジアルコキシフェノール2量体を穏やかな反応条件で安定して得ることはできないことが示された。

Claims (5)

  1. 水性媒質中で、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するジアルコキシフェノールと、マンガンペルオキシダーゼと、過酸化水素と、二価のマンガンイオンとを反応させてジアルコキシキノン2量体を含む第一生成物を得る第一工程と、
    前記第一工程に引き続いて該第一生成物に還元剤を添加する第二工程とを有し、
    前記第二工程を、0℃以上25℃以下で行うことを特徴とするジアルコキシフェノール2量体の製造方法。
  2. 前記第一工程において、前記水性媒質中に有機酸を含有させる請求項1記載のジアルコキシフェノール2量体の製造方法。
  3. 前記第一工程において、反応が開始したときの前記水性媒質中でのマンガンペルオキシダーゼ濃度を5nmol/L以上、ジアルコキシフェノール濃度を0.2mmol/L以下とする請求項1または2に記載のジアルコキシフェノール2量体の製造方法。
  4. 前記ジアルコキシフェノールは、2,6−ジアルコキシフェノールである請求項1ないし3のいずれかに記載のジアルコキシフェノール2量体の製造方法。
  5. 前記アルコキシ基は、メトキシ基である請求項1ないし4のいずれかに記載のジアルコキシフェノール2量体の製造方法。
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