JP2687590B2 - sec―ブチルトルエンヒドロペルオキシドの製造方法 - Google Patents

sec―ブチルトルエンヒドロペルオキシドの製造方法

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JP2687590B2 JP1146108A JP14610889A JP2687590B2 JP 2687590 B2 JP2687590 B2 JP 2687590B2 JP 1146108 A JP1146108 A JP 1146108A JP 14610889 A JP14610889 A JP 14610889A JP 2687590 B2 JP2687590 B2 JP 2687590B2
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裕康 大野
清隆 萬
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三井石油化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はsec−ブチルトルエンを酸化してsec−ブチル
トルエンヒドロペルオキシドを製造する方法に関する。
〔従来の技術〕 1級アルキル基および2級アルキル基を有する芳香族
化合物を分子状酸素含有ガスにより酸化する場合の酸化
速度は、2級アルキル基のみを有する芳香族化合物の酸
化速度よりも遅くなることが知られている。このため、
メチル基などの1級アルキル基およびイソプロピル基な
どの2級アルキル基を有する芳香族化合物を分子状酸素
含有ガスにより酸化して、相当する芳香族ヒドロペルオ
キシドを製造する方法として、新しい触媒を使用した
り、反応条件を限定するなどの工夫を行った方法が提案
されている(例えば特開昭50−142526号、特開昭50−14
2527号、特開昭55−151553号、特開昭55−143965号な
ど)。
しかし上記従来の方法を採用してメチル基およびsec
−ブチル基を有するsec−ブチルトルエンを酸化した場
合、メチル基およびイソプロピル基を有するシメンを酸
化した場合に較べて酸化速度が著しく遅く、さらに生成
する3級ヒドロペルオキシドの選択率も悪くなる。これ
は立体障害によるためであり、1級アルキル基および2
級アルキル基を有し、かつ2級アルキル基の炭素数が多
くなると立体障害が大きくなり、2級アルキル基の酸化
速度が遅くなるとともに、1級アルキル基が酸化されや
すくなる。
また、ハロゲンイオンの存在下に、銅、マンガン、
鉄、コバルトまたはニッケルと酢酸、ステアリン酸等と
の有機酸塩、あるいは前記金属とフタロシアニン、アセ
チルアセトネート、エチレンジアミンテトラ酢酸、ポル
フィリン等の配位子とからなる有機錯体を添加する方法
も提案されている(特開昭58−72558号)。しかしこの
特開昭58−72558号の実施例ではイソプロピルベンゼン
(クメン)の酸化が開示されているだけであり、前述の
とおり、1級アルキル基および2級アルキル基を有する
芳香族化合物を分子状酸素含有ガスにより酸化する場合
の酸化速度は、2級アルキル基のみを有する芳香族化合
物の酸化速度よりも遅くなり、また1級アルキル基およ
び級2アルキル基を有し、かつ2級アルキル基の炭素数
が多くなると立体障害が大きくなり、2級アルキル基の
酸化速度が遅くなるとともに、1級アルキル基が酸化さ
れやすくなる。このため、sec−ブチルトルエンの酸化
に、触媒として前記特開昭58−72558号で開示されてい
る有機酸塩または有機錯体を使用した場合、これらの化
合物がいかなる触媒能を発揮するかを予想することは困
難である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者らはメチル基およびsec−ブチル基を有するs
ec−ブチルトルエンの酸化速度を上げ、しかも3級ヒド
ロペルオキシドの選択率も向上させる方法について鋭意
研究した結果、特定の触媒を用いればsec−ブチルトル
エンの酸化速度および3級ヒドロペルオキシドの選択率
を向上させることができることを見出した。
本発明の目的は、メチル基およびsec−ブチル基を有
するsec−ブチルトルエンを酸化してsec−ブチルトルエ
ンヒドロペルオキシドを製造する方法において、短時間
で効率よく、しかもsec−ブチルトルエン3級ヒドロペ
ルオキシドを高い選択率で製造することができるsec−
ブチルトルエンヒドロペルオキシドの製造方法を提案す
ることである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、次のsec−ブチルトルエンヒドロペルオキ
シドの製造方法である。
(1)触媒および塩基性化合物の存在下に、sec−ブチ
ルトルエンに分子状酸素含有ガスを接触させてsec−ブ
チルトルエンヒドロペルオキシドを製造する方法におい
て、触媒としてニッケル錯体を使用することを特徴とす
るsec−ブチルトルエンヒドロペルオキシドの製造方
法。
(2)反応系中のニッケル錯体の濃度を0.001〜1g/l−
反応液の範囲とし、100〜140℃の温度で反応を行う上記
(1)記載の方法。
本発明ではsec−ブチルトルエンを酸化してsec−ブチ
ルトルエンヒドロペルオキシドを製造する。sec−ブチ
ルトルエンとしてはオルト、メタ、パラのいずれの異性
体も使用できるし、これらの混合物を使用することもで
きる。
本発明において使用する触媒は、配位数が4であり、
配位子が酸素または窒素であるNi2+の錯体である。この
ようなニッケル錯体として、例えば下記構造式で表わさ
れるNi−フタロシアニン(Ni−PC)Ni−ビスサリチルア
ルデヒドエチレンイミン(Ni−salen)、Ni−アセチル
アセトネート(Ni−acac)などが例示できる。
触媒は1種単独で使用することもできるし、2種以上
を混合して使用することもできる。
触媒は反応系中の濃度が通常0.001〜1g/l−反応液、
好ましくは0.1〜1g/l−反応液の範囲となるように使用
する。
本発明においては、sec−ブチルトルエンの酸化反応
は前記触媒のほかに塩基性化合物の存在下に、sec−ブ
チルトルエンに分子状酸素含有ガスを接触させて行う。
塩基性化合物としては特に制限はなく、水酸化ナトリ
ウム、炭酸水素ナトリウムなどが例示できる。これらの
塩基性化合物は水溶液として用いるのが好ましく、また
この水溶液のpHは8〜12であることが好ましい。sec−
ブチルトルエンと塩基性化合物水溶液の割合は、sec−
ブチルトルエン100容量部に対して塩基性化合物水溶液
1〜500容量部の範囲が好ましい。
さらにsec−ブチルトルエンの酸化反応の誘導期を短
縮させるため、反応開始剤を少量併用してもよい。反応
開始剤としては、通常のラジカル開始剤が使用でき、例
えばベンゾイルペルオキシドのような過酸化物などをあ
げることができるが、sec−ブチルトルエンヒドロペル
オキシドを使用するのが好ましい。反応開始剤の使用量
はsec−ブチルトルエン100重量部に対して0.05〜10重量
部が好ましい。
分子状酸素含有ガスとしては、酸素、空気または酸素
を不活性ガスで希釈した混合ガスなどを用いることがで
きるが、通常空気で十分である。sec−ブチルトルエン
と分子状酸素含有ガスとの接触方法は特に限定されず、
例えば反応系に分子状酸素含有ガスを吸込みながら反応
を行ってもよいし、分子状酸素含有ガスの加圧下に反応
を行ってもよい。
本発明において、sec−ブチルトルエンの酸化反応
は、通常100〜140℃、好ましくは100〜130℃の反応温度
で行う。また反応圧力は常圧以上であれば特に制限はな
く、通常常圧〜50kg/cm2G、好ましくは常圧〜10kg/cm2
G、反応時間は通常0.5〜20時間、好ましくは1〜7時
間が好ましい。
本発明に係るsec−ブチルトルエンの酸化反応は無溶
媒系で行うのが好ましいが、sec−ブチルトルエンを溶
解し、酸化に不活性な溶媒を用いて行ってもよい。溶媒
としては、例えばベンゼン;クロロベンゼン、ジクロロ
ベンゼン等のハロゲン化ベンゼンなどをあげることがで
きる。
本発明に係るsec−ブチルトルエンの酸化反応を行う
ための反応器は特に限定されず、槽型、管型、塔型など
任意のものが使用できる。またバッチ式、連続式のいず
れの方式により、液相反応として行うことができる。
上記の反応により、sec−ブチルトルエンのsec−ブチ
ル基が酸化されて、sec−ブチルトルエン3級ヒドロペ
ルオキシドが生成する。一般的には、シメン等の場合よ
りも目的とするsec−ブチルトルエン3級ヒドロペルオ
キシドの選択率は低下する傾向にあるが、本発明では触
媒として前記ニッケル錯体を使用し、前記条件で反応を
行うことにより、メチル基の酸化は抑制され、sec−ブ
チルトルエン3級ヒドロペルオキシドの選択率は高くな
る。
本発明により得られたsec−ブチルトルエンヒドロペ
ルオキシドは、クレゾールの製造原料などとして利用で
きる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、sec−ブチルトルエンを特定の触媒
を用いて酸化するようにしたので、短時間で効率よく、
しかもsec−ブチルトルエン3級ヒドロペルオキシドを
高い選択率で製造できる。
〔実施例〕 以下本発明の実施例について説明する。
実施例1〜3 反応器にsec−ブチルトルエン(s−BT)60g、3重量
%Na2CO3水溶液2.4gおよび所定量の触媒を仕込み、10l/
時間の流量で空気を吹込みながら加熱した。120℃の温
度に達した後、反応開始剤としてsec−ブチルトルエン
ヒドロペルオキシド0.7gを加えて3時間反応させた。反
応終了後、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラ
フィーで反応液中のsec−ブチルトルエン、sec−ブチル
トルエン3級ヒドロペルオキシド(s−BT3HPO)の濃度
を定量した。この結果から、反応速度の尺度として、反
応液中のsec−ブチルトルエン3級ヒドロペルオキシド
の単位時間あたりの生成量を反応速度として算出した。
また反応終了後の消費されたsec−ブチルトルエン(モ
ル)に対する生成されたsec−ブチルトルエン3級ヒド
ロペルオキシド(モル)の割合を、sec−ブチルトルエ
ン3級ヒドロペルオキシド選択率として算出した。結果
を表1に示す。
比較例1 触媒を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にし
て行った。結果を表1に示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒および塩基性化合物の存在下に、sec
    −ブチルトルエンに分子状酸素含有ガスを接触させてse
    c−ブチルトルエンヒドロペルオキシドを製造する方法
    において、触媒としてニッケル錯体を使用することを特
    徴とするsec−ブチルトルエンヒドロペルオキシドの製
    造方法。
  2. 【請求項2】反応系中のニッケル錯体の濃度を0.001〜1
    g/l−反応液の範囲とし、100〜140℃の温度で反応を行
    う請求項(1)記載の方法。
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