JP2000041691A - フェノールの低分子量縮合物の製造方法 - Google Patents

フェノールの低分子量縮合物の製造方法

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四郎 小林
Hiroshi Uyama
浩 宇山
Hideyuki Higashimura
秀之 東村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低分子量フェノール縮合物を高収率で製造す
ることのできるフェノール縮合物の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 酵素触媒存在下、パーオキサイドを分割
添加して、フェノールを溶媒中で酸化カップリングする
際に、該溶媒として、難水溶性ないし非水溶性有機溶媒
と水からなる混合溶媒を用いることを特徴とするフェノ
ール縮合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフェノール縮合物の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェノール類の酸化カツプリングによる
得られる縮合物は、エンジニアリングプラスチック、エ
ポキシ樹脂、フォトレジスト、酸化防止剤等として幅広
い分野に応用されている。その中でもフェノール酸化縮
合物は、有害なホルマリンを発生しない等の理由から近
年特に注目されている。
【0003】フェノールの酸化カップリング法としては
種々の方法が知られているが、特開平7−126354
号公報には、酵素触媒とパーオキサイドを用いて有機溶
媒と水からなる均一系混合溶媒中で高分子量フェノール
樹脂を製造する方法が記載されている。この方法は、生
体内に存在する酵素を触媒として用いるため、触媒由来
の有害な廃棄物を生じない点で優れている。しかし、こ
の方法では、低分子量フェノール縮合物、特にフェノー
ル二量体縮合物を高収率で製造することが困難であっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低分子量フ
ェノール縮合物を高収率で製造することのできるフェノ
ール縮合物の製造方法を提供することをその課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、酵素触媒とパーオ
キサイドを用いてフェノールを酸化カップリングする際
に、難水溶性ないし非水溶性有機溶媒と水からなる混合
溶媒を用いることにより前記課題を解決し得ることを見
出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、酵
素触媒存在下、パーオキサイドを分割添加して、フェノ
ールを溶媒中で酸化カップリングする際に、該溶媒とし
て、難水溶性ないし非水溶性有機溶媒と水からなる混合
溶媒を用いることを特徴とするフェノール縮合物の製造
方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明においては、触媒としては
酵素を使用するが、好ましい酵素としてペルオキシダー
ゼ、オキシダーゼを挙げることができる。より好ましく
はペルオキシダーゼであり、さらに好ましくは植物由
来、細菌由来、坦子菌類由来のペルオキシダーゼであ
る。特に好ましくは西洋わさび由来、大豆由来のペルオ
キシダーゼである。本発明において、該酵素触媒は任意
の量で用いることができるが、一般的にはフェノールに
対して0.001〜50重量%が好ましく、0.0l〜
20重量%がより好ましい。特に好ましくは、フェノー
ルに対して0.1〜10重量%である。
【0007】本発明では、酸化剤としてはパーオキサイ
ドを使用する。好ましくはハイドロパーオキサイドであ
り、より好ましくは過酸化水素、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドである。
特に好ましくは過酸化水素である。
【0008】発明において、該パーオキサイドの使用量
に特に制限はないが、一般にはフェノールに対して0.
05〜5倍モルが好ましく、0.1〜3倍モルがより好
ましい。特に好ましくはフェノールに対して0.2〜1
倍モルである。なお、過酸化水素の場合、任意の濃度の
ものが使用できるが、好ましくは1〜70wt%、より
好ましくは3〜60wt%のものである。本発明におい
て、該パーオキサイドは分割して反応系に添加する。該
パーオキサイドを一括して添加すると、酵素が失活し反
応が進行しなくなるので好ましくない。該パーオキサイ
ドの添加速度は、好ましくはフェノールに対して0.0
l〜20モル%/分であり、より好ましくはフェノール
に対して0.05〜l0モル%/分である。特に好まし
くはフェノールに対して0.1〜2モル%/分である。
【0009】本発明の特徴は、反応溶媒として有機溶媒
と水の二相系混合溶媒を用いる点にある。反応溶媒とし
て水溶性有機溶媒と水の均一系混合溶媒を用いる場合、
低分子量フェノール縮合物、特にフェノール二量体縮合
物の収率が低くなるので好ましくない。反応溶媒として
難水溶性ないし非水溶性有機溶媒と水とからなる二相系
混合溶媒を用いることにより、フェノール縮合物の高分
子量化を抑制し、低分子量フェノール縮合物、特にフェ
ノール二量体縮合物の収率を高めることができる。本発
明において、該混合溶媒は任意の量で用いることができ
るが、フェノールの濃度が0.0l〜500g/Lとな
るのが好ましく、0.05〜200g/Lとなるのがよ
り好ましい。特に好ましくは、フェノールの濃度が0.
5〜10g/Lとなる量である。
【0010】前記混合溶媒における難水溶性ないし非水
溶性有機溶媒とは、水と任意の割合で相溶することのな
い有機溶媒のことであり、その水100gに対する溶解
度(25℃)が100g以下、好ましくは50g以下、
より好ましくは40g以下のものである。その溶解度の
下限値は0gである。その好ましい例としては、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸フ
ェニル、プロピオン酸メチル、安息香酸メチル等のエス
テル化合物類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテ
ル、メトキシベンゼン等のエーテル化合物類;メチルエ
チルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シク
ロヘキサノン等のケトン化合物類;ジクロロメタン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素化合
物類;ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;ベンゾニト
リル等のニトリル化合物類;ベンゼン、ナフタレン、ト
ルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族
炭化水素化合物類;ヘキサン、シクロヘキサン等の鎖状
及び環状の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。より好ま
しくはエステル化合物類、エ−テル化合物類、ケトン化
合物類、ハロゲン化炭化水素化合物類、芳香族炭化水素
化合物類である。特に好ましくはエステル化合物類、エ
ーテル化合物類、ケトン化合物類、ハロゲン化炭化水素
化合物類である。これらは単独あるいは混合物として使
用される。
【0011】該混合溶媒における水には有機塩、無機塩
を含んでいてもよい。また、この混合溶媒における非水
溶性有機溶媒の割合に特に制限はないが、1〜99体積
%が好ましく、20〜98体積%がより好ましい。特に
好ましくは、50〜96体積%である。
【0012】本発明を実施する反応温度は、酵素を不活
性化しない温度が望ましい。好ましい温度範囲は0℃〜
100℃であり、より好ましくは5℃〜60℃である。
特に好ましくは、10℃〜40℃である。
【0013】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。
【0014】実施例1 電磁撹拌機を備えた100mフラスコ中で西洋わさび由
来ペルオキシダーゼ(HRP)5mgを水5m1に溶解
し、これにフェノール94mg(1mmol)の溶解し
た酢酸エチル5mlを加えた。この二層反応系を室温で
激しく撹拌しながら、3wt%過酸化水素水0.5m1
(0.44mmo1)をシリンジポンプを用いて0.2
5m1/hrの速度で2hr滴下し、さらにlhr撹拌
した。反応終了後、ジフェニルエーテル60mg及びメ
タノール100mlを加え、不溶物をろ過し、そのろ液
を高速液体クロマトグラフィー(ポンプ:東ソー社製S
C8020システム、検出器:東ソー社製PD−802
0、検出波長:278nm、カラム:YMC社製ODS
−AM、展開溶媒:メタノール/水)で分析した。フェ
ノールの転化率はジフェニルエーテルを内部標準として
定量した。フェノール二量体:p,p’−ビフェノール
(p,p−2)、p,o’−ビフェノール(p,o−
2)、o,o’−ビフェノール(o,o−2)、p−フ
ェノキシフェノール(p−2)、o−フェノキシフェノ
ール(o−2)は、J.Chem.Soc.Perki
n Trans、,II,563(1983)を参考にし
て、ジフェニルエーテルを内部標準として定量し、各々
の収率および総収率をフェノール転化率を基準として求
めた。その結果を表2に示す。また、反応に使用した酵
素及び混合溶媒について、表1にまとめて示す。
【0015】実施例2〜8、比較例1 有機溶媒、有機溶媒量、酵素を表1に示すように変えた
以外は、実施例1と同様にして重合を実施した。表2に
その結果を示す。なお、SBPは大豆由来ペルオキシダ
ーゼを示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表2に示した結果から、本発明による二相
系混合溶媒を用いると、比較例の均一系混合溶媒を用い
る場合よりも、二量体総収率がはるかに高かくなること
がわかる。
【0019】
【発明の効果】本発明は、酵素触媒とパーオキサイドに
よるフェノールの酸化カップリングにおいて、難水溶性
ないし非水溶性有機溶媒と水とからなる混合溶媒を用い
るもので、これにより、低分子量フェノール縮合物、特
にフェノール二量体縮合物を非常に高い収率で合成する
ことができる。
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月27日(1999.9.2
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 フェノールの低分子量縮合物の製造方
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフェノールの低分子
縮合物の製造方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フェノール
の低分子量縮合物を高収率で製造することのできるフェ
ノール縮合物の製造方法を提供することをその課題とす
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、酵素触媒とパーオ
キサイドを用いてフェノールを酸化カップリングする際
に、難水溶性ないし非水溶性有機溶媒と水からなる混合
溶媒を用いることにより前記課題を解決し得ることを見
出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、酵
素触媒存在下、パーオキサイドを分割添加して、フェノ
ールを溶媒中で酸化カップリングする際に、該溶媒とし
て、難水溶性ないし非水溶性有機溶媒と水からなる混合
溶媒を用いることを特徴とするフェノールの低分子量
合物の製造方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇山 浩 滋賀県大津市本堅田4−16−6−404 (72)発明者 東村 秀之 茨城県つくば市梅園2丁目13−1 住友化 学梅園社宅3−201 Fターム(参考) 4B064 AC18 CA21 CB11 CC30 CD01 CD06 DA16 4J005 AA26 BB01 BB02 4J032 CA04 CB01 CD00 CE03 CE22

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素触媒存在下、パーオキサイドを分割
    添加して、フェノールを溶媒中で酸化カップリングする
    際に、該溶媒として、難水溶性ないし非水溶性有機溶媒
    と水からなる混合溶媒を用いることを特徴とするフェノ
    ール縮合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 混合溶媒中の有機溶媒の割合が1〜99
    体積%であることを特徴とする請求項1記載のフェノー
    ル縮合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 パーオキサイドを分割添加する速度が、
    フェノールに対して0.01〜20モル%/分であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のフェノール縮合
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 酵素がペルオキシダーゼまたはオキシダ
    ーゼであり、パーオキサイドがハイドロパーオキサイド
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    のフェノール縮合物の製造方法。
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