JP4506689B2 - 予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法 - Google Patents

予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法 Download PDF

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Description

本発明は、予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法に関し、特に半導体製造工程のEUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)リソグラフィ用反射型マスク用等に使用されるガラス基板のように、高度の平坦度が要求されるガラス基板表面を仕上げ加工する方法に関する。
従来から、リソグラフィ技術においては、ウェハ上に微細な回路パターンを転写して集積回路を製造するための露光装置が広く利用されている。集積回路の高集積化、高速化および高機能化に伴い、集積回路の微細化が進み、露光装置には深い焦点深度で高解像度の回路パターンをウェハ面上に結像させることが求められ、露光光源の短波長化が進められている。露光光源は、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)やKrFエキシマレーザ(波長248nm)から更に進んでArFエキシマレーザ(波長193nm)が用いられ始めている。また、回路の線幅が100nm以下となる次世代の集積回路に対応するため、露光光源としてF2レーザ(波長157nm)を用いることが有力視されているが、これも線幅が70nm世代までしかカバーできないとみられている。
このような技術動向にあって、次の世代の露光光源としてEUV光を使用したリソグラフィ技術が、45nm以降の複数の世代にわたって適用可能と見られ注目されている。EUV光とは軟X線領域または真空紫外域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。現時点では、リソグラフィ光源として13.5nmの使用が検討されている。このEUVリソグラフィ(以下、「EUVL」と略する)の露光原理は、投影光学系を用いてマスクパターンを転写する点では、従来のリソグラフィと同じであるが、EUV光のエネルギー領域では光を透過する材料がないために屈折光学系を用いることができず、反射光学系を用いることとなる(特許文献1参照)。
EUVLに用いられるマスクは、(1)ガラス基板、(2)ガラス基板上に形成された反射多層膜、(3)反射多層膜上に形成された吸収体層、から基本的に構成される。反射多層膜としては、露光光の波長に対して屈折率の異なる複数の材料がnmオーダーで周期的に積層された構造のものが用いられ、代表的な材料としてMoとSiが知られている。
また、吸収体層にはTaやCrが検討されている。ガラス基板としては、EUV光照射下においても歪みが生じないよう低熱膨張係数を有する材料が必要とされ、低熱膨張係数を有するガラスまたは低熱膨張係数を有する結晶化ガラスの使用が検討されている。以下、本明細書において、低熱膨張係数を有するガラスおよび低熱膨張係数を有する結晶化ガラスを総称して、「低膨張ガラス」または「超低膨張ガラス」という。
EUVLのマスクとして用いられる低膨張ガラスまたは超低膨張ガラスとしては、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、ガラスの熱膨張係数を下げるために、TiO2、SnO2またはZrO2がドーパントとして添加されたものが最も広く使用されている。
ガラス基板はこれらガラスや結晶化ガラスの素材を、高精度に加工、洗浄することによって製造される。ガラス基板を加工する場合、通常は、ガラス基板表面が所定の平坦度および表面粗さになるまで、比較的高い加工レートで予備研磨した後、より加工精度の高い方法を用いて、またはより加工精度が高くなるような加工条件を用いて、ガラス基板表面が所望の平坦度および表面粗さになるように仕上げ加工される。
特表2003−505891号公報
EUVLマスク用のガラス基板を加工する際に、ガラス基板表面に部分的なうねりが生じる場合がある。本発明者らは、このうねりの発生が、ガラス基板の部分的な組成差に起因すること、より具体的には、ガラス基板中に含まれるドーパントの濃度分布に起因することを見出した。予備研磨および仕上げ加工のいずれの際にもガラス基板表面にうねりが生じるおそれがある。但し、加工レートが大きい予備研磨の際には、ガラス基板表面により大きなうねりが生じるおそれがある。予備研磨の際に大きなうねりが生じた場合、仕上げ加工でこれを除去して、ガラス基板表面を所望の平坦度にすることは困難であった。また、予備研磨の際に生じたうねりが、仕上げ加工の際にさらに大きなうねりに成長する場合もある。
本発明は、上記した問題点を解決するため、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを除去して、ガラス基板を平坦度に優れた表面に仕上げ加工する方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法であって、
前記ガラス基板は、ドーパントを含み、SiO2を主成分とする石英ガラス製であり、 前記予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法は、
ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程と、
予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定する工程と、を有し
前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程および前記ガラス基板の表面形状を測定する工程から得られた結果に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法(以下、「本発明の仕上げ加工方法」という。)を提供する。
本発明の仕上げ加工方法において、ガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの相関を予め求めておき、
前記ガラス基板に含まれるドーパント濃度分布の測定結果と、前記ドーパント濃度とガ加工レートとの相関と、を用いて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、前記ガラス基板の表面形状の測定結果から前記ガラス基板表面の平坦度を求め、
前記ガラス基板表面の平坦度に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、ガラス基板表面の加工は、イオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチング、プラズマエッチング、ナノアブレージョンおよびMRF(magnetorheological finishing)からなる群から選択される加工方法を用いて実施されることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、前記加工方法は、イオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチングまたはプラズマエッチングであり、
前記ガラス基板の表面形状の測定結果から前記ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定し、
ビーム径がFWHM(full width of half maximum)値で前記うねりの幅以下のビームを用いて加工を行うことが好ましい。
前記ビーム径のFWHM値は、前記うねりの幅の1/2以下であることがより好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、前記加工方法は、ガスクラスタイオンビームエッチングであることが好ましい。
前記ガスクラスタイオンビームエッチングのソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いることが好ましい。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガス
前記ソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いることがより好ましい。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス
本発明の仕上げ加工方法において、前記ガラス基板は、20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス製であることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、前記ドーパントはTiO2であることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、前記ガラス基板は、予備研磨後の表面粗さ(Rms)が5nm以下であることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法では、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布、および予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定して、それらの測定結果に基づいてガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定するため、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを効果的に除去することができる。また、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布の測定結果に基づいて、ガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定するため、仕上げ加工の際にガラス基板表面に新たなうねりが発生したり、予備研磨の際に発生したうねりが仕上げ加工の際に成長するおそれがない。
本発明の仕上げ加工方法を用いることにより、ガラス基板を平坦度に優れた表面に加工することができる。これにより、線幅が45nm以下の次世代の半導体製造用露光装置の光学部品用基板等にも対応できる、平坦度に優れたガラス基板を得ることができる。
本発明の仕上げ加工方法は、予備研磨後のガラス基板表面を仕上げ加工する方法である。より具体的には、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを除去して、ガラス基板を平坦度に優れた表面に仕上げ加工する方法である。
予備研磨とは、ガラス基板表面を所定の平坦度および表面粗さまで加工する前に、比較的高い加工レートである程度の平坦度および表面粗さまで加工する手順である。予備研磨されたガラス基板は、所定の平坦度および表面粗さになるように仕上げ加工される。
予備研磨後のガラス基板の表面粗さ(Rms)は5nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。本明細書において、表面粗さと言った場合、1〜10μm□の面積について、原子間力顕微鏡で測定した表面粗さを意味する。予備研磨後のガラス基板の表面粗さが5nm超であると、本発明の仕上げ研磨方法でガラス基板表面を仕上げ加工するのにかなりの時間を要することになり、コスト増の要因となる。
予備研磨に使用する加工方法は特に限定されず、ガラス表面の加工に使用される公知の加工方法から広く選択することができる。但し、加工レートが大きく、表面積が大きい研磨パッドを使用することにより、一度に大面積を研磨加工できることから、通常は機械研磨方法が使用される。ここで言う機械研磨方法には、砥粒による研磨作用のみによって研磨加工するもの以外に、砥粒による研磨作用と薬品による化学的研磨作用を併用する化学機械研磨方法も含む。なお、機械研磨方法は、ラップ研磨およびポリッシュ研磨のいずれであってもよく、使用する研磨具および研磨剤も公知のものから適宜選択することができる。
うねりとは、ガラス基板表面に存在する周期的な凹凸のうち、その周期が5〜30mmのものをいう。本発明の仕上げ加工方法は、予備研磨の際にガラス基板表面に発生したうねりを効果的に除去する方法である。
本発明の仕上げ加工方法は、集積回路の高集積化と高精細化に対応可能なEUVL用反射型マスク用のガラス基板の仕上げ加工に好適である。この用途で使用されるガラス基板は、熱膨張係数が小さく、かつそのばらつきの小さいガラス基板であり、20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス製であることが好ましく、20℃における熱膨張係数が0±10ppb/℃の超低膨張ガラス製であることがより好ましい。
このような低膨張ガラスおよび超低膨張ガラスとしては、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、ガラスの熱膨張係数を下げるためにドーパントが添加されたものが最も広く使用されている。なお、ガラスの熱膨張係数を下げるために添加されるドーパントは、代表的にはTiO2である。ドーパントとしてTiO2が添加された低膨張ガラスおよび超低膨張ガラスの具体例としては、例えば、ULE(登録商標)コード7972(コーニング社製)などが挙げられる。
本発明の仕上げ加工方法において、ガラス基板を構成するガラスはSiO2を主成分とする石英ガラスであって、ドーパントが添加されたものである。代表的なものは、ガラスの熱膨張係数を下げるためにTiO2が添加された石英ガラスである。但し、これに限定されず、ガラス基板を構成するガラスは、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、上記以外の目的でドーパントが添加されたものであってもよい。以下、本明細書において、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、何らかのドーパントが添加されたものを総称して、「ドープ石英ガラス」という。
熱膨張係数を下げること以外の目的でドーパントが添加されたドープ石英ガラスとしては、例えば、ガラスの絶対屈折率を高めるために、La23、Al23、ZrO2またはNが添加されたドープ石英ガラス、ガラスのレーザ耐性を高めるために、Fが添加されたドープ石英ガラスが挙げられる。
ドープ石英ガラスのドーパント含有量は、ドーパントの種類やドーパントを含める目的によっても異なる。ガラスの熱膨張係数を下げるために、TiO2が添加されたドープ石英ガラスの場合、SiO2に対する質量%でTiO2を1〜12質量%含有することが好ましい。TiO2の含有量が1質量%未満であると、ガラスの熱膨張係数を十分下げることができないおそれがある。TiO2の含有量が12質量%を超えると、熱膨張係数が負の側に大きくなり、−30ppb/℃未満となる。TiO2の含有量は、より好ましくは5〜9質量%である。
なお、以下に述べる手順によって、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを除去することができるのであれば、本発明の仕上げ加工方法はドープ石英ガラス製以外のガラス基板にも適用可能である。したがって、本発明の仕上げ加工方法は、結晶核としてTiO2やZrO2を含んだ低膨張結晶化ガラスにも適用可能と考えられる。
ガラス基板の形状、大きさおよび厚さ等は、特に限定されないが、EUVL用反射型マスク用の基板の場合、その形状は平面形状が矩形または正方形の板状体である。
本発明の仕上げ加工方法は、以下に示す2つの測定工程を有する。
・ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程(測定工程1)
・予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定する工程(測定工程2)
上記測定工程1では、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する。ここでガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布と言った場合、ガラス基板の厚み方向におけるドーパントの濃度分布ではなく、平板状のガラス基板を厚みを持たない二次元形状として見た際の、該二次元形状の各部位におけるドーパントの濃度分布、即ち平板状のガラス基板の平面内における濃度分布を意味する。なお、ガラス基板の任意の厚みにおけるガラス基板に平行な面でのドーパント濃度分布は、ガラス基板の測定された表面の濃度分布と同等と仮定する。
したがって、上記測定工程1から得られた測定結果は、該二次元形状の各部位におけるドーパントの濃度を示すドーパント濃度分布マップ(以下、「ドーパント濃度分布マップ」という。)となる。
なお、ドーパントの濃度分布の測定に用いる方法は、ドーパントの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、ガラス基板表面を蛍光X線分析することにより、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定することができる。また、ドーパントがTiO2の場合、TiO2濃度とガラス基板の屈折率との間に相関が見られるため、レーザ干渉式平坦度測定装置での透過波面測定による屈折率分布測定から、ガラス基板に含まれるTiO2の濃度分布を非破壊で求めることもできる。
ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布は、予備研磨の前後で実質的に同一であると考えられる。そのため、上記測定工程1は、予備研磨前に実施してもよく、予備研磨後に実施してもよい。但し、レーザ干渉式平坦度測定装置を使用する場合、同じ装置で予備研磨後のガラス基板の表面形状も測定することができるため、予備研磨後に実施することが好ましい。
上記測定工程2では、予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定する。ガラス基板の表面形状は、ガラス基板表面の平坦度として測定される。ここで、ガラス基板表面の平坦度と言った場合、ガラス基板表面の各部位における平坦度、すなわち、高低差を意味する。
したがって、上記測定工程2から得られる測定結果は、ガラス基板表面の各部位における高低差を示す平坦度マップ(以下、「平坦度マップ」という。)となる。
ガラス基板表面の平坦度は、例えばレーザ干渉式平坦度測定機を用いて測定することができる。後に示す実施例では、ガラス基板の表面の平坦度をG310Sフィゾー型レーザ干渉式平坦度測定機(Fujinon社製)を用いて測定した。但し、ガラス基板の表面の平坦度を測定する手段はこれに限定されず、レーザ変位計、超音波変位計または接触式変位計を用いて、ガラス基板の表面の高低差を測定し、その測定結果を用いて平坦度を求めてもよい。
本発明の仕上げ加工方法は、上記測定工程1および測定工程2から得られた結果に基づいて、ガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定する。以下、本明細書において、ガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定することを、単に「ガラス基板の加工条件を設定する」という。
本発明の仕上げ加工方法では、上記測定工程1から得られた結果と、上記測定結果2から得られた結果の両方に基づいて、ガラス基板の加工条件を設定する。但し、理解を容易にするため、上記測定工程1から得られた結果に基づく加工条件の設定と、上記測定工程2から得られた結果に基づく加工条件の設定と、を分けて以下に説明する。
上記測定工程1から得られた結果に基づいて加工条件を設定する場合、ガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの相関(以下、「ドーパント濃度と加工レートとの相関」とも言う。)を予め求めておき、上記測定工程1から得られた結果と、ドーパント濃度と加工レートとの相関と、を用いて加工条件を設定する。
本発明者らは、ドープ石英ガラス製のガラス基板を加工する際、ドーパント濃度と加工レートと、の間には、何らかの相関が存在することを見出した。
一例を挙げると、TiO2をドーパントとして含むドープ石英ガラスの場合、加工条件一定の下でドープ石英ガラスを加工した際、ドーパント濃度X(wt%)と加工レートY(μm/min)との間に下記式(1)で表される相関が存在する。
Y=a・X+b (1)
式(1)中、aおよびbは変数を表す。
図1は、ドーパントとしてTiO2を含んだドープ石英ガラスについて、ドーパント濃度と加工レートとの相関を示したグラフであり、加工方法として、ガスクラスターイオンビームエッチングを用いた場合と、酸化セリウムによる機械研磨を用いた場合の相関を示している。図1を作成した手順を以下に示す。
SiO2に対する質量%で、TiO2を0%、3.1%、5.1%、6.9%、8.7%含んだドープ石英ガラス製の試験サンプル(20×20×1mmt)を準備した。これらTiO2濃度が異なる試験サンプルを同一の条件で加工して加工レートを求め、TiO2濃度と、加工レートと、の関係をプロットしたのが図1である。なお、図1において、加工レートは、TiO2濃度が0質量%の際の加工レートを1とした、規格化加工レートとして示されている。
ガスクラスターイオンビームエッチングおよび機械研磨は以下の条件で実施した。
ガスクラスターイオンビームエッチング
ソースガス:SF61.25%,O224%,Ar74.75%
加速電圧:30kV
イオン化電流:50μA
ビーム径(FWHM値):10mm以下
ドーズ量:6.2×1015個イオン/cm2
機械研磨
研磨材:酸化セリウム(スピードファム社CO85(昭和電工H−3))
研磨パッド:セリウム含浸ポリウレタンパッド(ロデール・ニッタ社MHC14B)
研磨装置:両面研磨機
なお、図1に示す加工レートは、重量法を用いて加工前後における試験サンプルの重量変化から求めた。
上記の加工条件でガスクラスターイオンビームエッチングを実施した場合、上記式(1)は、図1から下記式(1−1)と求まる。一方、酸化セリウムによる機械研磨を実施した場合、上記式(1)は式(1−2)と求まる。
Y=0.0522X+1.0449 (1−1)
Y=0.0306X+1.0188 (1−2)
ガラス基板表面の仕上げ加工に使用する加工方法および加工条件について、図1と同様のグラフを作成しておけば、測定工程1から得られるドーパント濃度分布マップと式(1)とを用いて、ガラス基板表面の加工量をガラス基板の部位ごとに設定することができる。但し、式(1)は、加工条件一定の下でのガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの関係を示しているため、設定に用いることができる加工条件は加工時間のみである。
ドーパントの濃度分布について用いた概念、厚みを持たない二次元形状のガラス基板において、ガラス基板の座標を(x,y)とした場合、測定工程1から得られるドーパント濃度分布マップはC(x,y)(質量%)と表される。ガラス基板の加工量はW(x,y)(μm)、加工時間はT(x,y)(min)と表される。なお、W(x,y)は、ガラス基板の座標(x,y)の部位の加工量(予定加工量)を示しており、定数である。例えば、ガラス基板の座標(x,y)の部位を5μm加工する場合、W(x,y)=5μmとなる。
W(x,y)と、T(x,y)と、の関係は下記式(2)で表される。
T(x,y)=W(x,y)/(a×C(x,y)+b) (2)
したがって、測定工程1から得られた結果に基づいてガラス基板の加工条件を設定する場合、式(2)にしたがって、ガラス基板の加工条件、具体的には加工時間を設定すればよい。
上記測定工程2から得られた結果に基づいて加工条件を設定する場合、上記測定工程2から得られるガラス基板表面の平坦度を求め、それに基づいて加工条件を設定する。
上記したように、測定工程2からは平坦度マップとして測定結果が得られる。[0039]と同様に、二次元形状のガラス基板の座標を(x,y)とした場合、平坦度マップはS(x,y)(μm)と表される。加工時間はT(x,y)(min)と表される。加工レートをY(μm/min)とした場合、これらの関係は下記式(3)で表される。
T(x,y)=S(x,y)/Y (3)
したがって、測定工程2から得られた結果に基づいて加工条件を設定する場合、式(3)にしたがって、加工条件、具体的には加工時間を設定する。
本発明の仕上げ加工方法は、上記測定工程1から得られた結果に基づく加工条件の設定と、上記測定工程2から得られた結果に基づく加工条件の設定と、を組み合わせた形で、ガラス基板の加工条件を設定する。
上記と同様に、二次元形状のガラス基板の座標を(x,y)とし、測定工程1から得られるドーパント濃度分布マップをC(x,y)(質量%)、測定工程2から得られる平坦度マップをS(x,y)(μm)とし、加工時間をT(x,y)(min)とした場合、これらの関係は下記式(4)で表される。
T(x,y)=S(x,y)/(a×C(x,y)+b) (4)
したがって、測定工程1および測定工程2から得られた結果に基づいて加工条件を設定する場合、式(4)にしたがって、加工条件、具体的には加工時間を設定する。
本発明の仕上げ加工方法に用いる加工方法は、上記測定工程1および測定工程2から得られた結果に基づいて、ガラス基板の加工条件を設定することができる加工方法である限り特に限定されない。すなわち、1回に加工される範囲を十分小さくすることができ、かつ測定工程1および測定工程2の結果に基づいて加工条件を容易に設定できる方法である限り特に限定されない。したがって、小径の研磨パッド、例えば、径が2cm程度の研磨パッドを用いた機械研磨であってもよい。但し、測定工程1および測定工程2の結果に基づいて加工条件を設定すること、例えば、式(4)にしたがって、加工時間を設定することが容易であることから、イオンビームエッチング、ガスクラスターイオンビームエッチング、プラズマエッチング、ナノアブレーションおよびMRF(magnetorheological finishing)からなる群から選択される加工方法を用いることが好ましい。
上記した加工方法の中でも、ガラス基板表面へのビーム照射を伴う方法、具体的には、イオンビームエッチング、ガスクラスターイオンビームエッチングおよびプラズマエッチングは、上記測定工程2から得られる結果に基づいて、ガラス基板の加工条件をさらに設定することができる。以下、この設定手順について、具体的に説明する。
この設定手順を行う場合、上記測定工程2から得られる結果を用いて、ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定する。うねりの幅と言った場合、ガラス基板表面に周期的に存在する凹凸形状における、凹部または凸部の長さを意味する。したがって、うねりの幅は、通常うねりの周期の1/2である。なお、ガラス基板表面に周期が異なるうねりが複数存在する場合、周期が最も小さいうねりの幅をガラス基板表面に存在するうねりの幅とする。
上記したように、上記測定工程2から得られる測定結果は、ガラス基板表面の各部位における高低差を示す平坦度マップである。よって、平坦度マップからガラス基板表面に存在するうねりの幅を容易に特定することができる。
上記の手順で特定されたうねりの幅を基準として、ビーム径がうねりの幅以下のビームを用いてドライエッチングを実施する。ここでビーム径は、FWHM(full width of half maximum)値を基準とする。以下、本明細書において、ビーム径と言った場合、ビーム径のFWHM値を意味する。本発明の仕上げ加工方法において、ビーム径がうねりの幅の1/2以下のビームを用いることがより好ましい。ビーム径がうねりの幅以下のビームを用いれば、ガラス基板の表面に存在するうねりに対して、ビームを集中して照射することが可能となり、うねりを効果的に取り除くことができる。
上記したガラス基板表面へのビーム照射を伴う方法、すなわち、イオンビームエッチング、ガスクラスターイオンビームエッチングまたはプラズマエッチングを使用する場合、ビームをガラス基板の表面上で走査させる必要がある。この理由は、ガラス基板の加工条件を設定するために、1回にビームを照射する範囲をできるだけ小さくする必要があるからである。特に、ビーム径がうねりの幅以下のビームを使用する場合、ビームをガラス基板の表面上で走査させることが必要となる。ビームを走査させる手法としては、ラスタスキャンとスパイラルスキャンが公知であるが、これらのいずれを用いてもよい。
本発明の仕上げ研磨方法において、上記式(4)にしたがって、加工時間(この場合、ビームの照射時間)を設定する場合、座標(x,y)において、T(x,y)の照射時間が得られるようにする。すなわち、ビーム強度プロファイル、スキャンピッチおよびドーズ量を考慮して、ガラス基板とビームの相対運動速度を決定することによって、設定した照射時間T(x,y)が得られるようにする。なお、機械研磨を用いる場合も同様に、小径の研磨パッドの単位時間当たりの研磨量分布を考慮して、ガラス基板と研磨パッドとの相対運動速度を決定することによって、設定した加工時間T(x,y)が得られるようにする。
上記したガラス基板表面へのビーム照射を伴う方法の中でも、表面粗さが小さく、平滑性に優れた表面に加工できることからガスクラスターイオンビームエッチングを用いることが好ましい。
ガスクラスターイオンビームエッチングとは、常温および常圧で気体状の反応性物質(ソースガス)を、真空装置内に膨張型ノズルを介して加圧状態で噴出させることにより、ガスクラスターを形成し、これに電子照射してイオン化したガスクラスターイオンビームを照射して対象物をエッチングする方法である。ガスクラスターは、通常数千個の原子または分子からなる塊状原子集団または分子集団によって構成される。本発明の仕上げ加工方法において、ガスクラスターイオンビームエッチングを用いる場合、ガラス基板表面にガスクラスターが衝突した際に、固体との相互作用により多体衝突効果が生じガラス基板表面が加工される。
ガスクラスターイオンビームエッチングを用いる場合、ソースガスとしては、SF6、Ar、O2、N2、NF3、N2O、CHF3、CF4、C26、C38、C46、SiF4、COF2などのガスを単独で、または混合して使用することができる。これらの中でもSF6およびNF3は、ガラス基板の表面に衝突した時に起こる化学反応の点でソースガスとして優れているため、SF6またはNF3を含む混合ガス、具体的には、SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、またはNF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガスが好ましい。これらの混合ガスにおいて、各成分の好適な混合比率は照射条件等の条件によって異なるが、それぞれ以下であることが好ましい。
SF6:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(SF6およびO2の混合ガス)
SF6:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(SF6、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびO2の混合ガス)
NF3:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:N2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびN2の混合ガス)
NF3:Ar:N2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびN2の混合ガス)
これらの混合ガスの中でも、SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、またはNF3、ArおよびO2の混合ガスが好ましい。
なお、クラスターサイズ、クラスターをイオン化させるためにガスクラスターイオンビームエッチング装置のイオン化電極に印加するイオン化電流、ガスクラスターイオンビームエッチング装置の加速電極に印加する加速電圧、およびガスクラスターイオンビームのドーズ量といった照射条件は、ソースガスの種類や予備研磨後のガラス基板の表面性状に応じて適宜選択することができる。例えば、ガラス基板の表面粗さを過度に悪化させることなしに、ガラス基板の表面からうねりを取り除いて、平坦性を改善するためには、加速電極に印加する加速電圧は15〜30kVであることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法は、上記測定工程1および測定工程2から得られる結果に基づいてガラス基板の加工条件を設定するため、予備研磨時にガラス基板表面に生じたうねりを効果的に除去することができ、ガラス基板を平坦度に優れた表面に加工することができる。本発明の仕上げ加工方法を用いれば、ガラス基板の表面の平坦度を50nm以下に改善することができる。
本発明の仕上げ加工方法を実施した場合、加工されるガラスの表面性状や、ビームの照射条件によっては、ガラス基板の表面粗さが多少悪化する場合がある。また、ガラス基板の仕様によっては、本発明の仕上げ加工方法では、所望の平坦度は達成できても、所望の表面粗さまでは加工できない場合もある。このため、本発明の仕上げ加工方法の実施後に、ガラス基板の表面粗さを改善するために、さらなる仕上げ加工処理を実施してもよい。
このような目的で実施される仕上げ加工処理には、ガスクラスターイオンビームエッチングを用いることが好ましい。したがって、本発明の仕上げ加工方法で、ガスクラスターイオンビームエッチングを用いる場合、さらなる仕上げ加工処理は、ソースガス、イオン化電流および加速電圧といった照射条件が異なる第2のガスクラスターイオンビームエッチングとして実施する。具体的には、第2のクラスターイオンビームエッチングは、予備研磨の際に生じたうねりの除去を目的とするガスクラスターイオンビームエッチングよりも低いイオン化電流、あるいは低い加速電圧を用いて、より緩やかな条件で行なうのが好ましい。具体的には、例えば、加速電圧は、3kV以上30kV未満であることが好ましく、3〜20kVであることがより好ましい。また、ソースガスとしては、ガラス基板の表面に衝突した時に化学反応を起こしにくいことから、O2、Ar、CO、CO2などのガスを単独または混合して使用することができる。これらの中でもO2およびArが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
(参考例)
被加工物として、公知の方法で製造されたTiO2ドープ石英ガラス(TiO27質量%ドープ)のインゴットを準備し、内周刃スライサーを用いて縦153.0mm×横153.0mm×厚さ6.75mmの板状に切断し、TiO2ドープ石英ガラス製の板材試料を作成した。次いで、これらを市販のNC面取り機で#120のダイアモンド砥石を用い、外径寸法が152mmで面取り幅が0.2〜0.4mmになるよう面取り加工を実施して、ガラス基板サンプルを得た。
ガラス基板サンプルのTiO2濃度分布を蛍光X線分析によって測定した。図2は、ガラス基板サンプルの対角方向のTiO2濃度分布を示したグラフである。なお、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
図2に示すTiO2濃度分布を有するガラス基板サンプルを、予備研磨として機械研磨した場合の予想加工量分布を式(1−2)を用いて計算した。なお、計算の際、TiO2濃度7質量%の加工量を5μm(基準加工量)とした。
Y=0.0306X+1.0188 (1−2)
X:ドーパント濃度(wt%)、Y:研磨レート(μm/min)
図3は、上記手順で得られた予想加工量分布を示したグラフである。図4は、予備研磨後のガラス基板サンプルの対角方向の予想断面プロファイルを示したグラフであり、基準加工量5μmから図3に示す予想加工量を減じた結果である。図3および図4において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
上記したガラス基板サンプルを、酸化セリウムによる機械研磨を用いて予備研磨した。
研磨材、研磨パッドおよび研磨装置は、図1を作成する際に使用したものと同じであり、加工レートおよび加工時間は、TiO2濃度が7質量%のドープ石英ガラスの加工量が5μmとなる条件とした。
予備研磨後、ガラス基板サンプルの表面を干渉平坦度計(G310Sフィゾー型レーザ干渉式平坦度測定機(Fujinon社製))を用いて測定した。測定結果から作成したガラス基板サンプルの表面形状を図5に示した。機械研磨後のガラス基板の表面形状において、長周期の形状や外周のダレに関しては、使用した研磨パッドの特性や、機械研磨の加工条件などに依存する。このため、3次収差関数を近似し、チルト、パワー、非点収差、コマ収差、球面収差を除去した後の、ガラス基板サンプルの対角方向の断面プロファイルを図6に示した。図6において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
図4および図6の比較から明らかなように、予備研磨後の予想断面プロファイルと、実際に機械研磨した後の断面プロファイルと、で凹凸(うねり)の存在する位置およびその高さが非常によく一致していた。
図4に示す状態から、さらにガスクラスターイオンビームエッチングを用いて仕上げ加工した後の、ガラス基板サンプルの対角方向の予想断面プロファイルを作成した。
具体的には、図2に示すTiO2濃度分布を有するガラス基板サンプルをガスクラスターイオンビームエッチング法により仕上げ加工した場合の予想加工量分布を式(1−1)を用いて計算した。なお、計算の際、TiO2濃度7質量%の加工量を0.8μm(基準加工量)とした。
Y=0.0522X+1.0449 (1−1)
X:ドーパント濃度(wt%)、Y:加工レート(μm/min)
続いて、図4に示す予想断面プロファイルから上記手順で求めた予想加工量を減じることにより、仕上げ加工後のガラス基板の予想断面プロファイルを作成した。図7は、仕上げ加工後のガラス基板の予想断面プロファイル(対角方向)を示したグラフである。図7において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
一方、上記手順で予備研磨したガラス基板サンプルを、さらにガスクラスターイオンビームエッチングを用いて仕上げ加工した。ガスクラスターイオンビームエッチングの条件は、図1を作成する際に使用した条件と同じであり、加工レートおよび加工時間は、TiO2濃度が7質量%のドープ石英ガラスの研磨量が0.8μmとなる条件とした。
仕上げ加工後のガラス基板サンプル表面を干渉平坦度計を用いて測定した。得られた測定結果を3次収差関数を近似し、チルト、パワー、非点収差、コマ収差、球面収差を除去した後の、ガラス基板サンプルの対角方向の断面プロファイルを図8に示した。図8において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
図7および図8の比較から明らかなように、仕上げ加工後の予想断面プロファイルと、実際に仕上げ加工した後の断面プロファイルと、で凹凸の存在する位置およびその高さが非常によく一致していた。
以上の結果から明らかなように、予備研磨後のガラス基板表面には、ガラス基板のドーパント濃度分布に起因するうねりが生じており、このうねりは仕上げ加工では完全に除去することができない。しかしながら、このうねりの位置および高さは、ドーパント濃度分布、およびドーパント濃度と加工レートとの相関から求められる予想値と非常によく一致する。
本発明の仕上げ加工方法では、上記測定工程1および測定工程2から得られる結果に基づいてガラス基板の加工条件を設定するため、予備研磨の際に発生したうねりを完全に除去し、ガラス基板の表面を平坦度に優れた表面に仕上げ加工することができると考えられる。
図1は、ドーパントとしてTiO2を含んだドープ石英ガラスについて、ドーパント濃度と加工レートとの相関を示したグラフである。 図2は、実施例のガラス基板サンプルのTiO2濃度分布(対角方向)を示したグラフである。 図3は、実施例のガラス基板サンプルについて、予備研磨の際の予想加工量を示したグラフである。 図4は、実施例のガラス基板サンプルについて、予備研磨後のガラス基板サンプルの予想断面プロファイル(対角方向)を示したグラフである。 図5は、実施例のガラス基板サンプルについて、予備研磨後のガラス基板表面を干渉平坦度計を用いて測定した結果から求めたガラス基板サンプルの表面形状を示している。 図6は、実施例のガラス基板サンプルについて、予備研磨後のガラス基板サンプルの断面プロファイル(対角方向)を示したグラフである。 図7は、実施例のガラス基板サンプルについて、仕上げ加工後のガラス基板サンプルの予想断面プロファイル(対角方向)を示したグラフである。 図8は、実施例のガラス基板サンプルについて、仕上げ加工後のガラス基板サンプルの断面プロファイル(対角方向)を示したグラフである。

Claims (12)

  1. 予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法であって、
    前記ガラス基板は、ドーパントを含み、SiO2を主成分とする石英ガラス製であり、 前記予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法は、
    ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程と、
    予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定する工程と、を有し
    前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程および前記ガラス基板の表面形状を測定する工程から得られた結果に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  2. ガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの相関を予め求めておき、
    前記ガラス基板に含まれるドーパント濃度分布の測定結果と、前記ドーパント濃度と加工レートとの相関と、を用いて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする請求項1に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  3. 前記ガラス基板の表面形状の測定結果から前記ガラス基板表面の平坦度を求め、
    前記ガラス基板表面の平坦度に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする請求項1または2に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  4. 前記ガラス基板表面の加工は、イオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチング、プラズマエッチング、ナノアブレージョンおよびMRF(magnetorheological finishing)からなる群から選択される加工方法を用いて実施される請求項1ないし3のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  5. 前記加工方法は、イオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチングまたはプラズマエッチングであり、
    前記ガラス基板の表面形状の測定結果から前記ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定し、
    ビーム径がFWHM(full width of half maximum)値で前記うねりの幅以下のビームを用いて加工を行うことを特徴とする請求項4に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  6. 前記ビーム径のFWHM値は、前記うねりの幅の1/2以下である請求項5に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  7. 前記加工方法は、ガスクラスタイオンビームエッチングである請求項4または5に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  8. 前記ガスクラスタイオンビームエッチングのソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いる請求項5ないし7のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
    SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガス
  9. 前記ソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いる請求項8に記載のガラス基板の研磨方法。
    SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス
  10. 前記ガラス基板は、20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス製である請求項1ないし9のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  11. 前記ドーパントは、TiO2である請求項1ないし10のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
  12. 前記ガラス基板は、予備研磨後の表面粗さ(Rms)が5nm以下である請求項1ないし11のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
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