JP6308039B2 - マスクブランク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種リソグラフィの際に使用されるマスクブランク用ガラス基板の製造方法に関する。本発明は、EUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)光を用いたリソグラフィ(以下、「EUVL」と略する)に使用されるマスクブランク用ガラス基板(以下、「EUVLマスクブランク用ガラス基板」と略する。)の製造に好適である。
本発明は、従来の透過型光学系を用いたリソグラフィに使用されるマスクブランク用ガラス基板の製造にも好適である。
近年における超LSIデバイスの高密度化や高精度化に伴い、各種リソグラフィに使用されるマスクブランク用ガラス基板の表面形状に要求される仕様は年々厳しくなる状況にある。特に、露光光源の波長が短くなるにしたがって、基板表面の形状精度(平坦性、表面粗さ)や欠陥(パーティクル、スクラッチ、ピット等)に対する要求が厳しくなっており、きわめて平坦度が高く、かつ、微小欠陥がないガラス基板が求められている。
例えば、EUVLマスクブランク用ガラス基板の場合は、ガラス基板主表面の平坦度をPV値で50nm以下にすることが要求されている。
従来、マスクブランク用ガラス基板の製造に際し、表面粗さを低減するための精密研磨方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示される精密研磨方法は、基板表面を、酸化セリウムを主材とする研磨剤を用いて研磨した後、コロイダルシリカを用いて仕上げ研磨する方法である。このような研磨方法でガラス基板を研磨する場合は、通常、複数のガラス基板をセットし、その両面を同時に研磨するバッチ式の両面研磨機が使用されている。
上記の精密研磨方法を用いた場合、研磨粒子の平均粒径を小さくすることで要求される表面粗さを達成できる。しかしながら、平坦度については、ガラス基板を保持するキャリア、ガラス基板を挟む定盤、キャリアを動かす遊星歯車機構などの機械的な精度に影響を受けることもあり、研磨回数を増加させても、ガラス基板主表面のPV値が0.5μm以下となる基板を安定して得ることは困難であった。
そこで、近年においては、プラズマエッチングやガスクラスターイオンビームによる局所加工を用いたガラス基板の平坦化方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
特許文献2、3に示される平坦化方法は、ガラス基板表面の凹凸形状を測定するとともに、凸部位の凸度に応じた加工条件(プラズマエッチング量、ガスクラスターイオンビーム量など)で凸部位に局所加工を施すことにより、ガラス基板表面を平坦化するという方法である。
特開昭64−40267号公報 特開2002−316835号公報 特開平8−293483号公報
ところで、プラズマエッチングやガスクラスターイオンビームによる局所加工では、ガラス基板表面に面荒れが生じたり、加工変質層が生じるため、局所加工後に、面荒れの改善や加工変質層の除去を目的として、短時間の仕上げ研磨を行うことが必要となる。
このとき、仕上げ研磨を長時間行うと平坦度が変化してしまうため、平坦度が有意に変化しない程度まで仕上げ研磨時間を短くするか、求められる最終形状ではなく、仕上げ研磨による平坦度変化を見越した形状となるように、局所加工工程の段階での作り込みが実施されていた。
特許文献2、3に示される平坦化方法では、ガラス基板表面に存在する凸部位の凸度に応じた加工条件(プラズマエッチング量、ガスクラスターイオンビーム量など)で、該凸部位に局所加工を施すことになるが、この場合、その後の仕上げ研磨において予測とは異なる平坦度の変化が起こり、最終的に得られたガラス基板表面の平坦度が悪化する問題が起こる場合があった。
本発明は、上記した問題点を解決するため、局所加工によって発生した面荒れや加工変質層に由来する仕上げ研磨での平坦度の変化を抑制しつつ、表面粗さが小さく平坦性に優れた表面を有するマスクブランク用ガラス基板を製造する、マスクブランク用ガラス基板の製造方法の提供を目的とする。
本願発明者らは、上述した仕上げ研磨において予測と異なる平坦度の変化が起こる原因について鋭意検討を行った結果、局所加工の実施において、マスクブランク用ガラス基板の凸部位のみを加工しそれ以外の部分を加工しない場合、加工した部位と加工していない部位とが基板表面上に共存する点に着目した。それにより、マスクブランク用ガラス基板表面に面荒れの度合いや加工変質層の深さが不均一に生じていたこと、つまり、面荒れや加工変質層が存在する部分と存在しない部分が生じていたことが明らかになった。ここで、面荒れや加工変質層が存在する部分と存在しない部分とでは、その後の仕上げ研磨での研磨レートが異なっていた結果、マスクブランク用ガラス基板表面に加工量が異なる部分が生じ、仕上げ研磨での平坦度変化が予測と異なっていることを見出した。
本願発明は、上述した知見に基づいてなされたものであり、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状を測定する表面形状測定工程と、
前記表面形状測定工程で得られた凹凸形状と、仕上げ研磨による平坦度変化を見越した、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状と、から、少なくとも前記品質保証領域の加工量分布を計算する計算工程と、
前記計算工程で得られた少なくとも前記品質保証領域の加工量分布に基づき加工量を調整しながら、単位加工面積が前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも小さい局所加工ツールを用いて、該局所加工ツールを前記マスクブランク用ガラス基板上で走査して、該マスクブランク用ガラス基板の主表面を加工する第1の加工工程と、
前記第1の加工工程の実施後に、前記局所加工ツールによる加工によって前記マスクブランク用ガラス基板の主表面に生じた、表面荒れの修正、及び/または、加工変質層の少なくとも一部の除去、のための第2の加工工程と、を有し、
前記第1の加工工程では、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域全ての加工量の最小値が、前記計算工程で得られた前記加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上、かつ、前記加工量分布のPV値(nm)以下で定められる値となるように加工が実施されることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法を提供する。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法において、前記局所加工ツールは、加工手法として、イオンビームエッチング法、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)エッチング法、プラズマエッチング法、湿式エッチング法、および、磁性流体(MRF(登録商標))研磨法、ならびに、回転型小型加工ツールを用いる研磨法からなる群から選択される少なくとも一つを用いることが好ましい。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法において、前記第2の加工工程では、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域を、研磨パッドと研磨スラリーを用いて機械研磨することが好ましい。
前記第2の加工工程で使用する研磨スラリーが、ダイヤモンド、酸化セリウムおよびコロイダルシリカからなる群から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
前記第2の加工工程で使用する研磨パッドが、研磨時の接触面積が前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも大きいことが好ましい。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法において、前記表面形状測定工程実施前のマスクブランク用ガラス基板は、主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度(PV値)が1μm以下となるように予備研磨されていることが好ましい。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法において、前記第2の加工工程実施後の前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度(PV値)が100nm以下であることが好ましい。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法において、前記第2の加工工程で想定される、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における平坦度変化と、実際の前記マスクブランク用ガラス基板における、前記第2の加工工程実施前後の主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度変化と、の差が、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域全面のPV値で50nm以下であることが好ましい。
また、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法において、前記第1の加工工程実施後の前記ガラス基板の主表面における、加工変質層の厚さの最大値をD1(nm)とし、該加工変質層の厚さの最小値をD2(nm)とするとき、(D1−D2)/D2≦0.3を満たすように、前記第1の加工工程を実施することが好ましい。
また、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法において、前記第1の加工工程実施後の前記ガラス基板の主表面における、表面粗さの最大値をRmsAとし、表面粗さの最小値をRmsBとするとき、(RmsA−RmsB)/RmsB≦0.3を満たすように、前記第1の加工工程を実施することが好ましい。
また、本発明は、少なくとも一方の主表面の形状から、該主表面の形状をルジャンドル多項式で近似したとき、そのうち0次項から2次項までの低次多項式成分で表される形状を、元の形状から差し引いた残差形状のPV値が、60nm以下のマスクブランク用ガラス基板を提供する。
本発明のマスクブランク用ガラス基板において、前記主表面の形状は、ルジャンドル多項式のうち0次項から2次項までの低次多項式で表したとき、各項の係数の絶対値がいずれも60nm未満であることが好ましい。
本発明のマスクブランク用ガラス基板において、前記残差形状のPV値が45nm未満であることが好ましい。
本発明によれば、局所加工によって発生するマスクブランク用ガラス基板表面の面荒れや加工変質層に由来する仕上げ研磨での平坦度の変化を抑制しつつ、表面粗さが小さく平坦性に優れた表面を有するマスクブランク用ガラス基板を製造できる。
図1は、回転型小型加工ツールを用いて、ガラス基板の主表面を局所加工した際の加工深さと、該主表面の表面粗さと、の関係を示したグラフである。 図2は、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法の実施手順を説明するための図であり、表面形状測定工程で得られた凹凸形状(形状1)と、第1の加工工程後における目標形状(形状2)と、の関係の一例を示している。 図3は、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法の実施手順を説明するための図であり、図2に示す形状1、2の差分を示している。 図4は、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法の実施手順を説明するための図であり、図3に示す形状1、2の差分と、第1の加工工程における加工量分布と、の関係を示している。 図5は、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法の実施手順を説明するための図であり、第1の加工工程後における目標形状(形状2)、第1の加工工程実施後の実形状(形状3)、および、第2の加工工程実施後の実形状(形状4)の関係を示している。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法は、以下に示す工程を有する。
[表面形状測定工程]
本工程では、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状を測定する。本工程により、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における凹凸の分布が得られる。この場合、例えば、マスクブランク用ガラス基板の主表面全面の平坦度を測定し、測定結果から該主表面の品質保証領域の凹凸の分布が得られる。なお、本明細書において、マスクブランク用ガラス基板の主表面とは、マスクブランク用ガラス基板がEUVLマスクブランク用ガラス基板である場合、パターンを形成する表面と、裏面の両方を指し、透過型マスクブランク用ガラス基板である場合、パターンを形成する表面のみを指す。なお、透過型マスクブランク用ガラス基板とは、例えば、露光光としてArFエキシマレーザを用いるフォトマスク用ガラス基板が挙げられる。
マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域とは、たとえば、EUVLマスクブランク用ガラス基板として通常使用される、主表面が152mm角のガラス基板の場合、152mm角の主表面のうち、143mm角の領域である。なお、品質保証領域は、143mm角の領域に限らず、マスクブランク用ガラス基板の仕様により140mm角〜150mm角の範囲の中で設定されることが多い。
本工程において、マスクブランク用ガラス基板の主表面の凹凸形状の測定には、レーザー干渉計、接触式形状測定装置等を使用できる。特に、非接触でマスクブランク用ガラス基板の主表面全体を一度に測定できる理由から、レーザー干渉計が好適である。
[計算工程]
本工程では、表面形状測定工程で測定されたマスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状と、仕上げ研磨による平坦度変化を見越した、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状と、から、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布を計算する工程である。なお、計算工程では、品質保証領域に限らず、マスクブランク用ガラス基板の主表面全面における加工量分布を計算してもよい。
ここで、仕上げ研磨による平坦度変化を見越した、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状とは、仕上げ研磨において相対的に研磨量が大きくなる部分を低く(凹に)、相対的に研磨量が少ない部分を高く(凸に)にした形状であり、仕上げ研磨での平坦度変化を凹凸(上下)反転した形状と考えることができる。そして、この形状は、第1の加工工程後におけるマスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状の目標形状(以下、「第1の加工工程後における目標形状」という。)となる。
なお、仕上げ研磨による平坦度変化量が少なく、仕上げ研磨の実施前後での平坦度変化を無視できる場合、第1の加工工程後における目標形状は最終目標形状と同じ完全な平面となる。この場合、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布は、表面形状測定工程で測定されたマスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状と一致する。
また、仕上げ研磨において、品質保証領域内における周辺部の研磨量が該品質保証領域の中心部より大きくなる場合、仕上げ研磨により、品質保証領域の中心部が該品質保証領域内における周辺部より高くなる、凸化と呼ばれる平坦度変化が起こる。この場合、第1の加工工程後における目標形状は、仕上げ研磨での凸化を見越して、品質保証領域の中心部と比較して該品質保証領域内における周辺部を高く残す、お椀形状(凹形状)とするとよい。
一方で、仕上げ研磨において、品質保証領域内における周辺部の研磨量が該品質保証領域の中心部より小さくなる場合には、仕上げ研磨により、品質保証領域の中心部の形状が該品質保証領域内における周辺部より低くなる、凹化と呼ばれる平坦度変化が起こる。この場合、第1の加工工程後における目標形状は、仕上げ研磨での凹化を見越して、品質保証領域の中心部と比較して、該品質保証領域内における周辺部を低くする、山型の形状(凸形状)とするとよい。
なお、本工程においては、表面形状測定工程で測定されたマスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状からの測定ノイズの除去や、該凹凸形状のスムージング処理などを実施してもよい。また、第1の加工工程に用いられる局所加工ツールが持つ加工エラーがあらかじめ分かっている場合には、それを補正するための計算処理を加えてもよい。
[第1の加工工程]
本工程では、計算工程で得られた、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布に基づいて加工量を調整しながら、マスクブランク用ガラス基板の主表面を加工する。そのため、単位加工面積がマスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも小さい局所加工ツールを使用し、該局所加工ツールをマスクブランク用ガラス基板上で走査させる。このとき、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域全てを加工するように走査させる。なお、第1の加工工程では、品質保証領域に限らず、マスクブランク用ガラス基板の主表面全面を加工する方が好ましい。
本工程で使用する局所加工ツールとしては、加工手法として、イオンビームエッチング法、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)エッチング法、プラズマエッチング法、湿式エッチング法、磁性流体による研磨法が挙げられる。また、局所加工ツールとして、回転型小型加工ツールを使用できる。そして、本工程では、上記で挙げた少なくとも1つの局所加工ツールを使用できる。
イオンビームエッチング、ガスクラスターイオンビームエッチングおよびプラズマエッチングは、ガラス基板表面へのビーム照射をともなう方法であり、表面形状測定工程で得られた、マスクブランク用ガラス基板の主表面における凹凸の分布に基づいて、ビームの照射条件を調整しながら、マスクブランク用ガラス基板上でビームを走査させる。ビームを走査させる手法としては、ラスタスキャンとスパイラルスキャン等が挙げられるが、これらのいずれの走査手法を用いてもよい。
上記したマスクブランク用ガラス基板表面へのビーム照射を伴う方法の中でも、表面粗さが小さく、平坦性に優れた表面に加工できることからガスクラスターイオンビームエッチングを用いることが好ましい。なお、本明細書において表面粗さとは、JIS−B0601に基づく二乗平均平方根粗さRq(旧RMS)として説明する。
ガスクラスターイオンビームエッチングとは、常温および常圧で気体状の反応性物質(ソースガス)を、真空装置内に膨張型ノズルを介して加圧状態で噴出させることにより、ガスクラスターを形成し、これに電子照射してイオン化したガスクラスターイオンビームを照射して対象物をエッチングする方法である。ガスクラスターは、通常数千個の原子または分子からなる塊状原子集団または分子集団によって構成される。本発明の第1の加工工程において、ガスクラスターイオンビームエッチングを用いる場合、ガラス基板表面にガスクラスターが衝突した際に、固体との相互作用により多体衝突効果が生じガラス基板表面が加工される。
ガスクラスターイオンビームエッチングを用いる場合、ソースガスとしては、SF6、Ar、O2、N2、NF3、N2O、CHF3、CF4、C26、C38、C46、SiF4、COF2などのガスを単独で、または混合して使用できる。これらの中でもSF6およびNF3は、ガラス基板の表面に衝突した時に起こる化学反応の点でソースガスとして優れているため、SF6またはNF3を含む混合ガス、具体的には、SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、またはNF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガスが好ましい。これらの混合ガスにおいて、各成分の好適な混合比率は照射条件等の条件によって異なるが、それぞれ以下が好ましい。
SF6:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(SF6およびO2の混合ガス)
SF6:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(SF6、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびO2の混合ガス)
NF3:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:N2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびN2の混合ガス)
NF3:Ar:N2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびN2の混合ガス)
これらの混合ガスの中でも、NF3およびN2の混合ガス、SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、またはNF3、ArおよびO2の混合ガスが好ましい。
なお、クラスターサイズ、クラスターをイオン化させるためにガスクラスターイオンビームエッチング装置のイオン化電極に印加するイオン化電流、ガスクラスターイオンビームエッチング装置の加速電極に印加する加速電圧、およびガスクラスターイオンビームのドーズ量といった照射条件は、ソースガスの種類や予備研磨後のガラス基板の表面性状に応じて適宜選択できる。例えば、マスクブランク用ガラス基板の表面粗さを過度に悪化させることなしに、マスクブランク用ガラス基板の表面からうねりを取り除いて、平坦性を改善するためには、加速電極に印加する加速電圧は15〜30kVが好ましい。
磁性流体(MRF(登録商標))による研磨法は、研磨粒子を含む磁性流体を用い、対象物の被研磨部位を研磨する手法であり、例えば、特開2010−82746号公報、特許第4761901号明細書に記載されている。MRF(登録商標)研磨法を用いた研磨装置、および、該研磨装置による研磨手順については、特開2010−82746号公報に例示されている。
MRF(登録商標)研磨法による研磨は、被研磨部位が磁性流体に押し込まれ、被研磨部位に接する磁性流体が被研磨部位の凸部を削り取ることにより行われる。このため、少なくとも初回の研磨は、特開2010−82746号公報の図1に示す研磨装置10の場合、円周面111上におかれた磁性流体30の最大高さの20%以上の深さに被研磨部位51が押し込まれた状態で行うことが好ましい。より好ましくは30%以上である。円周面111上におかれた磁性流体30の最大高さの50%以下の深さに被研磨部位51が押し込まれた状態で行うことが好ましい。
MRF(登録商標)研磨法における磁性流体は、担体中に非コロイド磁気物質が分散された流体であり、磁界下におかれると、レオロジー特性(粘性、弾性、及び可塑性)が変化する。具体的な組成は、周知技術に従って適宜設定される。
磁性流体は、30.0×10-3Pa・s以上の粘性係数を有することが好ましく、より好ましくは35.0×10-3Pa・s以上、最も好ましくは40.0×10-3Pa・s以上である。なお、ここで言う粘性係数とは、磁性流体が無磁場(磁界を積極的に発生していない雰囲気)におかれた際の粘性係数を指す。粘性係数が上記範囲にある場合、通常、ホイールの円周面上におかれた磁性流体の最大高さは1.0mm〜2.0mmになる。
他方、磁性流体は、70.0×10-3Pa・s以下の粘性係数を有することが好ましく、より好ましくは65.0×10-3Pa・s以下である。
上述したように、MRF(登録商標)研磨法に使用する磁性流体は研磨粒子を含む。研磨粒子は、被研磨面の表面粗さを所望値以下にしやすい点で、30μm以下の平均粒子径を有することが好ましく、より好ましくは20μm以下、最も好ましくは15μm以下である。
他方、研磨粒子の平均粒子径が過小であると、研磨効率が悪化しやすい。そこで、研磨粒子の平均粒子径は0.5μm以上が好ましく、より好ましくは3.0μm以上、最も好ましくは5.0μm以上である。
研磨粒子は、シリカ、酸化セリウム、ダイヤモンド等の公知素材の1種以上からなってよいが、研磨効率を向上できる点で、酸化セリウム及びダイヤモンドからなる群より選ばれる1種以上からなることが好ましい。具体的には、ダイヤモンドペースト(QEDテクノロジーズ社製D−20、D−10等)、酸化セリウム(QEDテクノロジーズ社製C−20、C−10等)が使用できる。特に、表面粗さを所望値以下にしやすい点で、研磨粒子は酸化セリウムからなることがより好ましい。
回転型小型加工ツールによる加工法は、モーターで回転する研磨加工部を被加工部位に接触させて、当該被加工部位を研磨加工するものである。
回転型小型加工ツールは、その研磨加工部が研磨可能な回転体であればいかなるものでも構わないが、小型定盤を基板直上から垂直に加圧して押し付けて基板表面と垂直な軸で回転する方式や、小型グラインダーに装着された回転加工ツールを基板面に対して斜め方向から加圧して押し付ける方式などが挙げられる。
回転型小型加工ツールによる加工では、被加工部位と接触する面積が重要であり、接触面積は1〜500mm2が好ましく、より好ましくは50〜300mm2である。
回転型小型加工ツールによる加工では、研磨加工部の回転数も重要である。研磨加工部の回転数は、50〜2,000rpmが好ましく、より好ましくは100〜1,800rpm、更に好ましくは200〜1,600rpmである。
回転型小型加工ツールによる加工では、被加工部位と接触する時の圧力も重要であり、該圧力は1〜30g重/mm2が好ましく、より好ましくは2〜16g重/mm2である。
回転型小型加工ツールによる加工では、研磨砥粒スラリーを介在させた状態で加工を行うことが好ましい。研磨砥粒としてはシリカ、酸化セリウム、アランダム、ホワイトアランダム(WA)、FO、ジルコニア、SiC、ダイヤモンド、チタニア、ゲルマニア等が挙げられる。加工対象のマスクブランク用ガラス基板の仕様により研磨砥粒を適宜選択できるが、この中でシリカは、表面粗さを所望値以下にしやすい点で優れるものの研磨レートが遅く、アランダム、ジルコニア、ダイヤモンドなどは研磨レートが大きいが表面荒れが生じやすい場合がある。この理由により、これらの中でも酸化セリウムが、高研磨レートを保ちつつ表面粗さを所望値以下にしやすい点で好ましい。
第1の加工工程で使用する局所加工ツールは、単位加工面積がマスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも小さければよい。局所加工ツールの単位加工面積が大きすぎると、マスクブランク用ガラス基板の主表面に存在する局所的な凹凸形状を補正する能力が低下するため、局所加工ツールの単位加工面積は500mm2以下が好ましく、300mm2以下がより好ましい。
一方、局所加工ツールの単位加工面積を小さくしすぎると、マスクブランク用ガラス基板の主表面全体の加工に時間がかかりすぎてしまう問題が生じる場合がある。局所加工ツールの単位加工面積の最小値は、その局所加工ツールの加工レート及びマスクブランク用ガラス基板の主表面全体の加工時間から設定されるが、例えば1mm2以上が好ましく、50mm2以上がより好ましい。しかしながら、単位面積当たりの加工レートが大きい局所加工ツールを使用する場合は、局所加工ツールの単位加工面積の最小値はこれに限定されず、例えば、局所加工ツールの体積加工速度(1分間にガラスを除去する能力)が、0.01mm3/min以上、より好ましくは0.05mm3/min以上となるように、局所加工ツールの単位加工面積を調整するとよい。例えば、0.05mm3/minの単位加工速度であれば、マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域が、PV値にしておよそ300〜400nmの凹形状をした、マスクブランク用ガラス基板を平面にするための加工時間が、1時間程度となる。また、体積加工速度を1.00mm3/min超にすると、表面粗さを所望値以下にしにくくなる問題が生じる場合があるため、1.00mm3/min以下が好ましい。
上述したように、第1の加工工程では、計算工程で得られた、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布に基づいて加工量を調整しながら、マスクブランク用ガラス基板の主表面を加工するため、単位加工面積がマスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも小さい局所加工ツールを使用する。
しかしながら、局所加工ツールを用いて、マスクブランク用ガラス基板の主表面を加工した場合、該主表面に面荒れが生じたり、加工変質層が生じる。ここで、加工変質層とは、加工により、例えば、ガラス基板の内部やガラス基板の主表面の未加工部位、に対して、物性が変化した層を指す。例として、イオンビームエッチング、ガスクラスターイオンビームエッチング、プラズマエッチングといった、ガラス基板表面へのビーム照射をともなう方法を使用した場合に生じる、ビーム照射に由来する、ガラス基板の表面が脆化した層が挙げられる。
また、湿式エッチング法を使用した場合や、MRF(登録商標)研磨法を使用した場合であっても、マスクブランク用ガラス基板の主表面に、未加工部位とは物性の異なる部位(例えば脆化、化学結合の変化など)が生じるが、これらも加工変質層として取り扱う。
一方、回転型小型加工ツールを使用した場合、マスクブランク用ガラス基板の主表面に面荒れが生じる。なお、第1の加工工程では、局所加工ツールとしては、単一の局所加工ツールのみを用いる場合に限らず、例えば、ガスクラスターイオンビームエッチングと回転型小型加工ツールのように複数の局所加工ツールを用いてもよい。このとき、二つのツールを同じ加工工程の中で同時に使ってもよいし、一方のツールで加工を行った後に他方のツールでの加工を行ってもよい。この場合、局所加工ツールによる加工によって加工変質層と面荒れの両方が生じる場合もあれば、この内どちらかのみが生じる場合もある。
本発明では、後述する第2の加工工程により、局所加工ツールによる加工によって生じた、加工変質層の少なくとも一部を除去する、及び/または、面荒れを修正する。
本発明では、後述する第2の加工工程において、第1の加工工程で生じた加工変質層、及び/または、面荒れにより、マスクブランク用ガラス基板の主表面に加工レートが異なる部分が生じ、マスクブランク用ガラス基板の主表面に加工量が異なる部分が生じる結果として、第2の加工工程後のマスクブランク用ガラス基板主表面の平坦度に予期しない悪化が生じることを防ぐ。そのため、第1の加工工程は、マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域全ての加工量の最小値(以下、「第1の加工工程における加工量」という。)が、計算工程で得られた、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上、かつ、該加工量分布のPV値(nm)以下で定められる値以上となるよう、マスクブランク用ガラス基板の主表面全面に一様な加工量を加える。
第1の加工工程で生じる、加工変質層の厚さ、及び/または、面荒れは、第1の加工工程の加工開始当初は加工量の増加と共に、ガラス基板の主表面の未加工部位における値から変化する。そこで、鋭意な検討により、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上加工すると、加工量に応じた加工変質層の厚さ、及び/または面荒れの変化が少なくなることを見出した。この点に着目すると、第1の加工工程における加工量の最小値を凹凸形状のPV値の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上とすることで、局所加工ツールによる加工によって生じる加工変質層の厚さが、マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域において一様になる。また、局所加工ツールによる加工によって生じる面荒れが、マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域において一様になる。
この点については、図1により確認できる。図1は、回転型小型加工ツールを用いて、ガラス基板の主表面を局所加工した際の加工深さ(nm)と、該主表面の表面粗さ(RMS)と、の関係を示したグラフである。ガラス基板は、合成石英ガラス基板であり、回転型小型加工ツールによる加工条件は下記である。
研磨加工部位:20mmφ
研磨剤:酸化セリウム、平均粒子径(D50)2μm
研磨パッド:軟質パッド(株式会社Filwel製 ベラトリクスN7512)
研磨加工部の回転数:400rpm
研磨圧力:2.5g重/mm2
研磨加工ツールの送り速度を調節して加工深さを変更した。
加工深さは接触式の段差計(株式会社東京精密のSurfcom(商品名)を使用して測定した。加工後の表面粗さは、ZYGO社製NewView(対物レンズは10倍)を使用して測定した。
図1に示すように、加工後の表面粗さは、加工深さが70nmになるまで、加工深さに応じて増加し、それ以降は0.7nm付近で安定している。
このとき、基板の一部でも70nm以上の研磨を行う場合においては、表面粗さの最大値(RmsA)および表面粗さの最小値(RmsB)について、後述する関係(すなわち、RmsA−RmsB)/RmsB≦0.3の関係)を満たすためには、表面粗さの最小値(RmsB)を0.49nm程度にする必要がある。そして、表面粗さの最小値(RmsB)をこの値とするためには、加工深さを30nm以上にする必要がある。
加工量の最大値が小さい基板については、研磨量と面粗さの変化から最低加工量を適宜選択できるが、このときには元の加工量分布のPV値の1/10以上を目安とするとよい。
以上の理由により、第1の加工工程では、計算工程で得られた、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布に基づいて加工量を調整するため、第1の加工工程における加工量の最小値は、該加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上が好ましい。例えば、加工量分布のPV値(nm)が300nm超であるとき、第1の加工工程における加工量の最小値は、30nm以上とすることが好ましく、加工量分布のPV値(nm)が300nm未満であるときは、第1の加工工程における加工量の最小値は、PV値の1/10以上とすることが好ましい。
これにより、第2の加工工程において、第1の加工工程で生じた加工変質層、及び/または、面荒れによる、加工量分布に意図しない変化が生じることがなく、その結果、予期しない平坦度の変化(悪化)を抑制できる。このため、第2の加工工程での平坦度変化が当初の狙い通りとなり、その結果、第1の加工工程及び第2の加工工程を合わせて、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域を所定の平坦度にできる。
なお、第1の加工工程における加工量の最小値が、計算工程で得られた、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほうよりも少ないと、局所加工ツールによる加工によって生じる加工変質層の厚さや面荒れが、マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域において一様にならない。そのため、第2の加工工程において、第1の加工工程で生じた加工変質層、及び/または、面荒れにより、マスクブランク用ガラス基板の主表面に加工レートが異なる部分が生じ、加工量分布に意図しない変化が生じる。その結果、第2の加工工程後のマスクブランク用ガラス基板の主表面の平坦度の予期しない悪化が起こるおそれがある。
一方、第1の加工工程における加工量の最小値を大きくすることで、局所加工ツールの使用に由来する加工変質層の厚さ、及び/または面荒れの面内均一性をより良くできるが、加工量を大きくし過ぎた場合、第1の工程で加工するガラスの体積が大きくなりすぎ、マスクブランク用ガラス基板の主表面全面の加工に時間がかかりすぎてしまう。このため、第1の加工工程における加工量の最小値は、計算工程で得られた、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における加工量分布のPV値以下が好ましい。
また、第1の加工工程における加工量の最小値は、200nm以下がより好ましく、100nm以下がより好ましい。
また、本発明において、第1の加工工程実施後のマスクブランク用ガラス基板の主表面における、加工変質層の厚さの最大値をD1(nm)とし、該加工変質層の厚さの最小値をD2(nm)とするとき、(D1−D2)/D2≦0.3を満たすように、第1の加工工程を実施することが好ましい。
D1およびD2が上記式の関係を満たしていれば、局所加工ツールによる加工によって生じる加工変質層の厚さが、マスクブランク用ガラス基板の主表面において一様になるため、第2の加工工程における加工量分布の意図しない変化を抑制できる。その結果、マスクブランク用ガラス基板の主表面に平坦度の予期せぬ悪化が生じず、マスクブランク用ガラス基板の主表面の平坦度が向上する。
また、(D1−D2)/D2≦0.2を満たすように、第1の加工工程を実施することがより好ましく、(D1−D2)/D2≦0.1を満たすように、第1の加工工程を実施することがさらに好ましい。
なお、マスクブランク用ガラス基板の主表面における加工変質層の厚さは、ナノインデンテーション法により測定できる。加工変質層は、ガラス基板の他の部位(即ち、加工変質層ではない部位)と硬度が大きく異なるため、ナノインデンテーション法により圧子を押込んだとき、硬度が急に変化する押込み量を測定し、その値を加工変質層の厚さとして定義できる。
また、本発明において、第1の加工工程実施後のマスクブランク用ガラス基板の主表面における、表面粗さの最大値をRmsAとし、表面粗さの最小値をRmsBとするとき、(RmsA−RmsB)/RmsB≦0.3を満たすように、第1の加工工程を実施することが好ましい。
RmsAおよびRmsBが上記式の関係を満たしていれば、局所加工ツールによる加工によって生じる面荒れが、マスクブランク用ガラス基板の主表面において一様になるため、第2の加工工程における加工量分布に意図しない変化を抑制できる。その結果、マスクブランク用ガラス基板の主表面に平坦度の予期せぬ悪化が生じず、マスクブランク用ガラス基板の主表面の平坦度が向上する。
また、(RmsA−RmsB)/RmsB≦0.2を満たすように、第1の加工工程を実施することがより好ましく、(RmsA−RmsB)/RmsB≦0.1を満たすように、第1の加工工程を実施することがさらに好ましい。
なお、マスクブランク用ガラス基板の主表面における表面粗さは、例えば、走査型干渉計による非接触表面形状測定機(例えば、ZYGO社製NewView)で測定できる。
[第2の加工工程]
本工程では、局所加工ツールによる加工によって生じた、加工変質層を除去する、及び/または、面荒れを修正する。但し、第2の加工工程の実施後のマスクブランク用ガラス基板の主表面が、後述する表面性状を満たしていればよく、局所加工ツールによる加工によって生じた、加工変質層を完全に除去することや、面荒れを完全に修正することは必ずしも要求されない。すなわち、第2の加工工程の実施後のマスクブランク用ガラス基板の主表面が後述する表面性状を満たす限り、加工変質層の一部を除去することや、面荒れを部分的に修正することも可能である。
第2の加工工程では、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域を研磨パッドと研磨スラリーを用いて機械研磨することが好ましい。局所加工ツールによる加工によって生じた、加工変質層の除去、および/または、面荒れの修正を目的とする第2の加工工程では、マスクブランク用ガラス基板の主表面全体を同時に研磨することが好ましいからである。なお、第2の加工工程では、品質保証領域に限らず、マスクブランク用ガラス基板の主表面全面を加工する方が好ましい。
研磨スラリーとは、研磨粒子を含む流体である。研磨粒子としては、コロイダルシリカ又は酸化セリウムが好ましい。コロイダルシリカを使用した場合、より精密にマスクブランク用ガラス基板の主表面を研磨できるので、特に好ましい。
研磨粒子としてコロイダルシリカを用いる場合、平均粒子径は、好ましくは、1nm以上100nm以下である。より好ましくは10nm以上50nm以下である。ここで、コロイダルシリカの平均粒子径が、1nm以上であれば、マスクブランク用ガラス基板の主表面の研磨効率を向上できる。一方、コロイダルシリカの平均粒子径が、100nm以下であれば、研磨スラリーを用いて研磨されたマスクブランク用ガラス基板の主表面の表面粗さを低減できる。
一方、酸化セリウムを用いる場合、平均粒子径は、10〜5000nmが好ましく、100〜3000nmがより好ましく、500〜2000nmがさらに好ましい。なお、本発明における研磨剤の平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法もしくは動的光散乱法を用いた粒子径測定機(例えば日機装株式会社製マイクロトラック、ナノトラック)によって測定されたD50の値を指す。
研磨スラリーにおけるコロイダルシリカの含有率は、好ましくは、1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。研磨スラリーにおけるコロイダルシリカの含有率が、1質量%以上であれば、マスクブランク用ガラス基板の主表面の研磨効率を向上できる。一方、研磨スラリーにおけるコロイダルシリカの含有率が、40質量%以下であれば、研磨されたマスクブランク用ガラス基板の洗浄効率を向上できる。
一方、研磨スラリーにおける酸化セリウムの含有率は、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。
研磨スラリーにおける流体とは、研磨粒子の分散媒体である。分散媒としては、水、有機溶剤が挙げられる。
研磨パッドとしては、不織布などの基布に、ポリウレタン樹脂を含浸させ、湿式凝固処理を行って得られたポリウレタン樹脂発泡層を有する研磨パッドなどが挙げられる。研磨パッドとしては、スウェード系研磨パッドが好ましい。
スウェード系研磨パッドにおけるナップ層の厚さは0.3〜1.0mm程度が実用上で好ましい。また、スウェード系研磨パッドとしては、適度の圧縮弾性率を有する軟質の樹脂発泡体が好ましく使用でき、具体的には例えばエーテル系、エステル系、カーボネート系などの樹脂発泡体が挙げられる。
上記の研磨パッドを使用する場合、マスクブランク用ガラス基板を、不織布または研磨布等の研磨パッドを取り付けた研磨盤で挟んでセットし、所定の性状に調整されたスラリーを供給しながら、マスクブランク用ガラス基板に対して研磨盤を相対回転させて、マスクブランク用ガラス基板の主表面を機械研磨する。
なお、第2の加工工程で使用する研磨パッドは、研磨時の接触面積がマスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも大きいことが、マスクブランク用ガラス基板の主表面全体を同時に研磨できるため好ましく、マスクブランク用ガラス基板の主表面の面積よりも大きいことがより好ましい。
第2の加工工程では、面圧0.01〜0.6g重/mm2で機械研磨を実施することが好ましい。面圧が0.6g重/mm2超だと、マスクブランク用ガラス基板の主表面にスクラッチ傷が発生するおそれがあり、また、研磨盤の回転負荷が大きくなるおそれがある。面圧が0.01g重/mm2未満だと加工に長時間を要するため、実用的ではない。機械研磨時の面圧は、より好ましくは0.3〜0.6g重/mm2である。
第2の加工工程実施後のマスクブランク用ガラス基板は、その主表面が、表面粗さが小さく、平坦性及び欠点性に優れた表面になる。
第2の加工工程実施後のマスクブランク用ガラス基板は、主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度(PV値)が、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは50nm以下であり、30nm以下であればなお好ましい。なお、上記のPV値の好ましい範囲は、後述するルジャンドル多項式のうち低次多項式成分を差し引く操作をしない、実形状に基づく範囲として与えられるものである。
また、第2の加工工程で想定される、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における平坦度変化と、実際のマスクブランク用ガラス基板における、第2の加工工程実施前後の主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度変化と、の差が、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域全面のPV値で50nm以下であることが好ましい。ここで、第2の加工工程での想定される平坦度の変化とは、ある基板に対し第2の加工工程を定められた時間行い、その前後の平坦度の差を求めることで第2の加工工程による平坦度変化量を計算し、その平坦度変化量に対し、実際に第2の加工工程の実施時間を乗じ、上記した定められた時間を除することで得られる平坦度変化を指す。
なお、前述した平坦度変化量を求める際には、複数枚(例えば5〜20枚程度)のマスクブランク用ガラス基板の主表面を加工し、その平坦度変化の平均を取ることが望ましい。さらに、その際に使用するマスクブランク用ガラス基板については、加工変質層及び/または面荒れの影響を与えないため、第1の加工工程を経ていないマスクブランク用ガラス基板を使用できる。
図2〜5は、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法の実施手順を説明するための図である。図2は、表面形状測定工程で得られた凹凸形状(形状1)と、第1の加工工程後における目標形状(形状2)と、の関係の一例を示している。本発明の計算工程では、形状1、2から第1の加工工程における加工量分布を計算する。この場合、形状1、2の差分を第1の加工工程における加工量分布とすることも考えられる。図3は、図2に示した形状1、2の差分を示している。図3に示すように、形状1、2の差分を第1の加工工程における加工量分布とした場合、第1の加工工程で生じる加工変質層や面荒れに大きな分布が生じる。例えば、図3に示す加工量分布の左端と、中央部と、では、加工量が大きく異なるため、第1の加工工程で生じる加工変質層や面荒れに大きな分布が生じる。
そのため、本発明では、第1の加工工程における加工量の最小値を、加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上とする。図4は、図3に示した形状1、2の差分と、第1の加工工程における加工量の最小値を、加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上とした、第1の加工工程における加工量分布と、の関係を示している。図4に示した第1の加工工程における加工量分布とすることで、第1の加工工程で生じる加工変質層や面荒れが一様になり、第1の加工工程実施後の実形状が、第1の加工工程後における目標形状に近似した形状となる。この状態から、さらに、第2の加工工程を実施することで、マスクブランク用ガラス基板の主表面が所定の平坦度になる。図5は、第1の加工工程後における目標形状(形状2)、第1の加工工程実施後の実形状(形状3)、および、第2の加工工程実施後の実形状(形状4)の関係を示している。図5において、形状3は、形状2に近似した形状となっており、形状4は、最終目標である平面に近似した形状になっている。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法についてさらに記載する。
[ガラス基板]
本発明の方法により製造されるマスクブランク用ガラス基板を構成するガラスは、熱膨張係数が小さくかつそのばらつきの小さいことが好ましい。具体的には20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低熱膨張ガラスが好ましく、20℃における熱膨張係数が0±10ppb/℃の超低熱膨張ガラスがより好ましく、20℃における熱膨張係数が0±5ppb/℃の超低熱膨張ガラスがさらに好ましい。
上記低熱膨張ガラスおよび超低熱膨張ガラスとしては、SiO2を主成分とするガラス、典型的には石英ガラスが使用できる。具体的には、例えばSiO2を主成分とし1〜12質量%のTiO2を含有する合成石英ガラス、ULE(登録商標:コーニングコード7972)が挙げられる。ガラス基板は通常四角形状の板状体で研磨されるが、形状はこれに限定されない。
一般に、ガラス基板の研磨工程では、複数回、予備研磨を行い、次いで仕上げ研磨を行う。この予備研磨において、ガラス基板を所定の厚さに粗研磨し、端面研磨と面取り加工を行い、更にその両主表面を表面粗さ、および、平坦度が一定以下になるように予備研磨しておく。この予備研磨は、複数回、たとえば2〜3回実施される。予備研磨には、公知の方法が使用できる。例えば、複数の両面ラップ研磨装置を連続して設置し、研磨剤や研磨条件を変えながら該研磨装置で順次研磨することにより、ガラス基板の主表面を所定の表面粗さおよび平坦度に予備研磨する。
本発明においても、表面形状測定工程実施前のマスクブランク用ガラス基板の主表面が予備研磨されていることが好ましい。より具体的には、表面形状測定工程実施前のマスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度(PV値)が1μm以下となるように予備研磨されていることが好ましく、500nm以下に予備研磨されていることがより好ましい。
本発明は、第1の加工工程で生じる加工変質層及び/または表面粗さに由来する、第2の加工工程における平坦度の局所的な変化の改善を目的としている。ここで、マスクブランク用ガラス基板の主表面の局所的な平坦度の変化と、第2の加工工程における研磨パッドと研磨スラリーを用いた機械研磨によって変動する該主表面全面での平坦度の動きを区別する目的で、以下、平坦度測定結果を規格直交多項式にて展開する。平坦度の議論をする場合、規格直交多項式としては、(r、θ)座標系で規格直交となるゼルニケ多項式、もしくは(x、y)座標系で規格直交となるルジャンドル多項式が通常利用される。特に、円形状をしているレンズの場合はゼルニケ多項式が用いられるが、マスクブランクスは平面の形状が正方形であり、(x、y)座標系で考えやすいために、今後の展開はルジャンドル多項式で行う。
ルジャンドル多項式は0次項から∞次項まで定義できるが、今回はその例として0次項から6次項までを以下に示す。
0(x)=1
1(x)=x
2(x)=(3x2−1)/2
3(x)=(5x3−3x)/2
4(x)=(35x4−30x2+3)/8
5(x)=(63x5−70x3+15x)/8
6(x)=(231x6−315x4+105x2−5)/16
これらをPn(x)と書き、n次のルジャンドル多項式と呼ぶ。
マスクブランク用ガラス基板主表面をx−y平面とするとき、該x−y平面を表す形状関数W(x,y)は下記式となる。
W(x,y)=Σ_mΣ_n・a(n,m)Pn(x)・Qm(y)
ここで、Pn(x)およびQm(y)は、該x−y平面のx座標およびy座標に対応するルジャンドル多項式である。なお、Σ_mは、m=0〜∞までの和を取るという意味であり、Σ_nは、n=0〜∞までの和を取るという意味である。
なお、ここでPm(x)Qn(y)の関数をmnと表した場合、(mn成分=)00成分は全体の平坦度のオフセットを表し、01成分及び10成分は基板の傾き(チルト)成分を表す。20成分+02成分は球形状となり、11成分及び20成分−02成分は鞍型と呼ばれる形状を表す。大まかな凹凸形状については、ここまでの6成分の組み合わせで表すことができる。なお、本願発明においては、これらのm+nの値が0であるものを0次項、m+nが1であるものを1次項と定義する。
本発明のマスクブランク用ガラス基板は、少なくとも一方の主表面の形状から、該主表面の形状をルジャンドル多項式のうち0次項から2次項までの低次多項式で表した形状を差し引いた残差形状のPV値が60nm以下である。
上記における主表面の形状とは、実際の主表面の形状であり、例えばレーザー干渉計を用いて測定できる。
本発明では、該主表面の形状をルジャンドル多項式により展開し、上述したx−y平面の形状関数W(x,y)のうち、0次項から2次項までの低次多項式で表した形状を、該主表面の形状から差し引いた残差形状のPV値(以下、「残差形状のPV値」という。)によって、マスクブランク用ガラス基板の主表面の平坦度のうち、研磨パッドと研磨スラリーを用いた機械研磨により修正可能な、該主表面全体での凹凸成分を除いた、局所的な凹凸成分を評価する。この残差成分を用いることで第1の加工工程で補正しきれなかった局所の凹凸成分、及び第1の加工工程により生じた加工変質層及び/または表面粗さの影響により、第2の加工工程において局所的に生じる平坦度の変化を評価できる。
更にEUVLに使用されるマスク(以下、「EUVマスク」と略する。)の露光時においては、EUVマスクの裏面(マスクパターンを形成する面と対向する面)全体が露光機のステージにチャックされ、基板全体に対する凹凸(特に2次項成分)はチャック時に緩和される。また、チルト成分は露光機のステージによって補正されるため、ルジャンドル多項式に展開したときの0次項から2次項までを除いたEUVマスクの主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度が、EUV光による露光時のエラーに直結する成分となる。さらに、EUVLマスクブランク用ガラス基板の主表面や裏面に所定の膜を形成した後の平坦度変化は該膜の応力に由来するものであるが、これらも中心対称であり、ルジャンドル多項式に展開したときの2次項成分の変化しかもたらさない。このため、EUVLマスクブランク用ガラス基板そのものの、ルジャンドル多項式に展開したときの0次項から2次項までを除いた平坦度の残差成分は露光に影響を及ぼす直接的な成分となるので、非常に重要である。
また、残差形状のPV値が60nm以下であれば、当該主表面の平坦度が高く、とくに、EUVLマスクブランク用ガラス基板であるとき、EUVマスクの露光時における、平坦度の局所的な変化に由来するエラーが低減されるため、好適である。なお、マスクブランク用ガラス基板の主表面のうち、一方のみについては、その残差形状のPV値が60nm以下であってもよい。EUVLマスクブランク用ガラス基板の場合、主表面の平坦度が高いことが求められるのは、とくに、マスクパターンを形成する面、即ち、反射層、吸収層等の各種機能膜の成膜面である。但し、マスクブランク用ガラス基板の両方の主表面について、その残差形状のPV値は60nm以下が好ましい。
また、残差形状のPV値は45nm未満がより好ましい。
本発明では、上述したx−y平面の形状関数W(x,y)のうち、0次項から2次項までの低次多項式は、各項の係数の絶対値がいずれも60nm未満が好ましい。これらの成分が大きすぎると、EUVマスクのチャック時の平坦度の変化が緩和されてもEUVマスク表面の平坦度の変化エラーが大きすぎて、EUVマスクの露光時に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
ここまでの記載はEUVマスクブランク用ガラス基板を中心に説明しているが、露光光としてArFエキシマレーザを用いるフォトマスク用ガラス基板のような、従来の透過型光学系を用いたリソグラフィに使用されるマスクブランク用ガラス基板についても、平坦度補正の難しいルジャンドル残差成分が小さいものほど好適であり、以前の段落で記載された平坦度の好適な条件をそのまま適用できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。例1〜4は本発明の実施例であり、例5〜6は比較例である。本実施例では、以下の手順を実施した。
(1)合成石英ガラス基板の主表面(152mm角、6.35mm厚)のうち、142mm角の凹凸形状(形状1)を、レーザー干渉計を用いて測定する。
(2)上述した形状1と、第1の加工工程後における目標形状(形状2)と、の差分(形状1−形状2)を求める。
(3)差分(形状1−形状2)に対し、所定の最低加工量を加えて、第1の加工工程における加工量分布を設定する。
(4)上記(3)で設定した加工量分布にしたがって、局所加工ツールとして、GCIBエッチング、または、回転型小型加工ツールを使用して第1の加工工程を実施する。第1の加工工程の実施条件はそれぞれ以下のとおりである。
GCIBエッチング
ソースガス:NF3 5%とN2 95%との混合ガス
加速電圧:30kV
イオン化電流:100μA
GCIBのビーム径(FWHM値):6mm
加工時間:24分(例1)、22分(例2)、18分(例5)
回転型小型加工ツールによる加工
研磨加工部位:20mmφ
研磨剤:酸化セリウム、平均粒子径(D50)2μm
研磨パッド:軟質パッド(株式会社Filwel製 ベラトリクスN7512)
研磨加工部の回転数:400rpm
研磨圧力:2.5g重/mm2
加工時間:45分(例3)、31分(例4)、27分(例6)
(5)局所加工ツールとして、GCIBエッチングを使用した場合については、ナノインデンテーション法を用いて、マスクブランク用ガラス基板の品質保証領域に相当するガラス基板中心の143mm角における加工変質層の厚さを測定する。加工変質層の厚さの測定結果から、加工変質層の厚さの最大値D1および最小値D2を特定し、(D1−D2)/D2≦0.3を満たすか否か評価する。
(6)局所加工ツールとして、回転型小型加工ツールを使用した場合については、ZYGO社製NewView(対物レンズは10倍)を使用して、143mm角の表面粗さ(rms)を測定する。表面粗さの測定結果から、表面粗さの最大値RmsAおよび最小値RmsBを特定し、(RmsA−RmsB)/RmsB≦0.3を満たすか否か評価する。
(6)第1の加工工程実施後の実形状(形状3)を、レーザー干渉計を用いて測定する。
(7)第2の加工工程として、研磨パッドと研磨スラリーを用いて機械研磨する。第2の加工工程実施後の目標形状は平面(PV値:0nm)であり、第2の加工工程の実施条件は以下のとおりである。
<仕上げ研磨条件>
研磨試験機:浜井産業株式会社製 両面24B研磨機
研磨パッド:株式会社Filwel製 ベラトリックスN7512
研磨定盤回転数:10rpm
研磨時間:30分
研磨荷重:0.52g重/mm2
研磨量:0.06μm/面
希釈水:純水(0.1μm以上異物濾過)
スラリー流量:10リットル/min
研磨スラリー:平均一次粒径20nm未満のコロイダルシリカを20質量%含有
(8)第2の加工工程実施後の実形状(形状4)を、レーザー干渉計を用いて測定する。
(9)形状4から、ルジャンドル多項式のうち0次項から2次項までの低次多項式で表した形状を差し引いた残差形状のPV値を求める。
これらの結果を下記表に示す。


表に示すように、実施例(例1〜4)は、第1の加工工程の実施後において、(D1−D2)/D2≦0.3、または、(RmsA−RmsB)/RmsB≦0.3を満たしていた。また、実施例(例1〜4)は、残差形状のPV値が60nm以下であり、所望の残差形状のPV値を実現できた。一方、比較例(例5,6)は、残差形状のPV値が60nm超であり、所望の残差形状のPV値を実現できなかった。

Claims (9)

  1. マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状を測定する表面形状測定工程と、
    前記表面形状測定工程で得られた凹凸形状と、仕上げ研磨による平坦度変化を見越した、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状と、から、少なくとも前記品質保証領域の加工量分布を計算する計算工程と、
    前記計算工程で得られた少なくとも前記品質保証領域の加工量分布に基づき加工量を調整しながら、単位加工面積が前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも小さい局所加工ツールを用いて、該局所加工ツールを前記マスクブランク用ガラス基板上で走査して、該マスクブランク用ガラス基板の主表面を加工する第1の加工工程と、
    前記第1の加工工程の実施後に、前記局所加工ツールによる加工によって前記マスクブランク用ガラス基板の主表面に生じた、表面荒れの修正、及び/または、加工変質層の少なくとも一部の除去、のための第2の加工工程と、を有し、
    前記第1の加工工程では、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域全ての加工量の最小値が、前記計算工程で得られた前記加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上、かつ、前記加工量分布のPV値(nm)以下で定められる値となるように加工が実施され
    前記第1の加工工程実施後の前記ガラス基板の主表面における、加工変質層の厚さの最大値をD1(nm)とし、該加工変質層の厚さの最小値をD2(nm)とするとき、(D1−D2)/D2≦0.3を満たすように、前記第1の加工工程を実施する、ことを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
  2. マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状を測定する表面形状測定工程と、
    前記表面形状測定工程で得られた凹凸形状と、仕上げ研磨による平坦度変化を見越した、マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の凹凸形状と、から、少なくとも前記品質保証領域の加工量分布を計算する計算工程と、
    前記計算工程で得られた少なくとも前記品質保証領域の加工量分布に基づき加工量を調整しながら、単位加工面積が前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも小さい局所加工ツールを用いて、該局所加工ツールを前記マスクブランク用ガラス基板上で走査して、該マスクブランク用ガラス基板の主表面を加工する第1の加工工程と、
    前記第1の加工工程の実施後に、前記局所加工ツールによる加工によって前記マスクブランク用ガラス基板の主表面に生じた、表面荒れの修正、及び/または、加工変質層の少なくとも一部の除去、のための第2の加工工程と、を有し、
    前記第1の加工工程では、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域全ての加工量の最小値が、前記計算工程で得られた前記加工量分布のPV値(nm)の1/10、および、30nmのうち、いずれか小さいほう以上、かつ、前記加工量分布のPV値(nm)以下で定められる値となるように加工が実施され、
    前記第1の加工工程実施後の前記ガラス基板の主表面における、表面粗さの最大値をRmsAとし、表面粗さの最小値をRmsBとするとき、(RmsA−RmsB)/RmsB≦0.3を満たすように、前記第1の加工工程を実施する、ことを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記局所加工ツールは、加工手法として、イオンビームエッチング法、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)エッチング法、プラズマエッチング法、湿式エッチング法、および、磁性流体による研磨法、ならびに、回転型小型加工ツールを用いる研磨法からなる群から選択される少なくとも一つを用いる、請求項1または2に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法
  4. 前記第2の加工工程では、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域を、研磨パッドと研磨スラリーを用いて機械研磨する、請求項1〜3のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法
  5. 前記第2の加工工程で使用する研磨スラリーが、酸化セリウムまたはコロイダルシリカである、請求項4に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法
  6. 前記第2の加工工程で使用する研磨パッドが、研磨時の接触面積が前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の品質保証領域の面積よりも大きい、請求項4または5に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法
  7. 前記表面形状測定工程実施前のマスクブランク用ガラス基板は、主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度(PV値)が1μm以下となるように予備研磨されている、請求項1〜6のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法
  8. 前記第2の加工工程実施後の前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度(PV値)が100nm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法
  9. 前記第2の加工工程で想定される、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域における平坦度変化と、実際の前記マスクブランク用ガラス基板における、前記第2の加工工程実施前後の主表面の少なくとも品質保証領域の平坦度変化と、の差が、前記マスクブランク用ガラス基板の主表面の少なくとも品質保証領域全面のPV値で50nm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法
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