JP4505725B2 - 三相インバータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、三相インバータの直流入力電流検出値を用いてインバータの負荷電流ベクトル成分を間接的に検出し、この負荷電流ベクトル成分をインバータの制御に用いるようにした三相インバータ装置に関する。
図6は第1の従来技術を示す構成図であり、三相インバータ及びその制御装置の基本的な構成を示している。
図6において、10は半導体スイッチング素子11〜16を備えた三相インバータであり、周知のように直列接続されたスイッチング素子11,14からなるu相アーム部と、同じく12,15からなるv相アーム部と、同じく13,16からなるw相アーム部とが、図示されていない直流電圧部に並列に接続されており、スイッチング素子11,14同士の接続部、同12,15同士の接続部、同13,16同士の接続部である出力端子に負荷が接続されている。
上記インバータ10の三相出力のうち二相(例えばu相、w相)分の負荷電流は電流検出手段21,22により検出され、これらの検出電流iu det,iw detが座標変換手段23に入力されている。
座標変換手段23では、電圧指令ベクトルの位相に同期した位相角θを用いて、三相負荷電流を二軸回転座標上の成分に変換し、有効電流振幅iδ及び無効電流振幅iγを導出する。なお、座標変換手段23では、電流検出手段21,22により検出されない他の一相(v相)の電流を、三相電流の総和がゼロになることを利用して導出している。
ここで、有効電流振幅iδ及び無効電流振幅iγを求める場合、位相角θは電圧指令ベクトルの位相に他ならないが、例えば、負荷として同期電動機を用いる場合等には、回転子の磁極位置に従った座標変換、すなわち無負荷誘起電圧と同相の成分であるq軸成分i、及び、これと直交するd軸成分iに分解する必要がある。その場合には、θとして磁極位置を表す位相角を用いればよい。
電圧指令演算手段24は、導出された二軸電流iδ,iγを基に、電圧指令ベクトルの振幅V及び位相角θを決定する。このためには、例えば電流指令値と2軸電流iδ,iγとの偏差を計算し、これを最小化するような電圧指令の振幅V及び位相角θを出力する調節手段、代表的には比例積分調節器が用いられる。
指令パルス発生手段25は、電圧指令の振幅V及び位相角θに基づいて、三相インバータ10の各スイッチング素子11〜16に与えるオン・オフ信号を生成する。
三相インバータ10は、各スイッチング素子11〜16が所定の規則に従ってオン・オフを繰り返すことにより、電圧指令に比例した電圧が出力されて負荷に印加されることになる。
次に、図7は第2の従来技術を示す構成図であり、低コスト化を目的として図6の負荷電流検出手段21,22を除去し、代わりにインバータ10の直流入力電流を検出して有効電流振幅iδ及び無効電流振幅iγを導出するものである。
インバータ10の直流入力電流idcは、スイッチング素子11〜16のオン・オフ状態に依存して三相のうち何れかの相の負荷電流に必ず一致する。また、インバータ10の全ての上アームのスイッチング素子11〜13のみがオンし、または、全ての下アームのスイッチング素子14〜16のみがオンする場合、負荷電流はオン状態のスイッチング素子を環流するため、idcはゼロとなる。
従って、あるスイッチング素子の状態(モード)においてidcをサンプル・ホールドして制御装置に取り込めば、スイッチング素子の状態からそのidcがどの相の負荷電流に相当しているかを判定することができ、この動作を三相のうち二相分についてごく短期間(ほぼ同時と見なせる期間)に行うことにより、ほぼ同時刻の二相の負荷電流を得ることができる。
図7の従来技術は上記原理に基づくものであり、直流入力電流検出手段26により検出した直流入力電流idcをサンプル・ホールド回路27によりごく短期間に二相分、サンプル・ホールドして電流変換手段28に取り込み、二相分の検出電流相当値i’,i’として座標変換手段23に入力している。以後の動作は図6の従来技術と同様である。図7において、29は電圧指令演算手段24の出力に基づいてサンプル・ホールド信号aを発生するサンプル・ホールド信号発生手段である。
この従来技術によれば、単一の安価な直流入力電流検出手段26によって負荷電流を検出し、インバータ10を制御できるため、装置の低コスト化が可能になる。
なお、図7と同様に、直流入力電流から負荷電流を導出する技術が、後述する特許文献1〜3に記載されている。
しかしながら、直流入力電流idcをサンプル・ホールドして高精度に所望の電流値を得ることは、次の理由により困難である。
(1)デッドタイム:インバータを構成する上下アームのスイッチング素子は、理論的には相補的(すなわち、上アームがオン(オフ)の時に下アームはオフ(オン))であるものの、実際にはその切替を同時に行うことはできない。これは、スイッチング素子のオンとオフには有限の時間がかかること、また、制御装置でオン・オフ信号が発せられてから実際にスイッチング素子にオン・オフのための電圧または電流が与えられるまでに遅れ時間があること、及び、これらの時間が動作条件や回路条件によってばらつきを有することに起因する。
上下アームのオン・オフの切替が同時に行われず、上下アームのスイッチング素子が同時にオンすると、直流電源が当該上下アームにより短絡されて過電流が流れ、インバータの停止や、最悪の場合には装置の破壊に至る。従って、上下アームのオン・オフの切替に際しては、上下アームを同時にオフさせる期間(デッドタイム)が設けられる。このデッドタイム期間中は、電流はスイッチング素子に並列接続された還流ダイオードを通って流れるため、電流の方向によって上下アームのどちらのダイオードが点弧するかが変わってしまう。よって、デッドタイム期間中に直流入力電流idcのサンプル・ホールドを行うと正しく検出できない。
(2)電流振動:上下アームのスイッチング素子の切替により、パルス状の電圧変化が負荷端子に現れる。負荷には、ケーブルのインピーダンス、あるいは負荷に存在する寄生容量も存在し、その共振周波数は1MHz程度になることが多いため、パルス状の電圧変化によって共振電流が発生し、この共振電流は直流入力電流idcにも重畳される。
共振電流が減衰するには通常、数サイクルを要するため、その期間中にidcのサンプル・ホールドを行うと、実際に欲しい低周波成分に共振成分が重畳した値を検出してしまい、検出精度を低下させる原因となる。
上記のように、直流入力電流idcを高精度に検出するためには、インバータの制御装置においてidcのサンプル・ホールドを指令する指令パルスの持続時間が、少なくともデッドタイム以上であり、また、共振の減衰時間以上でなければならない。
しかし、指令パルスの持続時間が上記所定時間以下となる場合もあり、更に、ごく短時間のうちに直流入力電流idcから二相の負荷電流を得るためには、idcをサンプル・ホールドする二つの時点の両者について指令パルスの持続時間を所定値以上としなければならないが、この条件を満たすような動作は限られているのが実情である。
ここで、図8は上述した問題を説明するための波形図であり、インバータ10のスイッチング素子に与える指令パルスを三角波キャリア−電圧指令比較方式によって得る場合の、三角波キャリア波形、三相電圧指令波形(直流)、各相スイッチング素子への指令パルス(PWMパルス)、及びその際の直流入力電流idcの波形の例である。
キャリア周波数は電圧指令周波数に対して通常は十分高いため、キャリアの1周期や2周期の間では電圧指令値はほぼ一定値と見なして差し支えないため、図示例では電圧指令値を一定値で表示してある。
各相の上下アームのスイッチング素子は、例えばオン・オフの指令パルスが“0”の時に上アームがオフ、下アームがオン、“1”の時に上アームがオン、下アームがオフする。また、実際には、指令パルスが“0”と“1”の間で切り替わる時にデッドタイムが設けられる。
図8の状態では、三相電圧指令値のうちv相及びw相の指令値が近いため、v相アーム部とw相アーム部のオン・オフの切替タイミングが近く、idc=−iとなるモードの持続時間が極めて短くなり、この間に直流入力電流idcをサンプル・ホールドすることができなくなる。なお、図7において、S&Hはidc=iとなるモードにおけるサンプル・ホールドのタイミングを示す。
図9も、図8と同様に三角波キャリア−電圧指令比較方式における各信号波形図であるが、図9では三相各相の電圧指令値の振幅自体が小さく、各相の電圧指令値が近くなっている。このため、idc=−iとなるモードだけでなくidc=iとなるモードについても持続時間が短くなり、何れもidcのサンプル・ホールドが困難になる。
これらの問題を解決するため、下記の特許文献4〜7には、PWMパルスを変更することにより、idcをサンプル・ホールドするための時間を十分にとるようにした技術が記載されている。
特許2563226号公報(請求項1、[0014]〜[0016]、[0019]〜[0024]、図1〜図3、図5等) 特開平8−19263号公報(請求項1、[0021],[0036]〜[0038]、図2〜図4等) 特開2001−314090号公報([0016]〜[0019]、図2,図3,図5等) 特開2002−291284号公報([0018]〜[0024]、図2、図4、図5等) 特開2002−95263号公報([0040]〜[0043]、図2等) 特開2003−224982号公報([0020]〜[0026]、図2等) 特開2003−189670号公報([0049]〜[0051]、[0054]〜[0072]、図9〜図16等)
上記特許文献4〜7の全てに共通する問題点として、idcを相電流に変換することが前提となっていることが挙げられる。idcを相電流に変換するには、電圧指令の位相やパルスの状態から、idcがどの相の電流に相当するかを判別する処理が必要となるため、制御系をソフトウェアで構成する場合には演算量が増え、通常の二相の負荷電流を直接検出するインバータ装置に対して性能劣化が避けられない。
他の問題点は、PWMパルスを変更してidcをサンプル・ホールドするには、サンプル・ホールドのタイミング自体を変更する必要があることである。
すなわち、PWMパルスが例えば“0”から“1”に変化するタイミングはインバータの動作条件に依存するため、当然のことながら、idcのサンプル・ホールドのタイミングもそれに応じて変化させなければならない。また、その変化させるタイミングは、出力するPWMパルスが決定されてから実際にPWMパルスが変化するまでのごく短時間の間に所定の演算を行って決定する必要があるため、演算負荷の増大が一層顕著となり、これが性能劣化の原因となる。
更に、特許文献5に記載された従来技術では、三相電圧指令値に同じ極性で補正量を加算するため、三相のPWMパルスの変化の相対的タイミングは変わらず、idcが検出できない場合が残るという問題がある。
また、特許文献6に記載された従来技術では、キャリア波形を変更してPWMパルスを変更しているため、処理が複雑になると共に、二相の電圧指令値が完全に一致する場合には、キャリア波形を変更してもidcを検出できないという問題がある。
そこで本発明の解決課題は、直流入力電流idcのサンプル・ホールドを行うために十分な持続時間を設け、かつ、必要な演算量の増加を抑制して従来の二相の負荷電流を検出する場合(図6)とほぼ同程度の演算量で負荷電流ベクトルの成分を高精度に導出可能とし、その性能を向上させることができる三相インバータ装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、少なくとも2個の半導体スイッチング素子を直列に接続してなるアーム部が直流電圧部に3個並列接続され、これらの3個のアーム部における半導体スイッチング素子同士の接続部に負荷が接続された三相インバータと、前記スイッチング素子を所定のキャリア周期を有するPWM信号に従ってオン・オフするための制御装置とを備えた三相インバータ装置において、
前記制御装置は、
3個のアーム部のうち1個のアーム部のみにおいて前記負荷の端子が前記直流電圧部の正極と実質的に導通状態となる3種類のモード、または、1個のアーム部のみにおいて前記負荷の端子が前記直流電圧部の負極と実質的に導通状態となる3種類のモードのうち、前記三相インバータの電圧指令ベクトルの所定位相周期ごとに特定される2種類の前記モードにおいて、前記アーム部を介して前記直流電圧部と前記負荷との間を流れる直流入力電流をサンプル・ホールドする手段と、
前記電圧指令ベクトルがとり得る位相角を前記所定位相周期により分割した各領域について、前記手段により2種類の前記モードにおいてそれぞれサンプル・ホールドした二つの直流入力電流値と、前記電圧指令ベクトルの位相角情報とを用いて負荷電流ベクトルの成分を求める手段と、
前記直流入力電流をサンプル・ホールドするモードの持続時間が所定の長さになるように前記PWM信号を変更する手段と、を備え
前記所定位相周期を60°に設定して前記電圧指令ベクトルがとり得る位相角の領域を6個に分割し、電圧指令ベクトルの位相角情報を120°間隔で分布する三相基準軸を中心とした−60°〜60°の値にすると共に、2種類の前記モードにおいてそれぞれサンプル・ホールドした直流入力電流値、電圧指令ベクトルの位相角情報及び係数を用いた四則演算、並びに、電圧指令ベクトルの位相角の極性判定のみにより、サンプル・ホールドした前記直流入力電流値がどの相の負荷電流に相当するかを判定せずに、負荷電流ベクトルの成分を求めるものである。
なお、前記2種類のモードとは、言い換えれば、電圧指令ベクトルが存在する領域を決定する二つの電圧ベクトルを出力するためのスイッチングモードに他ならない。
請求項に記載した発明は、請求項1において、直流入力電流をサンプル・ホールドする前または後に、PWM信号の変更を相殺するようにPWM信号を更に変更するものである。
請求項に記載した発明は、請求項1または2において、変更前のPWM信号をキャリア波と三相電圧指令値とを比較して生成すると共に、PWM信号の変更を、三相電圧指令値のうち少なくとも一相分の値を所定期間変更することにより行うものである。
請求項に記載した発明は、請求項において、変更前の三相電圧指令値のうち最大値を正の固定値、最小値を負の固定値、最大値と最小値との間にある中間値を中間固定値にそれぞれ変更するものである。
なお、請求項またはにおいて変更する三相電圧指令値は、例えば瞬時値や振幅等である。
請求項に記載した発明は、請求項において、直流入力電流のサンプル・ホールドのタイミングを、キャリア波の所定位相を基準として固定するものである。
請求項に記載した発明は、請求項またはにおいて、中間固定値をゼロとするものである。
請求項に記載した発明は、請求項の何れか1項において、電圧指令値を変更する前の三相電圧指令値のうち正または負の最大値をとる相の少なくとも一方については、電圧指令値を変更しないことを特徴とする。
請求項に記載した発明は、請求項の何れか1項において、電圧指令値を変更する前の三相電圧指令値の正または負の最大値が正または負の固定値を超える場合に、当該相については電圧指令値を変更しないことを特徴とする。
請求項に記載した発明は、請求項またはにおいて、PWM信号の変更を、各スイッチング素子のオン・オフのタイミングを変更することにより実行し、かつ、直流入力電流をサンプル・ホールドする二つのモードのうちの一方から他方へ移行するタイミングを、キャリア周期の所定位相を基準として固定するものである。
本発明によれば、直流入力電流がどの相の負荷電流に相当するかの判定を行わずに負荷電流ベクトルの成分を導出することができるため、演算負荷が減少して制御装置本来の性能低下を防ぐことができる。また、PWM信号(PWMパルス)の変更操作により直流入力電流をサンプル・ホールドする持続時間を十分にとることができ、負荷電流ベクトルの成分を高精度に検出してインバータ装置の制御性能を高めることができる。総じて、従来の直流入力電流検出型のインバータ装置によりPWMパルスの変更操作を行う場合に比べて、性能の向上が可能である。
また、PWMパルスの出力タイミングの変更を固定的に行うことにより、直流入力電流をサンプル・ホールドするタイミングをキャリア周期の特定位相に固定することができるため、演算量を一層減少させることができる。
更に、PWMパルスが細すぎて直流入力電流を検出できない事態をなくすことができるので、負荷電流ベクトルの成分を常時導出できるようになり、二相分の負荷電流を直接検出する従来のインバータ装置と比べても、制御性能を遜色ない程度にまで高めることができる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は本発明の実施形態を示す各信号波形図であり、請求項1の発明に相当する。
前述した図8の例では、v相電圧指令値とw相電圧指令値とが近いため、−iに相当する直流入力電流idcを検出可能なモードの持続時間が短くなっている。そこで、図1の実施形態では、元の電圧指令値(図8とほぼ等しい)におけるv相についてPWMパルスを変更することとし、具体的には、idcをサンプル・ホールドするキャリア半周期(図1の期間T1)において電圧指令値を正側に変更している。これによって、図1に示すようにv相のアーム部に対するスイッチングタイミングが遅れ、−iに相当するidcを検出可能なモードの持続時間がサンプル・ホールドを行う上で十分な長さになる。なお、図1では、上述した期間T1において、二つのサンプル・ホールドのタイミングにより−i及びiに相当するidcを検出することができる。
すなわち、本実施形態では、特定の相の電圧指令値を部分的に変更してPWMパルスを変更することにより、ある相の負荷電流に相当する直流入力電流idcをサンプル・ホールドするモードの十分な持続時間を確保している。
図2は、この実施形態にかかる三相インバータ装置の構成を示したものであり、図7と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。
図1に示したようにキャリア半周期で二相分の負荷電流に相当するidcを検出する場合、例えば図7の従来技術では、検出したidcがどの相の負荷電流に相当するかを判別してから、通常の二相分の負荷電流を直接検出する場合(図6)と同様の処理を行う必要があるが、これでは演算量の増大は避けられない。このことは、前述したPWMパルスの操作のために必要な演算量と相まって、インバータ本来の制御性能を著しく低下させる原因となる。
そこで、図2の構成は、直流入力電流がどの相の負荷電流に相当するかという判定処理を行わずに、負荷電流ベクトルの回転座標上の成分(以下、単に二軸電流ともいう)を導出可能としたものである。
図2において、主に図7との相違点を説明すると、サンプル・ホールド信号発生手段29は、電圧指令演算手段24から出力される電圧ベクトルの振幅V及び位相角θの情報を用い、インバータ10が所定の電圧ベクトルを出力している2種類のモードでサンプル・ホールド手段27がそれぞれ直流入力電流idcを取り込むようにサンプル・ホールド信号aを発生する。
このサンプル・ホールド信号aは、図2に示した構成以外にも、例えば指令パルス生成手段25からインバータ10に出力される指令パルスによってどの電圧ベクトルが選択されているかが判明するため、上記パルスに基づいて出力させても良く、あるいは、上記指令パルスが出力されるタイミングを事前に決めておき、丁度所定の指令パルスが発生して直流入力電流idcの検出が可能となるタイミングでサンプル・ホールドするようにタイマ処理によって出力してもよい。
また、サンプル・ホールド信号aは、電圧指令ベクトルが存在する60°の領域ごとに、検出可能な二相分の直流入力電流idcが、ほぼ同時刻と見なせるごく短時間にサンプル・ホールド手段27に取り込まれるように出力される。
電流変換手段30は、得られた二つの直流入力電流検出値idc detがどの相の負荷電流に相当するかの判定を行わずに、負荷電流ベクトルの回転座標上の二軸成分(有効電流振幅iδ及び無効電流振幅iγ)を直接、導出し、電圧指令演算手段24に入力する。これによって、制御装置の演算処理量が減るため、マイクロプロセッサ等の本来の性能を損なうことがない。
以下、上記の内容を詳述する。
図3の上段は、三相インバータ10の電圧指令ベクトルv、インバータ10が出力可能な6種類の、電圧基準軸に沿った電圧ベクトル(U,U’,V,V’,W,W’)、遅れ位相の電流ベクトルi、この電流ベクトルiを構成する三相電流ベクトルi,i,i、電圧指令ベクトルvの位相角θ、及び、前記6種類の電圧ベクトルによって区分される領域<I>〜<VI>を示している。
なお、電圧ベクトルの記号に併記した(0,1,0),(1,0,0)等は、(u相,v相,w相)のスイッチング素子のオン・オフ状態を示しており、“1”は上アームのスイッチング素子がオン、“0”は下アームのスイッチング素子がオンの状態を表す。例えば、(0,1,0)は、図2のインバータ10におけるu相の下アームスイッチング素子14がオン、v相の上アームスイッチング素子12がオン、w相の下アームスイッチング素子16がオンの状態である。(0,0,0),(1,1,1)は何れもゼロ電圧ベクトルを示す。
また、ベクトル図の下には、電圧指令ベクトルがとり得る位相角θ(0〜360°)に応じた各相電圧指令の変化、及び、位相角θのときに電圧指令ベクトルvが存在する6種類の領域<I>〜<VI>(ベクトル図の領域に対応する)を波形で示している。
まず、電流ベクトルiを、複素ベクトルを用いて数式1のように表す。
Figure 0004505725
数式1の関係は、三相交流では一般に成り立つ。また、三相電流には数式2に示す関係が成り立つものとする。
Figure 0004505725
さて、電圧指令ベクトルvが図3における領域<I>にあるとき、インバータ10は電圧ベクトルU(1,0,0),W’(1,1,0)、及びゼロ電圧ベクトルの3通りを時間的に分割して出力するので、図2の直流入力電流idcにより検出できる負荷電流はu相のiとw相の−iである。同様にして、電圧指令ベクトルvが領域<II>にあるときには、v相のiとw相の−iとを検出することができる。
ここで、検出できる二つの相の負荷電流のうち、極性が正である相の電流をis1とし、負である相の電流をis2として検出し、更に、極性が正である相を電流ベクトル基準相として数式2に従って電流ベクトルを定義するものとする。このときの電圧指令ベクトルvの存在領域、is1,is2、電流ベクトル基準相の関係を整理すると、表1のようになる。
Figure 0004505725
<I>〜<VI>の各領域について、表1に示す負荷電流を検出可能な相の情報を用いて数式1,数式2の関係を整理すると、数式3〜数式8のようになる。
Figure 0004505725
Figure 0004505725
Figure 0004505725
Figure 0004505725
Figure 0004505725
Figure 0004505725
以上のように、各領域において電流ベクトルの計算式の実部Xと虚部jYとは共通になり、虚部jYの符号のみ交互に入れ替わることがわかる。
ここで更に、電圧指令ベクトルvの位相角θも、電圧指令ベクトルvが存在する領域ごとに表1に示す電流ベクトル基準相を基準として定義するものとし、その位相角を新たにθとすれば、数式9,数式10の関係が成り立つ。
Figure 0004505725
Figure 0004505725
以上の検討より、直流入力電流検出値idc detに基づく電流ベクトルiの有効分iδ及び無効分iγの導出は、二つの時点の直流入力電流検出値idc det、電圧指令ベクトルvの位相角情報及び係数を用いた四則演算と、上記位相角の極性判定のみにより実現できることがわかる。図2に示した電流変換手段30は上記動作を実現するものである。
図2において、31は電流検出値属性判定手段、32,34,36は係数乗算手段、33は60°マスク処理手段、35は加算手段、37は符号判定関数、38は乗算手段、39は位相角関数行列である。
上記構成において、係数乗算手段34からはXが出力されると共に、係数乗算手段36からYが出力され、このYは前記数式9により乗算手段38にてYに変換される。これらのX,Yと行列39との演算により、電流ベクトルiの有効分(有効電流振幅)iδ及び無効分(無効電流振幅)iγが求められる。
なお、電流検出値属性判定手段31は、表1に示したように正極性の電流is1としてi,i,iの何れかを出力可能であり、負極性の電流is1として−i,−i,−iの何れかを出力可能である。
また、60°マスク処理手段33は、θからθへの変換をソフトウェア処理で実現する場合を想定しており、符号付き2進数で表したθがθ=60°で桁上がりするようにし、符号ビットより上位の桁についてマスク処理を行うことによって実質的に処理の追加なしで実現可能である。これに関連して、θの符号判定関数sign(θ)は、θを符号付き2進数で表した場合に符号ビットの参照のみで実現可能であるため、ソフトウェア処理時間はごく小さく、全体に与える影響は無視することができる。
上記のように、本実施形態では従来技術のように直流入力電流検出値idc detがどの相の負荷電流に相当するかという判定処理を必要とせず、また、2軸電流計算方法の動的な切替も不要なシーケンシャルな処理によって負荷電流ベクトルの回転座標上の二軸成分iδ,iγを導出することができる。
上記電流成分iδ,iγを電圧指令演算手段24に入力した後の三相インバータ10の制御動作は図7と同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお、電圧指令値の変更によるPWMパルスの変更は、電圧指令演算手段24により実現される。
図7の従来技術において、図1に示したようなPWMパルスの変更処理と、直流入力電流から負荷電流の相との対応関係を特定する処理との両者を行う場合、通常の二相の負荷電流を検出する場合(図6)に必要な演算に加えて追加の演算が必要となり、これらを合わせた全演算をキャリアの半周期または全周期という極めて短い時間内に行なうとすれば制御演算周期を長くせざるを得ず、これによって性能低下が一層顕著になる。
図2に示したように、負荷電流の相との対応関係を判定せずに直流入力電流から負荷電流ベクトルの成分を直接検出する主目的はコストの低減であり、このような技術を用いるインバータでは、演算用のCPUとしても安価なものを用いることが多い。このため、演算量の増大による性能低下は一層顕著になる。
これに対し、本実施形態では負荷電流の相の判定が不要であるので、演算量の増大が緩和され、PWMパルスの変更に必要とされる演算量の増加をより許容しやすくなるという利点がある。
なお、PWMパルスの変更により、本来、負荷側に与えるべき電圧が変化するため、場合によっては電流の乱れが生じたり制御系が不安定になる恐れがある。そこで、図1に示したように、例えばキャリア波の前半の半周期(期間T1)でPWMパルスを変更し、これを相殺するように、後半の半周期(期間T2)でPWMパルスを負側に更に変更することにより、負荷に与えるインバータ出力電圧の変化は期間(T1+T2)に相当する一周期のキャリア成分によるものだけとなり、低周波成分は変化しないようにすることができる。
このように、PWMパルスをある期間だけ変更して直流入力電流のサンプル・ホールドを行うと共に、上記期間の前または後において、前記PWMパルスの変更を相殺するように再度、PWMパルスを変更する発明が、請求項の発明に相当する。
また、PWMパルスの変更、詳しくはそのPWMパルスの発生タイミングの変更は、キャリア−電圧指令比較方式においては、上述の如く三相電圧指令値そのものを変更することによって実現可能である。
インバータの制御に用いられるCPUは、PWMパルスを生成するための機能を有している場合があり、その場合には、ソフトウェアによって生成された電圧指令値をPWMパルス生成部に送信し、PWMパルス生成部は与えられた電圧指令値とキャリア波を比較して、その大小関係に応じてPWMパルスを生成するという形態が多い。従って、このような構成の場合にはPWMパルスを直接操作することができないため、電圧指令値の振幅を変更することによってこれを実現すればよい。
上記のように、三相電圧指令値の振幅または瞬時値等を変更してPWMパルスを変更する発明が、請求項の発明に相当する。
三相電圧指令値をどのように変更するかを決めるためには、インバータの動作条件を考慮した演算が必要である。そこで、ここではその演算を不要にするため、変更後の電圧指令値を予め決めておくものとし、idcを検出する際に変更する電圧指令値の振幅を、図4に示す如く固定した三値にする。
すなわち、三相電圧指令値のうち、振幅が最大値をとるものを正の固定値、最小値をとるものを負の固定値とすると共に、上記最大値と最小値との間にある任意の中間値を中間固定値(例えばゼロ)とし、各相電圧指令値をこれらの正または負の固定値、及び中間固定値の何れかに変更する。図4では、期間T1において、u相電圧指令値を正の固定値に、v相電圧指令値を中間固定値に、w相電圧指令値を負の固定値に変更している。
図4に示すように、正の固定値、負の固定値、中間固定値、及びこれらと比較されるキャリア波形によりPWMパルス幅が決まり、上記三つの固定値相互の差に比例した時間がidcをサンプル・ホールドするモードの持続時間となるため、例えば−i,iに相当するidcをサンプル・ホールドする時間を十分にとることができる。つまり、三つの固定値相互の差を、idcをサンプル・ホールドするために十分な持続時間を考慮して設定しておけばよい。
更に、各相について元の電圧指令値と変更後の固定値との差を記録しておき、idcのサンプル・ホールドを行った後、または行う前に、その差分を逆極性にして変更後の固定値に加算することにより、期間T1におけるPWMパルス(電圧指令値)の変化分を簡単に相殺することができる。なお、図4における期間T2では、期間T1におけるPWMパルス(電圧指令値)の変化分を相殺している。
勿論、キャリアの半周期でidcを2回サンプル・ホールドしなくても、本手法の有効性に変わりはない。
上記のように、idcを検出する際に変更する電圧指令値を三つの固定値のいずれかとすることが、請求項の発明に相当する。
なお、従来技術では、PWMパルスの変更によってスイッチング素子をオン・オフするパルスの位置が動くため、idcのサンプル・ホールドを適切に行うためには、そのタイミングをPWMパルスの変更に応じて変えなくてはならず、演算量の増大が顕著になる。しかし、上述した請求項の発明によれば、idcのサンプル・ホールドのタイミングの調整を不要にすることができる。
すなわち、三相電圧指令値のうちの中間値を固定値とすることにより、二つの相の負荷電流をそれぞれ検出する二つのモードの切替タイミングが、キャリア波の周期における特定位相に固定される。図4の例では、中間固定値をゼロにしてあるので、二つのモードの切替タイミングは、キャリア波の最小値を位相0°とすると、キャリア波の半周期の1/2の位相すなわち90°となる。従って、この切替タイミングの前後の好ましい時点を予め固定しておいてその時点にidcのサンプル・ホールドを行うようにすれば、所望のidcの値を確実に得ることができる。
上記のように、idcのサンプル・ホールドのタイミングを、キャリア波の所定位相を基準として固定することが請求項の発明に相当する。
請求項の発明による作用効果は上記の内容に留まらず、次のように極めて大きい。
三相電圧指令値の大小関係は、前述のように電圧指令ベクトルをその位相60°ごとの領域に分けて考える場合、一つの領域においては入れ替わることがない。すなわち、電圧指令ベクトルvが図3における領域<I>にある場合、各相電圧指令値の大小関係は、u相>v相>w相で固定される。
このため、前述したように電圧指令値を固定値に変更すれば、この大小関係は保存される。
これにより、例えば図4のようにキャリア波の半周期でidcを2回サンプル・ホールドする場合、最初にサンプル・ホールドされる値が−iに相当し、次にサンプル・ホールドされる値がiに相当する。その他の領域においても、最初にサンプル・ホールドされるものが相電流にマイナス符号がついた値(すなわちis2)、次にサンプル・ホールドされるものが他相の電流にプラス符号がついた値(すなわちis1)となる。
よって、サンプル・ホールドされる順番だけで、負荷電流ベクトルの成分を演算するためのis1とis2を簡単に振り分けることができる。そして、2回のサンプル・ホールドのタイミングを、固定された中間固定値の発生タイミング(中間固定値とキャリアとの交差時点)の前及び後の好ましい時点に予め決めておけば、サンプル・ホールドのたびに変更する必要がなくなる。
このように、従来のidcのサンプル・ホールドでは必須であったタイミング調整が不要となること、及び、相電流を特定せずに負荷電流ベクトルを導出可能としたことにより、図6の従来技術の如く二相の負荷電流を直接検出するインバータに対する演算量の増大は、問題にならないレベルにまで低減される。
なお、上記説明においては、キャリア波の上り半周期で二相の負荷電流を検出する場合について述べたが、他の場合にも同様にこの考え方を適用することができる。例えば、キャリア波の下り半周期で同様の動作をさせる場合、最初にサンプル・ホールされるものがis1,次がis2である。また、キャリア波の上り半周期でis2,下り半周期でis1をサンプル・ホールドしてもよいし、その逆も可能である。キャリア波の2周期にまたがってis1とis2とをサンプル・ホールドしてもよい。要は、三相電圧指令値のうち中間値となるものを固定値にすることであり、これによってサンプル・ホールドされる電流の属性は一義的に決まり、かつサンプル・ホールドのタイミングも固定される。
三相電圧指令値が三相平衡正弦波であり、かつ、変調率が1以下に制限される場合には、<I>〜<VI>の各領域において三相電圧のうち中間固定値となるものの値域は、図3の下段の波形図から明らかなように−0.5〜0.5となる。従って、前記中間固定値をゼロにすれば、変更前後の中間固定値の差分も−0.5〜0.5の間の値となる。
よって、例えば図4の期間T1における電圧指令値の変更を相殺するために期間T2で電圧指令値を更に変更する場合、その値は必ず−1〜1の間の値となるため、電圧指令値がキャリア波の波高値を超えることがなく(=過変調となることがなく)、電圧指令値の変更の相殺を正しく行うことができる。
上記のように、電圧指令値を変更する場合の中間固定値をゼロにすることが請求項の発明に相当する。
次に、図5は本発明の他の実施形態を示す信号波形図である。
この図5の期間T1において、中間固定値となるv相の電圧指令値をキャリア波が超えると、所定のデッドタイム後にv相の上下アームのスイッチング素子のオン・オフが切り替わり、共振電流も考慮した時刻後にidcがサンプル・ホールドされ、u相負荷電流に相当する値が検出される。このサンプル・ホールドが行われてしまえば、後はu相アームの上下スイッチのオン・オフの切り替わりはいつ生じてもよい。この場合、図示するようにu相については電圧指令値の変更を行わなくてもよいことになる。
すなわち、三相電圧指令値のうちの最大値となるもの、あるいはキャリアの下り半周期で同様の操作を行う場合には、最小値となるものについては電圧指令値の変更を行わないことが可能になることがある。このように電圧指令値の変更を行う必要がなければ、当該相については電圧のじょう乱も生じないため、電流の乱れもより小さくなる。
上記のように、電圧指令値を変更する前の三相電圧指令値のうち正または負の最大値をとる相の少なくとも一方については、電圧指令値を変更しないことが請求項の発明に相当する。
上述した電圧指令値の変更の要否は、当該相の電圧指令値と予め定めた変更後の固定値との大小関係をみることによって判定することができる。すなわち、図5の例では中間固定値と最大値との差を、モードの持続時間がidcをサンプル・ホールドを行うために必要な最小値以上となるような値に設定しておけば、電圧指令値が最大値を超えること=最小持続時間の保証ということになる。
また、電圧指令値の変更によって正または負の固定値を超える場合にも電圧指令値を変更してしまうと、電圧指令値の相殺が正しく行われない場合がある。例えば、元の電圧指令値を変調率で表した場合に0.9、変更後の固定値が同様に0.7であったとすると、その差分は0.2であるため、電圧指令値の変更をキャリア半周期で行い、別の半周期でその相殺を行う場合、相殺のために必要な新たな電圧指令値は0.9+0.2=1.1となり、過変調となってしまう。過変調になった場合には、インバータの出力電圧は指令値に比例しなくなるため、相殺動作が正しく行われない。
従って、電圧指令値の変更により三相電圧指令値の正または負の最大値が正または負の固定値を超える場合には、当該相について電圧指令値を変更しなければ、上述した過変調の問題を生じることはない。この着想が、請求項の発明に相当する。
なお、以上の説明では、PWMパルスの生成方法として、電圧指令値とキャリア波との比較による方法を用いる場合について述べたが、請求項に記載するように、スイッチング素子のオン・オフのタイミングを直接変更することによっても、もちろん所望の動作は達成される。その際には、idcをサンプル・ホールドすべき二つのモードの切替タイミングを、キャリア周期の所定位相を基準として固定すればよい。これにより、二つのモードの切替タイミングの前後の好ましい時点でidcをサンプル・ホールドすることができる。すなわち、予めサンプル・ホールドする時点を固定しておけば当該時点を演算する手間が省ける。
このような方法は、例えばPWM信号の生成を「空間ベクトル変調」によって実施する場合に用いることができる。
以上の説明では、PWMパルス(電圧指令値)の変更をキャリア波の前半及び後半で行う場合について述べたが、本発明はこれに限定されない。例えば、キャリア波の1周期間、idcのサンプル・ホールドが可能となるようにPWMパルスを変更し、次の1周期または複数周期で前記変更分を相殺するようにPWMパルスを更に変更してもよい。あるいは、idcのサンプル・ホールドを行うためのPWMパルス変更を行う前に、予めその際の変化量を相殺するようなPWMパルスの変更を行ってもよい。
また、キャリア波としては三角波を用いる場合を説明したが、それ以外のキャリア波を用いることも可能である。
負荷電流ベクトルの二軸成分両方が必要ない場合には、必要な軸の成分の演算のみ行なうようにして演算量を更に低減することができる。例えば、電流の有効分のみ必要な場合にはこれに必要な演算だけを行えばよい。
電圧指令値を変更する場合の正負の固定値は、絶対値を等しくしてもよい。これにより、全ての領域<I>〜<IV>において動作が対称的になるため、制御を簡素化でき、動作解析も容易になる。
三角波キャリア−電圧指令比較方式の三相インバータにおける各信号波形図である。 本発明の実施形態を示す三相インバータ装置の構成図である。 三相インバータの電圧、電流ベクトル図である。 三角波キャリア−電圧指令比較方式の三相インバータにおける各信号波形図である。 三角波キャリア−電圧指令比較方式の三相インバータにおける各信号波形図である。 第1の従来技術を示す構成図である。 第2の従来技術を示す構成図である。 三角波キャリア−電圧指令比較方式の三相インバータにおける各信号波形図である。 三角波キャリア−電圧指令比較方式の三相インバータにおける各信号波形図である。
符号の説明
10:三相インバータ
11〜16:半導体スイッチング素子
24:電圧指令演算手段
25:指令パルス発生手段
26:直流入力電流検出手段
27:サンプル・ホールド手段
29:サンプル・ホールド信号発生手段
30:電流変換手段
31:電流検出値属性判定手段
32,34,36:係数乗算手段
33:60°マスク処理手段
35:加算手段
37:符号判定関数
38:乗算手段
39:位相角関数行列

Claims (9)

  1. 少なくとも2個の半導体スイッチング素子を直列に接続してなるアーム部が直流電圧部に3個並列接続され、これらの3個のアーム部における半導体スイッチング素子同士の接続部に負荷が接続された三相インバータと、前記スイッチング素子を所定のキャリア周期を有するPWM信号に従ってオン・オフするための制御装置とを備えた三相インバータ装置において、
    前記制御装置は、
    3個のアーム部のうち1個のアーム部のみにおいて前記負荷の端子が前記直流電圧部の正極と実質的に導通状態となる3種類のモード、または、1個のアーム部のみにおいて前記負荷の端子が前記直流電圧部の負極と実質的に導通状態となる3種類のモードのうち、前記三相インバータの電圧指令ベクトルの所定位相周期ごとに特定される2種類の前記モードにおいて、前記アーム部を介して前記直流電圧部と前記負荷との間を流れる直流入力電流をサンプル・ホールドする手段と、
    前記電圧指令ベクトルがとり得る位相角を前記所定位相周期により分割した各領域について、前記手段により2種類の前記モードにおいてそれぞれサンプル・ホールドした二つの直流入力電流値と、前記電圧指令ベクトルの位相角情報とを用いて負荷電流ベクトルの成分を求める手段と、
    前記直流入力電流をサンプル・ホールドするモードの持続時間が所定の長さになるように前記PWM信号を変更する手段と、を備え
    前記所定位相周期を60°に設定して前記電圧指令ベクトルがとり得る位相角の領域を6個に分割し、電圧指令ベクトルの位相角情報を120°間隔で分布する三相基準軸を中心とした−60°〜60°の値にすると共に、2種類の前記モードにおいてそれぞれサンプル・ホールドした直流入力電流値、電圧指令ベクトルの位相角情報及び係数を用いた四則演算、並びに、電圧指令ベクトルの位相角の極性判定のみにより、サンプル・ホールドした前記直流入力電流値がどの相の負荷電流に相当するかを判定せずに、前記負荷電流ベクトルの成分を求めることを特徴とする三相インバータ装置。
  2. 請求項1に記載した三相インバータ装置において、
    直流入力電流をサンプル・ホールドする前または後に、PWM信号の変更を相殺するようにPWM信号を更に変更することを特徴とする三相インバータ装置。
  3. 請求項1または2に記載した三相インバータ装置において、
    変更前のPWM信号をキャリア波と三相電圧指令値とを比較して生成すると共に、
    PWM信号の変更を、三相電圧指令値のうち少なくとも一相分の値を所定期間変更することにより行うことを特徴とする三相インバータ装置。
  4. 請求項3に記載した三相インバータ装置において、
    変更前の三相電圧指令値のうち最大値を正の固定値、最小値を負の固定値、最大値と最小値との間にある中間値を中間固定値にそれぞれ変更することを特徴とする三相インバータ装置。
  5. 請求項4に記載した三相インバータ装置において、
    直流入力電流のサンプル・ホールドのタイミングを、キャリア波の所定位相を基準として固定することを特徴とする三相インバータ装置。
  6. 請求項4または5に記載した三相インバータ装置において、
    中間固定値をゼロとすることを特徴とする三相インバータ装置。
  7. 請求項4〜6の何れか1項に記載した三相インバータ装置において、
    電圧指令値を変更する前の三相電圧指令値のうち正または負の最大値をとる相の少なくとも一方については、電圧指令値を変更しないことを特徴とする三相インバータ装置。
  8. 請求項の何れか1項に記載した三相インバータ装置において、
    電圧指令値を変更する前の三相電圧指令値の正または負の最大値が正または負の固定値を超える場合に、当該相については電圧指令値を変更しないことを特徴とする三相インバータ装置。
  9. 請求項1または2に記載した三相インバータ装置において、
    PWM信号の変更を、各スイッチング素子のオン・オフのタイミングを変更することにより実行し、かつ、直流入力電流をサンプル・ホールドする二つのモードのうちの一方から他方へ移行するタイミングを、キャリア周期の所定位相を基準として固定することを特徴とする三相インバータ装置。
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