JP6327010B2 - インバータの制御装置 - Google Patents
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Description
図13(a),(b)は、2レベルインバータの主要部を示す回路図であり、Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、正負の直流母線11,12間で三相ブリッジ接続されたIGBT等の半導体スイッチング素子、SRはシャント抵抗等の電流検出器である。
なお、図13(a),(b)において、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間に矢印を付してあるものはオン状態のスイッチング素子を示す。また、U相電流Iu,V相電流Iv,W相電流Iwは、矢印方向を正方向とする。
従って、直流母線電流Idの検出値と、その時のスイッチング素子のオンオフ状態(ゲート情報)とに基づいて、インバータの各相の出力電流を推定することができる。
このようにして、V相,W相をスイッチングするタイミング間で直流母線電流Idの検出時間Δtsを確保することができる。
図16は、この特許文献3に記載されているもので、図16(b)は、W相のスイッチング素子に対して、図16(a)の状態からキャリアの後半周期に通電時間2δを追加し、図16(c)は、U相,V相のスイッチング素子に対して、図16(b)の状態からキャリアの前後半周期に分散させて通電時間2δをそれぞれ追加した状態を示している。
例えば、図15に示したように、元の電圧指令値がU相>V相>W相という大小関係である場合、補正の前後において、UV間、VW間だけではなくWU間の線間電圧歪みも含めた総合的な歪みを小さくしたいという要請がある。
前記三角波キャリアの前半周期及び後半周期における元の三相電圧指令値を必要に応じて補正することにより、前記三角波キャリアと比較される補正指令値を生成する補正信号生成手段と、
前記前半周期及び後半周期に検出した前記直流母線電流と前記スイッチング素子の状態とから所定の相の前記交流電流検出値を推定する電流検出手段と、
を備え、
前記補正信号生成手段は、
第1のキャリア周期内の前半周期において前記三相電圧指令値のうちの最大値と中間値との差である第1の偏差が所定値より小さい場合には、
前記所定値から前記第1の偏差を減算した値の1/2を第1の補正値として前記最大値に加算することにより前記最大値の相の前記前半周期における前記補正指令値を生成し、かつ、前記中間値から前記第1の補正値を減算することにより前記中間値の相の前記前半周期における前記補正指令値を生成し、
前記第1のキャリア周期内の後半周期において前記三相電圧指令値のうちの中間値と最小値との差である第2の偏差が所定値より小さい場合には、
前記所定値から前記第2の偏差を減算した値の1/2を第2の補正値として前記中間値に加算することにより前記中間値の相の前記後半周期における前記補正指令値を生成し、かつ、前記最小値から前記第2の補正値を減算することにより前記最小値の相の前記後半周期における前記補正指令値を生成すると共に、
前記第1のキャリア周期に続く第2のキャリア周期では、前記第1の補正値及び前記第2の補正値を打ち消す値を用いて前記三相電圧指令値を補正することにより前記補正指令値を生成し、
前記電流検出手段は、
前記前半周期において前記三相電圧指令値のうち最大値である相の前記スイッチング素子がオンし、かつ前記三相電圧指令値のうち中間値である相の前記スイッチング素子がオフしている期間に前記直流母線電流を検出し、前記後半周期において前記三相電圧指令値のうち中間値である相の前記スイッチング素子がオンし、かつ前記三相電圧指令値のうち最小値である相の前記スイッチング素子がオフしている期間に前記直流母線電流を検出することを特徴とする。
図1において、インバータの主回路は、直流電源10と、正負の直流母線11,12と、これらの直流母線11,12間に接続されたIGBT等の半導体スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2からなる三相ブリッジ回路13と、を備えている。三相ブリッジ回路13における各相上下アームのスイッチング素子同士の接続点は、図示されていない交流電動機等の負荷に接続されている。また、負側の直流母線12には、シャント抵抗等の電流検出器SRが接続されている。
電流制御手段21は、三相各相の電流検出値を電流指令値に一致させるように、零相成分を持たない三相の電圧指令値を出力する。この電圧指令値は、補正信号生成手段としての第1,第2信号生成手段22に入力され、元の電圧指令値の大きさが必要に応じて補正された第1信号及び第2信号が出力される。なお、これらの第1信号及び第2信号は、請求項における補正指令値に相当する。
相電流復元手段27は、各相の出力電流について、新たな復元値が得られるまで、それまでに取得した値を保持し、出力し続ける。復元された電流検出値は、前記電流制御手段21にフィードバックされて電流指令値との比較に用いられる。
上記構成において、電流検出器SR,増幅手段24,電流検出トリガ発生手段25,AD変換手段26,相電流復元手段27は、請求項における電流検出手段を構成している。
図2は、図15(a),(b),(c)と基本的に同一の波形図であり、図2の左側に示した元の電圧指令値の大小関係はVu *>Vv *>Vw *であって、Vv *,Vw *が接近している場合である。
図2において、dVは直流母線電流からW相電流を検出可能な所定時間に相当する線間電圧差であり、補正後のVw *は、Vw *=Vv *−dVという関係にある。また、tuはU相電流の検出タイミング、twはW相電流の検出タイミングであり、ΔTは、上述した電圧歪みの影響を解消するための期間を示す。
図3は、第1実施形態における補正前後の各相電圧指令値及びPWM信号を示す波形図である。ここで、図1の第1,第2信号生成手段22に入力される元の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *は、Vu *>Vv *>Vw *,(Vu *−Vv *)>dV>(Vv *−Vw *)という関係にある。すなわち、Vu *とVv *との差が大きく、Vv *とVw *とが接近している場合である。また、Vu *+Vv *+Vw *=0であり、Vu>0>Vv>Vwであるものとする。
また、キャリアの後半周期において、第1,第2信号生成手段22は、第2信号として、U相電圧指令値をVu *のままとし、V相電圧指令値を(Vv *+Vw *+dV)/2とし、W相電圧指令値を(Vv *+Vw *−dV)/2として出力する。これにより、W相電流を検出するためのタイミングtwを確保することができる。
また、第2信号のうちのW相電圧指令値である(Vv *+Vw *−dV)/2は、同じく請求項1に記載するように、第2の補正値である{dV−(Vv *−Vw *)}/2を、最小値であるVw *から減算した値に等しい。
UV間:Vu−Vv → Vu−(Vv+Vw+dV)/2
VW間:Vv−Vw → dV
WU間:Vw−Vu → (Vv+Vw−dV)/2−Vu
{Vv−(Vv+Vw+dV)/2}2+{dV−(Vv−Vw)}2+{(Vv+Vw−dV)/2−Vw}2=(3/2){dV−(Vv−Vw)}2
電圧指令値を補正するのはキャリアの後半周期だけであるため、キャリア1周期当たりの電圧歪みの大きさの平均値は、(3/4){dV−(Vv−Vw)}2となる。
UV間:Vu−Vv → Vu−Vv(変化なし)
VW間:Vv−Vw → dV
WU間:Vw−Vu → Vv−dV−Vu
{dV−(Vv−Vw)}2+{(Vv−dV)−Vw}2=2{dV−(Vv−Vw)}2
従って、キャリアの一周期単位で補正した場合には、一周期当たりで2{dV−(Vv−Vw)}2、キャリアの半周期単位で補正した場合でも一周期当たりで{dV−(Vv−Vw)}2となる。
なお、図3の例では、キャリアの後半周期においてVv *とVw *との差が大きくなるため、相対的にVu *とVv *との差が前半周期よりも小さくなるが、前半周期ではVu *とVv *との差が大きいので、U相電流を検出するタイミングtuを確保することができる。
また、図3から明らかなように、二相分の電流(例えばU相電流,W相電流)を検出するタイミングはキャリアの上昇時及び下降時の1回ずつでよい。このため、図1に示したように、直流母線電流を一つのAD変換手段26によってサンプリングする場合には、時間的な余裕が生まれるという利点もある。
この場合には、図1の第1,第2信号生成手段22が、キャリアの前半周期の第1信号として、Vu *を大きくすると共にVv *を小さくしてVu *,Vv *間に所定値dVを確保し、U相電流を検出するタイミングtuを確保する。また、キャリアの後半周期の第2信号としては、図3と同様に、Vv *,Vw *の第1信号に対しVv *を大きくし、Vw *を小さくしてVv *,Vw *間に所定値dVを確保し、W相電流を検出するタイミングtwを確保する。
これにより、三相全ての線間電圧歪みを小さくしながら二相分の電流を検出することができる。
また、第1信号のうちのV相電圧指令値は(Vu *+Vv *−dV)/2であり、同じく請求項1に記載するように、第1の補正値である{dV−(Vu *−Vv *)}/2を、中間値であるVv *から減算した値に等しい。
図4の例では、キャリアの前半周期及び後半周期の両方について電圧指令値を補正しているが、これらの補正による電圧歪みの影響は、図3と同様に、次のキャリア周期であるΔTにおいて、前のキャリア周期で使用した補正値を各電圧指令値から減算すればよい。
図6における第1,第2信号は、図4の第1,第2信号と同一である。この第2実施形態では、第1,第2信号における各相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *の相互の差(相対関係)を維持したまま、第3,第4信号生成手段28がVu *,Vv *,Vw *の大きさを補正し、第3,第4信号として出力する。
図6の例によれば、キャリアの前半周期及び後半周期で最大値の電圧指令値Vu *と最小値の電圧指令値Vw *との間に所定値dVより大きい同一の線間電圧が確保されるため、電圧利用率を向上させることができる。
この場合、図5の第1,第2信号生成手段22は、キャリアの前半周期の第1信号として、Vu *を大きくすると共にVv *を小さくしてVu *,Vv *間に所定値dVを確保するが、結果として、図7に示すように、第1信号におけるVv *が元のVw *より小さくなる場合がある。同様にして、第1,第2信号生成手段22は、キャリアの後半周期の第2信号として、Vv *を大きくすると共にVw *を小さくしてVv *,Vw *間に所定値dVを確保するが、その結果、第2信号におけるVv *が元のVu *より大きくなる場合がある。
そこで、図5の第3,第4信号生成手段28は、第1信号のVv *を元のVw *に等しくしたものを第3信号とし、第2信号のVv *を元のVw *に等しくしたものを第4信号とする補正を行い、これらの第3信号,第4信号を補正指令値として出力する。
第3,第4信号生成手段28が上記の処理を行うことにより、図7に示すごとく、U相電流を検出するタイミングtu、及び、W相電流を検出するタイミングtwを適切に確保することができる。
なお、これらの処理は、請求項2,3に相当するものである。
図8は無補正時の各相電圧指令値及びPWM信号を示した波形図であり、図9,図10,図11は、本発明の第1実施形態における補正前後の各相電圧指令値(第1,第2信号生成手段22の入出力信号)及びPWM信号を場合分けして示した波形図である。また、図12は、従来技術(例えば特許文献2)における補正前後の各相電圧指令値及びPWM信号を示す波形図である。
しかし、前述したように、線間電圧変化量に起因する電圧歪みが本発明に比べて大きくなるという問題がある。
なお、タイミングts21,ts22では電流を検出しない。これらのタイミングts21,ts22が属するキャリア周期T2は、図3等における期間ΔTに相当しており、前のキャリア周期T1において電圧指令値を変化させたことによる歪みの影響を解消する意義を持つ。
この場合にも、U相電流をタイミングts11にて検出し、W相電流をタイミングts12にて検出することができる。なお、タイミングts21,ts22では、図9,図10と同様に電流を検出しないこととする。
また、第1,第2の補正値を所定値に設定することにより、線間電圧の歪みを最小限に抑制することが可能になる。
SR:電流検出器
10:直流電源
11,12:直流母線
13:三相ブリッジ回路
21:電流制御手段
22:第1,第2信号生成手段
23:PWM信号生成手段
24:増幅手段
25:電流検出トリガ発生手段
26:AD変換手段
27:相電流復元手段
28:第3,第4信号生成手段
Claims (3)
- 半導体スイッチング素子が三相ブリッジ接続されたインバータの制御装置であって、前記インバータの直流母線電流から推定した前記インバータの交流電流検出値を電流指令値に一致させるような三相電圧指令値を生成し、前記三相電圧指令値と三角波キャリアとを比較するPWM制御を行って前記スイッチング素子に対するPWM信号を生成する制御装置において、
前記三角波キャリアの前半周期及び後半周期における元の三相電圧指令値を必要に応じて補正することにより、前記三角波キャリアと比較される補正指令値を生成する補正信号生成手段と、
前記前半周期及び後半周期に検出した前記直流母線電流と前記スイッチング素子の状態とから所定の相の前記交流電流検出値を推定する電流検出手段と、
を備え、
前記補正信号生成手段は、
第1のキャリア周期内の前半周期において前記三相電圧指令値のうちの最大値と中間値との差である第1の偏差が所定値より小さい場合には、
前記所定値から前記第1の偏差を減算した値の1/2を第1の補正値として前記最大値に加算することにより前記最大値の相の前記前半周期における前記補正指令値を生成し、かつ、前記中間値から前記第1の補正値を減算することにより前記中間値の相の前記前半周期における前記補正指令値を生成し、
前記第1のキャリア周期内の後半周期において前記三相電圧指令値のうちの中間値と最小値との差である第2の偏差が所定値より小さい場合には、
前記所定値から前記第2の偏差を減算した値の1/2を第2の補正値として前記中間値に加算することにより前記中間値の相の前記後半周期における前記補正指令値を生成し、かつ、前記最小値から前記第2の補正値を減算することにより前記最小値の相の前記後半周期における前記補正指令値を生成すると共に、
前記第1のキャリア周期に続く第2のキャリア周期では、前記第1の補正値及び前記第2の補正値を打ち消す値を用いて前記三相電圧指令値を補正することにより前記補正指令値を生成し、
前記電流検出手段は、
前記前半周期において前記三相電圧指令値のうち最大値である相の前記スイッチング素子がオンし、かつ前記三相電圧指令値のうち中間値である相の前記スイッチング素子がオフしている期間に前記直流母線電流を検出し、前記後半周期において前記三相電圧指令値のうち中間値である相の前記スイッチング素子がオンし、かつ前記三相電圧指令値のうち最小値である相の前記スイッチング素子がオフしている期間に前記直流母線電流を検出することを特徴とする、インバータの制御装置。 - 請求項1に記載したインバータの制御装置において、
前記補正信号生成手段は、
前記中間値に対応する相の前記前半周期の電圧指令値が前記三相電圧指令値のうちの元の最小値より小さくなった場合は、前記中間値に対応する相の前記前半周期の電圧指令値を、前記元の最小値に等しくして前記前半周期の補正指令値として生成することを特徴とする、インバータの制御装置。 - 請求項1に記載したインバータの制御装置において、
前記補正信号生成手段は、
前記中間値に対応する相の前記後半周期の電圧指令値が前記三相電圧指令値のうちの元の最大値より大きくなった場合は、前記中間値に対応する相の前記後半周期の電圧指令値を、前記元の最大値に等しくして前記後半周期の補正指令値として生成することを特徴とする、インバータの制御装置。
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