JP4505382B2 - 成形構造体の製造方法とそのための成形型構造 - Google Patents

成形構造体の製造方法とそのための成形型構造 Download PDF

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Description

本発明は、基体上に成形体を接合して形成した成形構造体の製造方法と、そのための成形型構造に関する。
従来技術として、一側が開口し、その内部に成形体と同形状のキャビティを形成した1つの成形型に、このキャビティの開口を閉塞するように基板を配置するとともに、キャビティ内に合成樹脂材料を射出して成形体を形成しながら、基板に接合させるインジェクション成形による方法があった(例えば、特許文献1参照)。これによれば、キャビティ内に行き渡るように、成形材料を高圧で射出するため、キャビティを閉塞している基板と成形型との間から、成形材料が漏れ出ることがあり、これが、成形後に成形品のバリとなって基板上に残ってしまうことがあった。基板上に付着した成形品のバリは、見栄えの点において、その要求される品質を満たさないばかりか、基板上に広がったバリが、熱収縮によって基板に対して応力を発生させ、この応力より基板の剛性が小さい場合は、基板にそりが生ずることもあった。
また、基板のように予め形成されたものの表面に、バリを付着させないようにするために、一側の成形型の開口の周囲に当接するように突起を設けて、成形時に、この突起を他側の成形型に形成されたシール材に当接させることで、キャビティからの成形材料の漏れを防止することに関する従来技術があった(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、上述した突起を、基板に成形体を接合して成形する場合にそのまま適用すれば、その型構造上、成形工程において、新たな課題が発生することがあった。特に、成形後に、成形型を基板表面に沿って型抜きせざるを得ないような場合(例えば、アンダーカット形状)、上述した突起が基板と当接して、型抜きができなくなることがあり、移動コア等を用いて型抜きしなければならないことがあった。
特開2002−355848公報(第6図) 実開平7−23515号公報(第1図)
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、成形体からバリを発生させない成形構造体の製造方法とそのための成形型構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、発明は、固定型と移動型とからなり、該移動型の上面と該固定型のガイド面とが当接した状態で外部への開口を有するキャビティが形成された成形型に対し、前記キャビティの開口を閉塞するように基体を配置した後、溶融した成形材料を前記キャビティ内に導入して成形体を成形し、前記基体上に成形体を接合する接合工程と該接合工程後に、前記移動型を前記基体から離型させ、さらに前記固定型を前記基体から離型させる離型工程と、を備え、前記接合工程では、前記成形体の成形時に、前記開口から前記成形材料が漏出しないように、前記開口を取り囲む前記固定型および前記移動型の角部に設けられ、前記基体との当接面から突出する突出部の先端を、前記基体の表面に押圧させ、前記離型工程では、前記当接面に対して斜め方向に傾斜する前記移動型の前記上面を、該上面と同じ角度で傾斜する前記固定型の前記ガイド面上に滑らせると共に、前記移動型の前記突起部に連なり、前記上面と同じ角度で傾斜する前記移動型の傾斜面を、前記基体上に滑らせることにより、前記移動型を前記当接面に対して斜め方向に移動させることを特徴とする成形構造体の製造方法に関する
本発明において、前記接合工程では、前記離型工程における前記移動型の移動時に成形および型抜きを可能とするアンダーカット部を有する前記成形体を成形してもよい。
本発明において、前記接合工程では、植物繊維と、この植物繊維を繋ぐバインダ樹脂とからなる基体上に前記成形体を接合してもよい。
本発明において、前記接合工程では、前記バインダ樹脂と同種の樹脂材料にて形成された前記成形材料を前記キャビティ内に導入してもよい。
本発明の他の態様は、外部への開口を有するキャビティが形成された成形型に対し、前記キャビティの開口を閉塞するように基体を配置した後、溶融した成形材料を前記キャビティ内に導入して成形体を成形し、前記基体上に成形体を接合する成形構造体であって、前記成形型は、前記成形体の成形時に前記キャビティを取り囲む固定型と移動型とからなり、前記成形体の成形時に、前記開口から前記成形材料が漏出しないように、前記開口を取り囲む前記固定型および前記移動型の角部に、前記基体との当接面から突出して、その先端が前記基体の表面を押圧する突起部設けられ前記移動型に、前記当接面に対して斜め方向に傾斜する上面と、該移動型の前記突起部に連なると共に前記上面と同じ角度で傾斜する傾斜面と、が設けられ、前記固定型に、前記成形体の成形時に前記移動型の上面と当接すると共に前記上面と同じ角度で傾斜するガイド面が設けられ、前記移動型は、前記成形体の接合後に、前記当接面に対して斜め方向に移動させて前記基体から離型されるものとされていることを特徴とする成形構造体に関する
口を取り囲む固定型および移動型の角部に設けられ、基体との当接面から突出する突出部の先端を、基体の表面に押圧させることにより、成形後に、成形体からバリを発生させることなく、基体の変形を防止して、その品質を向上できる。また、当接面に対して斜め方向に傾斜する移動型の上面を、該上面と同じ角度で傾斜する固定型のガイド面上に滑らせると共に、移動型の前起部に連なり、上面と同じ角度で傾斜する移動型の傾斜面を、基体上に滑らせることで、移動型を当接面に対して斜め方向に移動させることにより、突起部の型抜きが容易となり、移動型を簡素にすることができるため、低コストに成形構造体を製造することができる。
接合工程では、離型工程における移動型の移動時に成形および型抜きを可能とするアンダーカット部を有する成形体を成形することにより、成形および型抜きが容易となり、かつ、成形体の移動型側へのバリ発生を防止できる。
接合工程では、植物繊維と、この植物繊維を繋ぐバインダ樹脂とからなる基体上に成形体を接合することにより、植物繊維の間に成形材料が入り込み、アンカ効果を期待できるため、成形体と基体との接合力が増大する。
接合工程では、バインダ樹脂と同種の樹脂材料にて形成された成形材料をキャビティ内に導入することにより、成形体とバインダとの結合力がいっそう増大する。
開口を取り囲む固定型および移動型の角部に、基体との当接面から突出して、その先端が基体の表面を押圧する突起部設けられていることにより、成形後に、成形体からバリを発生させることなく、基体の変形を防止して、成形品の品質を向上できる。また、移動型に、当接面に対して斜め方向に傾斜する上面と、該移動型の突起部に連なると共に上面と同じ角度で傾斜する傾斜面と、が設けられ、固定型に、成形体の成形時に移動型の上面と当接すると共に上面と同じ角度で傾斜するガイド面が設けられ、移動型は、成形体の接合後に、当接面に対して斜め方向に移動させて基体から離型されるものとされていることにより、突起部の型抜きが容易であり、移動型を簡素にすることができるため、低コストな成形型構造にすることができる。
本発明の実施形態を図1乃至図11によって説明する。本実施形態による成形構造体は、車両ドアを構成するドアトリム1である。図1に示すように、ドアトリム1は本発明の基体に該当するトリムボード2上に、本発明の成形体に該当するブラケット3が固着されることにより形成されている。尚、本来、トリムボード2の一面には複数のブラケット3が取り付けられているが、図1においては、トリムボード2を破断させて、一つのブラケット3の取付部位のみを示している。
平板状のトリムボード2は、木材などを解織して得た木質繊維、あるいはケナフ等の靭皮植物繊維に熱可塑性樹脂材料であるポリプロピレンを含浸させた基材21と、基材21上に合成皮革、天然皮革あるいは繊維によって形成された表皮22が被覆されることにより構成されている。本実施形態において、ポリプロピレンは植物繊維を繋ぐバインダとしての役割を果たしているが、基材21をポリプロピレンあるいは、その他の熱可塑性樹脂材料のみにて形成する、もしくはポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸樹脂等のポリプロピレン以外の熱可塑性樹脂材料と植物繊維との混合物にて形成してもよい。
ブラケット3は基材21に含浸している熱可塑性樹脂材料と同質の材料(ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸樹脂等)によって一体に形成され、図1に示すように、外周面が傾斜した筒体をおよそ半割りしたような形状をしており、その大径側がトリムボード2の基材21に接合されている。また、ブラケット3の先端部には、その先端面が平坦な略半円状の立壁31が設けられ、その端部には真円状の切欠32が開口している。立壁31の後面31aは、後述する移動型72の斜め方向への型抜きが可能なように、斜面に形成されており、このため、立壁31は端部に向けて、徐々に板厚が薄くなっている(図10示)。一方、ブラケット3のトリムボード2への接合部33は、所定の幅を有しながら半円状に延びており、これによって、ブラケット3はトリムボード2の基材21側に固着されている。ブラケット3の切欠32に、図示しないクリップを固定し、このクリップを車両ドアの図示しないインナパネルの係止部に係合させることにより、ドアトリム1は車両ドアに取り付けられる。
次に、トリムボード2にブラケット3を成形する成形装置4について、図2に基づいて説明する。説明中、図2において右方を移動型72の前方とする。本実施形態による成形装置4は、成形材料導入装置5、成形型移動装置6、成形型構造7、基体搬送装置8を備えている射出成形装置である。成形型移動装置6に取り付けられた固定型71は、支持体61の上端部61aに形成された収容孔61b内に、下方に垂下するように、溶接、ボルト締め等で固定されている。支持体61は、おおよそ逆L字状をしており、その下端部61cが基体搬送装置8の上部に固定されるとともに、その側端部61dには成形型移動装置6の移動用アクチュエータ62が、水平方向に対して僅かながら下方に傾斜して取り付けられている。
移動型72は前方部に型面72aを有し(図5示)、これが固定型71の型面71aと対向するように配置され、その閉型状態において、型面71aと型面72aとの間には、キャビティ73が形成される(図6示)。図6に示されたように、固定型71と移動型72は、下方にトリムボード2が配置されていない状態において、外部に向いた開口74を有している。固定型71のガイド面71b、および移動型72の上面72bは、互いに係合するように、移動用アクチュエータ62と同じ角度だけ傾斜している。
移動型72は、成形型移動装置6を構成するスライドシャフト63の前端部に固着されている。スライドシャフト63は移動用アクチュエータ62に接続され、水平方向に対して、移動用アクチュエータ62と同じ角度だけ傾斜している。移動用アクチュエータ62は、電動モータによるアクチュエータ、エアシリンダ、油圧シリンダ、電磁ソレノイドアクチュエータ等のあらゆるものが使用可能であり、移動用アクチュエータ62の作動により、スライドシャフト63を介して、移動型72が移動方向である前後方向に対して、僅かに固定型71に向けて下方に傾斜した方向に往復動することができる。
成形型移動装置6は、図示しないコントローラによって制御され、コントローラは移動型72を前進(図5において右方へと移動)させて、図6に示された成形位置(閉型位置)まで移動させて、それ以上前方へ移動させることはない。この位置において、コントローラは、例えば、移動用アクチュエータ62の電動モータに取り付けられたパルスエンコーダにより、その回転位置を検出し、それに基づいて移動用アクチュエータ62を停止させる。あるいは、移動型72の位置を検出する図示しないリミットスイッチが発生する信号に基づいて、移動用アクチュエータ62を停止させてもよい。成形位置において、キャビティ73の大きさは最小となり、その形状は形成されるブラケット3の形状と一致している。
一方、成形後に移動型72が後退して、上述した成形位置よりも固定型71から離れた位置(開型位置)にある状態となった時(図5および図9示)、上述したパルスエンコーダによって検出された移動用アクチュエータ62の電動モータの回転位置に基づいて、移動用アクチュエータ62の作動を停止させる、あるいは移動型72に取り付けられた図示しないリミットスイッチが、支持体61の側端部61dと当接して停止信号を発信し、これを受信したコントローラが移動用アクチュエータ62の作動を停止させる。
基体搬送装置8は上述したコントローラにより制御され、支持体61の下端部61cが固定された箱体81と、この上に取り付けられた台座82を有している。箱体81内には移動用アクチュエータ62と同様の搬送用アクチュエータ83が収容され、この搬送用アクチュエータ83からは作動シャフト84が上方に向けて延びており、その上端部には押圧部85が固着されている。押圧部85の上端面には、合成ゴムあるいは合成樹脂材料にて平板状に形成された撓み可能なクッション部86が、接着剤等にて固定されている。
押圧部85は、搬送用アクチュエータ83の作動により作動シャフト84を介して上昇し、クッション部86を介してトリムボード2を持ち上げ、固定型71および移動型72の下端部に当接させて、キャビティ73の開口を閉塞した状態で最上位置となる。搬送用アクチュエータ83は、その最下位置および最上位置において、移動用アクチュエータ62と同様に、搬送用アクチュエータ83の図示しない電動モータの回転位置を検知して、あるいはリミットスイッチ等を使用して停止させられる。また、支持体61の柱部61eには、後述するように、トリムボード2を左右方向に搬送する際に、その位置決めのために使用される基体ガイド66が取り付けられている。
成形材料導入装置5はコントローラによって制御され、支持体61の上方に配置され、その下端部は固定型71の上端部に挿入されている。成形材料導入装置5は、内部に導入シリンダ52を有したシリンダボデー51を備えており、導入シリンダ52内には導入用アクチュエータ53の押圧プランジャ54が嵌合している。導入用アクチュエータ53は、移動用アクチュエータ62と同様のもので、これが作動することにより、押圧プランジャ54を上下方向に移動させる。また、押圧プランジャ54の最上位置および最下位置においては、移動用アクチュエータ62と同様に、リミットスイッチ等を使用して導入用アクチュエータ53が停止させられる。導入シリンダ52には、ポリプロピレン等の合成樹脂による成形材料MZを貯蔵したホッパ55が連通しており、常時、成形材料MZを供給可能にしている。
シリンダボデー51の下端部には、加熱ボデー56が接続されており、その内部には溶融通路57が形成されている。加熱ボデー56の周囲には複数の電熱ヒータ59が取り付けられ、溶融通路57内の成形材料MZが加熱されて溶融している。加熱ボデー56の下端部は固定型71の上端部に挿入されており、溶融通路57の先端部に形成されたノズル58から、溶融された成形材料MZが、押圧プランジャ54のストローク分の量をキャビティ73内に注入可能とされている。
次に、図3および図4に基づいて、成形型構造7を構成する固定型71および移動型72について詳述する。固定型71の下端にある開口74を取り囲む角部には、凸部71cが形成されている。凸部71cは、成形時にトリムボード2の表面と当接する下面71dから突出しており、開口74を取り巻くように半円状に連続している。また、凸部71cは、トリムボード2と当接した時にその表面に加える面圧を高めるために、先端が細く形成されている(図4示)。
一方、移動型72の下端においても、開口74を取り囲む角部に突起部72cが形成されている。突起部72cは、その閉型時に固定型71の凸部71cと連続するように形成され、トリムボード2の表面と当接する下面72dから突出しており、凸部71cと同様に、トリムボード2の表面に加える面圧を高めるために、先端が鋭角状を呈している。しかし、移動型72の動作に影響を及ばさないように、突起部72cと下面72dは、緩やかな傾斜面72eによって連結されている(図11示)。
次に、成形装置4を使用したブラケット3の、トリムボード2への接合方法について、図5乃至図11に基づいて説明する。最初に、図5に示したように、成形型移動装置6の移動用アクチュエータ62によって、移動型72が後退(図5において左方へ移動)させられた開型位置において、前回に成形されたブラケット3が払いだされた後、移動用アクチュエータ62を再度作動させて、移動型72を斜め下方へ前進させる。移動型72が成形位置まで移動すると、固定型71と移動型72との間に、ブラケット3の外形と一致した形状のキャビティ73が形成される(図6示)。
それとともに、トリムボード2を基材21側を上にして、図示しないコンベアーまたはロボット等により、その先端部が基体ガイド66に当接する位置まで、図5において右方へと運搬する。この状態において、トリムボード2は押圧部85の真上に位置しているため、基体搬送装置8の搬送用アクチュエータ83を作動させることにより、押圧部85を上昇させて、トリムボード2をクッション部86上に載置させる。その後、押圧部85の上昇を継続することにより、トリムボード2が固定型71および移動型72の下端部に当接し、キャビティ73の開口74を下方より塞ぐ(図7示)。この時、トリムボード2はクッション部86と固定型71および移動型72とにより挟圧され、固定型71の凸部71cと移動型72の突起部72cは、トリムボード2の基材21を押圧し、これに若干食い込んだ状態となる(図11示)。
次に、成形材料導入装置5の導入用アクチュエータ53を作動させて押圧プランジャ54を下降させ、溶融通路57内の溶融した成形材料MZを下方に向けて押圧して、ノズル58によって上方からキャビティ73内に所定圧で所定量射出する(図8示)。成形材料MZはキャビティ73内に行き渡った後、温度が低下して硬化が進行し、キャビティ73内にブラケット3が成形される。この時、ノズル58から注入された高温の成形材料MZが、トリムボード2の基材21の上に乗ることにより、ブラケット3の直下となる基材21に含まれる熱可塑性樹脂が融解して成形材料MZと互いに溶融しあい、また、基材21の植物繊維間に熱可塑性樹脂材料が入り込むことで、接合部33がトリムボード2に強固に接合される。上述したように、固定型71の凸部71cと移動型72の突起部72cが、トリムボード2の基材21に食い込んでいるため、成形材料MZが開口74から漏出することがなく、その硬化後、トリムボード2上にブラケット3の接合部33からバリがはみ出ることはない。
ブラケット3の成形後、成形型移動装置6は移動型72を、下面72dに対して後方斜め上向きに移動させて、ブラケット3から離型させ、再び開型位置まで移動させる(図9示)。移動型72は、ブラケット3の立壁31がアンダーカット部となっているために、後方へ型抜きをせざるを得ないのであるが、移動型72を斜めに移動させて、傾斜面72eを基材21上に滑らせることにより、下面72dから突起部72cが突出していても、支障なく、ブラケット3から型抜きすることができる。その後、基体搬送装置8により押圧部85を下降させ、トリムボード2と接合されたブラケット3を、固定型71から下方に取り出す(図10示)。これ以降は、成形型移動装置6により、再び移動型72を前進させて、上述した工程を繰り返していく。
本実施形態によれば、開口74を取り囲む固定型71および移動型72の角部に、トリムボード2と当接する面71d、72dから突出して、先端がトリムボード2の表面を押圧する凸部71cおよび突起部72cを設け、成形後、移動型72をトリムボード2に対して斜め方向に移動させて離型させたことにより、成形後に、ブラケット3からバリを発生させることなく、また、冷却の際の熱収縮によるトリムボード2の変形を防止して、その品質を向上できる。また、凸部71cおよび突起部72cによって、確実にバリを断つことができるため、トリムボード2を成形型71、72に強く押圧する必要がなく、成形時に、成形型71、72に対し、トリムボード2を位置管理するのみで良好な成形が可能となる。また、突起部72cの型抜きが容易となり、成形型71、72を簡素にすることができるため、低コストなドアトリム1を製造することができる。また、アンダーカット部である立壁31からの移動型72の型抜きが容易となり、かつ、ブラケット3の移動型72側へのバリ発生を防止できる。
また、トリムボード2は植物繊維と、この植物繊維を繋ぐバインダ樹脂とからなり、ブラケット3の成形材料MZはバインダ樹脂と同種の樹脂材料にて形成されたことにより、ブラケット3とバインダ樹脂との結合力が増大するとともに、植物繊維の間に成形材料MZが入り込むことにより、アンカ効果を期待できるため、ブラケット3とトリムボード2との接合力がいっそう増大する。
<参考例>
次に、上述した固定型71の凸部71cの参考例を、図12によって説明する。凸部71cの先端部形状は、図12(A)に示したように、所定面積を有する平坦面としてもよい。また、凸部71cの先端部形状は、図12(B)に示したように、半円状としてもよい。これらは、突起部71cが押圧する、トリムボード2の表面材質、性状等を考慮して決定することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本発明は、車両のトリムボードに、ブラケットを接合する場合以外(例えば、建材、家具などのボード材へ成形物を接合する場合)にも適用可能である。
(2)移動型をブラケットから離型させる場合の傾斜角度は、ブラケットの形状、成形材料等に応じて、自由に設定可能である。
(3)トリムボードが繊維系の基材であり、そのバインダとなる樹脂と異質の樹脂からなるブラケットを形成してもよい。
本実施形態によるドアトリムの部分斜視図である。 トリムボードにブラケットを成形する成形装置の断面図である。 固定型および移動型の斜視図である。 固定型の要部拡大図である。 開型状態にあるところを示した成形装置の要部拡大図である。 閉型したところを示した成形装置の要部拡大図である。 トリムボードによって開口を閉塞したところを示した成形装置の要部拡大図である。 キャビティに溶融樹脂を射出したところを示した成形装置の要部拡大図である。 ブラケットを成形後、移動型を開型したところを示した成形装置の要部拡大図である。 ブラケットを固定型から取り出したところを示した成形装置の要部拡大図である。 図8に示した成形時のトリムボードの要部拡大図である。 ともに、固定型の凸部の参考例を示した断面図(A)、(B)である。
符号の説明
1…ドアトリム
2…トリムボード
3…ブラケット
7…成形型構造
71…固定型
72…移動型
72c…突起部
72d…下面
73…キャビティ
74…開口
MZ…成形材料

Claims (5)

  1. 基体に成形体が接合されてなる成形構造体の製造方法であって、
    固定型と移動型とからなり、該移動型の上面と該固定型のガイド面とが当接した状態で外部への開口を有するキャビティが形成された成形型に対し、前記キャビティの開口を閉塞するように前記基体を配置した後、溶融した成形材料を前記キャビティ内に導入して前記成形体を成形し、前記基体上に成形体を接合する接合工程と
    該接合工程後に、前記移動型を前記基体から離型させ、さらに前記固定型を前記基体から離型させる離型工程と、を備え、
    前記接合工程では、前記成形体の成形時に、前記開口から前記成形材料が漏出しないように、前記開口を取り囲む前記固定型および前記移動型の角部に設けられ、前記基体との当接面から突出する突起部の先端を、前記基体の表面に押圧させ、
    前記離型工程では、前記当接面に対して斜め方向に傾斜する前記移動型の前記上面を、該上面と同じ角度で傾斜する前記固定型の前記ガイド面上に滑らせると共に、前記移動型の前記突起部に連なり、前記上面と同じ角度で傾斜する前記移動型の傾斜面を、前記基体上に滑らせることにより、前記移動型を前記当接面に対して斜め方向に移動させることを特徴とする成形構造体の製造方法。
  2. 前記接合工程では、前記離型工程における前記移動型の移動時に成形および型抜きを可能とするアンダーカット部を有する前記成形体を成形することを特徴とする請求項1記載の成形構造体の製造方法。
  3. 前記接合工程では、植物繊維と、この植物繊維を繋ぐバインダ樹脂とからなる基体上に前記成形体を接合することを特徴とする請求項1または請求項2記載の成形構造体の製造方法。
  4. 前記接合工程では、前記バインダ樹脂と同種の樹脂材料にて形成された前記成形材料を前記キャビティ内に導入することを特徴とする請求項3記載の成形構造体の製造方法。
  5. 外部への開口を有するキャビティが形成された成形型に対し、前記キャビティの開口を閉塞するように基体を配置した後、溶融した成形材料を前記キャビティ内に導入して成形体を成形し、前記基体上に成形体を接合する成形構造体であって、
    前記成形型は、前記成形体の成形時に前記キャビティを取り囲む固定型と移動型とからなり、
    前記成形体の成形時に、前記開口から前記成形材料が漏出しないように、前記開口を取り囲む前記固定型および前記移動型の角部に、前記基体との当接面から突出して、その先端が前記基体の表面を押圧する突起部設けられ
    前記移動型に、前記当接面に対して斜め方向に傾斜する上面と、該移動型の前記突起部に連なると共に前記上面と同じ角度で傾斜する傾斜面と、が設けられ、
    前記固定型に、前記成形体の成形時に前記移動型の上面と当接すると共に前記上面と同じ角度で傾斜するガイド面が設けられ、
    前記移動型は、前記成形体の接合後に、前記当接面に対して斜め方向に移動させて前記基体から離型されるものとされていることを特徴とする成形型構造。
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