JP4503396B2 - 電動ポンプ制御装置 - Google Patents
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Description
この車両では、運転者のアクセル操作に係るアクセル操作量と車両の速度(車速)とに応じてトルク指令値が設定され、このトルク指令値に応じた電流が車両駆動用モータのステータコイルに通電されることで、トルク指令値に相当するトルクが車両駆動用モータから出力されるようになっている。
しかしながら、ステータコイルに通電される電流に基づき車両駆動用モータの損失量、特に発熱量を精度良く算出することは困難であり、この通電電流に基づくオイル循環量が過剰となってオイルポンプの駆動に要するエネルギー消費が増大してしまったり、オイル循環量が不足して所望の冷却作用を得ることができなくなるという問題が生じる虞があり、車両駆動用モータの実際の作動状態に応じた適切なオイル循環量を設定することが望まれている
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、電動ポンプから媒体循環系に供給される冷却媒体あるいは潤滑媒体からなる媒体の供給量を適切に設定することが可能な電動ポンプ制御装置を提供することを目的とする。
しかも、車両の速度と冷却媒体の温度とに基づき潤滑媒体の供給量を算出することにより、動力伝達系の作動状態に応じた適切な潤滑を効率よく行うことができる。
また、請求項2に記載の本発明の電動ポンプ制御装置によれば、電動機の損失と損失の変化と冷却媒体の温度とに基づき電動ポンプによる冷却媒体の供給量を制御することにより、電動機の現在の作動状態に加えて、作動状態の変化に応じて、適切な冷却を的確なタイミングで効率よく行うことができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の電動ポンプ制御装置によれば、共通の媒体を、冷却媒体として電動機へ供給すると共に潤滑媒体として動力伝達系へ供給することで、単一の電動ポンプにより媒体を循環させることができ、冷却および潤滑回路の構成を単純化することができる。
しかも、車両の速度と冷却媒体の温度とに基づき潤滑媒体の供給量を算出することにより、動力伝達系の作動状態に応じた適切な潤滑を効率よく行うことができる。
さらに、請求項5に記載の本発明の電動ポンプ制御装置によれば、外気温と車両の速度とに基づき電動ポンプの供給量を補正することで、媒体の温度状態に応じた適切な補正を行うことができる。
本実施の形態による電動ポンプ制御装置10は、例えば図1に示すように、前輪FW,FWに対し、フロントデファレンシャル(図示略)を介して、内燃機関(ENG)11とフロントモータジェネレータ(FMG)12とトランスミッション(T/M)13とを直列に直結し、後輪RW,RWに対し、リアデファレンシャル(DIFF)14aと一体に構成されたリアモータジェネレータ(RMG)14を接続してなる4輪駆動型のハイブリッド車両1に搭載されており、高圧バッテリ15と、フロントパワードライブユニット(FPDU)16と、リアパワードライブユニット(RPDU)17と、ダウンバータ(DV)18と、12Vバッテリ19と、電動オイルポンプ(EOP)20と、モータ・バッテリECU21と、リアモータ・バッテリECU22と、FIECU23と、T/MECU24と、マネージメントECU(MGECU)25とを備えて構成されている。
また、リアモータジェネレータ14の駆動力は、このリアモータジェネレータ14に一体に備えられ、左右の後輪RW,RW間で駆動力を配分するリアデファレンシャル14aを介して後輪RW,RWに伝達される。
そして、このハイブリッド車両1では、例えば、前輪FW,FWのみが駆動される前輪駆動状態と、後輪RW,RWのみが駆動される後輪駆動状態と、前輪FW,FW及び後輪RW,RWが駆動される4輪駆動状態とを適宜に選択可能とされている。
各モータジェネレータ12,14の駆動及び回生(発電)作動は、モータ・バッテリECU21およびリアモータECU22からの制御指令を受けて各パワードライブユニット16,17により行われる。
各パワードライブユニット16,17には各モータジェネレータ12,14と電力(例えば、各モータジェネレータ12,14の駆動またはアシスト動作時に各モータジェネレータ12,14に供給される供給電力や回生動作時に各モータジェネレータ12,14から出力される回生電力)の授受を行う高圧系の例えばニッケル−水素バッテリ等からなる高圧バッテリ15が接続されている。
各パワードライブユニット16,17の電力変換動作は、モータ・バッテリECU21またはリアモータ・バッテリECU22からPWMインバータの各スイッチング素子に入力されるパルス、つまりパルス幅変調(PWM)により各スイッチング素子をオン/オフ駆動させるためのパルスに応じて制御され、このパルスのデューティ、つまりオン/オフの比率のマップ(データ)は予めモータ・バッテリECU21およびリアモータ・バッテリECU22に記憶されている。
ダウンバータ18は、高圧バッテリ15の端子間電圧、あるいは、各パワードライブユニット16,17の制御による各モータジェネレータ12,14の回生動作により発生する電圧を降圧して12Vバッテリ19を充電する。
例えば、この油圧回路の一部をなすハイブリッド車両1のリア側に対する油圧回路30においては、図2に示すように、オイルパン31に蓄えられたオイルを流路32内に供給する電動オイルポンプ20から下流側にずれた位置に分流部33が設けられ、この分流部33には、例えば可変絞り弁34を介してリアデファレンシャル(DIFF)14aに潤滑オイルとしてオイルを供給する潤滑流路35と、例えばリリーフ弁36を介してリアモータジェネレータ14に冷却オイルとしてオイルを供給する冷却流路37とが接続され、さらに、リアデファレンシャル(DIFF)14aおよびリアモータジェネレータ14から排出された各オイルはオイルパン31へと還流するようになっている。
なお、この油圧回路30には、オイルパン31に蓄えられたオイルの温度(油温)Tを検出する温度センサ38が備えられ、この温度センサ38から出力される検出信号は、マネージメントECU(MGECU)25に入力されている。
リアモータECU22は、マネージメントECU25から入力される駆動または回生トルク指令に応じてリアモータジェネレータ14の駆動及び回生作動を制御すると共に、リアパワードライブユニット17の電力変換動作を制御する。
FIECU23は、内燃機関11への燃料供給量を調整する図示しない燃料噴射弁、スタータモータの作動、点火時期等の制御を行うと共に、
T/MECU24は、トランスミッション13の変速動作を制御する。
先ず、図3に示すステップS01においては、モータ軸トルクTMおよびモータ軸回転数NMおよび車速Vおよび油温Tの各検出値を取得する。
次に、ステップS02においては、取得したモータ軸トルクTMおよびモータ軸回転数NMに基づきモータ損出マップをマップ検索してモータ損失(仕事率)を算出する。
なお、モータ損失マップは、例えば図4に示すように、モータ軸トルクTMおよびモータ軸回転数NMに応じて変化するモータ損失(仕事率)のマップであって、予めマネージメントECU25に記憶されている。
また、所定時間間隔Δtにおけるモータ損失(仕事率)の変化ΔWを算出する際には、例えば図6に示すように、各モータジェネレータ12,14の駆動開始時刻t1から所定時間間隔Δt毎にモータ損失(仕事率)を算出し、この算出結果Wkを時刻tk(kは任意の自然数であって、1≦k≦nである)と共に記憶しておき、ステップS03の処理の実行を開始する現在時刻に最も近い時刻tn(nは任意の自然数)に対するモータ損失(仕事率)Wnから時刻tn−1に対するモータ損失(仕事率)Wn−1を減算する。
なお、時刻tn−1から時刻tnまでの期間における任意の時刻tでのモータ損失(仕事率)W(t)は、適宜の補完処理によって算出する。
このモータ冷却流量マップでは、例えば図7に示すように、損失量(仕事)Jが増大することに伴い、あるいは、油温Tが増大することに伴い、EOP供給流量QMが増大傾向に変化するように設定されており、このモータ冷却流量マップは、予めマネージメントECU25に記憶されている。
次に、ステップS07においては、取得した車速Vおよび油温Tに基づき動力伝達系潤滑流量マップをマップ検索して潤滑流路35内に供給されるオイルの流量(EOP供給流量)QTを算出する。
この動力伝達系潤滑流量マップでは、例えば図8に示すように、車速Vが増大することに伴い、あるいは、油温Tが増大することに伴い、EOP供給流量QTが増大傾向に変化するように設定されており、この動力伝達系潤滑流量マップは、予めマネージメントECU25に記憶されている。
次に、ステップS09においては、外気温Kの検出値を取得する。
次に、ステップS10においては、取得した外気温Kおよび車速Vに基づき補正係数γマップをマップ検索して補正係数γを算出し、この補正係数γによりEOP供給総流量Qallを補正する。つまり、ステップS08にて算出したEOP供給総流量QAllに補正係数γを積算して得た値(QAll×γ)を、新たなEOP供給総流量QAllとして設定する。そして、一連の処理を終了する。
なお、この補正係数γマップでは、例えば図9に示すように、車速Vが増大することに伴い、あるいは、外気温Kが低下することに伴い、補正係数γが減少傾向に変化するように設定されており、この補正係数γマップは、予めマネージメントECU25に記憶されている。
しかも、車速Vおよび油温Tとに基づきEOP供給総流量QAllを補正することで、オイルの温度状態に応じた適切な補正を行うことができる。
この流量マップでは、例えば図11に示すように、モータ損失(仕事率)が増大することに伴い、あるいは、油温Tが増大することに伴い、EOP供給流量QMが増大傾向に変化するように設定されており、この流量マップは、予めマネージメントECU25に記憶されている。
なお、この補正係数βマップでは、例えば図13に示すように、損失量(仕事)Jが増大することに伴い、あるいは、モータ損失(仕事率)が増大することに伴い、補正係数βが増加傾向に変化するように設定されており、この補正係数βマップは、予めマネージメントECU25に記憶されている。
なお、この冷却流量マップでは、モータ損失(仕事率)の平均値Waが増大することに伴い、あるいは、油温Tが増大することに伴い、EOP供給流量QMが増大傾向に変化するように設定されており、この流量マップは、予めマネージメントECU25に記憶されている。
12 フロントモータジェネレータ
14 リアモータジェネレータ(電動機)
20 電動オイルポンプ(電動ポンプ)
25 マネージメントECU(制御手段)
38 温度センサ(温度検出手段)
41 車速センサ(速度検出手段)
42 回転数センサ(回転数検出手段)
43 外気温センサ(外気温検出手段)
ステップS01 トルク算出手段
ステップS02 損失推定手段
ステップS03 損失変化予測手段
ステップS05、ステップS11 制御手段
Claims (5)
- 電動機および該電動機へ冷却媒体を供給する電動ポンプを具備する車両に搭載され、前記電動ポンプを制御する電動ポンプ制御装置であって、
前記冷却媒体の温度を検出する温度検出手段と、
前記電動機の損失を推定する損失推定手段と、
前記損失推定手段により推定された損失を所定時間ごとに記憶し、制御実行時点での直近から所定時間遡った時点までの間の損失を積算して、前記電動機の損失量を推定する損失量推定手段と、
前記損失量推定手段により推定された損失量と前記温度検出手段により検出された温度とに基づいて前記電動ポンプによる冷却媒体の供給量を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電動ポンプ制御装置。 - 電動機および該電動機へ冷却媒体を供給する電動ポンプを具備する車両に搭載され、前記電動ポンプを制御する電動ポンプ制御装置であって、
前記冷却媒体の温度を検出する温度検出手段と、
前記電動機の損失を推定する損失推定手段と、
前記損失推定手段により推定された損失に基づいて前記電動機の損失の変化を予測し、前記損失の変化の所定時間での変化率を算出する損失変化予測手段と、
前記損失推定手段により推定された損失と前記損失変化予測手段により予測された損失の変化率と前記温度検出手段により検出された温度とに基づいて前記電動ポンプによる冷却媒体の供給量を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電動ポンプ制御装置。 - 前記電動機のトルクを算出するトルク算出手段と、
前記電動機の回転数を検出する回転数検出手段とを備え、
前記損失推定手段は、前記トルク算出手段により算出されたトルクと前記回転数検出手段により検出された回転数とに基づいて前記電動機の損失を推定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動ポンプ制御装置。 - 前記車両の速度を検出する速度検出手段を備え、
前記電動ポンプは、前記電動機の冷却媒体が動力伝達系の潤滑媒体を兼ねるようにして、共通の媒体を、冷却媒体として前記電動機へ供給すると共に潤滑媒体として前記動力伝達系へ供給し、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度と前記速度検出手段により検出された速度とに基づいて前記電動ポンプによる前記動力伝達系への潤滑媒体の供給量を算出し、前記電動機への冷却媒体の供給量と前記動力伝達系への潤滑媒体の供給量とに基づいて前記電動ポンプによる前記共通の媒体の供給量を制御することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の電動ポンプ制御装置。 - 外気温を検出する外気温検出手段を備え、
前記制御手段は、前記電動ポンプの前記供給量を前記外気温検出手段により検出された外気温と前記速度検出手段により検出された速度とに基づいて補正することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の電動ポンプ制御装置。
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