JP4502234B2 - 型内成形用発泡粒子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、型内成形用発泡粒子に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、耐溶剤性及び機械的強度に優れたポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を与える型内成形用発泡粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂単独で構成される無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内で成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、耐薬品性、耐熱性、衝撃緩衝特性などに優れるといった理由から、衝撃緩衝材、断熱材、包装材等として、自動車部品、家電部品、重量物包装材及び雑貨等を含む幅広い用途に広く使用されている。
【0003】
これら良好な成形加工性等を併せ持ったポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を得るために利用できる無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、該発泡粒子の示差走査熱量分析による最も高温側に存在するピークの熱量(高温ピーク熱量)をある適正な範囲に制御した発泡粒子であり、そしてこの発泡粒子は型内等で一定の温度以上に加熱して成形される。近年、諸般のエネルギー事情から成形温度を低下せしめても良好な成形加工性を堅持できるポリプロピレン系樹脂発泡粒子が要望されていた。
【0004】
本発明者らは、発泡粒子としてポリプロピレン系樹脂に少量のポリスチレン系樹脂を添加したものを使用したところ、ポリプロピレン系樹脂単独のものを使用した場合に較べて成形時の成形温度を低下せしめることが可能なことを見いだした。しかしながら、その発泡粒子としては、ポリプロピレン系樹脂単独で構成される無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡粒子に較べて発泡倍率が低下しやすく、またその発泡粒子から得られた成形体は、成形直後には比較的良好な形状を維持したものであったが、その後徐々に収縮が大きくなってしまい、それを加熱下で養生を行っても形状回復に至るものではなかった。
【0005】
そこで、本発明者らは、ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂を混合するに際し、スチレン−ジエンブロック共重合体等を相溶化剤として添加して得られた樹脂を基材とする発泡粒子が、同一融点のポリプロピレン系樹脂のみからなる発泡粒子よりも成形温度を低くすることができ、なおかつ得られた発泡粒子成形体は加熱養生後の形状回復性に優れることを見出し、先に提案した(特願平10−307550号)。
しかしながら、この先願の実施例で得られた発泡粒子成形体は、60℃以上の温度雰囲気下における加熱養生後の形状回復性に優れるが、60℃を下回るより低い温度雰囲気下に放置した場合には収縮率の大きい発泡粒子成形体になってしまい、その点において改良の余地を残すものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、副成分としてポリスチレン系樹脂を含む混合樹脂を基材とする発泡粒子であって、収縮率が小さく、結果として加熱養生が不要であるか又は加熱養生における温度をより低くすることが可能な成形体を与える型内成形用発泡粒子を提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリプロピレン系樹脂にポリスチレン系樹脂を分散させてなる混合樹脂粒子からなる特定の発泡粒子であれば、型内における成形後、その発泡粒子成形体を60℃を下回る温度雰囲気下に放置してもほとんど収縮しないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂(a)60〜95%、ポリスチレン系樹脂(b)5〜40%、及び樹脂(a)と樹脂(b)以外の他のポリマー成分(c)0〜30%からなる混合樹脂(ただし、(a)+(b)+(c)=100%)を基材樹脂とする独立気泡構造の成形用発泡粒子であって、該発泡粒子を構成する気泡壁中に粒子径が10μm以下のポリスチレン系樹脂(b)が分散されており、該発泡粒子の熱流束示差走査熱量分析によって得られるDSC曲線に少なくとも2つの吸熱ピークを有し、最も高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量が2〜25J/gであり、見掛密度が0.2〜0.011g/cm であることを特徴とする型内成形用発泡粒子が提供される。また、本発明によれば、発泡粒子を構成する気泡壁中に粒子径が3μm以下のポリスチレン系樹脂(b)が分散されていることを特徴とする前記型内成形用発泡粒子が提供される。さらに、本発明によれば、前記他のポリマー成分(c)の少なくとも一成分が相溶化剤であり、該相溶化剤が混合樹脂中の2〜10%を占めることを特徴とする前記型内成形用発泡粒子が提供される。さらにまた、本発明によれば、該相溶化剤がスチレンとジエンとのブロック共重合体及び該共重合体におけるエチレン性二重結合の少なくとも一部を水素添加により飽和して得られる水素添加ブロック共重合体の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記型内成形用発泡粒子が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の基材樹脂の一成分となるポリプロピレン系樹脂(a)は、プロピレン成分を70%以上含有するプロピレン系(共)重合体樹脂であり、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等のプロピレン系重合体が挙げられる。本発明では、これらの樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記で例示した樹脂であれば良好な発泡体を製造することが可能であるが、これらの樹脂の中でも、特に、エチレン成分が0.5〜8.0%のプロピレン−エチレンランダム共重合体、ブテン−1成分が0.5〜13%のプロピレン−ブテンランダム共重合体、及びエチレン成分が0.5〜6.0%及びブテン−1成分が0.5〜10%のプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体の中から選ばれるプロピレン系共重合体を樹脂(a)として使用した樹脂粒子は発泡性が良好であり、またその発泡粒子は成形時に必要な加熱温度を低下させる効果に優れ、さらに、得られた発泡粒子成形体(以下、単に成形体とも言う)は20〜55℃の任意の雰囲気温度下に養生されてもほとんど収縮せず、その上、養生後の発泡粒子成形体は外圧が加わって圧縮された状態が長時間続いた後、その外圧を取り除いた後の寸法回復性に非常に優れる(圧縮永久ひずみの低減効果に非常に優れる)ので好ましい。
【0010】
一方、ポリスチレン系樹脂(b)は、スチレン成分を70%以上含有するスチレン系(共)重合体樹脂であり、例えば、スチレン単独重合体、ゴム変性スチレン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、ゴム変性スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジフェニルエチレン共重合体、ゴム変性スチレン−ジフェニルエチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。本発明ではこれらの樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記で例示した樹脂であれば良好な発泡体を製造することが可能であるが、これらの樹脂の中でも、特に、スチレン単独重合体又はスチレン−α−メチルスチレン共重合体を樹脂(b)として使用した樹脂粒子は発泡性が良好であり、またその発泡粒子は成形時に必要な加熱温度を低下させる効果に優れ、さらに得られた発泡粒子成形体は20〜55℃の任意の雰囲気温度下で養生されてもほとんど収縮せず、その上、養生後の発泡粒子成形体は圧縮永久ひずみの低減効果に非常に優れるので好ましい。
【0011】
樹脂(a)と樹脂(b)以外の他のポリマー成分(c)は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、必要に応じて添加されても良いポリマー成分であって、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィン(炭素数4以上)の共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂;ポリブテン樹脂;エチレン−プロピレン系ゴム;エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム;スチレン−ジエンブロック共重合体やスチレン−ジエンブロック共重合体のエチレン性二重結合の少なくとも一部を水素添加により飽和してなる水素添加ブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー;これら樹脂やエラストマー或いはゴムのマレイン酸変性物;これら樹脂やエラストマー或いはゴムのアクリル酸系モノマーによるグラフト重合物等が挙げられる。本発明ではこれら樹脂、エラストマー、ゴム或いはそれら変性物を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記で例示したポリマーであれば良好な発泡体を製造することが可能であるが、これらの中でも、特に、スチレン系熱可塑性エラストマーをポリマー成分(c)として使用した樹脂粒子は発泡性が良好であり、またその発泡粒子は成形時に必要な加熱温度を低下させる効果に優れ、さらに得られた発泡粒子成形体は20〜55℃の任意の雰囲気温度下で養生されてもほとんど収縮せず、その上、養生後の発泡粒子成形体は圧縮永久ひずみの低減効果に非常に優れるので好ましい。
【0012】
スチレン系熱可塑性エラストマーの中でも上記した効果に際立つスチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン−1,3−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−1,3−ペンタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−(2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン)ブロック共重合体、スチレン−(3−メチル−1,3−オクタジエン)ブロック共重合体、スチレン−(4−エチル−1,3−ヘキサジエン)ブロック共重合体等のスチレン−ジエンブロック共重合体(c−1)からなるものであるか、又はスチレン−1,3−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−1,3−ペンタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−(2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン)ブロック共重合体、スチレン−(3−メチル−1,3−オクタジエン)ブロック共重合体、スチレン−(4−エチル−1,3−ヘキサジエン)ブロック共重合体等におけるエチレン性二重結合の少なくとも一部を有機或いは無機の金属化合物系触媒で水素添加により飽和して得られる水素添加ブロック共重合体(c−2)からなるものである。
【0013】
前記ブロック共重合体(c−1)又は/及び水素添加ブロック共重合体(c−2)は、樹脂(a)と樹脂(b)との混合に際し、そこに添加されて両樹脂成分の相溶性を高める相溶化剤として働き、結果として発泡粒子成形体の収縮率の低減効果と圧縮永久ひずみの低減効果を高めることに寄与する。
本発明において、発泡粒子成形体の収縮率の低減と圧縮永久ひずみを低減する上で最も効果的なブロック共重合体(c−1)は、ブロック共重合体中のジエン成分量が15〜60%、好ましくは20〜55%のものでる、一方、水素添加ブロック共重合体(c−2)では、ジエン成分量が10〜90%、好ましくは20〜80%のスチレン−ジエンブロック共重合体におけるエチレン性二重結合を水素添加により70%以上、好ましくは85%以上飽和して得られる水素添加ブロック共重合体である。
【0014】
本発明の型内成形用発泡粒子(以下、成形用発泡粒子又は発泡粒子ともいう。)は、前記のポリプロピレン系樹脂(a)とポリスチレン系樹脂(b)とポリマー成分(c)を混合し溶融混練させて得られた樹脂を基材樹脂とするものであるが、溶融混練された樹脂中には、ポリプロピレン系樹脂(a)とポリスチレン系樹脂(b)とポリマー成分(c)の総和を100%とした場合、樹脂(a)が60〜95%、樹脂(b)が5〜40%、及びポリマー成分(c)が0〜30%含有されている必要がある(ただし、(a)+(b)+(c)=100%)。ポリスチレン系樹脂(b)の含有量が5%未満の時はそれから得られた発泡粒子成形体の機械的強度アップと断熱性アップの効果が不充分となり、逆に、40%超の時はポリプロピレン系樹脂発泡体が本来有する耐溶剤性を悪化させてしまう。更に、ポリスチレン系樹脂(b)の含有量が5%未満の時はそれから得られる発泡粒子は型内等における成形時の成形温度低減効果にも劣る。また、ポリプロピレン系樹脂(a)の含有量が60%未満の時はそれから得られた発泡粒子成形体はポリプロピレン系樹脂発泡体が本来有する耐溶剤性を悪化させてしまい、逆に、95%超の時はそれから得られた発泡粒子成形体の機械的強度アップと断熱性アップの効果が不充分となる。一方、ポリマー成分(c)は、その配合量が多くなるほどポリプロピレン系樹脂の優れた特性が失われたり、本発明の目的である発泡粒子成形体の収縮率の低減効果を阻害してしまう虞があるのでその配合量は必要最小限に止めるべである。従って、その配合割合は30%を上限とすべきである。
【0015】
以上の観点から、ポリプロピレン系樹脂(a)、ポリスチレン系樹脂(b)及びポリマー成分(c)の最も好ましい配合割合は、樹脂(a)と樹脂(b)とポリマー成分(c)の総和を100%とした場合、樹脂(a)が65〜91%、樹脂(b)が6〜32%、及びポリマー成分(c)が2〜10%である。尚、ポリマー成分(c)として用いる上記したスチレン系熱可塑性エラストマーは、樹脂(a)と樹脂(b)との混合に際し、そこに添加されて両樹脂成分の相溶性を高める相溶化剤として働き、結果として、樹脂(b)を樹脂(a)中に微分散化させることを容易とする。従って、そのようなスチレン系熱可塑性エラストマーはポリマー成分(c)として積極的に添加されるべきであり、樹脂(a)と樹脂(b)とポリマー成分(c)の総和を100%とした場合、その添加割合は2〜10%が好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーの添加割合が2%未満の時は樹脂(a)中に樹脂(b)を微分散化させることが困難となるか又はその微分散化のために長時間を要する虞がある。逆に10%超の時は発泡粒子の独立気泡率を大きく低下させてしまい、得られる成形体の圧縮強度や曲げ強度等の機械的強度を低下させてしまう虞がある。このような観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーの添加割合は3〜8%の範囲にするのがより好ましい。
【0016】
上記した樹脂(a)、樹脂(b)及びポリマー成分(c)は、溶融混練後、発泡粒子の製造に適した大きさの混合樹脂粒子に成形される。一般に、樹脂粒子1個の平均重量が0.1mg〜20mgであれば発泡粒子の製造に支障はない。混合樹脂粒子は1個の平均重量が0.2mg〜10mgの範囲にあり、更に粒子間の重量バラツキが少ないと発泡粒子の製造が容易となり、得られる発泡粒子の密度バラツキも小さくなり、発泡粒子の型内等への充填性が良好となる。混合樹脂粒子を得る方法としては、樹脂(a)、樹脂(b)及びポリマー成分(c)を、押出機内で溶融混練した後に押出機先端に取付けた微小穴を有する口金より紐状に押出し、引取機を備えた切断機で規定の重量又は大きさに切断し混合樹脂粒子を得る方法が好ましい。
【0017】
尚、混合樹脂粒子中には、さらに発泡核剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することができる。これらは通常、上記溶融混練の際に一緒に添加されて混合樹脂粒子中に含有される。上記発泡核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、天然ケイ酸、酸化チタン、シラス、石膏、ゼオライト、食塩、硼砂、水酸化アルミニウム等の無機化合物の他、カーボン、燐酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤等の有機系化合物が例示される。これら各種添加剤は、その添加目的により添加量が異なるが、樹脂(a)、樹脂(b)及びポリマー成分(c)からなる基材樹脂100重量部あたり15重量部を越えないように添加されるべきであり、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、2重量部以下が最も好ましい。
【0018】
本発明の成形用発泡粒子は、該発泡粒子を構成する気泡壁中に粒子径が10μm以下となるように樹脂(b)を微分散させる必要がある。その粒子径が10μmを越えて発泡粒子を構成する気泡壁中に分散されている場合には、そのような発泡粒子から製造される成形体は収縮率が大きくなり、20〜55℃の任意の雰囲気温度下で養生された場合には大きな収縮を伴った成形体しか得ることが出来ない。本発明においては、発泡粒子を構成する気泡壁中に分散された樹脂(b)の粒子径は小さいほど、得られる成形体の収縮率は小さい方向に向かうので、20〜55℃の範囲内のより低温下で養生しても成形体の収縮を小さく抑えることができる。従って、発泡粒子を構成する気泡壁中に分散された樹脂(b)の粒子径は、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが更に好ましい。その下限値は、通常、0.05μm程度である。そのような樹脂(a)中に樹脂(b)が微分散され気泡壁を持つ発泡粒子を製造するには、発泡前の混合樹脂粒子の段階においては、樹脂(b)が樹脂(a)中に微分散されている必要がある。そのような混合樹脂粒子は、樹脂(a)、樹脂(b)及び必要に応じてポリマー成分(c)とを、二軸押出機等の高度の混練が可能な溶融混練装置を使用して混練することにより得られる。
【0019】
発泡粒子を構成する気泡壁中の樹脂(b)の粒子径は、次の操作を行なって決定される。即ち、発泡粒子を任意の箇所で半分に切断する。次にその切断面の任意の箇所から任意の気泡膜を切り出す。続いてその気泡膜の周囲をエポキシ包埋樹脂で包埋する。それから気泡膜断面を含むようにガラスナイフで0.3mm四方にトリミングする。そしてこのトリミングされたものの気泡膜断面からダイヤモンドナイフで厚さ約0.1μmの超薄切片を切り出す。次に、2%四酸化オスミウム水溶液数mlと共にシャーレ内に上記超薄切片を室温で密封し、四酸化オスミウム蒸気に30分間暴露させ、続いて1%四酸化ルテニウム水溶液数mlと共にシャーレ内に上記超薄切片を室温で密封し、四酸化ルテニウム蒸気に25分間暴露させて前記気泡膜断面に対して染色を行なった後、無作為に選んだ任意の気泡膜断面の1箇所を透過型電子顕微鏡により拡大倍率30000倍に拡大して得た顕微鏡写真に基づいて樹脂(b)の前記気泡膜断面における染色された粒子径を測定する。なお、その粒子径とは、円の場合には直径を意味し、その他の形状においてはその断面における最大寸法を意味する。
以上の操作を、成形に供する一群の発泡粒子から無作為に選んだ5個の発泡粒子に対して行ない、顕微鏡写真5枚上に存在する染色された樹脂(b)の全粒子の直径又は最大寸法の総和を該全粒子の総数で除して求められる値を本発明では樹脂(b)の粒子径とする。
【0020】
本発明の発泡粒子を得る方法としては、樹脂(b)が樹脂(a)中に微分散されている前記混合樹脂粒子を、密閉し開放できる圧力容器に、分散媒、分散剤、物理発泡剤と共に充填し、撹拌下、密閉した状態で圧力容器内容物を加熱して発泡剤が樹脂に有効に含浸する温度まで圧力容器内容物の温度を上げ、次いで発泡温度にて一定時間保持した後、圧力容器内部の圧力より低圧の雰囲気に圧力容器を開放して容器内容物を容器外に放出して発泡粒子を得る方法(以下、ダイレクト発泡方法ということもある)が好ましく採用される。尚、ダイレクト発泡方法において、樹脂粒子中に予め分解型発泡剤を練り込んでおけば圧力容器中に物理発泡剤を配合しなくとも発泡粒子を得ることが可能である。尚、分散媒は臨界温度が80℃以上であり且つ100℃の分散媒1gに対する樹脂粒子の溶解度が0.1g以下となる分散媒であれば特に問題はないが、好ましくは水がよい。また、上記分散剤は分散媒への溶解が少なければ問題なく、具体例としては、たとえば、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、燐酸カルシウム、カオリン、マイカ等が挙げられる。この中では燐酸カルシウム、カオリンが特に好ましい。また、分散媒中には必要に応じて界面活性剤を添加することができる。
【0021】
上記物理発泡剤としては、不活性ガス、飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等で、これらの具体例としては、たとえばメタン、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロプロパン、1,1−ジメチルシクロプロパン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロブタン、1,1,2−トリメチルシクロプロパン、ベンゼン、塩化メチル、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン、1−クロロ−2,2,2−トリフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、ジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、アセトン、エチルメチルケトン、アセチルアセトン、二酸化炭素、窒素、空気等が挙げられる。
【0022】
また、上記分解型発泡剤としては、樹脂粒子の発泡温度で分解してガスを発生するものであれば使用でき、具体的には、たとえば重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アジド化合物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドまたは該温度で反応して炭酸ガスを発生する酸−アルカリの組み合わせ、例えば、クエン酸のモノアルカリ金属塩と炭酸のアルカリ金属塩の組合せ、クエン酸のモノアルカリ金属塩と重炭酸のアルカリ金属塩との組合せ等が挙げられる。
【0023】
このようにして得られる発泡粒子は、その後必要に応じて更に高発泡化される。得られた発泡粒子を高発泡化させるには、例えば、発泡粒子の気泡内に空気を浸透させて気泡内の空気圧を適当に高めておき、それら発泡粒子をスチーム加熱することで容易に実施できる。
【0024】
本発明の成形用発泡粒子において、その見掛密度は0.2〜0.011g/cmであ、0.09〜0.012g/cmであることが最も好ましい。発泡粒子の見掛密度は高くなりすぎても低くなりすぎても型内成形性を低下させてしまう虞がある。発泡粒子の見掛密度(g/cm)は次のようにして測定される。まず、発泡粒子は通過させないが空気は自由に通過できるサイズの針穴を多数穿設した70mm×100mm程度のポリエチレン製袋の中に複数個の発泡粒子を収容する。次に、この発泡粒子入り袋を23℃に保持しながら密閉容器内にて空気で加圧することにより2〜3kgf/cm(G)の空気内圧を発泡粒子に付与する。次いで、その袋を密閉容器内から大気圧下の23℃の恒温室に取り出し、そこで48時間放置してから秤に乗せて重量を読み、次いで、袋から発泡粒子の全てを取り出して袋の重量を読み取る。発泡粒子入り袋の重量と袋の重量の差を発泡粒子の重量:S(g)とする。続いて袋から取り出された発泡粒子の全量を直ちに23℃の水100cmが収容されたメスシリンダー内の水に水没させたときの目盛りから、発泡粒子の体積:Y(cm)を算出する。発泡粒子の見掛密度はSをYで除すことにより求められる。尚、以上の測定においては、発泡粒子重量:Sが0.5000〜10.0000gで、且つ体積:Yが50〜90cmとなる量の複数個の発泡粒子が使用される。
【0025】
また、本発明の成形用発泡粒子は、発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に2以上の吸熱ピークを有し、その中で最も高温側に存在するピーク(高温ピーク)の融解熱量が2〜25J/gであ、5〜20J/gであることが好ましい。その高温ピークの融解熱量が2J/gを下回ると、発泡粒子成形体の収縮が大きくなり易いので好ましくない。逆に、その高温ピークの融解熱量が25J/gを上回ると、成形時の成形温度を高くせざるをえなくなってしまうのであまり好ましくない。上記高温ピークの融解熱量は、得ようとする成形体の見掛密度が大きいほど前記範囲内の中でも小さい熱量のものを選択した方が発泡粒子の発泡に優れるため好ましく、得ようとする成形体の見掛密度が小さいほど前記範囲内の中でも大きい熱量のものを選択した方が成形体の収縮防止の観点から好ましい。
【0026】
上記高温ピークは、例えば二酸化炭素のような無機ガス発泡剤を使用して上記ダイレクト発泡方法を採用した場合、容器内容物の放出に先立って加熱温度を樹脂粒子の融点−2℃と、混合樹脂粒子の補外融解終了温度(JIS K 7121に規定された補外融解終了温度)−5℃との間の任意の温度に5〜90分、好ましくは10〜60分保持してから放出することにより生成させることができる。
上記高温ピークの融解熱量の大きさは、主として加熱保持温度、加熱保持時間、発泡剤の種類と使用量で調節される。
【0027】
尚、上記最も高温側に存在するピーク熱量は、発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られる上記DSC曲線上の80℃のところから最も高温側に位置する吸熱ピークの融解終了温度まで直線(A)を引き、最も高温側の吸熱ピークとその低温側に存在する吸熱ピークとにより形成される谷間の中央部から前記直線に垂直に交わるように直線(B)を引き、直線(B)以上のDSC曲線−直線(A)−直線(B)とで囲まれる面積に相当する熱量を意味する。尚、発泡粒子の高温ピークの頂点の温度は、後述の混合樹脂粒子の融点よりも通常は7℃以上高いところに現われる。また、混合樹脂粒子の融点とは、上記示差走査熱量測定において、220℃まで昇温した後、直ちに降温速度10℃/分で40℃まで低下させ、その後もう一度昇温速度10℃/分で220℃まで昇温したときに得られる最も高温側のピークの頂点を意味する。この融点は、ポリプロピレン系樹脂に基づくものであるが、ポリプロピレン系樹脂の特長を失わせないためには125℃以上が好ましく、130℃以上が望ましい。
なお、前記発泡体粒子に関するDSC曲線を測定するための示差走査熱量測定装置としては、株式会社島津製作所製の「島津熱流束示差走査熱量計DSC−50」を用いた。また、その測定は、発泡粒子1〜3mgを40℃以下の温度から220℃まで昇温速度10℃/分で昇温加熱することによって行なった。
【0028】
本発明の発泡粒子は、独立気泡構造(独立気泡率が45%以上)であるが、独立気泡率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが最も好ましい。その上限値は、通常、100%程度である。発泡粒子の独立気泡率は、ASTM−D2856−70に記載されている方法に準拠し、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定(発泡粒子は空気比較式比重計に付属された測定器内に収容されるサンプルカップ内に約25mmの高さまで入れて測定)された発泡粒子の真の体積Vxを用い、次式により独立気泡率S(%)を計算し、サンプル個数N=3の平均値で求めた。
【数1】
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (1)
Vx:上記方法で測定された発泡粒子の真の体積(cm )であり、発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用される発泡粒子を水没させて求めた発泡粒子の見掛け上の体積(cm )。
W:測定に使用された発泡粒子の全重量(g)。
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm
【0029】
また、本発明の発泡粒子は、易リサイクル性及びコスト低減のため無架橋のものであることが好ましい。ここでいう無架橋とは、発泡粒子を試料とし、キシレン100g中に試料約1gを入れて8時間煮沸した後、100メッシュの金網で速やかに濾過し、次いで該金網上に残った沸騰キシレン不溶解分を20℃で24時間乾燥させてから重量:G(g)を測定し、次式により求めた際に、その乾燥後の不溶解成分の割合が1.0%以下の場合を意味する。
【数2】
乾燥後の不溶解成分の割合(%)
=[G(g)÷試料重量(g)]×100 (2)
【0030】
本発明の発泡粒子から成形体を得るには、例えば、発泡粒子を、必要に応じて気泡内圧を高め、加熱及び冷却が可能であってかつ開閉し密閉できる型内に充填し、型内で発泡粒子同士を加熱して膨張させて融着させ、次いで冷却して型内から取り出すバッチ法や、或いは、特開平10−180888号公報に記載されたような、通路内の上下に沿って連続的に移動するベルト間に発泡粒子を供給し、加熱領域と冷却領域を順次通過させて成形し、通路内から取り出し、適宜長さに順次切断する連続法を採用すればよい。
【0031】
このようにして製造される発泡粒子成形体の見掛密度は、0.3〜0.010g/cm が好ましく、0.2〜0.011g/cmが更に好ましい。成形体の見掛密度が大きくなりすぎると弾力性、緩衝性、軽量性、断熱性といった発泡体ならではの好ましい特性が不充分となる。逆に、成形体の見掛密度が小さくなりすぎると連続気泡率が高まり、成形体の圧縮永久ひずみが大きくなってしまう虞がある。ASTM D2856−70の手順Cに従った本発明の成形体の連続気泡率は、通常40%以下であり、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。連続気泡率が小さいほど成形体の圧縮永久ひずみを小さくすることができる。その連続気泡率の下限値は、通常、5%程度である。
【0032】
本発明の発泡粒子から製造された成形体は、ポリプロピレン系樹脂発泡体の優れた耐油性、耐溶剤性、耐割れ性といった長所を実質的に保持している上、ポリスチレン系樹脂の存在によりポリプロピレン系樹脂単独の発泡粒子成形体よりも断熱性と剛性が向上されているので、従来のポリプロピレン系樹脂単独からなる発泡粒子成形体のあらゆる用途に使用でき、その上、断熱性、剛性及びエネルギー吸収能がアップされるので、従来のポリプロピレン系樹脂単独からなる発泡粒子成形体と同じ性能のものを望むのであれば、本発明の成形体は、より厚みを薄くできるか又は/およびより高発泡化させることができるので更なる軽量化に貢献する。
【0033】
さらに、本発明の発泡粒子から製造された見掛密度が0.025g/cm3以下の成形体であって、圧縮永久ひずみが小さく、板状のものは、構造部材間に挿入されて使用される建築用断熱材として好適である。そのような板状建築用断熱材は、弾力性が高いので構造部材間の間隔よりも0.5〜5.0mm程度広幅にしておけば構造部材間に挟まれてしっかりと固定され、その状態で長時間放置しても脱落の危険性が低いものである。また、そのような建築用断熱材は、ポリスチレン系樹脂分を含有しているためそれを含有していないものに比べ断熱性が高いので好ましい。更に、ポリプロピレン系樹脂を多量に含むため耐溶剤性に優れ、そのため有機溶剤を含む木材の防腐剤や防蟻剤に触れても実質的に溶解せずに充分耐える。従って、本発明の建築用断熱材は、メンテナンスのため有機溶剤を含む防腐剤や防蟻剤等の薬剤を床下で定期的に散布する際にその薬剤に触れる可能性が極めて高い大引−土台間、大引−大引間で使用されてもその薬剤で溶かされて断熱性能が低下したり、構造部材間から脱落する心配がほとんどない。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0035】
実施例1〜3、比較例1〜2
(i)ポリプロピレン系樹脂(a)としてエチレン成分含有量4%、MFR(230℃/2.16Kgf)8g/10分、融点137℃、密度0.896g/cm3のエチレン−プロピレンランダム共重合体、(ii)ポリスチレン系樹脂(b)としてMFR(200℃/5.0Kgf)4g/10分、密度1.050g/cm3のスチレン単独重合体、(iii)ポリマー(c)として旭化成工業株式会社製の水素添加ブロック共重合体である「タフテック H1041」(密度0.910g/cm3)又は日本合成ゴム株式会社製のブタジエン成分48%のスチレン−ブタジエンブロック共重合体「JSR TR2250」(密度0.980g/cm3)、及び(iv)気泡調整剤としてほう酸亜鉛微粉末を、表1に記載の配合で溶融混練して次のようにしてミニペレットを製造した。
実施例においては、上記(a)、(b)及び(c)の3成分を二軸押出機に供給し、230℃で溶融混練後、押出機先端に設けられたダイスよりストランド状に引取り次いで冷却して適宜長さにカットして混合樹脂ペレットを製造し、続いてその混合樹脂ペレットとほう酸亜鉛微粉末を単軸押出機に供給し、230℃で溶融混練後、押出機先端に設けられた口径2mmのノズルを16個有するダイスよりストランド状に引取り1個あたりの平均が約2mgのミニペレットを製造した。
一方、比較例においては、上記(a)、(b)、(c)及びほう酸亜鉛微粉末の4成分を単軸押出機に供給し、230℃で溶融混練後、押出機先端に設けられた口径2mmのノズルを16個有するダイスよりストランド状に引取り1個あたりの平均が約2mgのミニペレットを製造した。この際、押出機内で樹脂のゲル化は観察されなかった。
【0036】
次に、ミニペレット100重量部と水300重量部、分散剤としてカオリン0.3重量部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02重量部及び発泡剤としてドライアイス6重量部を、密閉し開放できる圧力容器内に仕込み1分当り200回転での撹拌下、表1に示す発泡温度の5℃手前の温度まで約2℃/分で昇温しその温度で15分間保持し、更に約2℃/分で昇温し発泡温度で15分間保持した。次に容器内を空気で40kg/cm2Gに保ちながら、容器内容物を容器の下端から大気中に放出して発泡粒子を得た。
【0037】
得られた発泡粒子を大気圧下で十分に乾燥させた後、見掛密度を測定した。その結果は表1の通りである。続いて、発泡粒子を空気で加圧された室温のタンク内に保持することにより気泡内に空気を浸透させて粒子内空気圧を高め、次いでタンク内から取り出して表1に記載された粒子内空気圧(二段発泡直前の粒子空気内圧)を示した時に表1に示す圧力のスチームを吹きつけて加熱を行なって表1に示すように発泡粒子の見掛密度を低下させた(この発泡粒子の見掛密度低下操作を二段発泡という。また、この二段発泡により見掛密度が低下された発泡粒子を二段発泡粒子という)。
【0038】
得られた二段発泡粒子を大気圧下で十分に乾燥させた後、見掛密度及び二段発泡粒子を構成する気泡壁中の樹脂(b)の粒子径を測定した。その結果は表1の通りである。
【0039】
続いて、各例の二段発泡粒子をそれぞれ空気で加圧された室温のタンク内に保持することにより気泡内に空気を浸透させて粒子内空気圧を高め、次いでタンク内から取り出して表1に記載された粒子内空気圧(型内成形直前の粒子空気内圧)を示した時に、60mm×300mm×300mmの内寸法を持つ成型用金型に、10mmのクラッキング(型締めを完全に行なわないことにより成形用金型の厚み方向の内寸法を70mmに広げた状態)を設けて充填し、次いで型締めを完全にしてから表1に示す圧力のスチームで加熱して成形した。冷却して金型から取り出された成形体は大気圧下23℃、相対湿度50%の恒温室に1週間放置することにより養生を終えた。
養生後の型内成形体に対する二次発泡性、融着性及び形状回復性の評価並びに圧縮永久ひずみの数値を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004502234
【0041】
表1中の評価に用いられている○、×、△の記号については下記評価基準に基づいた評価結果を意味している。
[二次発泡性]
○ ・・・成形体に金型形状が不足なく転写された場合。
△ ・・・成形体に金型の角部以外が不足なく転写された場合。
× ・・・成形体がおこし状となった場合。
[融着性]
○ ・・・得られた成形体に深さ約1mmの切り込みを入れ、成形体をせん断破壊強度以上の力で破壊する検査において、相互融着していた発泡粒子の70%以上が材料破壊を示した場合。
△ ・・・同検査において、相互融着していた発泡粒子の材料破壊が30%以上、70%未満である場合。
× ・・・同検査において、相互融着していた発泡粒子の材料破壊が30%未満である場合。
[養生後の形状回復性]
○ ・・・成形時の金型内容積を100%とした場合、恒温室に放置された後の成形体の体積が92〜103%を示す場合。
△ ・・・同成形体の体積が85%以上、92%未満の場合。
× ・・・同成形体の体積が85%未満の場合。
【0042】
また、発泡粒子成形体の圧縮永久ひずみはJIS K 6767の5.4項に従って測定された。尚、その測定では、養生後の成形体を大気圧下、23℃、相対湿度50%の恒温室に24時間放置したものを試験片として同恒温室内で試験操作が実施された。
【0043】
表1に示された結果より次のことが理解される。
ポスチレン系樹脂(b)がポプロピレン系樹脂(a)中に高度に溶融混練されて微分散した気泡壁を有する発泡粒子を使用して成形して得られた発泡粒子成形体は、常温下に放置されてもほとんど収縮しない優れた性能を示すことが分かる。また、ポスチレン系樹脂(b)がポプロピレン系樹脂(a)中に高度に溶融混練されて微分散した気泡壁を有する発泡粒子を使用して成形して得られた発泡粒子成形体は、ポスチレン系樹脂(b)がポプロピレン系樹脂(a)中に微分散されていない気泡壁を有する発泡粒子を使用して成形して得られた同等の見掛密度を有する成形体よりも圧縮永久ひずみが非常に小さいことが分かる。
【0044】
【発明の効果】
以上の通り、ポリプロピレン系樹脂(a)60〜95%、ポリスチレン系樹脂(b)5〜40%、及び樹脂(a)と樹脂(b)以外の他のポリマー成分(c)0〜30%からなる混合樹脂(ただし、(a)+(b)+(c)=100%)を基材樹脂とする独立気泡の成形用発泡粒子であって、該発泡粒子を構成する気泡壁中に粒子径が10μm以下となるようにポリスチレン系樹脂(b)が分散され、該発泡粒子の熱流束示差走査熱量分析によって得られるDSC曲線に少なくとも2つの吸熱ピークを有し、最も高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量が2〜25J/gであり、見掛密度が0.2〜0.011g/cm である本発明の型内成形用発泡粒子を用いて得られる発泡粒子成形体は、大気圧下、15〜55℃の範囲の任意の温度で養生しても成形体の収縮率を小さく維持することが可能である。そのため、加熱養生が不用であるか又は加熱養生における温度をより低くすることが可能となるので非常に有利である。

Claims (4)

  1. ポリプロピレン系樹脂(a)60〜95%、ポリスチレン系樹脂(b)5〜40%、及び樹脂(a)と樹脂(b)以外の他のポリマー成分(c)0〜30%からなる混合樹脂(ただし、(a)+(b)+(c)=100%)を基材樹脂とする独立気泡構造の成形用発泡粒子であって、該発泡粒子を構成する気泡壁中に粒子径が10μm以下のポリスチレン系樹脂(b)が分散されており、該発泡粒子の熱流束示差走査熱量分析によって得られるDSC曲線に少なくとも2つの吸熱ピークを有し、最も高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量が2〜25J/gであり、見掛密度が0.2〜0.011g/cmであることを特徴とする型内成形用発泡粒子。
  2. 該発泡粒子を構成する気泡壁中に粒子径が3μm以下のポリスチレン系樹脂(b)が分散されていることを特徴とする請求項1記載の型内成形用発泡粒子。
  3. 該他のポリマー成分(c)の少なくとも一成分が相溶化剤であり、該相溶化剤が混合樹脂中の2〜10%を占めることを特徴とする請求項1又は2に記載の型内成形用発泡粒子。
  4. 該相溶化剤がスチレンとジエンとのブロック共重合体及び該共重合体におけるエチレン性二重結合の少なくとも一部を水素添加により飽和して得られる水素添加ブロック共重合体の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の型内成形用発泡粒子。
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