JP4500120B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真方式による画像形成方法に関し、詳しくは感光体の表面を帯電部材で帯電する帯電工程、帯電された感光体上に露光装置を用い静電潜像を形成する露光工程、静電潜像をトナーにより可視像(トナー像)を形成する現像工程、該可視像を紙、樹脂フィルム等の記録材(転写材)に転写する転写工程、転写像を定着する定着工程、感光体の表面に残余するトナーを、該感光体の表面に圧接したクリーニングブレードにより除去、回収するクリーニング工程を有する画像形成方法に関するものである。
電子写真法とは、一般に、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像して可視像とし、可視像となったトナーを、必要に応じて選択される紙又はOHPシート等の記録材に転写した後、転写されたトナーを熱や圧力などにより定着して印刷物を得る方法をいう。
近年においては、画像形成装置の高機能化、カラー化が進んでおり、静電潜像をレーザーで形成する方法が採用され、高解像度と同時に高速化する技術が開発されている。さらに、画像形成装置の世界的な普及に伴い、画像形成が高温高湿から低温低湿まで広い範囲の環境条件で行われるようになり、これに適合する画像形成法が求められている。このため、トナーと画像形成装置の両面での改良が進められている。
トナーに対しては高解像度化に対応できるように小粒径化、粒子径分布のシャープ化が要求されている。従来、トナーは、着色剤及び帯電制御剤等を含有する熱可塑性樹脂を溶融混合して均一に分散した後、微粉砕装置により微粉砕し、得られた微粉砕物を分級機によって分級して製造される粉砕トナーが主として用いられてきた。
しかし、粉砕トナーは、小粒径化が困難であり、粒子径分布をシャープに分級操作が必要であり、製造工程が複雑であった。また粉砕トナーの表面には、粉砕により副生する微粉が付着しているため、帯電量の変化が発生しやすく画像濃度の低下など、画質の低下が発生しやすいものであった。
このような問題を解決するため、懸濁重合法をはじめとして、各種重合法によるトナーの製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法では、重合性単量体、着色剤及びラジカル重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、帯電制御剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、重合反応を行わせ所望の粒子径を有するトナー粒子(重合トナー)を得ている。重合トナーは、粒度分布が比較的狭いので、転写性やドット再現性に優れ、また、粒子内部に離型剤、着色剤や帯電制御剤が内包されているので、低温での定着が可能となり、且つ保存安定性の向上を図ることができる。
また、重合トナーは、コア層を構成する重合体のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する重合体層をシェル層として形成させた、いわゆるコア・シェル型の重合トナーとすることで、高画質で高温高湿下でも安定な帯電量を有するトナーが得易くなる。
重合トナーは以上のような多くの利点を有するが、その一方で、定着工程後に感光体上に残余するトナーのクリーニングが難しくなり画質を低下させるという問題を生じることが判明した。すなわち、重合トナーは形状が真球状に近いために、感光体に圧接されたクリーニングブレードをくぐり抜けるいわゆるすり抜け現象が起こりやすく、クリーニングが困難となる。 クリーニングを容易にするために感光体上のトナーの帯電量を通常より下げる方法があるが、この場合、長期使用時には帯電性がさらに低下しカブリや画像濃度の低下などの問題を生じる。
特にカラートナーによる画像形成においては、感光体に残余するトナーが存在していると、混色が発生するという問題があり、モノクロトナーを使用した画像形成方法以上に感光体の表面に残余するトナーを除去するクリーニング工程が重要となる。また、カラートナーの場合には、通常、モノクロトナーの着色剤として使用されるカーボンブラックと比較して、着色剤として使用される有機顔料自体の帯電性が高いため、残余するトナーが感光体により強く付着し、クリーニングが困難となるという問題があった。
重合トナーを使用した画像形成方法のクリーニング工程において、クリーニングブレードを用いることにより、感光体表面に残余するトナーをクリーニングする手段は開示されている。係るクリーニング工程におけるクリーニング性能の向上については、画像形成装置ないし画像形成方法やそれに使用されるトナー、クリーニングブレードの面から様々な検討が行われている(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献1には、一般的なポリウレタン弾性体にて形成したクリーニングブレードを使用し、重合トナーにホウ素又はリンを含有させることによって感光体表面に残余するトナーを効果的に除去しようとする画像形成方法が開示されている。
また特許文献2には、弾性体にて形成したクリーニングブレードの表面に微粒子を付着させることによって感光体表面に残余するトナーを効果的に除去しようとする画像形成方法が開示されている。
特開2002−311634号公報 特開2003−280474号公報
しかしながら、特許文献1、2のいずれの技術によっても、重合トナーのような球形かつ小粒径トナーを使用した画像形成方法において、一般的な環境(通常温度20〜25℃、湿度50〜60%)では問題がなくても、低温低湿環境(通常、温度10℃、湿度20%)で使用した場合に、クリーニング性能が低下することによって画質が低下することがあり、また高温高湿環境(通常、温度約30℃、湿度80%)で長時間使用した場合には、トナー帯電量の低下による画像濃度の低下やカブリが発生することがあった。
本発明の目的は、重合トナーのような球形かつ小粒径のトナーであっても、低温低湿環境の使用においてクリーニング性の低下せず、かつ高温高湿環境における使用においてもトナーの帯電量の低下による画像濃度の低下や、カブリの発生がない画像形成方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、トナーを構成する着色樹脂粒子の体積平均粒子径と平均円形度、及び感光体表面でのトナー帯電量の絶対値│Q│(単位重量当たりの帯電量)の範囲、並びにクリーニングブレード特性の範囲を特定することによって、低温低湿環境の使用においてクリーニング性能の低下による画質の低下を起こさず、かつ高温高湿環境における使用においてトナーの帯電量の低下による画像濃度の低下や、カブリの発生などの問題を発生することのないことを見出した。
すなわち、本発明によれば、トナーにより感光体に可視像を形成する現像工程、前記可視像を記録材に転写する転写工程、転写像を定着する定着工程及び転写後の感光体上に残余するトナーを、該感光体に圧接したクリーニングブレードにより回収するクリーニング工程を有する画像形成方法において、前記トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含む着色樹脂粒子及び外添剤とからなり、着色樹脂粒子の体積平均粒子径が4〜10μm、平均円形度が0.95〜0.995であり、感光体表面上でのトナー帯電量の絶対値│Q│が10〜80μC/gであり、
前記外添剤は、少なくとも一次粒子の個数平均粒径5〜20nmのシリカ微粒子(A)と体積平均粒径0.1〜0.5μmの球形シリカ微粒子(B)とを含有し、前記シリカ微粒子(A)の前記着色樹脂粒子100重量部に対する添加量が0.1〜2重量部であり、かつ前記球形シリカ微粒子(B)の添加量が0.5〜2.5重量部であり、
前記クリーニングブレードがポリエステルポリオールを構成原料とするポリウレタン弾性体にて形成され、ポリウレタン弾性体のショアA硬度が65〜80で、その粘弾性スペクトルにおけるtanδのピーク温度が−10℃〜+10℃、ピーク高さが0.90以下、かつピークの半値幅が25℃以上であることを特徴とする画像形成方法が提供される。
本発明の画像形成方法によれば、高解像度で高精細な画像を形成するために、球形かつ小粒径トナーを用いた場合であっても、定着工程後に感光体表面に残余するトナーを効率良く除去することができ、しかも常温常湿環境下ではもとより、低温低湿及び高温高湿の環境下でも、高精細で高画質の画像を形成することができる。
本発明の画像形成方法の好適な態様の一例は、感光体の表面を帯電部材で帯電する帯電工程、帯電された感光体上に露光装置を用い静電潜像を形成する露光工程、静電潜像をトナーにより現像して可視像を形成する現像工程、その可視像を記録材に転写する転写工程、定着工程、感光体の表面に残余するトナーを、感光体の表面に当接したクリーニングブレードにより除去するクリーニング工程を有する。
<画像形成装置>
以下、本発明の画像形成方法を、図面に基づき説明する。図1は、本発明の画像形成方法を適用することができる画像形成装置の一例を示す図である。図1に示すように、画像形成装置は、感光体として感光ドラム1を有し、矢印A方向に回転自在に装着してある。感光ドラム1は、導電性支持ドラム体の上に光導電層を設けたものであり、光導電層は、たとえば有機感光体、セレン感光体、酸化亜鉛感光体、アモルファスシリコン感光体などで構成される。光導電性層を導電性支持ドラムに結着させる樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
感光ドラム1の周囲には、その周方向に沿って、帯電部材としての帯電ロール3、露光装置としてのレーザー光照射装置4、現像装置11、転写ロール5及びクリーニングブレード13が配置してある。帯電工程は、帯電部材により、感光ドラム1の表面を、プラス又はマイナスに一様に帯電する工程である。帯電部材での帯電方式としては、図1で示した帯電ロール3の他に、ファーブラシ、磁気ブラシ、ブレード等で帯電させる接触帯電方式と、コロナ放電による非接触帯電方式があり、これらに置き換えることも可能である。
露光工程は、図1に示すような露光装置としてのレーザー光照射装置4により、画像信号に対応した光を感光ドラムの表面に照射し、一様に帯電されたドラムの表面に静電潜像を形成する工程である。このようなレーザー光照射装置4は、たとえばレーザー照射装置と光学系レンズとで構成される。この他にも、露光装置としては、LED照射装置があり、使用可能である。
現像工程は、露光工程により感光ドラム1の表面に形成された静電潜像に、現像装置11により、トナーを付着させて可視像とする工程であり、反転現像においては光照射部にのみトナーを付着させ、正規現像においては、光非照射部にのみトナーを付着させるように、現像ロール7と感光ドラム1との間にバイアス電圧が印加される。
図1に示す現像装置11は、一成分接触現像方式に用いられる現像装置であり、トナー10が収容されるケーシング12内に、現像ロール7と供給ロール9とを有する。現像ロール7は、感光ドラム1に一部接触するように配置され、感光ドラム1と反対方向Bに回転するようになっている。供給ロール9は、現像ロール7に接触して現像ロール7と同じ方向Cに回転し、現像ロール9の外周にトナー10を供給するようになっている。この他の現像方式としては、一成分非接触現像方式、二成分接触現像方式、二成分非接触現像方式があり、これらの方式を採用してもよい。
現像ロール7の周囲において、供給ロール9との接触点から感光ドラム1との接触点との間の位置には、トナー層厚規制部材としての現像ロール用ブレード8が配置してある。このブレード8は、たとえばゴム弾性体又は金属で構成してある。
転写工程は、現像装置11により形成された感光ドラム1表面のトナー像を、紙などの記録材6に転写する工程であり、通常、図1に示すような転写ロール5によって転写が行なわれているが、その他にもベルト転写方式、及びコロナ転写方式も公知であり、使用可能である。定着工程は転写像を熱ロール等で定着する工程であり、クリーニング工程は、感光ドラム1の表面に残余するトナーをクリーニングする工程であり、本発明においては図1に示すようなクリーニングブレード13を使用する。
定着工程では、転写ローラー5でトナー像を転写材上に転写し、150℃−200℃の温度に加熱した上部の加熱ロールと下部のロール2の間で加圧し、トナー像を転写材上に定着する。
図1に示す画像形成装置では、感光体の1例である感光ドラム1は、帯電ロール3によりその表面が負極性に全面均一に帯電されたのち、レ−ザー光照射装置4により静電潜像が形成され、さらに、現像装置11によりトナー像(可視像)が現像される。続いて、感光ドラム1上の可視像は転写ロール5により、紙などの記録材に転写され、感光ドラムの表面に残余するトナーは、クリーニングブレード13によりクリーニングされ、この後、次の画像形成サイクルに入る。
本発明の画像形成方法に使用されるクリーニングブレードは、金具14装着後に図2に示すように、感光ドラムの表面にその回転方向と逆方向から(つまりカウンター方向に)接触させ、所定の侵入量dで、所定の設定角θで当接されている。ここで、侵入量dとは、クリーニングブレードの先端部が変形せず、そのまま感光ドラムへ侵入したと想定したときのブレード軸線に対する垂線方向の侵入量であり、設定角θは、そのクリーニングブレードの先端面と感光ドラムとが交わる点の接線とクリーニングブレードの軸線とがなす角度である。この侵入量dは0.7〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.5mmである。これより大きいとクリーニングブレードが捲れることがある。逆に小さいと、クリーニング不良を起こすことがある。設定角θは通常10〜30°である。この値が大きいと、クリーニングブレードが捲れることがある。逆に小さいと、クリーニング不良を起こすことがある。クリーニングブレードの先端部の厚みは1〜2.5mmで、好ましくは1.2〜2.3mm、さらに好ましくは1.4〜2.1mmである。この厚みが大きいと、感光体を磨耗させることが有り、逆に小さいと捲れることがある。
図1に示す画像形成装置は、モノクロ用のものであるが、カラー画像を形成する複写機やプリンター等のカラー画像形成装置にも本発明の画像形成方法は適用できる。カラー画像形成装置としては、感光ドラム等の感光体上で多色のトナー像を現像させ、それを記録材に一括転写させる多重現像方式、感光体上には単色のトナー像のみを現像させた後、記録材に転写させる操作をカラートナーの色の数だけ繰り返し行う多重転写方式がある。また、多重転写方式には、転写ドラムに記録材を巻きつけ、各色ごとに転写を行う転写ドラム方式、中間転写体上に各色毎に一次転写を行い、中間転写体上に多色の画像を形成させた後、一括して二次転写を行う中間転写方式、感光体廻りをタンデムに配置させ、記録材を転写搬送ベルトで吸着搬送させて、順次各色を記録材に転写を行うタンデム方式があり、この中でもタンデム方式が高速機にも適用可能であり好ましい。
<トナー>
本発明の画像形成方法では、特定のトナーを用い、感光体表面でのトナー帯電量の絶対値|Q|が10〜80μC/gとすることを特徴としている。
本発明の画像形成方法に用いるトナーは、着色樹脂粒子と外添剤からなる。
トナーを構成する着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvは、4〜10μm、好ましくは4〜9μm、より好ましくは5〜8μmである。体積平均粒径は、実施例に記載の方法により測定した値である。着色樹脂粒子の体積平均粒径が上記範囲内にあることによって、高解像度で高精細な画像を形成することができる。
着色樹脂粒子は、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpで表わされる粒径分布が、好ましくは1.0〜1.3であり、より好ましくは1.0〜1.2である。着色樹脂粒子の粒径分布Dv/Dpが上記範囲にあると、カスレの発生がなく、転写性が良好で、印字濃度及び解像度の高いトナーを得ることができる。 着色樹脂粒子の体積平均粒径及び個数平均粒径は、例えば、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定することができる。
着色樹脂粒子の平均円形度は、0.950〜0.995、好ましくは0.960〜0.995、より好ましくは0.970〜0.990である。着色樹脂粒子の平均円形度が上記範囲内にあると、細線再現性を良好にすることができる。
着色樹脂粒子の円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長と、粒子の投影像の周囲長との比として定義される。平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する一つの方法であり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標である。平均円形度は、着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が凹凸になるほど小さな値となる。平均円形度(Ca)は、次式(数1)により求めた値である。
Figure 0004500120
上記式(数1)において、nは、円形度Ciを求めた粒子の個数である。円形度Ciは、0.6〜400μmの、円相当径の粒子群の各粒子について測定した円周長を元に、次式(数2)により算出された各粒子の円形度である。
[数2]
Ci=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
また上記式(数1)において、fiは、円形度Ciの粒子の頻度である。円形度及び平均円形度は、例えば、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA-2100」や「FPIA−2000」を用いて測定することができる。
本発明では、トナーの感光体表面での帯電量の絶対値|Q|が10〜80μC/g、好ましくは15〜55μC/gの範囲内となるように制御して画像形成を行う。帯電量の絶対値は、温度23℃及び湿度50%の常温常湿(N/N)環境下でベタ印字を行い、そして、感光体上に現像されたトナーを吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、機種名「210HS−2A」)により吸引し、トナーの吸引量(g)と測定値(μC)に基づいて、トナーの単位重量当りの帯電量Q(μC/g)を算出する方法により測定した。トナーには正帯電性トナーと負帯電性トナーとがあるため、トナーの単位重量当りの帯電量は、プラス又はマイナスの帯電量の絶対値|Q|で表わした。 帯電量の、絶対値の測定法の詳細は、実施例に記載したとおりである。
トナーの感光体上での帯電量の絶対値が上記範囲内にあることにより、クリーニング性と画質を高度にバランスさせることができる。トナーの感光体表面での帯電量の絶対値が大きすぎると、高温高湿環境下でのクリーニング性が低下し、カブリも発生し易くなる。トナーの感光体表面での帯電量の絶対値が小さすぎると、クリーニング性は比較的良好であるものの、高温高湿の環境下での印字濃度が低下し、カブリも発生し易くなる。
感光体表面でのトナーの帯電量の絶対値は、後述する着色樹脂粒子に含有される帯電制御剤の種類及び量、外添剤の種類及び量、感光体の構成、現像ロールの構成、感光体と現像ロール間のバイアス電圧等を調整することによって上記範囲内にすることができる。
トナーの感光体表面での現像量M/A(現像後の感光体上でのトナー量)は、0.3〜0.8mg/cmの範囲内にあることが好ましい。この現像量は、実施例に記載の測定法により測定した値である。すなわち、感光体上に現像されたトナーを吸引式帯電量測定装置により吸引する。この測定装置のファラデーゲージに予め重量を正確に測定したフィルターを取り付け、吸引後に吸引した部分の感光体の面積A(cm)を測定し、この測定値Aとファラデーゲージの重量増加分〔すなわち、吸引量M(mg)〕とから現像量M/A(mg/cm )を算出する。現像後の感光体上でのトナー量(現像量)が少なすぎると、印字濃度が低下傾向を示す。現像量が上記範囲にあることによって、印字濃度を適正な範囲とすることができる。
着色樹脂粒子と外添剤とを含有するトナーは、pH7のイオン交換水により煮沸処理して得られる抽出液のpHが4〜8を示すものである。pHは、実施例に記載の方法により測定した値である。このpHは、好ましくは5〜8、特に好ましくは5〜7である。pHを上記範囲に制御することにより、各種環境下での印字濃度に優れたトナーを得ることができる。
本発明で使用するトナーを構成する着色樹脂粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子である。着色剤に加えて、離型剤及び帯電制御剤を含有していることが好ましい。結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体等の従来からトナーの技術分野において広く用いられている結着樹脂を挙げることができる。
着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、磁性粉、オイルブラック、チタンホワイトの他、あらゆる着色剤及び染料を用いることができる。黒色のカーボンブラックは、一次粒径が20〜40nmであるものが好適に用いられる。粒径がこの範囲にあることにより、カーボンブラックをトナー中に均一に分散でき、カブリも少なくなるので好ましい。フルカラートナーを得る場合は、通常、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を使用する。
イエロー着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。イエロー着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、90、93、97、120、138、155、180、181、185、186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。マゼンタ着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物とその誘導体、アントラキノン化合物などが挙げられる。シアン着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60等が挙げられる。 着色剤の使用割合は、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタムなどの石油系ワックスとその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどの多官能エステル化合物;などが挙げられる。
離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。離型剤の中でも、合成ワックス及び多官能エステル化合物が好ましい。また、離型剤の中でも、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が好ましくは30〜150℃、より好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは50〜80℃の範囲にある多官能エステル化合物が、定着時の定着−剥離性バランスに優れるトナーが得られるので好ましい。分子量が1000以上であり、25℃でスチレン100重量部に対し5重量部以上溶解し、酸価が10mgKOH/g以下である離型剤は、定着温度の低下に顕著な効果を示すので特に好ましい。このような多官能エステル化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート及びペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましい。吸熱ピーク温度とは、ASTM D3418-82によって測定される値を意味する。離型剤の配合割合は、結着樹脂100重量部に対して、通常3〜20重量部、好ましくは5〜15重量部である。
本発明の画像形成方法に使用するトナーを構成する着色樹脂粒子は、帯電制御剤を含有していることが好ましい。帯電制御剤としては、従来からトナーの技術分野において使用されているものであればよく、特に制限されない。帯電制御剤の中でも、帯電制御樹脂を含有させることが好ましい。その理由は、帯電制御樹脂は、結着樹脂との相溶性が高く、無色であり、高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定したトナーを得ることができるからである。帯電制御樹脂は、特開昭63−60458号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報、特開平11−15192号公報などの記載に従って製造される4級アンモニウム(塩)基含有共重合体などの正帯電制御樹脂および特開平1−217464号公報、特開平3-15858号公報などの記載に従って製造されるスルホン酸(塩)基含有共重合体などの負帯電制御樹脂が挙げられる。
これらの共重合体に含有される4級アンモニウム(塩)基又はスルホン酸(塩)基等の官能基を有する単量体単位の割合は、帯電制御樹脂の重量基準で、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜8重量%である。官能基を含有する単量体単位の割合が上記範囲にあると、トナーの帯電量を制御し易く、カブリの発生を少なくすることができる。
帯電制御樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2000〜50000、より好ましくは4000〜40000、特に好ましくは6000〜35000である。帯電制御樹脂の重量平均分子量が上記範囲にあると、オフセットの発生や定着性の低下を抑制することができる。
帯電制御樹脂のガラス転移温度は、好ましくは40〜80℃、より好ましくは45〜75℃、特に好ましくは45〜70℃である。帯電制御樹脂のガラス転移温度が上記範囲にあると、トナーの保存性と定着性とをバランス良く向上させることができる。 帯電制御剤の配合割合は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは1〜6重量部である。
着色樹脂粒子は、粒子の内部(コア層)と外部(シェル層)に異なる二つの重合体を組み合わせて得られるコア・シェル型(「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コア・シェル型着色樹脂粒子では、内部(コア層)の低軟化点物質をそれより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができるので好ましい。コア・シェル型着色樹脂粒子のコア層は、前記結着樹脂及び着色剤で構成され、必要に応じて、帯電制御剤や離型剤などの各種添加剤が含有され、シェル層は、結着樹脂のみで構成される。
コア・シェル型着色樹脂粒子のコア層とシェル層との重量比率は、特に限定されないが、通常80/20〜99.9/0.1の範囲から選択される。シェル層の割合を上記割合にすることにより、トナーの保存性と低温での定着性を兼備することができる。
コア・シェル型着色樹脂粒子のシェル層の平均厚みは、通常0.001〜0.1μm、好ましくは0.003〜0.08μm、より好ましくは0.005〜0.05μmである。シェル層の厚みが大きくなりすぎると定着性が低下し、小さくなりすぎると保存性が低下する。コア・シェル型着色樹脂粒子を形成するコア粒子は、すべての表面がシェル層で覆われている必要はなく、コア粒子の表面の一部がシェル層で覆われていればよい。
コア・シェル型着色樹脂粒子のコア粒子径及びシェル層の厚みは、電子顕微鏡により観察できる場合は、その観察写真から無作為に選択した粒子の大きさとシェル厚みを直接測ることにより得ることができる。電子顕微鏡による観察では、コアとシェルとを明瞭に観察することが困難な場合は、コア粒子の粒径とトナー製造時に用いたシェルを形成する単量体の量に基づいて、シェル層の厚みを算出することができる。
本発明で使用する着色樹脂粒子は、所定の特性を有するものを得ることができる方法であれば、その製造方法に特に制限はないが、重合法によって製造することが好ましい。そこで、以下、重合法によりトナーを構成する着色樹脂粒子を製造する方法について説明する。
重合法により着色樹脂粒子を製造するには、先ず、結着樹脂の原料である重合性単量体に、着色剤、帯電制御剤、及びその他の添加剤を溶解あるいは分散させて重合性単量体組成物を調製する。この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に微細な液滴として分散させ、ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う。重合後、濾過、洗浄、脱水、及び乾燥することにより、着色樹脂粒子を回収する。
重合性単量体としては、例えば、モノビニル単量体、架橋性単量体、マクロモノマー等を挙げることができる。この重合性単量体が重合され、結着樹脂成分となる。
モノビニル単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル等の(メタ)アクリル系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる。モノビニル単量体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらモノビニル単量体の中でも、芳香族ビニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル系単量体との組合せなどが好適に用いられる。
モノビニル単量体と共に、架橋性単量体を用いると、ホットオフセットが有効に改善される。架橋性単量体は、2個以上のビニル基を有する単量体である。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアクリレート等を挙げることができる。これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋性単量体の使用割合は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.1〜2重量部である。
モノビニル単量体と共に、マクロモノマーを用いると、トナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素-炭素不飽和二重結合を有するものであり、数平均分子量が通常1000〜30000のオリゴマー又はポリマーである。
マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーの使用割合は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類等が挙げられる。上記ラジカル重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いてもよい。
ラジカル重合開始剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜15重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部である。ラジカル重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加しておいてもよいが、好ましくない早期重合を抑制するために、重合性単量体組成物の液滴形成中又は形成後の水系分散媒体中に添加してもよい。
水性分散媒体には、分散安定化剤を含有させる。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の無機水酸化物;などの無機化合物が挙げられる。分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることもできる。分散安定化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の無機水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、分散安定化剤の洗浄後の残存量が少なく、かつ、画像を鮮明に再現することができるトナーが得られ易いので好ましい。
分散安定化剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部である。分散安定化剤の使用量が上記範囲にあると、十分な重合安定性を得られ、重合凝集物の生成が抑制されるので好ましい。
重合に際して、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類等が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前又は重合途中に重合性単量体組成物に添加することができる。分子量調整剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
コア・シェル型着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、スプレイドライ法、界面反応法、in situ 重合法、相分離法などの方法が挙げられる。より具体的には、粉砕、重合法、会合法又は転相乳化法により得られた着色樹脂粒子をコア粒子とし、該コア粒子にシェル層を被覆することにより、コア・シェル型着色樹脂粒子を得ることができる。この製造方法の中でも、in situ 重合法や相分離法が製造効率の点から好ましい。
以下、in situ 重合法によるコア・シェル構造を有する着色樹脂粒子の製造方法について説明する。コア粒子(着色樹脂粒子)を分散させた水系分散媒体中に、シェルを形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とラジカル重合開始剤を添加し、重合することにより、コア・シェル型構造を有する着色樹脂粒子を得ることができる。
シェルを形成する具体的な方法としては、コア粒子を得るために行った重合反応の反応系にシェル用重合性単量体を添加して継続的に重合する方法;別の反応系で得たコア粒子を仕込み、これにシェル用重合性単量体を添加して重合する方法などを挙げることができる。シェル用重合性単量体は、反応系内に一括して添加しても、あるいはプランジャポンプなどのポンプを使用して、連続的もしくは断続的に添加してもよい。
シェル用重合性単量体としては、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのガラス転移温度が80℃を超える重合体を形成する単量体を、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シェル用重合性単量体を添加する際に、水溶性のラジカル重合開始剤を添加すると、コア・シェル型構造を有する着色樹脂粒子が得られ易くなるので好ましい。シェル用重合性単量体の添加の際に水溶性ラジカル重合開始剤を添加すると、シェル用重合性単量体が移行したコア粒子の外表面近傍に水溶性ラジカル重合開始剤が移動し、コア粒子表面に重合体層(シェル)を形成し易くなると考えられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス−[2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2-ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド]等のアゾ系開始剤などを挙げることができる。水溶性ラジカル重合開始剤の使用割合は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
重合温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60〜95℃である。反応時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。重合終了後には、常法に従って、濾過、洗浄、脱水、及び乾燥の操作を行うが、この操作は、数回繰り返すことが好ましい。
重合によって得られる着色樹脂粒子(着色重合体粒子)を含有する水系分散液は、分散安定化剤として無機水酸化物等の無機化合物を使用した場合は、酸又はアルカリを添加して、分散安定化剤を水に溶解して、濾過、洗浄により除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性無機水酸化物のコロイドを使用した場合には、酸を添加して、水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸、蟻酸、酢酸などの有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
水系分散媒中から着色樹脂粒子を濾過・脱水する方法は、特に制限されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法などを挙げることができる。これらの中でも、遠心濾過法が好適である。
本発明で使用するトナーは、着色樹脂粒子と外添剤を含有する現像剤である。必要に応じて、その他の微粒子を添加してもよい。重合法などにより調製した着色樹脂粒子(コア・シェル型着色樹脂粒子を含む)は、各種現像剤の主成分として使用することができるが、一成分現像剤として使用することが好ましく、非磁性一成分現像剤として使用することがより好ましい。外添剤としては、流動化剤や研磨剤などとして作用する無機微粒子や有機樹脂微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機樹脂微粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル共重合体で形成されたコア−シェル型粒子などが挙げられる。
これらの中でも、無機酸化物の微粒子が好ましく、シリカ微粒子が特に好ましい。無機微粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好適である。外添剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよく、外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる無機微粒子同士又は無機微粒子と有機樹脂微粒子とを組み合わせる方法が好適である。
シリカなどの無機微粒子は、疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理された無機微粒子は、一般にも市販されているが、その他、シランカップリング剤やシリコーンオイル等で疎水化処理して得ることもできる。疎水化処理の方法としては、上記微粒子を高速で撹拌しながら、処理剤であるシリコーンオイル等を滴下又は噴霧する方法、処理剤を溶解して撹拌している有機溶媒中に微粒子を添加混合した後、熱処理する方法等が挙げられる。前者の場合、処理剤は有機溶媒等で希釈して用いてもよい。
疎水化の程度は、メタノール法で測定される疎水化度が20〜90%であることが好ましく、40〜80%であることがより好ましい。疎水化度がこの範囲にあると、高温高湿下で吸湿し難く、十分な研磨性を得ることができる。
外添剤の使用割合(単独又は合計の使用割合)は、特に限定されないが、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常0.1〜6重量部である。外添剤を着色樹脂粒子に付着させるには、通常、着色樹脂粒子と外添剤とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて撹拌する。
外添剤としては、一次粒子の個数平均粒径5〜20nm、好ましくは7〜15nmのシリカ微粒子(A)と体積平均粒径0.1〜0.5μmの球形シリカ微粒子(B)とを組み合わせて使用することが好ましく、更に一次粒子の個数平均粒径が25〜80nm、好ましくは30〜60nmのシリカ微粒子(C)を組み合わせることがより好ましい。これらの微粒子を併用することにより、感光体表面へのトナーフィルミングの形成や画像のカスレを抑制することができる。
球形シリカ微粒子(B)は、後述する方法で測定する球形度が1〜1.5、好ましくは1〜1.3、更に好ましくは1〜1.2である。球形度の上記の範囲にすることで環境安定性を良好にすることができる。
球形シリカ微粒子(B)は、その粒径分布において、小粒径側から起算した体積粒径が10%に該当する粒径をDv10とし、同じく50%に該当する粒径をDv50とした場合、Dv50とDv10との比(Dv50/Dv10)が1.8以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。Dv50/Dv10が1.8より大きい球形シリカ微粒子を用いると、トナーのブロッキングや感光体へのトナーのフィルミングを効果的に抑制することができる。
球形シリカ微粒子(B)の嵩密度は、50〜250g/lであることが好ましく、80〜200g/lであることがより好ましい。嵩密度をこの範囲にすることにより、感光体へのトナーのフィルミングやカブリの発生、及びクリーニング性の低下を抑制することができる。
シリカ微粒子(A)の配合割合は、着色樹脂粒子100重量部に対して、0.1〜2重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。シリカ微粒子(A)の配合割合を上記範囲とすることにより、クリーニング性の低下や、低温低湿下での印字汚れや定着不良の発生を効果的に抑制することができる。
球形シリカ微粒子(B)の配合割合は、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常0.5〜2.5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。球形シリカ微粒子(B)の配合割合を上記範囲にすることにより、クリーニング性の低下やカスレの発生を抑制することができる。
シリカ微粒子(C)の配合割合は、着色樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.2〜2重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。シリカ微粒子(C)の配合割合を上記範囲にすることにより、クリーニング性の低下や、低温低湿下での印字汚れや定着不良の発生を効果的に抑制することができる。
<クリーニングブレード>
本発明のクリーニングブレードはポリウレタン弾性体にて形成されたものであり、ポリエステルポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖延長剤、架橋剤を構成原料として重合反応させることにより得られる。
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸等のジカルボン酸の1種以上と、エチレングリコール(EG)、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール(BD)、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(NPG)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールの1種以上を縮重合させて得られる縮合ポリエステル、上記のグリコールをポリエステルの重合開始剤成分としてε−カプロラクトンやバレロラクトン等のラクトン類を開環付加重合させることにより得られる開環重合ポリエステルが使用可能である。
上記のポリエステルポリオールの中でも、ネオペンチルグリコール(NPG)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の側鎖含有グリコールを構成成分とするポリエステルポリオールの使用が好ましく、特にネオペンチルグリコールを構成成分とするポリエステルポリオールの使用が好ましい。ポリエステルポリオールは、末端基定量法による平均分子量が800〜3000の2官能ポリオールを使用することが好ましく、平均分子量の異なるポリオールを併用してもよく、組成の異なる2種以上のポリエステルポリオールを使用してもよい。
ポリエステルポリオール化合物の中でも、ε−カプロラクトンやバレロラクトン類を開環重合させたラクトン系ポリエステルポリオールを使用することは、優れた耐摩耗性を有するクリーニングブレードを得ることができるので、とりわけ好適な態様である。
ショアA硬度が65〜80、粘弾性スペクトルにおけるtanδのピーク温度が−10℃〜+10℃、ピーク高さが0.90以下、ピークの半値幅が25℃以上のポリエステルポリオールを構成原料とするポリウレタン弾性体は、側鎖含有グリコールを構成成分とするポリエステルポリオールの使用により容易かつ確実に製造することが可能である。ポリエステルポリオール全量中の側鎖含有グリコールの含有率は、1〜10重量%であることが好ましく、2〜8重量%であることがより好ましい。また、本発明に使用する球形トナーを使用した場合に低温低湿環境から高温高湿環境までの広い範囲において優れたクリーニング性能を有することから、ネオペンチルグリコールを構成成分とするラクトン重合体ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
本発明のクリーニングブレードを形成するポリウレタン弾性体の構成成分であるジイソシアネート化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート化合物、水素添加4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加m−キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物が例示できる。ジイソシアネート化合物も2種以上を併用することができる。
上記のジイソシアネート化合物の中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用が好適である。
本発明のポリウレタン弾性体の一般的な合成法としては、以下の方法が使用可能である。
a)ワンショット法:原料ポリエステルポリオール、多官能イソシアネート、架橋剤、鎖延長剤を混合し、反応させてポリウレタン弾性体とする方法
b)プレポリマー法:原料ポリエステルポリオールと多官能イソシアネートとを反応させて末端イソシアネートのプレポリマーとし、該プレポリマーと鎖延長剤及び架橋剤を含む硬化剤成分とを反応させてポリウレタン弾性体とする方法
c)擬似プレポリマー法:原料ポリエステルポリオールの配合量の一部を多官能イソシアネートと反応させて擬似プレポリマーとし、残りのポリエステルポリオール、鎖延長剤及び架橋剤を含む硬化剤成分と該擬似プレポリマーとを反応させてポリウレタン弾性体とする方法
これらの方法のなかでもクリーニングブレードを構成するポリウレタン弾性体の合成法としては擬似プレポリマー法又はプレポリマー法が好ましい。
鎖延長剤としては、グリコールを使用する。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が例示される。鎖延長剤としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールの少なくとも1種を使用することが好ましい。
架橋剤としては、3官能以上の多価アルコール類を使用する。具体的には、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン等が例示される。架橋剤は2種以上を併用することができる。架橋剤としては、トリメチロールプロパンを使用することが好ましい。
ポリウレタン弾性体の製造に際しては、ポリウレタン重合触媒を使用してもよく、係る重合触媒としては、ジブチル錫ジラウレートやオクチル酸錫等の有機錫触媒、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等の第3級アミン触媒、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸金属塩触媒、イミダゾール系触媒等が例示される。これらの中でも、第3級アミン触媒の使用が好ましい。
クリーニングブレードの製造は、公知の方法で行うことができる。クリーニングブレードの製造工程は、例えば、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させてイソシアネートプレポリマー又はイソシアネート擬似プレポリマーを製造するプレポリマー製造工程、イソシアネートプレポリマー又は擬似プレポリマーと硬化剤成分とを混合して反応性組成物とする混合工程、反応性組成物を成形する成形工程を有する。成形工程は所定のクリーニングブレードの成形キャビティーを有する金型を使用し、該成形キャビティーに反応性組成物を注入して反応硬化させて所定形状のクリーニングブレードとする工程であってもよく、平板状や円筒状の金型を使用してシート状成形体とするシート成形工程及び該シート状成形体を所定形状のクリーニングブレードに裁断する裁断工程を含む工程であってもよい。
クリーニングブレードは、一般的には図2に示したように金具に接着剤等により固定してブレードと金具が一体化されたクリーニングブレードユニットとして画像形成装置に装着使用する。
クリーニングブレードは、少なくとも感光体当接部近傍には、微粒子を付着させたものであることが好適な態様である。ブレードに微粒子を付着させる具体的な方法としては、例えば、微粒子を各種有機溶剤や界面活性剤、アクリル系エマルジョン、アクリル系ディスパージョンなどに分散させて分散液を調製し、該分散液を感光体の所定部分に塗布し、乾燥させる方法や、本発明の球形トナーを粉体の状態で付着させる方法等を採用することができる。これらの中でも、 感光体表面の未転写トナーを除去するためのクリーニングブレードの少なくとも感光体と接触する部分の表面に、非イオン性界面活性剤を塗布し、該塗布面に単位面積当たりの付着量1〜10mg/cm2の範囲内で微粒子を付着させた後、乾燥させる方法が好ましい。
上述の微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上である。微粒子の平均粒子径は、より好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.3〜15μm、特に好ましくは0.5〜10μmである。使用する微粒子は、不定形、立方体、直方体、多面体などの非球形であってもよく、球形であってもよい。
微粒子によって表面処理されたクリーニングブレードの好ましい製造方法は、クリーニングブレードの少なくとも感光体と接触する部分の表面に、非イオン性界面活性剤を塗布し、湿潤した状態で微粒子と接触させて、略均一に塗布し、しかる後、通常30〜90℃、好ましくは35〜60℃の温度で乾燥させる方法である。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、いずれも重量基準である。本発明における特性及び物性の評価方法は、次のとおりである。
(評価方法)
(1)着色樹脂粒子の体積粒径及び粒径分布:
着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、並びに体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpで表わされる粒径分布は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径100μm、媒体イソトン、サンプル濃度10%、測定粒子個数100000個の条件で行った。
(2)平均円形度:
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、さらに着色樹脂粒子0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度を3000〜10000個/μLとなるように調整し、1μm以上のシリカの投影面積に径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてシスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
(3)球形シリカ微粒子の体積平均粒径及び粒径分布(Dv50/Dv10):
シリカ微粒子0.5gを100ml容量のビーカーに入れ、界面活性剤を数滴滴下し、イオン交換水50mlを加え、超音波ホモジナイザーUS−150Tを用いて5分間分散させた後、マイクロトラックUPA150(日機装社製)を用いて体積平均粒径及び粒径分布を測定した。
(4)シリカ微粒子の個数平均粒径:
シリカ微粒子の個数平均粒径は、各粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置ルーゼックスIID〔(株)ニレコ製〕により、フレーム面積に対する粒子の面積率:最大2%、トータル処理粒子数:100個の条件でシリカの投影面積に対応する円相当径を算出し、その平均値を求めた。
(5)球形度:
球形シリカ微粒子の絶対最大長を長径とした円の面積Scを粒子の実質投影面積Srで割った値の球形度Sc/Srは、各粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置ルーゼックスIID〔(株)ニレコ製〕により、フレーム面積に対する粒子の面積率=最大2%、トータル処理粒子数=100個の条件で測定し、計算した100個についての平均値を球形度とした。
(6)疎水化度:
球形シリカ微粒子の疎水化度は、メタノール法により求めた。シリカ微粒子0.2gを500mlのビーカーに入れ、純水50mlを加え、マグネチックスターラーで撹拌しながら、液面下ヘメタノールを加えた。液面上に微粒子が認められなくなった点を終点とし、下記式により疎水化度を算出した。
疎水化度(%)=〔X/(50+X)〕×100
上記式において、Xは、メタノールの使用量(ml)である。
(7)感光体上でのトナー帯電量:
市販の非磁性一成分カラープリンターである(沖データ社製、機種名「マイクロライン 5300」)のクリーニングブレード部分を交換した改造機を用い、温度23℃及び湿度50%の(N/N)環境下で、黒トナーカートリッジの位置に製造例のトナーを充填したカートリッジを装着して評価した。ベタ印字を行い、次いで、2枚目のベタ印字を途中で停止させた後、感光体上に現像されたトナーを、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、機種名210HS-2A)を用いて単位重量当たりのトナー帯電量の絶対値│Q│(μC/g)を求めた。このとき、クリーニングブレードの侵入量を1.2mmとし、設定角θを25°とした。
(8)水抽出液のpH:
トナー6gをpHが7のイオン交換水100gに分散させ、加熱して10分間煮沸して抽出液とした。別途煮沸したイオン交換水を前述の抽出液に添加して煮沸時の蒸発水分を補充して元の容量とした後に室温に冷却して測定用抽出液を得てpH測定を行った。
<原料製造例>
(製造例1)負帯電制御樹脂1(CCR1)の合成
スチレン85%、n−ブチルアクリレート13%、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸2%からなる重合性単量体100部をトルエン900部中に投入し、アゾビスジメチルバレロニトリル4部の存在下、80℃で8時間反応させた。反応終了後、トルエンを減圧留去して、スルホン酸基含有共重合体を得た。該スルホン酸基含有共重合体の重量平均分子量(Mw)は、22000であった。該スルホン酸基含有共重合体を負帯電制御樹脂1(CCR1)と呼ぶ。負帯電制御樹脂1(CCR1)の「官能基を持つ構造単位の重量%」は、2%である。
(製造例2)負帯電制御樹脂2(CCR2)の合成
スチレン82%、n−ブチルアクリレート11%、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7%からなる重合性単量体100部をトルエン900部中に投入し、アゾビスジメチルバレロニトリル4部の存在下、80℃で8時間反応させた。反応終了後、トルエンを減圧留去して、スルホン酸基含有共重合体を得た。該スルホン酸基含有共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10000であった。該スルホン酸基含有共重合体を負帯電制御樹脂2(CCR2)と呼ぶ。負帯電制御樹脂(CCR2)の「官能基を持つ構造単位の重量%」は、7%である。
(製造例3)球形シリカ微粒子1の製造
シリカ粉末(平均粒子径2μm、最大粒子径60μm)のSiO分1.0モルと、金属シリコン粉末(平均粒子径10μm、最大粒子径100μm)0.8モルからなる混合粉末100部と純水50部とを混合し、薄型容器内に入れ、2000℃の電気炉へバッチ連続供給した。混合原料の送入と同じ方向から水素ガスを導入し、水素ガス及び発生したガスを反対方向上部に設けた排気ブロワーで吸引し、さらに空気400Nm/hrと接触させ、冷却しながらバグフィルターでシリカ微粒子を捕集した。このシリカ微粒子を風力分級機で分級した。得られたシリカ微粒子は、Dv50/Dv10=2.54であり、一次粒子の体積平均粒径が0.2μmであり、球形度が1.12であった。
このシリカ微粒子に、アルコールで希釈したヘキサメチルジシラザンを、シリカ微粒子に対してヘキサメチルジシラザンが1%となるように滴下し、強く撹拌しながら70℃、30分間加熱し、次いで、140℃で溶剤を除去し、さらに210℃で4時間、強く撹拌しながら加熱処理を行い、疎水化処理した球形シリカ微粒子1を得た。得られた球形シリカ微粒子1の疎水化度は70%であり、嵩密度は110g/lであった。
<トナー製造例>
(トナー製造例1)
スチレン80.5部、n−ブチルアクリレート19.5部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマーAA6(東亜合成化学工業製)0.5部、ジビニルベンゼン0.6部、t−ドデシルメルカプタン1.2部、及びマゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122(クライアント社製)6部を、メディア型湿式粉砕器(ピコミル;浅田鉄工社製)にて湿式粉砕し、製造例1で得られた負帯電制御樹脂1(CCR1)3部、及びエステル化合物であるジペンタエリスリトールヘキサミリステート(日本油脂工業製)10部を添加、混合、溶解してコア用重合性組成物を得た。
一方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム11.8部を溶解した塩化マグネシウム水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.6部を溶解した水酸化ナトリウム水溶液を撹拌しながら徐々に添加し、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
他方、メチルメタクリレート1部とイオン交換水65部を混合してシェル形成用重合性単量体水分散液を調製した。
上記の水酸化マグネシウムコロイド分散液に、前記コア用重合性組成物を投入し、液滴が安定するまで撹拌した。液滴が安定した後、ラジカル重合開始剤のt−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB;日本油脂社製)6部を添加し、エバラマイルダーを用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断撹拌して、さらに小さいコア用重合性組成物の液滴を形成させた。このコア用重合性組成物の液滴が分散した水酸化マグネシウムコロイド分散液を、撹拌翼を装着した反応容器に入れ、昇温して95℃にて温度が一定になるように制御した。重合転化率がほぼ100%に達した後に前記シェル用重合性単量体水分散液に水溶性ラジカル重合開始剤2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド〕(商品名VA−086;和光純薬社製)0.3部を溶解し、それを反応容器に入れた。4時間重合を継続した後、反応を停止してコア・シェル型の着色重合体粒子の水分散液を得た。
得られた着色重合体樹脂粒子の水分散液を室温で撹拌しながら、10%の硫酸により洗浄して系のpHを4.5にした。この水分散液を濾過脱水した後にさらに40℃のイオン交換水250部を添加して水分散液とした後に該水分散液を濾過脱水し、再度40℃のイオン交換水250部を添加して同様にして洗浄を行った。得られた着色重合体粒子を乾燥して、着色樹脂粒子を得た。このとき、着色樹脂粒子の体積平均粒径は6.7μm、平均円形度は、0.973であった。
得られた着色樹脂粒子100部に、外添剤として、製造例3で得た体積平均粒径が0.2μmの球形シリカ微粒子1(球形度=1.12、疎水化度=70%)1部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて5分間、回転数1400rpmで撹拌し、さらに、撹拌機のジャケットを水冷しながら一次粒子の個数平均粒径12nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名「R−104」、疎水化度=45%)1部、一次粒子の個数平均粒径50nmのシリカ微粒子(クラリアント社製、商品名「HDK−H05TX」、疎水化度=80%)0.5部を添加し、回転数1400rpmで10分間撹拌し、トナー(マゼンタトナー)を調製した。得られたトナーは、煮沸処理による抽出液のpHは5.8であった。
(トナー製造例2)
トナー製造例1において、一次粒子の個数平均粒径12nmのシリカ微粒子の使用量を1部から1.5部とし、一次粒子の個数平均粒径50nmのシリカ微粒子を使用しない以外は、トナー製造例1と同様にしてトナーを調製した。得られたトナーは、煮沸処理による抽出液のpHは6.8であった。
(トナー製造例3)
トナー製造例1において、負帯電制御樹脂1(CCR1)に代えて負帯電制御樹脂2(CCR2)を使用した以外は、トナー製造例1と同様にしてトナーを調製した。ここで、得られた着色樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv)は6.8μm、平均円形度は0.970であり、得られたトナーは、煮沸処理による抽出液のpHは4.6であった。
(トナー製造例4)
スチレン80.5部、n−ブチルアクリレート19.5部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマーAA6(東亜合成化学工業製)0.8部、ジビニルベンゼン0.3部、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122(クライアント社製)6部、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部、帯電制御剤としてサリチル酸亜鉛塩誘導体(オリエント化学工業社製、商品名「E−84」)1部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部を高剪断力で混合可能なホモミキサー(TK式、特殊機化工業社製)により、12000rpmの回転数で撹拌、混合して、均一分散させて、コア用重合性組成物とした。
一方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム9.8部を溶解した塩化マグネシウム水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.9部を溶解した水酸化ナトリウム水溶液を撹拌しつつ徐々に添加し、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
上記の水酸化マグネシウムコロイド分散液に、前記コア用重合性組成物及び四ホウ酸ナトリウム十水和物を1部添加し、プロペラ式撹拌機を用いて撹拌混合して、重合性組成物分散液を得、次いで、回転子回転数21,000rpmで稼働している造粒装置クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニック社製)に、ポンプを用いて、重合性組成物分散液を供給し、コア用重合性組成物の液滴を造粒した。この造粒した組成物水分散液を、撹拌翼を装着した反応容器に移した。重合性組成物水分散液を加熱し、重合を開始した。この時、水分散液温度が90℃で一定になるように、重合反応器ジャケット温度と重合反応溶液内温度とを測定し、カスケード制御法などを用いてジャケット温度をコントロールして制御した。
重合転化率がほぼ100%に達したのを確認して、メタクリル酸メチル2部を添加し、さらに、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド〕0.2部をイオン交換水100部に溶解したラジカル重合開始剤溶液を反応容器に添加、重合させ、着色重合体粒子の水分散液を得た。この着色重合体粒子を脱水、洗浄、乾燥してコア・シェル型の着色樹脂粒子を得た。このとき、着色樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv)は7.3μm、平均円形度は0.970であった。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、一次粒子の個数平均粒径12nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名「RX200」、疎水化度=65%)1部、一次粒子の個数平均粒径40nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名「RX50」、疎水化度64%)0.5部及び一次平均粒子径0.38μm、球形度1.13のポリスチレン微粒子0.5部を同時に添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合してトナーを製造した。得られたトナーは、煮沸処理による抽出液のpHは3.8であった。
(クリーニングブレード製造例1)
2官能のポリエステルポリオール化合物であるプラクセル230CP(ネオペンチルグリコール(NPG)を開環重合開始剤とするポリε−カプロラクトンポリオール;数平均分子量3000;ダイセル化学工業製)59.81部に対して4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)40.19部を添加し、窒素気流中にて80℃にて3時間反応させてNCO基末端擬似プレポリマーを得た。
80℃に加熱した前記NCO基末端擬似プレポリマーに対して、1,4−ブタンジオールを開始剤とし、触媒を使用してε−カプロラクトンを開環付加させて得られた2官能のポリエステルポリオール化合物としてプラクセル220(数平均分子量2000;ダイセル化学工業製)16.70部、架橋剤としてトリメチロールプロパン(TMP)5.70部及び鎖延長剤として1,4−ブタンジオール(BD)5.20部の混合物である硬化剤成分を添加、撹拌して反応性組成物とした後に真空脱泡を行い、内面が直径340mm、幅600mmの成形面である円筒状金型に反応性組成物をキャスティングして150℃にて1時間加熱反応させて硬化させて厚さ1.6mmのシート状ポリウレタン弾性体を成形した。シート状ポリウレタン弾性体は金型より脱型し、120℃にて6時間ポストキュアを行った後にさらに室温で7日放置、熟成した。
該シート状ポリウレタン弾性体を裁断して縦12mm,横238mmのクリーニングブレード1を作製し、ホットメルト接着剤を使用して所定の金具に貼着し、クリーニングブレードユニット1とした。
(クリーニングブレード製造例2)
プラクセル230CPの使用量を59.81部としたままでプラクセル220の使用量を25.50部、TMPの使用量を3.04部、BDの使用量を7.37部とした以外はクリーニングブレード製造例1と同様にしてクリーニングブレードユニット2を作製した。
(クリーニングブレード製造例3)
プラクセル230CPの使用量を59.81部としたままでプラクセル220の使用量を27.24部、TMPの使用量を2.31部、BDの使用量を7.91部とした以外はクリーニングブレード製造例1と同様にしてクリーニングブレードユニット3を作製した。
(クリーニングブレード製造例4)
プラクセル230CPを使用せずにプラクセル220の使用量を86.36部とし、MDIの使用量を43.12部としてNCO基末端プレポリマーを作製し、TMPの使用量を3.12部、BDの使用量を7.21部とした以外はクリーニングブレード製造例1と同様にしてクリーニングブレードユニット4を作製した。
(クリーニングブレード製造例5)
プラクセル230CPを使用せずにプラクセル220の使用量を109.64部とし、MDIの使用量を43.12部としてNCO基末端プレポリマーを作製し、TMPの使用量を2.18部、BDの使用量を7.12部とした以外はクリーニングブレード製造例1と同様にしてクリーニングブレードユニット5を作製した。
<画像評価>
(実施例1〜3、比較例1〜3)
以下の評価方法に記載の装置を使用し、(表2)上段に記載のトナーとクリーニングブレードの組合せにて画像評価を行った。各評価においては、定着量(M/A)が0.40mg/cm2となるよう規制ブレードで 調整を行った。また、現像装置は、市販の非磁性一成分カラープリンター(沖データ社製、機種名「マイクロライン 5300」)のクリーニング部分を交換した改造機を用いた。クリーニングブレードの設定角θは25°、侵入量dは1.2mmとした。
(評価方法)
(1)印字濃度
上記の現像装置に印字用紙をセットし、改造したプリンターの黒トナーカートリッジの位置に、製造例で調製したトナーを充填したカートリッジを装着し、現像ロール上に供給されるトナー量が0.40mg/cmとなる1点に設定した。温度23℃、湿度50%の(N/N)環境下で一昼夜放置した後、5%印字濃度で初期から連続印字を行い、10枚目印字時にベタ印字を行い、マクベス式反射型画像濃度測定機を使用して印字濃度を測定した。同様に、トナーを温度30℃、湿度80%の(H/H)環境下で2週間放置した後に該トナーを現像装置に入れて印字濃度を測定した。
(2)耐久性
上記の現像装置にトナーを入れ、温度23℃、湿度50%の(N/N)環境、及び温度30℃、湿度80%の(H/H)環境2種の環境下で一昼夜放置した後、5%印字濃度で連続印字を行い、500枚ごとにベタ印字と白ベタ印字を行った。印字濃度は、ベタ印字したものについてマクベス式反射型画像濃度測定機を使用して測定した。
上記の白ベタ印字後に、感光体表面に粘着テープ(スコッチメンディングテープ810−3−18;住友スリーエム社製)を貼着して残余するトナーを付着させ、該粘着テープを新しい印字用紙に貼りつけて測定サンプルとした。粘着テープのみを新しい印字用紙に貼り付けて基準サンプルとした。測定サンプルと基準サンプルについて分光色差計SE−2000(日本電色社製)を使用して色調を測定し、それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値を求めた。カブリ値は、小さい方が、カブリが少なく、画質が良好であることを示す。
耐久性の評価は、上記のベタ印字を行った際の印字濃度が1.3以上で、かつ白ベタ印字を行った際のカブリ値が1%以下である画質を維持できる連続印字枚数を10000枚まで評価した。評価結果に、「>10000」とあるのは、10000枚連続で印字しても、上記基準を満たしていることを示す。
(3)クリーニング性
上記の現像装置に評価用のクリーニングブレードサンプルを取り付けた。現像装置に製造例にて示したトナーを入れ、印字用紙をセットした後に、温度10℃、湿度20%の(L/L)環境及び温度23℃、湿度50%の(N/N)環境下で一昼夜放置した後、初期から5%濃度で連続印字を行い、500枚印字終了ごとに感光体及び帯電ロールを目視により観察してクリーニング不良による筋(フィルミング)が発生しているかを評価し、クリーニング不良発生の有無を10000枚印字まで評価した。評価結果は、クリーニング不良が発生した印字枚数を示した。評価結果に、「>10000」とあるのは、10000枚連続で印字しても、感光体及び帯電ロールにトナーが付着しなかったことを示す。
(4)クリーニングブレードの特性
a)tanδピーク特性
ポリウレタンエラストマー製クリーングブレードの粘弾性特性(tanδピーク)は、以下の条件で測定した。
粘弾性測定機: レオロジー社製 DVE−V4
測定サンプルの大きさ: 20mmL×5mmW
初期ひずみ: 0.3mm
振幅 : 40μm
周波数: 10Hz
昇温速度: 2.5℃/分
使用したサンプルは、製造例で示したシート状ポリウレタン弾性体から切り出した長さ20mm、幅5mmの短冊状サンプルである。
b)硬度
硬度はJIS K 6253に準拠して、ショアA硬度を測定した。測定は、製造例において得られた厚さ1.6mmのシート状ポリウレタン弾性体を6枚重ねて厚さ9.6mmとしたサンプルについて行った。
クリーニングブレードの特性評価結果は(表1)に、またプリンターを使用した画像形成の評価結果は(表2)に、それぞれまとめて示した。
Figure 0004500120
Figure 0004500120
(表2)の評価結果より、球形トナーとクリーニングブレードが本発明の範囲内の場合には、耐久性、クリーニング性のいずれについても良好であったが、トナーが範囲を外れた比較例1並びにクリーニングブレードが範囲外である比較例2、3においては、耐久性ないしクリーニング性において満足できるものではなかった。
本発明の画像形成方法を適用することができる画像形成装置の一例を示す概略図 クリーニングブレードを感光体に圧接した状態を示した図
符号の説明
1 感光ドラム
3 帯電ロール
4 光照射装置
5 転写ロール
10 トナー
11 現像装置
13 クリーニングブレード

Claims (4)

  1. トナーにより感光体に可視像を形成する現像工程、前記可視像を記録材に転写する転写工程、転写像を定着する定着工程及び転写後の感光体上に残余するトナーを、該感光体に圧接したクリーニングブレードにより回収するクリーニング工程を有する画像形成方法において、前記トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含む着色樹脂粒子及び外添剤とからなり、着色樹脂粒子の体積平均粒子径が4〜10μm、平均円形度が0.95〜0.995であり、前記外添剤は、少なくとも一次粒子の個数平均粒径5〜20nmのシリカ微粒子(A)と体積平均粒径0.1〜0.5μmの球形シリカ微粒子(B)とを含有し、前記シリカ微粒子(A)の前記着色樹脂粒子100重量部に対する添加量が0.1〜2重量部であり、かつ前記球形シリカ微粒子(B)の添加量が0.5〜2.5重量部であり、感光体表面上でのトナー帯電量の絶対値│Q│が10〜80μC/gであり、
    前記クリーニングブレードがポリエステルポリオールを構成原料とするポリウレタン弾性体にて形成され、ポリウレタン弾性体のショアA硬度が65〜80であり、その粘弾性スペクトルにおけるtanδのピーク温度が−10℃〜+10℃、ピーク高さが0.90以下、かつピークの半値幅が25℃以上であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記外添剤は、更に一次粒子の個数平均粒径が25〜80nmのシリカ微粒子(C)を含有し、前記シリカ微粒子(C)の着色樹脂粒子100重量部に対する添加量が0.2〜2重量部である請求項に記載の画像形成方法。
  3. 前記ポリエステルポリオールが、その分子鎖中に側鎖含有グリコールを構成成分として含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 前記ポリエステルポリオールが、その分子鎖中に側鎖含有グリコールをポリエステルの重合開始剤成分として含有するラクトン系ポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
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