JP4498901B2 - 成膜装置の排気方法 - Google Patents

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この発明は、成膜装置の排気管にバラストガスを合流させバラスト制御する方法及び装置に関する。
常圧熱CVD等の成膜装置において、均一な成膜を行なうためには成膜ヘッド(成膜部)近傍でのガス流れを安定させる必要がある。この安定化方法として、一般的には、排気管の排気圧力を一定にする方法が採られている。その一例として、排気管に常温のバラストガスを導入し、このバラストガスの流量を調節する方法がある。
特開昭62−224685号公報 特開昭63−17520号公報 特開平3−174720号公報 特開平7−37831号公報
成膜部からの排出ガス中には膜化成分が多少含まれているため、これが排気管の内壁に粉体状に付着しやすい。そうすると、排気管の流路が狭くなり排気抵抗が増大してしまう。その対策として、例えば排気管の内壁にフッ素樹脂系のコーティングや鏡面仕上げを施す方法もあるが、一旦付着してしまうと、効果がほとんど無くなってしまう。
一方、排出ガス中の反応生成物に水分やアルコール分が含まれていると排気管内壁への付着が促進される。そこで、排気管を外側から加熱することにより、水分やアルコール分を気化させ、反応生成物を乾燥させて付着を抑制する方法もある。しかし、この場合も排気管の内壁に一旦付着が起きると、熱が管路内に伝わりにくくなり、排出ガスを加温することができず、付着低減効果が薄れてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、
成膜部からの排気管にバラストガスを合流させ、このバラストガスの流量により排気管の排気圧力を制御する方法において、
前記バラストガスを加温したうえで前記排気管に合流させ、前記バラストガスの流量が減少したときは加温度が大きくなるように加温調節することを特徴とする。
これによって、排出ガスを排気管の管壁を介することなく確実に加温でき、ひいては排出ガス中の反応生成物に含まれる水分やアルコール分を確実に気化でき、反応生成物を確実に乾燥させることができる。その結果、排気管の内壁への付着を確実に低減することができる。たとえ付着が起きたとしても、付着低減効果が失われることもない。
前記排気管のガス温度が所定になるようにバラストガスの加温度を調節することが望ましい。
本発明では、前記バラストガスの流量が減少したときは加温度が大きくなるように加温調節する。すなわち、排気管内壁への付着により排気抵抗が増大すると、バラストガスの流量が減少方向に制御される。これにより、排気管の温度が低下していく。そこで、バラストガスの加温度を高める。これにより、排気管の温度を所定に維持することができる。
本発明に係る装置構成は、成膜部から延びて排気手段に接続された排気管と、前記排気管の中途部に合流されたバラストガス導入管とを有し、前記バラストガスの流量により排気管の排気圧力を制御するものであり、前記バラストガス導入管にバラストガスを加温するヒータ(加温部)を設けることが望ましい(特許請求せず)
前記合流部より下流の排気管に温度センサを設け、この温度センサの検出温度に応じて前記ヒータが出力調節されることが、より望ましい。
前記加温部が、前記バラストガスの流量に応じて出力調節されるようにしてもよい。
本発明は、成膜装置の中でも略常圧下(大気圧近傍)で成膜を行なうものの排気系に適用するのが特に効果的である。
ここで、略常圧とは、1.013×104〜50.663×104Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×104〜10.664×
104Paが好ましく、9.331×104〜10.397×104Paがより好ましい。
本発明によれば、排出ガス中の反応生成物を確実に乾燥させることができ、排気管の内壁への付着を低減することができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、半導体製造において基材Wに成膜を行なうための常圧熱CVD装置(成膜装置)を示したものである。装置は、成膜部10と、この成膜部10からの排気系20とを備えている。
成膜部10は、成膜ヘッド11を有している。この成膜ヘッド11が、上面開口のシュラウド12内に収容されている。成膜ヘッド11の上側に少し離れてヒータユニット13が配置されている。このヒータユニット13の下面(成膜ヘッド対向面)に基材Wがセットされるようになっている。この基材Wがヒータユニット13にて加熱される。そして、成膜ヘッド11からの膜原料を含むプロセスガスが基材Wに吹き付けられ、常圧CVDによる成膜がなされるようになっている。
プロセスガスの主成分としては、例えばTEOS、TMOS、TMOP等が用いられる。例えばTEOSとOによりSiO膜を成膜することができる。このとき、水やアルコール等のH、O、C等を含む化合物が生成される。
シュラウド12の底部の中央から排気系20の排気管21が延び、排気ブロア22(排気手段)に連なっている。これによって、上記水分やアルコール分を含む処理済ガスが、成膜ヘッド11とシュラウド12の間を通って成膜ヘッド11の下側へ回り込み、排気管21に取り込まれ、この排気管21を経て、排気ブロア22から排出されるようになっている。
常圧熱CVD装置の排気系20には、バラストガス導入管31を含むバラスト制御系30が付加されている。バラストガスとしては、例えばCDA(クリーンドライエア)が用いられている。バラストガス導入管31は、送風機32から延びるとともに、排気管21の中途部に合流されている。送風機32を駆動することにより、バラストガスを導入管31に通し、排気管21の排出ガスに合流させることができる。この合流部は、排気管21の成膜部10にできるだけ近い上流側の部位であることが望ましい。この合流部より更に上流側の排気管21には、圧力センサ33が設けられている。圧力センサ33は、例えば微差圧計が用いられている。微差圧計は、大気圧を基準にし、排気管21内の圧力と大気圧との差圧を高感度に検出するようになっている。この差圧センサ33の検出信号線は、圧力コントローラ34に接続されている。圧力コントローラ34は、差圧センサ33の検出差圧に基づいて、インバータ35を介して送風機32をフィードバック制御するようになっている。
本発明の最も特徴的な部分について説明する。
バラストガス導入管31には、ヒータ40が設けられている。このヒータ40の設置部から排気管21との合流部までのバラストガス導入管31の外周には、断熱材等からなる保温部材41が巻き付けられている。
バラストガス導入管31との合流部より下流側の排気管21には、温度センサ42が設けられている。温度センサ42は、例えば熱電対にて構成されている。この温度センサ42の検出信号線は、温度コントローラ43に接続されている。この温度コントローラ43が、温度センサ42の検出温度に基づいてヒータ40の出力をフィードバック制御するようになっている。
上記構成の常圧熱CVD装置の排気制御動作を説明する。
成膜部10による成膜処理と併行して、処理済ガスを排気管21で排出するとともに、この排気管21の負の排気圧力(大気圧に対する差圧)を差圧センサ33にて検出する。この検出差圧が圧力コントローラ34に入力される。圧力コントローラ34は、この検出差圧に基づいてインバータ35を駆動し、送風機32の出力を操作する。具体的には、検出差圧が設定差圧より大きいとき(排気圧力の負圧度が所定より大きいとき)は、送風機32の出力を増大させる。これによって、バラストガス導入管13から排気管21へのバラストガスの混入流量が増大する。そのため、排気圧力の大気圧に対する差圧が小さくなり設定差圧に近づく。逆に、検出差圧が設定差圧より小さいとき(排気圧力の負圧度が所定より小さいとき)は、上記とは反対の操作を行なう。これによって、排気管21の排気圧力を所定の大きさに維持することができる。ひいては、成膜部10の圧力を安定させることができ、処理の均一性を確保することができる。
上記の排気圧制御と併行してヒータ40をオンする。これによって、バラストガス導入管31内を通るバラストガスを加温し高温にすることができる。この高温のバラストガスが排気管21に入って排出ガスと混合することにより、排出ガスも高温化される。これによって、排出ガス中の反応生成物(粉体)に含まれる水分やアルコール分を気化でき、反応生成物を乾燥させることができる。その結果、排気管21の内壁への粉体付着を抑制することができる。たとえ付着が起きたとしても、熱が、バラストガスを媒介にして排出ガスに直接的に供給されるので、付着抑制効果が失われることはない。
排出ガスの温度は、温度センサ42にて検出され、温度コントローラ43に入力される。温度コントローラ43は、この検出温度に基づいてヒータ40の出力を調節し、排出ガス温度が所定になるように制御する。
一方、運転を続けていくと排気管21の内壁に粉体付着が徐々に進んでいく。このため、排気管21の流路断面積が小さくなり、圧力損失が起きてくる。これによって、差圧センサ33の検出差圧が小さくなる。そこで、圧力コントローラ34が、送風機32の出力を下げ、圧力損失を補おうとする。
したがって、粉体付着の進行に伴い、バラストガスの流量が減少し、ひいては、排出ガスへのバラストガス混合量が減少していくことになる。そうすると、排出ガスへの供給熱量が減少し、温度センサ42の検出温度が低下する。これを受けた温度コントローラ43が、ヒータ40の出力を増大させる。このため、バラストガスは、流量減少に伴って加温度が増大し、より高温になっていく。これによって、排出ガスの温度低下を阻止でき、所定温度に確実に維持することができる。この結果、反応生成物を確実に乾燥させることができ、粉体付着を確実に抑えることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をなすことができる。
例えば、ヒータ40を排出ガスの温度でフィードバック制御しなくてもよい。
排出ガス温度に代えて、バラストガス導入管31のバラストガス温度が一定になるように、ヒータ40をフィードバック制御することにしてもよい。
本発明は、熱CVDだけでなく、プラズマCVD等の他の成膜装置にも適用可能である。
実施例を説明する。なお、本発明が、以下の実施例に限定されないことは当然である。
図1に示す実施形態と同様の装置を用い、同様の圧力制御及び温度制御を行なった。プロセスガスとしてTEOS+Oを用い、バラストガスとしてCDAを用いた。処理開始時の諸条件は以下の通りである。
排出ガス差圧(設定差圧): −10Pa
成膜ヘッド11からの処理済ガス流量: 0.45m/min
バラストガス流量: 0.45m/min
排気ブロア22の排気流量: 0.9m/min
バラストガス温度: 200℃
排出ガス温度(設定温度): 90℃
開始から100時間経過後、上記項目はそれぞれ次のようになった。
排出ガス差圧: −10Pa
成膜ヘッド11からの処理済ガス流量: 0.45m/min
バラストガス流量: 0.20m/min
排気ブロア22の排気流量: 0.65m/min
バラストガス温度: 350℃
排出ガス温度: 90℃
排出ガス温度が90℃に保たれ、粉体付着抑制効果を長時間にわたって高く維持できることが判明した。
温度制御を、排出ガス温度に代えてバラストガス導入管31のバラストガス温度が一定になるようにフィードバックをかけるようにし、その他は実施例1と同じ条件で実験を行なった。開始から70時間経過後の状態を以下に示す。
排出ガス差圧: −10Pa
成膜ヘッド11からの処理済ガス流量: 0.45m/min
バラストガス流量: 0.20m/min
排気ブロア22の排気流量: 0.65m/min
バラストガス温度: 200℃
排出ガス温度: 60℃
排出ガス温度が時間の経過とともに下がってくるが、下記の比較例1と比べると、バラストガス流量の減少速度が緩慢であり、粉体付着がある程度抑制できることが判明した。
〔比較例1〕
比較例として、ヒータ40をオフし、バラストガスを常温にした状態で実験を行なった。開始から50時間経過後の状態を以下に示す。
排出ガス差圧: −10Pa
成膜ヘッド11からの処理済ガス流量: 0.45m/min
バラストガス流量: 0.20m/min
排気ブロア22の排気流量: 0.65m/min
この発明は、例えば、半導体製造における成膜工程に利用可能である。
本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
10 常圧熱CVD装置(成膜装置)の成膜部
11 成膜ヘッド
20 排気系
21 排気管
22 排気ブロア
30 バラスト制御系
31 バラストガス導入管
32 送風機
33 差圧センサ(圧力センサ)
34 圧力コントローラ(圧力制御部)
35 インバータ
36 ヒータ(加熱部)
37 温度センサ
38 温度コントローラ(温度制御部)

Claims (1)

  1. 成膜部からの排気管にバラストガスを合流させ、このバラストガスの流量により排気管の排気圧力を制御する方法において、
    前記バラストガスを加温したうえで前記排気管に合流させ、前記バラストガスの流量が減少したときは加温度が大きくなるように加温調節することを特徴とする成膜装置の排気方法。
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