JP5075538B2 - セラミックスグリーンシートの成形装置及び成形方法 - Google Patents
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Description
本発明の第2の特徴は、スラリー塗工物の流れ方向の上流域を含むように乾燥雰囲気の一部に中空状のカバー体が配置され、内側に気体の流路となる湿度制御領域を、外側に温風の流路となる温度制御領域を備えたセラミックスグリーンシート成形装置を用いたセラミックスグリーンシートの成形方法であって、湿度制御領域に送り込まれる気体の湿度を制御する工程と、気体の流量を制御する工程と、湿度制御領域のスラリー塗工物の流れ方向の上流部から気体を湿度制御領域に送り込む工程と、非水溶性バインダを含むセラミックスラリーから調製されたスラリー塗工物を湿度制御領域と温度制御領域中を搬送しながら乾燥成形してセラミックスグリーンシートを得る工程と、を含むセラミックスグリーンシートの成形方法を要旨とする。
(セラミックスグリーンシート成形装置)
図1に示すように、第1実施形態に係るセラミックスグリーンシート成形装置100は、スラリー塗工物52を搬送しながら乾燥成形してセラミックスグリーンシートを得る乾燥路10と、スラリー塗工物52の流れ方向の上流域を含む乾燥路10内部の一部に配置され、内側に気体の流路となる湿度制御領域を形成し、外側と乾燥路10の内壁の間に温風の流路となる温度制御領域を形成する中空状のカバー体12と、カバー体12のスラリー塗工物52の流れ方向に直交して配置された、カバー体12の内側に上記気体をスラリー塗工物52の流れ方向の上流側から送り込む複数の送風口21a、21b、21c、21d、21eを備える送風ユニット20と、を有する。カバー体12を設けたことにより、図3に示すように乾燥路10の内部に湿度制御領域と、カバー体12の外側と乾燥路10の内壁の間に温風の流路となる温度制御領域が形成されている。さらに、セラミックスグリーンシート成形装置100は、図2に示すように、経路30(経路30a〜経路30e)を介して送風ユニット20に気体を供給する給気システム200を有する。給気システム200は、図4に示すように、気体の湿度を制御する湿度制御部と、気体の流量を制御する流量制御部と、を有する。
図3は、第1実施形態に係る給気システム200の構成を示す。図3に示すように、給気システム200は、送風ユニット20に経路30を介して接続されており、送風ユニット20に気体を供給する。
第1実施形態に係るカバー体12内に送り込まれる気体の露点は、流量制御部209、バブリング容器制御部218及び圧力制御部221などによって制御される。なお、露点制御が良好に収束するように、露点制御は、流量制御部209、バブリング容器制御部218及び圧力制御部221のいずれかによって行われることが好ましい。
実施形態1に係るセラミックスグリーンシートの成形方法について、図1,図2,図3のセラミックスグリーンシートの成形装置を用いて説明する。
第1実施形態に係るセラミックスグリーンシート成形装置100によれば、給気システム200が、カバー体12内に送り込まれる気体の湿度を制御することに加えて、複数の送風口21a〜21eからカバー体12内に送り込まれる気体の流量を制御することによって、セラミックスグリーンシートの変形や収縮率のバラツキを効果的に抑制することができる。
第2実施形態にかかるセラミックスグリーンシート成形装置は、給気システムを除いて、第1実施形態と同様に構成されている。よって第1実施形態と第2実施形態の相違点について主に説明する。
以下において、第1実施形態に係る給気システムの構成について、図面を参照しながら説明する。図4は、第2実施形態に係る給気システム300の構成を示す。なお、給気システム300は、給気システム200と同様に、送風ユニット20に経路30を介して接続されており、送風ユニット20に気体を供給する。
以下において、第2実施形態に係る乾燥路10内に送り込まれる気体の露点制御方法について説明する。具体的には、乾燥路10内に送り込まれる気体の露点は、流量制御部316、圧力制御部319や温度制御部223などによって制御される。
第2実施形態に係るセラミックスグリーンシート成形装置100によれば、流量制御部316が、MFC305によって水の経路を流れる水の質量流量を制御し、気化器307が、水の経路を介して供給される水を気化して、ドライ経路を介して供給される気体に水分を加える。これによって、第1実施形態と異なる構成であるが、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(セラミックススラリーの調整)
混合溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=50/50)中に、バインダ(ポリビニルブチラール)、分散剤及びセラミックス粉末を分散させ、ボールミルで24hr混合後脱泡してセラミックススラリーとした。
総窒素量を300 SLM(Standard Litter per Miniute; 温度=0℃、気圧=101.3kPaの条件における気体流量)とし、絶対湿度を0.09から11.9g/kg(DA)(1kgDryAir中にある水分量g)まで増加させた場合、絶対湿度の増加に伴って、セラミックスの焼成時収縮率が単調に増加した。また、セラミックスの焼成時収縮率の増加量は、9.79%となった(つまり、1g/kg(DA)の増加に対し、0.072%収縮率が増加)。また、相関係数は、0.98以上となった。
従来設備では、セラミックスグリーンシートの収縮率は、塗布m数に応じて徐々に低下し、0.1%程度変動する。この原因は成形機乾燥環境の温度変化もしくは溶剤濃度変化であると推定している。この変動を補償するために、絶対湿度を上記相関(絶対湿度−収縮率)にしたがって、塗布m数に応じて、6.83から8.02g/kg(DA)に段階的に上昇させることで、従来低下していた収縮率変動(0.1%)を0.02%まで抑制することができた。
従来設備では、短手方向1.1mに塗布されたセラミックステープの収縮率バラツキは、約0.04%程度あった。流入気体を短手方向5分割((1)〜(5))とし、その流量を(1)87 SLM、(2)0 SLM、(3)0 SLM、(4)0 SLM、(5)87 SLMとした場合、中央の収縮率が端部の収縮率に対し0.07%低かった。また、各送風口21a〜21eから送り込まれる気体の流量を(1)0 SLM、(2)44 SLM、(3)87 SLM、(4)44 SLM、(5)0 SLMとした場合、中央の収縮率が端部の収縮率に対して0.1%高い値となった。5分割の流量に応じて収縮率を自由に設定できたことから、流量を最適化することで、0.01%の幅方向の収縮率バラツキを得ることができた。
従来設備では、セラミックスグリーンシートの焼成時反りは、平均で350μmであったが、流入量を精密に制御し、機内の溶剤濃度を最適化することで上記反り量を平均60μmまで低減できた。
カバー体内酸素濃度は、気体として窒素を用いた場合において、総流量が100 SLMである場合に10%となり、総流量が200 SLMである場合に5%となり、総流量が300 SLMである場合に2%となり、高濃度溶剤雰囲気に対する安全性(10%以下)は、100 SLM以上で得られた。
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
気口、15a〜15c・・・仕切壁、20・・・送風ユニット、21・・・送風口、30・・・経路、31・・・MFC、52・・・スラリー塗工物、100・・・セラミックスグリーンシート成形装置、200・・・給気システム、201・・・気体源、202・・・フィルタ、203・・・レギュレータ、204・・・バルブ、205・・・MFC、206・・・逆止弁、207・・・ミキシングチャンバ、208・・・露点センサ、209・・・流量制御部、210・・・レギュレータ、211・・・バルブ、212・・・MFC、213・・・逆止弁、214・・・バブリング容器、215・・・水面計、216・・・ドレイン、218・・・バブリング容器制御部、219・・・圧力計、220・・・圧力調整弁、221・・・圧力制御部、222・・・ヒータ、223・・・温度制御部、300・・・給気システム、301・・・気体源、302・・・フィルタ、303・・・レギュレータ、304・・・バルブ、305・・・MFC、306・・・逆止弁、307・・・気化器、308・・・露点センサ、309・・・水源、310・・・フィルタ、311・・・レギュレータ、312・・・バルブ、313・・・水質センサ、314・・・MFC、315・・・バルブ、316・・・流量制御部、317・・・圧力計、318・・・圧力調整弁、319・・・圧力制御部
Claims (11)
- スラリー塗工物を搬送しながら乾燥成型させてセラミックスグリーンシートを得る乾燥路と、
その乾燥路内部の一部に前記スラリー塗工物の流れ方向の上流域を含むように配置され、内側に気体の流路となる湿度制御領域を形成し、外側と乾燥路の内壁の間に温風の流路となる温度制御領域を形成する中空状のカバー体と、
そのカバー体の前記スラリー塗工物の流れ方向に直交して配置された、前記カバー体の内側に前記気体を前記スラリー塗工物の流れ方向の上流側から送り込む複数の送風口を備える送風ユニットと、
前記カバー体の内側に送り込む気体の湿度を制御する給気システムと、
その給気システムと前記送風ユニットとをつなぐ経路上にあるマスフローコントローラと、
を有するセラミックスグリーンシート成形装置。 - 前記スラリー塗工物は、非水溶性バインダを含むセラミックスラリーから調製されたものである請求項1に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。
- 前記湿度制御領域の絶対湿度が1〜20g/kgDA、年間湿度変動レンジが0.1〜1.0g/kgDAに制御可能である請求項1に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。
- 前記マスフローコントローラを、複数有する請求項1に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。
- 前記給気システムが、
乾燥した気体の経路であるドライ経路と、
湿った気体の経路であるウェット経路若しくは水が流れる水の経路と、
それらドライ経路、及び、ウェット経路若しくは水の経路、がつながるミキシングチャンバ又は気化器と、
そのミキシングチャンバ又は気化器内の気体の露点を計測する露点センサと、
その露点センサから取得した気体の露点と目標露点とを比較して、前記ドライ経路、又は、ウェット経路若しくは水の経路の、気体又は水の質量流量を制御する制御信号を生成する流量制御部と、
を有する請求項1に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。 - 前記流量制御部から生成した制御信号を入力するマスフローコントローラを備える請求項5に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。
- 前記給気システムが前記ウェット経路を有する場合に、そのウェット経路に、バブリング容器が備わるとともに、そのバブリング容器に貯留される水の、量、温度、又は圧力のうち少なくとも何れか一つを制御するバブリング容器制御部が備わる請求項5に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。
- 前記給気システムが、更に、
前記ミキシングチャンバ又は気化器の圧力を調整する圧力弁と、
その圧力弁を制御する圧力制御部と、
前記ミキシングチャンバ又は気化器内の気体の圧力を計測する圧力計と、
を有する請求項5に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。 - 前記送風口から前記湿度制御領域内に送り込まれる気体の温度を制御する温度制御部を、更に備える請求項1に記載のセラミックスグリーンシート成形装置。
- スラリー塗工物の流れ方向の上流域を含むように乾燥雰囲気の一部に中空状のカバー体が配置され、内側に気体の流路となる湿度制御領域を、外側に温風の流路となる温度制御領域を備えたセラミックスグリーンシート成形装置を用いたセラミックスグリーンシートの成形方法であって、
前記湿度制御領域に送り込まれる気体の湿度を制御する工程と、
前記気体の流量を制御する工程と、
前記湿度制御領域のスラリー塗工物の流れ方向の上流部から前記気体を前記湿度制御領域に送り込む工程と、
非水溶性バインダを含むセラミックスラリーから調製されたスラリー塗工物を前記湿度制御領域と前記温度制御領域中を搬送しながら乾燥成形してセラミックスグリーンシートを得る工程と、
を含むセラミックスグリーンシートの成形方法。 - 前記湿度制御領域の絶対湿度を1〜20g/kgDA、年間湿度変動レンジを0.1〜1.0g/kgDAに制御する請求項10に記載のセラミックスグリーンシートの成形方法。
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