JP4498622B2 - シールチェック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装済み商品のシールチェックを行うシールチェック装置に関し、商品検査技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スナック菓子等の内容物が包装袋に袋詰めされた商品のシール不良を発見するために、包装袋のシール状態を検査するシールチェックが行われる。
【0003】
その場合、従来における商品のシールチェックは、包装袋を上方から押圧して圧力をかけることにより行われている。つまり、商品が良好にシールされているものであるときは、押圧しても包装袋内の空気等が外部へ漏れ出さず、商品を押圧する押圧部材が商品からほぼ一定の反力を受けることになるから、該押圧部材のストロークは変化しない。一方、商品が良好にシールされていないものであるときは、上記押圧部材の押圧力によって包装袋内の空気等が外部へ漏れ出し、商品の包装袋が萎んで上記押圧部材のストロークが変化することになる。このように、包装袋を上方から押圧したときの押圧部材のストロークの変化状態を検出することにより、商品のシールチェックが行われる。
【0004】
この種のシールチェック装置としては、例えば本願出願人が、特願2000−269670号として特許出願しているものがある。このシールチェック装置は、下方に配置された下部搬送コンベアと、該下部搬送コンベアの上方に相対向して配置された押圧部材とによって、下部搬送コンベアと押圧部材との間に搬入される包装済み商品を挟持、押圧し、上記押圧部材の変位をサーボモータで検知し、所定期間内における変位量に基づいてシール状態の良、不良の判定を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなシールチェック装置において、搬入商品が下部搬送コンベアと押圧部材との間に突入すると、衝撃によって押圧部材は振動し、包装袋の弾性やシールチェック装置の固有振動等も相俟って、押圧部材は減衰振動をする。その場合にサーボモータで検知された押圧部材の高さの時間変化の一例を図8に示す。この図8はシール状態が健全な良品におけるデータを示すものであり、また、押圧部材の高さHを、サーボモータから出力されるパルスの数で表している。
【0006】
上記図8によれば、商品は良品にもかかわらず、上記振動による押圧部材の上下動のせいで、所定期間である変位量データの取込開始及び取込終了時刻t1,t2間の変位量(図中、高さH1と高さH2との間の差)が予め設定された基準値より大きく、不良品と誤判定されることがあり、見掛け上、歩留まりが低下するという問題が生じることがある。さらに、同様の理由により、良、不良の判定基準を厳格に設定して、つまり基準値をより小さい値に設定して、微妙なシール状態の不良をも検査するという要求に応えられなくなることがある。
【0007】
上記問題に対処するため、商品突入時の振動が許容できる程度に収束した時点から変位量データの取り込みを開始することが考えられるが、それは時刻t1,t2間の期間を狭めるに他ならず、このような短い期間内でのシールチェックにおいては、判定の正確さに限界が生じる可能性がある。つまり、その場合には、商品の搬送速度を低減しないとシールチェックは正確さに欠ける虞があり、高速化の点で問題となる。
【0008】
さらに、上記のような問題を解決する方法として、振動を抑制するシリンダ等を押圧部材に備えることが考えられるが、コスト上昇や重量増大を招くと共に、設置スペースを確保しなければならないという新たな問題が生じることになる。また、その場合、搬入商品の種類が切り替わると、商品の厚み、包装袋の弾性等に応じて、都度、最適なシリンダ等を選択したり、あるいはそれらの最適な作動条件を設定しなければならず、汎用性に欠けることがある。
【0009】
そこで、本発明は、包装済み商品のシール状態を検査するシールチェック装置として、検査の正確さに優れ、かつ安価な装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、請求項1に記載の発明は、包装済み商品の搬送手段と、該搬送手段上の商品に当接し、該商品を押圧する押圧部材とが備えられ、商品搬入後の押圧部材の変位量に基づいて上記商品のシールチェックを行うシールチェック装置に関するもので、上記押圧部材を上下動させるサーボモータと、該サーボモータの回転軸の回転位置を検知する位置検知手段と、該位置検知手段が検知する回転位置データに基づいて、上記回転軸の回転速度を算出する速度算出手段と、該速度算出手段が算出する回転速度が所定値を超えたとき、その速度を抑制するように制御する制御手段とが備えられていることを特徴とする。
【0012】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1と同様のシールチェック装置に関するもので、上記押圧部材を上下動させるサーボモータと、搬入される商品によって上記押圧部材に作用する衝撃力を検知する加速度検知手段と、該加速度検知手段が検知する衝撃力が所定値を超えたとき、その衝撃力を抑制するように制御する制御手段とが備えられていることを特徴とする。
【0013】
これらのいずれの発明によっても、搬入商品が搬送手段と押圧部材との間に突入したときの衝撃によって生じる該押圧部材の振動を抑制するように制御するから、押圧部材の振動は速やかに収束することになる。したがって、該振動が引き起こす虞のあった誤判定を回避することができてシールチェックの正確さが向上すると共に、シールチェックの精度が向上する。
【0014】
また、振動が速やかに収束する結果、シール状態の良、不良の判定のための押圧部材の変位量データを早い時期から取り込むことができて、シールチェックの高速化が図られる。
【0015】
さらに、シリンダ等を使用する必要がないから、コスト上昇や重量増大を招くことはなく、また、設置スペースの確保も不要である。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載のシールチェック装置において、押圧部材への商品の当接を判断する当接判断手段が備えられており、制御手段は、該当接判断手段による当接判断信号に基づいて搬送手段と押圧部材との間の間隔を所定間隔に広げ、そののち、サーボモータの回転軸の回転速度、または押圧部材に作用する衝撃力を抑制するように制御することを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載のシールチェック装置において、商品の搬入を検知する商品検知手段が備えられており、当接判断手段は、該商品検知手段による商品搬入検知信号に基づいて判断することを特徴とする。
【0018】
そして、請求項5に記載の発明は、上記請求項3に記載のシールチェック装置において、当接判断手段は、位置検知手段もしくは加速度検知手段による商品当接検知信号に基づいて判断することを特徴とする。
【0019】
これらのいずれの発明によっても、所定のタイミングで搬送手段と押圧部材との間の間隔を所定間隔に広げるから、商品がスムーズに導入されるようになり、商品突入時の衝撃が緩和されるようになる。したがって、搬入商品の損傷と共に、押圧部材の損傷や耐久性の低下を回避することができる。
【0020】
さらに、通常押圧部材の振動が大きい商品突入初期から振動を抑制するように制御すると、商品に作用する押圧部材の押圧力が過大となる瞬間が生じかねず、その場合商品は損傷を受ける虞があるが、これらのいずれの発明によっても、商品が搬送手段と押圧部材との間にスムーズに導入されたのち振動を抑制するように制御するから、上記懸念は軽減される。
【0021】
特に、請求項4に記載の発明によれば、商品検知手段による商品搬入検知信号に基づいて、押圧部材への商品の当接に先立って搬送手段と押圧部材との間の間隔を予め広げるから、シールチェックの高速化が維持されるというメリットがある。
【0022】
そして、請求項5に記載の発明によれば、位置検知手段もしくは加速度検知手段を商品当接検知手段として利用できるから、押圧部材に商品が当接すると、速やかに搬送手段と押圧部材との間の間隔を広げることができる。別途、商品検知手段を必要としないというメリットがある。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、上記請求項1から請求項5のいずれかに記載のシールチェック装置において、制御手段による制御の初期設定を商品ごとに記憶する記憶手段が備えられており、制御手段は、該記憶手段が記憶する初期設定に基づいて制御することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、搬入商品の種類を切り替える場合でも、搬送手段やサーボモータ等の動作を予測して制御することができるから、制御手段は無用な制御を強いられることがなくなり、制御の即応性が向上することになる。もちろん、初期設定における人為的なミスが排除されるのは言うまでもない。
【0025】
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載のシールチェック装置において、制御手段は、商品の搬送間隔を制御することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、シールチェックを実行しつつ、商品の搬送間隔を所定間隔に制御するから、例えば、このシールチェック装置の下流に振分装置や箱詰装置等が配置されている場合、それらの処理能力を十分に発揮させることができる。
【0027】
さらに、搬送手段上の商品を押圧部材で押圧し、しかも商品突入時の該押圧部材の振動を抑制するように制御するから、包装袋内に内容物の偏りがある場合、それを均すことができるようになる。その結果、商品の包装姿が整えられるから、例えば、このシールチェック装置の下流に振分装置が配置されている場合には、商品を安定して確実に振り分けることができ、また、箱詰装置が配置されている場合には、商品をコンパクトに箱詰めすることができる。
【0028】
そして、請求項8に記載の発明は、上記請求項1から請求項7のいずれかに記載のシールチェック装置において、商品のシール部を冷却する冷却手段が備えられていることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、例えば、シールチェック装置の上流に製袋包装機が配置されている場合、商品の溶着されたシール部は上記冷却手段によって冷却されるから、速やかに強度的に良好なシール部となる。その結果、シール部がまだ十分に冷却されていないために生じる虞のある、押圧部材の押圧による該シール部での破袋の懸念を軽減することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るシールチェック装置について説明する。
【0031】
図1に示すように、このシールチェック装置1は、内容物を袋詰めした商品Gを搬送する上流側搬送コンベアC1と、該商品Gを次の作業ステーションまで搬送する下流側搬送コンベアC2との間に配設され、商品Gを矢印ア方向へ搬送しながらシールチェックを行うものであって、架台2上に立設された第1、第2支柱3,4と側面視門型形状(図示せず)の支持フレーム5とに支持された下部搬送コンベア6と、該コンベア6の上方で対向するように支持フレーム5に支持された押圧ユニット7とを有する。
【0032】
上記下部搬送コンベア6は、サイドフレーム11に回転自在に支持された上流側の従動ローラ12と下流側の駆動ローラ13との間に無端状の下部搬送ベルト14が巻き掛けられた構成とされている。そして、従動ローラ12と駆動ローラ13との間には、下部搬送ベルト14を支持する天板15がサイドフレーム11に取り付けられて配置されている。
【0033】
また、上記支持フレーム5の下部内方には、ブラケット16を介してコンベア駆動モータ17が取り付けられている。そして、該モータ17の出力軸17aに組み付けられたプーリ18と、上記駆動ローラ13と同軸に組み付けられたプーリ19との間に、途中支持フレーム5内方に取り付けられたプーリ20と、支持フレーム5内方に回転自在に取り付けられたシャフト21の図面手前側の端部近傍に組み付けられたプーリ22とを介して、第1タイミングベルト23が巻き掛けられており、このモータ17の駆動力が駆動ローラ13に伝達されるようになっている。そして、第1タイミングベルト23を介して、上記コンベア駆動モータ17の駆動力がシャフト21に伝達されることにもなる。
【0034】
一方、上記押圧ユニット7は、本体フレーム31aを介して支持フレーム5の上部で支持された本体31と、その下方に配置されて下部搬送コンベア6上の商品Gを押圧する押圧部材32とを有し、さらに、これら本体31と押圧部材32とに亘って配置された上部搬送コンベア33を備えている。なお、本体フレーム31aの略中央には、支持フレーム5の上部を貫通可能に開口31a′が形成されている。
【0035】
上記上部搬送コンベア33は、本体フレーム31aに回転自在に支持された4個の従動ローラ34〜37と1個の駆動ローラ38と、押圧部材32に回転自在に支持された2個の従動ローラ39,40とに亘り、無端状の上部搬送ベルト41が巻き掛けられた構成とされている。そして、上記従動ローラ39,40間には、上部搬送ベルト41を支持すると共に該ベルト41を介して商品Gを押圧する天板42が押圧部材32に取り付けられて配置されている。
【0036】
なお、該上部搬送コンベア33は、上流側の従動ローラ34,40間では、上流側が上方に傾斜するように構成されており、搬入される商品Gが下部搬送コンベア6と上部搬送コンベア33との間にスムーズに導入されるようになる。
【0037】
また、上記上部搬送ベルト41はメッシュ状とされており、さらに、上記天板42の押圧面には、矢印アで示す商品Gの搬送方向とは異なる方向に傾斜する多数の溝(図示せず)が形成されている。こうすることにより、商品Gのシール部が上記天板42の押圧面に対向するように商品Gが搬入されれば、メッシュ状の上部搬送ベルト41や天板42の溝を介して商品Gの包装袋内の空気等の逃げ道が確保される。したがって、商品Gが押圧部材32で押圧されると、シール不良の商品Gであれば、包装袋内の空気等は上記逃げ道を通って確実に外部に漏れ出すから、シール不良を見逃す虞は大いに軽減されるようになる。
【0038】
そして、上記プーリ22が組み付けられたシャフト21の図面奥方側の端部近傍に組み付けられたプーリ(図示せず)と、該シャフト21より上方で支持フレーム5に回転自在に取り付けられたシャフト43の図面奥方側の端部近傍に組み付けられたプーリ(図示せず)との間に第2タイミングベルト44が巻き掛けられ、さらに、上記シャフト43の図面手前側の端部近傍に組み付けられたプーリ45と、上記駆動ローラ38と同軸に組み付けられたプーリ46との間に第3タイミングベルト47が巻き掛けられており、上記コンベア駆動モータ17の駆動力が駆動ローラ38に伝達されるようになっている。つまり、下部及び上部搬送コンベア6,33は、単一の駆動源であるコンベア駆動モータ17によって駆動されるから、安価で軽量なシールチェック装置1が実現する。なお、重量や設置スペースに制約がない等の場合には、上記両コンベア6,33をそれぞれ独立したモータで駆動させても一向に構わない。
【0039】
また、上記駆動ローラ38は、連結錠48(通称パチン錠)によって、本体フレーム31aに形成された切り欠き部31a″を介して本体フレーム31aに固定されている。したがって、該連結錠48を連結したりあるいは連結を解除したりすることによって、上部搬送ベルト41を張設したりあるいは緩めたりすることができるから、上部搬送ベルト41の着脱が容易になる。
【0040】
さて、上記本体31と押圧部材32とは、商品Gの搬送方向に沿って押圧ユニット7の前後左右に取り付けられた4個の連結リンク51,51,52,52(図1には、図面手前側の2個の連結リンク51,52のみ図示)を介して連結されている。これら連結リンク51,51,52,52は、本体31側の支点と押圧部材32側の支点とで平行リンク機構を形成しており、本体31に対して押圧部材32が平行移動可能に支持される。
【0041】
また、上記本体31内には、押圧部材32の変位を検知するサーボモータ53が、本体フレーム31aにブラケット54を介して取り付けられて収容されている。該モータ53の回転軸53aには第1連結部材55の一方の端部が固着されており、この第1連結部材55の他方の端部は、第2連結部材56の上端部に回動自在に取り付けられている。そして、第2連結部材56の下端部は、シャフト57を介して上流側の連結リンク51の下端部近傍に回動自在に取り付けられている。さらに、上記連結リンク51の下端部は、押圧部材32の上流側で従動ローラ40と同軸に回動自在に取り付けられていると共に、上端部近傍は、本体フレーム31aの上流側で従動ローラ34と同軸に回動自在に取り付けられている。そして、シールチェックにおける商品待ち受け時には、該連結リンク51の上端部は、本体フレーム31aの上流側の所定箇所に取り付けられたストッパ部材58に当接するように構成されている。
【0042】
こうすることにより、押圧部材32のこれ以上の下方への移動は連結リンク51の上端部とストッパ部材58との当接によって規制され、該押圧部材32の下死点、つまり押圧部材32の初期高さH0(図1において、下部搬送コンベア6に対する押圧部材32の高さH0で示す)が設定される。なお、本実施の形態においては、該初期高さH0は、搬入商品Gの厚みより小さく設定されている。
【0043】
一方、下流側の連結リンク52は上記上流側の連結リンク51より幾分短い寸法とされており、該リンク52の上端部は、本体フレーム31aの下流側で従動ローラ37と同軸に回動自在に取り付けられていると共に、下端部は、押圧部材32の下流側で従動ローラ39と同軸に回動自在に取り付けられている。
【0044】
上記構成とすることにより、図2に示すように、矢印ア方向から商品Gが搬入され、この商品Gが下部搬送コンベア6と押圧部材32との間に突入すると、商品Gからの押圧反力によって下部搬送コンベア6に対する押圧部材32の高さHは初期高さH0(図1参照)から変化し、押圧部材32は矢印イ方向に移動する。それに応じて連結リンク51,52はそれぞれ従動ローラ34,37の軸を支点に矢印ウ方向に回動し、それによって第2連結部材56は矢印エ方向に移動し、その結果、第1連結部材55は矢印オ方向に回動するから、サーボモータ53の回転軸53aも同方向に回動することになる。したがって、この場合、該回転軸53aの回転位置を検知することにより、押圧部材32の高さHの変位量や変位速度、つまり押圧部材32の上下動や上下動速度を検知することができるようになる。逆に、サーボモータ53の回転軸53aの回転位置を制御すれば、押圧部材32の上下動や上下動速度の制御が可能となる。なお、商品Gの突入によって押圧部材32の高さHが初期高さH0から変化すると、連結リンク51の上端部とストッパ部材58との当接は解除される。
【0045】
また、図1に示すように、上記第1支柱3の上部に、商品Gの搬入を検知する商品検知センサ61が備えられており、上流側搬送コンベアC1から該シールチェック装置1に商品Gが受け渡されると、商品Gの搬入が検知されるようになる。
【0046】
そして、上記商品検知センサ61と押圧ユニット7との間に、商品Gのシール部を冷却するエアノズル62が配設されている。該ノズル62は、エアの吹出口である先端部が下部搬送コンベア6に対向し、かつ搬送幅方向の寸法が長い偏平とされており、図示しないコンプレッサから配管を介して圧縮エアが供給されるようになっている。
【0047】
次に、このシールチェック装置1の制御システムを説明する。
【0048】
図3に示すように、この制御システムは、上記シールチェック装置1の動作を総括的に制御する制御装置63を備えている。該制御装置63には、商品Gごとの初期設定や各種の制御パラメータ等を記憶するメモリ63aと、各種の演算処理を実行するCPU63bとが備えられている。
【0049】
上記CPU63bは、コンベア駆動モータ17に制御信号を出力して、下部及び上部搬送コンベア6,33の搬送速度を制御する。また、該CPU63bは、サーボモータ53との間で信号を授受して、サーボモータ53に制御信号を出力して押圧部材32の上下動動作を制御すると共に、サーボモータ53からフィードバック入力される信号に基づいて、押圧部材32の変位や変位速度を検知する。さらに、該CPU63bは、商品検知センサ61からの商品搬入検知信号を入力し、それに基づいて一連の制御を行う際の時間的起点を設定し、そして、商品Gの搬送間隔を制御する。
【0050】
次に、このシールチェック装置でシールチェックを行う場合に制御装置63が実行する制御例を、図4〜6に示すフローチャート図にしたがって説明する。
【0051】
図4に示すように、まず、検査対象の商品番号が指定されると、CPU63bは、これに該当する各種の制御パラメータをメモリ63aから読み出し、動作条件を初期設定する(ステップS1)。初期設定する動作条件としては、下部搬送コンベア6や押圧部材32の長さ、商品Gの厚みや搬送方向の長さ、包装袋の弾性等に基づいた、搬送速度、商品検知センサ61による商品搬入検知後の押圧部材32の上動開始のタイミングや上動速度、振動抑制モード、つまりダンパモードに入るときの押圧部材32の高さH3(後述)、変位量データの取込開始及び取込終了時刻t1,t2等が列挙される。
【0052】
次いで、商品検知センサ61によって検査対象の商品Gの搬入が検知されたか否かを判定し(ステップS2)、商品Gの搬入が検知されたと判定すれば、検知された時刻t0から一定時間経過後、押圧部材32を一定速度で上動させるように、サーボモータ53に制御信号を出力する(ステップS3)。一方、商品Gの搬入が検知されないと判定すれば、ステップS2へ戻る。
【0053】
そして、上動する押圧部材32の高さH(図2参照)を、サーボモータ53で検知する(ステップS4)。つまり、押圧部材32が上動すると、該押圧部材32の高さHに対応して連結リンク51,52や第1、第2連結部材55,56を介してサーボモータ53の回転軸53aが回転するから、この場合の回転位置を検知することにより、押圧部材32の高さHが検知できることになる。
【0054】
次に、押圧部材32が所定高さH3まで上動したか否かを判定し(ステップS5)、所定高さH3まで上動したと判定すればダンパモードに入り(ステップS6)、次いでシール状態の良、不良を判定したのち(ステップS7)、ステップS2へ戻る。一方、押圧部材32が所定高さH3まで上動していないと判定すれば、ステップS4へ戻る。
【0055】
その場合、押圧部材32が所定高さH3まで上動する結果、下部搬送コンベア6と該押圧部材32との間の間隔が広がったところに商品Gを導入させることができるから、商品突入時の衝撃を緩和することができる。したがって、商品Gの損傷と共に、押圧部材32の損傷や耐久性の低下を回避することができる。
【0056】
さらに、押圧部材32が所定高さH3まで上動したのちダンパモードに入るから、突入初期からダンパモードに入った場合に懸念された過大な押圧力の発生が回避され、商品Gの損傷の虞は軽減される。
【0057】
なお、上記のように商品検知センサ61による商品搬入検知信号に基づいて押圧部材32を上動させて下部搬送コンベア6と該押圧部材32との間の間隔を広げる代わりに、商品Gが押圧ユニット7ないし押圧部材32に当接したら押圧部材32を上動させるようにすることもできる。この場合には、押圧ユニット7ないし押圧部材32に商品Gが当接することによる押圧部材32の上動あるいは押圧部材32に作用する衝撃力によって、連結リンク51,52や第1、第2連結部材55,56を介してサーボモータ53の回転軸53aが回転するから、CPU63bはこのときの入力信号に基づいて、押圧部材32を所定高さH3まで一定速度で上動させる。
【0058】
その結果、下部搬送コンベア6と押圧部材32との間の間隔が広がるから、商品突入時の衝撃を緩和することができる。したがって、商品Gの損傷と共に、押圧部材32の損傷や耐久性の低下を回避することができる。さらに、押圧部材32が所定高さH3まで上動したのちダンパモードに入るから、突入初期からダンパモードに入った場合に懸念された過大な押圧力の発生が回避され、商品Gの損傷の虞は軽減される。
【0059】
次に、ステップS6のダンパモードにおける制御について説明すると、図5に示すように、まず、下部搬送コンベア6と押圧部材32との間に突入した商品Gによる衝撃で押圧部材32が振動、つまり上下動すると、連結リンク51,52や第1、第2連結部材55,56を介して上下動速度に応じた回転速度でサーボモータ53の回転軸53aが回転する。そこで、押圧部材32の上下動速さが一定値を超えたか否かを判定する(ステップS11)。
【0060】
ステップS11で、押圧部材32の上下動速さ(上下動速度の絶対値)が一定値を超えたと判定すれば、この上下動は上記衝撃に起因する所定以上の大きな振動に他ならぬことを意味し、この上下動速さに比例したトルクを、該上下動速さの向きと反対方向に加えるように、トルク制御モードとされているサーボモータ53に制御信号を出力する(ステップS12)。こうすることにより、商品突入による押圧部材32の振動が抑制されることになる。
【0061】
その場合、押圧部材32の振動抑制動作によって、押圧される商品Gの包装袋内の内容物は良好に均されて包装姿が整えられるから、このシールチェック装置1の下流に配置された装置における商品Gのハンドリングがより容易となる。
【0062】
また、このシールチェック装置1の上流側に設けられたエアノズル62から噴射されるエアによって、搬入される商品Gのシール部が冷却されるから、該シール部は速やかに強度的に良好なものとなり、押圧によるシール部での破袋等のトラブルが軽減されるようになる。
【0063】
そして、変位量データの取込終了時刻t2に到達したか否かを判定し(ステップS13)、到達したと判定すればダンパモードを解除して(ステップS14)、リターンする。一方、到達していないと判定すれば、ステップS11へ戻る。
【0064】
また、上記ステップS11で、押圧部材32の上下動速さが一定値を超えていないと判定すれば、つまり、所定以上の大きな振動が生じていなければ、ステップS13へ進み、以降の制御を行う。
【0065】
次に、ステップS7のシール状態の良、不良の判定における制御について説明すると、図6に示すように、まず、変位量データの取込開始時刻t1と取込終了時刻t2との間の所定期間内の押圧部材32の変位量ΔH、すなわち、時刻t1における押圧部材32の高さH1と時刻t2における押圧部材32の高さH2との間の差ΔHを算出する(ステップS21)。
【0066】
そして、ステップS21で算出した変位量ΔHが予め設定された基準値ΔH0以下であるか否かを判定し(ステップS22)、変位量ΔHが基準値ΔH0以下であると判定すれば当該商品Gのシール状態は良好であるということであり、リターンする。一方、変位量ΔHが基準値ΔH0を超えていると判定すれば当該商品Gのシール状態は不良であるということであり、この場合はエラー信号を出力して(ステップS23)、リターンする。
【0067】
ここで、図7に、様々なシール状態の商品Gに対するシールチェックの結果を示す。図中、符号Mは良品を供して、従来技術によるシールチェック装置でシールチェックを行った場合、一方、符号Nは良品を供して、また、符号Oは良品の包装袋に人工的に直径1ミリメートル程度の穴を形成させて不良品を模擬したものを供して、そして、符号Pは良品の包装袋に人工的に直径2ミリメートル程度の穴を形成させて不良品を模擬したものを供して、それぞれ本願発明に係るシールチェック装置1でシールチェックを行った場合の、押圧部材32の高さHの時間tに対する変化を示したものである。なお、押圧部材32の高さHは、サーボモータ53の回転軸53aの回転に応じてサーボモータ53から出力されるパルスの数で表されている。また、図中、高さH3が示されているが、押圧部材32がこの高さH3に到達すると、ダンパモードによる制御が実行されるようになる。
【0068】
上記図7によれば、まず、符号Mの場合は、特にシールチェックの初期に押圧部材32の大きな上下動、つまり振動が顕著に見られ、良品であるにもかかわらず、時刻t1,t2間の変位量ΔHである高さH1(M)と高さH2(M)との間の差ΔHが基準値ΔH0より大きく、不良と誤判定される例である。
【0069】
これに対し符号Nの場合は、同じく良品であるが、本願発明に係るシールチェック装置1でシールチェックされたから、符号Mの場合に見られた振動は抑制されている。しかも高さH1(N)と高さH2(N)との間の差ΔHはほとんど検知されず、供された良品は正しく良品と正確に判定されている。
【0070】
また、符号O及び符号Pの場合は、符号Nの場合と同様に振動が抑制されていることに加え、シール状態の不良の程度の差が如実に表れた挙動を示していることが分かる。つまり、符号Oの場合には、高さH1(O)と高さH2(O)との間の差ΔHは基準値ΔH0以上である。一方、符号Pの場合は、高さH1(P)と高さH2(P)との間の差ΔHは基準値ΔH0以上であることに加え、この差ΔHは上記符号Oの場合を上回る大きさであることから、不良の程度が大きいほど高さH1と高さH2の間の差ΔHは大きくなることが分かる。
【0071】
さらに、上記図7からは、本願発明に係るシールチェック装置1でシールチェックされた符号N,O,Pの場合、振動が早期に収束していることがうかがえるから、変位量データの取込開始時刻t1をより早い時期に設定することができ、シールチェックの高速化が図られるようになる。
【0072】
なお、上記実施の形態において、商品Gの搬送間隔の制御については説明しなかったが、例えば、商品検知センサ61による商品搬入検知信号に基づいて、前回の商品搬入検知信号と今回の商品搬入検知信号との間の時間間隔を基準間隔と比較して時間のずれを算出し、そのずれの大きさに応じてコンベア駆動モータ17を制御することによって、搬入される商品Gをシールチェックしながら商品Gを所定間隔で搬送することができる。したがって、このシールチェック装置1の下流に配置された装置の処理能力を十分に発揮させることができる。
【0073】
また、上記実施の形態において、押圧部材32に作用する衝撃力を抑制するように制御することによって振動を抑制する場合については説明しなかったが、この場合、サーボモータ53の有する加速度検知機能を利用して振動を抑制することができる。すなわち、押圧部材32に作用する衝撃力を連結リンク51,52や第1、第2連結部材55,56を介してサーボモータ53の回転軸53aに伝達し、該衝撃力に応じた回転軸53aの回転加速度を検知し、この回転加速度が一定値を超えたとき、この回転加速度に比例したトルクを、該回転加速度の向きと反対方向に加えるように、サーボモータを制御することにより、衝撃力、つまり振動を抑制することができるようになる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、搬入商品によって生じる押圧部材の振動を速やかに抑制するようにサーボモータの動作を制御したから、振動がもたらす虞のある誤判定が回避されて正確なシールチェックが実現すると共に、早期に変位量データを取り込むことができて高速化が図られる。しかも、シリンダ等を使用しない振動抑制方式であるから、安価で軽量なシールチェック装置を提供することが可能となる。さらに、このシールチェック装置を、例えば製袋包装機と振分装置との間に配設すれば、検査の信頼性向上と高速化とを可能にするシステムが安価に実現する等、本発明は、商品検査分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るシールチェック装置の一部破断正面図である。
【図2】 同装置の押圧ユニットの動作を説明するための要部抜粋図である。
【図3】 同装置の制御システムを示す図である。
【図4】 同装置の運用例を示すフローチャート図である。
【図5】 同じくフローチャート図である。
【図6】 同じくフローチャート図である。
【図7】 押圧部材の高さの時間変化を示す図である。
【図8】 従来技術における振動の影響を説明するための、押圧部材の高さの時間変化を示す図である。
【符号の説明】
1 シールチェック装置
6 下部搬送コンベア(搬送手段)
7 押圧ユニット
32 押圧部材
53 サーボモータ(位置検知手段、加速度検知手段)
53a 回転軸
61 商品検知センサ
62 エアノズル(冷却手段)
63 制御装置(制御手段)
63a メモリ(記憶手段)
63b CPU(速度算出手段、当接判断手段)
G 商品

Claims (8)

  1. 包装済み商品の搬送手段と、該搬送手段上の商品に当接し、該商品を押圧する押圧部材とが備えられ、商品搬入後の押圧部材の変位量に基づいて上記商品のシールチェックを行うシールチェック装置であって、上記押圧部材を上下動させるサーボモータと、該サーボモータの回転軸の回転位置を検知する位置検知手段と、該位置検知手段が検知する回転位置データに基づいて、上記回転軸の回転速度を算出する速度算出手段と、該速度算出手段が算出する回転速度が所定値を超えたとき、その速度を抑制するように制御する制御手段とが備えられていることを特徴とするシールチェック装置。
  2. 包装済み商品の搬送手段と、該搬送手段上の商品に当接し、該商品を押圧する押圧部材とが備えられ、商品搬入後の上記押圧部材の変位量に基づいて上記商品のシールチェックを行うシールチェック装置であって、上記押圧部材を上下動させるサーボモータと、搬入される商品によって上記押圧部材に作用する衝撃力を検知する加速度検知手段と、該加速度検知手段が検知する衝撃力が所定値を超えたとき、その衝撃力を抑制するように制御する制御手段とが備えられていることを特徴とするシールチェック装置。
  3. 押圧部材への商品の当接を判断する当接判断手段が備えられており、制御手段は、該当接判断手段による当接判断信号に基づいて搬送手段と押圧部材との間の間隔を所定間隔に広げ、そののち、サーボモータの回転軸の回転速度、または押圧部材に作用する衝撃力を抑制するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシールチェック装置。
  4. 商品の搬入を検知する商品検知手段が備えられており、当接判断手段は、該商品検知手段による商品搬入検知信号に基づいて判断することを特徴とする請求項3に記載のシールチェック装置。
  5. 当接判断手段は、位置検知手段もしくは加速度検知手段による商品当接検知信号に基づいて判断することを特徴とする請求項3に記載のシールチェック装置。
  6. 制御手段による制御の初期設定を商品ごとに記憶する記憶手段が備えられており、制御手段は、該記憶手段が記憶する初期設定に基づいて制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のシールチェック装置。
  7. 制御手段は、商品の搬送間隔を制御することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のシールチェック装置。
  8. 商品のシール部を冷却する冷却手段が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のシールチェック装置。
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