JP4497736B2 - 2枚重ね製品の成形用ブランク材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製の製品本体に金属製の板状部品を重ね合わせた2枚重ね製品を成形するためのブランク材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の2枚重ね製品は、製品本体と板状部品とを別々にプレス成形した後、製品本体に板状部品を溶接等で結合して製造している。然し、この方法では、製品本体用と板状部品用の各別のプレス型が必要になり、製品の製造コストが高くなる不具合がある。
【0003】
そのため、製品本体となる第1の板材に板状部品となる第2の板材を接合して成るブランク材を用い、単一のプレス型で製品をプレス成形することが望まれる。この場合、第1の板材の外縁部を拘束した状態で第1の板材を製品本体の形状に張出し成形しつつ、第2の板材を非拘束で製品本体に重なる板状部品の形状に成形することが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く第2の板材を非拘束にして第1の板材を張出し成形すると、第1の板材が第2の板材の成形反力(成形に対する抵抗力)を受けて、第2の板材にオーバーラップする第1の板材の部分の変形が規制される。そのため、第1の板材の伸びを生ずる成形初期段階において、第1の板材に、第2の板材にオーバーラップしない部分で局部的に大きな伸びを生じ易くなる。
【0005】
ここで、図6に示す如く、製品本体2の段付き溝2aに板状部品3が重ね合わされている場合、段付き溝2aの段差部2bは第2の板材が絞り成形される領域になり、段差部2bに合致する第2の板材の部分の成形反力が大きくなる。そのため、成形初期段階において、段差部に合致する第2の板材の部分の外縁外側に位置する第1の板材の部分が大きく伸び、この伸びが余肉となって製品本体2に段差部2bの側面部分において皺が発生する。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、2枚重ね製品を皺を生ずることなく良好に成形し得るようにしたブランク材を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、金属製の製品本体に金属製の板状部品を重ね合わせた2枚重ね製品を成形するためのブランク材であって、製品本体となる第1の板材に板状部品となる第2板材を接合して成り、第1の板材の外縁部を拘束した状態で第1の板材を張出し成形しつつ、第2の板材を非拘束で成形することにより2枚重ね製品に成形されるものにおいて、製品本体の皺の発生が予測される部分に合致する第1の板材の部位に重なる第2の板材の部位を切り欠いた形状に第2の板材を形成している。
【0008】
本発明によれば、皺の発生が予測される部分での第1の板材の伸びが第2の板材を切欠くことで小さく抑えられ、製品本体に皺が発生しなくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1(A)は、金属製の製品本体2と、製品本体2の段付き溝2aの内面に重ね合わせた補強用の板状部品3とから成る2枚重ね製品1を示している。この製品1は、図1(B)に示す如く、製品本体2となる比較的薄い第1の板材2’に板状部品3となる比較的厚い第2の板材3’をその幅方向中央部において接着剤やスポット溶接等で接合して成るブランク材1’を用いて成形される。図中、仮想線は溝部2aの底面に重なる第2の板材3’の部分の輪郭を示している。
【0010】
図2及び図3は、ブランク材1’を用いて製品1をプレス成形するプレス型を示している。このプレス型は、下側のパンチ10と、上側のダイ11と、ピン12aを介して上方に付勢されるブランクホルダ12とを備えている。製品1の成形に際しては、先ず、図3(A)に示す如く、ブランク材1’を第2の板材3’を下にした状態で第1の板材2’の成形領域の外縁部がブランクホルダ12に着座するようにセットし、次に、ダイ11をパンチ10に向けて下降させる。これによれば、第1の板材2’の外縁部がダイ11とブランクホルダ12との間に挟まれて拘束され、この状態でブランク材1’がダイ11によりブランクホルダ12と共に押し下げられる。そして、第2の板材3’がパンチ10に当接したところで第1の板材3’の張出し成形が開始される。
【0011】
張出し成形の初期段階では、第1の板材2’の第2の板材3’にオーバーラップする部分における変形が規制され、図3(B)に示す如く、主として第1の板材2’の第2の板材3’にオーバーラップしない部分が伸びを生じつつ変形する。その後、図3(C)に示す如く、第2の板材3’も変形し、最終的に、図3(D)に示す如く、ブランク材1’がパンチ10とダイ11との間に挟まれて、第1と第2の両板材2’,3’が夫々パンチ10とダイ11に合致する所要の形状に成形される。
【0012】
ここで、第2の板材3’の外縁部はブランクホルダ12とダイ11との間に挟まれておらず、第2の板材3’は非拘束で材料の伸びを生ずることなく成形される。そして、段付き溝2aの段差部2b以外の部分では、第2の板材3’が単純に曲げ成形されるだけであるため、第2の板材3’の成形反力が小さく、第2の板材3’の変形が早期に開始されて、第2の板材3’の外縁外側に位置する第1の板材2’の部分の伸びが抑制される。一方、第2の板材3’に図4の仮想線で示す如く段付き溝2aの段差部2bの側面に重なる部分が存在する場合、第2の板材3’が段差部2bの部分で絞り成形されることになって成形反力が大きくなり、第2の板材3’の外縁外側に位置する第1の板材2’の部分に過剰な伸びを生ずる。そして、この伸びが余肉となって製品本体2に段付き溝2aの段差部2bの側面部分において図6に示す如く皺が発生する。
【0013】
そこで、本実施形態では、第2の板材3’を、図1(B)に示す如く、段付き溝2aの段差部2bの側面に重なる部分を切欠いた形状、即ち、前記部分に切欠き3’aを有する形状に形成している。これによれば、第1の板材2’の伸びが図4に実線で示す如く最小限に抑えられ、製品本体2に皺が発生することを防止できる。
【0014】
尚、段付き溝2aの段差部2bの側面に重なる部分を全部切欠かなくても、この部分の幅を狭くすることで皺の発生を防止できる。そのため、図5に示す如く、等幅の板材を段付き溝2aの段差部2bの側面に重なる部分と段付き溝2aの深溝部の側面に重なる部分とが幅狭に残るように切欠いて、第2の板材3’を形成しても良い。
【0015】
以上、段付き溝2aを有する製品1の成形用ブランク材1’について説明したが、他の製品の成形用ブランク材でも、試し打ちで製品本体に皺が発生した場合、皺の発生部分に重なる第2の板材の部分を切欠くことで皺の発生を防止できる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、第1の板材の伸びを小さく抑えて、製品本体に皺が発生することを防止でき、2枚重ね製品を良好に成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)2枚重ね製品の一例の要部の斜視図、(B)この製品の成形に用いる本発明に係るブランク材の一例の要部の斜視図
【図2】 製品を成形するプレス型の断面図
【図3】 (A)図2のIII-III線で截断したプレス型のブランク材セット時における断面図、(B)成形初期段階の断面図、(C)成形中間段階の断面図、(D)成形最終段階の断面図
【図4】 図2のIV-IV線で截断したプレス型の成形中間段階の拡大断面図
【図5】 第2の板材の変形例の平面図
【図6】 切欠き形状としないブランク材を用いて成形した製品の斜視図
【符号の説明】
1 2枚重ね製品 2 製品本体
3 板状部品 1’ ブランク材
2’ 第1の板材 3’ 第2の板材
3’a 切欠き
Claims (1)
- 金属製の製品本体に金属製の板状部品を重ね合わせた2枚重ね製品を成形するためのブランク材であって、
製品本体となる第1の板材に板状部品となる第2板材を接合して成り、
第1の板材の外縁部を拘束した状態で第1の板材を張出し成形しつつ、第2の板材を非拘束で成形することにより2枚重ね製品に成形されるものにおいて、
製品本体の皺の発生が予測される部分に合致する第1の板材の部位に重なる第2の板材の部位を切り欠いた形状に第2の板材を形成する、
ことを特徴とする2枚重ね製品の成形用ブランク材。
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