JP4497302B2 - エッチバック方法、及びそれを用いた無機偏光子製造方法 - Google Patents
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半導体の分野においては、微細な配線層をもつ多層配線を形成する際に、下層配線となるポリシリコンやアルミニウムの配線上に層間絶縁膜を堆積する。層間絶縁膜の堆積は、通常はCVD(化学気相成長)法により行われるため、下層配線の凹凸がそのまま層間絶縁膜表面の凹凸となって現われる。その状態で上層配線のためのメタル膜を堆積し、写真製版によりパターン化しようとすると、表面の凹凸のためにパターン精度が低下し、微細な配線を形成するのが困難となる。
しかし、一般にはエッチバックは、不要な箇所に金属が残って光学的又は電気的な特性に悪影響を与えないようにするために、エッチングはちょうど基板表面や層間絶縁膜が露出したジャストエッチの状態からさらにエッチングを進めるオーバーエッチの状態になるまで継続されるのが普通である。その結果、無機偏光子のような微細な格子パターンではオーバーエッチングにより格子高さが低下したり格子パターン表面が損傷を受けたりすることにより、光学特性が劣化する。
本発明の第2の目的は、そのように制御された方法により無機偏光子を製造する方法を提供することである。
(A)表面に凹部をもつ素子領域を基板表面の一部領域にもつ基板に対して、その素子領域を被って前記基板表面上に基板表面とは材質の異なる被エッチング層を堆積する工程、
(B)前記被エッチング層上に表面粗さが低下するように感光性材料層であるレジスト層を塗布する工程、
(C)前記素子領域以外の領域で前記レジスト層にスペクトルピーク検出用の開口部を設ける工程、
(D)ドライエッチングにより前記レジスト層と前記被エッチング層を全面的にエッチングし、そのドライエッチングにより発生するプラズマ発光に基づいて前記開口部に基板表面が露出した時点を検出する工程、及び
(E)前記工程(D)での検出時点から所定の時間の後にエッチングを停止させる停止工程。
また、工程(D)のエッチングは、前記レジスト層、被エッチング層及び基板のエッチング速度が等しくなる方向にエッチング条件を設定して行なうのが好ましい。
ここで、等間隔に配列された溝をもつ格子状パターンというのは、格子のピッチが一定であることのみを意味しており、格子を構成する凹部と凸部の幅は等しくてもよく、等しくなくてもよいことを意味している。例えば、格子のピッチが100nmである場合に、凹部と凸部の幅が等しくともに50nmであるものも含むし、凹部と凸部の幅が等しくなく、例えば凹部の幅が60nm、凸部の幅が40nmとなっているようなものも含むという意味である。
本発明の無機偏光子は、この方法により製造されたものである。
また、オーバーエッチングを抑えることができることから、本発明の方法はより微細な製品の製造に適する。
本発明の方法ではエッチング終点検出用の膜形成の必要がない。もし、エッチング終点検出用の膜を形成した場合には、エッチング終点検出用の膜を検出した後、その膜を除去するためにエッチングガスを切り換えて導入しなければならないが、本発明の方法はそのようなエッチングガスの切換えも必要としない。
そのエッチバック方法を無機偏光子の製造に適用することができる。その場合、基板が石英ガラス、金属がアルミニウム又はアルミニウム合金で、エッチングガスとしてフッ素化合物を含むガスを使用し、SiFのスペクトルピーク値の微分値で検出を行なうとすれば、開口部がないときはSiFのスペクトルピークが緩やかに上昇するカーブとなってピーク検出が困難であるが、開口部を設けることでSiFのスペクトルピークの検出が容易になる。また、膜厚測定が困難なアルミニウム膜の厚さばらつきがあっても、開口部のプラズマスペクトル検出によりエッチバックの制御性に優れる。その結果として、得られる無機偏光子の光学特性を向上させることができる。
基板2は平坦な石英ガラス基板であり、基板2の表面中央部に偏光子となる微細な格子パターン4が形成されている。格子パターン4の表面は基板2の他の部分の表面と同一高さに形成されていることもあるし、また図示のように基板2の他の部分の表面から突出して形成されていることもある。
溝6に埋め込まれた金属層は高反射率なものであればよく、アルミニウムの他にアルミニウム合金、又は金、銀もしくはそれらの金属の合金も使用することができる。基板2は石英ガラス基板に限らず、耐熱性ガラス基板又は光学ガラス基板等のガラス基板も同様に使用することができる。
本発明はさらに、光学素子以外の物品、例えば半導体装置で多層配線の微細な配線層又は上下層の配線間を接続するためのスルーホールの埋込みなどにも適用することができる。
(A)アルミニウム膜堆積からレジスト層形成まで:
処理の対象となるのは、平坦な表面をもつ基板10、例えば石英ガラス基板、の表面に微細な格子パターン12が形成されているものである。格子パターン12は基板10に一体的に形成されたものであり、この例では格子パターン12は基板10の他の部分の表面から突出して形成されているが、基板10の他の部分の表面と同一高さに形成されていてもよい。
格子パターン12が形成されている領域以外の領域に開口18を設けるために、レジスト16をマスクを介して露光し、現像してレジスト16に開口18を形成する。
その後クリーンオーブン内で200℃で1時間のポストベーク処理を施す。これによりレジスト16が硬化される。硬化後のレジスト16の厚さは0.12μmであった。これで、エッチバック用のサンプルが完成する。
エッチバックのためのドライエッチング装置は特に限定されるものではなく、プラズマ光によりエッチングの経過をモニターできるものであればよい。そのようなドライエッチング装置としては、RIE(反応性イオンエッチング)装置、ICP(誘導結合プラズマエッチング)装置又はECR(電子サイクロン共鳴プラズマエッチング)装置などを用いることをできるが、ここでは、RIE装置を用いるものとする。
レジスト層16を形成し、開口18を設けたサンプルをエッチング装置に装着し、次の手順でエッチング処理する。
エッチングに先立ち、エッチング装置内をクリーニング処理する。クリーニング処理は例えば、O2を200sccmで流し、20分間放電する。
サンプルのエッチングを安定させるために、ダミー基板を使用してダミーエッチングを行なう。ダミーエッチング条件は後述のサンプルエッチングと同一に設定し、約10分間行なう。
ダミーエッチングの後、例えば、O2を200sccmで流し、10分間放電して再びクリーニング処理を行なう。
その後、20分以上放置する。
ここまでは、サンプルはロードロック機構の真空引きされた基板搬送室内に収納して待機させておき、次のサンプルエッチバック工程のためにエッチング装置内に搬送する。
その後、サンプルのエッチバックを行なう。
エッチング条件は、例えば次のように設定する。
エッチングガス:
CHF3=3sccm、
Ar=20sccm、
Cl2=8sccm、
BCl3=4sccm、
圧力=1Pa、
RFパワー=100W。
その後、所定の設定時間(制御時間)にわたりエッチングを継続させることにより、格子パターン12の溝内にアルミニウム膜が残存し、基板10の表面のその他の部分のアルミニウム膜が全て除去されて無機偏光子が完成する。
その後、エッチング装置内にO2を200sccmで流し、10分間放電してクリーニング処理を行なった後、10分間以上放置する。
その後、エッチング装置内にサンプルを搬送し、アルゴン処理を行なう。サンプルのアルゴン処理は、サンプルを大気中に取り出したときに、塩素系ガスによるアルミニウム材の酸化腐食を防止するためにサンプルに付着した塩素系ガスを除去するのが目的である。アルゴン処理の条件は、例えば次のように設定する。
Ar=10sccm、
圧力=1Pa、
RFパワー=100W。
アルゴン処理後、サンプルを基板搬送室内に搬送し取り出す。
図3はエッチング停止制御装置の概要をエッチング装置とともにブロック図として示したものである。20はエッチング装置であり、具体的にはRIE装置,ICP装置又はECR装置など、ドライエッチングに用いることのできる任意のエッチング装置とすることができる。22はプラズマモニターで、エッチング装置20内のプラズマからの発光を受光し、そのスペクトルを検出するものである。プラズマモニター22はまた、検出したスペクトルデータ内の特定波長、例えばSiF成分によるプラズマスペクトル波長でのプラズマ強度を微分して出力することができる。26は微分されたプラズマ出力値を入力し、予め基準値設定部28に設定された基準値と比較して、微分値がその基準値を越えた時点を検出する比較手段である。30は比較手段26が基準値を越えた時点を検出したときに、その時点から予め制御時間設定部32に設定された制御時間が経過したときにエッチング装置20の駆動回路34に対し停止信号を出力してエッチングを停止させる駆動停止手段である。エッチング停止制御装置は比較手段26、基準値設定部28、駆動停止手段30及び制御時間設定部32を含んでいる。
図2(A)に示されるようなサンプルをエッチング装置に入れ、エッチングを開始する。エッチングでは、必要に応じて図2(B)のエッチング工程で説明したように、クリーニング処理、ダミーエッチング処理、アルゴン処理などの処理工程を設定しておいてもよい。
プラズマモニター22はそのスペクトルデータのうち、エッチングガスと石英ガラス基板との反応で生じる成分、例えばSiF、から発生するプラズマのピーク波長でのプラズマ強度の時間経緯を微分する機能を備えている。その特定波長でのプラズマ強度の時間経緯は例えば図5の中段の図に示されるものであり、その微分波形は図5の下段の図に示されるものである。
4,12 格子パターン
6 格子パターンの溝
8 基板と同一の石英ガラス部分
10 基板
14 アルミニウム膜
16 レジスト層
18 開口
20 エッチング装置
22 プラズマモニター
26 比較手段
28 基準値設定部
30 駆動停止手段
32 制御時間設定部
34 駆動回路
Claims (5)
- 以下の工程(A)から(E)を含んで被エッチング層をエッチングするエッチバック方法。
(A)表面に凹部をもつ素子領域を基板表面の一部領域にもつ基板に対して、その素子領域を被って前記基板表面上に基板表面とは材質の異なる被エッチング層を堆積する工程、
(B)前記被エッチング層上に表面粗さが低下するようにレジスト層を塗布する工程、
(C)前記素子領域以外の領域で前記レジスト層にスペクトルピーク検出用の開口部を設ける工程、
(D)ドライエッチングにより前記レジスト層と前記被エッチング層を全面的にエッチングし、そのドライエッチングにより発生するプラズマ発光に基づいて前記開口部に基板表面が露出した時点を検出する工程、及び
(E)前記工程(D)での検出時点から所定の時間の後にエッチングを停止させる停止工程。 - 前記工程(D)での前記開口部に基板表面が露出した時点の検出は、前記プラズマ発光のうち基板表面の物質に起因するスペクトルピーク値の微分値と予め設定した値との比較により行なう請求項1に記載のエッチバック方法。
- 前記工程(D)のエッチングは、前記レジスト層、被エッチング層及び基板のエッチング速度が等しくなる方向にエッチング条件を設定して行なう請求項1又は2に記載のエッチバック方法。
- 基板表面に互いに平行で扱う光が偏波分離を起こすピッチをもって等間隔に配列され、金属が埋め込まれた溝をもつ格子状パターンを備えた無機偏光子を製造する方法において、
前記格子状パターンの溝に金属を埋め込む方法として、請求項1における素子領域を前記格子状パターンが形成された領域とし、前記被エッチング層を前記格子状パターンの溝に埋め込む金属が基板表面上に堆積された金属層として請求項1から3のいずれかに記載のエッチバック方法を用いることを特徴とする無機偏光子製造方法。 - 前記基板は石英ガラス、前記金属はアルミニウム又はアルミニウム合金であり、前記エッチングガスとしてフッ素化合物を含むガスを使用し、前記開口部に基板表面が露出した時点の検出はSiFのスペクトルピーク値の微分値と予め設定した値との比較により行なう請求項4に記載の無機偏光子製造方法。
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