JP4496623B2 - 誘導加熱溶解炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱により金属を溶解する誘導加熱溶解炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、誘導加熱溶解炉は、互いに電気的に絶縁された縦割り状の導電性セグメントを円周方向に配列することにより形成された容器状の炉本体と、炉本体の周囲に配置された誘導加熱コイルとを備えている。そして、炉本体は、冷却水により効率良く冷却されるように、導電性セグメントの内部に冷却水路が形成されていると共に、大きな熱伝導率の純銅により形成されている(図1参照)。
【0003】
上記の構成によれば、炉本体に対して塊状や粉状等の被溶解金属を投入した後、誘導加熱コイルに交流電力を供給することによって、炉本体内の被溶解金属を交番磁場により誘導加熱して溶解させることができる。そして、このときに、冷却水の供給により炉本体を冷却しておくことによって、溶解された被溶解金属を冷却固化して炉本体の壁面に沿って膜状のスカルを生成させると共に、炉本体を反応温度以下に維持することができる。これにより、炉本体と被溶解金属とを反応させないようにすることによって、炉本体の不純物が溶湯に移行することによる汚染を防止することが可能になっている。また、被溶解金属による導電性セグメント間の短絡をスカルにより防止することができるため、被溶解金属の溶解が進行した場合でも、強度の交番磁場を被溶解金属に付与し続けることが可能になり、結果として被溶解金属を十分に撹拌しながら溶解した溶湯を得ることが可能になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のようにして被溶解金属を溶解して溶湯を得た後に、この溶湯の状態を維持しようとすると、誘導加熱コイルに対して交流電力を供給して溶湯への加熱を継続する必要がある。この際、溶湯を収容する炉本体は、熱伝導率の高い純銅で構成されているため、溶湯から単位時間当たりに取り去る抜熱量が大きなものになっている。従って、従来においては、炉本体の抜熱量に対応した大きな交流電力を供給することによって、溶湯の状態を維持している。ところが、このような従来の方法では、得られる溶湯量に対して消費される交流電力が大きなものになるため、溶解効率が低く、結果として生産コストが高騰するという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、高い溶解効率でもって溶湯を得ることができる誘導加熱溶解炉を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、複数の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成された側面壁を有し、被溶解金属を反応温度未満で冷却可能に収容する炉本体と、前記側面壁の外周側に配置され、前記炉本体に収容された被溶解金属を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた誘導加熱溶解炉において、前記炉本体は、前記反応温度以上にまで冷却能力を低下させる熱伝導率よりも大きく、純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の金属材料で全体が形成されていることである。
上記の構成によれば、炉本体の純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の金属材料で炉本体の全体が形成されることによって、純銅で炉本体の全体を形成した場合よりも、被溶解金属から炉本体への抜熱量を低下させることができる。これにより、被溶解金属を誘導加熱により溶解したときに、炉本体への抜熱により形成されるスカルの生成量を純銅の場合よりも低減し、この低減量を溶湯の生成量とすることができる。また、この被溶解金属の誘導加熱時において、金属材料の電気伝導率に多少の変化が生じても、被溶解金属に対する誘導加熱に殆ど影響しない。この結果、誘導加熱コイルへの供給電力に対して溶湯の生成量が増加した状態になるため、純銅で炉本体を形成した場合よりも高い溶解効率でもって溶湯を得ることが可能になる。
【0007】
また本発明の第2の態様は、複数の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成された側面壁を有し、被溶解金属を反応温度未満で冷却可能に収容する炉本体と、前記側面壁の外周側に配置され、前記炉本体に収容された被溶解金属を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた誘導加熱溶解炉において、前記炉本体の内面側には、純銅よりも小さな熱伝導率の熱抵抗層が前記反応温度未満となる層厚で形成されていることである。
上記の構成によれば、炉本体の純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の熱抵抗層が炉本体の内面側に形成されることによって、純銅で炉本体の全体を形成した場合よりも、被溶解金属から炉本体への抜熱量を低下させることができる。これにより、被溶解金属を誘導加熱により溶解したときに、炉本体への抜熱により形成されるスカルの生成量を純銅の場合よりも低減し、この低減量を溶湯の生成量とすることができる。また、この被溶解金属の誘導加熱時において、熱抵抗層により電気伝導率に多少の変化が生じても、被溶解金属に対する誘導加熱に殆ど影響しない。この結果、誘導加熱コイルへの供給電力に対して溶湯の生成量が増加した状態になるため、純銅で炉本体を形成した場合よりも高い溶解効率でもって溶湯を得ることが可能になる。
【0008】
本発明の第2の態様において、前記熱抵抗層は、クラッド材の接合処理、コーティング処理および表面改質処理の何れかにより形成されていることが好ましい。これにより、生産加工時において一般的に使用される比較的に簡単な処理により熱抵抗層を形成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1および図2に基づいて以下に説明する。
本実施の形態に係る誘導加熱溶解炉は、図1に示すように、被溶解金属20を収容する炉本体1を有している。炉本体1は、純銅の熱伝導率(389W/m・k)よりも小さな熱伝導率(322W/m・k)のクロム銅により形成されており、炉本体1の機械的強度を高めていると共に、被溶解金属20の単位時間当たりの抜熱量を純銅の場合よりも低減している。尚、炉本体1は、クロム銅の他、純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率のジルコニウム銅やベリリウム銅、クロムジルコニウム銅、テルル銅等の金属材料を用いることができる。また、被溶解金属20としては、純銅や銅合金の他、金や銀、アルミニウム、これら各金属の合金等の大きな熱伝導率を有した金属を挙げることができると共に、鉄やコバルト、チタン、ニッケル、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、ニオブ、タンタル、モリブデン、ウラン、希土類金属、トリウム、これらの合金等を挙げることができる。
【0010】
上記の炉本体1は、炉本体1の底面壁を構成するように形成されたベース体2と、炉本体1の側面壁を構成するように、ベース体2上に円周方向に配設された複数の導電性セグメント8とを有している。ベース体2は、円柱形状に形成された柱状部3と、柱状部3の下縁部から外周方向に突設されたフランジ部4とを有している。一方、フランジ部4には、上下方向に貫設された複数の締結穴4aが導電性セグメント8の配列位置に対応して形成されていると共に、冷却水路4bが形成されている。
【0011】
上記の各締結穴4aには、ボルト部材6が挿通されている。ボルト部材6は、ナット部材7とで導電性セグメント8をフランジ部4に固定している。導電性セグメント8は、上下方向に立設され、内側面が柱状部3の側周面に当接された側壁部9と、側壁部9の下端部から直角方向に曲折され、下面がフランジ部4の上面に当接された取付部10とを有している。取付部10には、締結穴10aが形成されており、締結穴10aは、フランジ部4の締結穴4aに対応するように配置され、ボルト部材6が挿通されている。
【0012】
上記の導電性セグメント8は、隣接するセグメント8・8同士が互いに電気的に絶縁状態にされている。また、各導電性セグメント8における幅方向の中心部には、上端部を残して縦方向にスリット8aが形成されている。スリット8aは、導電性セグメント8を縦方向に二分割しており、導電性セグメント8の側壁部9と取付部10とは、スリット8aを介して互いに電気的に絶縁状態にされている。
【0013】
また、各導電性セグメント8の内部には、冷却水路8bと連通路8cとが形成されている。冷却水路8bは、スリット8aで二分割された一方の側壁部9と他方の側壁部9とにそれぞれ形成されている。また、連通路8cは、導電性セグメント8の上端部に形成されており、両側壁部9・9における冷却水路8b・8bの上端部同士を連通している。また、各冷却水路8bの下端は、上述のフランジ部4の冷却水路4bに連通されており、これらの冷却水路8b・4bは、冷却水を流通させることによって、導電性セグメント8を含む炉本体1の全体を所定の温度(被溶解金属20との反応温度)以下に冷却している。
【0014】
上記のように構成された炉本体1の外周側には、誘導加熱コイル11が巻回されている。誘導加熱コイル11には、任意の周波数の交流電力を出力可能な図示しない電源装置が接続されている。電源装置は、誘導加熱コイル11に対して交流電力を供給して交番磁場を発生させ、この交番磁場を炉本体1に収容された被溶解金属20に浸透させて誘導加熱する。
【0015】
上記の構成において、誘導加熱溶解炉の動作について説明する。
先ず、塊状や粉状の被溶解金属20が炉本体1に投入される。そして、側壁部9の冷却水路8bに冷却水が供給されることにより炉本体1が冷却されながら、誘導加熱コイル11に交流電力が供給されることによって、誘導加熱コイル11の周囲に交番磁場が生成される。誘導加熱コイル11の内周側における交番磁場は、縦方向に分割された導電性セグメント8および隔壁部材12を介して炉本体1の内側に透過することによって、被溶解金属20に浸透し、被溶解金属20を誘導加熱する。これにより、被溶解金属20は、溶融温度に昇温した表面側から溶解を開始して溶湯20bとなり、炉本体1の底面壁に向かって流れ落ちる。そして、溶湯20bが炉本体1の底面壁に到達したときに、炉本体1により冷却されて凝固し、皿状のスカル20aを形成する。
【0016】
上記のスカル20aが所定以上の厚みとなって炉本体1による冷却能力よりも誘導加熱による加熱能力が上回ると、スカル20a上に溶湯20bとして滞留していくことになる。そして、溶湯20bの滞留量が増加すると、溶湯20bが交番磁場と誘導電流との相互作用および重力の作用を受けることによって、周辺部から中央部にかけて盛り上がったドーム形状の外形を呈しながら撹拌されることになる。また、このような溶湯20bの形成時において、被溶解金属20のスカル20aと接触する内面側が反応温度以下に冷却されているため、炉本体1の不純物がスカル20aを介して溶湯20bに移行することもない。
【0017】
ところで、スカル20a上に多量の溶湯20bを形成して維持するためには、炉本体1の溶湯20bに対する抜熱量よりも大きな熱量で溶湯20bが加熱されるように、誘導加熱コイル11への電力供給が継続される必要がある。ここで、溶湯20bから炉本体1への抜熱のメカニズムを検討すると、抜熱の熱抵抗は、炉本体1の内側表面とスカル20aとの接触熱抵抗により決定される。接触熱抵抗に影響を与える要因には、▲1▼接触面のうねり、▲2▼接触面の表面粗さ、▲3▼接触面の押し付け圧力、▲4▼接触固体の硬さと熱伝導率、▲5▼接触面に介在している物質の熱伝導率、および▲6▼接触面の酸化状態等がある。これらの要因▲1▼〜▲6▼の中で第4の要因▲4▼以外は、炉本体1の材質によって値が変化しないと考えられる。そこで、炉本体1の硬さと熱伝導率による要因▲4▼を検討すると、硬さは、高温状態のスカル20aが対象であるため、接触熱抵抗に対する影響を無視することができる。これにより、接触熱抵抗は、炉本体1の熱伝導率の差に応じた変化量に近似することができるため、次に、炉本体1を構成するクロム銅の熱伝導率と、従来の材質である純銅の熱伝導率との関係に着目して検討する。
【0018】
クロム銅および純銅の熱伝導率は、室温においてそれぞれ322W/m・Kおよび389W/m・Kである。従って、炉本体1の内側表面が300°C程度であることから、両材料の比である0.83(=322/389)を接触熱抵抗による抜熱量の減少割合として換算することができる。尚、クロム銅の電気伝導率は、純銅に対して85%程度の低下を示すことになるが、磁界解析により調査したところ、この程度の低下であれば、溶湯20bへの投入電力(加熱量)に殆ど変化を生じないことが判明している。この結果、炉本体1がクロム銅で構成されていると、炉本体1が純銅で構成されている場合と比較して、溶湯20bの抜熱量が低下する一方、溶湯20bの状態を維持する供給電力に殆ど変化がないため、得られる溶湯量に対して消費される交流電力量を減少させることが可能になる。これにより、クロム銅製の炉本体1は、高い溶解効率でもって溶湯20bを得ることができるため、生産コストを低減することが可能になっている。
【0019】
次に、クロム銅と純銅とを用いて同一の炉本体1をそれぞれ作製し、各炉本体1の溶解性能をそれぞれ調査した。尚、調査方法は、被溶解金属20としてチタン(Ti)を採用し、このチタンを600kWの供給電力で溶解してスカル20aおよび溶湯20bとした後、溶湯20bを取り出した後のスカル20aの生成量とチタンの投入量とをそれぞれ計量および比較することにより行った。この結果、純銅製の場合には、48kgの投入量に対して7.3kgのスカル20aが計量されたのに対し、クロム銅製の場合には、45kgの投入量に対して3.75kgのスカル20aが計量された。これにより、クロム銅製の炉本体1であれば、純銅製の場合よりもスカル20aの生成量を約半分に抑制できることから、溶解効率を大幅に向上できることが確認された。
【0020】
以上のように、本実施形態の誘導加熱溶解炉は、複数の導電性セグメント8を円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成された側壁部9(側面壁)を有し、被溶解金属20を反応温度未満で冷却可能に収容する炉本体1と、側壁部9の外周側に配置され、炉本体1に収容された被溶解金属20を誘導加熱する誘導加熱コイル11とを備えている。そして、炉本体1は、反応温度以上にまで冷却能力を低下させる熱伝導率よりも大きく、純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率のクロム銅等の金属材料で全体が形成された構成にされている。
【0021】
上記の構成によれば、炉本体1の純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の金属材料で炉本体1の全体が形成されることによって、純銅で炉本体1の全体を形成した場合よりも、被溶解金属20から炉本体1への抜熱量を低下させることができる。これにより、被溶解金属20を誘導加熱により溶解したときに、炉本体1への抜熱により形成されるスカル20aの生成量を純銅の場合よりも低減し、この低減量を溶湯20bの生成量とすることができる。また、この被溶解金属20の誘導加熱時において、金属材料の電気伝導率に多少の変化が生じても、被溶解金属20に対する誘導加熱に殆ど影響しない。この結果、誘導加熱コイル11への供給電力に対して溶湯20bの生成量が増加した状態になるため、純銅で炉本体1を形成した場合よりも高い溶解効率でもって溶湯20bを得ることが可能になる。
【0022】
尚、本実施形態においては、炉本体1の全体をクロム銅等の金属材料により構成した場合について説明しているが、これに限定されるものではなく図2のように構成されていても良い。即ち、炉本体1は、被溶解金属20と接触する内面側に熱抵抗層12を有するように、柱状部3の上面側および側壁部9の内周面側にそれぞれ熱抵抗層12が形成されている。これらの熱抵抗層12は、純銅よりも小さな熱伝導率であって反応温度未満となるように薄い層厚(0.1mm〜1mm程度)で形成されている。即ち、熱抵抗層12は、ステンレス製等の薄板をクラッド材として貼設する接合処理により形成されていたり、金属原子の蒸着等によるコーティング処理により形成されていたり、金属イオンや不活性ガスイオン等を打ち込むドーピング等による表面改質処理により形成されている。尚、炉本体1における熱抵抗層12以外の部分は、純銅やクロム銅等の銅合金、金、銀等で形成することができる。
【0023】
また、本実施形態においては、導電性セグメント8の中心部にスリット8aを立向き方向に形成して側壁部9を二分割し、両側の側壁部9に冷却水路8bを形成することによって、炉本体1を冷却するように構成にされているが、これに限定されるものではない。即ち、図3に示すように、冷却水路21は、フランジ部4の中心部に取水口21aおよび排水口21bを形成し、取水口21aから立ち上げてフランジ部4で外周方向に曲折する。そして、側壁部9内の外周側を立ち上げた後、上端部の内周側から立ち下げて排水口21bに連結した二重構造にされていても良い。そして、このような冷却水路21を備えた炉本体1であっても、炉本体1をクロム銅で構成したり、炉本体1の内周面側に図2の熱抵抗層12を形成することによって、良好な溶解性能を得ることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の第1の態様は、複数の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成された側面壁を有し、被溶解金属を反応温度未満で冷却可能に収容する炉本体と、前記側面壁の外周側に配置され、前記炉本体に収容された被溶解金属を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた誘導加熱溶解炉において、前記炉本体は、前記反応温度以上にまで冷却能力を低下させる熱伝導率よりも大きく、純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の金属材料で全体が形成されている構成である。
上記の構成によれば、炉本体の純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の金属材料で炉本体の全体が形成されることによって、純銅で炉本体の全体を形成した場合よりも、被溶解金属から炉本体への抜熱量を低下させることができる。これにより、被溶解金属を誘導加熱により溶解したときに、炉本体への抜熱により形成されるスカルの生成量を純銅の場合よりも低減し、この低減量を溶湯の生成量とすることができる。また、この被溶解金属の誘導加熱時において、金属材料の電気伝導率に多少の変化が生じても、被溶解金属に対する誘導加熱に殆ど影響しない。この結果、誘導加熱コイルへの供給電力に対して溶湯の生成量が増加した状態になるため、純銅で炉本体を形成した場合よりも高い溶解効率でもって溶湯を得ることが可能になる。
【0025】
また本発明の第2の態様は、複数の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成された側面壁を有し、被溶解金属を反応温度未満で冷却可能に収容する炉本体と、前記側面壁の外周側に配置され、前記炉本体に収容された被溶解金属を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた誘導加熱溶解炉において、前記炉本体の内面側には、純銅よりも小さな熱伝導率の熱抵抗層が前記反応温度未満となる層厚で形成されている構成である。
上記の構成によれば、炉本体の純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の熱抵抗層が炉本体の内面側に形成されることによって、純銅で炉本体の全体を形成した場合よりも、被溶解金属から炉本体への抜熱量を低下させることができる。これにより、被溶解金属を誘導加熱により溶解したときに、炉本体への抜熱により形成されるスカルの生成量を純銅の場合よりも低減し、この低減量を溶湯の生成量とすることができる。また、この被溶解金属の誘導加熱時において、熱抵抗層により電気伝導率に多少の変化が生じても、被溶解金属に対する誘導加熱に殆ど影響しない。この結果、誘導加熱コイルへの供給電力に対して溶湯の生成量が増加した状態になるため、純銅で炉本体を形成した場合よりも高い溶解効率でもって溶湯を得ることが可能になる。
【0026】
本発明の第2の態様において、前記熱抵抗層は、クラッド材の接合処理、コーティング処理および表面改質処理の何れかにより形成されている構成であることが好ましい。これにより、生産加工時において一般的に使用される比較的に簡単な処理により熱抵抗層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘導加熱溶解炉における被溶解金属の状態を示す説明図である。
【図2】誘導加熱溶解炉における被溶解金属の状態を示す説明図である。
【図3】誘導加熱溶解炉における被溶解金属の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 ベース体
3 柱状部
4 フランジ部
6 ボルト部材
7 ナット部材
8 導電性セグメント
9 側壁部
10 取付部
11 誘導加熱コイル
12 熱抵抗層
20 被溶解金属
20a スカル
20b 溶湯
21 冷却水路
Claims (1)
- 複数の導電性セグメントを円周方向に相互に絶縁して配列することにより形成された側面壁を有し、被溶解金属と前記導電性セグメントとの反応温度未満で当該被溶解金属を冷却可能に収容する炉本体と、
前記側面壁の外周側に配置され、前記炉本体に収容された被溶解金属を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備え、
ステンレス製の厚さ0.1mm〜1mmの薄板を前記炉本体の内面にクラッド材として接合処理することにより熱抵抗層が形成されていることを特徴とする誘導加熱溶解炉。
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