JP4892785B2 - 誘導加熱溶解炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱により金属を溶解する誘導加熱溶解炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるコールドクルーシブ法で誘導加熱により金属(特に、活性金属、高融点金属、高純度金属)を溶解する誘導加熱溶解炉として、互いに電気的に絶縁された縦割り状の導電性セグメントを円周方向に配列することにより形成された容器状の炉本体と、炉本体の周囲に配置された誘導加熱コイルとを備えたものが知られている(例えば特開平10−103875号公報参照)。この誘導加熱溶解炉で金属を溶融するには、炉本体に対して塊状や板状等の被溶解金属を投入した後、誘導加熱コイルに交流電力を供給する。このようにして、炉本体内の被溶解金属を交番磁場で誘導加熱して溶解させることができる。
【0003】
このとき、炉本体は冷却水が供給されることによって冷却されているため、溶解した被溶解金属の一部が冷却固化し、炉本体の壁面に沿って膜状のスカル(凝固部)が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した誘導加熱溶解炉においては、誘導加熱コイルで発生した磁束を炉本体内部に導入するために、複数の導電性セグメント間が耐火物(一般には不定形の粘土状物質が詰め込まれる)または空隙によって絶縁される。しかしながら、各導電性セグメント間に空隙がある場合には、炉本体の壁面に沿って形成されるスカルが空隙内に差し込んで形成されることにより、溶解効率を低下させたり、溶解後に炉本体内で凝固させた鋳物または出湯後に残ったスカルを取り出すときに炉本体を損傷させることがある。また、各導電性セグメント間の空隙に耐火物を詰め込んだ場合、セグメント間へのスカルの差し込みは防止できるが、耐火物が被溶融金属によって加熱されて温度が高くなると、耐火物が被溶解金属と反応することや耐火物からガスが放出されることによって耐火物中の不純物が溶湯に移行して被溶融金属の汚染が生じることがある。特に、高純度の金属を溶解する場合には、耐火物が被溶解金属と反応することにより、溶解金属の純度を低下させてしまうという問題が生じる。また、導電性セグメントと底部材との間に空隙がある場合には、スカルが空隙内に差し込んで形成されることにより、溶解後に炉本体内で凝固させた鋳物または出湯後に残ったスカルを取り出すときに炉本体を損傷させることがある。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、溶湯の汚染を防止することができるとともに、炉本体の損傷を抑制することができる誘導加熱溶解炉を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の誘導加熱溶解炉は、複数の導電性セグメントを円周方向に配列することにより形成された側面壁、および、前記側面壁との間に空隙が形成されるように配置され、底面壁を構成するように柱状部が形成された導電性を有する底部材を有し、被溶解金属を冷却可能に収容する炉本体と、前記側面壁の外周側に配置され、前記炉本体に収容された被溶解金属を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた誘導加熱溶解炉において、前記導電性セグメントで形成された側面壁の内側面と前記底部材の柱状部の側周面との間に形成された前記空隙が、この空隙を介して互いに対向する一対の面に沿って配置された耐火性および絶縁性を有する薄膜によって埋められていることを特徴としている。
【0010】
請求項1によると、耐火性および絶縁性を有する薄膜が側壁面と底部材との間の空隙を埋めるように配置されることにより、側壁面と底部材との間の空隙内に差し込むスカルをごく少量に抑えることができる。そのため、溶解後に炉本体内で凝固した鋳物または出湯後に残ったスカルの取り出しを容易にし、また鋳物またはスカルを取り出すときの炉本体の損傷を効果的に抑制することができる。
【0011】
また、薄膜は導電性セグメントが冷却されるのにともなって十分に冷却されるので、薄膜の温度上昇を抑えることができる。したがって、耐火物である薄膜と被溶解金属との反応が抑制され、薄膜からのガスの放出量が低減する。また、側壁面と底部材との間の空隙を介して互いに対向する一対の面に沿って配置された薄膜と被溶解金属とが実質的に一平面においてのみ接触するので両者の接触面積が減少し、このことによっても薄膜と被溶解金属との反応が抑制される。このように、薄膜と被溶解金属とが反応して、炉本体の不純物が溶湯に移行することによる汚染が生じるのを低減させることができる。
【0012】
請求項2の発明は、前記薄膜が複数層により構成されていることを特徴としている。請求項2によると、薄膜を形成する材料および炉本体を形成する材料の膨張率の差に起因する薄膜の割れまたは欠けを抑制することができ、薄膜の耐久性が向上する。
【0013】
請求項3の発明は、前記薄膜が黒鉛より大きい体積固有抵抗率を有する材料により形成されていることを特徴としている。請求項3によると、溶解に必要な電力を炉本体内の溶湯へ供給することが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1〜図3に基づいて以下に説明する。図1は、本実施の形態に係る誘導加熱溶解炉における被溶解金属の状態を示す説明図である。図2は、図1の誘導加熱溶解炉における導電性セグメントの要部斜視図である。図3は、図1の誘導加熱溶解炉における導電性セグメントの水平方向の断面図である。
【0015】
本実施の形態に係る誘導加熱溶解炉は、図1に示すように、被溶解金属30を収容する炉本体1を有している。炉本体1は、純銅の熱伝導率(389W/m・K)よりも小さな熱伝導率(322W/m・K)のクロム銅により形成されており、炉本体1の機械的強度を高めていると共に、被溶解金属20の単位時間当たりの抜熱量を純銅の場合よりも低減している。なお、炉本体1は、クロム銅の他、純銅の熱伝導率よりも小さな熱伝導率のジルコニウム銅、ベリリウム銅、クロムジルコニウム銅、テルル銅等の金属材料により形成されるのが好ましいが、純銅により形成されていてもよい。また、被溶解金属30としては、純銅や銅合金の他、金、銀、アルミニウム、これら各金属の合金等の大きな熱伝導率を有した金属を挙げることができるとともに、鉄やコバルト、チタン、ニッケル、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、ニオブ、タンタル、モリブデン、ウラン、希土類金属、トリウム、これらの合金等を挙げることができる。
【0016】
炉本体1は、炉本体1の底面壁を構成するように形成された底部材2と、炉本体1の側面壁を構成するように、底部材2上に円周方向に配設された複数の導電性セグメント8とを有している。底部材2は、円柱形状に形成された柱状部3と、柱状部3の下縁部から外周方向に突設されたフランジ部4とを有している。柱状部3は、炉本体1の底面壁となるように平板状に形成された上面壁3aを有している。一方、フランジ部4には、上下方向に貫設された複数の締結穴4aが導電性セグメント8の配列位置に対応して形成されていると共に、冷却水路4bが形成されている。
【0017】
各締結穴4aには、ボルト部材6が挿通されている。ボルト部材6は、ナット部材7とで導電性セグメント8をフランジ部4に固定している。導電性セグメント8は、上下方向に立設され、内側面が柱状部3の側周面と対向した側壁部9と、側壁部9の下端部から直角方向に曲折され、下面がフランジ部4の上面に当接された取付部10とを有している。取付部10には、締結穴10aが形成されており、締結穴10aは、フランジ部4の締結穴4aに対応するように配置され、ボルト部材6が挿通されている。
【0018】
また、隣接する導電性セグメント8は、それぞれスリット15と、スリット15よりも広幅の切欠部9aとが内周側から外周側にかけてこの順に形成され、互いに電気的に絶縁状態に配置されている。また、各導電性セグメント8における幅方向の中心部には、上端部を残して縦方向にスリット16と、スリット16よりも広幅の切欠部9bとが内周側から外周側にかけてこの順に形成されている。スリット16および切欠部9bは、導電性セグメント8の上端部を除く部分を縦方向に二分割しており、導電性セグメント8の二分割された一方の側壁部9および取付部10と他方の側壁部9および取付部10とは、スリット16および切欠部9bを介して互いに電気的に絶縁状態にされている。さらに、切欠部9a、9bは、誘導加熱による損失を減少させるように、所定の強度を維持できる範囲内で側壁部9の横断面積を減少させている。
【0019】
ここで、図3に示すように、隣り合う導電性セグメント8のスリット15において互いに対向する一対の面には、この面に沿って、アルミナなどの耐火物で形成された絶縁性を有する厚さ0.5mm以下の薄膜20(4つの薄膜20a〜20dからなる)がスリット15を埋めるように層状に配置されている。また同様に、導電性セグメント8に形成されているスリット16において互いに対向する一対の面には、この面に沿って、厚さ0.5mm以下の薄膜21(4つの薄膜21a〜21dからなる)がスリット16を埋めるように層状に配置されている。このように、炉本体1の側面壁9の内周面は、導電性セグメント8の内周面と薄膜20a〜20dおよび薄膜21a〜21dとによって隙間なく形成されている。このように、薄膜20、21がそれぞれ4層から形成されているため、薄膜20、21を形成する材料および炉本体1を形成する材料の膨張率の差に起因する薄膜20、21の割れまたは欠けを抑制することができ、薄膜20、21の耐久性が向上する。
【0020】
また、導電性セグメント8と底部材2とが互いに対向する一対の面には、この面に沿って、アルミナなどの耐火物で形成された絶縁性を有する薄膜25が導電性セグメント8と底部材2との空隙を埋めるように配置されている。このように、炉本体1の底面壁は、底部材2の上面壁3aと薄膜25とによって導電性セグメント8との間に隙間ができないように形成されている。
【0021】
本実施の形態において、薄膜20、21、25は、黒鉛より大きい体積固有抵抗率を有する材料により形成されていることが好ましい。なぜなら、このようにすることで、渦電流が発生するのを抑制することができるため、溶解効率の低下を低減することができ、また、炉本体内の溶湯へ熱量を供給するために行う誘導加熱コイルに対する電力供給の制御性を向上させることができるからである。
【0022】
また、本実施の形態においては、薄膜20、21が複数層により構成されているため、薄膜20、21の絶縁抵抗が大きくなり、渦電流が発生するのを抑制することができる。従って、溶解効率の低下を低減することができるとともに、炉本体内の溶湯へ熱量を供給するために行う誘導加熱コイルに対する電力供給の制御性を向上させることができるという利点が生じる。
【0023】
各導電性セグメント8の内部には、冷却水路8aと連通路8bとが形成されている。冷却水路8aは、スリット16で二分割された一方の側壁部9と他方の側壁部9とにそれぞれ形成されている。また、連通路8bは、導電性セグメント8の上端部に形成されており、両側壁部9における冷却水路8aの上端部同士を連通している。また、各冷却水路8aの下端は、上述のフランジ部4の冷却水路4bに連通されており、これらの冷却水路8a、4bは、冷却水を流通させることによって、導電性セグメント8および薄膜20、21、25を含む炉本体1の全体を所定の温度(被溶解金属30との反応温度)以下に冷却している。
【0024】
上記のように構成された炉本体1の外周側には、誘導加熱コイル11が巻回されている。誘導加熱コイル11には、任意の周波数の交流電力を出力可能な図示しない電源装置が接続されている。電源装置は、誘導加熱コイル11に対して交流電力を供給して交番磁場を発生させ、この交番磁場を炉本体1に収容された被溶解金属30に浸透させて誘導加熱する。
【0025】
次に、本実施の形態の誘導加熱溶解炉の動作について説明する。まず、塊状や粉状の被溶解金属30が炉本体1に投入される。そして、側壁部9の冷却水路8aに冷却水が供給されることにより炉本体1が冷却されながら、誘導加熱コイル11に交流電力が供給されることによって、誘導加熱コイル11の周囲に交番磁場が生成される。誘導加熱コイル11の内周側における交番磁場は、縦方向に分割された導電性セグメント8を介して炉本体1の内側に透過することによって、被溶解金属30に浸透し、被溶解金属30を誘導加熱する。これにより、被溶解金属30は、溶融温度に昇温した表面側から溶解を開始して溶湯30bとなり、炉本体1の底面壁に向かって流れ落ちる。そして、溶湯30bが炉本体1の底面壁に到達したときに、炉本体1により冷却されて凝固し、皿状のスカル30aを形成する。
【0026】
ここで、スカル30aが所定以上の厚みとなって炉本体1による冷却能力よりも誘導加熱による加熱能力が上回ると、スカル30a上に溶湯30bが滞留していくことになる。そして、滞留する溶湯30bの量が増加すると、溶湯30bが交番磁場と誘導電流との相互作用および重力の作用を受けることによって、周辺部から中央部にかけて盛り上がったドーム形状の外形を呈しながら撹拌されることになる。また、このような溶湯30bの形成時において、被溶解金属30のスカル30aと接触する炉本体1の内周面が反応温度以下に冷却されているため、薄膜20、21、25の不純物がスカル30aを介して溶湯30bに移行することもない。なお、スカル30a上に多量の溶湯30bを形成して維持するためには、炉本体1の溶湯30bに対する抜熱量よりも大きな熱量で溶湯30bが加熱されるように、誘導加熱コイル11への電力供給が継続される必要がある。
【0027】
以上のように、本実施の形態の誘導加熱溶解炉は、隣り合う導電性セグメント8間に形成されるスリット15、導電性セグメント8に形成されるスリット16および導電性セグメント8と底部材2との間の隙間において互いに対向する一対の面に、この面に沿って薄膜(熱伝導率のよい緻密な材料からなるものが好ましい))20、21、25がこれらの間の空隙を埋めるように配置されているため、スカル30aがスリット15、スリット16および導電性セグメント8と底部材2との間の隙間内に差し込んで形成されるのを抑制することができ、これに起因して、溶解効率が低下したり、溶解後に炉本体1内で凝固させた鋳物または出湯後に残ったスカル30aを取り出すときに炉本体1を損傷させることを効果的に低減することができる。
【0028】
また、耐火物が薄膜20、21であるため、導電性セグメント8が冷却されるのにともなって薄膜20、21も十分に冷却され、薄膜20、21、25の温度上昇が抑えられる。したがって、耐火物で形成された薄膜20、21、25と被溶解金属30との反応が抑制され、薄膜20、21、25からのガスの放出量が低減される。これにより、溶解装置の溶解中の真空特性がよくなる。また、薄膜20、21、25と被溶解金属30とは、僅かな面積でしか接触しないため、両者の反応が抑制される。このように、本実施の形態によると、薄膜20、21、25と被溶解金属30とが反応して、薄膜20、21、25の不純物が溶湯30bに移行することによる汚染が生じるのを低減することができる。
【0029】
また、薄膜20、21がそれぞれ4層から形成されているため、薄膜20、21を形成する材料および炉本体1を形成する材料の膨張率の差に起因する薄膜20、21の割れまたは欠けを抑制することができ、薄膜20、21の耐久性が向上する。
【0030】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、導電性セグメント8の中心部にスリット16を縦向き方向に形成して側壁部9を二分割し、両側の側壁部9にそれぞれ冷却水路8aを形成することによって、炉本体1を冷却するように構成にされているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、参考例の図4に示すように、冷却水路21は、フランジ部4の中心部に取水口21aおよび排水口21bを形成し、取水口21aから立ち上げてフランジ部4で外周方向に曲折し、さらに、側壁部9内の外周側を通るように立ち上げた後、上端部の内周側を通るように立ち下げて排水口21bに連結した二重構造となっていても良い。
【0031】
また、本実施の形態においては、薄膜20、21は、スリット15、16の全体に配置されているが、スリット15、16の全体に配置されている場合に限らず、少なくとも炉本体1の側面壁9の内周面を形成する部分に配置されていればよい。さらに、本実施の形態のように、薄膜20、21がそれぞれ同一の厚さの4層の薄膜から形成されている場合だけでなく、薄膜20、21のそれぞれの層の数量(薄膜の厚さ)は、薄膜20、21を形成する耐火物と、炉本体1および被溶解金属30との組み合わせ、使用条件、耐火物および被溶解金属30の諸物性を考慮して適宜変更してもよい。また、薄膜25についても同様に、導電性セグメント8と底部材2との間、全体に配置されている場合に限らず、少なくとも炉本体1内部の被溶解金属30と接触する部分に配置されていればよい。さらに、薄膜20、21と同様に、薄膜25の層の数量(薄膜の厚さ)は適宜変更してもよい。
【0032】
また、本実施の形態においては、薄膜20、21、25はアルミナにより形成されているが、アルミナに限らず、ジルコニアなどの各種酸化物、窒化ケイ素などの各種窒化物により形成されていてもよい。なお、薄膜20、21、25は、イオンプレーティング、溶射などの方法により形成される。また、薄膜20、21は4層ともすべて耐火物により形成されているが、薄膜が複数層から構成されている場合は、少なくとも1つの薄膜が耐火物により形成されていれば、その他の薄膜は金属により形成されていてもよい。例えば、薄膜20において、薄膜20a、20dが耐火物により形成され、中間層に対応する20b、20cが金属により形成されている場合でも同様の効果を得ることができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1によると、側壁面と底部材との間の空隙に耐火性および絶縁性を有する薄膜を空隙を埋めるように配置することにより、側壁面と底部材との間の空隙内に差し込むスカルをごく少量に抑えることができるため、差し込みによる溶解効率の低下および溶解後に炉本体内で凝固させた鋳物または出湯後に残ったスカルを取り出すときの炉本体の損傷を効果的に抑制することができる。また、導電性セグメントが冷却されるのにともなって薄膜も十分に冷却されるため薄膜の温度上昇を抑えることができる。したがって、耐火物で形成された薄膜と被溶解金属との反応が抑制され、薄膜からのガスの放出量が低減される。また、薄膜と被溶解金属とが接触する面積が減少することによっても両者の反応が抑制される。このように、薄膜と被溶解金属とが反応して、炉本体の不純物が溶湯に移行することによる汚染が生じるのを低減することができる。
【0034】
請求項2によると、薄膜を形成する材料および炉本体を形成する材料の膨張率の差に起因する薄膜の割れまたは欠けを抑制することができ、薄膜の耐久性が向上する。請求項3によると、溶解に必要な電力を炉本体内の溶湯へ供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る誘導加熱溶解炉における被溶解金属の状態を示す説明図である。
【図2】 図1の誘導加熱溶解炉における導電性セグメントの要部斜視図である。
【図3】 図1の誘導加熱溶解炉における導電性セグメントの水平方向の断面図である。
【図4】 参考例の誘導加熱溶解炉における被溶解金属の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 底部材
3 柱状部
4 フランジ部
6 ボルト部材
7 ナット部材
8 導電性セグメント
8a 冷却水路
8b 連通路
9 側壁部
9a、9b 切欠部
10 取付部
11 誘導加熱コイル
15 スリット(隣り合う導電性セグメント間における)
16 スリット(導電性セグメントにおける)
20、21、25 薄膜
30 被溶解金属
30a スカル
30b 溶湯
Claims (3)
- 複数の導電性セグメントを円周方向に配列することにより形成された側面壁、および、前記側面壁との間に空隙が形成されるように配置され、底面壁を構成するように柱状部が形成された導電性を有する底部材を有し、被溶解金属を冷却可能に収容する炉本体と、前記側面壁の外周側に配置され、前記炉本体に収容された被溶解金属を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備えた誘導加熱溶解炉において、前記導電性セグメントで形成された側面壁の内側面と前記底部材の柱状部の側周面との間に形成された前記空隙が、この空隙を介して互いに対向する一対の面に沿って配置された耐火性および絶縁性を有する薄膜によって埋められていることを特徴とする誘導加熱溶解炉。
- 前記薄膜が複数層により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱溶解炉。
- 前記薄膜が黒鉛より大きい体積固有抵抗率を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の誘導加熱溶解炉。
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