JP4495316B2 - 農作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圃場を平らに整地する農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の農作業機は、例えば、実公昭44−22417号公報に記載されているように、トラクタの後端部に吊下げ支持された支持腕に前端側がピンを介して回動可能に連結され左右に互いに離間対向して位置する左右一対の回動アーム体を備えており、これら回動アーム体の後端側には、整地体の前端部の左右両側が取付金具を介して回動可能に連結されている。
【0003】
そして、この農作業機は、回動アーム体が前端側のピンの軸線に一致した左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動が許容されたフリー状態となっているため、圃場の凸凹でトラクタが傾くと、回動アーム体がその回動中心軸線を中心として回動し、これにより、トラクタの傾きがすばやく吸収され、整地体が所定の水平状態に維持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の農作業機は、回動アーム体が常にフリー状態となっている構成であるので、例えば、土塊の悪影響を受けて整地体が不用意に傾いてしまう等の不具合が生じやすく、圃場の状態に適切に対応できないおそれがある問題を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、圃場の状態に適切に対応できる農作業機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の農作業機は、左右に互いに離間対向して位置する対をなす回動アーム体と、これら左右の回動アーム体の一端側に左右両側が回動可能に連結され、圃場を平らに整地する整地体とを備え、前記回動アーム体は、他端側の左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動が規制されたロック状態と、前記回動中心軸線を中心とする回動が許容されたフリー状態とに切り換え可能な構成とされた農作業機であって、前記回動アーム体と係脱自在に係合してこの回動アーム体の他端側の左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動を規制するスライド可能なもので、前記回動アーム体に対して進退可能とされ、一方向へのスライド操作による進出により前記回動アーム体の他端側に係脱自在に係合してこの回動アーム体の他端側の左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動を規制し、前記一方向とは反対の他方向へのスライド操作による後退により前記回動アーム体の他端側との係合が解かれてこの回動アーム体の前記回動中心軸線を中心とする回動を許容するストッパー体と、突出部が形成された弾性変形可能な操作板片を有するストッパー支持体とを備え、前記ストッパー体は、前記操作板片の突出部と選択的に係合するフリー用孔部およびロック用孔部を有するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の農作業機の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0008】
図1ないし図3において、1は代掻装置等の農作業機で、この農作業機1は、図示しないトラクタの牽引により水田圃場上を移動しつつ、水田圃場を耕耘砕土して水田圃場の表面部を水平面状に平らに整地するものである。
【0009】
この農作業機1は、図示しないトラクタに着脱可能に装着される機体2を備え、この機体2は、農作業機1の左右水平方向に長手方向を有する細長筒形状の主フレーム3を有している。
【0010】
この主フレーム3の長手方向の中央部側には、入力軸5を有するミッション6が設けられているとともにトラクタ連結部としての三点連結部7が設けられている。この三点連結部7は、トップピン8を有するトップマスト9、ロワピン10を有する左右一対のロワアーム11,11等にて構成されている。
【0011】
また、主フレーム3の長手方向の両端部には、上下方向に長手方向を有する側面視細長略矩形状の互いに離間対向した左右一対の側板フレームとしてのチェーンケース14およびブラケット15の各々の上端部が固着されている。
【0012】
これらチェーンケース14およびブラケット15の下端部間には、水田圃場を耕耘砕土する耕耘体としての耕耘ロータリー作業体16が回転可能に設けられている。この耕耘ロータリー作業体16は、チェーンケース14およびブラケット15の下端部間に軸架された水平状の回転軸17を有し、この回転軸17には複数の耕耘爪18が軸方向に互いに間隔を介して並設され、各耕耘爪18が回転軸17から放射状に突出している。
【0013】
また、チェーンケース14およびブラケット15の各々の下部後端部には、互いに離間対向した左右一対の板状の突出部としてのサイドカバー体21,21が後方に向って突設されており、これら両サイドカバー体21は、耕耘ロータリー作業体16の側方に位置し、チェーンケース14およびブラケット15とともに耕耘ロータリー作業体16から放出される土の側方への飛散を防止する。さらに、サイドカバー体21の外側面には、図1に示されるように、両端面を開口した略円筒形状の支持部材23が取り付けられており、この支持部材23は、上端開口部が前斜め上方に開口しかつ下端開口部が後斜め下方に開口した所定の傾斜状態とされている。また、この支持部材23にて設定体としての回動操作設定体24が回動可能に支持されている。この回動操作設定体24は、細長棒状部材が三箇所で折り曲げられて側面視略二等辺三角形状に形成されたもので、図示しない自由端部側が支持部材23内に差し込まれており、等しい二辺の連結部側には係合部25が形成されている。なお、支持部材23および回動操作設定体24にて軸部保持手段26が構成されている。
【0014】
また一方、チェーンケース14およびブラケット15の上下方向の略中央部間には、左右方向に長手方向を有する細長略矩形板状で幅方向中央側が上方に膨出したやや湾曲状のカバー体としての上部カバー体31が略水平面状に設けられている。この上部カバー体31は、耕耘ロータリー作業体16の上方位置でこの耕耘ロータリー作業体16に沿って配置され、耕耘ロータリー作業体16から放出される土の上方への飛散を防止する。
【0015】
また、この上部カバー体31の後端部には、左右方向に長手方向を有する細長略矩形板状のゴム板等の弾性変形可能な連結体としての弾性連結体32の前端部が連結固定されている。この弾性連結体32は、図1に示されるように、前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜した傾斜状に配置され、左右一対のサイドカバー体21,21間に略位置している。
【0016】
さらに、この弾性連結体32の後端部には、幅方向の中間二箇所で屈曲した左右方向に長手方向を有する細長略矩形板状の整地基板34の前端部が連結固定されている。この整地基板34は、図1に示されるように、前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜した傾斜状に配置され、左右一対のサイドカバー体21より後方位置に位置している。
【0017】
また、整地基板34の長手方向の両端部には、互いに離間対向した左右一対の整地側板35,35が固着され、この整地側板35の前側部はサイドカバー体21と弾性連結体32との間に入り込んでいる。さらに、整地側板35の上部外側面には、軸方向が左右水平方向に一致した断面円形の固定用ピン等の係合軸部36,36が一体に突出形成されている。左右一対の係合軸部36の整地側板35からの突出寸法は、それぞれ、図3に示されるように、係合軸部36の先端がサイドカバー体21の外側面より側方に突出する寸法に設定されている。また、係合軸部36は、弾性連結板32の前後方向中央部よりやや後端側寄りの部分或いは前後方向中央部の側方位置に配置されている。なお、整地基板34、整地側板35、係合軸部36等にて均平板等の第1の整地体38が構成され、この第1の整地体38は、耕耘ロータリー作業体16の後方位置に位置し、耕耘ロータリー作業体16から放出される土を下方に誘導して略水平面状に平らに整地する。
【0018】
そして、第1の整地体38の整地側板35の係合軸部36は、回動操作設定体24の係合部25と係脱自在の構成とされており、この回動操作設定体24は、例えば作業者の手で支持部材23の軸方向に一致した回動中心軸線を中心として一方向へ回動操作すると、自由端部側のばね作用でサイドカバー体21側に付勢されてこのサイドカバー体21に圧接した状態となって、係合部25が整地側板35の係合軸部36と係脱自在に係合し、これにより、この回動操作設定体24は、第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線(係合軸部36の中心軸線)Xの位置変更、つまり、回動中心軸線Xに沿った係合軸部36の位置変更を規制する規制姿勢に設定された状態となる(図1、図5)。
【0019】
なお、この回動操作設定体24が規制姿勢に設定された状態時には、係合軸部36は、規制姿勢にある回動操作設定体24の係合部25と係合し、この係合部25とサイドカバー体21の後端縁部とで挟持された状態にあり、上方や後方等への移動が規制された位置変更規制状態にあるが、その定位置での回動は可能となっている。すなわち、この回動操作設定体24が規制姿勢に設定された状態時には、第1の整地体38は、係合軸部36を中心として後端側が昇降するように回動可能な状態にある。なお、第1の整地体38の回動時には、この第1の整地体38の回動に応じて弾性連結体32が長手方向に沿って折れ曲がるようにして弾性変形する。
【0020】
また、回動操作設定体24は、例えば作業者の手で支持部材23の軸方向に一致した回動中心軸線を中心として一方向とは反対の他方向へ回動操作すると、自由端部側のばね作用でサイドカバー体21側に付勢されてこのサイドカバー体21に圧接した状態となって、整地側板35の係合軸部36との係合が解かれ、これにより、第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線(係合軸部36の中心軸線)Xの位置変更、つまり、回動中心軸線Xに沿った係合軸部36の位置変更を許容する許容姿勢に設定された状態となる(図4)。なお、この状態時においては、第1の整地体38は、弾性連結体32にて吊下げ保持された状態にある。
【0021】
さらに、第1の整地体38の後端部には、左右方向に長手方向を有する細長略矩形板状のレーキ板等の整地体としての第2の整地体40の前端部が連結されている。
【0022】
ここで、図6に示すように、機体2の左右方向に沿って位置する第1の整地体38の左右一対の整地側板35,35のそれぞれの外側面には、ストッパー支持体41,41が固着具41aにて固着されている。これら左右一対のストッパー支持体41,41の各々は、略前後に離間対向した細長矩形状の一対の対向板42,42とこれら対向板42,42の長手方向に沿った一側縁部間を一体に連結した連結板43とで形成された略上下に開口した断面略コ字形状の挿入部44を有しており、この挿入部44内にストッパー体55,55がこの挿入部44の長手方向に沿ってスライド可能に挿入されている。なお、連結板43は、略U字状の切欠き部43aが形成されており、この連結板43における切欠き部43a内方の部分で操作板片43bが形成されている。この操作板片43bの一端側には外側方に向ってやや屈曲した摘み部43cが形成され、操作板片43bの中央部には整地側板35側に向って突出した円形状の突出部43dが形成されている。
【0023】
また、左右一対のストッパー体55,55の各々は、ストッパー支持体41の挿入部44に挿入可能な形状をなす細長矩形状の基板部56を有し、この基板部56の一端側である上端側が外側方に向って略直角に折り曲げられ、この折曲げ部分で摘み部57が形成されている。この基板部56の他端側である下端側には略三角形状の切欠きによってくちばし状の係合部58が形成されている。また、基板部56には、操作板片43bの突出部43dと選択的に係合するフリー用孔部56aおよびロック用孔部56bが、それぞれ厚さ方向に貫通した状態に開口形成され、これら二つのフリー用孔部56aおよびロック用孔部56bは、互いに間隔を介して基板部56の長手方向に沿って並んでいる。
【0024】
一方、第1の整地体38の左右一対の整地側板35,35のそれぞれの下部外側面には、軸方向が左右水平方向に一致した支持軸部59,59が側方に向って突出形成され、各支持軸部59に回動アーム体60,60の前端側が回動可能に連結されている。これら左右に互いに離間対向して位置する左右一対の回動アーム体60,60の各々は、略細長板状をなし、前端側に、支持軸部59が抜け止め状態に挿通された軸挿通孔部60aが形成されているとともに、ストッパー体55の係合部58と係脱自在に嵌合により係合する先細状の係合受け部60bが形成されている。また、回動アーム体60の後端側に形成された軸挿通孔部60cには、図3に示されるように、第2の整地体40の左右両側の側板部40a,40aの前端位置から外側方に突出した左右一対の連結軸部40b,40bの各々が挿通されて抜け止めされ、これにより、左右の回動アーム体60,60の後端側に第2の整地体40の前端部左右両側が回動可能に連結されている。
【0025】
そして、ストッパー体55は、対応する回動アーム体60に対して進退可能な構成とされており、このストッパー体55を摘み部57を利用した一方向へのスライド操作により、回動アーム体60に対して進出させて位置決めし、このストッパー体55の係合部58を回動アーム体60の係合受け部60bに係合させると、回動アーム体60は、前端側の左右水平方向の回動中心軸線(支持軸部59の中心軸線)Yを中心とする回動、つまり、回動中心軸線Yに沿った支持軸部59を中心とする回動が規制されたロック状態になる(図6の2点鎖線で示す状態)。
【0026】
なお、このロック状態時には、回動アーム体60は、長手方向が上下方向に一致した立ち姿勢状態にある。また、このロック状態時には、ストッパー支持体41の操作板片43bの突出部43dは、ストッパー体55のロック用孔部56b内に入り込み、このロック用孔部56bと係合した状態にあり、これにより、ストッパー体55がストッパー支持体41に確実に位置決め固定されている。
【0027】
一方、操作板片43bの摘み部43cを利用してこの操作板片43bを外側方に弾性変形させることにより、突出部43dとロック用孔部56bとの係合状態を解除してから、ストッパー体55を摘み部57を利用した一方向とは反対の他方向へのスライド操作により、回動アーム体60に対して後退させ、このストッパー体55の係合部58と回動アーム体60の係合受け部60bとの係合を解くと、回動アーム体60は、前端側の左右水平方向の回動中心軸線(支持軸部59の中心軸線)Yを中心とする回動、つまり、回動中心軸線Yに沿った支持軸部59を中心とする回動が許容されたフリー状態になる(図6の実線で示す状態)。なお、このフリー状態時には、ストッパー支持体41の操作板片43bの突出部43dは、ストッパー体55のフリー用孔部56a内に入り込み、このロック用孔部56aと係合した状態にあり、これにより、ストッパー体55がストッパー支持体41に確実に位置決め固定されている。
【0028】
そして、このフリー状態時では、回動アーム体60は、第2の整地体40に作用する土圧に応じて支持軸部59を中心として後端側および第2の整地体40が昇降するように回動し、第2の整地体40は、第1の整地体38の後方位置に所定の水平整地姿勢で位置し、第1の整地体38にて整地された水田圃場の表面部を水平面状に平らに整地する。
【0029】
なお、上部カバー体31の上面部における左右両側のアーム取付け部45には左右一対の第1の支持アーム46,46の前端部が回動可能に取り付けられ、第1の支持アーム46の後端部に第1の吊持杆47の上端部が回動可能に連結され、第1の吊持杆47の下端部が第1の整地体38の上面部に回動可能に連結されている。そして、第1の支持アーム46、第1の吊持杆47、コイルスプリング48等にて第1の整地体接地圧調節手段49が構成されており、この第1の整地体接地圧調節手段49にて第1の整地体38の圃場面との接地圧が調節可能となっている。
【0030】
また、上部カバー体31の上面部における長手方向中央のアーム取付け部50には第2の支持アーム51の前端部が回動可能に取り付けられ、第2の支持アーム51の後端部に第2の吊持杆52の上端部が回動可能に連結され、第2の吊持杆52の下端部が第2の整地体40の上面部に回動可能に連結されている。そして、第2の支持アーム51、第2の吊持杆52、図示しないガススプリング等にて第2の整地体接地圧調節手段54が構成されており、この第2の整地体接地圧調節手段54にて第2の整地体40の圃場面との接地圧が調節可能となっている。また、第2の整地体40は、図示しない操作ハンドルの操作により、整地作業をする水平整地姿勢と土寄せ作業をする略鉛直状の土寄せ姿勢とに切り換えることができる。
【0031】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0032】
図示しないトラクタの三点リンク機構(作業機昇降用油圧装置)に機体2の三点連結部7を連結するとともに、図示しないトラクタのPTO軸に入力軸5を図示しない動力伝達軸等を介して連結することにより、トラクタからの駆動力で耕耘ロータリー作業体16を作動させる。
【0033】
そして、砕土を中心とする荒代作業時には、図5に示すように、回動操作設定体24を操作して規制姿勢に設定し、第1の整地体38の係合軸部36の位置変更を規制した状態とする。また、図6の2点鎖線で示すように、ストッパー体55およびストッパー支持体41の操作板片43bを操作し、回動アーム体60を回動中心軸線Yを中心として回動できないロック状態にする。
【0034】
そして、トラクタの走行によりこのトラクタとともに農作業機1全体を水田圃場に沿って前方に移動させると、耕耘ロータリー作業体16にて耕耘砕土作業が行われ、第1の整地体38および第2の整地体40にて整地作業が行われ、水田圃場の表面部が水平面状に平らに整地される。
【0035】
この荒代作業時において、第1の整地体38が、整地基板34への土塊の衝突等に基づいて所定の大きさ以上の土圧を受けた場合、第1の整地体38は左右水平方向の回動中心軸線Xを中心として後端側が上昇する方向に回動し、この回動に応じて弾性連結体32が係合軸部36と対向する位置、例えば後端近傍位置でこの弾性連結体32の長手方向に沿ってやや折れ曲がる。しかし、弾性連結体32の所定部分、つまり係合軸部36より前方に位置する部分は変形せず、この弾性連結体32の所定部分と耕耘ロータリー作業体16との間の空間Aは大きくならないため、この空間Aは所定の大きさに維持される。その結果、耕耘ロータリー作業体16の土塊の持ち回り性が悪くなるのを防止でき、砕土性が良好である。
【0036】
また、この荒代作業時には、回動アーム体60がロック状態になっているので、比較的大きく固い土塊の悪影響を受けて第2の整地体40が不用意に傾いてしまうことがなく、土塊が圃場の表面部から突出した状態まま第2の整地体40後方へと逃げるのを防止でき、均平性が良好である。
【0037】
一方、均平を中心とする仕上げ代作業時には、図4に示すように、回動操作設定体24を許容姿勢に設定し、第1の整地体38の係合軸部36の位置変更を許容した状態とする。また、図6の実線で示すように、ストッパー体55およびストッパー支持体41の操作板片43bを操作し、回動アーム体60を回動中心軸線Yを中心として回動できるフリー状態にする。
【0038】
そして、トラクタの走行によりこのトラクタとともに農作業機1全体を水田圃場に沿って前方に移動させると、耕耘ロータリー作業体16にて耕耘砕土作業が行われ、第1の整地体38および第2の整地体40にて整地作業が行われ、水田圃場の表面部が水平面状に平らに整地される。
【0039】
この仕上げ代作業時には、第1の整地体38は、弾性連結体32にて吊下げ保持されたフリー状態になっており、弾性連結体32の弾性変形に基づいて、後端側が昇降するように左右水平方向の回動中心軸線を中心として回動したり、左右両端側が昇降するように前後水平方向の回動中心軸線を中心として回動したりする。その結果、弾性連結体32の弾性変形で圃場の凸凹を吸収でき、圃場の凸凹でトラクタが傾いても、第1の整地体38および第2の整地体40を所定の水平状態に維持でき、均平性が良好である。
【0040】
さらには、この仕上げ代作業時には、回動アーム体60もフリー状態になっているので、回動アーム体60の前端側の左右水平方向の回動中心軸線Yを中心とする回動で、圃場の凸凹によるトラクタの傾きをすばやく吸収でき、第2の整地体40を常に水平状態に維持でき、均平性がより一層良好である。
【0041】
また、係合軸部36の位置変更規制が解除されているため、圃場の軟らかくなった表面部に第1の整地体38の重量が無理に作用せず、かつ、第2の整地体40が略フロート状態にあるため、圃場の軟らかくなった表面部に第2の整地体40の重量が無理に作用することもなく、良好な仕上げ面が得られる。さらに、係合軸部36のフリー状態では、第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線が弾性連結体32の前端部である上端部に位置するので、第1の整地体38の整地基板34および弾性連結体32からなる前後方向に比較的長い距離の整地部で、耕耘ロータリー作業体16からの土を比較的長い距離で柔軟に下方に誘導でき、均平性を向上できる。
【0042】
このように、上記一実施の形態によれば、機体1の耕耘ロータリー作業体16の側方のサイドカバー体21に設けた回動操作設定体24を、一方向に回動操作することにより規制姿勢に設定して第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線Xの位置変更を規制したり、他方向に回動操作することにより許容姿勢に設定して第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線Xの位置変更を許容したりでき、かつ、回動アーム体60をロック状態またはフリー状態にできるので、圃場の状態に適切に対応でき、作業状況等に応じた圃場の状態に適切に対応でき、圃場の状態に応じた適切な整地作業ができる。
【0043】
また、回動操作設定体24およびストッパー体55の設定は、作業者の手でワンタッチに行うことができ、操作性も良好である。
【0044】
なお、上記実施の形態においては、第1の整地体38の係合軸部36を解除可能に保持する軸部保持手段26は、支持部材23および回動操作設定体24を有する構成として説明したが、例えば、図7ないし図9に示す軸部保持手段26aでもよい。
【0045】
この軸部保持手段26aは、回動可能な設定体としての回動操作設定体61を有し、この回動操作設定体61は、細長略矩形板状に形成され、長手方向の中央近傍でやや折り曲げられ、この折曲げにより形成された傾斜部分が摘み部62となっている。回動操作設定体61における摘み部62とは反対側である基端側の端部には軸挿通用孔部63が開口形成されており、この軸挿通用孔部63内に、サイドカバー体21の外側面から側方に向って突出し軸方向が農作業機1の左右水平方向に一致した支軸部65が挿通され、回動操作設定体61はこの支軸部65を中心として回動可能となっている。この支軸部65の先端部にはリング状の抜け止め部材66が嵌着され、この抜け止め部材66と回動操作設定体61の軸挿通用孔部63の周縁部分との間に付勢手段としてのコイルばね67が圧縮された状態で装着されており、このコイルばね67は、回動操作設定体61をサイドカバー体21側に付勢し、回動操作設定体61はサイドカバー体21の外側面と圧接している。
【0046】
また、回動操作設定体61の長手方向の中央部には、軸保持用孔部68が開口形成されている。一方、サイドカバー体21の外側面には、許容姿勢設定用の軸部70が側方に向って突出するように設けられ、この軸部70は支軸部65の上方位置でこの支軸部65と平行に位置している。
【0047】
そして、回動操作設定体61は、作業状況等に応じた圃場の状態により、一方向への回動操作により第1の整地体38の係合軸部36に係脱自在に嵌合により係合して第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線Xの位置変更を規制する規制姿勢に設定され(図7、図9)、一方向とは反対の他方向への回動操作により係合軸部36との係合が解かれて第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線Xの位置変更を許容する許容姿勢に設定される(図8)。
【0048】
すなわち、この回動操作設定体61は、規制姿勢に設定する場合、例えば作業者は、許容姿勢にある回動操作設定体61の摘み部62を手で摘み、コイルばね67の付勢力に抗してサイドカバー体21から離し、回動操作設定体61の軸保持用孔部68と軸部70との係合を解く。その後、支軸部65を中心として一方向へ回動操作することにより、回動操作設定体61の軸保持用孔部68内に整地側板35の係合軸部36を挿通させ、この回動操作設定体61と係合軸部36とを係合させる。これにより、回動操作設定体61は、第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線(係合軸部36の中心軸線)Xの位置変更、つまり、係合軸部36の位置変更を規制する規制姿勢に設定された状態となる。
【0049】
なお、この回動操作設定体61が規制姿勢に設定された状態時には、係合軸部36は、規制姿勢にある回動操作設定体61の軸保持用孔部68と挿通係合し、この軸保持用孔部68にて保持された状態にあり、上方や後方等への移動が規制された位置変更規制状態にあるが、その定位置での回動は可能となっている。すなわち、この回動操作設定体61が規制姿勢に設定された状態時には、第1の整地体38は、係合軸部36を中心として後端側が昇降するように回動可能な状態にある。
【0050】
また、回動操作設定体61は、許容姿勢に設定する場合、例えば作業者は、規制姿勢にある回動操作設定体61の摘み部62を手で摘み、コイルばね67の付勢力に抗して、回動操作設定体61の軸保持用孔部68と係合軸部36との係合を解く。その後、支軸部65を中心として他方向へ回動操作することにより、回動操作設定体61の軸保持用孔部68内にサイドカバー体21の軸部70を挿通させ、この回動操作設定体61と軸部70とを係合させる。これにより、回動操作設定体61は、第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線(係合軸部36の中心軸線)Xの位置変更、つまり、係合軸部36の位置変更を許容する許容姿勢に設定された状態となる。この状態時においては、第1の整地体38は、弾性連結体32にて吊下げ保持された状態にある。
【0051】
そして、図7ないし図9に示す軸部保持手段26aを備えた構成でも、図3等に示す軸部保持手段26を備えた構成と同様、作業状況等に応じた圃場の状態に適切に対応でき、圃場の状態に応じた適切な整地作業をできる等の作用効果を奏することができる。
【0052】
また、上記いずれの実施の形態においても、第1の整地体38は、ゴム板等の弾性連結体32の後端部に連結した構成として説明したが、例えば、図10に示すように、軸方向が前後水平方向に一致した支軸部71を中心として左右両端側が昇降するように回動するとともに軸方向が左右水平方向に一致した支軸部72を中心として後端側が昇降するように回動する金属製の連結体32aの後端部に連結した構成でもよい。なお、図10に示す回動操作設定体24は、規制姿勢に設定されて第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線X、すなわち、第1の整地体38の整地基板34の上端部である前端部の左右両端から側方に突出した係合軸部36,36の位置変更を規制する一方、許容姿勢に設定されて係合軸部36,36の位置変更を許容する。
【0053】
さらに、図11に示すように、第1の整地体38は、軸方向が左右水平方向に一致した支軸部73を中心として後端側が昇降するように回動するとともに支軸部73がサイドカバー体21の長孔74に案内されることで昇降する金属製の連結体32bの後端部に連結した構成でもよい。なお、図11に示す回動操作設定体24は、図10に示す回動操作設定体24と同様、規制姿勢に設定されて第1の整地体38の左右水平方向の回動中心軸線X、すなわち、第1の整地体38の整地基板34の上端部である前端部の左右両端から側方に突出した係合軸部36,36の位置変更を規制する一方、許容姿勢に設定されて係合軸部36,36の位置変更を許容する。
【0054】
また、上記いずれの実施の形態でも、回動操作設定体24,61等の設定体は、回動操作により規制姿勢および許容姿勢に設定する構成として説明したが、例えば、図示しないが、スライド操作で設定する構成、或いは、第1の整地体38の孔部に対して設定体に形成した挿入部等を抜き差し操作することで設定する構成等でもよい。
【0055】
さらに、図示しない駆動源を設けて、この駆動源からの駆動力で設定体の姿勢を自動的に設定したり、回動アーム体60を自動的に切換えたりしてもよい。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、回動アーム体を、左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動が規制されたロック状態にしたり、左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動が許容されたフリー状態にしたりできるので、圃場の状態に適切に対応できる。また、ストッパー体を回動アーム体と係脱自在に係合させることにより、回動アーム体の左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動を適切に規制できる。さらに、ストッパー体を進退させることにより、回動アーム体のロック状態とフリー状態との切換えを簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の農作業機の一実施の形態の側面図である。
【図2】 同上農作業機の後面図である。
【図3】 同上農作業機の一部拡大後面図である。
【図4】 同上農作業機の設定体を許容姿勢に設定した状態の側面図である。
【図5】 同上農作業機の設定体を規制姿勢に設定した状態の側面図である。
【図6】 同上農作業機の一部拡大側面図である。
【図7】 本発明の農作業機の他の実施の形態の一部拡大後面図である。
【図8】 同上農作業機の設定体を許容姿勢に設定した状態の側面図である。
【図9】 同上農作業機の設定体を規制姿勢に設定した状態の側面図である。
【図10】 本発明の農作業機のさらに他の実施の形態の後方からみた斜視図である。
【図11】 本発明の農作業機のさらに他の実施の形態の後方からみた斜視図である。
【符号の説明】
1 農作業機
40 整地体としての第2の整地体
41 ストッパー支持体
43b 操作板片
43d 突出部
55 ストッパー体
56a フリー用孔部
56b ロック用孔部
60 回動アーム体
Y 回動中心軸線
Claims (1)
- 左右に互いに離間対向して位置する対をなす回動アーム体と、
これら左右の回動アーム体の一端側に左右両側が回動可能に連結され、圃場を平らに整地する整地体とを備え、
前記回動アーム体は、他端側の左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動が規制されたロック状態と、前記回動中心軸線を中心とする回動が許容されたフリー状態とに切り換え可能な構成とされた農作業機であって、
前記回動アーム体と係脱自在に係合してこの回動アーム体の他端側の左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動を規制するスライド可能なもので、前記回動アーム体に対して進退可能とされ、一方向へのスライド操作による進出により前記回動アーム体の他端側に係脱自在に係合してこの回動アーム体の他端側の左右水平方向の回動中心軸線を中心とする回動を規制し、前記一方向とは反対の他方向へのスライド操作による後退により前記回動アーム体の他端側との係合が解かれてこの回動アーム体の前記回動中心軸線を中心とする回動を許容するストッパー体と、
突出部が形成された弾性変形可能な操作板片を有するストッパー支持体とを備え、
前記ストッパー体は、前記操作板片の突出部と選択的に係合するフリー用孔部およびロック用孔部を有する
ことを特徴とする農作業機。
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