JP4494026B2 - X線検査装置、x線検査方法およびx線検査装置の制御プログラム - Google Patents
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Description
Mag=B/A
ただし、Aは、X線発生器の焦点と被検査物体の間の距離
Bは、X線発生器の焦点と検出器の間の距離である。
対象試料をX線発生点に近接した位置にすると、大きな拡大率の撮像画像を得ることが可能になる一方、X線の進行方向における対象試料の位置がばらつくと撮像画像の拡大率に大きなばらつきが生じることになる。また、X線発生点が外気に開放された位置とされると、外気の影響を受けてX線の進行方向における広がり度合にばらつきが生じることがある。ここで、上記測定手段が画像データと各対比用画像データとから両画像のパターンマッチングを行うので、X線の進行方向における対象試料の位置のばらつきやX線の広がり度合のばらつきにかかわらず精度良く拡大率が決定される。
以上により、拡大率の変動に応じて適切な拡大率が決定され、決定された拡大率に対応した検査処理が行われるので、正確に測定を行うことができる。従って、ステージの平面度や検査対象の浮きなどの影響を排除し、より拡大率の大きい撮像画像に基づく測定処理を行うことができ、対象試料についての測定が安定してより精度良く行われる。
上記画像取得手段は、様々な構成が考えられる。例えば、X線イメージインテンシファイアを用い、X線をX線イメージインテンシファイア管で受け止めて可視化した後にCCDで可視光を受光することにより透過X線を撮像し、対応する画像データを取得する構成とすることができる。むろん、X線フラットパネルセンサを用いて画像データを取得してもよい。
上記画像データは、多数の画素別とされた輝度値、明度値、等、様々なデータが考えられる。また、様々な階調数とすることができる。
上記対比用画像データは、多数の画素別とされた輝度値、明度値、等、様々なデータが考えられる。ここで、撮像画像の画像データを構成する画素の数と異なる画素数でもよいし、同じ画素数でもよい。また、撮像画像の画像データと異なる階調数でもよいし、同じ階調数でもよい。
各対比用画像データは、予め用意されたデータでもよいし、標準画像を表す画像データと拡大率とから各対比用画像データを生成して当該各対比用画像データとして用いるようにしてもよい。
標準画像を表す画像データは、予め用意されたデータでもよいし、対象試料の標準試料を撮像して得られる画像データでもよい。
上記測定処理は、例えば、半田バンプの良否を判定する処理、半田バンプの径を測定する処理、等、様々な構成が考えられる。
X線の進行方向とは垂直な方向における対象試料の位置がばらつくと、撮像画像中の対象試料の位置にばらつきが生じることになる。ここで、上記測定手段は撮像画像と標準画像とを対比させる位置を変えながら対比させた位置毎に画像データと各対比用画像データとから同撮像画像と同標準画像との位置別の一致度を算出し、最大の一致度を対象の拡大率についての一致度とするので、X線の進行方向とは垂直な方向における対象試料の位置のばらつきを考慮した適切な一致度が算出され、精度良く拡大率が決定される。
以上により、適切な拡大率が決定され、決定された拡大率に対応した検査処理が行われるので、正確に測定を行うことができる。
上記パターンマッチングを行うことにより、ステージに載置された対象試料とX線発生点との間の距離を密閉管型のX線発生器におけるX線発生点と密閉管との間の距離よりも短くすることができるとも言える。従って、X線発生点を外気に開放された位置とするのと同時にパターンマッチングを行うことによって、初めて高精度の測定処理を行うことが可能となる。
むろん、請求項2〜請求項6に記載した構成を請求項7に記載した構成に対応させることも可能である。
むろん、請求項2〜請求項7に記載された構成を上記方法やプログラムや記録媒体に対応させることも可能である。
請求項2〜請求項6にかかる発明によれば、対象試料についての測定をさらに精度良く行うことが可能となる。
(1)X線検査装置の構成:
(2)エネルギーサブトラクション処理:
(3)測定処理:
(4)第二の実施形態:
(5)第三の実施形態:
(6)第四の実施形態:
(7)まとめ:
図1に示すように、本発明の第一の実施形態にかかるX線検査装置は、X線撮像機構部10とX線撮像制御部20とから構成されている。X線撮像機構部10は、X線発生器(X線発生機構)11、X線検出器13、X−Yステージ(対象試料を載置可能なステージ)15を備えている。X線撮像制御部20は、X線制御部21、ステージ制御部23、画像処理部24、CPU25、出力部26a、入力部26b、メモリ27を備えている。
X線制御部21は、X線発生器11に対する制御を行ってX線発生器11にX線を生成させる。上記デフォルトデータとして記録された撮像条件データを参照してX線管に対する印加電圧,撮像時間等を取得することにより、X線発生器11に流す管電流の電流量を制御しながら予め決められた撮像条件で駆動するようにX線発生器11を制御する。
ここで、焦点11e1から出射窓11e2までの距離をFWD、出射窓11e2から試料S1までの距離をWOD、焦点11e1からX線検出器13の検出面13eまでの距離をFDDとすると、焦点11e1から試料S1までの距離FODはFWD+WODとなり、検出面13eでの幾何学的な拡大率はFDD/FODとなる。なお、図では、試料S1の下面に測定対象の半田バンプがあるものとして、WODとFODを試料S1の下面を基準とした距離としている。
そして、撮像画像の空間分解能は、(X線検出器13の画素ピッチ/拡大率)、すなわち、X線検出器13の検出素子の配置間隔をFDD/FODで除した値となる。ただし、空間分解能は、焦点寸法の制約を受ける。
X線管11aは開放管であり、このタイプのX線管ではターゲット11eと試料との距離が非常に小さい状態で試料に対してX線を照射することができる。これに対して密閉管と呼ばれるタイプのX線管では、開放管と比較してターゲットと試料との距離が大きくなる。
例えば、10μmの半田バンプを検査する場合、200倍程度の幾何学的倍率が必要である。従来では焦点とX線検出器の検出面との間の距離が300mm程度であり、幾何学的倍率200倍を得ようとする場合、焦点と試料との間の距離を1.5mmとする必要がある。ここで問題となるのはXYステージの平面度である。ステージの平面度は±100μm程度が通常であり、この誤差により倍率は200±14倍の範囲で変動する。また、検査対象を装置にセットする際の浮きなどによっても倍率の変動は生じる。倍率が変化すると、検査対象が予め登録された位置と離れた位置に観察されるため、正しい検査が行えない。また、半田バンプの面積値計測結果に大きな誤差が生じる。
一方、開放管型の本X線発生器の場合、焦点が外気に開放された位置とされているので、距離FWDは例えば0.5mm程度等と、密閉管型のX線発生器を用いた場合よりも短くなり、対象試料を焦点に近づけることができる。
このように、本X線検査装置においてステージに載置された対象試料と焦点との間の距離は、密閉管型のX線発生器における焦点と密閉管との間の距離よりも短くすることができる。例えば、焦点から対象試料までの距離が密閉管型X線発生器の場合と比べて1/10になると、撮像画像の拡大率は10倍となり、空間分解能は1/10となる。密閉管型X線発生器では拡大率50倍程度、分解能3μmであるのに対し、開放管型の本X線発生器では拡大率500倍程度、分解能0.3μm程度を実現可能である。従って、密閉管型X線発生器を用いた場合と比べて撮像画像の拡大率が大きくなり、対象試料についての測定が精度良く行われる。このようにして、ステージの平面度や検査対象の浮きなどの影響を排除し、安定して試料を検査することが可能となる。
なお、焦点から対象試料までの距離FODを密閉管型X線発生器では実現できない8mm以下(より好ましくは5mm以下、さらには3mm以下)とすると、密閉管型X線発生器と比べて確実に撮像画像の拡大率を大きくすることができ、対象試料についての測定の精度を確実に向上させることができる。
多数の検出素子13cは、例えばCCD撮像部の基板の片面に形成されたアモルファスシリコン受光素子とすることができる。また、ドットマトリクス状に並べられた検出素子13cは、例えば横2400個×縦2400個の576万個等、様々な数とすることができる。上記可視光が各CCDに到達すると、各CCDにて同可視光の強度に応じた電圧が検出される。CCD撮像部13bは、対象試料を透過した透過X線の強度を多数の検出素子13c別に検出し、透過X線の強度に対応した電圧を出力する。上述した撮像画像の空間分解能は、検出素子13cの縦横の間隔を拡大率FDD/FODで割った値となる。
このようにして、X線検出器13は、多数の検出素子13cにて対象試料を透過した透過X線の強度を検出素子13c別に検出することにより透過X線を撮像し、検出した透過X線の強度に対応する階調データを多数の検出素子13c別に出力する。すると、画像処理部24は、出力された階調データである輝度値を多数の検出素子13c別に入力することにより、撮像画像に対応する画像データを取得する。なお、画像処理部24が輝度値に基づいて画像処理を行う最小単位の各画素は、各検出素子13cに対応している。従って、取得される画像データは、ドットマトリクス状とされた多数の画素別の階調データからなるデータである。
次に、エネルギーサブトラクション処理について説明する。各元素のX線吸収係数には、フォトンエネルギーに対する依存性がある。X線のフォトンエネルギーに対するX線吸収係数をみると、半田バンプに含まれる錫(Sn)のX線吸収係数のk吸収端が29.4keVであるのに対して、銅(Cu:プリント配線の主成分)のX線吸収係数は当該29.4keV近辺でほぼリニアに変化する。そこで、k吸収端前後に強い強度ピークを有する異なるフォトンエネルギー分布のX線を対象試料に対して照射し、それぞれの透過X線を検出すると、銅を透過したX線については2つのフォトンエネルギー分布のそれぞれにおいて検出強度にほとんど差異を生じないが、錫の場合は大きな差異を生じる。
このようにして、撮像画像に対応する画像データを用いて対象試料についての測定処理を行うことができる。
X線発生器として開放管型を用いると、対象試料を焦点に近接した位置にしてより拡大率を増大させて撮像画像を得ることができる一方、X線の進行方向における対象試料の位置がばらつくと拡大率に大きなばらつきが生じる。また、焦点は真空とされておらず外気に開放されているので、外気の影響を受けてX線の進行方向における広がり度合にばらつきが生じることがある。そこで、本X線検査装置では、所定の標準画像(基準画像)と撮像画像とのパターンマッチング(テンプレートマッチング)を行い、パターンマッチングの結果から撮像画像の拡大率を決定し、決定した拡大率に対応した測定処理を行うようにしている。
このようにして、画像データ27cと各対比用画像データ27b1とから、複数の拡大率別に両画像の一致度Ciを算出し、拡大率Eiと対応付けて一致度テーブルT1を作成してメモリ27に記憶させる。
一致度Ciを算出すると、一致度Ciが最大の一致度Cmとなった拡大率Emを、半田バンプ良否判定等の測定処理を行うための拡大率として決定する。そして、決定した拡大率Emに対応した測定処理を行う。
図7に示す各撮像画像I3は、ステージ15に載置された対象試料を上側から見て示す画像となっており、X線の進行方向と直交する水平面上の所定のX軸(図7では右向きの軸)およびY軸(図7では下向きの軸)とから形成されるXY平面に平行な画像とされている。X軸とY軸とは、互いに直交している。一方、対比画像I2の画素数は縦横ともに撮像画像I3より多くされ、対比画像I2は撮像画像I3よりも広い画像とされている。
複数の拡大率E1〜Ep別に撮像画像I3と標準画像I1との一致度C1〜Cpを算出する際、一致度Ciを算出する対象の拡大率Eiについて、撮像画像I3と標準画像I1とを対比させる位置を変えながら位置別の一致度CLj(jは1〜qの整数、qは1より大きい整数)を算出する。具体的には、対比画像I2と撮像画像I3を対比させるX軸方向の位置とY軸方向の位置とを変えながら、対比させた位置(X1〜Xq,Y1〜Yqで表す)毎に、画像データ27cと各対比用画像データ27b1とから両画像I2,I3の位置別の一致度CLjを算出する。図の例では、対比画像I2のXY位置L1に対比させられる撮像画像I3の左上の位置は、対比画像I2中の座標(x0,y0)とされ、対比画像I2のXY位置L2に対比させられる撮像画像I3の左上の位置は、対比画像I2中の座標(x1,y0)とされている。このように、撮像画像I3は、対比画像I2上でX軸方向に所定間隔でずらされながら対比されるとともに、Y軸方向に所定間隔でずらされながら対比される。そして、位置別の一致度CLjをXY位置Xj,Yjと対応付けて位置別一致度テーブルT2を作成してメモリ27に記憶させる。
なお、上記パターンマッチングを行うことにより、ステージに載置された対象試料と焦点との間の距離を密閉管型のX線発生器における焦点と密閉管との間の距離よりも短くすることができるとも言える。すなわち、パターンマッチングを行うだけでは密閉管型X線発生器を用いて得られる精度までしか測定精度を得ることができず、開放管型のX線発生機構を用いるだけでは対象試料の位置ばらつきやX線の広がり度合のばらつきのために精度を向上させることができず、開放管型のX線発生機構を用いるのと同時にパターンマッチングを行うことによって初めて高精度の測定処理を行うことが可能となる。
まず、ステージ15の所定の撮像位置に対象試料の標準試料を載置した状態としておいて、ステージ制御部23に対して制御データを出力して図示しないサーボモータによりステージ15を移動させ、標準試料をX線照射経路に移動させる(ステップS10。以下、「ステップ」の記載を省略)。次に、各種撮像条件を設定する(S15)。ここで、X線制御部21に対して、所定電流量の管電流をX線発生器11に流す制御データを出力する。さらに、X線を生成させる制御データをX線制御部21に対して出力するとともに、透過X線の強度を検出させる制御データを画像処理部24に対して出力することにより、標準試料を撮像する(S20)。
すると、X線発生器11は、所定電流量の管電流が流れ、焦点から広がりながら進行する所定強度のX線を生成し、X線照射経路上にある標準試料に照射する。標準試料を透過した透過X線は、X線検出器13に到達して撮像され、その強度が多数の検出素子13c別に電圧信号として検出される。検出された電圧信号は、デジタル変換部13dで各検出素子13c別に対応する輝度値に変換される。
撮像を行うと、X線検出器13から各検出素子13c別に輝度値を入手することにより標準試料の撮像画像に対応する標準画像データを取得し、メモリ27に格納する(S25)。その後、標準画像データから拡大率毎に対比用画像データ27bを生成する(S30)。例えば、標準試料の撮像画像に対する対比画像の相対的な拡大率として0.8倍から1.2倍までを0.1倍単位で変化させる場合、対比画像はT0.8,T0.9,T1.0,T1.1,T1.2の5種類が生成される。
なお、本実施形態では、各対比用画像データに対応させる拡大率の値として上述した幾何学的拡大率FDD/FODの値(FDDとFODはともにmm単位等、同じ単位)を用い、後述のX線検査処理を行うことにしている。むろん、X線検査処理で用いる拡大率の値には、標準試料の撮像画像に対する対比画像の相対的な拡大率の値や、所定の幾何学的拡大率に対する相対的な拡大率の値などを用いてもよく、いずれの場合にも本発明を実施していることになる。
そして、各拡大率に対応させて、各対比用画像データ27bをメモリ27に記憶し(S35)、フローを終了する。
なお、本実施形態において、対比画像生成処理を行うX線検査装置は対比画像生成手段を構成する。
まず、ステージ15の複数箇所の検査位置に対象試料を載置した状態としておいて、ステージ制御部23に対して制御データを出力して図示しないサーボモータによりステージ15を移動させ、測定対象の対象試料のいずれかをX線照射経路に移動させる(S100)。次に、各種撮像条件を設定する(S105)。ここで、X線制御部21に対して、所定電流量の管電流をX線発生器11に流す制御データを出力する。さらに、X線を生成させる制御データをX線制御部21に対して出力するとともに、透過X線の強度を検出させる制御データを画像処理部24に対して出力することにより、対象試料を撮像する(S110)。
すると、X線発生器11は、所定電流量の管電流が流れ、焦点から広がりながら進行する所定強度のX線を生成し、X線照射経路上にある対象試料に照射する。対象試料を透過した透過X線は、X線検出器13に到達して撮像され、その強度が多数の検出素子13c別に電圧信号として検出される。検出された電圧信号は、デジタル変換部13dで各検出素子13c別に対応する輝度値に変換される。
撮像を行うと、X線検出器13から各検出素子13c別に輝度値を入手することにより撮像画像に対応する画像データを取得し、メモリ27に格納する(S115)。その後、上述したパターンマッチングを行う処理を行い(S120)、決定した拡大率Em、位置Xm,Ymに対応した測定処理を行う(S125)。そして、ステージ15の全検査位置について測定処理を行ったか否かを判断し(S130)、測定処理を行っていない検査位置が残っている場合にはS100〜S130を繰り返し、全検査位置について測定処理を行った場合にはフローを終了する。
なお、本実施形態において、S105〜S115の処理を行うX線検査装置は画像取得手段を構成し、S120〜S125の処理を行うX線検査装置は測定手段を構成する。
まず、撮像画像に対応する多階調の画像データ27cを、パターンマッチング用の二値化データに変換する(S205)。変換後の二値化データも、撮像画像に対応する画像データである。次に、各対比画像と撮像画像との一致度を算出する対象の対象拡大率Eiを設定する(S210)。例えば、各拡大率に拡大率番号iを対応付けておき、拡大率番号を表すポインタを1からpまで順番に更新することにより、対象拡大率を設定することができる。
さらに、一致度を算出する対象拡大率について、対比画像と撮像画像との位置別の一致度を算出する対象のX軸方向の対象位置XjとY軸方向の対象位置Yjとを設定する(S215)。ここでも、位置Xj,Yjに位置番号jを対応付けておき、位置番号を表すポインタを1からqまで順番に更新することにより、対象位置を設定することができる。
その後、対比させる全位置を設定したか否かを判断する(S225)。設定していない位置が残っている場合には、繰り返しS215〜S225の処理を行う。
その後、一致度を算出する全拡大率を設定したか否かを判断する(S240)。設定していない拡大率が残っている場合には、繰り返しS210〜S240の処理を行う。
すると、図9のS125では、撮像画像に対応する画像データを用いて、決定した拡大率Em、当該拡大率Emについて算出した位置別の一致度が最大となった位置Xmm,Ymmに対応した測定処理を行う。
なお、画像の拡大縮小をテンプレートマッチングで求めているが、この処理を物体の大きさ測定で置き換えることも可能である。
ところで、図11の下段に示すように、異なる複数の拡大率別に撮像画像と標準画像との一致度を算出する際、一致度を算出する対象の拡大率Eiについて、対比させる位置別に対比画像I4を設けておき、各対比画像I4と撮像画像I3とを対比し、両画像I4,I3の位置別の一致度CLiを算出してもよい。具体的には、拡大率別の各対比用画像データ27b1は、異なる複数の対比させる位置のそれぞれに対応して対比画像I4を表現する各位置別の対比用画像データから構成され、各位置別の対比用画像データと、撮像画像I3が表現された画像データ27cとが対比され、位置別の一致度CLiが求められる。
ここで、図11の上段に示すように、各対比画像I4は、第一の実施形態の対比画像I2に相当する仮想の対比画像I5の一部とされ、図の例では、XY位置L1に対応する対比画像I4の左上の位置は、仮想の対比画像I5中の座標(x0,y0)とされ、XY位置L2に対応する対比画像I4の左上の位置は、仮想の対比画像I5中の座標(x1,y0)とされている。対比画像I4は、仮想の対比画像I5上でX軸方向に所定間隔でずらされるとともに、Y軸方向に所定間隔でずらされている。
また、図12と図13に示すテーブルT3,T4を作成して撮像画像の拡大率やXY位置のずれを補償する観点でパターンマッチング処理を行い、測定処理を行うようにしてもよい。
パターンマッチングを行う際、所定の標準画像I1を基準とした異なる複数の拡大率のそれぞれに対応した各対比用画像データと撮像画像I3の画像データとを対比してパターンマッチングを行う。ここで、測定処理を行うための基準とする基準拡大率Esが設けられてメモリ27に記憶されており、各対比用画像データで表現されるそれぞれの対比画像I6は、基準拡大率Esに対する拡大率の比に対応付けられている。この比を、ずれ度合Gi(iは1〜pの整数、pは1より大きい整数)としている。本実施形態では、異なる複数のずれ度合Gi別に設けられた対比画像I6と、撮像画像I3とを対比し、両画像I6,I3の一致度Ciを算出する。そして、一致度Ciをずれ度合Giと対応付けて一致度テーブルT3を作成してメモリ27に記憶させる。実際の拡大率Eiは、Es/Giとなる。
図14は、パターンマッチング処理を示すフローチャートである。処理を開始すると、撮像画像に対応する多階調の画像データ27cをパターンマッチング用の画像データに変換し(S305)、各対比画像と撮像画像との一致度を算出する対象の対象ずれ度合Giを設定する(S310)。さらに、対象ずれ度合について、対比画像と撮像画像との位置別の一致度を算出する対象のX軸方向のずれ量ΔXjとY軸方向のずれ量ΔYjとを設定する(S315)。そして、対象ずれ度合Giに対応する対比用画像データと撮像画像のパターンマッチング用の画像データとから、対比画像I6中の対象位置Xj,Yjに撮像画像I3を対比させたときの位置別の一致度CLjを算出し、ずれ量ΔXj,ΔYjを対応させて位置別一致度テーブルT4に格納し、一時記憶する(S320)。
その後、対比させる全位置を設定したか否かを判断し(S325)、設定していない位置が残っている場合には繰り返しS315〜S325の処理を行う。
その後、一致度を算出する全ずれ度合を設定したか否かを判断し(S340)、設定していないずれ度合が残っている場合には繰り返しS310〜S340の処理を行う。
全ずれ度合について設定した場合には、一致度テーブルT3に格納された一致度Ciの中から最大の一致度Cmを取得するとともに、当該一致度Cmに対応するずれ度合Gm、XYずれ量ΔXmm,ΔYmmを取得し、一時記憶して(S345)、フローを終了する。
Em=Es/Gm ・・・(5)
Xmm=Xs−ΔXmm ・・・(6)
Ymm=Ys−ΔYmm ・・・(7)
を用いて拡大率や位置のずれを補償することができる。
上述した実施形態ではテンプレートマッチングで得た拡大率を利用して画像を補正したが、ステージを上下させて適切な状態にフィードバックして再度撮像してもよい。
図15に示すX線検査処理を開始すると、第一の実施形態と同じS100〜S120の処理を行う。本実施形態のステージ制御部23は、X−Yステージ15をZ方向(上下方向)にも移動させる制御を行うことが可能とされている。同図ではS135,S140が追加されており、S120のパターンマッチング処理終了後に上記決定した拡大率Emが所定範囲内であるか否かを判断する(S135)。例えば、0<tEm1<1<tEm2を満たす所定の閾値tEm1,tEm2を設けておき、tEm1<Em<tEm2を満たすか否かを判断すればよい。tEm1は0.9等とすることができ、tEm2は1.1等とすることができる。Emが所定範囲外の場合、ステージ制御部23によってステージ15をZ方向に微動させて位置を修正し(S140)、S105〜S120,S135を繰り返す。一方、Emが所定範囲内の場合、第一の実施形態と同じS125〜S130を行い、パターンマッチング処理で決定した拡大率、X位置、Y位置に対応した測定処理を行う。
なお、S135ではX軸方向の位置XmmやY軸方向の位置Ymmが所定範囲内であるか否かを判断し、S140でステージ15をX方向やY方向に微動させてXY位置を修正してもよい。同様に、さらに正確に測定を行うことができ、対象試料についての測定をより精度良く行うことが可能となる。
本発明のX線検査装置は、その要旨を変更しない範囲で各種の変更が可能であり、上述した実施形態に限られるものではない。
例えば、多数の検出素子は、縦横整然と並んだドットマトリクス状以外にも、蜂の巣状等に並んだドットマトリクス状に配置されていてもよい。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、対象試料をより精度よく測定することが可能となる。
11…X線発生器(X線発生機構)
11a…X線管
11b…アノード
11c…カソード
11d…電子レンズ
11e…ターゲット
11e1…焦点(所定のX線発生点)
11e2…出射窓
11f…絞り
13…X線検出器
13a…X線イメージインテンシファイア管
13b…CCD撮像部
13c…検出素子
13d…デジタル変換部
13e…検出面
15…X−Yステージ
20…X線撮像制御部
21…X線制御部
23…ステージ制御部
24…画像処理部
25…CPU
26a…出力部
26b…入力部
27…メモリ
27b,DI2…対比用画像データ
27c,DI3…画像データ
31…基板(対象試料)
I1…標準画像
I2,I4,I6…対比画像(テンプレート画像)
I3…撮像画像
I5…仮想の対比画像
T1,T3…一致度テーブル
T2,T4…位置別一致度テーブル
Claims (9)
- 対象試料を載置可能なステージと、所定のX線発生点から広がりながら進行する所定強度のX線を発生させて同ステージに載置された対象試料に照射するX線発生機構と、同対象試料を透過した透過X線を撮像して撮像画像に対応する画像データを取得する画像取得手段と、取得された画像データを用いて同対象試料についての測定処理を行う測定手段とを備えるX線検査装置であって、
上記X線発生機構は、外気に開放された位置とされた所定のX線発生点から上記X線を発生させて上記ステージに載置された対象試料に照射する機構とされ、
上記測定手段は、所定の標準画像を基準とした異なる複数の拡大率のそれぞれに対応した各対比用画像データと上記画像データとを対比して上記撮像画像と同標準画像とのパターンマッチングを行い、当該パターンマッチングの結果から上記撮像画像の拡大率を決定し、上記画像データを用いて同決定した拡大率に対応した上記測定処理を行うことを特徴とするX線検査装置。 - 上記測定手段は、上記画像データと各対比用画像データとから上記複数の拡大率別に上記撮像画像と上記標準画像との一致度を算出し、算出した一致度が最大となった拡大率を、上記測定処理を行うための拡大率として決定することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
- 上記測定手段は、上記複数の拡大率別に上記撮像画像と上記標準画像との一致度を算出する際、一致度を算出する対象の拡大率について、上記画像データが示す撮像画像と上記一致度を算出する対象の拡大率に対応する対比用画像データが示す対比画像とを対比させる位置を変えながら対比させ、対比させた位置毎に上記撮像画像と上記対比画像との一致度を算出し、算出した位置別の一致度のうち最大の一致度を同対象の拡大率についての一致度とすることを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。
- 上記拡大率別に設けられた対比用画像データは、上記所定の標準画像を基準とした各拡大率別のテンプレート画像の一部を構成する位置別の対比画像を表現するデータとされ、
上記測定手段は、上記複数の拡大率別に上記撮像画像と上記標準画像との一致度を算出する際、一致度を算出する対象の拡大率について、上記画像データと上記位置別の対比画像を表現するデータとから同撮像画像と同標準画像との位置別の一致度を算出し、算出した位置別の一致度のうち最大の一致度を同対象の拡大率についての一致度とすることを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。 - 上記測定手段は、上記画像データを用いて、上記決定した拡大率、および、当該拡大率について算出した上記位置別の一致度が最大となった位置に対応した上記測定処理を行うことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のX線検査装置。
- 上記撮像画像は、上記X線の進行方向と直交する所定のX軸およびY軸とから形成されるXY平面に平行な画像とされ、
上記測定手段は、上記一致度を算出する対象の拡大率について、上記撮像画像と上記標準画像とを対比させる上記X軸方向の位置および上記Y軸方向の位置を変えながら対比させた位置毎に上記画像データと各対比用画像データとから同撮像画像と同標準画像との位置別の一致度を算出し、算出した位置別の一致度が最大となったX軸方向の位置およびY軸方向の位置、並びに、上記決定した拡大率、に対応した上記測定処理を行うことを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。 - 対象試料を載置可能なステージと、所定のX線発生点から広がりながら進行する所定強度のX線を発生させて同ステージに載置された対象試料に照射するX線発生機構と、同対象試料を透過した透過X線を撮像して撮像画像に対応する画像データを取得する画像取得手段と、取得された画像データを用いて同対象試料についての測定処理を行う測定手段とを備えるX線検査装置であって、
上記X線発生機構は、外気に開放された位置とされた所定のX線発生点から上記X線を発生させて上記ステージに載置された対象試料に照射する機構とされ、
上記測定手段は、所定の標準画像を基準とした異なる複数の拡大率のそれぞれに対応した各対比用画像データと上記画像データとを対比して上記撮像画像と同標準画像とのパターンマッチングを行い、当該パターンマッチングの結果から上記X線の進行方向における上記ステージに載置された対象試料の位置のばらつきおよび上記進行するX線の広がり度合のばらつきによる上記撮像画像の拡大率のずれを補償し、上記画像データを用いて補償後の拡大率に対応した上記測定処理を行うことを特徴とするX線検査装置。 - 対象試料を載置可能なステージと、所定のX線発生点から広がりながら進行する所定強度のX線を発生させて同ステージに載置された対象試料に照射するX線発生機構と、同対象試料を透過した透過X線を撮像して撮像画像に対応する画像データを取得する画像取得手段とを備えるX線検査装置を用いることにより、取得された画像データを用いて同対象試料についての測定処理を行うX線検査方法であって、
上記X線発生機構を、外気に開放された位置とされた所定のX線発生点から上記X線を発生させて上記ステージに載置された対象試料に照射する機構とし、
所定の標準画像を基準とした異なる複数の拡大率のそれぞれに対応した各対比用画像データと上記画像データとを対比して上記撮像画像と同標準画像とのパターンマッチングを行い、当該パターンマッチングの結果から上記撮像画像の拡大率を決定し、上記画像データを用いて同決定した拡大率に対応した上記測定処理を行うことを特徴とするX線検査方法。 - 対象試料を載置可能なステージと、所定のX線発生点から広がりながら進行する所定強度のX線を発生させて同ステージに載置された対象試料に照射するX線発生機構と、同対象試料を透過した透過X線を撮像して撮像画像に対応する画像データを取得する画像取得手段とを備え、取得された画像データを用いて同対象試料についての測定処理を行うX線検査装置の制御プログラムであって、
上記X線発生機構は、外気に開放された位置とされた所定のX線発生点から上記X線を発生させて上記ステージに載置された対象試料に照射する機構とされ、
所定の標準画像を基準とした異なる複数の拡大率のそれぞれに対応した各対比用画像データと上記画像データとを対比して上記撮像画像と同標準画像とのパターンマッチングを行い、当該パターンマッチングの結果から上記撮像画像の拡大率を決定し、上記画像データを用いて同決定した拡大率に対応した上記測定処理を行う機能をコンピュータに実現させることを特徴とするX線検査装置の制御プログラム。
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