JP4491601B2 - 複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途 - Google Patents

複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP4491601B2
JP4491601B2 JP2004043271A JP2004043271A JP4491601B2 JP 4491601 B2 JP4491601 B2 JP 4491601B2 JP 2004043271 A JP2004043271 A JP 2004043271A JP 2004043271 A JP2004043271 A JP 2004043271A JP 4491601 B2 JP4491601 B2 JP 4491601B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum pigment
composite
coated
coated aluminum
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004043271A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005232316A (ja
Inventor
修一 西川
康夫 斉藤
伸晃 石井
紘一 和田
Original Assignee
昭和アルミパウダー株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 昭和アルミパウダー株式会社 filed Critical 昭和アルミパウダー株式会社
Priority to JP2004043271A priority Critical patent/JP4491601B2/ja
Publication of JP2005232316A publication Critical patent/JP2005232316A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4491601B2 publication Critical patent/JP4491601B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途に関し、さらに詳しくは、ボールミル粉砕法やスタンプミル粉砕法、蒸着解砕法などの方法により製造される複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、水性塗料や水性インキに配合されると、ガス発生が少なく貯蔵安定性に優れる塗料やインキが得られるような複合被覆アルミニウム顔料に関する。
また、本発明は、耐電圧性や密着性が要求される塗膜を形成するためのメタリック塗料に配合されると、メタリック感を損なうことなく、耐電圧性、密着性に優れた塗膜が得られるような複合被覆アルミニウム顔料に関するものである。
近年ラジカセ・VTR・TV・携帯電話等の家電製品のプラスチック塗装や各種印刷物さらにはマニキュアなどの各種化粧品などに、より光沢度の高いメタリック塗装、印刷などが好まれ、広く用いられるようになってきた。アルミニウム顔料は、より光沢度の高い着色剤として、これら用途に用いられる塗料、インク、化粧品などに配合されている。
このようなアルミニウム顔料には、その用途に応じて、種々の特性が要求される。
例えば、プラスチック成形品などの表面にメタリック塗装を施す場合、アルミニウム顔料には、密着性、耐薬品性、耐電撃性などが求められる。もしアルミニウム顔料を被覆している樹脂の耐薬品性が乏しいと、メタリック塗装部に酸性やアルカリ性の液が接触したままの状態が続いた場合、被覆樹脂が侵され、さらにはアルミニウム顔料表面が変色し、塗膜の金属光沢が失われる恐れがある。
また、もし、プラスチック成形品の表面に塗装されたメタリック塗膜の密着性が乏しいと、塗膜上にセロファンテープを貼り付けて急速に剥離させた場合に、金属粉がセロファンテープにくっ付いた状態で剥ぎ取られ、塗膜から脱落してしまいその跡が見苦しく、また、塗膜上にシルクスクリーン印刷等で文字・数字等のマーキングを施した場合に、セロファンテープ跡が塗膜上に残ったり、セロファンテープにくっ付いて欠字となり、塗装物の商品価値を著しく損なう。
また、アルミニウム金属粉自体には、導電性がある。従って、電気製品の外装部のように、耐電圧性が要求される部位に、従来のアルミニウム顔料を配合した塗料を塗装した場合には、アルミニウムが持つ導電性のために要求される耐電圧性が満たされない恐れがある。ここで、もし、テレビのブラウン管のマスク部分の塗装において、塗膜の絶縁性が不十分であると、ブラウン管の高電圧が漏洩し、人間が手で触れたとき電撃を受け、場合によっては死亡事故を引起す恐れがある。また、静電塗装においては、スプレーガンと被塗物との間に高電圧が掛けられるが、金属粉原料に導電性があるため、その濃度が高いと、ブリッジ現象を起し、金属粉を通して漏電し、回路が遮断されてしまい、塗装できなくなる。
また、アルミニウム顔料を他の顔料等と共に塗料、インク等に配合して使用する場合、金属としてのアルミニウムの化学的活性に基づく種々のトラブルを引起す恐れがある。
すなわち、塗料中に配合される他の顔料、特にイエロー系、レッド系の有機顔料と接触すると化学反応を起こし、それらの有機顔料の退色あるいは変色を引起すことがある。ま
た、塗料中のバインダーを変質させ、ゲル化等の原因となることがある。
また、アルミニウム顔料は、水性塗料や水性インキに配合された場合、一般に、塗料やインキ中の水と反応して水素ガスを発生して溶解する性質がある。特に、pH値が8以上の水性塗料や水性インキでは、その傾向が顕著になるという問題点がある。
このようにアルミニウム顔料には、その用途に応じて密着性、耐薬品性、耐電撃性など種々の特性が求められるが、例えば、水性塗料や水性インキに配合されるアルミニウム顔料に関しては、水性塗料や水性インキに配合された場合にガスの発生を少なくするためにこれまでにも多くの技術が開示されている。
例えば、特開平07−70468号公報(特許文献1)には、アルミニウムフレーク表面上に、アルミニウムに対してMo金属換算量で0.1〜10重量%のモリブデン酸被膜を有し、かつ該被膜の上にアルミニウムに対してP元素換算量で0.05〜1重量%の燐酸系被膜を有するアルミニウム顔料およびその製法が開示されている。
また、特開平10−130545号公報(特許文献2)には、アルミニウム粉末、および、無機リン酸または無機リン酸塩、リン酸エステル化合物、及び、水および/または親水性溶剤を必須成分とし、疎水性不活性溶剤(例えばミネラルスピリット等)の含有量が、アルミニウム粉末に対し、1重量%未満である水性アルミニウム顔料組成物およびその製法が開示されている。
また、特開2003−301131号公報(特許文献3)には、アルミニウム顔料(A),組成式Mxy・mH22・nH2OまたはMxy−m(O2)m・nH2O(ただし,
Mは周期表IVA,IVB,VA,VB,VIA,VIB族に属する金属充電から選ばれる少なくとも一種である。)で示される過酸化金属ポリ酸(B),水(C)および異面活性,水溶性あるいは水分散性樹脂、親水性溶剤からなる群から選ばれた少なくも1種を含む分散剤(D)を含有する耐水性アルミニウム顔料分散体およびその製法が開示されている。
また、特開昭58−83034号公報(特許文献4)には、重合性二重結合を有する化合物を反応させて生成した重合物によって、金属粉顔料粒子表面を特定量で被覆した金属粉顔料組成物を含有するプラスチック塗装用塗料組成物に、エポキシ(またはカルボキシル)変性シリコーンオイル、シリコーン樹脂、等を添加したものが開示されている。
また特開2002−226733号公報(特許文献5)には、樹脂をフレーク状アルミニウム粉末表面に付着させた樹脂被覆アルミニウム顔料が開示され、また、この特許文献5には、フレーク状アルミニウム粉末を有機溶剤に分散せしめ、次に(A)ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸のモノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加する第一工程を実施した後に、(B)ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加する第二工程を実施することなどにより、アルミニウム粒子表面に樹脂を被覆する方法が開示されている。
しかしながら、これらの特許文献1〜5に記載の方法では、水性塗料などでの貯蔵安定性や塗膜の耐電圧性や密着性の全てにバランスよく優れたアルミニウム顔料を得ることは困難である。特に、平均粒子径が15μm以下のアルミニウム顔料では水性塗料などでの貯蔵安定性や塗膜の耐電圧性や密着性の全てを満足することは困難である。
なお、特開2002−88274号公報(特許文献6)には、アルミニウムに対してS
i換算で1〜15質量%のシリカ被膜が形成され、かつアルミニウムに対してP換算で0.01〜4質量%のP化合物を含有するシリカ被覆アルミニウム顔料が開示されている。
またこの特許文献6には、原料アルミニウム顔料を(1)シリコンアルコキシド等のSi含有化合物、(2)水、(3)親水性有機溶剤、(4)りん酸および/またはりん酸塩、および(5)アンモニア等の加水分解触媒を必須成分とする反応液に接触させる、シリカ被覆アルミニウム顔料の製造方法が開示されている。また、この特許文献6(請求項8)には、アルミニウム顔料表面にSi含有化合物によりシリカ被膜を形成し、さらにP化合物を含有させる、シリカ被覆アルミニウム顔料の製造方法も開示されている。
しかしながら、該特許文献6に記載のシリカ被覆アルミニウム顔料では、該顔料を配合した塗料を塗装してなる塗膜の光沢、耐電圧は良好であり、塗料のゲル化テストも良好な結果を示すが、水素ガス発生量の点でさらなる改善の余地がある。
なお、該特許文献6には、アルミニウム顔料表面にSi含有化合物によりシリカ被膜を形成し、さらに上記P化合物として、特にりん含有チタネート化合物を用いて処理するとの技術的思想は何ら示唆すらされていない。
また特開平4−10912号公報(特許文献7)には、金属粉100重量部に対して0.05〜1.5重量部の水の存在下で、金属粉100重量部に対して0.1〜10重量部の一般式:「Ti(OR)2[OC24N(C24OH)22(R:C1〜8のアルキル
基)」で示される有機チタネート[ジアルコキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン]により処理してなる金属粉顔料が開示され、この有機チタネート処理金属粉顔料は、塗料用樹脂との密着性、凝集安定性がよく、また静電塗装に用いても絶縁破壊されない旨記載されている。
なお、アルミニウムペーストをりん含有チタネート化合物の1種であるイソプロピルト
リス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート{(CH32CH-O-Ti-[-O-P
(=O)(OH)-O-P(=O)-(O-C81723}などで処理した金属粉顔料も挙
げられている(特許文献7の比較例13)。
しかしながら、該特許文献7には、りん含有チタネート化合物での表面処理に供するアルミニウム顔料として、シリカ被覆処理されていないアルミニウム顔料をそのまま用いており、密着性不良、耐電圧が低い、水素ガス発生量が多いなどの問題点がある。
特開平7−70468号公報 特開平10−130545号公報 特開2003−301131号公報 特開昭58−83034号公報 特開2002−226733号公報 特開2002−88274号公報 特開平4−10912号公報
本発明は、上記のような問題点を解消しようとするものであって、光沢があり、貯蔵安定性、耐電圧性および密着性に優れたアルミニウム顔料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行なった結果、シリカ被膜にて被覆されたアルミニウム顔料(シリカ被覆アルミニウム顔料)を、さらにりん含有チタネート化合物で表面処理してな
る複合被覆アルミニウム顔料によれば前記課題を解決できることなどを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は以下に示される複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途に関する。
本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料は、シリカ被膜にて被覆されたアルミニウム顔料を、さらにりん含有チタネート化合物で表面処理してなることを特徴としている。
本発明においては、りん含有チタネート化合物の含有量が、アルミニウム100質量部(シリカ分は含まず、アルミニウムのみ100質量部)に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
本発明においては、上記りん含有チタネート化合物が、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネートからなる群から選ばれる少なくとも1
種であることが好ましい。
本発明においては、上記シリカ被膜中のシリカ量は、アルミニウム100質量部に対してSi原子換算で1〜10質量部の量であることが好ましい。
本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料は、該複合被覆アルミニウム顔料を水性塗料または水性インキに配合し、50℃の温度条件下で336時間(14日間)保持した時に、アルミニウム1g当りの水素ガス発生量が10cm3以下であることが好ましい。
本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料の製造方法は、シリカ被膜にて被覆されたアルミニウム顔料を、りん含有チタネート化合物で表面処理して複合被覆アルミニウム顔料を製造する方法であって、アルミニウム100質量部に対して、りん含有チタネート化合物0.1〜10質量部で処理することを特徴としている。
本発明に係るペーストは、上記のいずれかに記載の複合被覆アルミニウム顔料を含むことを特徴としている。
特に本発明に係る水系ペーストは、上記のいずれかに記載の複合被覆アルミニウム顔料および水を含むことを特徴としている。
また、本発明に係る塗料は、上記のいずれかに記載の複合被覆アルミニウム顔料を含むことを特徴としている。
本発明に係るインキ組成物は、上記のいずれかに記載の複合被覆アルミニウム顔料を含有することを特徴としている。
本発明に係る塗装物は、被塗物である基材表面に上記の塗料が塗布硬化されてなることを特徴としている。
本発明に係る印刷物は、用紙の表面に上記のインキ組成物にて印刷したことを特徴としている。
本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料は、貯蔵安定性に優れ、かつ、塗膜の耐電圧性、密着性にも優れ、かつ、光沢を悪化させず光沢を良好に保持し得るので、特に、水性塗料および水性インキ分野に好適に用いられ、有用である。
以下、本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[複合被覆アルミニウム顔料]
本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料は、シリカ被膜にて被覆されたアルミニウム顔料(シリカ被覆アルミニウム顔料)が、さらにりん含有チタネート化合物にて(表面)処理されてなるものである。
このようにシリカ被覆アルミニウム顔料をりん含有チタネート化合物にて表面処理することにより、りん含有チタネート化合物は、シリカ被覆アルミニウム顔料の表面に吸着または共存等して、インキ、塗料などの貯蔵安定性の向上に寄与し、インキ、塗料との相溶性や分散性等にもバランスよく優れているものと推測される。
そのメカニズムは明らかではないが、インキなどの構成成分であるモノマーなどが持っている官能基と、アルミニウムとの電子の授受をシリカ被膜とりん含有チタネート化合物がブロックし、官能基がラジカル化して重合反応が進行することを抑制し、その結果、インキ、塗料などの貯蔵安定性の向上に寄与しているものと推定される。
特に、りん含有チタネート化合物あるいはりん含有チタネート化合物中の燐の存在形態が、ホスファイト、ホスフェートの何れかであることが、上記効果、すなわち、インキ、塗料の貯蔵安定性などの点でより好ましい。
本発明で用いられるシリカ被覆アルミニウム顔料は、以下の原料アルミニウム顔料の表面にシリカ被膜を形成したものである。以下、製法に則して詳説する。
<シリカ被覆アルミニウム顔料>
(a)原料アルミニウム顔料
原料アルミニウム顔料は、従来より公知のものであって、アルミニウムを微粉末状(粒子状)としたものであり、溶融し直接粉化させる方法(溶融直接粉化法)、機械的粉化法、蒸着解砕法などによって得られる。機械的粉化法としては、ボールミル粉砕法、スタンプミル粉砕法、アトライター法、振動ミルなどを用いた粉砕法等が挙げられる。本発明では、上記のようなボールミル粉砕法によって製造された原料アルミニウムが品質及び製造コストの点で原料として好適に使用できる。
また、原料のアルミニウム顔料はアルミニウムのみから構成されていてもよく、また、アルミニウムを基(主成分)とした合金(アルミ合金)などから構成されていてもよく、その純度は特に限定されないが、好ましくは、純度98%以上である。
原料のアルミニウム顔料の形状、大きさ等は特に限定はされない。アルミニウム粒子の形状としては、涙滴状、球状、針状、不規則形状、フレーク(鱗片)状があるがいずれも使用できる。原料アルミニウム顔料が、メタリック塗料用として使用される場合にはフレーク状が好ましく、平均粒子径(D50:累積体積50%粒子径)で5〜100μm、さらに5〜50μmが好ましく、平均厚みは1μm以下で通常0.02μm以上であり、ア
スペクト比(粒子径/厚み)が20以上〜1000以下であることが好ましい。アスペクト比が1000を超えると顔料の機械的強度が低下し、色調が不安定となる場合がある。
近年、平均粒子径15μm以下の細かいアルミニウム顔料で、かつ、輝度・光沢の大きいアルミニウム顔料が求められているが、本発明によれば、このような要請にも対応できる。
原料アルミニウム顔料の平均粒子径は、レーザー回折法、マイクロメッシュシーブ法、コールターカウンター法、などの公知の粒度分布測定法により測定された粒度分布より、体積平均を算出して求められる。本発明では、通常、原料アルミニウム顔料の平均粒子径は、粒度分布をレーザー回折法にて測定して求めたものである。
また、原料アルミニウム顔料の表面には、粉砕助剤が付着していてもよい。
粉砕助剤としては、通常脂肪酸が使用されることが多い。ここで使用される脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸、エライジン酸、ゾーマリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。
原料アルミニウム顔料は、乾燥粉末にすると、粉塵爆発の危険性や取り扱いの困難性などの理由から、通常は溶剤を含んだペーストの形態で取扱われる。
本発明においては、アルミニウム顔料としては溶剤を含んだペースト状物(i)をそのまま用いてもよいし、あるいはこのペースト状物(i)を親水性溶剤で洗浄し溶媒置換されたペースト(ii)にして用いてもよい。
ミネラルスピリットなどの疎水性有機溶剤を含むアルミニウムペーストの形態で用いる場合は、ノニオン性やアニオン性の界面活性剤を該ペーストに添加して、水に乳化・分散し易くして用いてもよい。
<シリカ被膜の形成>
上記原料アルミニウム顔料(a)表面へのシリカ被膜の形成方法としては、特開2002−88274号公報(特許文献6)に開示されている方法および他の公知の方法などが挙げられるが、いずれの方法でもよく特に限定されるものはない。
具体的には、まず、上記(原料)アルミニウム顔料(a)をアルコールなどの下記親水性有機溶剤(b)に分散させ、必要に応じて、ノニオン性などの界面活性剤を添加する。
親水性有機溶媒へのアルミニウム顔料などの分散の際には、一般的な撹拌機を用いることができ、アルミニウム顔料が沈降しない程度の速度で撹拌すればよい。
次に、シリカ被膜を形成させるためのケイ素含有化合物(好ましくはシリコンアルコキシド類)(c)や水、および必要に応じて触媒、例えば、アンモニアなどの塩基性触媒物質(d)を加えてケイ素含有化合物の加水分解によるシリカ生成反応を行い、シリカ被膜をアルミニウム顔料表面に析出させる。
その加水分解速度は、水とケイ素含有化合物のモル比や濃度、及び必要に応じて加えられる触媒物質のケイ素含有化合物に対するモル比や濃度によって調整される。
ケイ素含有化合物(c)の添加方法としては、(イ)全量を一時に加えてもよいが、好
ましくは、(ロ)前記有機溶媒で希釈して少量ずつ連続的に添加する方法が望ましく、このような後者の方法(ロ)によれば、緻密で連続したシリカ被膜によりアルミニウム顔料の表面を被覆できるため好ましい。
添加時間の目安としては4〜12時間程度である。
ケイ素含有化合物の加水分解・脱水縮合反応である、シリカ被覆反応時の反応温度は好ましくは15〜40℃、より好ましくは20〜35℃であり、また反応時間は、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。
反応終了後、得られたシリカ被覆アルミニウム顔料を含む反応混合物は、濾過、溶媒洗浄、乾燥、固形分含有量の調整、混合プロセス等を経て、所望のシリカ被覆アルミニウム顔料、あるいはこのシリカ被覆アルミニウム顔料と溶媒(あるいは分散媒)等とを含む所望の顔料ペーストなどとして、後述する複合被覆アルミニウム顔料の調製に用いられる。
また、得られたシリカ被覆アルミニウム顔料を90〜600℃で加熱処理して、シリカ被膜をより緻密にして、貯蔵安定性を向上させることもできる。加熱処理は、液中でも、乾燥顔料状態のいずれでもよい。
<親水性有機溶媒(b)>
原料アルミニウム顔料を分散させる上記親水性有機溶媒(b)としては、水と親和性があれば特に制限はないが、好ましい例としてはグリコール類やアルコール類が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
グリコール類としては、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
また、アルコール類としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどが挙げられる。
これらの中ではアルミニウム顔料の分散性の面からエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
<ケイ素含有化合物(c)>
ケイ素含有化合物(Si含有化合物)(c)としては、シリコンアルコキシドが好ましい。シリコンアルコキシドとしては、一般式:
「R1 n−Si−(OR24-n
{R1、R2:それぞれ独立に、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、同様の炭素数のアルコキシ基、アリル基を示す。n:0〜3の整数、好ましくは0を示す。}
で示されるものが挙げられる。すなわち、Si(ケイ素原子)に結合している基が全てアルコキシ基であってもよく(式中、n=0)、また、アルコキシ基の一部をアルキル基に変えたもの(式中、n=1〜3)も用いることができる。
このように、シリコンアルコキシドとしては、上記式で表されるモノマーでもよく、またこれらのモノマーが、例えば、2〜数十個程度重縮合したオリゴマー等でもよい。また、それらの混合物でもよい。
シリコンアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができ、その中でも適当な加水分解速度を有する点で、テトラエトキシシランが特に好適に用いられる。
ケイ素含有化合物の使用量は、用いられる原料アルミニウム顔料の種類などによって異なるため一概には規定できないが、一般にシリカ膜厚が3〜30nm程度になるようにすることが好ましい。
<触媒(d)>
触媒(d)、特に塩基性触媒物質としては、アンモニアやトリエタノールアミン等が挙げられるが、ケイ素含有化合物の加水分解速度および脱水縮合速度の面からアンモニアが特に好ましい。
このように原料のアルミニウム顔料の分散液に、ケイ素含有化合物(c)や水、触媒(d)を加えと、Si含有化合物が加水分解されシラノール性水酸基(−OH)が形成され、アルミニウム顔料表面に存在すると考えられている−OH基(一般的に金属表面にOH基があると考えられている。)と縮合反応し、また、ケイ素含有化合物の自己脱水重縮合反応によりシロキサン結合すなわち「Si−O−Si」結合ができて、アルミニウム顔料表面にシリカの被膜が形成されるものと考えられる。
このようなシリカ被覆アルミニウム顔料においては、一般にシリカ膜厚が3〜30nm程度、さらに好ましくは5〜25nm程度であることが耐電圧、金属光沢などの点から望ましい。
なお、上記の方法で得られたシリカ被覆アルミニウム顔料を高分解能走査型電子顕微鏡で観察することによりシリカ膜厚を測定できる。シリカ被覆アルミニウム顔料を調製するに際して、アルミニウム顔料分散液にケイ素含有化合物を全量一時に添加した場合(前記方法(イ))は、0.01μm以下のシリカ微粒子がアルミニウム顔料の表面全体に付着し、被膜を形成しているのが確認される。一方、シリカ被覆アルミニウム顔料を調製するに際して、アルミニウム顔料分散液にケイ素含有化合物を少量ずつ連続的に添加した場合(方法(ロ))は、一度に一括して添加する上記方法(イ)に比してより緻密な連続したシリカ被膜によりアルミニウム顔料(粒子)が被覆されているのが観察される。
原料アルミニウム顔料を被覆しているシリカ層(被膜)は、ケイ素原子換算量で、芯材アルミニウム顔料中のアルミニウム100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、より好ましくは2〜8質量部、さらに好ましくは3〜6質量部である。ケイ素原子換算量が特に1質量部未満では、原料アルミニウム顔料の表面に緻密なシリカ層(被膜)が形成されない恐れがある。一方、特に10質量部を超えると表面にシリカが付き過ぎ、原料アルミニウム顔料の持つ金属光沢が損なわれることがあるため好ましくない。
具体的には、昭和アルミパウダー(株)製の「Sap FM4010」なるアルミニウム顔料を用いた場合、原料アルミニウム顔料に対しSi原子換算で1質量%未満の被膜を形成すると、例えば、耐電圧が不十分となる傾向がある。また、原料アルミニウムに対し上記範囲を超える量(膜厚)のシリカ被膜を形成すると、アルミニウム顔料の持つ金属光沢(メタリック感)が損なわれる傾向がある。
<シリカ被覆アルミニウム顔料のりん含有チタネート化合物による表面処理>
本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料は、上記シリカ被覆アルミニウム顔料をりん含有チタネート化合物(e)で(表面)処理することにより得られる。
シリカ被覆アルミニウム顔料をりん含有チタネート化合物にて表面処理する方法として
は、特に限定されず一般的な混合方法を適用できるが、本発明では、このようにシリカ被覆アルミニウム顔料に、(必要により溶剤にて溶解された)りん含有チタネート化合物(e)を加えて十分に混合し、シリカ被覆アルミニウム顔料の表面にりん含有チタネート化合物を吸着もしくは、共存させることにより複合被覆アルミニウム顔料を調製している。なお、りん含有チタネート化合物(e)にシリカ被覆アルミニウム顔料を加えてもよく、両者を同時に加えてもよいが、作業性、均質化の点から上記した添加順序が好ましい。このような混合の際には、例えば、リボンミキサー、双腕型ニーダーなどの混合機を用いることができる。
なお、りん含有チタネート化合物は、例えば、前記と同様の溶剤にて予め溶解させて用いると、均一分散性の点から望ましい。
りん含有チタネート化合物の添加量は、アルミニウム100質量部に対して好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜7質量部、特に好ましくは1〜5質量部が後述する理由から望ましい。
また、りん含有チタネート化合物の加水分解を促進する目的で、混合時に水を加えてもよいし、原料のシリカ被覆アルミニウム顔料中に含まれる水分を利用してもよい。
さらに、上記の混合プロセスにおいて、前記シリカ被覆アルミニウム顔料調製の際に用いたと同様のノニオン性などの界面活性剤を配合して、水性塗料や水性インキでの分散性を調整することもできる。その他、沈降防止剤、レベリング剤などを配合してもよい。
混合に際しては、アルミニウム顔料やシリカ被膜を破壊するような強いせん断力がかかる混合機や混合条件は避けることが望ましい。
りん含有チタネート化合物(e)としては、りんを含有していれば特に限定されるものではないが、具体例としては、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネートなどが挙げられる。本発明では、これらのりん含有チタネート化合物を1種または2種以上混合するなどの方法で併用してもよく、他の「りんを含有しない化合物」と併用してもよい。
上記のようにして得られた本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料中のりん含有チタネート化合物の含有量は、原料アルミニウム顔料中のアルミニウム100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、さらに0.5〜7質量部が好ましく、特に1〜5質量部となるように各成分を用いることが好ましい。
りん含有チタネート化合物の含有量が特に0.1質量部未満では、この複合被覆アルミニウム顔料を含む塗料、インキ等の貯蔵安定性(ガス発生量)の改善がみられない。一方、特に10質量部を超えてもそれ以上の効果の改善は伴わず、コストアップになり、また、この複合被覆アルミニウム顔料が含まれた水性塗料や水性インキの粘度や、該複合被覆アルミニウム顔料の分散性などの面で悪影響が出る恐れがあるので好ましくない。
このようにシリカ被覆アルミニウム顔料をりん含有チタネート化合物にて処理すると、前述したように、ガス発生量が少なく貯蔵安定性に優れた水性インキ、水性塗料等を製造可能な複合被覆アルミニウム顔料が得られる。
[水性インキ、水性塗料、塗装物など]
すなわち、本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料を含む水性インキ、水性塗料は、貯蔵安定性、塗膜の光沢等に優れている。
なお、この複合被覆アルミニウム顔料は、例えば、水性インキ(水性メタリックインキ)中に3〜30質量%程度の量で、また水性塗料(水性メタリック塗料)中に3〜30質量%程度の量で含まれていることが多い。
貯蔵安定性の目安としては、一般に、水性メタリック塗料の場合、水性塗料化し、50℃の条件で336時間(14日間)保持した時のガス発生量がアルミニウム顔料1g当たり10cm3以下、より好ましくは5cm3以下、さらに好ましくは3cm3以下とされて
いる。
本発明に係る複合被覆アルミニウム顔料では、金属顔料を含まない従来の水性塗料(例えば、アクリルエマルジョン塗料、三井化学社製「E−208」)、または水性インキに該塗料70g、複合被覆アルミニウム顔料15g、蒸留水15g(合計100g)の量で配合し、50℃の温度条件下で336時間(14日間)保持した時に、アルミニウム1g当りの水素ガス発生量(累積値)が通常10cm3以下、好ましくは5cm3以下、さらに好ましくは3cm3以下、特に好ましくは1cm3以下であり、その下限値は、0.1cm3
程度かそれ以上であることが多く、著しく貯蔵安定性に優れている。このようなメタリック塗料、メタリックインクでは、通常の塗料、インクに含まれる成分である、被膜形成用の樹脂分、溶剤、各種添加剤などが任意の量で含まれていてもよい。
なお、樹脂分としては、特に限定されず、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、または、これらの混合物等が挙げられる。
この塗料、インクの使用法は常法に従えばよく、例えば、このようなメタリック塗料は、所望膜厚となるように、1〜複数回、刷毛塗り、スクリーン印刷、グラビア印刷、静電
塗装、浸漬等の常法により塗装すればよい。このインク(インキ組成物)を用いた印刷物は、鮮明な光沢があり、視認性に優れている。
また、本発明の複合被覆アルミニウム顔料は、前記溶剤あるいは水などの分散媒に例えば、10〜80質量%程度の量で溶解あるいは分散させて、ペースト例えば、水系ペースト等の形態で用いてもよい。このメタリックペーストあるいは前記複合被覆アルミニウム顔料は、従来より市販されている水系塗料に配合してメタリック塗料を調製し、また、自動車、家具、おもちゃ等の塗装に用いて各種「塗装物」を製造してもよく、また、各種樹脂製品の製造時に樹脂原料に上記顔料やペーストを配合してメタリック容器、家具、おもちゃ等を製造してもよく、マニキュア等の化粧料などの調製に用いてもよい。
なお、このような複合被覆アルミニウム顔料が配合された樹脂製品では、複合被覆アルミニウム顔料は樹脂製品中に例えば、5〜30質量%程度の量で含まれていることが多い。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に顔料の評価方法を示す。
(1)シリカ被膜中のケイ素、およびチタネート化合物含有量
シリカ被覆アルミニウム顔料ペースト(チタネート化合物の場合は複合被覆アルミニウム顔料)を乾燥させ、王水に溶解した後、蒸留水で希釈し、高周波誘導結合プラズマ発光分析機(島津製作所製ICPV−1014)でケイ素(またはチタン)濃度を測定し、ケイ素(またはチタネート)含有量を算出した。
(2)膜厚測定
透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製JEM2010、加速電圧200V)を用いて、粒子表面のシリカ被膜(基材に対して、基材を覆うように認められる、薄いコントラストを有する膜部)の厚さを目視観察によって測定した。
(3)水素ガス発生量
下記実施例、比較例で得られる、複合被覆アルミニウム顔料あるいはアルミニウム顔料を含むアルミニウムペースト7.5gと蒸留水7.5gを混合し、さらにアクリルエマルジョン塗料(三井化学製「E−208」)35gを加えてよく撹拌し、水性塗料を調合した。この塗料の20gを試験管に入れ、ガス捕集管を取り付け、これを50℃の恒温水槽に入れ、336時間(14日間)の水素ガス累積発生量(cm3/アルミニウム1g)を
測定した。
(4)光沢(メタリック感)
上記「(3)水素ガス発生量」の測定に際して調合した水性塗料をアート紙(寸法:210mm×300mm、連量:135kg、製造元:(株)井上紙店、型番:金藤両面アート)に隙間6ミルのドクターブレード(製造元:太佑機材(株))で塗工した後、105℃で5分間乾燥した。その塗膜を目視により観察し、光沢の有無を判定した。
(5)密着性
上記「(4)光沢」の測定に際して作製した塗膜に、幅24mmのニチバン社製のセロファンテープを貼り付けた後、引き剥がした。そのセロファンテープ剥離操作に伴い、引き剥がされた塗膜中のアルミニウム顔料の量により次の3段階で塗膜の密着性を評価した。
優・・・・・全く剥がれない。
可・・・・・わずかに剥がれる。
不良・・・・・全面的に剥がれる。
(6)耐電圧
各実施例あるいは各比較例により調製された複合被覆アルミニウム顔料ペーストまたはアルミニウム顔料ペースト 5.8gと酢酸エチル 5.8gを混合した後に、オリジン電気社製のアクリルラッカー「プラネットSVクリア」 37.5gおよびオリジン電気社製の「プラネットシンナー#175」 70.0gを加えて、5分間撹拌した。得られた各塗料をプラスチック板に塗装した。
即ち、関西ペイント社製自動塗装機「レシコーター」とイワタ社製スプレーガン「WA−100」を使用して、ABS樹脂板に乾燥膜厚が15μmとなるようにスプレー塗装し、20℃で20分間静置した後、60℃のエアーオーブン中で20分間乾燥し塗板(塗装板)を得た。
得られた塗装板について耐電圧測定器(多摩電測社製「TW−516」)を使用し、遮断電流0.5mA、電極間隔10mmで、電圧を1kV刻みに最大6kVまで20秒間ずつ各電圧で印加して絶縁破壊(あるいはそれによる回路破壊)の有無を観察し、絶縁破壊により回路が破壊されない最大の電圧を耐電圧とした。
[実施例1]
アルミペースト(昭和アルミパウダー社製「Sap FM4010」(平均粒子径11
μm、アルミニウム分75質量%))67gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに分散させ、テトラエトキシシラン14.9gを添加した。撹拌下、29%アンモニア水21gを添加し、水を378g添加した。25℃で1時間撹拌を続けシリカ被覆を行った。その後、ろ過し、ろ過ケーキをプロピレングリコールモノメチルエーテルで洗浄後、アルミニウム100質量部に対し、3質量部相当のテトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート(味の素ファインテクノ社製「プレンアクトKR55」)1.5gを加えて混合し、さらにアルミニウム含有量が50質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えてペーストを作製した。
該ペースト中の分散質の電子顕微鏡像では、シリカ微粒子がアルミニウム粒子表面全体に付着しているのが観察された。また、シリカ膜厚は約15nmであった。
得られたペーストのケイ素含有量、チタネート化合物含有量および水素ガス発生量を測定したところ、ケイ素含有量はアルミニウム100質量部に対して3.7質量部であり、チタネート化合物量は2.6質量部であり、水素ガス発生量は0.4cm3/アルミニウ
ム1gであった。
その結果を併せて表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、りん含有チタネート化合物として、上記「プレンアクトKR55」の代わりに、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート(商品名:味の素ファインテクノ社製、「プレンアクト138S」)を用いた以外は実施例1と同様にペーストを作製した。
該ペースト中の分散質の電子顕微鏡像では、シリカ微粒子がアルミニウム粒子表面全体に緻密に付着しているのが観察された。また、シリカ膜厚は約15nmであった。
得られたペーストのケイ素含有量、チタネート化合物含有量および水素ガス発生量を測定したところ、ケイ素含有量はアルミニウム100質量部に対して3.8質量部であり、チタネート化合物量は2.6質量部であり、水素ガス発生量は0.3cm3/アルミニウ
ム1gであった。
その結果を併せて表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同じアルミペースト67gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル724gに分散させ、イオン交換水169g、25質量%アンモニア水を32g添加、攪拌し、アルミニウム顔料スラリーを得た。この間、液温は30℃に保持した。
次いで、テトラエトキシシラン14.9gをプロピレングリコールモノメチルエーテル13.2gで希釈した液を12時間かけて、一定速度で上記アルミニウム顔料スラリーに滴下した。
滴下後は12時間攪拌を継続し、この間温度は30℃に保持した。
その後、ろ過し、ろ過ケーキをプロピレングリコールモノメチルエーテルで洗浄後、アルミニウム100質量部に対し、3質量部に相当するりん含有チタネート化合物「プレンアクトKR55」1.5gを加えて混合し、さらに、アルミニウム含有量が50質量%と
なるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えてペーストを作製した。
該ペースト中の分散質の電子顕微鏡像では緻密な連続したシリカ被膜により、アルミニウム粒子が被覆されているのが観察され、シリカ膜厚は9nmであった。
得られたペーストのケイ素含有量、チタネート化合物含有量および水素ガス発生量を測定したところ、ケイ素含有量はアルミニウム100質量部に対して3.9質量部であり、チタネート化合物量は2.7質量部であり、水素ガス発生量は0.6cm3/アルミニウ
ム1gであった。
その結果を併せて表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、りん含有チタネート化合物(プレンアクトKR55)による処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様にしてペーストを作製した。
得られたペーストのケイ素含有量、チタネート化合物含有量および水素ガス発生量を測定したところ、ケイ素含有量はアルミニウム100質量部に対して3.8質量部であり、チタネート化合物量は0質量部であり、水素ガス発生量は20cm3/アルミニウム1g
以上であった。
その結果を併せて表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、シリカ被覆処理をしなかった以外は、実施例1と同様の処理をし、ペーストを得た。
得られたペーストのケイ素含有量、チタネート化合物含有量および水素ガス発生量を測定したところ、ケイ素含有量はアルミニウム100質量部に対して0質量部であり、チタネート化合物量は2.6質量部であり、水素ガス発生量は20cm3/アルミニウム1g
以上であった。
その結果を併せて表1に示す。
[実施例4〜6、比較例3〜4]
実施例1〜3、比較例1、2でそれぞれ作製したアルミニウム顔料ペーストを用いて、前記各試験法(水素ガス発生量、光沢、耐電圧)に則して塗料を調製し、光沢、密着性および耐電圧を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 0004491601

Claims (12)

  1. シリカ被膜にて被覆されたアルミニウム顔料を、さらにりん含有チタネート化合物で表面処理してなる複合被覆アルミニウム顔料。
  2. りん含有チタネート化合物の含有量が、アルミニウム100質量部に対して0.1〜10質量部である請求項1記載の複合被覆アルミニウム顔料。
  3. りん含有チタネート化合物が、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または
    請求項2に記載の複合被覆アルミニウム顔料。
  4. 上記シリカ被膜中のシリカ量は、アルミニウム100質量部に対してSi原子換算で1〜10質量部の量である請求項1記載の複合被覆アルミニウム顔料。
  5. 水性塗料または水性インキに配合し、50℃の温度条件下で336時間(14日間)保持した時に、アルミニウム1g当りの水素ガス発生量が10cm3以下である請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の複合被覆アルミニウム顔料。
  6. シリカ被膜にて被覆されたアルミニウム顔料を、りん含有チタネート化合物で表面処理して複合被覆アルミニウム顔料を製造する方法であって、アルミニウム100質量部に対して、りん含有チタネート化合物0.1〜10質量部で処理することを特徴とする複合被覆アルミニウム顔料の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合被覆アルミニウム顔料を含むことを特徴とす
    るペースト。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合被覆アルミニウム顔料および水を含むことを特徴とする水系ペースト。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合被覆アルミニウム顔料を含むことを特徴とする塗料。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合被覆アルミニウム顔料を含有することを特徴とするインキ組成物。
  11. 基材表面に請求項9に記載の塗料が塗布硬化されてなる塗装物。
  12. 表面に請求項10に記載のインキ組成物にて印刷した印刷物。
JP2004043271A 2004-02-19 2004-02-19 複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途 Expired - Fee Related JP4491601B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004043271A JP4491601B2 (ja) 2004-02-19 2004-02-19 複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004043271A JP4491601B2 (ja) 2004-02-19 2004-02-19 複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005232316A JP2005232316A (ja) 2005-09-02
JP4491601B2 true JP4491601B2 (ja) 2010-06-30

Family

ID=35015597

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004043271A Expired - Fee Related JP4491601B2 (ja) 2004-02-19 2004-02-19 複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4491601B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008120901A (ja) * 2006-11-10 2008-05-29 Showa Aluminum Powder Kk 複合被覆アルミニウム顔料及びその製造方法
US8894197B2 (en) 2007-03-01 2014-11-25 Seiko Epson Corporation Ink set, ink-jet recording method, and recorded material
JP5228376B2 (ja) * 2007-05-24 2013-07-03 住友金属鉱山株式会社 赤外線遮蔽微粒子およびその製造方法、赤外線遮蔽微粒子分散体、赤外線遮蔽体、ならびに赤外線遮蔽基材
DE102010020507A1 (de) * 2010-05-14 2011-11-17 Eckart Gmbh Metall-Kationen und phosphor- und/oder schwefelhaltige Anionen aufweisende Metalleffektpigmente, Verfahren zur Herstellung dieser Metalleffektpigmente und Verwendung
CN104327549B (zh) * 2014-10-31 2016-10-05 西南交通大学 硅铝水凝胶双层包覆改性聚磷酸铵及其在阻燃聚丙烯中的应用
WO2019073924A1 (ja) * 2017-10-11 2019-04-18 ユケン工業株式会社 金属粉末分散組成物および水系コーティング組成物
CN110878178A (zh) * 2019-12-18 2020-03-13 河南兴安新型建筑材料有限公司 一种纳米SiO2薄膜包覆片状铝颜料及其制备方法
CN114152646B (zh) * 2021-10-29 2023-06-30 电子科技大学中山学院 一种钼酸盐挥发性有机化合物检测装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5975931A (ja) * 1982-10-23 1984-04-28 Fukuda Kinzoku Hakufun Kogyo Kk 合成樹脂充填用金属粉末
JPS60120761A (ja) * 1983-12-06 1985-06-28 Toyo Alum Kk 有機チタネ−ト処理金属粉顔料
JP2004124069A (ja) * 2002-07-31 2004-04-22 Showa Denko Kk シリカ被覆アルミニウム顔料およびその製造方法並びにその用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005232316A (ja) 2005-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004124069A (ja) シリカ被覆アルミニウム顔料およびその製造方法並びにその用途
JP4260454B2 (ja) アルミニウム顔料
KR101437754B1 (ko) 금속 안료 조성물
JP4633239B2 (ja) シリカ被覆アルミニウム顔料およびその製造方法
EP2399967B1 (en) Process for producing powder coating composition
JP5755717B2 (ja) 無機微粒子高濃度分散体用粘性調整剤及びそれが配合された無機微粒子高濃度分散体
WO2005090487A1 (ja) メタリック顔料組成物ならびにこれを用いたuvメタリックインク組成物またはuvメタリック塗料組成物
JP3869503B2 (ja) 水性アルミニウム顔料組成物
KR20100015947A (ko) 알루미늄 안료 및 그 제조 방법 그리고 그 알루미늄 안료를 함유하는 수성 금속 도료 조성물
JP4491601B2 (ja) 複合被覆アルミニウム顔料、その製造方法およびその用途
CN106458612B (zh) 对氰酸酯树脂具有优异分散性的二氧化硅溶胶组合物及其制备方法
JP2008120901A (ja) 複合被覆アルミニウム顔料及びその製造方法
JP2009242457A (ja) 水性塗料用アルミニウム顔料組成物および水性塗料
JP2005162771A (ja) 複合被覆アルミニウム顔料
JP2878722B2 (ja) アルミニウム顔料およびその製造方法並びにその顔料を含有するメタリック塗料
US20080281029A1 (en) Process for the Preparation of Aluminium Particles Coated with a Polymer Layer
US20170298250A1 (en) Liquid coating compositions, processes for production thereof and use thereof
JP4485171B2 (ja) 樹脂被覆アルミニウム顔料
JP2008127416A (ja) 複合被覆アルミニウム顔料及びその製造方法
JP3741470B2 (ja) 新規な水性アルミニウム顔料組成物およびその製造方法
JP2004331705A (ja) 難燃性コーティング剤組成物とその利用
JP2019070118A (ja) アニリンブラック並びに該アニリンブラックを用いた樹脂組成物及び分散体
JP3623854B2 (ja) アルミニウム顔料とその製造方法およびそれを含む樹脂組成物
JP6380380B2 (ja) 耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造方法
JP6404523B1 (ja) 銀ナノ粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100311

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100311

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100311

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4491601

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140416

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees