JP2004331705A - 難燃性コーティング剤組成物とその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によれば、樹脂、難燃剤、分散剤及び分散媒からなる難燃性コーティング剤組成物において、樹脂100重量部に対して、平均粒子径0.15μm以下の水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤30〜900重量部を含むことを特徴とする難燃性コーティング剤組成物が提供される。本発明によれば、上記難燃性コーティング剤組成物において、水酸化マグネシウム粒子はリン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤で処理されていることが好ましい。更に、本発明によれば、上記難燃性コーティング剤組成物からなる難燃性被膜を表面に有する難燃性樹脂成形体が提供される。
【選択図】なし
Description
【0001】
【従来の技術】
従来、環境保護の観点から、種々の分野において脱ハロゲンが推進されており、難燃剤の分野においても、樹脂用難燃剤として、水酸化マグネシウムのような金属水酸化物に代表される非ハロゲン系の難燃剤を用いることが推奨されている。このような金属水酸化物は、一般に、分解時の吸熱反応によって難燃効果をもたらすが、樹脂に配合して、樹脂に十分な難燃性を付与するためには、多量の配合を必要とするので、樹脂本来の機械的特性を損なったり、また、樹脂の成形加工性を悪化させる場合がある。
【0002】
そこで、近年、このように、樹脂に難燃剤を配合しないで、例えば、樹脂成形体の表面に難燃性の樹脂被膜を形成することによって、樹脂成形体に難燃性を付与することが提案されている。例えば、変成エポキシ樹脂とポリビニルアセタール樹脂とに水酸化マグネシウムを難燃剤として配合して主剤とし、硬化剤としてポリイソシアネートを用いて、ウレタン樹脂からなる難燃性被膜を形成するようにした難燃性塗料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来より知られているこのような難燃性コーティング剤組成物も、十分に難燃性を有せしめるには、多量の水酸化マグネシウムの配合を必要とし、従って、そのようなコーティング剤組成物は透明性に劣っており、従って、例えば、化粧板の表面に塗布した場合、白濁した難燃性被膜を形成し、化粧板の有する意匠を損なって、商品価値を著しく低下させてしまう。このように、従来より知られている難燃性コーティング剤組成物は、表面に意匠を有する種々の樹脂成形体や、それ自体、透明である成形体の表面に塗布して、難燃性被膜を形成するために用いることができず、その用途も、自ずから、限られている。
【0004】
【特許文献1】特開平08−239621号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の水酸化マグネシウムからなる難燃剤を含む難燃性コーティング剤組成物における上述した問題を解決するためになされたものであって、水酸化マグネシウム粒子を難燃剤として含みながら、透明性にすぐれる難燃性被膜を形成することができる難燃性コーティング剤組成物とその利用を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、樹脂、難燃剤、分散剤及び分散媒からなる難燃性コーティング剤組成物において、樹脂100重量部に対して、平均粒子径0.15μm以下の水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤30〜900重量部を含むことを特徴とする難燃性コーティング剤組成物が提供される。
【0007】
特に、本発明によれば、上記難燃性コーティング剤組成物において、水酸化マグネシウム粒子はリン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤で表面処理されていることが好ましい。
【0008】
更に、本発明によれば、上記難燃性コーティング剤組成物からなる難燃性被膜を表面に有する難燃性樹脂成形体が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による難燃性コーティング剤組成物は、平均粒子径0.15μm以下、好ましくは、平均粒子径0.10μm以下の微細水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤を含む。このような微細水酸化マグネシウム粒子の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは、15〜100m2/gの範囲である。
【0010】
このような微細な水酸化マグネシウム粒子は、既に知られているように、例えば、予め、水を入れた沈殿反応器に水溶性マグネシウム塩とアルカリ水溶液とを同時に注ぎ込んで、水酸化マグネシウムの沈殿を含むスラリーを得た後、このスラリーを水熱処理することによって得ることができる。このような方法において、上記水溶性マグネシウム塩としては、例えば、塩化マグネシウムや硝酸マグネシウムが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
本発明によれば、水酸化マグネシウム粒子は、必ずしも亜鉛を固溶したものである必要はないが、しかし、マグネシウムに対して、0.5〜30モル%の範囲で亜鉛を固溶しているもの、即ち、亜鉛固溶水酸化マグネシウム粒子が好ましく用いられる。このような亜鉛固溶水酸化マグネシウム粒子は、上述したような水溶性マグネシウム塩と水溶性亜鉛塩とを水の存在下にアルカリにて中和して共沈物を得、この共沈物を含む水スラリー(水懸濁液)を水熱反応させることによって得ることができる。このような方法において、上記水溶性亜鉛塩としては、例えば、塩化亜鉛や硝酸亜鉛が用いられるが、しかし、これらに限定されるものではない。また、上記アルカリとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物が好ましく用いられる。
【0012】
より詳しくは、水溶性マグネシウム塩とこのマグネシウムに対して亜鉛換算にて0.5〜30モル%の水溶性亜鉛塩とを含む水溶液と共に、上記マグネシウムと亜鉛に対してほぼ当量のアルカリの水溶液を適宜の容器中に同時に加えて、上記マグネシウム塩と亜鉛塩とを同時中和して、共沈物を生成させ、次いで、この共沈物を含むスラリーを100℃を越えて、250℃以下の温度、好ましくは、150〜200℃の範囲の温度で水熱反応させ、濾過、水洗、乾燥し、粉砕することによって得ることができる。必要に応じて、上記水熱反応の後、得られた反応混合物を篩分けして、粗大粒子を除いてもよい。
【0013】
本発明によれば、難燃剤として用いる水酸化マグネシウム粒子は、表面処理剤にて処理されていてもよい。このように、水酸化マグネシウム粒子を表面処理することによって、水酸化マグネシウム粒子の樹脂や分散媒への分散性を高めることができる。
【0014】
このような表面処理剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール脂肪酸エステル、リン酸エステル、アニオン系界面活性剤、オルガノシロキサン、オルガノシラン又はオルガノシラザン等を挙げることができる。
【0015】
上記シランカップリング剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0016】
アルミニウムカップリング剤剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを例示することができ、また、チタネートカップリング剤剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等を例示することができる。
【0017】
上記高級脂肪酸アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましい。多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等を挙げることができる。
【0018】
リン酸エステルとしては、リン酸トリエステル、ジエステル、モノエステル又はこれらの混合物が用いられる。リン酸トリエステルの具体例として、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ヒドロキシルフェニルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、オレイルホスフェート、ステアリルホスフェート等を挙げることができる。
【0019】
また、ジエステル又はモノエステル(即ち、酸性リン酸エステル)の具体例としては、例えば、メチルアシッドホスフェート(モノメチルエステルとジメチルエステルとの混合物)、エチルアシッドホスフェート(モノエチルエステルとジエチルエステルとの混合物)、イソプロピルアシッドホスフェート(モノイソプロピルエステルとジイソプロピルエステルとの混合物)、ブチルアシッドホスフェート(モノブチルエステルとジブチルエステルとの混合物)、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(モノ−2−エチルヘキシルエステルとジ−2−エチルヘキシルエステルとの混合物)、イソデシルアシッドホスフェート(モノイソデシルエステルとジイソデシルエステルとの混合物)、ジラウリルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート(モノラウリルエステルとジラウリルエステルとの混合物)、トリデシルアシッドホスフェート(モノトリデシルエステルとジトリデシルエステルとの混合物)、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート(モノステアリルエステルとジステアリルエステルとの混合物)、イソステアリルアシッドホスフェート(モノイソステアリルエステルとジイソステアリルエステルとの混合物)、オレイルアシッドホスフェート(モノオレイルエステルとジオレイルエステルとの混合物)、ベヘニルアシッドホスフェート(モノベヘニルエステルとジベヘニルエステルとの混合物)等を挙げることができる。
【0020】
これらの酸性リン酸エステルは金属塩、即ち、周期律表第Ia、IIa、IIb及び IIIaから選ばれる少なくとも1種の金属の塩であってもよい。従って、好ましい具体例として、例えば、リチウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等を挙げることができる。
【0021】
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリルスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリルスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリルスルホン酸塩等を挙げることができる。
【0022】
オルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ナトリウムメチルシリコネート、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサン等を挙げることができる。
【0023】
オルガノシランとしては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0024】
また、オルガノシラザンとしては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサエチルシクロトリシラザン、メチルポリシラザン、フェニルポリシラザン等を挙げることができる。
【0025】
このような表面処理剤は、特に、限定されるものではないが、通常、水酸化マグネシウム粒子に対して、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜7重量%の範囲で用いられる。
【0026】
水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤をこのような表面処理剤で表面処理するには、例えば、前述したように、水溶性マグネシウム塩(と水溶性亜鉛塩と)をアルカリで中和して沈殿物(水溶性亜鉛塩を用いた場合には、共沈物)を生成させ、この沈殿物(又は共沈物)を含むスラリーを水熱反応させて、(亜鉛固溶)水酸化マグネシウム粒子を生成させた後、この(亜鉛固溶)水酸化マグネシウム粒子を含むスラリーに直接、上記表面処理剤を加え、加熱、攪拌して、表面処理した後、濾過、水洗、乾燥すればよい。
【0027】
しかし、本発明によれば、難燃剤として用いる水酸化マグネシウム粒子は、特に、リン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤で処理されていることが好ましい。以下、このような処理剤で処理された水酸化マグネシウム粒子をリン酸塩処理水酸化マグネシウム粒子(又はリン酸塩処理難燃剤)ということとする。
【0028】
このようなリン酸塩処理難燃剤は、第1の方法として、水酸化マグネシウム粒子にその水性スラリー中、リン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤を接触させることによって得ることができる。
【0029】
第2の方法としては、このようなリン酸塩処理難燃剤は、水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーをリン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤の存在下に水熱処理することによって得ることができる。
【0030】
上記水酸化マグネシウムの水性スラリーとは、前記水溶性マグネシウム塩の水性溶液を水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリで中和し、水酸化マグネシウムを沈殿させ、かくして、得られる水性スラリーのほか、水酸化マグネシウム粒子を水性媒体中に分散させて得られるスラリーをいう。水溶性マグネシウム塩の水性溶液をアルカリで中和して、水酸化マグネシウムの水性スラリーを得る場合、水溶性マグネシウム塩の水溶液とアルカリとを同時中和してもよく、また、一方を他方に加えて中和してもよい。
【0031】
本発明において、水性スラリーとは、スラリーの分散媒が水又は少量の水溶性有機溶剤を含む水溶液をいい、水性溶液とは、同様に、溶液の溶媒が水又は少量の水溶性有機溶剤を含む水溶液をいい、また、水性媒体とは、水又は少量の水溶性有機溶剤を含む水溶液をいう。
【0032】
本発明によれば、上記リン酸塩としては、リン酸の1価又は2価金属塩、特に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、亜鉛塩が好ましく、ケイ酸塩としても、ケイ酸の1価又は2価金属塩、特に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、亜鉛塩が好ましい。従って、リン酸塩の具体例としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛等を挙げることができる。また、ケイ酸塩の具体例としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸亜鉛等を挙げることができる。
【0033】
また、ホウ酸塩としては、1価又は2価金属塩、特に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、亜鉛塩が好ましく、従って、具体例としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛等を挙げることができる。
【0034】
本発明によれば、水酸化マグネシウム粒子にその水性スラリー中、上記リン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤を接触させて、表面処理し、又は水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーを上記処理剤の存在下に水熱処理するに際して、上記処理剤は、水酸化マグネシウムに対して、それぞれ酸化物、即ち、五酸化リン(P2O5)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B2O3)換算にて、通常、0.05〜15モル%、好ましくは、0.1〜10モル%の範囲で用いられる。
【0035】
本発明によれば、用いる処理剤が、例えば、ホウ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムのように、水溶性塩であるときは、水酸化マグネシウムの水性スラリーにその水溶性塩又はその水溶液を加え、混合、攪拌して、上記水溶性塩を水酸化マグネシウム粒子に接触させることによって、本発明による難燃剤を得ることができる。ここに、水酸化マグネシウム粒子に上記水溶性塩を接触させる温度は、通常、0〜100℃の範囲にわたってよいが、好ましくは、10〜90℃の範囲であり、特に好ましくは、室温(25℃)から80℃の範囲である。
【0036】
他方、用いる処理剤が水不溶性塩乃至水難溶性塩、例えば、ホウ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、リン酸カルシウム等であるときは、好ましくは、水酸化マグネシウムの水性スラリーにその水不溶性塩又はその水性分散液を加え、得られた混合物を水熱処理することによって、本発明による難燃剤を得ることができる。
【0037】
本発明において、水熱処理(水熱合成とも呼ばれる。)は、水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーを上記水不溶性塩の存在下に加圧下、100℃を越えて、250℃以下の温度、好ましくは、150〜200℃の範囲の温度で反応させることをいう。水熱処理の時間は、特に、限定されるものではないが、通常、30分から数時間(例えば、2時間)程度である。必要に応じて、水熱処理に際して、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のようなアルカリを共存させてもよい。
【0038】
しかし、用いる処理剤が水溶性塩であるときにも、水酸化マグネシウムの水性スラリーにその水溶性塩又はその水溶液を加え、得られたスラリーを水熱処理してもよい。
【0039】
本発明によれば、このようなリン酸塩処理水酸化マグネシウム粒子は、更に、前述したような表面処理剤にて表面処理されていてもよい。このように、リン酸塩処理水酸化マグネシウム粒子を前記表面処理剤にて表面処理することによって、同様に、難燃剤の樹脂や分散媒への分散性を高めることができる。
【0040】
リン酸塩処理水酸化マグネシウム粒子を前記表面処理剤で表面処理する場合にも、表面処理剤は、特に、限定されるものではないが、通常、水酸化マグネシウム粒子に対して、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜7重量%の範囲で用いられる。
【0041】
また、リン酸塩処理した水酸化マグネシウム粒子を表面処理剤で表面処理するには、例えば、上述したようにして、水酸化マグネシウム粒子をリン酸塩等の処理剤で処理した後、その水性スラリーに直接、上記表面処理剤を加え、必要に応じて加熱下に、攪拌、混合して、表面処理し、この後、濾過、水洗、乾燥すればよい。
【0042】
本発明による難燃性コーティング剤組成物は、例えば、分散媒に分散剤と共に上述したような水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤を加え、十分に分散させた後、これに樹脂を加え、溶解させることによって得ることができる。
【0043】
本発明による難燃性コーティング剤組成物において、上述したような水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤は、樹脂100重量部に対して、30〜900重量部の範囲で用いられ、好ましくは、100〜600重量部の範囲で用いられる。水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤の割合が、樹脂100重量部に対して、30重量部よりも少ないときは、そのようなコーティング剤組成物から形成される被膜が難燃性において十分でなく、他方、水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤の割合が、樹脂100重量部に対して、900重量部よりも多いときは、そのようなコーティング剤組成物から形成される被膜が透明性において劣るようになり、更に、例えば、樹脂成形体の表面に塗布する際の塗布性が悪く、均一な被膜を形成し難い場合がある。
【0044】
本発明によれば、上記分散剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば、脂肪族アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のようなアミン型分散剤、リン酸エステル、リン酸エステルアミン等のようなリン酸系分散剤、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のようなカルボン酸型分散剤、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリル酸部分アルキルエステル等のような高分子型分散剤が用いられる。
【0045】
このような分散剤は、通常、樹脂100重量部に対して、5〜100重量部の範囲で用いられ、好ましくは、20〜80重量部の範囲で用いられる。分散剤の割合が樹脂100重量部に対して、5重量部よりも少ないときは、コーティング剤組成物において、難燃剤の分散性と分散安定性に劣り、他方、樹脂100重量部に対して、100重量部よりも多いときは、そのようなコーティング剤組成物から形成される被膜が難燃性において劣るようになるのみならず、例えば、樹脂成形体の表面にコーティング剤組成物を塗布した場合、形成される被膜の樹脂成形体表面への密着性にも劣ることとなる。
【0046】
本発明による難燃性コーティング剤組成物において、樹脂は、コーティング剤組成物の用途や要求特性に応じて適宜に選べばよく、特に、限定されるものではない。従って、樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤型樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のエマルジョン又は水ディスパージヨンを挙げることができる。また、合成ゴムや天然ゴムも樹脂に含めることとする。同様に、分散媒も、コーティング剤組成物の用途や要求特性に応じて適宜に選べばよく、特に、限定されるものではないが、例えば、水、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。
【0047】
本発明による難燃性コーティング剤組成物には、上記難燃剤や分散剤に加えて、必要に応じて、その他の添加剤を適宜に配合することができる。そのような添加剤として、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、顔料、防カビ剤等を挙げることができる。また、必要に応じて、従来より知られている他の難燃剤や難燃助剤等も配合してよい。
【0048】
本発明による難燃性コーティング剤組成物は、難燃性の塗料、粘着剤、接着剤等として好適に用いることができる。例えば、粘着性の樹脂、例えば、アクリル樹脂や天然ゴムを樹脂成分とする本発明による難燃性コーティング剤組成物は、難燃性粘着剤や接着剤として用いることができ、また、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を樹脂成分とする本発明による難燃性コーティング剤組成物は、難燃性塗料や難燃性インキとして用いることができる。例えば、本発明による難燃性コーティング剤組成物を適宜の樹脂成形体の表面に塗布し、難燃性被膜を形成して、その樹脂成形体に難燃性を付与することができる。
【0049】
即ち、本発明による難燃性樹脂成形体は、以上に説明した難燃性コーティング剤組成物からなる難燃性被膜を表面に有し、その難燃性被膜のために高い難燃性を有する。本発明において、樹脂成形体とは、フィルム、シート、板、チューブ、パイプ等のほか、種々の電気部品や電気機器のハウジング、自動車部品等を含み、特に、限定されるものではない。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、難燃剤として用いた水酸化マグネシウム粒子の平均粒子径は次のようにして求めた。即ち、電子顕微鏡写真中で任意の線を引き、直線上の粒子のなかから20個を選び、その20個の粒子の径のうち、長い方の径の平均値を平均粒子径とした。また、難燃剤として用いた水酸化マグネシウム粒子の比表面積はBET法によって求めた。他方、コーティング剤組成物中の水酸化マグネシウム粒子の平均粒子径は、(株)堀場製作所製の遠心沈降型粒度分布計CAPA−700を用いて遠心沈降法にて求めた。
【0051】
また、以下において、難燃性コーティング剤組成物を基材ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、難燃性被膜を形成させた難燃化PETフィルムについて、酸素指数、ヘイズ値及び表面粗度を求めた。酸素指数は、JIS K 7201に準拠し、スガ試験機(株)製燃焼性試験機ON−1型を用いて測定した。ヘイズ値は、JIS K 7136に準拠し、日本電色工業(株)ヘイズメーター(濁度計)NDH2000を用いて測定した。被膜の表面粗度は、JIS B 0601−2001に準拠し、日本精密(株)ハンディ・サーフE−30Aを用いて測定した。
【0052】
実施例1(難燃剤の調製)
(難燃剤Aの調製)
4モル/L濃度の塩化マグネシウム水溶液1Lと14.3モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.559Lを調製した。予め、純水0.3Lを入れた沈殿反応器に上記塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ込んで、水酸化マグネシウムの沈殿を含むスラリーを得た。このスラリーを加熱し、160℃に達したとき、直ちに加熱を止め、室温まで放冷して、水熱処理を行った。この水熱処理の後、温度70℃で得られたスラリーに水酸化マグネシウムに対して1.0重量%のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを加えて、1時間、攪拌した。このようにして、シランカップリング剤処理した水酸化マグネシウムを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、平均粒子径0.1μm、比表面積20m2/gの微細水酸化マグネシウム粒子を得た。これを難燃剤Aとする。
【0053】
(難燃剤Bの調製)
難燃剤Aの調製におけると同様にして、水熱処理の後、得られたスラリーを濾過、水洗し、水に再懸濁させて、スラリーを調製した。マグネシウムに対して亜鉛換算にて1.0モル%の塩化亜鉛の水溶液を70℃にて上記スラリーに加えた後、30分間熟成した。次に、このスラリーの温度を70℃に維持しながら、これに上記マグネシウムに対してホウ素換算にて3.0モル%のホウ酸の水溶液を加えて、温度70℃で15分間熟成して、亜鉛塩及びホウ酸処理した微細水酸化マグネシウム粒子を得た。
【0054】
次いで、このように処理した水酸化マグネシウム粒子を含むスラリーに70℃で水酸化マグネシウムに対してγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0重量%を加え、1時間、攪拌した。このようにして、シランカップリング剤処理した水酸化マグネシウムを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、平均粒子径0.1μm、比表面積20m2/gの微細水酸化マグネシウム粒子を得た。これを難燃剤Bとする。
【0055】
(難燃剤Cの調製)
4モル/L濃度の塩化マグネシウム水溶液1Lと14.3モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.503Lを調製した。予め、純水0.3Lを入れた沈殿反応器に上記塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ込んで、水酸化マグネシウムの沈殿を含むスラリーを得た。
【0056】
別にホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)10水和物17.2g(B2O3 換算で水酸化マグネシウムに対して3モル%)を65℃で水に溶解させて、水溶液とした。
【0057】
上記水酸化マグネシウムのスラリーにこのホウ酸ナトリウムのスラリーを加え、30分間攪拌した後、170℃で1時間、水熱処理して、ホウ酸ナトリウム処理した微細水酸化マグネシウム粒子を得た。この水熱処理の後、得られたスラリーに70℃にて水酸化マグネシウムに対してγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0重量%を加え、1時間、攪拌した。このようにして、シランカップリング剤処理した水酸化マグネシウムを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、平均粒子径0.1μm、比表面積45m2/gの微細水酸化マグネシウム粒子を得た。これを難燃剤Cとする。
【0058】
(難燃剤Dの調製)
4モル/L濃度の塩化マグネシウム水溶液にマグネシウムに対して亜鉛換算にて2モル%の塩化亜鉛の水溶液を加えて、塩化マグネシウム/塩化亜鉛水溶液1Lを調製すると共に、14.3モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.503Lを調製した。予め、純水0.3Lを入れた沈殿反応器に上記塩化マグネシウム/塩化亜鉛水溶液1Lと水酸化ナトリウム水溶液0.503Lを同時に注ぎ込んで、水酸化マグネシウムの沈殿を含むスラリーを得た。
【0059】
別にホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)10水和物12.1g(B2O3 換算で水酸化マグネシウムに対して2モル%)を65℃で水に溶解させて、水溶液とした。塩化カルシウム3.53gを水に溶解させた水溶液を上記ホウ酸ナトリウム水溶液に加えて、ホウ酸カルシウム(CaB4O7)を沈殿させ、かくして、ホウ酸カルシウムのスラリーを得た。
【0060】
上記水酸化マグネシウムのスラリーに上記ホウ酸カルシウムのスラリーを加え、30分間攪拌した後、170℃で1時間、水熱処理を行って、ホウ酸カルシウム処理した微細亜鉛固溶水酸化マグネシウム粒子を得た。この水熱処理の後、得られたスラリーに70℃にて、水酸化マグネシウムに対するメチルハイドロジェンポリシロキサンの割合が3.0重量%となるように、メチルハイドロジェンポリシロキサンエマルジョンを加え、1時間、攪拌した。
【0061】
このようにして、亜鉛固溶ホウ酸カルシウム処理した微細水酸化マグネシウムを更にメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理し、濾過、水洗、乾燥した後、粉砕して、平均粒子径0.1μm、比表面積40m2/gの微細水酸化マグネシウム粒子を得た。これを難燃剤Dとする。
【0062】
(難燃剤Eの調製)
難燃剤Cの調製において、ホウ酸ナトリウム10水和物に代えて、トリポリリン酸ナトリウム38g(P2O5 換算にて水酸化マグネシウムに対して5モル%)を用いた以外は、難燃剤Cの調製と同様にして、平均粒子径0.1μm、比表面積31m2/gの微細水酸化マグネシウム粒子を得た。これを難燃剤Eとする。
【0063】
(難燃剤Fの調製)
難燃剤Cの調製において、ホウ酸ナトリウム10水和物に代えて、ケイ酸カリウム46g(SiO2 換算にて水酸化マグネシウムに対して5モル%)を用いた以外は、難燃剤Cの調製と同様にして、平均粒子径0.1μm、比表面積29m2/gの微細水酸化マグネシウム粒子を得た。これを難燃剤Fとする。
【0064】
比較例1
(難燃剤Gの調製)
4モル/L濃度の塩化マグネシウム水溶液1Lと14.3モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.503Lを調製した。予め、純水0.3Lを入れた沈殿反応器に上記塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ込んで、水酸化マグネシウムの沈殿を含むスラリーを得た。
【0065】
このスラリーを170℃で1時間、水熱処理した後、得られたスラリーに70℃にて水酸化マグネシウムに対してγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0重量%を加え、1時間、攪拌した。このようにして、シランカップリング剤処理した水酸化マグネシウムを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、平均粒子径0.8μm、比表面積7m2/gの水酸化マグネシウム粒子を得た。これを難燃剤Gとする。
【0066】
実施例2(難燃性コーティング剤組成物の調製(表1))
トルエン252gに高分子型分散剤(アビシア(株)製ソルスパース24000)18gを均一に溶解させた後、これに上記実施例1で調製した難燃剤AからFをそれぞれ180g加え、高速攪拌機にて30分間予備混合した後、ビーズミルを用いて、60分間分散させた。この後、30重量%濃度のポリエステル樹脂溶液(東洋紡績(株)製バイロン200、溶媒トルエン/メチルエチルケトン(重量比80/20)混合物)を加え、混合して、それぞれ固形分中の難燃剤量70重量%の難燃性コーティング剤組成物aからfを得た。同様にして、上記比較例1で得た難燃剤Gを用いて、固形分中の難燃剤量70重量%の難燃性コーティング剤組成物gを得た。このようにして調製したそれぞれの難燃剤コーティング剤組成物中の難燃剤(水酸化マグネシウム粒子)の平均粒子径を表1に示す。
【0067】
次に、上記難燃性コーティング剤組成物aからgをそれぞれメチルエチルケトンで粘度100mPa・sになるまで希釈し、これを100μm又は50μm厚さの基材PETフィルム上にバーコーターを用いて塗布し、乾燥させて、表面に難燃性被膜を形成し、かくして、難燃化PETフィルムを得た。このようにして得た難燃化PETフィルムについて、酸素指数、ヘイズ値及び被膜の表面粗度を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
実施例3(難燃性コーティング剤組成物の調製(表2))
トルエン252gに高分子型分散剤(アビシア(株)製ソルスパース24000)18gを均一に溶解させた後、これに上記実施例1において調製した難燃剤AからFをそれぞれ180g加え、高速攪拌機にて30分間予備混合した後、ビーズミルを用いて、60分間分散させた。この後、50重量%濃度のアクリル樹脂溶液(大成化工(株)製アクリット104A、溶媒トルエン/酢酸エチル/イソプロピルアルコール(重量比20/30/50)混合物)を加え、混合して、それぞれ固形分中の難燃剤量70重量%の難燃性コーティング剤組成物aからfを得た。同様にして、上記比較例1で得た難燃剤Gを用いて、固形分中の難燃剤量70重量%の難燃性コーティング剤組成物gを得た。このようにして調製したそれぞれの難燃剤コーティング剤組成物中の難燃剤(水酸化マグネシウム粒子)の平均粒子径を表2に示す。
【0069】
次に、上記難燃性コーティング剤組成物aからgをそれぞれトルエンで粘度100mPa・sになるまで希釈し、これを100μm厚さの基材PETフィルム上にバーコーターを用いて塗布し、乾燥させて、表面に難燃性被膜を形成し、かくして、難燃化PETフィルムを得た。このようにして得た難燃化PETフィルムについて、酸素指数、ヘイズ値及び被膜の表面粗度を測定した。結果を表2に示す。
【0070】
実施例4(難燃性コーティング剤組成物の調製(表3))
水402gに高分子型分散剤(BYK(株)製BYK−190)18gを均一に溶解させた後、これに上記実施例1において調製した難燃剤AからFをそれぞれ180g加え、高速攪拌機にて30分間予備混合した後、ビーズミルを用いて、60分間分散させた。この後、31重量%濃度のポリウレタン樹脂の水ディスパージヨン(楠本化成(株)製Neo Rez R−940)を加え、混合して、それぞれ固形分中の難燃剤量70重量%の難燃性コーティング剤組成物aからfを得た。同様にして、上記比較例1で得た難燃剤Gを用いて、固形分中の難燃剤量70重量%の難燃性コーティング剤組成物gを得た。このようにして調製したそれぞれの難燃剤コーティング剤組成物中の難燃剤(水酸化マグネシウム粒子)の平均粒子径を表3に示す。
【0071】
次に、上記難燃性コーティング剤組成物を水で粘度100mPa・sになるまで希釈し、これを100μm厚さの基材PETフィルム上にバーコーターを用いて塗布し、乾燥させて、表面に難燃性被膜を形成し、かくして、難燃化PETフィルムを得た。このようにして得た難燃化PETフィルムについて、酸素指数、ヘイズ値及び被膜の表面粗度を測定した。結果を表3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
本発明による難燃性コーティング剤組成物を用いて、基材PETフィルムの表面に形成した難燃性被膜は透明で平滑であり、しかも、ポリエチレンテレフタレートフィルムに高い酸素指数を付与している。これに対して、比較例による難燃性コーティング剤組成物は、難燃剤として用いる水酸化マグネシウム粒子の平均粒子径が大きいので、これより形成される難燃性被膜が透明性に劣り、表面粗度も高い。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明による難燃性コーティング剤組成物を用いて形成される被膜は、例えば、これを樹脂成形体の表面に塗布、乾燥すれば、透明で平滑な難燃性被膜を形成することができる。
Claims (6)
- 樹脂、難燃剤、分散剤及び分散媒からなる難燃性コーティング剤組成物において、樹脂100重量部に対して、平均粒子径0.15μm以下の水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤30〜900重量部を含むことを特徴とする難燃性コーティング剤組成物。
- 水酸化マグネシウム粒子がカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ塩、多価アルコールの高級脂肪酸エステル、リン酸エステル、アニオン系界面活性剤、オルガノシロキサン、オルガノシラン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理されていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性コーティング剤組成物。
- 水酸化マグネシウム粒子がリン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性コーティング剤組成物。
- 水酸化マグネシウム粒子がこれを水性媒体中で、リン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤を接触させて処理したものであるか、又は水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーをリン酸塩、ケイ酸塩、亜鉛塩(リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩を除く。)、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤の存在下に水熱処理して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性コーティング剤組成物。
- 水酸化マグネシウム粒子が更にカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ塩、多価アルコールの高級脂肪酸エステル、リン酸エステル、アニオン系界面活性剤、オルガノシロキサン、オルガノシラン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の難燃性コーティング剤組成物。
- 請求項1から5のいずれかに記載の難燃性コーティング剤組成物からなる難燃性被膜を表面に有する難燃性樹脂成形体。
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